JP7275689B2 - 蓄冷材 - Google Patents
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Description
テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオンおよびテトラ-イソペンチルアンモニウムカチオンからなる群から選択される少なくとも1種のアンモニウムカチオン、
カルボン酸アニオン、
酸素含有アニオン、および
銀イオン、
を含有し、
ここで、
前記酸素含有アニオンは、前記カルボン酸アニオンとは異なる分子構造を有し、
前記酸素含有アニオンは、前記蓄冷材の冷却中に前記少なくとも1種のアンモニウムカチオンと組み合わされて第1ゲスト分子を形成可能であり、
前記第1ゲスト分子は、水分子を第1ホスト分子として用いて第1クラスレートハイドレート結晶を形成可能であり、
前記第1クラスレートハイドレート結晶は、摂氏0度以上摂氏30度以下の融点を有し、
前記カルボン酸アニオンは、前記蓄冷材の冷却中に前記少なくとも1種のアンモニウムカチオンと組み合わされて第2ゲスト分子を形成可能であり、
前記第2ゲスト分子は、水分子を第2ホスト分子として用いて第2クラスレートハイドレート結晶を形成可能であり、
前記第2クラスレートハイドレート結晶は、摂氏0度以上摂氏30度以下の融点を有し、
前記第2クラスレートハイドレート結晶の融点は、前記第1クラスレートハイドレート結晶の融点よりも低く、
前記酸素含有アニオンの前記カルボン酸アニオンに対するモル比は0.5未満であり、
前記第1クラスレートハイドレート結晶は、前記第2クラスレートハイドレート結晶に類似する結晶構造を有しており、
蓄冷材が、摂氏3度以上の融点を有し、かつ
蓄冷材が、8ケルビン以下の過冷却度ΔTを有する。
・条件(I) 蓄冷材が、摂氏3度以上の融点を有すること。
・条件(II) 蓄冷材は、8ケルビン以下の小さな過冷却度ΔT(望ましくは6ケルビンK以下)を有すること。
望ましくは、蓄冷材は摂氏25度以下(すなわち、室温以下)の融点を有する。
少なくとも1種のアンモニウムカチオンは、テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオンおよびテトラ-イソペンチルアンモニウムカチオンからなる群から選択される。テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオンは、化学式((CH3(CH2)3)4N+)により表される。蓄冷材の技術分野においてよく知られているように、これらのアンモニウムカチオンは、蓄冷材の主成分、すなわち蓄冷主成分として用いられる。少なくとも1種のアンモニウムカチオンおよび水分子の間のモル比は、1:20~1:40であることが望ましい。言い換えれば、少なくとも1種のアンモニウムカチオンの水分子に対するモル比率は、1/40以上1/20以下であることが望ましい。
各カルボン酸アニオンは、以下の化学式(II)により表される。
R-COO- (II)
ここで、Rは炭化水素基である。
望ましくは、カルボン酸アニオンは、モノカルボン酸アニオンである。
ン、エチルペンタン酸アニオン、プロピルペンタン酸アニオン、メチルヘキサン酸アニオン、エチルヘキサン酸アニオン、プロピルヘキサン酸アニオン、およびブチルヘキサン酸アニオンである。
各酸素含有アニオンは、酸素原子をその分子内に含む。
・酸素含有アニオンの例は、
(I) 化学式R1-SO3 -により表されるスルホン酸アニオン、
(II) 化学式-O3S-R1-SO3 -により表されるジスルホン酸アニオン、
(III) 化学式R1-CO2 -により表されるカルボン酸アニオン、
(IV) 化学式H2N-CHR1-CO2 -により表されるアミノ酸アニオン、
(V) 化学式-O2C-R1-CO2 -により表されるジカルボン酸アニオン、
(VI) 化学式NO2 -、NO3 -、ClO-、ClO2 -、ClO3 -、ClO4 -、CO3 2-、SO4 2-、またはPO4 3-により表される非金属酸アニオン、
(VII) 化学式OH-により表される水酸化物アニオン、
(VIII) 化学式CrO4 2-またはWO4 2-により表される金属酸アニオン、および
(IX) 化学式R1-O-SO3 -により表される有機硫酸エステル、
である。
R1は、置換または非置換の直鎖または分岐の有機残基を表す。
