JPH025952Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は印刷物の検査を印刷工程中に行なうた
めに輪転印刷機に付設され、印刷紙を巻き付けて
搬送する検査胴とその周面に対向する検査機構と
からなる検査装置に関するものである。

近年印刷の多様化に伴い、絵柄を印刷した上へ
さらに序列番号や***、店名、管理コードなどを
追加して印刷するような印刷物の需要が増大して
おり、この種の印刷物は、絵柄用の印刷機と番号
用等の専用印刷機とを連結して連続的に印刷され
たり、あるいは絵柄を印刷したのち独立した専用
印刷機にかけて別工程で印刷されたりしている。
そしてこの種の印刷物の中には、銀行券や有価証
券、高級美術印刷物などのように一枚一枚が重要
かつ高価なものがあり、これらは絵柄の印刷と番
号などの追刷りを別工程で行なうとともに、追刷
工程の前に検査工程を設け、絵柄印刷の良否を検
査して合格したもののみを追刷り工程へ回すよう
にして管理上の混乱や不良品の発生を避けるよう
にしている。ことに、銀行券などのように一連番
号を付すものにおいては、欠番が許されないの
で、追刷り前に厳重な検査が行なわれる。そし
て、この検査と選別とは、従来広い場所に検査装
置を並べて多数の作業員の目視によつて行なわれ
ていたが、検査速度を印刷機の高速性に合わすた
めには、多数の熟練者を必要とし、コスト面等に
おいて多くの問題が残されていた。

そこで、近年においてはエレクトロニクスと光
学機器の発達に伴い、印刷物のずれ、だぶり、色
濃度などを光学系を通して電気的に検出し、結果
の良否を印刷機の高速性に合わせて電気信号で出
力し得る装置が開発されており、さらにこれを印
刷機に組入れて検査を追刷り工程中に行なうよう
にした検査輪転印刷機の開発が進められている。

この検査輪転印刷機は、給紙装置と追刷用の印
刷ユニツトとの間に検査胴を設け、給紙装置から
送られてくる絵柄印刷の終つた印刷紙（以下紙と
言う）をこの検査胴の周面に巻き付けながら搬送
するときに、周面に対向して設けた検査機構で検
査して不正紙を抜き出すものである。そして、こ
のような検査装置においては、紙が検査胴の周面
から浮き上つていると検査機構が誤動作し検査装
置としての役目を果さなくなるので、紙を検査胴
の周面に密着させる必要がある。

本考案は以上のような点に鑑みなされたもの
で、検査胴に巻き付けられる各印刷紙の紙尻部に
対応して胴軸方向に延設され胴周面から穿設され
た複数個の吸気孔を有する吸気ダクトと装置外部
の吸気装置とを胴端部に設けた一対の吸気路で連
結し、これら各吸気路を、フレーム側に一端を固
定した開閉バルブで交互に開放させるとともに、
フレーム側に固定されて植毛を検査機構の上流側
で検査胴周面に摺接させた刷毛を設けることによ
り、検査中の印刷紙を吸気と刷毛とで検査胴の周
面に密着させ、紙の浮き上がりによる検査機構の
誤動作を防止するとともに、非検査中の印刷紙へ
向う吸気路を閉塞させ吸気を検査中の吸気孔側に
集中させて吸気性能の向上を計つた検査輪転印刷
機の検査装置を提供するものである。以下、本考
案の一実施例を図面に基いて詳細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案に係る検査装置の
一実施例を示し、第１図はこれを実施した検査輪
転印刷機の概要側面図、第２図は検査装置の一部
破断側面図、第３図は検査胴の上半部と下半部と
で円周方向へ90゜位相を違えた位置を破断して示
す展開縦断面図、である。図において、印刷機１
は給紙装置２、検査装置３、印刷装置４、排紙装
置５およびその他の付属装置とで構成されてい
る。本実施例は絵柄が印刷された紙幣に連続番号
を追刷する印刷機を例示しており、給紙装置２に
は、紙幣の絵柄が複数個印刷された多数の紙６を
積載する紙積台７が設けられている。この紙積台
７は、給紙フレーム８からチエーン９で吊下られ
ており、紙積台７上方のサツカ装置（図示せず）
で紙６が上層から一枚ずつ吸引されて搬送される
にしたがい自動的に上昇するように構成されてい
る。また、給紙装置２と検査装置３との間には、
給紙装置２から矢印Ａで示す方向に送り込まれる
紙６を受け止める差板１０と、差板１０上に送り
込まれた紙６を検査装置３へ一枚ずつ供給するス
イング１１とが設けられている。

