JP4100590B2 - 潜熱蓄熱材組成物及び蓄熱方法 - Google Patents

潜熱蓄熱材組成物及び蓄熱方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は床暖房やヒートポンプ式空調の暖房に好適な潜熱蓄熱材組成物及び該組成物を用いる蓄熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、チオ硫酸ナトリウム5水塩を主剤とする潜熱蓄熱材組成物の過冷却防止のために核形成効果を与える方法として、多くの方法が提案されており、従来技術として次のような特許、文献が挙げられる。
【0003】
特開昭50−90584号公報ではチオ硫酸ナトリウムの相律図を示してチオ硫酸ナトリウム5水塩の理論値より水含量を増加させることにより、過冷却を破れ易くする方法が提案されている。
【0004】
特開昭55−120686号公報および特開昭55−142077号公報には、四ホウ酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を配合する組成物が記載されている。
【0005】
特開昭55−142076号公報および特開昭59−115381号公報には、アルカリ土類金属の硫酸塩や水酸化物を配合する組成物が記載されている。
【0006】
特開昭53−6285号公報には、チオ硫酸カルシウム6水塩の熱分解生成物である亜硫酸カルシウム1/2水塩と硫黄の混合物が過冷却防止剤として有効であるとの記載がある。
【0007】
特開昭58−45499号公報、特開昭58−52995号公報にはナフトールやナフタリンを配合する組成物がそれぞれ記載されている。
【0008】
特開昭58−79079号公報、特開昭58−66799号公報および特開昭57−149379号公報には有機物および無機物を配合し、チオ硫酸ナトリウム5水塩の溶解度を変化させ、核形成性を向上する方法が記載されている。
【0009】
特開昭57−147578号公報には酒石酸ナトリウム2水塩を配合してなる潜熱蓄熱材組成物が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特開昭50−90584号公報の方法では、その組成物の核形成性ははなはだ弱く、記載されている範囲で核形成剤を配合しても、その核形成ははなはだ不確かである。
【0011】
特開昭55−120686号公報および特開昭55−142077号公報記載の方法では、そのチオ硫酸ナトリウム5水塩の酸化生成物のひとつである硫酸ナトリウム10水塩に対しては確実な核形成効果をもつものの、チオ硫酸ナトリウム5水塩自体に対しては非常に弱い効果しかもっていない。
【0012】
特開昭55−142076号公報および特開昭59−115381号公報記載の方法では、未だその組成物の核形成効果は十分とはいえない。
【0013】
特開昭53−6285号公報の方法では帯電した電荷による発核効果と説明されており、核形成効果を発揮するのは1回限りで、2回目以降は過冷却が発生してしまうとの報告が「電気化学」550頁、53巻、No.8(1985)においてされている。
【0014】
特開昭58−45499号公報、特開昭58−52995号公報の方法ではそのもの自体に昇華性があり、熱履歴により短期間のうちに核形成の機能が消失するなどの欠点があった。
【0015】
また、特開昭58−79079号公報、特開昭58−66799号公報、特開昭57−149379号公報および特開昭57−147578号公報の組成物では該組成物中に有機物および無機物を増量していくと、核形成効果はかなり向上するが、蓄熱温度が配合量に応じて低下していくという問題点がある。
【0016】
チオ硫酸ナトリウム5水塩を潜熱蓄熱材としての側面から論説した文献としては唯一、先にあげたものが存在する程度であり、チオ硫酸ナトリウム5水塩の包晶反応は未だ十分に解明されていないばかりか、人間が採暖するのに適当な蓄熱温度帯に蓄熱温度をもち、経済性に優れたチオ硫酸ナトリウム5水塩を利用した潜熱蓄熱材組成物は実用化されていないのが実状である。
【0017】
従って、本発明の目的は以上のような問題点を解消し、繰り返し使用しても過冷却防止能を失わず、蓄熱温度範囲も適正で経済性に優れた潜熱蓄熱材組成物及び蓄熱方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本第一発明の蓄熱材組成物は、チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たり、チオ硫酸ナトリウム2水塩を0.02〜18重量部の割合で含有することを特徴とするものである。