本実施形態による蓄冷材は、銀イオンを含有する。後述される蓄冷材の製法からも明らかなように、銀イオンは、カルボン酸銀に由来し得る。
本実施形態による蓄冷材は、水分子を含有する。本実施形態による蓄冷材は、水性である。言い換えれば、本実施形態による蓄冷材は、上記(I)~(IV)の項目で説明された4つの成分を含有する水溶液である。
以下、上記(I)~(V)項目で説明された5つの成分を含有する蓄冷材の結晶化のメカニズムが説明される。
・当該メカニズムは、以下の工程(a)~工程(d)の4つの工程を具備する。
・一連の工程(a)~工程(d)は、本実施形態による蓄冷材を冷却することにより行われる。工程(a)および工程(b)は、区間Aおよび区間Bの少なくとも1つの区間において行われる。工程(c)および工程(d)は、区間Bにおいて行われる。
工程(a)では、本実施形態による蓄冷材が冷却される。図3Aに示されるように、工程(a)では、金属銀コア粒子80にカルボン酸銀が取り込まれた第1複合体81が形成される。よく知られているように、銀イオンに紫外線が照射されると、銀イオンは還元されて金属銀粒子に変化する。水溶液中でのブラウン運動または分子間相互作用を原因として、複数の金属銀粒子が凝集し、複数の金属銀粒子から構成された金属銀コア粒子80が形成される。本実施形態による蓄冷材は、太陽または天井灯から放出される光に含まれる紫外線にしばしば照射されるため、本実施形態による蓄冷材に含有される銀イオンの一部は、金属銀粒子に変化し、次いで金属銀コア粒子80が形成される。このように、本実施形態による蓄冷材においては、銀イオンに由来する金属銀コア粒子80が形成される。金属銀コア粒子80の電荷は中性である。
次に、工程(b)では、工程(a)の後に、本実施形態による蓄冷材がさらに冷却される。工程(b)では、図3Bに示されるように、酸素含有アニオン84がマクロカチオン82に引き寄せられて、第2複合体85が形成される。上述されたように、マクロカチオン82は、金属銀粒子に由来する銀原子だけでなく、カルボン酸銀に由来する銀イオンをも含むが、当該銀原子および銀イオンは互いに区別されない。したがって、マクロカチオン82内で正の電荷が維持される限り、カルボン酸銀に由来する銀イオンが銀原子に変化し、かつ金属銀粒子に由来する銀原子の一部が銀イオンに変化する。
、マクロカチオン82、カルボン酸イオン83、および酸素含有アニオン84から構成される。マクロカチオン82の近傍に、第2複合体85に含まれる酸素含有アニオン84が位置している。第2複合体85の電荷は負である。
次に、工程(c)では、図3Cに示されるように、蓄冷材の過冷却状態において、第1温度下で、第2複合体85に含まれる酸素含有アニオン84に、少なくとも1種のアンモニウムカチオン86が引き寄せられて、水分子87と共に第1クラスレートハイドレート結晶88を形成する。
最後に、工程(d)では、図3Dに示されるように、蓄冷材の過冷却状態において、第2温度下で、第1クラスレートハイドレート結晶88を種結晶として用いて第2クラスレートハイドレート結晶91が形成される。
レートハイドレート結晶91は、カルボン酸アニオン83、少なくとも1種のアンモニウムカチオン86、および複数の水分子(参照符号:87)から構成されている。言うまでもないが、第2クラスレートハイドレート結晶91に含まれる水分子は、第1クラスレートハイドレート結晶88に含まれる水分子とは異なる。言い換えれば、第2クラスレートハイドレート結晶91に含まれる水分子は、第1クラスレートハイドレート結晶88に含まれず、かつ第1クラスレートハイドレート結晶88に含まれる水分子は、第2クラスレートハイドレート結晶91に含まれない。
以下、第1温度、第2温度、第1クラスレートハイドレート結晶88の融点、および第2クラスレートハイドレート結晶91の融点が説明される。
るときの温度である。
上記の通り、本実施形態による蓄冷剤においては、第1クラスレートハイドレート結晶88の融点(すなわち、凝固点)は、第2クラスレートハイドレート結晶91の融点(すなわち、凝固点)よりも高い。以下の表1~表4は、主要なクラスレートハイドレート結晶の融点を示す。
83)に対するモル比は0.5未満である。これは、本実施形態による蓄冷剤においては、カルボン酸アニオン(参照符号:83)の量が、酸素含有アニオン(参照符号:84)の量よりも多いことを意味する。したがって、先にカルボン酸アニオン(参照符号:83)が選択されることが望ましい。
スレートハイドレート結晶が適切に選択される。後述される実施例4を参照せよ。
