JP6744802B2 - 転舵制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを操作対象とする転舵制御装置に関する。
たとえば特許文献1には、電動パワーステアリング装置(転舵アクチュエータ)のギア部(転舵機構の潤滑対象部分)の温度が低い場合、グリースの粘性が高まることに起因してギアプレロードが増加することに鑑み、ギア部の温度が高い場合よりもアシストトルクを大きくする技術が記載されている。また、特許文献1には、ギア温度を直接的に検出するセンサ等を設けることについて記載されている(段落「0013」)。
特開2009−1279号公報
ところで、転舵機構の潤滑対象部分の温度を直接的に検出する温度センサを設けることは、潤滑対象部分の大型化を招く等不都合がある。これに対し、潤滑対象部分の温度を直接的に検出する代わりに、潤滑対象部分に極力近づけて温度センサを配置する場合、温度センサ付近の部材が転舵アクチュエータの通電に伴う発熱によって熱を受け、温度センサによって検出される温度が、潤滑対象部分の温度からずれるおそれがあることが発明者によって見出された。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、温度センサの検出値が通電に伴う転舵アクチュエータの発熱の影響を受ける場合であっても転舵機構の潤滑対象部分の温度を高精度に推定できるようにした転舵制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.転舵制御装置は、転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを操作対象とし、前記転舵アクチュエータは、モータと、該モータの回転軸に機械的に連結された転舵機構と、を備え、前記転舵機構の潤滑対象部分の温度の推定値が低い場合に高い場合に対して、前記モータのトルクを変更する低温時処理と、前記転舵機構に取り付けられている所定の部材の温度を検出する温度センサの検出値を入力とし、通電に伴う前記転舵アクチュエータの発熱量に基づき前記検出値よりも低温の値とした前記推定値を算出する推定処理と、を実行する。
上記構成では、温度センサの検出値は、転舵アクチュエータの発熱によって潤滑対象部分の温度よりも高くなるおそれがある。このため、転舵アクチュエータの発熱量に基づき、潤滑対象部分の温度の推定値を温度センサの検出値よりも低い値に算出する。これにより、温度センサの検出値が転舵アクチュエータの発熱の影響を受ける場合であっても転舵機構の潤滑対象部分の温度を高精度に推定できる。
2.上記1記載の転舵制御装置において、前記温度センサは、(a)前記モータに電圧を印加する電圧印加回路、および前記モータの少なくとも1つを収容する筐体に収容されている旨の条件、(b)前記所定の部材を当該転舵制御装置とする旨の条件、および(c)前記モータおよび前記温度センサ間の距離と前記電圧印加回路および前記温度センサ間の距離とのうちの短い方が前記潤滑対象部分および前記温度センサ間の距離よりも短い旨の条件、の3つの条件のうちの少なくとも1つの条件を満たす。
転舵制御装置は、電圧印加回路を操作するものであるため、電圧印加回路の熱を受けやすい位置に配置される傾向がある。したがって、上記構成では、温度センサが、上記(a)〜(c)のうちの少なくとも1つの条件を満たすため、それらの発熱の影響を受けやすい。このため、転舵アクチュエータの発熱量に基づき潤滑対象部分の温度の推定値を温度センサの検出値よりも低温の値に算出する処理が特に有効である。
3.上記2記載の転舵制御装置において、前記推定処理は、前記モータを流れる電流および前記モータのトルクのいずれかである発熱パラメータを入力とし、駆動補正量を、前記転舵アクチュエータの発熱量が大きい場合に小さい場合よりも大きい値となるように算出する駆動補正量算出処理を含み、前記推定値が前記検出値を下回る量を、前記駆動補正量に基づき設定しつつ前記推定値を算出する処理である。
転舵アクチュエータの発熱による熱は、温度センサ付近のみならず、潤滑対象部分にも伝導しうる。しかし、熱が拡散するものであることや潤滑対象部分の熱容量が大きいことなどに起因して、温度センサ付近の温度の上昇量と比較して、潤滑対象部分の温度の上昇量の方が小さくなる。そして、温度センサ付近の温度の上昇量が潤滑対象部分の温度の上昇量を上回る量は、発熱量が大きく温度センサ付近の温度上昇量が大きいほど大きくなる傾向がある。このため、発熱量が大きい場合に小さい場合よりも大きい値となる駆動補正量に基づき、潤滑対象部分の温度の推定値が温度センサの検出値を下回る量を設定することにより、推定値を高精度に算出することができる。
4.上記3記載の転舵制御装置において、前記推定処理は、前記推定値を、前記検出値から前記駆動補正量を減算した減算値をローパスフィルタ処理した値、および前記検出値をローパスフィルタ処理した値から前記駆動補正量をローパスフィルタ処理した値を減算した値のいずれか以下の値に算出する処理である。
転舵アクチュエータの発熱に対し、この発熱による潤滑対象部分の温度の上昇には遅れが生じ、この遅れは、温度センサ付近の温度上昇の遅れよりも大きくなる傾向がある。このため、発熱に伴って検出値から駆動補正量を減算した減算値が上昇する場合、減算値は、潤滑対象部分の実際の温度よりも早期に上昇する傾向がある。そこで、上記構成では、ローパスフィルタ処理を利用することにより、推定値に、潤滑対象部分の温度上昇の上記遅れを反映させる。
5.上記3または4記載の転舵制御装置において、当該転舵制御装置がオフ状態となることに起因して前記推定処理が停止される場合、停止される前における前記推定値を記憶部に記憶保持させる記憶処理を実行し、前記推定処理は、当該転舵制御装置の起動に伴う前記推定処理の再開時における前記検出値が前記記憶処理によって記憶保持された前記推定値を上回る場合、上回らない場合よりも前記推定値が前記検出値を下回る量を大きくする残存熱補正処理を含む。
たとえば転舵アクチュエータの発熱量が大きくなった直後に転舵制御装置をオフ状態とし、その後、転舵制御装置が起動されるまでの時間が短い場合には、温度センサ付近の温度は、潤滑対象部分の温度よりも過度に高い値となりうる。そしてその場合、温度センサの検出値に基づき推定値を算出したのでは、推定値が潤滑対象部分の実際の温度よりも高温とされるおそれがある。そこで上記構成では、残存熱補正処理を実行することにより、推定値が潤滑対象部分の実際の温度よりも高温とされることを抑制する。
6.上記5記載の転舵制御装置において、前記残存熱補正処理は、残存熱補正量を、前記推定処理の再開時における前記検出値から前記記憶処理によって記憶保持された前記推定値を減算した値をローパスフィルタ処理した値として算出する残存熱補正量算出処理を含み、前記推定値が前記検出値を下回る量を、前記残存熱補正量に基づき設定する処理である。
たとえば転舵アクチュエータの発熱量が大きくなった直後に転舵制御装置をオフ状態とし、その後、転舵制御装置が起動されるまでの時間が短い場合には、温度センサ付近の温度は、推定処理の停止時における推定値と比較しても高い状態となりうる。このため、上記構成では、検出値が潤滑対象部分の温度を上回る量を、検出値から記憶処理によって記憶保持された推定値を減算した値として把握する。
また、推定処理の停止から再開までの時間が短いために転舵アクチュエータの駆動時の発熱(残存熱)の影響によって温度センサ付近の温度が再開時に潤滑対象部分の温度よりも高い場合には、残存熱の影響は、時の経過とともに減衰する。したがって、残存熱補正量に基づき推定値が検出値を下回る量を定める上では、残存熱補正量を、時の経過とともに減衰させることが望ましい。上記構成では、ローパスフィルタ処理を用いることで、この減衰を表現する。