【0019】
また、本第二発明の蓄熱材組成物は、チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たり、チオ硫酸ナトリウム1/2水塩を0.1〜18重量部の割合で含有することを特徴とするものである。
【0020】
また、本第三発明の蓄熱材組成物は、チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たり、チオ硫酸ナトリウム2水塩を0.02〜18重量部、及び、チオ硫酸ナトリウム1/2水塩を0.1〜18重量部(但し、チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たりのチオ硫酸ナトリウム2水塩とチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の合計量は18重量部を超えない)の割合で含有することを特徴とするものである。
【0021】
さらに、本第四発明は、上記第一発明の潜熱蓄熱材組成物を使用して、チオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上65℃以下の温度範囲で蓄熱を行なうことを特徴とする蓄熱方法である。
【0022】
また、本第五発明は、上記第二発明の潜熱蓄熱材組成物を使用して、チオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上75℃以下の温度範囲で蓄熱を行なうことを特徴とする蓄熱方法である。
【0023】
また、本第六発明は、上記第三発明の潜熱蓄熱材組成物を使用して、チオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上60℃以下の温度範囲で蓄熱を行なうことを特徴とする蓄熱方法である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明の詳細について説明する。
本第一発明は、チオ硫酸ナトリウム5水塩にチオ硫酸ナトリウム2水塩を含有するものであり、チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たりチオ硫酸ナトリウム2を水塩を0.02〜18重量部、好ましくは0.15〜10重量部の範囲で含有する。
【0025】
チオ硫酸ナトリウム2水塩の含量が0.02重量部未満であると、潜熱蓄熱材としての使用温度範囲においてチオ硫酸ナトリウム5水塩に対して溶解しやすく、過冷却防止のための結晶核形成作用を十分発揮できない。また、18重量部を超えても結晶核形成作用に変化はなく、却って蓄熱材組成物としての潜熱蓄熱量が低下し、潜熱蓄熱材として実用的でない。
【0026】
次にチオ硫酸ナトリウム2水塩を簡便に調製する方法について説明する。
無水チオ硫酸ナトリウムと水、または無水チオ硫酸ナトリウムとチオ硫酸ナトリウム5水塩とを、いずれの場合でも全体としてチオ硫酸ナトリウム5/2水塩となる程度の割合で配合し、上部が開放された容器(ビーカーごときもの)に入れ、内部温度が70〜75℃となるように撹拌しながら加熱する。そのまま撹拌を続け、容器内部の塩がすべて融解したのち、50℃まで冷却して晶出したものを濾過することにより得られる。この操作により得られたものが若干のチオ硫酸ナトリウム5水塩を含むチオ硫酸ナトリウム2水塩である。チオ硫酸ナトリウム2水塩自体には潮解性や風解性は見られず、ハンドリングを容易にするための、粉砕機等での粒度調整は可能である。
【0027】
本第一発明の組成物を得るには、このようなチオ硫酸ナトリウム2水塩を上記の割合となるようチオ硫酸ナトリウム5水塩に配合すればよい。尚、上記のようにチオ硫酸ナトリウム2水塩を得る工程においては水分を当量よりやや多めに配合して製造するのでチオ硫酸ナトリウム5水塩が若干含有されることから、この分を勘案して配合することは言うまでもない。
【0028】
また、水分の量を増やして過剰にチオ硫酸ナトリウム5水塩が含有されるようにすることもでき、この場合、チオ硫酸ナトリウム5水塩とチオ硫酸ナトリウム2水塩の割合を上記の通りとなるように調整すれば1工程で本願第一発明の組成物を得ることもできる。
【0029】
