JPH0355823B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電子写真法において用いられるキヤリ
アとトナーとより成る乾式現像剤の改良に係る。

電子写真法において感光体上に形成された静電
潜像は現像剤により現像された後、必要に応じて
転写シート上に転写、定着される。ここで用いら
れる現像剤としては従来よりトナーとキヤリアと
より成る二成分系乾式現像剤が知られているが、
これは、キヤリア粒子とは逆極性に摩擦帯電され
たトナー粒子が比較的粒子サイズの粗いキヤリア
粒子表面に保持されたものであり、現像時、感光
体表面に流下又はカスケードされると感光体の潜
像領域の静電気力がキヤリア粒子とトナー粒子間
の結合力に打ち勝つてトナー粒子が潜像上に付着
してトナー可視像を形成するものである。そし
て、現像剤は現像によつて消費されたトナーを補
充しながら長時間の複写に反復使用される。

従つて、キヤリアは長時間の使用中、常にトナ
ーを所望とする極性で、且つ充分な帯電量に摩擦
帯電しなければならない。しかしながら従来の現
像剤は、粒子間の衝突又は粒子と現像機械との衝
突の機械的衝撃又はこれらによる発熱でキヤリア
表面にトナー膜が形成、所謂スペント化が生じ、
キヤリアの帯電特性が使用時間と共に低下し、現
像剤全体を取換える必要が生ずる。

このようなスペント化を防止する為、従来より
キヤリア表面に種々の樹脂を被覆する方法が提案
されているがいまだ満足の行くものは得られてい
ない。例えば、スチレン・メチルメタクリレート
共重合体又は、この共重合体とシリコーン樹脂の
混合樹脂で被覆したキヤリアは、帯電特性は優れ
ているが、表面の臨界表面張力が比較的高く繰返
し複写するうちにやはりスペント化が起き現像剤
としての寿命がそれ程長くない。又、四フツ化エ
チレン重合体を被覆したキヤリアは表面張力が低
い為トナーのスペント化は起き難いが四フツ化エ
チレン重合体が摩擦帯電系列において最も負側に
位置していることからトナーを負極性に帯電しよ
うとする場合には用いることができない。更に、
スチレン・メチルメタクリレート共重合体の混合
せずにシリコーン樹脂単独で被覆したキヤリアも
その低表面張力の為試みられているが、シリコー
ン樹脂被覆キヤリアを従来のトナーと混合した場
合トナーを充分に帯電する事ができず実用に耐え
得ないのが現状である。

本発明はかかる従来の欠点を解決する事にあ
り、特には、トナーを均一に充分な帯電量に負帯
電可能な長寿命の電子写真用乾式現像剤を提供す
ることを目的としたものである。

本発明者等の鋭意なる研究により、キヤリア
と、トナーとより成る電子写真用乾式現像剤にお
いて、キヤリア表面を下記一般式で表わされるシ
リコーン樹脂のみで被覆し、且つトナー中に有機
溶剤可溶性の金属錯塩型モノアゾ系染料を含有せ
しめれば前記従来の欠点は一挙に解決され本発明
の目的が達成されることが判明した。

Ｒ：水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メ
トキシ基、C_1〜4の低級アルキル基又はフエニル
基 本発明について更に詳述すると、本発明で用い
られるシリコーン樹脂としては、前記一般式を有
する市販の焼付型、常温硬化型等のストレートシ
リコーン樹脂が挙げられ、例えば、信越化学製の
KR271，KR255，KR152や東レシリコーン製
SR2400，SH840，SR2406等である。

上記シリコーン樹脂自体は、四三酸化鉄などの
ノンコートキヤリアと帯電系列は同レベルである
にもかかわらず、公知のトナーを混合して現像剤
とした場合にその帯電付与能力は低く、トナーを
充分に帯電できず実用性がない。しかしながら、
トナー中に前記有機溶剤可溶性の金属錯塩型モノ
アゾ系染料を混入するとトナーを20〜30μcの帯
電量に負帯電できる。

本発明において前記シリコーン樹脂を被覆する
キヤリア芯材としては平均粒径が50〜1000μ、好
ましくは100〜500μの砂、コバルト、鉄、銅、ニ
ツケル、亜鉛、アルミニウム、黄銅等の非金属や
金属等従来使用されている材料が広く用いられ
る。シリコーン樹脂の被覆法としては、該樹脂を
溶剤に溶解して、前記芯材表面に塗布すればよ
い。

