JPH0119584Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は車両用交流発電機に関するものであ
り、特にレクチフアイヤ組立体を具備した車両用
交流発電機に関するものである。

［従来技術］ 車両用交流発電機は車両に搭載されて使用され
るという特殊性から小型、軽量で高出力かつ高効
率が要求されてきたが、年々負荷の増大により出
力増大が一層必要となる一方、車両自体の燃費向
上のためその重量の低減、したがつて交流発電機
の重量を軽くする必要がありまたエンジンルーム
内の取付スペースも狭くなりかつ高温となるた
め、温度上昇の低い高出力の製品開発が従来から
強く要求されている。

以上の要求を達成する有効な手段として冷却方
法の改善が上げられるが、特に整流装置即ちレク
チフアイヤの冷却が発電機の寿命向上に大きく寄
与し、従つてレクチフアイヤの冷却の改善が望ま
れている。

従来技術において、例えば特開昭48−70020号
公報が開示するごとき、平形整流子を冷却油を用
いて直接冷却するようにした整流装置搭載形回転
電機が存在する。

［問題点］ 冷却油を用いて整流素子を直接冷却する手段
は、車両用交流発電機においては、構造が複雑、
大型となり、重量が大となるなどの理由によつて
採用し得ない。

本考案は、これらの問題点を解消した車両用交
流発電機を提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ この目的を達成するため、本考案においては、
ダイオードを保持している負側冷却フインと正側
冷却フインとを金属製棒状部材の両端のフランジ
部間で押圧挾持すると共に、金属製棒状部材のフ
ランジ部を負側冷却フインに当接したレクチフア
イヤ組立体を、交流発電機のハウジングを構成す
る金属製エンドフレームと、このエンドフレーム
に固定される金属製リアカバーとの間に挾持し、
その際、金属製棒状部材の一方のフランジ部をリ
アカバーに当接させ、かつ他方のフランジ部をエ
ンドフレームに当接させるという手段を講じてい
る。

［作用］ 本考案によれば、負側冷却フインが金属製棒状
部材の１対のフランジ部を介して金属製リアカバ
ーもしくはエンドフレームに熱的に接続されて、
負側冷却フインの放熱面積が実質的に増大され
る。

［実施例］ 以下、図面に従つて本考案の実施例を説明す
る。第１図は本考案になる車両用交流発電機の断
面を示すものであり、その構造は部分的には公知
のものもあるが、これらを含めて説明する。

交流発電機のハウジングを構成する一対の椀状
のエンドフレーム１，１′は開口部どうしを当接
させて複数のボルト２で相互に固定されている。
エンドフレーム１の内周には固定子３が圧入等の
適当な方法で固定され、固定子３は固定子コア３
ａ及び固定子コイル３ｂから構成されている。両
エンドフレーム１，１′の側面部中央には発電機
内側に向つて突出する円筒状の軸受ボツクスが形
成されそれぞれ軸受４，４′が取り付けられて回
転軸５を支持している。回転軸５には一対の爪型
ポールコア６，６′が固定され、ポールコア６，
６′の内周には回転子コイル７が挾持されていい
る。

ポールコア６，６′の両側面には固定子内径よ
り小さい外径の冷却用遠心型フアン８，８′が回
転軸５と同心に適宜の手段でポールコア６，６′
に密着固定され、フアン８，８′のブレード８ａ，
８′ａはポールコア６，６′の反対側に向つてそれ
ぞれ立上り、また一方のフアン８のブレード８ａ
はポールコア６の爪数と同数形成され、他方のフ
アン８′のブレード８′ａは風量に応じて任意の枚
数形成されている。なお、フアン８は回転子コイ
ル７を冷却する様にポールコア６，６′内に冷却
風を押し込むべくブレード８ａを回転方向に前傾
させた斜流式となつている。エンドフレーム１，
１′の両側面にはフアン８，８′のブレード８ａ，
８′ａに適宜なギヤツプをもつて対向した、フア
ンのガイド板の役目を果すシユラウド１ａ，１′
ａが形成される。両エンドフレーム１，１′の両
側中央部の軸受４，４′の近傍にはフアン８，
８′による冷却風のための吸入窓１ｂ，１′ｂが形
成され、また固定子コイル３ｂの外周にあたる部
分に吐出窓１ｃ，１′ｃがある。

スリツプリング９はエンドフレーム１′及び軸
受４′の外側の回転軸５の一端に取り付けられ、
スリツプリング９は回転軸５に設けた一対の溝５
ａ，５′ａ内に配設され、モールド材で固定され
た接続導体１０，１０′により回転子コイル７電
気的に接続されている。なお、スリツプリング９
及び接続導体１０，１０′は回転軸５とは電気的
に絶縁されて固定されている。