以下、実施例を参照しながら、本発明がより詳細に説明される。
(TBA-2-EBの合成)
以下の化学式(I)により表されるテトラ-n-ブチルアンモニウム-2-エチルブタン酸(以下、「TBA-2-EB」という)が、以下のように合成された。
化学式CH3CO2Agにより表される酢酸銀が、富士フィルム和光純薬から購入された。
化学式CH3CO2Naにより表される酢酸銀が、富士フィルム和光純薬から購入された。
以下のようにして、実施例1による蓄冷材が調製された。まず、9785マイクロモルのTBA-2-EBを含有するTBA-2-EB水溶液に、酢酸銀(40マイクロモル)および酢酸ナトリウム(400マイクロモル)が添加され、混合物を得た。酢酸銀のようなカルボン酸銀は、親水性溶媒(例えば、水)および疎水性溶媒(例えば、油)の両者に不溶であるが、第4級アンモニウム塩水溶液には可溶であることに留意せよ。
示差走査熱量計を用いて、実施例1による蓄冷材の融点および潜熱量が以下のようにして測定された。まず、実施例1による蓄冷材(10ミリグラム)が、アルミニウム製の容器に投入された。次いで、容器は蓋を用いて密封された。
実施例1による蓄冷材の過冷却度ΔTが以下のように測定された。まず、実施例1による蓄冷材(10g)が、60ミリリットルの容量を有するガラス瓶に投入された。次に、ガラス瓶は蓋を用いて密閉された。
実施例2では、酢酸ナトリウムに代えて、化学式Na2WO4により表されるタングステン酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)が用いられたこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。
実施例3では、酢酸ナトリウムの添加量が800マイクロモルであったこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。
実施例4では、TBA-2-EBに代えて、テトラ-n-ブチルアンモニウム-ペンタン酸(以下、「TBA-P」という、11662マイクロモル)が用いられたこと、および水のモル数が333300マイクロモルであったこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。TBA-Pは、以下のように合成された。
以下の化学式(III)により表されるテトラ-n-ブチルアンモニウム-ペンタン酸(すなわち、TBA-P)が、以下のように合成された。
比較例1では、酢酸銀が用いられなかったこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。
比較例2では、酢酸ナトリウムに代えてn-ヘプタン酸が用いられたこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。
モニウムカチオンおよび化学式-OCOCH(CH2CH3)CH2CH3により表される2-エチルブタン酸アニオンを含むクラスレートハイドレート結晶の融点(摂氏10.0度、表1の32行目を参照)よりも低いことに留意せよ。
比較例3では、酢酸ナトリウムのモル数が400マイクロモルではなく107635マイクロモルであったこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。
比較例4では、TBA-2-EBに代えて、テトラ-n-ブチルアンモニウム-n-オクタン酸(以下、「TBA-n-O」という、10909マイクロモル)が用いられたこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。
以下の化学式(IV)により表されるテトラ-n-ブチルアンモニウム-オクタン酸(すなわち、TBA-n-O)が、以下のように合成された。
81 第1複合体
82 マクロカチオン82
83 カルボン酸アニオン
84 酸素含有アニオン
85 第2複合体
86 少なくとも1種のアンモニウムカチオン
87 水分子
88 第1クラスレートハイドレート結晶
89 第1ゲスト物質
90 第1ホスト物質
91 第2クラスレートハイドレート結晶
92 第2ゲスト物質
93 第2ホスト物質
Claims (12)
- 水性の蓄冷材であって、
テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオン、
2-エチルブタン酸アニオン、
酢酸アニオンまたはタングステン酸アニオン、
銀イオン、及び
水
を含有し、
蓄冷材が、摂氏3度以上の融点を有し、かつ