金属錯塩型モノアゾ系染料は、モノアゾ系染料
分子に金属を化学的に結合させて錯塩としたもの
をいい、１つの染料分子に金属原子を１つ結合さ
せた１：１型、２染料分子に金属厚子を１つ結合
させた２：１型、同様に３：１型の錯塩がある
が、本発明においては２：１型錯塩が特に好まし
い。金属原子としては、Cr、Co、Cu、Feなどが
あり、Cr、Coが好適に使用される。

その具体例を挙げると下記のとおりである。

上記のような金属錯塩型モノアゾ系染料の市販
品としては例えばオリエント化学製のValiFast
Black＃3804、保土谷化学製のSpilon
BlackBH、BASF社製のZapon Fast Red GE等
が挙げられる。これらは、従来よりトナー成分と
して用いられていたポリスチレン、ポリアクリル
酸エステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、
エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の結着剤樹脂
並びにカーボンブラツク等と共に混練してトナー
粒子とすればよい。

従来よりトナーに用いられる負極性制御剤とし
てフエノール樹脂、キシレン樹脂、石油系樹脂、
スルフオンアマイド・ホルムアルデヒド樹脂、更
にはフツ素系界面活性剤に代表される活性剤、及
びC.I.Solvent Blue25、C.I.Vat Violet等の電気
陰性度の高い官能基を有した染料、微粉末シリカ
等が知られているが、これらをトナーに混入し
て、本発明のシリコーン樹脂被覆キヤリアと組合
せ使用しても充分な帯電が得られず実用上問題が
ある。

以下、本発明を実施例を挙げて説明する。

実施例 １ 下記処方によりコーテイング液を調製した。

シリコーン樹脂（トーレシリコーンSR2406）
100重量部 トルエン 1500重量部 回転円板型流動層粒子コーテイング装置に平均
粒径100μの酸化処理鉄粉を５Kg入れ流動させな
がら上記処方のコーテイング液を80℃の加熱下に
散布し、塗布を行なつた塗布物をコーテイング装
置よりとり出し恒温槽に入れ、200℃で２時間加
熱しシリコーン膜の硬化を行なわせた。

一方トナー処方として下記の処方の混合物を２
本ロール上で加熱下混練し冷却後、粉砕分級し、
５〜20μのトナーを作る。

ポリスチレン（エツソ社Ｄ−125） 100重量部 含金属染料（保土谷化学 スピロンブラツク
BH） ５重量部 カーボンブラツク ５重量部 上記トナー及びキヤリヤーをトナー濃度が2wt
％になるように混合した現像剤とした。ブローオ
フ法によりトナーの帯電量を測定したところ−
25μc／ｇとなり負極性に帯電していることがわ
かつた。この現像剤を用いてリコー製複写機
FT6400で連続コピーテストを行なつたが10万枚
のコピー後帯電量を測定したところ−20μc／ｇ
で殆んど低下しておらず、画像品質も初期のもの
と全く変らなかつた。

実施例 ２ 下記処方のコーテイング液を調製した シリコーン樹脂（信越化学 KR271）
100重量部 トルエン 1500重量部 実施例１と同様にしてシリコーン樹脂被覆キヤ
リヤーを得、下記の処方のトナーと現像剤を製造
したところ、帯電量は−15μc／ｇであつた スチレン・ノルマルブチルメタクリレート共重
合体（三洋化成ハイマーSBM73） 100重量部 含金属染料（染料例１） ２重量部 カーボンブラツク 10重量部 この現像剤を用いてリコー製複写機FT6400で
連続コピーテストを行なつたが10万枚のコピー後
帯電量は−14μc／ｇと殆んど変化がなく画像品
質も初期のものと変わらなかつた。

比較例 実施例１のトナーの含金属染料に替えて
CISolvent Blue25を同量加えてトナーを製造し
現像剤を調整したところ、帯電量は−5μc／ｇと
低く、実施例１同様の連続コピーテストをしたと
ころ地汚れが極めて多く実用価値のないものであ
つた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ キヤリアと、トナーとより成る電子写真用乾
   式現像剤において、キヤリア表面の被覆層樹脂が
   下記一般式で表わされるシリコーン樹脂のみから
   なり、且つトナー中に有機溶剤可溶性の金属錯塩
   型モノアゾ系染料を含むことを特徴とする電子写
   真用乾式現像剤。 Ｒ：水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、
   メトキシ基、C_1〜4の低級アルキル基又はフエニル
   基。