プーリ１１はエンドフレーム１及び軸受４の外
側の回転軸５の他方の端にナツト１３及びワツシ
ヤ１４で結合されている。なお、プーリ１１と軸
受４との間及び軸受４とポールコア６との間には
カラー１２，１２′がそれぞれ介在している。

エンドフレーム１′の外側にはブラシ１６ａを
有するブラシホルダー１６、レギユレータ１７、
レクチフアイヤ組立体１８が設けられ、これらは
金属製（通常は鉄板製）のリアカバー１９で保護
されている。

レクチフアイヤ組立体１８の構造は本考案の特
徴とするものであり、第３図を参照して以下で詳
細に説明する。

レクチフアイヤ組立体１８は、冷却フイン３
６，３７及び絶縁スペーサ４０を含んでいる。両
端に押圧挾持用のフランジ部を有する金属製の棒
状部材３９が両冷却フイン３６，３７を貫通して
延びており、両フランジ部間で両冷却フイン３
６，３７および絶縁スペーサ４０を押圧挾持して
いる。冷却フイン３６，３７は第２図及び第５図
に示すように全体が馬てい形をなしている。冷却
フイン３６は、その上に複数個、図示の実施例で
は４個のダイオード４２をそれらの陰極に接触し
て保持する正側冷却フインを構成している。ま
た、冷却フイン３７は、その上に複数個、図示の
実施例では４個のダイオード４３をそれらの陽極
に接触して保持する負側冷却フインを構成してい
る。端子台３５は絶縁樹脂を成形して作られてお
り、図示の実施例では４個のターミナル４１がイ
ンサート成形により固定されている。ターミナル
４１は端子台３５の内径側へ突出し負側冷却フイ
ン３７に保持されたダイオード４３の陰極と接続
される第１の接続部４４と、外径側へ突出し正側
冷却フイン３６に保持されたダイオード４２の陰
極に接続される第２の接続部４５及びステータコ
イル３ｂと接続される第３の接続部４６を持つて
いる。これら冷却フイン３６，３７、絶縁スペー
サ４０及び端子台３５にはそれぞれ孔が設けられ
ており、第４図に示された一端にフランジ部を有
する金属製の棒状部材３９をこれらの孔にそれぞ
れ通して、他端をかしめてそこにフランジ部を形
成することによつて互いに連結される。

第３図に示されているごとく、負側冷却フイン
３７は棒状部材３９の一端の第１のフランジ部
（第３図において下側のフランジ部）に当接固定
され、正側冷却フイン３６は棒状部材３９の他端
の第２のフランジ部（第３図において上側のフラ
ンジ部、即ち、かしめることによつて形成された
フランジ部）の近傍で、端子台３５を介して棒状
部材３９に対して絶縁された状態でかつ負側冷却
フイン３７とほぼ対向して配置されている。両方
の冷却フイン３６，３７の間には絶縁スペーサ４
０が配置されている。また、第３図において、端
子台３５上には冷却フイン３６に接触された出力
端子３８が備えられている。

図の実施例においては、レクチフアイヤ組立体
を形成するために３個の棒状部材３９が用いられ
ているが、棒状部材３９の個数は適宜増減可能で
ある。

ダイオード４２，４３と端子台３５のターミナ
ルの接続部４４，４５との間の半田付は、冷却フ
イン３６，３７及び端子台３５を棒状部材３９に
よつて一体に組み立てたあと行われる。

再び第１図を参照するに、第３図に示すように
一体に組み立てられたレクチフアイヤ組立体１８
は、棒状部材３９の正側冷却フイン３６の近くの
端部にある第２のフランジ部をエンドフレーム
１′のボス部１′ｄに当接させ、棒状部材３９の他
端にある第１のフランジ部をリアカバー１９に当
接させるように、リアカバー１９をビス２０によ
つてエンドフレーム１′に締付けることによつて、
エンドフレーム１′とリアカバー１９との間に固
定される。

次に、本考案の作動を説明する。ブラシ１６
ａ、スリツプリング９を介し回転子コイル７に電
流が供給されプーリ１１により回転されることに
より固定子コイル３ｂに交流電流が誘起し、レク
チフアイヤ組立体１８により整流され、レギユレ
ータ１７により出力電圧が制御される。これらは
従来周知のことであるので詳細な説明は省略す
る。