7.上記5または6記載の転舵制御装置において、外気温を取得する外気温取得処理と、前記再開時において、前記検出値から前記外気温取得処理によって取得された外気温を減算した値が所定値よりも大きいことを条件に、前記残存熱補正処理を実行すると決定し、前記減算した値が前記所定値以下の場合、前記残存熱補正処理を実行しないと決定する決定処理と、を実行する。
転舵アクチュエータが駆動されない状態が継続する場合、温度センサ近傍の温度は、外部の雰囲気温度へと収束していく。このため、温度センサの検出値と外気温との差が大きい場合には、転舵アクチュエータが駆動されない状態となってからの経過時間が短いと考えられる。上記構成では、このため、再開時の検出値と外気温との差に基づき、残存熱補正処理を実行するか否かを決定する。
8.上記3〜5のいずれか1つに記載の転舵制御装置において、前記推定処理は、当該転舵制御装置が前記電圧印加回路の周期的なスイッチング素子のオン・オフ操作を開始してからの経過時間を入力とし、所定の上限値以下の量であって且つ前記経過時間が規定時間以上となることで前記上限値に固定される起動補正量を算出する起動補正量算出処理を含み、前記推定値が前記検出値を下回る量を、前記起動補正量および前記駆動補正量に基づき設定しつつ前記推定値を算出する処理である。
電圧印加回路のスイッチング素子を周期的にオン・オフ操作してモータのトルクをゼロに制御する場合、モータに電流が流れなくても、スイッチング素子のオン・オフ操作によって発熱が生じる。そして、この発熱によって検出値が上昇する割りには、潤滑対象部分の温度が上昇しない傾向がある。そこで上記構成では、スイッチング素子のオン・オフ操作に起因した温度センサ近傍の温度上昇量と潤滑対象部分の温度上昇量との差を、起動補正量に基づき表現する。ここで、上記構成の場合、駆動補正量を別に設けているため、起動補正量は、モータの駆動に起因した発熱は含めず、スイッチング素子のオン・オフ操作に起因した発熱による温度上昇を表現するものとする。スイッチング素子のオン・オフ操作に起因した発熱量は、大きく変動しないため、これによる温度上昇量の変動は小さいと見なせる。このため、上記構成では、起動補正量を時間が経過することにより上限値に固定される値とする。
9.上記2〜8のいずれか1項に記載の転舵制御装置において、前記転舵機構は、ラック軸を備え、前記ラック軸の一部は、前記潤滑対象部分であり、前記ラック軸と前記温度センサとが、車体によって区画される同一の空間内に収容されている。
第1の実施形態にかかる転舵制御装置を備える転舵システムを示す図。 同実施形態にかかる制御基板および駆動基板を示す図。 同実施形態にかかる操作信号の生成処理の一部を示すブロック図。 同実施形態にかかる駆動補正量算出処理部の処理の手順を示す流れ図。 第2の実施形態にかかる操作信号の生成処理の一部を示すブロック図。 第3の実施形態にかかる操作信号の生成処理の一部を示すブロック図。 同実施形態にかかる残存熱補正量算出処理部の処理の手順を示す流れ図。 第4の実施形態にかかる操作信号の生成処理の一部を示すブロック図。 同実施形態にかかる起動補正量算出処理部の処理の手順を示す流れ図。 第5の実施形態にかかる操作信号の生成処理の一部を示すブロック図。
<第1の実施形態>
以下、転舵制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかる転舵制御装置を備える電動パワーステアリングシステムを示す。図1に示すステアリングホイール(ステアリング10)は、コラム軸14、中間軸16およびピニオン軸18を備えるステアリングシャフト12に連結されている。ピニオン軸18は、ラック軸22と所定の交叉角をもって配置され、ラック軸22とともにラックアンドピニオン機構24を構成している。ラックアンドピニオン機構24において、ラック軸22に形成された第1ラック歯22aとピニオン軸18に形成されたピニオン歯18aとが噛合されている。なお、ラック軸22は、ラックハウジング20に支持されており、また、ラック軸22の両端には、タイロッドを介して転舵輪19が連結されている。
ラック軸22には、第1ラック歯22aの形成部分とは異なる部分に、第2ラック歯22bが形成されており、第2ラック歯22bが形成されている部分の一部は、ボールねじ機構26に挿入されている。ボールねじ機構26は、ハウジング(ボールねじナット)と、ボールねじナットのねじ溝および第2ラック歯22b間に設けられるボールとを備えている。ボールねじナットは、タイミングベルト28によってプーリ30とともに回転可能となっている。プーリ30には、モータユニット40に収容されているモータ42の回転軸42aが連結されている。モータ42の回転軸42aが回転することにより、プーリ30が回転し、これに伴いタイミングベルト28によってボールねじ機構26のボールねじナットが回転する。これにより、ラック軸22がその軸方向に沿って直線変位する。なお、本実施形態では、モータ42として、表面磁石同期電動機(SPMSM)を想定している。
モータユニット40は、モータ42に加えて、モータ42に交流電圧を印加するインバータが形成された駆動基板44と、インバータを操作する転舵制御装置を構成する制御基板46とを備える。モータユニット40は、1つの筐体内(ハウジング40a内)に、モータ42、駆動基板44および制御基板46が収容されたものである。モータユニット40は、ラックハウジング20のうち、ラック軸22およびボールねじ機構26の近くに取り付けられている。
図2に、駆動基板44および制御基板46の構成を示す。
図2に示すように、駆動基板44には、インバータINVが実装されている。インバータINVは、直流電圧源(バッテリ50)の正極を、モータ42の端子に接続するスイッチング素子Sup,Svp,Swpと、バッテリ50の負極をモータ42の端子に接続するスイッチング素子Sun,Svn,Swnと、を備えている。なお、以下では、インバータINVのU相、V相およびW相を示す「u,v,w」を総括して記載する場合「¥」を用い、上側アームおよび下側アームを示す「p,n」を総括して記載する場合、「#」を用いる。すなわち、インバータINVは、上側アームのスイッチング素子S¥pおよび下側アームのスイッチング素子S¥nの直列接続体を、3組備えている。
制御基板46には、インバータINVの各スイッチング素子S¥#の操作信号g¥#を生成する中央処理装置(CPU62)や、メモリ64、CPU62によって生成された操作信号g¥#の電圧値を変換してインバータINVに出力するドライバ66、制御基板46の温度を検出するサーミスタ68が実装されている。制御基板46および制御基板46に実装された部品は、転舵制御装置(ECU60)を構成する。
駆動基板44には、インバータINVの出力線電流(実電流i¥)を検出する電流センサ69が設けられており、電流センサ69によって検出される実電流i¥は、ECU60に取り込まれる。
ECU60には、図1に示すように、ステアリング10に入力されたトルク(操舵トルクTrqs)を検出するトルクセンサ52の出力値が入力される。また、ECU60は、通信線Lnを介して、転舵アクチュエータPSAが搭載されている車両内の他ECU54と通信可能となっている。なお、他ECU54は、外気温センサ56によって検出される外気温TOを取り込む。
