JPH0324925Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、デフアレンシヤル装置の改良に関
するものである。

〔技術的背景及び問題点〕

自動車のデフアレンシヤル装置内の潤滑はデフ
キヤリア内の底部に溜つた潤滑オイルをリングギ
ヤ等で掻き上げて潤滑を要する各摺動部に導き到
達させて行つている。この場合、デフキヤリア内
のドライブピニオンで駆動されるリングギヤの回
転方向が、ドライブピニオンとの噛み合い部にお
いて下向き方向、すなわち噛み合い部と反対側の
円周では上向き方向となつていて前記オイルの掻
き上げが円滑、大量に行われ、これでデフキヤリ
ア天井に付着した油滴が天井面を流れてその一部
が、ドライブピニオンを支持するベアリングの上
部に設けられているオイル流路に流入してベアリ
ングに達する形態のものが多い。しかし一部には
上記と反対の回転方向を強いられるものがあつて
潤滑に難点を持つていた。すなわち、四輪駆動車
においてFRベースのフロントデフ装置あるいは
RRベースのリヤデフ装置等においてはリングギ
ヤのドライブピニオンとの噛み合い部で上向き方
向にリングギヤが回転しており、ここではリング
ギヤが一旦オイルを掻き上げるが、掻き上げ方向
が前記と逆であるため、前記デフキヤリアの天井
側方のベアリング上部のオイル流路に入りこむオ
イルは前記回転方向の場合に比べて極端に少なく
なつて潤滑不良事態を招く恐れがあり難点となつ
ていた。

この対策として実開昭59−118849に開示されて
いるように逆転式ギヤ機構を用いたオイル掻き上
げ装置をデフケース外周に装着とした装置、ある
いは特公昭50−22766に開示されているようにデ
フキヤリア側方にデフケース側方からベアリング
側方までのオイル流路を備えて、デフケースによ
る掻き上げオイルをドライブピニオン支持壁を介
して導入とするものがある。

しかしながら、前者の装置は構造が複雑であり
コスト高、重量増を招き、一方、後者の装置も長
いオイル流路を必要として大型化、重量増の要因
となり、かつデフキヤリア壁面に設けられたオイ
ル受入口はデフケースのオイル掻き上げ方向に対
して位置、方向とも異なる構成であり、オイル流
入効率が極めて低い難点がある。

又、オイルを導く際にケースとスクレーパは摺
動しているのでオイルの劣化を早めてしまう。

〔考案の目的〕

そこで、この考案は、リングギヤがドライブピ
ニオンとの噛み合い部において上向き方向に回転
するデフアレンシヤル装置において、コスト増、
重量増等の問題なしにドライブピニオンを支持す
るベアリングに充分な潤滑オイルを供給すること
ができるデフアレンシヤル装置を提供するもので
ある。

〔考案の構成〕

前記目的を達成するために、この考案において
は、デフキヤリアにベアリングを介して回転自在
に支持されたドライブピニオンと、これによつて
駆動されるリングギヤが装着されたデフケースを
有し、前記リングギヤの回転方向が前記ドライブ
ピニオンとの噛合い部で上向きとなつたデフアレ
ンシヤル装置において、前記デフキヤリアの側壁
であつてドライブピニオンに対し前記噛合い部の
反対側のほぼ同じ高さの位置に開口２１を設ける
と共に、前記ベアリングの取付部付近のデフキヤ
リアの側壁に開口２３を設け、前記両開口を結ぶ
オイル流路２５を設けた構成としている。

