JP6492829B2 - 電動駐車制動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に設けられている電動駐車制動装置に関する。
特許文献1には、電動駐車制動装置の一例が記載されている。この電動駐車制動装置は、コントロールケーブルを介してパーキングブレーキに連結されているアクチュエータを備えている。こうしたアクチュエータは、モータと、モータからの出力トルクをコントロールケーブルに出力する出力機構とを有している。そして、アクチュエータからの出力トルクがコントロールケーブルを通じてパーキングブレーキに伝達されることにより、車両に制動力が付与されたり、車両への制動力の付与が解除されたりする。
こうした電動駐車制動装置には、コントロールケーブルに作用する荷重を検出する荷重センサが設けられている。そして、電動駐車制動装置では、外気温に基づいて目標荷重を決定し、荷重センサによって検出される荷重が目標荷重と等しくなるようにアクチュエータのモータが駆動されるようになっている。
ところで、近年では、電動駐車制動装置においてもコスト低減が求められており、荷重センサや同荷重センサに相当するセンサを備えない電動駐車制動装置の開発も進められている。こうした電動駐車制動装置では、モータに流す電流値の目標となる目標電流値を予め決定し、モータに実際に流れる電流値を目標電流値まで上昇させ、電流値が目標電流値以上になったときにモータの駆動が停止されるようになっている。
なお、モータを備えるアクチュエータの使用環境の温度が高温となるほど、モータの抵抗値が大きくなる。また、モータに流すことのできる電流値の上限は、車両に設けられているバッテリの電圧によって可変される。そして、モータに流す電流値を、その時点の上限を超えるような大きさにすることはできない。そのため、高温環境であって且つバッテリの電圧が小さくなっている最悪の環境下でのモータの使用を想定して目標電流値が決定されている。こうした目標電流値を用いることにより、どのような環境下でモータを駆動させる場合であっても、モータに流れる電流値を目標電流値まで上昇させることが可能となる。
特開2013−35508号公報
ところで、上記のアクチュエータの出力機構はギヤなどの複数の構成部品から構成されており、これら各構成部品の間にはグリースなどの潤滑剤が用いられている。一般的に、こうした潤滑剤は粘性を有しており、その粘性は温度が低いほど高くなる。そのため、アクチュエータの使用環境の温度が低い場合、潤滑剤の粘性の上昇に起因して出力機構が作動しにくくなり、出力機構のトルク伝達効率が低くなる。その結果、アクチュエータからの出力トルクは、アクチュエータの使用環境の温度が高い場合よりも小さくなることがある。このようにアクチュエータからの出力トルクが小さくなると、電動駐車制動装置の作動によって車両に付与される制動力が小さくなる。すなわち、目標電流値に基づいてモータを制御する電動駐車制動装置では、アクチュエータの使用環境の温度によって、車両に付与される制動力にばらつきが生じてしまう。
本発明の目的は、アクチュエータの使用環境の温度に起因する同アクチュエータからの出力トルクの大きさのばらつきを抑えることにより、同アクチュエータの作動によって車両に付与される制動力の大きさのばらつきを抑えることができる電動駐車制動装置を提供することにある。
上記課題を解決するための電動駐車制動装置は、モータ、及び同モータから出力されるトルクを減速して出力する出力機構を有するアクチュエータを備え、同アクチュエータの作動によって、車両への制動力の付与、及び車両への制動力の付与の解除を行う装置を前提としている。そして、この電動駐車制動装置は、モータに流れる電流値を、アクチュエータの使用環境の温度が低いときには同使用環境の温度が高いときよりも大きくする電流調整手段を備える。
上記構成によれば、アクチュエータの使用環境の温度が低いときには、同使用環境の温度が高いときよりもモータに流れる電流値が大きくなる。このようにモータに流れる電流値が大きくなると、モータからの出力トルクが大きくなる。そのため、使用環境の温度が低く、出力機構で使用されているグリースなどの潤滑剤の粘性が高い場合と、使用環境の温度が高く、出力機構で使用されている潤滑剤の粘性が低い場合とで、アクチュエータからの出力トルクの差が大きくなりにくい。そして、このようにアクチュエータの使用環境の温度に起因する同アクチュエータからの出力トルクの大きさのばらつきを抑えることにより、同アクチュエータの作動によって車両に付与される制動力の大きさのばらつきを抑えることができるようになる。
上記電動駐車制動装置において、電流調整手段は、アクチュエータの使用環境の温度を取得する温度取得部と、取得されている使用環境の温度が低いときには同使用環境の温度が高いときよりも目標電流値を大きくする目標設定部と、設定されている目標電流値に、モータに流れる電流値を近づけるモータ制御部と、を有することが好ましい。この構成によれば、アクチュエータの使用環境の温度が低いときには、モータに対する目標電流値が、使用環境の温度が高いときよりも大きくされる。このように目標電流値を大きくすることで、モータに流れる電流値を大きくすることができる。すなわち、使用環境の温度に応じて目標電流値を可変とすることにより、使用環境の温度が低いときには同使用環境の温度が高いときよりもモータに流れる電流値を大きくする構成を実現することができるようになる。
なお、温度取得部は、アクチュエータの使用環境の温度を検出する温度センサを含むことが好ましい。この構成によれば、温度センサによって検出された温度に基づき、目標電流値を設定することができる。