本実施形態において、ラックアンドピニオン機構24、ボールねじ機構26、タイミングベルト28、プーリ30、モータ42、およびインバータINVは、転舵アクチュエータPSAを構成する。特に、ラックアンドピニオン機構24、ボールねじ機構26は、モータ42やステアリング10に入力される操舵トルクTrqsを駆動源とし、転舵輪19を転舵させるように動作する転舵機構に相当する。そして、転舵アクチュエータPSAや、ECU60等は、車体によって区画される空間のうち、座席を含む空間である車室とは別の1つの空間を形成する転舵系収容室RM内に収容されている。これにより、サーミスタ68は、転舵アクチュエータPSAが収容される車体空間と同一の車体空間に収容されていることとなる。そして、本実施形態では、転舵系収容室RMには、車両を走行させるための駆動輪の回転動力を生成する車載原動機58と、車載原動機58等の冷却系59とが収容されている。なお、車載原動機58がエンジンである場合、転舵系収容室RMは、いわゆるエンジンコンパートメントである。
図3に、ECU60内のメモリ64に記憶されたプログラムに従ってCPU62が実行する処理の一部を示す。
アシストトルク設定処理部M10は、操舵トルクTrqsに基づき、ステアリング10の操作をアシストするアシストトルクTrqaを設定する。詳しくは、アシストトルク設定処理部M10は、操舵トルクTrqsの絶対値が大きい場合に小さい場合よりもアシストトルクTrqaの絶対値を大きい値に設定する。
低温補正量算出処理部M12は、ラックアンドピニオン機構24およびボールねじ機構26を備える転舵機構の潤滑対象部分の温度が低い場合に、アシストトルクTrqaの大きさ(絶対値)を増加補正するための低温補正量ΔTrqを算出する。低温補正量ΔTrqは、トルクの次元を有する。ここで、潤滑対象部分とは、第2ラック歯22bおよびこれに接触し得るボールねじ機構26の部分等である。これら潤滑対象部分には、潤滑のためにグリースが塗布されている。このグリースは、所定の低温度(たとえばゼロ度以下)となることにより、粘性が顕著に大きくなる。このため、潤滑対象部分の抵抗の増加に起因していわゆるギアプレロードが大きくなり、ひいては、転舵輪19を所定に転舵させるうえで必要なモータ42のトルクや操舵トルクTrqsが、高温時と比較して大きくなる。このため、運転中にステアリング10の操作をアシストするアシストトルクが不足する状態となるのを抑制すべく、潤滑対象部分の温度が低温処理実行温度以下の場合、低温補正量ΔTrqを算出する。ここで、低温処理実行温度は、たとえばゼロ度以下の値に設定される。なお、低温補正量ΔTrqは、アシストトルクTrqaの不足を補うものであるため、操舵トルクTrqsがゼロである場合にはゼロとされる。低温補正量算出処理部M12では、操舵トルクTrqsを入力とし、低温補正量ΔTrqをゼロとすべきか否かの判定処理や、低温補正量ΔTrqの符号を定める処理を実行する。
トルク補正処理部M14は、アシストトルクTrqaに低温補正量ΔTrqを加算することにより、アシストトルクTrqaを補正し、トルク指令値Trq*として出力する。なお、低温補正量ΔTrqが出力されない場合、トルク補正処理部M14は、アシストトルクTrqaをトルク指令値Trq*とする。
操作信号生成処理部M16は、トルク指令値Trq*を入力とし、モータ42のトルクをトルク指令値Trq*とするためのインバータINVの操作信号g¥#を生成して出力する。ここでは、最小電流最大トルク制御を実現すべく、d軸の電流指令値id*をゼロとしつつ、q軸の電流指令値iq*をトルク指令値Trq*に応じて設定し、dq軸の実電流id,iqを電流指令値id*,iq*に制御するための操作信号g¥#を生成し、ドライバ66を介してインバータINVに出力する。詳しくは、実電流id,iqを電流指令値id*,iq*にフィードバック制御するための操作量として、インバータINVの出力線電圧の指令値(電圧指令値vu*,vv*,vw*)を算出する。そして、インバータINVの出力線電圧が電圧指令値vu*,vv*,vw*となるように、スイッチング素子S¥pおよびスイッチング素子S¥nを交互に1度ずつオンとする周期Tcに対するスイッチング素子S¥pをオンとする期間Tonの時比率Dを設定する。操作信号g¥#は、時比率Dに応じてスイッチング素子S¥#をオン・オフ操作する信号である。なお、実電流id,iqは、電流センサ69によって検出された実電流i¥が、dq変換処理部M18によってdq軸上の電流に変換されたものとする。
上記低温補正量算出処理部M12は、推定処理部M20が出力する潤滑対象部分の温度の推定値Tgeを入力とし、推定値Tgeに基づき低温補正量ΔTrqを算出する。次に、推定処理部M20の処理について説明する。
推定処理部M20は、制御基板46の温度の検出値Tbcに基づき、推定値Tgeを算出する。制御基板46は、ラック軸22およびボールねじ機構26における潤滑対象部分の近くに配置されているのみならず、潤滑対象部分と、周囲の環境が類似している。すなわち、双方とも転舵系収容室RM内に存在し、雰囲気温度が類似することに加えて、車両の走行速度に応じた走行風による影響も類似する。また、上記車載原動機58からの輻射熱や、冷却系59からの輻射熱の受けやすさという点でも類似する。このため、制御基板46の温度の検出値Tbcは、潤滑対象部分の温度と相関を有する。ただし、サーミスタ68は、図1に示すように、潤滑対象部分よりもモータ42およびインバータINVに近いのみならず、それらと同一の筐体内に収容されていることなどに起因して、転舵アクチュエータPSAの駆動に伴い発生する熱の影響がより顕著となりうる。そこで、本実施形態では、潤滑対象部分の温度を推定する際、検出値Tbcをベースとしつつ、これを転舵アクチュエータPSAの発熱によって補正することにより、推定値Tgeを算出する。
具体的には、駆動補正量算出処理部M22は、実電流iqを入力とし、駆動補正量Tdhを算出して出力する。ここで、駆動補正量Tdhは、転舵アクチュエータPSAの発熱による制御基板46の温度の上昇量と潤滑対象部分の温度の上昇量との差分を補償するための補正量であり、ゼロ以上の値を有する。なお、駆動補正量Tdhは、温度の次元を有する。
図4に、駆動補正量算出処理部M22の処理の手順を示す。図4に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」を付与した数字にてステップ番号を表現する。
図4に示す一連の処理において、CPU62は、まず転舵アクチュエータPSAの発熱量を示すパラメータとして、q軸の実電流iqを取得する(S10)。次に、CPU62は、実電流iqの絶対値が閾値iqth以下であるか否かを判定する(S12)。この処理は、モータ42やインバータINVを流れる電流が小さくて制御基板46の温度上昇を無視できる状態にあるか否かを判定するためのものである。そしてCPU62は、閾値iqthよりも大きいと判定する場合(S12:NO)、駆動補正量Tdhを、「K・|iq|」だけ増加補正する(S14)。ここで、係数Kは、正の値を有する。これに対し、CPU62は、閾値iqth以下であると判定する場合(S12:YES)、駆動補正量Tdhを、基準値Tdh0と、1周期前に算出された駆動補正量Tdhとの指数移動平均処理値に更新する(S16)。すなわち、「0」より大きく「1」未満の係数αを用いて、「α・Tdh+(1−α)・Tdh0」に更新する。ここで、基準値Tdh0は、駆動補正量Tdhの最小値を規定する値を有する。本実施形態では、基準値Tdh0をゼロとする。
なお、CPU62は、S14,S16の処理が完了する場合には、図4に示す一連の処理を一旦終了する。