次に、検査装置３には、後程詳述する一対の検
査胴１２および１３が周面を対接させて両側のフ
レーム１４間に軸架されており、各検査胴１２，
１３にはその周面に巻き付けられて搬送される紙
６に対向しその不良印刷箇所を検出して信号を発
する検査機構１５，１６がそれぞれ付設されてい
る。１７は、検査胴１３の1/2径を有してこれに
対接された紙取胴であつて、これと同軸上のスプ
ロケツト１８と、印刷装置４下部のスプロケツト
１９との間には、左右一対の搬送チエーン２０が
張架されている。左右の搬送チエーン２０間に一
定間隔で支架された爪軸２０ａ上には、複数個の
爪２０ｂが並設されており、検査胴１３の爪に咥
えられた紙６を紙取胴１７と協働して受取り、搬
送チエーン２０の走行とともにこれを爪台２０ｃ
との間で咥えて矢印Ｂ方向へ搬送するように構成
されている。

次に、印刷装置４は、周面に番号機が装着され
た版胴２１と、この版胴２１に対接して印刷時に
印圧を付与する圧胴２２と、圧胴２２に対接する
紙渡し胴２３と、前記スプロケツト１９と同軸上
にあつて紙渡し胴２３と対接する給紙胴２４とを
備えており、圧胴２２と紙渡し胴２３との周面切
欠き内には、前記搬送チエーン２０と紙渡し胴２
３との間、ならびに両胴２２，２３間で紙６を咥
え替えて図に矢印Ｃ，Ｄ，Ｅで示す方向へ搬送す
る爪が設けられている。前記版胴２１は、軸端部
のカム機構で駆動されて圧胴２２に対して着脱し
得るとともに、前記検査機構１５，１６が不良紙
を検出して発する信号によりその不良紙の通過時
に圧胴２２から離脱し通過後対接するように構成
されている。また、版胴２１上の番号器は、軸端
部に設けた数字送り機構に駆動されて版胴２１の
１回転ごとに数字が送られるとともに、検査機構
１５，１６からの不良紙検出信号によりその不良
紙の通過時にのみ数字送りが停止されるように構
成されている。２５は、インキ壷２６と多数のロ
ーラ群とからなり番号器へインキを供給するイン
キ装置である。

さらに、圧胴２２には紙取胴２７が対接されて
おり、これと同軸上のスプロケツト２８と、排紙
装置５終端部のスプロケツト２９との間には、左
右一対の排紙チエーン３０が張架されているとと
もに、左右の排紙チエーン３０間に一定間隔で支
架された爪軸上には複数個の排紙爪が並設されて
おり、圧胴２２の爪に咥えられた紙６を紙取胴２
７と協働して受取り、排紙チエーン３０の搬送と
ともにこれを矢印下方向へ搬送するように構成さ
れている。３１は排紙フレーム３２に対して昇降
自在に設けられた紙積台であつて、その上方で排
紙チエーン３０の排紙爪から解放された紙６を積
層するとともに、紙６の積層にしたがつて自動降
下するように構成されている。さらに、スプロケ
ツト２９の下方には排紙受け３３が設けられてお
り、平常時は紙積台３１上で開放していた排紙爪
が、前記検査機構１５，１６から不良紙検出信号
が発せられたときには、この不良紙がスプロケツ
ト２９に達したときに排紙爪が開放し不良紙を排
紙受け３へ排出するように構成されている。

次に、前記検査胴１２の構成を第２図ないし第
４図に基いて詳細に説明する。図に矢印Ｇで示す
方向に回転する検査胴１２は左右のフレーム１４
に軸受３４を介して軸支されており、一方の軸端
部には、駆動ギア３５が軸着されている。この検
査胴１２は、版胴２１の倍径を有するいわゆる倍
胴であつて、このあと説明する咥え爪装置３６と
紙尻吸引装置３７とが外周部に対向してそれぞれ
２組設けられており、これら２組は互に対称形で
あるが、同じ構成であるからその片方について説
明する。すなわち、検査胴１２の外周部には、三
角形状の切欠き３８が設けられており、この切欠
き３８内に軸架された爪軸３９上には、図示しな
いカムでカムフオロア４０、レバー４１を介して
爪軸３９を往復回動させることにより開閉する複
数個の爪４２が並設されている。４３は切欠き３
８の垂直壁外端部に装着された爪台であつて、爪
４２が閉じることによりこれとの間で上流側から
の紙６の端を咥えるように構成されている。

