JPH0251733B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は序列番号等の追刷り装置に追刷り前の
印刷物の良否を検査する検査装置を併設した検査
輪転印刷機に関するものである。

近年印刷の多様化に伴い絵柄を印刷した上へさ
らに序列番号や、***、店名、管理コードなどを
追加して印刷するような印刷物の需要が増大して
おり、この種の印刷物は、絵柄用の印刷機と番号
用等の専用印刷機とを連結して連続的に印刷され
たり、あるいは絵柄を印刷したのち独立した専用
印刷機にかけて別工程で印刷されたりしている。
そして、この種の印刷物の中には、銀行券や有価
証券、高級美術印刷物などのように一枚々々が重
要かつ高価なものがあり、これらは絵柄の印刷と
番号などの追刷りとを別工程で行なうとともに、
追刷り工程の前に検査工程を設け、絵柄印刷の良
否を検査して合格したもののみを追刷り工程へ回
すようにして管理の混乱や不良品の発生を避ける
ようにしている。ことに、銀行券などのように一
連番号を付すものにおいては、欠番が許されない
ので、追刷り前に厳重な検査が行なわれる。そし
て、この検査と選別とは、従来広い場所に検査装
置を並べて多数の作業員の目視によつて行なわれ
ているが、検査速度を印刷機の高速性に合わせる
ためには、多数の熟練者を必要とし、コスト面等
において多くの問題が残されていた。

そこで、近年においては、エレクトロニクスと
光学機器の発達に伴い、印刷物の脱刷やずれ、だ
ぶり、色濃度などを光学系を通して電気的に検出
し結果の良否を印刷機の高速性に合わせて電気信
号で出力し得る装置が開発されている。しかしな
がら、折角このような装置が開発されても、この
検査が印刷とは別工程で行なわれるために、検査
工程はもとより、絵柄の印刷機から検査場所、さ
らに追刷り印刷機へと紙を運搬して積替えるため
に多くの人手を要するので、省力化によるコスト
の低減を期待することができず、また検査装置の
特性を充分に発揮することができなかつた。

本発明は以上のような点に鑑みなされたもの
で、給紙装置と追加印刷装置との間に互に反対方
向へ回転する少なくとも一対の検査胴を設け搬送
される印刷物の表裏面を添接させるとともに、各
検査胴の周面に対向する光学検査器を設け印刷物
の不良部を検出して発する信号により印刷胴を着
脱させ不良紙を別径路へ排出させるように構成す
ることにより、番号印刷などの追刷り前における
印刷物の検査を追刷り印刷工程中に行ない良紙と
不良紙とを選別して排出させることを可能ならし
めて検査、運搬、積替え等の人員削減による大幅
な省力化と、検査のための占有スペースの縮少化
を計つた検査輪転印刷機を提供するものである。

以下、本発明の一実施例を図面に基いて詳細に
説明する。

第１図は本発明に係る検査輪転印刷機の一実施
例を示す概略側面図であつて、印刷機１は、給紙
装置２と、検査装置３と、印刷装置４と、排紙装
置５、およびその他の付属装置とで構成されてい
る。本実施例は絵柄が印刷された紙幣に連続番号
を追刷りする印刷機を例示しており、給紙装置２
には、複数枚の紙幣の絵柄が印刷された多数の枚
葉紙（以下、紙どう）６を集積する紙積台７が設
けられている。この紙積台７は、給紙フレーム８
からチエーン９で吊下されており、紙積台７上方
のサツカ装置（図示せず）で紙６が上層から一枚
ずつ吸引されて搬送されるにしたがい自動的に上
昇するように構成されている。また、給紙装置２
と検査装置３との間には、給紙装置２から矢印Ａ
で示す方向に送り込まれる紙６を受け止める差板
１０と、差板１０上に送り込まれた紙６を検査装
置３へ一枚ずつ供給するスイング１１とが設けら
れている。

さらに、検査装置３には、後述する印刷装置２
の版胴２１の倍径を有し図に矢印ＢおよびＣで示
すように互に反対方向へ回転する第１検査胴１２
と第２検査胴１３とが周面を対接させて両側のフ
レーム１４間に軸架されている。これらの検査胴
１２，１３は、スイング１１の爪で咥えられて供
給された紙６を咥え替えて周面に巻付けながら搬
送する一対の爪を、それぞれの周面切欠き内に備
えており、この爪で搬送される紙６は、第１検査
胴１２へ巻付けられたときに表面が前方へ表出
し、第２検査胴１３へ巻付けられたとき裏面が後
方へ表出するように構成されている。そして、各
検査胴１２，１３には、その周面に巻付けられて
搬送される紙６に対向しその不良印刷箇所を検出
して信号を発する光学系と電子回路を使用した光
学検査器１５および１６がそれぞれ付設されてい
る。１７は検査胴１２，１３の1/2径を有してこ
れに対接された紙取胴であつて、これと同軸上の
スプロケツト１８と、印刷装置４下部のスプロケ
ツト１９との間には、左右一対の搬送チエーン２
０が張架されている。これら左右の搬送チエーン
２０間に一定間隔で支架された爪軸上には複数個
の爪が並設されており、検査胴１３の爪に咥えら
れた紙６を紙取胴１７と協動して受取り搬送チエ
ーン２０の走行とともにこれを矢印Ｄ方向へ搬送
するように構成されている。