図3に戻り、温度補正処理部M24は、検出値Tbcから駆動補正量Tdhを減算した値を、推定値Tgeとして出力する。なお、図3に示す処理は、CPU62が起動状態にあることを条件に、実行される。ここで、CPU62が起動状態となるのは、ユーザによって車両を走行可能状態とする指令が出される場合である。これに対し、ユーザによって車両を走行ができない状態とする指令が出される場合、CPU62は、所定期間(ここでは数分から十数分)の間、CPU62の起動状態を保った後、CPU62をオフ状態に切り替える。この起動状態を保っているときにおいても、推定値Tgeの算出処理は実行される。ちなみに、駆動補正量Tdhは、推定値Tgeの算出処理の再開に伴って、前回の算出処理の終了時における値にかかわらず初期化される。なお、車両を走行可能な状態とする指令は、たとえば、車載原動機がエンジンを含む場合、イグニッションスイッチのオン操作などによって生じる。
ここで、本実施形態の作用を説明する。
ステアリング10の操舵により操舵トルクTrqsが検出されると、操舵トルクTrqsに応じてアシストトルクTrqaが設定される。潤滑対象部分の温度の推定値Tgeが低温処理実行温度以下である場合、アシストトルクTrqaが低温補正量ΔTrqにて補正された値がトルク指令値Trq*とされ、ECU60によって、モータ42のトルクをトルク指令値Trq*とするようにインバータINVが操作される。
これにより、インバータINVおよびモータ42に電流が流れると、モータ42およびインバータINVの発熱の影響によって制御基板46の温度が上昇する。この発熱による熱は潤滑対象部分にも伝達されるものの、制御基板46ほどには直接的に熱を受けないことや、潤滑対象部分の方が熱容量が大きいことなどから、潤滑対象部分の温度上昇量は、制御基板46の温度の上昇量よりも小さい。そこで本実施形態では、制御基板46の温度上昇を考慮して、駆動補正量Tdhを温度の検出値Tbcから減算した値を推定値Tgeとする。これにより、検出値Tbcが通電に伴う転舵アクチュエータPSAの発熱の影響を受ける場合であっても潤滑対象部分の温度を高精度に推定できる。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する効果が得られる。
(1)サーミスタ68が実装された制御基板46を、モータユニット40に収容した。これにより、本実施形態において、制御基板46およびサーミスタ68は、潤滑対象部分よりもインバータINVやモータ42に近く、また、同一の筐体内にあるためにインバータINVやモータ42の発熱の影響を直接的に受けることから、潤滑対象部分と比較して特に温度が上昇しやすい。このため、駆動補正量Tdhによる補正を実行することが特に有効である。
(2)制御基板46の温度を検出するサーミスタ68を用いて推定値Tgeを算出するため、新たなセンサを設けることなく潤滑対象部分の温度情報を得ることができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図5に、本実施形態に関する、ECU60内のメモリ64に記憶されたプログラムに従ってCPU62が実行する処理の一部を示す。なお、図5において、図3に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態では、温度補正処理部M24の出力値Tbc1を、ローパスフィルタ処理部M26によってローパスフィルタ処理したものを、推定値Tgeとして出力する。ここで、ローパスフィルタ処理としては、たとえば1次遅れフィルタや2次遅れフィルタを用いればよい。
モータ42やインバータINVの発熱量が増加し制御基板46の温度(検出値Tbc)が大きく上昇すると、出力値Tbc1もある程度増加するのであるが、本実施形態では、その増加速度がローパスフィルタ処理部M26によって遅延されたものが推定値Tgeとされる。このため、潤滑対象部分の温度上昇が制御基板46の温度上昇に対して遅れることを、推定値Tgeに反映させることができる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図6に、本実施形態に関する、ECU60内のメモリ64に記憶されたプログラムに従ってCPU62が実行する処理の一部を示す。なお、図6において、図5に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態では、残存熱補正量算出処理部M28が残存熱補正量Trhを出力し、温度補正処理部M30では、ローパスフィルタ処理部M26の出力値Tbc2から残存熱補正量Trhを減算した値を推定値Tgeとする。残存熱補正量Trhは、温度の次元を有する。
図7に、残存熱補正量算出処理部M28の処理の手順を示す。図7に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
図7に示す一連の処理において、CPU62は、まず推定値の算出処理が停止されるか否かを判定する(S20)。そしてCPU62は、停止されると判定する場合(S20:YES)、推定値Tgeの初期値Tge0に、算出処理の停止前に最後に算出された初期値Tge0を代入し、初期値Tge0をメモリ64に記憶する(S22)。そしてCPU62は、残存熱補正フラグFが「1」であるか否かを判定する(S24)。ここで、残存熱補正フラグFは、「1」である場合に、残存熱に起因した補正処理を実行していることを示し、「0」の場合にそうではないことを示す。ここで、残存熱とは、転舵アクチュエータPSAの駆動等に起因した熱のうち、推定値Tgeの算出処理の再開時において制御基板46が未だ保持している熱のことである。ECU60がオフ状態とされると、制御基板46は外気と熱的な平衡状態に移行するため、制御基板46の温度は、潤滑対象部分の温度と同様、外気温TOに収束する。しかし、たとえば車両が走行できない状態とされる直前に、パーキング等のためにモータ42が大きなトルクを生成した場合などには、ECU60がオフ状態とされる期間が短いと、推定値Tgeの算出処理の再開時において検出値Tbcが潤滑対象部分の温度よりも高くなるおそれがある。しかし、図6に示す処理では、駆動補正量Tdhが、推定値Tgeの算出処理の再開時には初期化されるため、駆動補正量Tdhによっては、残存熱による推定値Tgeの精度の低下を補償することができない。残存熱に起因した補正処理は、残存熱によって推定値Tgeが検出値Tbcを上回る場合にこれを補償する処理である。
CPU62は、残存熱補正フラグFが「0」であると判定する場合(S24:NO)、ECU60の起動時であるか否かを判定する(S26)。そして、CPU62は、起動時であると判定する場合(S26:YES)、通信線Lnを介して他ECU54と通信することにより、外気温TOを取得する(S28)。また、CPU62は、検出値Tbcを取得する(S30)。この検出値Tbcは、推定値Tgeの算出処理の再開時における値である。そしてCPU62は、検出値Tbcから外気温TOを減算した値が所定値Δth1よりも大きいことと、検出値Tbcが初期値Tge0よりも大きいこととの論理積が真であるか否かを判定する(S32)。この処理は、残存熱補正量Trhによる補正を実行するか否かを判定する処理である。ここで、検出値Tbcから外気温TOを減算した値が所定値Δth1よりも大きい旨の条件は、推定値Tgeの算出処理の停止から再開までの期間が短い旨の条件となる。