検査胴１２の駆動ギア３５側の端軸には、ロー
タリジヨイン等を介して本装置外の吸気装置（図
示せず）の吸気口に接続された吸気通路４４が貫
通して穿設されており、一方、胴周部には、胴長
のほぼ全長にわたる吸気ダクト４５が、爪４２に
咥えられた紙６の紙尻部に対応する箇所に位置し
て胴軸方向に延設されている。この検査胴１２は
倍胴であつて２枚の紙６が胴周部の対向位置に巻
き付けられるので、吸気ダクト４５は胴周面を円
周方向に２等分する箇所に設けられている。各吸
気ダクト４５には、多数の吸気孔４６が胴周面か
ら穿設されているとともに、両方の吸気ダクト４
５と前記吸気通路４４との間は、胴端部を放射方
向へ延びる一対の吸気路４７によつて連結されて
いる。

さらに、片側のフレーム１４に固定された軸受
３４には、バルブホルダ４８が螺着されており、
このバルブホルダ４８には、検査胴１２の軸芯部
を貫通する開閉バルブ４９が、その一端をナツト
５０によつて固定されている。この開閉バルブ４
９は、検査胴１２との間を回動自在に形成されて
いるとともに、その他端に形成された有底円筒状
のバルブ４９ａは胴端板６０の環状溝６０ａを回
転自在に嵌合させている。バルブ４９ａは前記吸
気路４７を横断していてこの横断箇所には、図に
符号４９ｂで示す角度θの長孔が設けられてお
り、この長孔４９ｂが吸気路４７と対応するとき
は吸気路４７が開放され、長孔４９ｂのない箇所
が吸気路４７と対応するときは吸気路４７が閉塞
されるように構成されている。そして、角度θは
検査機構１５が占める扇形角度よりもやや大きく
設定されており、検査胴１２の回転により紙６の
中央部が検査機構１５の始端に対応してから紙６
の紙尻端が検査機構１５の終端を過ぎるまでの
間、バルブ４９ａが吸気路４７を開放するように
構成されている。なお、胴端板６０は、有底円筒
状のバルブ４９ａで囲まれた箇所を、円板部６０
ｂと吸気路４７を挟む両側の繋ぎ部６０ｃとで断
面コ字状に形成されており、換言すれば吸気路４
７を有する有底円筒状に形成されて胴端板６０本
体と一体的に回転する。

さらに、フレーム１４には、複数個の刷毛５１
が、検査機構１５に対する検査胴１２の回転方向
上流側に位置し植毛を胴周面に摺接させて並列固
定されており、検査胴１２の回転とともに紙６の
幅方向複数箇所を紙端から紙尻に至る全長にわた
つて胴周面へ密着させるように構成されている。
なお、第２の検査胴１３も第１の検査胴１２と同
様に構成されている。

以上のように構成された印刷機１の動作を説明
する。紙積台７上に積層された紙６は、サツカ装
置で吸引されて差板１０上へ一枚ずつ送り込ま
れ、スイング１１で第１の検査胴１２へ供給され
る。すなわち、スイング１１の爪から検査胴１２
の爪４２に咥え替えられた紙葉６は、胴１２の回
転とともにその周面に巻き付けられ、さらに第２
の検査胴１３の爪４２に咥え替えられて巻き付け
られたのち、搬送チエーン２０の爪２０ｂに咥え
替えられて搬送される。搬送された紙葉６は、紙
渡し胴２３、圧胴２２の爪に順次咥え替えられて
搬送される間に版胴２１と圧胴２２との間で番号
印刷が施され、排紙チエーン３０の爪に咥え替え
られて搬送されたのち、搬送終端部で爪から解放
されて紙積台３１上へ積層される。

以上は紙６は正常な絵柄が印刷されている場合
であるが、例えば絵柄がだぶつて印刷されたりす
るなどの不正紙が検査装置３へ供給されると、そ
の不正箇所が紙６の表面、裏面のいずれにあつて
も、検査機構１５，１６のいずれかがこれを検出
して信号を発するので、この信号が版胴２１の着
脱機構と番号器の数字送り機構によつて遅れたタ
イミングで受取られ、版胴２１が圧胴２２から離
脱するとともに番号器の数字送りが休止される。
したがつて版胴２１と圧胴２２との間を通過する
不正紙には番号印刷が施されず、また不正紙前後
の正紙には、欠番となることなく連続した番号が
印刷される。一方、検査機構１５，１６の発した
信号はさらに遅れたタイミングで排紙爪の開閉機
構にも受取られ、正紙の場合よりも後方位置で爪
から解放されるので、不正紙は正紙とは別径路の
排紙受け３３上へ排出される。