本第二発明は、チオ硫酸ナトリウム5水塩にチオ硫酸ナトリウム1/2水塩を配合するものであり、チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たりチオ硫酸ナトリウム1/2水塩を0.1〜18重量部、好ましくは0.14〜9重量部の範囲で含有する。
【0030】
チオ硫酸ナトリウム1/2水塩の含量が0.02重量部未満であると、潜熱蓄熱材としての使用温度範囲においてチオ硫酸ナトリウム5水塩に対して溶解しやすく、過冷却防止のための結晶核形成作用を十分発揮できない。また、18重量部を超えても結晶核形成作用に変化はなく、却って組成物としての潜熱蓄熱量が低下し、潜熱蓄熱材として実用的でない。
【0031】
次に、チオ硫酸ナトリウム1/2水塩を簡便に調製する方法について説明する。
無水チオ硫酸ナトリウムと水、または無水チオ硫酸ナトリウムとチオ硫酸ナトリウム5水塩とを、いずれの場合でも全体としてチオ硫酸ナトリウム2水塩となる程度に配合し、上部が開放された容器(ビーカーごときもの)に入れる。内部温度が83〜88℃となるように撹拌しながら加熱する。そのまま撹拌を続けると、容器内部の水分が揮散してスラリー状になる。この操作により得られたものが若干のチオ硫酸ナトリウム2水塩を含むチオ硫酸ナトリウム1/2水塩である。チオ硫酸ナトリウム1/2水塩自体には潮解性や風解性は見られず、このままでも核形成剤としての機能は十分に持っているが、粒度調整等ハンドリングを容易にする目的で、さらに加熱時間を延長するなどして風乾させ、チオ硫酸ナトリウム1/2水塩の純度をあげてもよい。
【0032】
尚、前記チオ硫酸ナトリウム2水塩の場合と異なり、水分を1/2水塩となる量(当量)よりやや多めにした程度では水分量が少な過ぎて十分な攪拌を行なえないので、過剰な水分を使用した後水分を揮散するのがよい。
【0033】
本第二発明の組成物を得るにはこのようなチオ硫酸ナトリウム1/2水塩を上記の割合となるようチオ硫酸ナトリウム5水塩に配合すればよい。
尚、上述のようにチオ硫酸ナトリウム2水塩を含むチオ硫酸ナトリウム1/2水塩を使用すると、本来のチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の融点未満の温度での溶解度が増し熱履歴により核形成能が低下しやすくなるので、精製したチオ硫酸ナトリウム1/2水塩を使用することが好ましいが、例えば蓄放熱を65℃以下で行なう等すれば、チオ硫酸ナトリウム2水塩がチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の25%未満であれば潜熱蓄熱材組成物として実用上は支障無い。
【0034】
本第一発明あるいは本第二発明において、潜熱蓄熱材組成物に水を添加すると更に核形成性が向上するので好ましいが、チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たり水が7重量部を超えると潜熱蓄熱材としての諸性質の低下を来たすので、7重量部以下の範囲で添加することがよく、より好ましくはチオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たり1〜7重量部とする。
【0035】
本第三発明は、チオ硫酸ナトリウム5水塩にチオ硫酸ナトリウム2水塩及びチオ硫酸ナトリウム1/2水塩を配合するものであり、チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たり、チオ硫酸ナトリウム2水塩を0.02〜18重量部、及び、チオ硫酸ナトリウム1/2水塩を0.1〜18重量部(但し、チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たりのチオ硫酸ナトリウム2水塩とチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の合計量は18重量部を超えない)の割合で、好ましくはチオ硫酸ナトリウム2水塩を0.15〜10重量部、及び、チオ硫酸ナトリウム1/2水塩を0.14〜9重量部(但し、チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たりのチオ硫酸ナトリウム2水塩とチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の合計量は10重量部を超えない)の割合で含有する。