CPU62は、論理積が真であると判定する場合(S32:YES)、残存熱補正フラグFを「1」とする(S34)。そしてCPU62は、S30において取得した検出値Tbcから初期値Tge0を減算した値のローパスフィルタ処理を開始する(S36)。この処理は、検出値Tbcから初期値Tge0を減算した値をローパスフィルタのインパルス入力とする処理である。本実施形態では、S36のローパスフィルタとして1次遅れフィルタを例示する。そして、CPU62は、残存熱補正フラグFが「1」であると判定する場合(S24:YES)や、S36の処理が完了する場合、ローパスフィルタ処理のなされた値を、残存熱補正量Trhとする(S38)。ローパスフィルタ処理された値は、1次遅れ系に対するインパルス応答であるため、徐々に減衰する。これは、残存熱の影響が減衰することを表現する。
次に、CPU62は、残存熱補正量Trhがゼロであるか否かを判定する(S40)。この処理は、残存熱に起因した補正処理を停止するか否かを判定するためのものである。換言すれば、残存熱補正量Trhに基づき推定値Tgeが検出値Tbcを下回る量を設定する処理を終了するか否かを判定するためのものである。そしてCPU62は、ゼロであると判定する場合(S40:YES)、残存熱補正フラグFを「0」とする(S42)。
一方、CPU62は、起動時ではないと判定する場合(S26:NO)や、上記論理積が偽であると判定する場合(S32:NO)には、残存熱に起因した補正処理をしないことから、残存熱補正量Trhをゼロとする(S44)。
なお、CPU62は、S42,S44の処理が完了する場合や、S40において否定判定する場合には、図7に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで本実施形態の作用を説明する。
ユーザがステアリング10を大きく切って車両を駐車させた直後に、車両を走行ができない状態とする旨の指示を出すと、CPU62は、その後、所定期間にわたって図6に示す処理を継続した後、推定値Tgeを初期値Tge0としてメモリ64に記憶し、自らをオフ状態とする。これにより、制御基板46の温度や潤滑対象部分の温度は、外気温TOへと収束していく。ここで、車両を走行状態とする指示が早期に出される場合、制御基板46の温度が未だ上記駐車時の熱の影響を受けて高い値を示すため、潤滑対象部分の温度よりも過度に高くなる。CPU62は、こうしたときには、残存熱補正量Trhを出力値Tbc2から減算した値に基づき推定値Tgeを算出することにより、推定値Tgeから残存熱の影響を除去することができる。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、第3の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図8に、本実施形態に関する、ECU60内のメモリ64に記憶されたプログラムに従ってCPU62が実行する処理の一部を示す。なお、図8において、図6に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態では、起動補正量算出処理部M32が起動補正量Tsを算出し、温度補正処理部M30では、ローパスフィルタ処理部M26の出力値Tbc2から、残存熱補正量Trhと、起動補正量Tsとを減算した値を、推定値Tgeとして出力する。起動補正量Tsは、温度の次元を有する。
図9に、起動補正量算出処理部M32の処理の手順を示す。図9に示す処理は、メモリ64に記憶されたプログラムをCPU62が所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
図9に示す一連の処理において、CPU62は、まず、ECU60の起動時であるか否かを判定する(S50)。そして、CPU62は、起動時であると判定する場合(S50:YES)、起動時からの時間を計時するカウンタCtを初期化する(S52)。一方、CPU62は、起動時ではないと判定する場合(S50:NO)、カウンタCtをインクリメントする(S54)。そしてCPU62は、カウンタCtが規定値Cth以上であるか否かを判定する(S56)。
CPU62は、S52の処理を完了する場合や、S56において否定判定する場合には、起動補正量Tsを、時間の経過につれて漸増する量として算出する(S58)。詳しくは、起動補正量Tsは、カウンタCtがゼロである場合にゼロとなり、規定値Cthに近づくにつれて上限値Tsmaxに近づく値とされる。これは、たとえばメモリ64に、予めカウンタCtの値と起動補正量Tsの値との関係を定めたマップを備えることで実現することができる。
一方、CPU62は、規定値Cth以上であると判定する場合(S56:YES)、起動補正量Tsを上限値Tsmaxとする(S60)。
なお、CPU62は、S58,S60の処理が完了する場合、図9に示す処理を一旦終了する。
ここで本実施形態の作用を説明する。
ECU60が起動状態となると、図8に示した処理に基づきトルク指令値Trq*が算出され、これに基づきインバータINVが操作される。ここで、たとえば車両の発進前等、ステアリング10が未だ操作されない状態においては、トルク指令値Trq*がゼロとなる。この場合、操作信号g¥#は、スイッチング素子S¥#を周期Tcで周期的にオン・オフ操作しつつもモータ42のトルクをゼロとするための信号となる。この場合、インバータINVやモータ42に電流が流れることに起因した発熱量は無視し得る。しかし、図2に示したドライバ66が駆動され、またインバータINVのスイッチング素子g¥#が所定の周期Tcでオン・オフ操作されることによって発熱が生じる。この発熱によって制御基板46の温度のみならず、潤滑対象部分の温度も上昇しうるものの、この発熱の全てが潤滑対象部分に伝達される訳ではないことに加えて、潤滑対象部分の熱容量が大きいことなどから、潤滑対象部分の温度上昇量は制御基板46の温度上昇量よりも小さくなる。起動補正量Tsは、この上昇量の差を補償する量とされる。
すなわち、本実施形態では、起動補正量Tsを、時間の経過に伴って漸増するものとしたために、上記発熱に起因して出力値Tbc2が潤滑対象部分の温度に対して上昇する量を適切に表現する。このため、起動補正量Tsによる減少補正によって、推定値Tgeに上記オン・オフ操作に伴う発熱に起因した誤差が生じることを抑制することができる。
なお、インバータINVを駆動することによるドライバ66等の発熱量は、モータ42のトルク指令値Trq*がいかなる値であってもほとんど変化しない。このため、本実施形態では、この発熱量に起因した温度上昇量をほぼ一定値と見なし、トルク指令値Trq*がゼロよりも大きくなりモータ42が駆動されているときであっても、時間がある程度経過した後には、一律上限値Tsmaxとする。ちなみに、本実施形態では、インバータINVのスイッチングに伴う発熱量に加えて、CPU62等が起動状態とされることによる発熱量を加味して起動補正量Tsを設定する。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図10に、本実施形態にかかるECU60内のメモリ64に記憶されたプログラムに従ってCPU62が実行する処理の一部を示す。なお、図10において、図5に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態では、駆動補正量算出処理部M22は、q軸の実電流iqに代えて、トルク指令値Trq*を入力として駆動補正量Tdhを算出する。これは、図4に示した処理において、実電流iqをトルク指令値Trq*とし、閾値iqthを閾値Trqthとし、係数Kを適宜変更することにより実現できる。