シヤフト５の回転とともにポールコア６，６′
に取付けられたフアン８′が回転するとリアカバ
ー１９に明けられた通風窓１９ｂを冷却風が通
り、リアカバー１９を冷却するとともにレクチフ
アイヤ組立体１８の冷却フイン３６，３７を冷却
し更にエンドフレーム１′をも冷却して吸入窓１
b′より内部に進入し、固定子コイル３ｂに冷却し
て吐出窓１c′より外部に熱風として吐出される。
この時、レクチフアイヤ組立体１８を一体に組み
立てている棒状部材３９の両端のフランジ部はそ
れぞれリアカバー１９とエンドフレーム１′のボ
ス部１′ｄに接触しているため、負側冷却フイン
３７にて発生した熱は、直接冷却風中に放散され
るばかりでなく、棒状部材３９を通つてリアカバ
ー１９及びエンドフレーム１′に伝達し、そこか
ら放熱され、従つてレクチフアイヤ組立体１８の
温度が非常に低減される。特に、放熱効果の大き
いリアカバー１９側に負側冷却フイン３７を位置
させているので、リアカバー１９があたかも冷却
フイン３７の一部をなす如き状態となり、放熱量
を拡大できる。

［考案の効果］ 本考案によれば、金属製の棒状部材を介して負
側冷却フインと金属製のリアカバーとが互いに熱
的に接続されているので、負側冷却フインの放熱
面積が実質的に増大され、放熱量が増えてる。よ
つて、冷却油等により直接ダイオード（整流素
子）を冷却しなくても極めて効果的に負側冷却フ
インに保持されたダイオードへの熱影響を抑える
ことができる。これにより装置の大型、重量化を
抑えることができ、さらに、ダイオードの寿命お
よび品質を向上させることができる。

さらに、放熱量を増大できる結果、負側冷却フ
インの面積を小さくすることができて、コストダ
ウンをもたらし得る。

更に、負側冷却フインの面積を小さくした実施
例では、リアカバーの通風窓を通つた冷却風を正
側冷却フインにより多く当てることが可能であ
り、正側冷却フインの放熱効果をも増大させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例である車両用交流発
電機の断面図、第２図は第１図の発電機に用いて
いるレクチフアイヤ組立体のプーリ側より見た正
面図、第３図は第２図の−矢視断面図、第４
図はレクチフアイヤ組立に用いる棒状部材の断面
図、第５図は第２図のレクチフアイヤ組立体の背
面図である。 １，１′……エンドフレーム、５……シヤフト、
６……ポールコア、８，８′……フアン、１８…
…レクチフアイヤ組立体、１９……リアカバー、
３５……端子台、３６……正側冷却フイン、３７
……負側冷却フイン、３９……棒状部材、４０…
…絶縁スペーサ、４２，４３……ダイオード。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 交流発電機のハウジングを構成する金属製エ
   ンドフレーム１′と、 複数個のダイオードをそれらの陽極に接触し
   て保持する負側冷却フイン３７と、この負側冷
   却フインとほぼ対向すると共に、複数個のダイ
   オードをそれらの陰極に接触して保持する正側
   冷却フイン３６と、前記両冷却フインを貫通す
   ると共に、両端に形成された１対のフランジ部
   を有する金属製棒状部材３９と、前記負側冷却
   フインと前記正側冷却フインとの間および前記
   正側冷却フインと前記金属製棒状部材との間を
   絶縁する絶縁部材３５，４０とを備え、前記金
   属製棒状部材の１対のフランジ部間に、一方の
   フランジ部に接触する前記負側冷却フイン、前
   記負側冷却フインと前記正側冷却フインとの間
   に設けられた前記絶縁部材４０、前記正側冷却
   フインおよび、この正側冷却フインと他方のフ
   ランジ部との間に設けられた前記絶縁部材３５
   とを挾持し、保持してなるレクチフアイヤ組立
   体１８と、 このレクチフアイヤ組立体を覆うと共に、前
   記エンドフレームに取り付けられ、かつ通風窓
   を有する金属製リアカバー１９とを備え、 前記レクチフアイヤ組立体は、前記金属製棒
   状部材の１対の第１のフランジ部が前記エンド
   フレームに当接し、かつ第２のフランジ部が前
   記リアカバーに当接すると共に、前記エンドフ
   レームと前記リアカバーとの間に挾持され、保
   持されていることを特徴とする車両用交流発電
   機。 (2) 前記金属製棒状部材は中空になつており、こ
   の中空内を、前記金属製リアカバーを前記エン
   ドフレームに押圧し、固定するためのビス２０
   が貫通する実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の車両用交流発電機。 (3) 前記負側冷却フインは前記リアカバー側に配
   置され、かつ前記正側冷却フインよりも面積を
   小さくしたことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項または第２項記載の車両用交流発
   電機。