【0036】
チオ硫酸ナトリウム2水塩及びチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の含量が夫々0.02及び0.1重量部未満であると、潜熱蓄熱材としての使用温度範囲においてチオ硫酸ナトリウム5水塩に対して溶解しやすく、過冷却防止のための結晶核形成作用を十分発揮できない。また、夫々18重量部を超えても結晶核形成作用に変化はないが、却って組成物としての潜熱蓄熱量が低下し、潜熱蓄熱材として実用的でない。
【0037】
チオ硫酸ナトリウム2水塩及びチオ硫酸ナトリウム1/2水塩を簡便に調製する方法については上述の通りである。
【0038】
本第三発明の組成物を得るにはこのようなチオ硫酸ナトリウム2水塩及びチオ硫酸ナトリウム1/2水塩を上記の割合となるようチオ硫酸ナトリウム5水塩に配合すればよい。
【0039】
尚、上述のようにチオ硫酸ナトリウム2水塩とチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の混合物を使用すると、本来のチオ硫酸ナトリウム2水塩あるいはチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の融点未満の温度での溶解度が増し熱履歴により核形成能が低下しやすくなるが、例えば蓄放熱を60℃以下で行なう等すれば、潜熱蓄熱材組成物として実用上は支障無い。
【0040】
本第一〜第三発明においては、このほかに、チオ硫酸ナトリウムの抗酸化剤として知られているヨウ化水銀、アミルアルコール、クロロホルム、ホウ砂、安息香酸ナトリウム等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で所望により適量添加して酸化を防止することも可能である。
また、そのほかに本第一〜第三発明においては、公知の核形成剤(過冷却防止剤)、相分離防止剤、界面活性剤等の熱量安定化剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で所望により適量配合することも可能である。
【0041】
次に、本第四〜第六発明について説明する。
先ず、蓄熱についてのこれまでの考え方について説明する。本来、水和反応を利用する潜熱蓄熱材組成物にあっては、その蓄熱基材の低次塩を配合することは避けるべき事項である。なぜならば、固相と液相を往復する水和反応は塩の周囲に介在する水分子の配位状態が水和反応の過程で変化するとされ、配合された低次塩は熱履歴によって、いずれ、より安定な水和塩(例えば最高次の水和塩と無水塩)に変化すると考えるのが、一般的であるからである。
【0042】
チオ硫酸ナトリウム2水塩、チオ硫酸ナトリウム1/2水塩においても多分にその傾向が見られるが、本第四〜第六発明においては、チオ硫酸ナトリウム5水塩に対するチオ硫酸ナトリウム2水塩及び/またはチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の溶解量を微量にしている点に特徴がある。
【0043】
即ち、本第四〜第六発明においてチオ硫酸ナトリウム2水塩および/またはチオ硫酸ナトリウム1/2水塩は、蓄熱時にチオ硫酸ナトリウム5水塩に溶解するがその量はごく微量であって、長期の熱履歴により溶解した分のチオ硫酸ナトリウム2水塩および/またはチオ硫酸ナトリウム1/2水塩はより安定な無水塩と5水塩に分離する傾向にあるが、使用されたチオ硫酸ナトリウム2水塩および/またはチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の大部分は未溶解のまま該組成物中に存在し続けるので、長期の熱履歴によっても核形成能が低下しないものである。
【0044】
本第四発明は、上記第一発明の潜熱蓄熱材組成物を使用して、チオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上65℃以下の温度範囲で蓄熱を行なうものである。その理由を図1に基づいて説明する。
【0045】
図1は、チオ硫酸ナトリウム5水塩に対するチオ硫酸ナトリウム2水塩の溶解度の曲線であり、縦軸はチオ硫酸ナトリウム2水塩の溶解度、横軸は組成物の温度である。
【0046】