また、本実施形態では、図5に示したローパスフィルタ処理部M26に代えて、ローパスフィルタ処理部M34,M36を備える。ローパスフィルタ処理部M34は、検出値Tbcを入力としてこれにローパスフィルタ処理を施し、出力値Tbc3を温度補正処理部M24に出力する。ローパスフィルタ処理部M36は、駆動補正量Tdhを入力としてこれにローパスフィルタ処理を施し、出力値Tdh1を温度補正処理部M24に出力する。温度補正処理部M24では、出力値Tbc3から出力値Tdh1を減算した値を、推定値Tgeとする。
ここで、ローパスフィルタ処理部M34は、検出値Tbcの上昇に対して潤滑対象部分の温度の上昇が遅れることを表現するためのフィルタ処理を行う。一方、ローパスフィルタ処理部M36は、モータ42やインバータINVの発熱に起因した制御基板46の温度の上昇に対して同発熱に起因した潤滑対象部分の温度の上昇が遅延することを表現するためのフィルタ処理である。ここで、ローパスフィルタ処理部M34とローパスフィルタ処理部M36とは、同一種類のフィルタ(たとえば1次遅れフィルタ)であるが、本実施形態ではそれらの時定数が異なっている。これは、制御基板46の温度を上昇させる要因として、モータ42やインバータINVの発熱以外に、上述した車載原動機58からの輻射熱や冷却系59からの輻射熱等があることに鑑みたものである。すなわち、これらの熱による検出値Tbcの上昇に対し、これらの熱による潤滑対象部分の温度の上昇の遅れ方が、モータ42やインバータINVの発熱によるものとは微妙に異なりうることに鑑みたものである。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。
1.転舵機構に取り付けられている所定の部材は、モータユニット40に対応する。4.「減算値をローパスフィルタ処理した値」は、図5の推定値Tge、図6および図8の出力値Tbc2に対応する。「ローパス処理した値を減算した値」は、図10の推定値Tgeに対応する。5.残存熱補正処理は、S40において否定判定されているときの温度補正処理部M30における残存熱補正量Trhによる減算処理に対応する。7.残存熱補正量に基づき推定値を算出するか否かの処理は、S32の処理に対応する。すなわち、S32の処理において否定判定する場合、残存熱補正量Trhがゼロとされるため、温度補正処理部M24において残存熱補正量Trhによる補正がゼロとなり、推定値Tgeの算出に残存熱補正量Trhが寄与しない。9.「車体によって区画される同一の空間」は、転舵系収容室RMに対応する。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
「低温時処理について」
上記実施形態では、推定値Tgeのみに基づき低温補正量ΔTrqの絶対値を設定したがこれに限らない。たとえば、車速を加味してもよい。これにより、転舵角を転舵するのに必要なトルクが車速に依存することを加味して低温補正量ΔTrqの絶対値を設定することができる。
たとえば、ステアリング10の回転角度である操舵角や転舵輪19の回転角度である転舵角を用いて低温補正量ΔTrqを算出してもよい。これは、たとえば、アシストトルクTrqaに、中立位置側に戻そうとする力であるリターントルクを加算したものが、トルク補正処理部M14において低温補正量ΔTrqによる補正対象となる場合に特に有効である。ここで、リターントルクは、転舵角の大きさが大きい場合に小さい場合よりも大きい値とされる。この場合、低温補正量ΔTrqを、アシストトルクTrqaの低温時による増量補正量とリターントルクの増量補正量との和として算出されるものとするなら、低温補正量ΔTrqにより、推定値Tgeが低い場合には高い場合よりもリターントルクを大きくすることができる。この場合、少なくとも中立位置側にステアリング10が戻されるときには、低温補正量ΔTrqによって、高温時よりもモータ42のトルクの大きさが大きくなる。
また、低温時処理において、低温補正量ΔTrqを算出する処理を含むことは必須ではない。たとえば、アシストトルク設定処理部M10において操舵トルクTrqsからアシストトルクTrqaを設定するために用いるマップとして、高温用とは別に低温用を設けてもよい。
低温時処理としては、低温時に、高温時よりもモータ42に対するトルク指令値Trq*の大きさを大きくする処理に限らない。たとえば、転舵角を転舵角指令値にフィードバック制御するためにモータ42を操作することとし、フィードバックゲインを低温時には高温時よりも大きくするものであってもよい。この場合、モータ42のトルクは、フィードバック制御による成り行きの値となるものの、高温時に対して変更された値となることには相違ない。なお、転舵角フィードバック制御は、「転舵システムについて」の欄に記載したように、転舵システムとしてステアバイワイヤシステムを採用する場合には特に有効である。
「駆動補正量算出処理について」
駆動補正量算出処理としては、図4に例示した処理や、図10において説明した処理に限らない。たとえば、図4に示した処理において、q軸の実電流iqに代えて、電流指令値iq*を入力としてもよい。また、たとえばq軸の実電流iqとd軸の実電流idとによって定まる電流ベクトル(id,iq)のノルムを入力としてもよい。またたとえば、電流指令値id*,iq*のベクトルのノルムを入力としてもよい。こうした構成は、たとえば弱め界磁制御のようにd軸の電流指令値id*をゼロとしない制御がなされている場合に特に有効である。
図4のS16の処理に代えて、たとえば、S12において否定判定される状態から肯定判定される状態に移行した時点における駆動補正量Tdhをインパルス入力とするたとえば1次遅れフィルタ等を用いて、S12において肯定判定される都度のフィルタ出力値を駆動補正量Tdhとしてもよい。
また、たとえば、q軸の実電流等の電流の大きさが第1所定値以上である場合、駆動補正量を増量補正し、第1所定値よりも小さい第2所定値以上であって且つ第1所定値未満の場合に駆動補正量を更新せず、第2所定値未満の場合に駆動補正量を減量補正する処理であってもよい。ここで、電流の大きさが第1所定値以上である場合、駆動補正量の増量補正量を、電流の大きさが大きい場合に小さい場合よりも大きくしてもよい。
たとえば、実電流iq等の発熱パラメータに基づき、サーミスタ68の温度上昇量を算出し、これに「0」よりも大きく「1」以下のゲインGを乗算して駆動補正量Tdhを算出してもよい。この場合、サーミスタ68の配置や、モータ42の配置、インバータINVの配置等が変化した場合に、ゲインGを変更するのみで対処することも可能となる。
「残存熱補正量算出処理について」
残存熱補正量Trhとしては、推定値Tgeの算出開始時の検出値Tbcから、初期値Tge0を減算した値のローパスフィルタ処理値に限らない。たとえば、残存熱補正量Trhをゼロ以上の値とする旨の条件の下、上記減算した値を、算出処理の周期毎に、所定量ずつ減少補正した値としてもよい。
「決定処理について」
推定値Tgeの算出処理の開始時における検出値Tbcが初期値Tge0よりも高いことを条件に、残存熱補正量Trhを算出する処理を実行すると決定するものに限らない。たとえば、図7のS38の処理に代えて、ローパスフィルタ処理した値と「0」とのうちの大きい方の値を残存熱補正量Trhとする処理を実行し、S32の処理において、上記条件を削除してもよい。
なお、外気温TOを入力として推定値Tgeの算出処理の開始時における検出値Tbcが外気温TOよりも高いことを条件に残存熱補正処理を実行すると決定する決定処理自体必須ではない。すなわち、たとえば、推定値Tgeの算出処理の終了時の時刻と開始時の時刻とを通信線Lnを介して取得し、それらの時間差が所定時間以下であることを条件に、残存熱補正処理を実行すると決定してもよい。
「残存熱補正処理について」