以上のようにして行なわれる検査印刷動作にお
いて、検査胴１２，１３を倍胴としたことによ
り、その周面には常時２枚の紙６が巻き付けら
れ、各紙６の紙端は、相対向する各紙尻吸引装置
３７へ同時に対応する。この状態から検査胴１
２，１３がさらに回動すると、開閉バルブ４９が
フレーム１４側に固定されて静止していることに
より、紙６の中央部が検査機構１５，１６の始端
に差し掛かるころには、バルブ４９ａの長孔４９
ｂが吸気路４７に対応してこれを開放させる。し
たがつて、本装置外の吸気装置と吸気ダクト４５
とが吸気通路４４と吸気路４７を介して連通され
るので、吸気孔４６から外気が吸入され、紙６は
検査胴１２，１３の周面に密着する。またこれよ
り先、紙６が検査機構１５，１６に差し掛ける前
から刷毛５１が紙６の表面に摺接してこれを紙尻
方向へ押し伸ばすのでさらに密着性が増す。そし
て、第２図において明らかなように、倍胴の検査
胴１２，１３においては、一方の紙６、ことに吸
引孔４６に対応する紙尻部が検査機構１５，１６
に対応しているとき、他方の紙６は両胴１２，１
３間で咥え替えが行なわれている。これに対して
本装置では開閉バルブ４９を設けて図に角度θで
示す長孔４９ｂが吸気路４７に対応しているとき
のみ吸気を行なうようにしたことにより、検査中
の紙６が吸着されている間、吸気を要しない他方
の吸気孔４６が閉塞されているので、吸気が一方
の吸気孔４６に集中し、吸引エアのロスを完全に
防止することができるとともに、紙６の密着作用
を最大限に発揮することができる。なお、開閉バ
ルブ４９は、フレーム１４側に固定するナツト５
０を弛めることにより回動するので、紙６を吸引
する角度位相を自由に調節することができる。

以上の説明により明らかなように、本考案によ
れば、印刷紙を周面に巻き付けながら搬送する検
査胴とその周面に対向する検査機構とを備えた検
査輪転印刷機の検査装置において、検査胴の外周
部に、胴周面から穿設された複数個の吸気孔を有
し検査胴に巻き付けられる各印刷紙の紙尻部に対
応する吸引ダクトを胴軸方向に延設し、この吸気
ダクトと装置外の吸気装置とを胴端部に設けた一
対の吸気路で連結するとともに、これら各吸気路
を、フレーム側に一端を固定した開閉バルブで交
互に開放させ、かつ、検査機構の上流側に植毛を
検査胴周面に摺接させた刷毛を設けることによ
り、検査中の印刷紙が刷毛で胴周面へ押されて紙
尻側へ引き伸ばされたのちその紙尻部を胴周面へ
吸着されるので、印刷紙が検査胴の周面から浮上
することなく密着するとともに、検査中、他方の
非検査側吸気路が開閉バルブで閉塞されて吸気が
検査側の吸気孔に集中するので、吸引エアのロス
が防止され、紙の密着性がさらに向上して検査機
構の誤動作がなくなることにより検査機能が著し
く向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案に係る検査輪転印
刷機の検査装置の実施例を示し、第１図はこれを
実施した検査輪転印刷機の概要側面図、第２図は
検査装置の側面図、第３図は検査胴の上半部と下
半部とで円周方向へ90゜位相を違えた位置を破断
して示す展開縦断面図、である。 １……印刷機、３……検査装置、６……紙、１
２，１３……検査胴、１４……フレーム、１５，
１６……検査機構、４２……爪、４５……吸気ダ
クト、４６……吸気孔、４７……吸気路、４９…
…開閉バルブ、４９ａ……バルブ、５１……刷
毛、６０……胴端板、６０ａ……環状溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周部の爪４２で印刷紙６の端末を咥えて周面
   へ巻き付けながら搬送する検査胴１２，１３とそ
   の周面に対向する検査機構１５，１６とを備えた
   検査輪転印刷機１の検査装置３において、前記検
   査胴１２，１３に巻き付けられる各印刷紙６の紙
   尻部に対応して胴軸方向に延設され装置外の吸気
   装置との間を検査胴１２，１３端部の各吸気路４
   ７で連結された一対の吸気ダクト４５と、この吸
   気ダクト４５へ胴周面から穿設された複数個の吸
   気孔４６と、前記検査胴１２，１３との間を回動
   自在に形成されて一端をフレーム１４側に固定さ
   れ検査胴１２，１３芯部を貫通して他端の有底円
   筒状バルブ４９ａに胴端板６０の環状溝６０ａを
   回転自在に嵌合させた開閉バルブ４９であつて検
   査胴１２，１３の一回転中の所定位置で前記各吸
   気路４７を開く円弧状長孔４９ｂを前記バルブ４
   ９ａに備えた開閉バルブ４９と、前記検査機構１
   ５，１６に対する検査胴１２，１３回転方向上流
   側において植毛を検査胴１２，１３周面に摺接さ
   せてフレーム１４側に固定された刷毛５１とを設
   けたことを特徴とする検査輪転印刷機の検査装
   置。