蓄熱材としての主剤はチオ硫酸ナトリウム5水塩であるので、蓄熱はチオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上で行なえばよいが、図1から明らかな如く、65℃を超えるとチオ硫酸ナトリウム2水塩のチオ硫酸ナトリウム5水塩に対する溶解度が急激に増し、長期の熱履歴によって組成物中のチオ硫酸ナトリウム2水塩が減少して核形成能が低下する。
【0047】
本第五発明は、上記第二発明の潜熱蓄熱材組成物を使用して、チオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上75℃以下の温度範囲で蓄熱を行なうものである。その理由についても、前記第四発明の場合と同様であり、図2に基づいて説明することができる。
【0048】
図2は、チオ硫酸ナトリウム5水塩に対するチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の溶解度の曲線であるが、第五発明は、蓄熱材としての主剤はチオ硫酸ナトリウム5水塩であるので、蓄熱はチオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上で行なえばよいが、図2から明らかな如く、75℃を超えるとチオ硫酸ナトリウム1/2水塩のチオ硫酸ナトリウム5水塩に対する溶解度が急激に増し、長期の熱履歴によって組成物中のチオ硫酸ナトリウム1/2水塩が減少して核形成能が低下する。
【0049】
尚、上述のようにチオ硫酸ナトリウム1/2水塩は若干のチオ硫酸ナトリウム2水塩を含有するものとして使用される場合があり、この場合75℃未満であってもややチオ硫酸ナトリウム5水塩に対する溶解度が上昇する傾向にあるので、本第五発明においては、好ましくは65℃以下で蓄熱を行なうのがよい。
【0050】
本第六発明は、上記第三発明の潜熱蓄熱材組成物を使用して、チオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上60℃以下の温度範囲で蓄熱を行なう蓄放熱方法である。
【0051】
蓄熱材としての主剤はチオ硫酸ナトリウム5水塩であるので、蓄熱はチオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上で行なえばよいが、60℃を超えるとチオ硫酸ナトリウム2水塩及びチオ硫酸ナトリウム1/2水塩のチオ硫酸ナトリウム5水塩に対する溶解度が急激に増し、長期の熱履歴によって組成物中のチオ硫酸ナトリウム2水塩及びチオ硫酸ナトリウム1/2水塩が減少して核形成能が低下する。よって、60℃以下で蓄熱を行なう。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の各表で示す配合処方の単位はすべて重量部である。
【0053】
実施例1〜27、比較例1〜14
本実施例に用いた諸試料は、以下に示す試料を用いて各表に示す配合処方にて各試験用の潜熱蓄熱材組成物を調製した。
試料1:チオ硫酸ナトリウム5水塩
試料2:チオ硫酸ナトリウム2水塩
試料3:チオ硫酸ナトリウム1/2水塩
試料4:水
試料5:四ホウ酸ナトリウム10水塩
試料6:水酸化マグネシウム6水塩
試料7:亜硫酸ナトリウム1/2水塩
試料8:ナフタリン
試料9:食塩
試料10:エチルアルコール
試料11:p−オキシ安息香酸
【0054】
〔潜熱蓄熱材組成物の蓄熱温度測定試験〕
蓄熱温度の測定にはJIS K 0065化学製品の凝固温度測定法を用い、潜熱蓄熱材(2サンプル)の表面より1.5cmの深さの蓄熱材組成物内部温度を測定した。
【0055】
〔潜熱蓄熱材組成物の蓄熱量測定試験〕
潜熱蓄熱材の潜熱蓄熱量は以下のように定義し、測定した。
基本的には物理実験などで比熱の測定に用いる「混合法」を使用することにした。原理的には、容器に封入された潜熱蓄熱材組成物を一定の温度に融解・蓄熱する。その後、そのサンプルを室温付近の温度に調整された水を入れた断熱水槽に入れ、水に十分に凝固放熱させる。水に十分に伝熱させると水槽内部の水温は上昇するので、その上昇温度量と水の比熱と水の重量の積を蓄熱材組成物が放熱した潜熱蓄熱量と定義するものである。
【0056】
具体的には、以下のとおりである。
ナイロン−ポリエチレンフィルム(厚さ30μm)製の120mm×90mmの大きさの袋を作成した。その中に各蓄熱材組成物を80g入れ、重量を測定した。これを53±0.5℃の恒温水槽中に2時間置き蓄熱した。
【0057】
冷水1500g(4±1℃)を秤取った3リットル容量のジュワー瓶に上記蓄熱後の試料を投入し、ジュワー瓶内部の冷水の温度変化を1/100℃精度の温度計にて測定記録し、20分間以上同一温度が続いた時点を測定の終点とした。潜熱蓄熱量を求める計算式は以下のとおりとした。