残存熱補正処理としては、残存熱補正量Trhを上記実施形態や「残存熱補正量算出処理について」の欄に記載したように算出するものに限らない。たとえば、推定値Tgeの算出開始時の外気温TOよりも初期値Tge0の方が高いことを条件に、ローパスフィルタ処理のインパルス入力を、算出開始時の検出値Tbcを用いて、「Tbc−Tge0−f(Tbc−TO)」としてもよい。関数f(x)は、独立変数xが正で大きい値であるほど小さい値となるものとする。この関数f(x)は、「Tbc−Tge0」が同一であっても、前回の算出処理の停止時から今回の算出処理の開始時までの時間が長い場合に短い場合よりも、ローパスフィルタ処理の入力値を大きい値とするための項である。これは、時間が長い場合には潤滑対象部分の温度が低下するために、実際の潤滑対象部分の温度が初期値Tge0よりも低いと考えられることに基づくものである。
残存熱補正処理としては、残存熱補正量Trhを算出する残存熱補正量算出処理を含むものに限らない。たとえば、推定値Tgeの算出処理の開始時における推定値Tgeの初期値を、推定値Tgeの算出処理の停止時の初期値Tge0とし、今回の推定値Tge(n)を、前回の推定値Tge(n−1)と、図3、図5または図10に示した処理によって算出される推定値Tgeとの指数移動平均処理値としてもよい。なお、指数移動平均処理の入力となる、図5または図10に示した処理によって算出される推定値Tgeに代えて、同推定値Tgeから起動補正量Tsが減算された値を用いてもよい。
「トルク制御手法について」
上記実施形態では、トルク指令値Trq*から定まる電流指令値id*,iq*に実電流id,iqをフィードバック制御したが、これに限らない。たとえば、実電流id,iqに基づき、複数のスイッチングモードのそれぞれが採用されたと仮定した場合の次の制御周期におけるそれぞれの実電流id,iqの予測値を算出し、予測値と電流指令値id*,iq*との差が小さくなるスイッチングモードを実際のインバータINVの操作に採用するいわゆるモデル予測制御を実行してもよい。
「起動補正量について」
上記実施形態では、起動補正量Tsに、CPU62が起動状態にあることによる発熱量に起因した温度上昇量を含めたが、これを無視してもよい。
起動補正量Tsを算出する処理は、電流フィードバック制御を実行するものを前提とするものではない。たとえば、開ループ制御を実行するものであっても、たとえば周期Tcでスイッチング素子S¥#をオン・オフ操作するものであれば、スイッチングに伴う発熱が生じうるため、起動補正量Tsを算出することが有効である。
また、起動補正量Tsを算出する処理は、上記インバータINVのスイッチングを前提とするものに限らない。たとえば、下記の「電圧印加回路について」の欄に記載したように、電圧印加回路としてコンバータを備える場合であっても、たとえば次の場合には、コンバータのスイッチングに起因して起動補正量Tsを算出することが有効である。すなわち、電流フィードバック制御の操作量として電圧印加回路の出力線電圧の指令値を設定し、出力線電圧に応じてコンバータのスイッチング素子のオン・オフの一周期に対するオン時間の時比率を操作する場合である。
たとえば、時間を入力として、サーミスタ68の温度上昇量を算出し、これに「0」よりも大きく「1」以下のゲインGを乗算して起動補正量Tsを算出してもよい。この場合、サーミスタ68の配置や、モータ42の配置、インバータINVの配置等が変化した場合に、ゲインGを変更するのみで対処することも可能となる。
「推定処理について」
たとえば、車両が走行可能な状態であるか否かにかかわらずCPU62をオン状態として常時、図3、図5および図10に例示したように、駆動補正量Tdhに基づく推定値Tgeの算出処理を実行してもよい。なお、この際、起動補正量Tsを上限値Tsmaxに固定し、これを更に用いて推定値Tgeを算出してもよい。
駆動補正量Tdhを算出する処理を有すること自体必須ではない。たとえば、q軸の実電流iqの絶対値等、駆動補正量Tdhの算出に用いた発熱パラメータの大きさが閾値以上であることを条件に、同発熱パラメータおよび検出値Tbcと推定値Tgeとの関係を定めたマップに基づき推定値Tgeを算出してもよい。この場合、発熱パラメータの大きさが閾値未満の場合には、たとえば外気温TO以上である旨の条件の下、推定値Tgeを漸減させればよい。
たとえば、「トルク制御手法について」の欄に記載したモデル予測制御を、トルク指令値Trq*がゼロであっても実行するものの場合には、回転軸42aが未だ回転せず且つトルク指令値Trq*がゼロの場合には、スイッチングモードが定常的に所定のゼロベクトルに固定されると考えられる。そしてその場合、一度、スイッチングがなされた後、回転軸42aが回転するか、トルク指令値Trq*の絶対値がゼロよりも大きくなるまでは、スイッチングに伴う発熱を無視してもよいが、これに代えて、起動補正量Tsを次のようにして算出してもよい。すなわち、所定の周期内においてスイッチングがなされる場合、上限値Tsmax以下である旨の条件下、起動補正量Tsを漸増させ、所定の周期内においてスイッチングがなされない場合、「0」以上である旨の条件下、起動補正量Tsを漸減させる処理を実行して起動補正量Tsを算出してもよい。
「転舵機構について」
タイミングベルト28やプーリ30、ボールねじ機構26を備えることは必須ではない。たとえば、ラックアンドピニオン機構24とは別に、第2ラックアンドピニオン機構を備え、そのピニオン軸にモータ42の回転軸42aが減速機構を介して連結されたものであってもよい。この場合、第2ラックアンドピニオン機構は、転舵機構のうちの潤滑対象部分である。
なお、転舵機構がラック軸22を備えることも必須ではなく、たとえばボール・ナットを備えた機構であってもよい。
「転舵系収容室RMについて」
車載原動機58や冷却系59が収容されることは必須ではなく、車載原動機58や冷却系59を、別の車体空間に収容してもよい。この場合であっても、温度センサと、潤滑対象部分とが、同一の車体空間である転舵系収容室RMに収容されているのであれば、温度センサが検出する温度は、潤滑対象部分の温度と強い相関を有することとなるため、温度センサの検出値に基づく潤滑対象部分の温度の推定処理が有効である。
もっとも、温度センサと潤滑対象部分とが、同一の車体空間に収容されていることも必須ではなく、インバータINVやモータ42の発熱の影響の受けやすさを除いてほぼ同じ温度環境条件となる2つの異なる一対の室のそれぞれに、温度センサと潤滑対象部分とを収容してもよい。
「電圧印加回路について」
直流電圧源(バッテリ50)の正極および負極とモータ42の端子とを選択的に接続するスイッチング素子S¥#を備える上記インバータINVに限らない。たとえば、モータ42の端子のそれぞれに接続され、バッテリ50の電圧を昇圧および降圧するコンバータであってもよい。この場合、コンバータの出力電圧を正弦波状に変化させることで、モータ42に正弦波状の電圧を印加することができる。
「転舵アクチュエータについて」
モータとしては、同期電動機に限らない。たとえば誘導機であってもよくまたたとえば直流モータであってもよい。モータ42と、駆動基板44と、制御基板46とを同一の筐体に収容するものに限らない。たとえば、モータ42と制御基板46とを同一の筐体に収容して且つ、駆動基板44を別の筐体に収容してもよい。またたとえば、制御基板46と駆動基板44とを同一の筐体に収容して且つ、モータ42を別の筐体に収容してもよい。
「電動パワーステアリングシステムについて」
ステアリング10に入力される操舵トルクTrqsを、転舵輪19に伝達しつつ転舵輪19の転舵を転舵アクチュエータPSAによってアシストするものに限らない。たとえば、ステアリング10から転舵輪19への動力の伝達が遮断された状態で、転舵アクチュエータPSAによって転舵輪19を転舵させるステアバイワイヤシステムであってもよい。