〔実施例〕

以下、第１図、第２図の図面を参照しながらこ
の考案の一実施例を詳細に説明する。

デフアレンシヤル装置１のデフケース３の左右
をベアリングで回転自在に支持しているデフキヤ
リヤ５の−側、図面の上方にベアリング７ａ，７
ｂを介して回転自在に支持されたドライブピニオ
ン９があり、図外のエンジン側伝導軸からの入力
で駆動回転される。ドライブピニオン９のデフケ
ース３側の端部にはギヤ部１１が設けられてい
て、これと噛み合うリングギヤ１３を介してデフ
ケース３を回転する。この場合、リングギヤ１３
の回転方向はギヤ部１１との噛み合い部において
上向き方向となつている。デフケース３内部には
ピニオンシヤフト１５があり、ピニオンシヤフト
１５に回転自在にピニオンギヤ１７が軸支され、
ピニオンギヤ１７の左右にこれと噛み合う一対の
サイドギヤ１９ａ，１９ｂがあり、図外の出力軸
がサイドギヤ１９ａ，１９ｂから左右に夫々延設
されて図外の車輪に連結されている。更に、前記
ギヤ部１１の側方のデフキヤリア５に、ギヤ部１
１とほぼ同じ高さで開口２１が設けられ、又ドラ
イブピニオン９のベアリング７ａ，７ｂの中間部
付近の側方のデフキヤリア５に、開口２３が設け
られ、これら開口２１，２３を結んでトンネル状
のオイル流路２５がデフキヤリア５の外側に突出
した形で設けられている。

このように構成されたデフアレンシヤル装置を
使用する場合、従来と同様デフキヤリア５に前記
リングギヤ１３の周囲下方が浸漬するレベルにま
で潤滑油を入れてから用いる。ギヤ部１１の駆動
回転でリングギヤ１３が回転し、デフケース３が
回りピニオンギヤ１７、サイドギヤ１９ａ，１９
ｂを介して図外の出力軸を回転させて図外の車輪
が駆動され回転する。そして前記ドライブピニオ
ンのベアリング７ａ，７ｂの潤滑は、リングギヤ
１３によつて掻き上げられた潤滑油がすぐ上方で
噛み合つているギヤ部１１により側方のデフキヤ
リヤ５の開口２１に直接飛び込んだり、デフキヤ
リヤ５の側壁をつたつて、開口２１に入り、オイ
ル流路２５を流れて開口２３からベアリング７
ａ，７ｂの中間部に流れ落ちる。そしてベアリン
グ７ａ，７ｂに達し潤滑を行なう。以上のように
ギヤ部１１の側方からオイル流路２５を経てベア
リング７ａ，７ｂに達することで、従来のように
逆回転のリングギヤではね上げたオイルのごく一
部がデフキヤリヤ５の天井部内面を伝つてベアリ
ング上部のオイル通路に入り、ここからベアリン
グに達する状態に比較すると従来ではオイル供給
が不十分な程低速回転でもオイル供給が可能とな
るので格段にオイル量が増し、確実化される。
又、ギヤ部１１の側方から２個のベアリング７
ａ，７ｂの中間部までのオイル流路２５とした場
合には、流路長が短くて済み、従つてオイル流路
を含んだデフキヤリヤの製作は容易であり、重量
も変わらない。更にギヤ部１１によるオイル飛散
方向に直面した開口で効率よくオイル受入ができ
る。

〔考案の効果〕 以上、説明したように、この考案のデフアレン
シヤル装置によれば、デフキヤリヤの一部に開口
とオイル流路を備える簡単な構成により、ベアリ
ング潤滑に問題ありとされていた、リングギヤが
ドライブピニオンとの噛み合い部で上向き方向に
回転するデフアレンシヤル装置において、ドライ
ブピニオンを支持するベアリングに充分な潤滑油
を供給することができるとともにコスト増や重量
増を招くことなしに確実な潤滑が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のデフアレンシヤル装置の一
実施例の概略水平断面図、第２図は第１図−
矢視断面図である。 主要な図面符号の説明、１……デフアレンシヤ
ル装置、３……デフケース、５……デフキヤリ
ヤ、７……ベアリング、９……ドライブピニオ
ン、１１……ギヤ部、１３……リングギヤ、２５
……オイル流路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. デフキヤリアにベアリングを介して回転自在に
   支持されたドライブピニオンと、これによつて駆
   動されるリングギヤが装着されたデフケースを有
   し、前記リングギアの回転方向が前記ドライブピ
   ニオンとの噛合い部で上向きとなつたデフアレン
   シヤル装置において、前記デフキヤリアの側壁で
   あつてドライブピニオンに対し前記噛合い部の反
   対側のほぼ同じ高さの位置に開口２１を設けると
   共に、前記ベアリングの取付部付近のデフキヤリ
   アの側壁に開口２３を設け、前記両開口を結ぶオ
   イル流路２５を設けたことを特徴とするデフアレ
   ンシヤル装置。