蓄冷材が、8ケルビン以下の過冷却度ΔTを有する、
蓄冷材。
- 水性の蓄冷材であって、
テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオン、
ペンタン酸アニオン、
酢酸アニオン、
銀イオン、及び
水
を含有し、
蓄冷材が、摂氏3度以上の融点を有し、かつ
蓄冷材が、8ケルビン以下の過冷却度ΔTを有する、
蓄冷材。
- 請求項1または2に記載の蓄冷材であって、
蓄冷材が、摂氏25度以下の融点を有する、
蓄冷材。
- 請求項1または2に記載の蓄冷材であって、
前記モル比は、0.1未満である、
蓄冷材。
- 請求項4に記載の蓄冷材であって、
前記モル比は、0.01未満である、
蓄冷材。
- 請求項1または2に記載の蓄冷材を具備する冷蔵庫。
- 請求項1または2に記載の蓄冷材を具備する保冷庫。
- テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオン、
2-エチルブタン酸アニオン、
酢酸アニオンまたはタングステン酸アニオン、
銀イオン、及び
水
を含有する
蓄冷材を結晶化させる方法であって、
(a) 前記蓄冷材を冷却して、金属銀コア粒子に酢酸銀が取り込まれた第1複合体を形成する工程、
ここで、
前記金属銀コア粒子は、複数の前記銀イオンに由来し、
前記第1複合体は、マクロカチオンおよび前記2-エチルブタン酸アニオンから構成され、かつ
前記マクロカチオンは、前記金属銀コア粒子と、前記酢酸銀に含まれる銀イオンとから構成され、
(b) 工程(a)の後にさらに前記蓄冷材を冷却して、前記マクロカチオンに前記酢酸アニオンまたは前記タングステン酸アニオンを引き寄せて、第2複合体を形成する工程、
ここで、
前記第2複合体は、前記マクロカチオン、前記2-エチルブタン酸アニオン、および前記酢酸アニオンまたは前記タングステン酸アニオンから構成され、
(c) 工程(b)の後に前記蓄冷材の冷却を続けて、前記蓄冷材の過冷却状態において、前記第2複合体に含まれる前記少なくとも1つの前記酢酸アニオンまたは前記タングステン酸アニオンに、前記テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオンを引き寄せて、第1温度で第1クラスレートハイドレート結晶を形成する工程、
ここで、
前記第1クラスレートハイドレート結晶は、前記酢酸アニオンまたは前記タングステン酸アニオン、前記テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオン、および前記水分子から構成されており、
前記第1クラスレートハイドレート結晶においては、前記酢酸アニオンまたは前記タングステン酸アニオンおよび前記テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオンから第1ゲスト物質が形成されており、
前記第1クラスレートハイドレート結晶においては、前記第1ゲスト物質の周囲に前記水分子が第1ホスト物質として配置されており、
前記第1クラスレートハイドレート結晶は、摂氏0度以上摂氏30度以下の融点を有し、かつ
第1温度は摂氏0度以上摂氏30度以下であり、
(d) 工程(c)の後に前記蓄冷材の冷却を続けて、前記蓄冷材の過冷却状態において前記第1クラスレートハイドレート結晶を種結晶として用いて、第2温度下で第2クラスレートハイドレート結晶を形成する工程、
ここで、
前記第2クラスレートハイドレート結晶は、前記2-エチルブタン酸アニオン、前記テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオン、および前記水分子から構成されており、
前記第2クラスレートハイドレート結晶においては、前記2-エチルブタン酸アニオンおよび前記テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオンから第2ゲスト物質が形成されており、
前記第2クラスレートハイドレート結晶においては、前記第2ゲスト物質の周囲に前記水分子が第2ホストとして配置されており、
前記第1クラスレートハイドレート結晶の構造は、前記第2クラスレートハイドレート結晶の構造に類似しており、
前記第2クラスレートハイドレート結晶は、摂氏0度以上摂氏30度以下の融点を有し、
前記第2温度は、摂氏0度以上摂氏30度以下であり、
前記第2クラスレートハイドレート結晶の融点は、前記第1クラスレートハイドレート結晶よりも低く、
