JPH0430934Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車シート（座席）におけるシート
バツク（背凭部）のＳ形ばね固定構造に関するも
のである。

（従来の技術とその問題点） 側面略く字状に折曲したパイプ製バツクフレー
ムを使用したシートバツクは、バツクフレームに
複数のＳ形ばねを横方向に多段状に張架し、その
Ｓ形ばねにモールド加工した発泡体製のクツシヨ
ン体を支持させ、これらを表皮で被包してなる構
造である。

以上の前記Ｓばねは夫々その端末をバツクフレ
ームの左右側部に溶接したクランプで固定してい
る。

ところで、前記バツクフレームは側面略く字状
に折曲されているため、このバツクフレームに前
記Ｓ形ばねを張架すると、バツクフレームの折曲
形状に沿つてＳ形ばねが固定される。

従つて、バツクフレームの上部折曲部に張架し
たＳ形ばねは略座面形状になるが、下部折曲部に
張架したＳ形ばねはその上部側が前方に突出状に
なり、下部側は後方に突出する。そのため、斯る
下部折曲部間に張架したＳ形ばねは前方に突出し
た上部側のみで前記発泡体製クツシヨン体を支持
する構造となり、Ｓ形ばね全面でクツシヨン体を
支持することができない。従つて、着座した場
合、斯るＳ形ばねの上部側が異物感となり、座り
心地が悪い不具合があつた。

なお、斯る不具合を除去する方法として、前記
Ｓ形ばねを固定するクランプをバツクフレームに
沿つて溶接せずに、バツクフレームに対して傾斜
状に溶接すること（例えば上部折曲部に溶接した
クランプと略平行に溶接すること）が考えられ
る。しかし、バツクフレームが一定の前後方向の
厚みを有する板金製のものであれば、クランプを
傾斜状に溶接することも可能であるが、パイプ製
を折曲して成形したものは、パイプの長さ方向以
外にクランプを溶接することができず、板金製バ
ツクフレームの如く、クランプをバツクフレーム
に対して傾斜状に溶接することができない（溶接
面積が少ないなどの理由による）。

なお、側面略く字状に折曲したパイプ製バツク
フレームにおける左右の下部折曲部間に、Ｓ形ば
ねの全面で発泡体製クツシヨン体を支持するもの
として、実開昭57−142949号公報に開示されてい
るものがある。しかし、これはＳ形ばねの両端を
フレームに溶接したブラケツトに、回動可能に枢
着した保持部材に、掛止する構造であるため、Ｓ
形ばねが可動し、異音が発生し、また、ブラケツ
トと保持部材の長さ分（シートの巾方向）、Ｓ形
ばねの全長が短くなり、クツシヨン性が損なわれ
る不具合があつた。

そこで、本考案は斯様な従来品の不具合を除去
することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 以上の目的を達成するための本考案の要旨とす
るところは、前記バツクフレームの下部折曲部に
張架するＳ形ばねをシートバツクの座面形状に折
曲し、且つ両端をバツクフレームに溶接したクラ
ンプに固定してなるものである。従つて、斯るＳ
形ばねはその両端がバツクフレームの下部折曲部
に沿つて溶接したクランプに固定されるが、この
固定部を除く部分が下部側が前方に上部側が後方
になるように折曲される。

そのため、Ｓ形ばねの全面が発泡体製クツシヨ
ン体に接触して、該クツシヨン体を全面で支持す
るようになる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図はＳ形ばね１，２，３をパイプ製バツク
フレーム１０の左、右両側部間に上、下多段状に
張架した状態を示し、図中１３はバツクフレーム
１０の下部に架設したパイプ製の補強杆、１４は
同上部に架設した支杆であり、バツクフレームの
左、右両側部には、その長さ方向にサイドサポー
ト２１，２２が溶接されている。

そして、第２図に示すようにバツクフレーム１
０は側面略く字状に折曲しており、その上部を上
部折曲部１０ａ、下部を下部折曲部１０ｂとす
る。第２図において左側がバツクフレーム１０の
前面側で、この前面側に発泡体製のクツシヨン体
３０が支持される。