さらに、印刷装置４は、周面に番号器が装着さ
れた前記版胴２１と、この版胴２１に対接して印
刷時に印圧を付与する圧胴２２と、この圧胴２２
に対接する紙渡し胴２３と、前記スプロケツト１
９と同軸上にあつて紙渡し胴２３と対接する給紙
胴２４とを備えており、圧胴２２と紙渡し胴２３
との周面切欠き内には、前記搬送チエーン２０と
紙渡し胴２３との間ならびに両胴２２，２３間で
紙６を咥え替えて図に矢印Ｅ，Ｆ，Ｇで示す方向
へ搬送する爪が設けられている。そして、版胴２
１は、軸端部のカム機構で駆動されて圧胴２２に
対し着脱し得るとともに、前記光学検査器１５，
１６が不良紙を検出して発する信号によりその不
良紙の通過時に圧胴２２から離脱し通過後対接す
るように構成されている。また、版胴２１上の番
号器は軸端部に設けた数字送り機構に駆動されて
版胴２１の１回転ごとに数字から送られるととも
に、光学検査器１５，１６からの不良紙検出信号
によりその不良紙の通過時にのみ数字送りが停止
されるように構成されている。２５は、インキ壷
２６と多数のローラ群とからなり番号器へインキ
を供給するインキ装置である。

さらに、圧胴２２には紙取胴２７が対接されて
おり、これと同軸上のスプロケツト２８と、排紙
装置５終端部のスプロケツト２９との間には左右
一対の排紙チエーン３０が張架されているととも
に、左右の排紙チエーン３０間に一定間隔で支架
された爪軸上には複数個の排紙爪が並設されてお
り、圧胴２２の爪に咥えられた紙６を紙取胴２７
と協働して受取り排紙チエーン３０の搬送ととも
にこれを矢印Ｈ方向へ搬送するように構成されて
いる。３１は排紙フレーム３２に対して昇降自在
に設けられた紙積台であつて、その上方で排紙チ
エーン３０の排紙爪から解放された紙６を積層す
るとともに、紙６の積層にしたがつて自動降下す
るように構成されている。さらにスプロケツト２
９の下方には排紙受け３３が設けられており、排
紙爪を開閉するカム機構（図示せず）は、常時は
紙積台３１上で排紙爪を開放させて紙６を解放さ
せるが、前記検光学検査器１５，１６から不良紙
検出信号が発せられたときには、この不良紙がス
プロケツト２９に達したときに排紙爪を開放させ
て不良紙を排紙受け３３上へ排出するように構成
されている。

以上のように構成された番号印刷用検査輪転印
刷機１の動作を第１図と、第２図に示す印刷胴回
転数と印刷紙咥え部移動量との関係線図を用いて
説明する。第２図においては横軸に版胴２１の回
転数をとり、縦軸に紙６の咥え部の移動量をとつ
ており、紙６の咥え部が実線Ｐで示すように進行
することを示している。また、破線Ｑは、光学検
査器１５，１６が発する不良紙検出信号と印刷胴
の回転数との関係を示している。図において、紙
積台７上に積層された紙６は、サツカ装置で吸引
されて差板１０上へ１枚ずつ送り込まれ、スイン
グ１１で第１検査胴１２へ供給される。第２図の
P₀点は第１検査胴１２の爪が紙６を咥え始めた
位置を示しており、この点を版胴２１の回転始点
とする。そして、検査胴１２，１３が版胴２１の
倍径であることと、スイング１１および紙取胴１
７の位置とによつて明らかなように、版胴２１が
ほゞ１ 3/4回転したP₃点において両検査胴１２，
１３による紙６の咥え替えが行なわれ、版胴が
ほゞ３ 1/2回転したP₆点において搬送チエーン
２０の爪による咥え部替えが行なわれるととも
に、P₁、P₂間において紙６の表面が光学検査器
１５によつて検査され、P₄、P₅間において紙６
の裏面が光学検査器１６によつて検査される。搬
送チエーン２０で搬送された紙６は、P₇点にお
いて紙渡し胴２３の爪に咥え替えられ、さらに
P₈点において圧胴２２の爪に咥え替えられると
ともに、P₉点以降において第２図に実線Ｒで示
すように番号印刷が施される。印刷後の紙紙６は
P₁₀点で排紙チエーン３０の爪に咥え替えられて
搬送されP₁₁点において解放されて紙積台３１上
へ積層される。