第2温度は、第1温度よりも低く、
前記蓄冷剤において、前記酢酸アニオンまたは前記タングステン酸アニオンの前記2-エチルブタン酸アニオンに対するモル比は0.5未満であり、
前記第1クラスレートハイドレート結晶は、前記第2クラスレートハイドレート結晶に類似する結晶構造を有しており、
蓄冷材は、摂氏3度以上の融点を有し、かつ
蓄冷材の過冷却度ΔTは、8ケルビン以下である、
方法。
- テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオン、
ペンタン酸アニオン、
酢酸アニオン、
銀イオン、及び
水
を含有する蓄冷材を結晶化させる方法であって、
(a) 前記蓄冷材を冷却して、金属銀コア粒子に酢酸銀が取り込まれた第1複合体を形成する工程、
ここで、
前記金属銀コア粒子は、複数の前記銀イオンに由来し、
前記第1複合体は、マクロカチオンおよび前記ペンタン酸アニオンから構成され、かつ
前記マクロカチオンは、前記金属銀コア粒子と、前記酢酸銀に含まれる銀イオンとから構成され、
(b) 工程(a)の後にさらに前記蓄冷材を冷却して、前記マクロカチオンに前記酢酸アニオンを引き寄せて、第2複合体を形成する工程、
ここで、
前記第2複合体は、前記マクロカチオン、前記ペンタン酸アニオン、および前記酢酸アニオンから構成され、
(c) 工程(b)の後に前記蓄冷材の冷却を続けて、前記蓄冷材の過冷却状態において、前記第2複合体に含まれる前記少なくとも1つの前記酢酸アニオンに、前記テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオンを引き寄せて、第1温度で第1クラスレートハイドレート結晶を形成する工程、
ここで、
前記第1クラスレートハイドレート結晶は、前記酢酸アニオン、前記テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオン、および前記水分子から構成されており、
前記第1クラスレートハイドレート結晶においては、前記酢酸アニオンおよび前記テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオンから第1ゲスト物質が形成されており、
前記第1クラスレートハイドレート結晶においては、前記第1ゲスト物質の周囲に前記水分子が第1ホスト物質として配置されており、
前記第1クラスレートハイドレート結晶は、摂氏0度以上摂氏30度以下の融点を有し、かつ
第1温度は摂氏0度以上摂氏30度以下であり、
(d) 工程(c)の後に前記蓄冷材の冷却を続けて、前記蓄冷材の過冷却状態において前記第1クラスレートハイドレート結晶を種結晶として用いて、第2温度下で第2クラスレートハイドレート結晶を形成する工程、
ここで、
前記第2クラスレートハイドレート結晶は、前記ペンタン酸アニオン、前記テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオン、および水分子から構成されており、
前記第2クラスレートハイドレート結晶においては、前記ペンタン酸アニオンおよび前記テトラ-n-ブチルアンモニウムカチオンから第2ゲスト物質が形成されており、
前記第2クラスレートハイドレート結晶においては、前記第2ゲスト物質の周囲に前記水分子が第2ホストとして配置されており、
前記第1クラスレートハイドレート結晶の構造は、前記第2クラスレートハイドレート結晶の構造に類似しており、
前記第2クラスレートハイドレート結晶は、摂氏0度以上摂氏30度以下の融点を有し、
前記第2温度は、摂氏0度以上摂氏30度以下であり、
前記第2クラスレートハイドレート結晶の融点は、前記第1クラスレートハイドレート結晶よりも低く、
第2温度は、第1温度よりも低く、
前記蓄冷剤において、前記ペンタン酸アニオンに対するモル比は0.5未満であり、
前記第1クラスレートハイドレート結晶は、前記第2クラスレートハイドレート結晶に類似する結晶構造を有しており、
蓄冷材は、摂氏3度以上の融点を有し、かつ
蓄冷材の過冷却度ΔTは、8ケルビン以下である、
方法。
- 請求項8または9に記載の方法であって、
蓄冷材が、摂氏25度以下の融点を有する、
方法。
- 請求項8または9に記載の方法であって、
前記モル比は、0.1未満である、
方法。
- 請求項11に記載の方法であって、
前記モル比は、0.01未満である、
方法。
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