「温度センサについて」
温度センサとしては、サーミスタに限らず、たとえば一定の電流が流されているダイオードであってもよい。すなわち、この場合、ダイオードの順方向電圧降下の大きさが温度に依存することに鑑み、順方向電圧降下の値を温度の検出値とすればよい。
温度センサの配置としては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば「転舵アクチュエータについて」の欄に記載したように、モータ42と、駆動基板44と、制御基板46とを、必ずしも同一の筐体に収容しない場合、温度センサを、いずれか1つの筐体に収容してもよい。ここで、制御基板46を収容する筐体と、モータ42や駆動基板44を収容する筐体とが別の場合であっても、制御基板46は駆動基板44に操作信号を送信するものであるため、駆動基板44に近い傾向にあり、その場合、制御基板46が駆動基板44側の熱を受けやすい。このため、温度センサを制御基板46に実装したとしても、駆動補正量Tdh等に基づく検出値Tbcの補正は有効である。
もっとも、温度センサを制御基板46に実装することは必須ではない。たとえば、ハウジング40aに取り付けてもよい。また、ハウジング40aに取り付けることも必須ではなく、ハウジング40aから離れて配置されていてもよい。この場合であっても、モータ42およびインバータINVとのうちのいずれか1つと温度センサとの距離が、温度センサと潤滑対象部分との距離よりも近いなら、温度センサがモータ42やインバータINVの発熱の影響を受けやすいため、駆動補正量Tdhを用いた補正等が有効である。
「転舵制御装置について」
CPU62とメモリ64とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、転舵制御装置は、以下の(a)〜(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するメモリとを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラムを記憶するメモリと、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。
「そのほか」
図2には、電流センサ69を模式的に示したが、電流センサ69は、実際には、スイッチング素子S¥nと接地との間に設けられたシャント抵抗等であってもよい。
10…ステアリング、12…ステアリングシャフト、14…コラム軸、16…中間軸、18…ピニオン軸、18a…ピニオン歯、19…転舵輪、22…ラック軸、22a…第1ラック歯、22b…第2ラック歯、24…ラックアンドピニオン機構、26…ボールねじ機構、28…タイミングベルト、30…プーリ、40…モータユニット、40a…ハウジング、42…モータ、42a…回転軸、44…駆動基板、46…制御基板、50…バッテリ、52…トルクセンサ、54…他ECU、56…外気温センサ、58…車載原動機、59…冷却系、60…ECU、62…CPU、64…メモリ、66…ドライバ、68…サーミスタ、69…電流センサ。

Claims (9)

  1. 転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを操作対象とし、
    前記転舵アクチュエータは、モータと、該モータの回転軸に機械的に連結された転舵機構と、を備え、
    前記転舵機構の潤滑対象部分の温度の推定値が低い場合に高い場合に対して、前記モータのトルクを変更する低温時処理と、
    前記転舵機構に取り付けられている所定の部材のうち、前記潤滑対象部分とは異なる部分の温度を検出する温度センサの検出値を入力とし、通電に伴う前記転舵アクチュエータの発熱量に基づき前記検出値よりも低温の値とした前記推定値を算出する推定処理と、を実行する転舵制御装置。
  2. 前記温度センサは、
    (a)前記モータに電圧を印加する電圧印加回路、および前記モータの少なくとも1つを収容する筐体に収容されている旨の条件、
    (b)前記所定の部材を当該転舵制御装置とする旨の条件、および
    (c)前記モータおよび前記温度センサ間の距離と前記電圧印加回路および前記温度センサ間の距離とのうちの短い方が前記潤滑対象部分および前記温度センサ間の距離よりも短い旨の条件、の3つの条件のうちの少なくとも1つの条件を満たす請求項1記載の転舵制御装置。
  3. 前記推定処理は、前記モータを流れる電流および前記モータのトルクのいずれかである発熱パラメータを入力とし、駆動補正量を、前記転舵アクチュエータの発熱量が大きい場合に小さい場合よりも大きい値となるように算出する駆動補正量算出処理を含み、前記推定値が前記検出値を下回る量を、前記駆動補正量に基づき設定しつつ前記推定値を算出する処理である請求項2記載の転舵制御装置。
  4. 前記推定処理は、前記推定値を、前記検出値から前記駆動補正量を減算した減算値をローパスフィルタ処理した値、および前記検出値をローパスフィルタ処理した値から前記駆動補正量をローパスフィルタ処理した値を減算した値のいずれか以下の値に算出する処理である請求項3記載の転舵制御装置。
  5. 当該転舵制御装置がオフ状態となることに起因して前記推定処理が停止される場合、停止される前における前記推定値を記憶部に記憶保持させる記憶処理を実行し、
    前記推定処理は、当該転舵制御装置の起動に伴う前記推定処理の再開時における前記検出値が前記記憶処理によって記憶保持された前記推定値を上回る場合、上回らない場合よりも前記推定値が前記検出値を下回る量を大きくする残存熱補正処理を含む請求項3または4記載の転舵制御装置。
  6. 前記残存熱補正処理は、残存熱補正量を、前記推定処理の再開時における前記検出値から前記記憶処理によって記憶保持された前記推定値を減算した値をローパスフィルタ処理した値として算出する残存熱補正量算出処理を含み、前記推定値が前記検出値を下回る量を、前記残存熱補正量に基づき設定する処理である請求項5記載の転舵制御装置。
  7. 外気温を取得する外気温取得処理と、
    前記再開時において、前記検出値から前記外気温取得処理によって取得された外気温を減算した値が所定値よりも大きいことを条件に、前記残存熱補正処理を実行すると決定し、前記減算した値が前記所定値以下の場合、前記残存熱補正処理を実行しないと決定する決定処理と、を実行する請求項5または6記載の転舵制御装置。
  8. 前記推定処理は、当該転舵制御装置が前記電圧印加回路の周期的なスイッチング素子のオン・オフ操作を開始してからの経過時間を入力とし、所定の上限値以下の量であって且つ前記経過時間が規定時間以上となることで前記上限値に固定される起動補正量を算出する起動補正量算出処理を含み、前記推定値が前記検出値を下回る量を、前記起動補正量および前記駆動補正量に基づき設定しつつ前記推定値を算出する処理である請求項3〜5のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
  9. 前記転舵機構は、ラック軸を備え、
    前記ラック軸の一部は、前記潤滑対象部分であり、
    前記ラック軸と前記温度センサとが、車体によって区画される同一の空間内に収容されている請求項2〜8のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
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