以上のバツクフレーム１０における上部折曲部
１０ａには上下二本のＳ形ばね２，３が張架さ
れ、下部折曲部１０ｂには一本のＳ形ばね１が
夫々クランプ１５…によつて固定されており、こ
れらのＳ形ばね１，２，３を固定するクランプ１
５はバツクフレーム１０の長さ方向に沿つて溶接
されている。

これらのＳ形ばね１…は、いずれもＳ字形に連
続して折曲するもので、平面平らなもの、或いは
長さ方向の中央が前方に湾曲状に突出しているも
のである。

そして、前記Ｓ形ばね１は第３図に示すように
クランプ１５に対して取付ける固定部１１は、ク
ランプ１５と同一方向で、クランプ１５に挟持さ
れるが、それ以外の個所である支持部１２は、上
段のＳ形ばね２，３と略平行になるように折曲さ
れている。

このＳ形ばね１における左右の固定部１１，１
１に対して支持部１２を折曲する個所は第３図に
おいて、固定部１１，１１と支持部１２との間で
ある。

第６図、第７図は前述の如くＳ形ばね１…をバ
ツクフレーム１０に固定した発泡体製クツシヨン
体３０を取付け、然る後、これらを表皮２０で被
包して形成したシートバツクＡを示すものであ
り、図中２１，２１…は表皮２０の見頃部に横方
向に設けた装飾用の凹溝である。

従つて、Ｓ形ばね１の端部である固定部１１が
バツクフレーム１０の折曲形状に沿つて張架さ
れ、そのＳ形ばね１の固定部１１に沿つて発泡体
製のクツシヨン体３０が支持される。しかし乍
ら、バツクフレーム１０の内側においては、Ｓ形
ばね１における支持部１２が前述の如く折曲して
いるため、該支持部１２全体にクツシヨン体３０
が接合し支持される（不図示）。

なお、前記Ｓ形ばね１，２，３の代わりにＺ字
のばねを使用するも任意である。

（効果） 本考案は前述の如く側面略く字状に折曲したパ
イプ製バツクフレームにおける下部折曲部に、シ
ートバツクの座面形状に折曲させたＳ形ばねを張
架してなるから、該Ｓ形ばね全体でクツシヨン体
を支持する。従つて、クツシヨン体の座面形状が
保持され、前記従来品の如くＳ形ばねによる異物
感を除去し快適に使用し得る。加えて、Ｓ形ばね
を単に折曲されれば良いため、その成形性もよ
い。更に、本考案は、Ｓ形ばねの両端を直接フレ
ームに溶接したクランプに固定しているため、Ｓ
形ばね全体が固定され、異音が発生することがな
い。また前記従来品に対してブラケツト、保持部
材の長さ分（シートの巾方向）、全長が長いＳ形
ばねのを使用できるため、クツシヨン性が良好に
なるし、可動部材である保持部材にＳ形ばねの両
端を掛止することなく、フレームに固定したクラ
ンプに固定できるため、Ｓ形ばねの取付作業が簡
単になる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は平面
図、第２図は第１図における−線断面図、第
３図は要部の平面図、第４図は第３図における
−線断面図、第５図は−線断面図、第６図
は本案構造によるシートバツクの斜視図、第７図
は第６図における−線断面図である。 図中、１はＳ形ばね、１０はバツクフレーム、
１０ｂはバツクフレームの下部折曲部を夫々示
す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 側面略く字状に折曲したパイプ製バツクフレー
   ムに、Ｓ形ばねを横方向に多段状に張架してなる
   シートバツクにおいて、 前記バツクフレームの下部折曲部に張架するＳ
   形ばねは、シートバツクの座面形状に折曲し、且
   つ、両端をバツクフレームに溶接したクランプに
   固定してなるシートバツクにおけるＳ形ばね固定
   構造。