以上は紙６に正常な絵柄が印刷されている場合
であるが、例えば絵柄がだぶつていたりするなど
の不良紙が検査装置３へ供給されると、その不良
箇所が紙６の表面、裏面のいずれにあつても光学
検査器１５，１６のいずれかがこれを検出し、搬
送チエーン２０の爪への咥え替えが終つたP₆点
直後のQ₁点において不良紙信号が発せられる。
この信号は、圧胴２２への咥え替え点P₈の手前
のQ₂点において版胴２１の着脱機構と番号器の
数字送り機構によつて受取られ、版胴２１が圧胴
２２から離脱するとともに番号器の数字送りが休
止される。したがつて版胴２１と圧胴２２との間
を通過する不良紙に対しては番号印刷が施される
ことがないとともに、不良紙の前の良紙と不良紙
の後の良紙とには、欠番となることなく連続した
番号が印刷される。Q₃点は胴脱の完了点を示し
ている。このあと、良紙と不良紙とは連続して搬
送され、良紙は前述したように紙積台３１上に排
出されるが、前記不良紙の検出信号がQ₄点にお
いて排紙爪の開閉機構に受取られ、不良紙の咥え
端がスプロケツト２９に達したP₁₂点で排紙爪が
開放されるので、不良紙は良紙とは別径路の排紙
受け３３上へ排出される。

このようにして行なわれる不良紙の検査選別動
作においては、正逆方向に回転する一対の検査胴
１２，１３に添接して搬送される紙６に対して検
査が行なわれるので、紙６の表面と裏面とが完全
に検査されるとともに、検査胴１２，１３の直径
を版胴２１の倍径にしたので、検出面積を大きく
とることができ、また、紙６が平面状に近づくこ
とにより光学検査器１５，１６の誤検出を防止す
ることができ、また、紙６が平面状に近づくこと
により光学検査器１５，１６の誤検出を防止する
ことができる。そして、検査装置３の操作や保
守、点検などを行なう場合には、第１図に示すよ
うに、給紙装置２と検査装置３との間または検査
装置３と印刷装置４との間の空間部に作業者が位
置することができ、しかも検査胴１２，１３を大
径にしたことにより楽な姿勢をとることができる
ので、作業がきわめて容易である。

なお、本実施例においては、本発明を紙幣に連
続番号を追刷りする印刷機として用いた例を示し
たが、印刷物は紙幣に限らず有価証券や高級美術
印刷物など検査を要する印刷物であればいかなる
印刷物でもよく、また、追刷りの内容は番号に限
らず、***、店名、管理コードなどでもよい。

以上の説明により明らかなように、本発明によ
れば、給紙装置と追加印刷装置との間に互に反対
方向へ回転する少なくとも一対の検査胴を設け搬
送される印刷物の表裏面を添接させるとともに、
各検査胴の周面に対する光学検査器を設け印刷物
の不良部を検出して発する信号により印刷胴を着
脱させ不良紙を別径路へ排出させるよう構成する
ことにより、番号印刷などの追刷り前における印
刷物の検査を追刷り印刷工程中に行ない良紙と不
良紙とを選別して排出させることができるので、
絵柄印刷後の紙を検査のために積替えたり運搬し
たりする必要がなく、作業人員が削減されて大幅
な省力化が計れるとともに、広い検査場所を設け
る必要がなく検査のための占有スペースを著しく
縮小することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明に係る検査輪転印
刷機の一実施例を示し、第１図はその概要側面
図、第２図は印刷胴回転数と印刷紙咥え部移動量
との関係線図である。 １……印刷機、２……給紙装置、３……検査装
置、４……印刷装置、６……紙、１２……第１検
査胴、１３……第２検査胴、１５，１６……光学
検査器、２１……版胴、３３……排紙受け。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 印刷された枚葉紙を供給する給紙装置２と追
   加印刷機４との間に検査装置３を配設し、この検
   査装置３を、互いに反対方向へ回転する一対の検
   査胴１２，１３と、これら各検査胴１２，１３の
   周面に対向して配設され印刷物の表裏面における
   印刷不良部分を検出する光学検査器１５，１６と
   から構成し、この検査器１５，１６からの不良紙
   検出信号により、前記追加印刷機３の印刷胴２１
   を胴抜きさせ、印刷不良紙を所定の排紙径路以外
   の径路で排紙することを特徴とする検査輪転印刷
   機。