Figure 0004100590
Q:潜熱蓄熱量(cal/g)
S:蓄熱材組成物重量(g)
W:ジュワー瓶内部の水重量(g)
W’:水当量
Cpl:蓄熱材組成物の液体比熱(cal/g・℃)
Cps:蓄熱材組成物の固体比熱(cal/g・℃)
T0:蓄熱材組成物の初期温度(53±0.5℃)
T1:ジュワー瓶内部の初期水温(4±1℃)
T2:ジュワー瓶内部の最終水温(℃)
T3:蓄熱材組成物の蓄熱温度(℃)
【0058】
[潜熱蓄熱材組成物の熱履歴試験(核形成性試験)]
蓄熱量測定試験と同様のナイロン−ポリエチレンフィルム製袋に封入された潜熱蓄熱材組成物を10個用意した。60℃で4時間の蓄熱後、20℃で4時間の放熱を1サイクルとするプログラム運転が可能なチャンバー型恒温槽に上記各10サンプルを入れ、30サイクルを潜熱蓄熱材に付与した。1サイクル目後および30サイクル目後に何個のサンプルが放熱凝固しているか目視にて観察した。
得られた結果を下記の表1〜7に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0004100590
【0060】
【表2】
Figure 0004100590
【0061】
【表3】
Figure 0004100590
【0062】
【表4】
Figure 0004100590
【0063】
【表5】
Figure 0004100590
【0064】
【表6】
Figure 0004100590
【0065】
【表7】
Figure 0004100590
【0066】
【発明の効果】
本発明の効果は、人間が採暖するのに適当な蓄熱温度帯に蓄熱温度をもち、経済性に優れたチオ硫酸ナトリウム5水塩を利用し、長期の熱履歴を経ても実用上支障の無い潜熱蓄熱材組成物及び蓄熱方法を提供したことにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】チオ硫酸ナトリウム5水塩に対するチオ硫酸ナトリウム2水塩の溶解度曲線である。
【図2】チオ硫酸ナトリウム5水塩に対するチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の溶解度曲線である。

Claims (6)

  1. チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たり、チオ硫酸ナトリウム2水塩を0.02〜18重量部の割合で含有することを特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  2. チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たり、チオ硫酸ナトリウム1/2水塩を0.1〜18重量部の割合で含有することを特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  3. チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たり、チオ硫酸ナトリウム2水塩を0.02〜18重量部、及び、チオ硫酸ナトリウム1/2水塩を0.1〜18重量部(但し、チオ硫酸ナトリウム5水塩100重量部当たりのチオ硫酸ナトリウム2水塩とチオ硫酸ナトリウム1/2水塩の合計量は18重量部を超えない)の割合で含有することを特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  4. 上記請求項1に記載の潜熱蓄熱材組成物を使用して、チオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上65℃以下の温度範囲で蓄熱を行なうことを特徴とする蓄熱方法。
  5. 上記請求項2に記載の潜熱蓄熱材組成物を使用して、チオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上75℃以下の温度範囲で蓄熱を行なうことを特徴とする蓄熱方法。
  6. 上記請求項3に記載の潜熱蓄熱材組成物を使用して、チオ硫酸ナトリウム5水塩の融解する温度以上60℃以下の温度範囲で蓄熱を行なうことを特徴とする蓄熱方法。
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