例えば、アクチュエータの使用環境の温度が低いか否かの判断基準となる温度を低温判定温度としたとする。
この場合、アクチュエータの使用環境の温度が低温判定温度未満であるときには、同使用環境の温度が低いほど、出力機構で使用されている潤滑剤の粘度が高くなると推定することができる。そのため、目標設定部は、温度取得部によって取得されているアクチュエータの使用環境の温度が低温判定温度よりも低いとき、使用環境の温度が低いほど目標電流値を大きくすることが好ましい。この構成によれば、使用環境の温度が低く、出力機構で使用されている潤滑剤の粘度が高いと推定されるときほど、目標電流値が大きくされるため、モータに流す電流値を大きくすることが可能となる。その結果、使用環境の温度が低いことに起因するアクチュエータからの出力トルクの低下を抑制することができるようになる。
また、目標設定部は、温度取得部によって取得されているアクチュエータの使用環境の温度が低温判定温度よりも低いとき、使用環境の温度が低温判定温度以上であるときよりも目標電流値を大きくするようにしてもよい。この構成によれば、使用環境の温度が低温判定温度未満であるときには、同温度が低温判定温度以上であるときよりも出力機構で使用されている潤滑剤の粘度が高いと推定することができる。そのため、使用環境の温度が低いときには、使用環境の温度が高いときよりも目標電流値が大きくされるため、モータに流れる電流値を大きくすることが可能となる。その結果、使用環境の温度が低いことに起因するアクチュエータからの出力トルクの低下を抑制することができるようになる。
また、上記電動駐車制動装置において、電流調整手段は、目標電流値に、モータに流れる電流値を近づけるモータ制御部と、モータに対して並列に接続されている抵抗器と、を有するようにしてもよい。この場合、抵抗器は、低温であるほど電気抵抗が大きくなる特性を有していることが好ましい。
上記構成によれば、アクチュエータの使用環境の温度が低いほど、モータに対して並列に接続されている抵抗器に流れる電流値が小さくなる。その結果、目標電流値を可変としなくても、使用環境の温度が低いほどモータに流れる電流値を大きくすることができる。すなわち、上記特性を有する抵抗器を設けることにより、使用環境の温度が低いときには同使用環境の温度が高いときよりもモータに流れる電流値を大きくする構成を実現することができる。
電動駐車制動装置の第1の実施形態を備えるドラムブレーキを示す平面図。 第1の実施形態の電動駐車制動装置の概略構成を示す断面図。 第1の実施形態の電動駐車制動装置において、(a)はアクチュエータの使用環境の温度と目標電流値との関係を示すグラフ、(b)はアクチュエータの使用環境の温度と同アクチュエータからの出力トルクとの関係を示すグラフ。 第1の実施形態の電動駐車制動装置において、アクチュエータを作動させる際に制御装置が実行する処理ルーチンを説明するフローチャート。 第2の実施形態の電動駐車制動装置の概略構成を示すブロック図。 第2の実施形態の電動駐車制動装置において、アクチュエータの使用環境の温度とモータに流れる電流値との関係を示すグラフ。 別の実施形態の電動駐車制動装置において、アクチュエータの使用環境の温度と目標電流値との関係を示すグラフ。 他の別の実施形態の電動駐車制動装置において、アクチュエータの使用環境の温度と目標電流値との関係を示すグラフ。 更なる別の実施形態の電動駐車制動装置において、アクチュエータの使用環境の温度と目標電流値との関係を示すグラフ。
(第1の実施形態)
以下、電動駐車制動装置を具体化した第1の実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1には、電動駐車制動装置40の一部を備えるドラムブレーキ11が図示されている。図1に示すように、ドラムブレーキ11は、車体に支持されている円盤状のバックプレート12と、バックプレート12に組み付けられている一対のブレーキシュー13,14とを備えている。すなわち、これら両ブレーキシュー13,14は、バックプレート12の取付面に沿う方向に変位可能な状態でバックプレート12に支持されている。また、両ブレーキシュー13,14には、車輪と一体回転するブレーキドラムに押し付けられる円弧状のライニング15が設けられている。本明細書では、両ブレーキシュー13,14のうち、図中左側のブレーキシューを第1のブレーキシュー13といい、図中右側のブレーキシューを第2のブレーキシュー14というものとする。
また、ドラムブレーキ11は、第1のブレーキシュー13の上端と第2のブレーキシュー14の上端とに連結されているホイールシリンダ16と、第1のブレーキシュー13の下端と第2のブレーキシュー14の下端とに連結されているアンカーブロック17とを備えている。そして、運転者による制動操作などによってホイールシリンダ16内の液圧が増圧されると、同ホイールシリンダ16によって、第1のブレーキシュー13と第2のブレーキシュー14との間隔が広げられる。こうした各ブレーキシュー13,14の変位によってライニング15がブレーキドラムに押し付けられ、車両に制動力が付与される。
なお、ホイールシリンダ16よりも図中下方には、アジャスタ機構付きの連結部材18と、リターンスプリング19とが設けられている。
また、ドラムブレーキ11は、第1のブレーキシュー13に傾動可能に支持されているパーキングレバー20を備えている。このパーキングレバー20の図中上部が、ピン21及びクリップ22を通じて第1のブレーキシュー13に連結されている。すなわち、パーキングレバー20は、ピン21を中心に第1のブレーキシュー13に対して傾動可能となっている。こうしたパーキングレバー20の図中下部に、電動駐車制動装置40のアクチュエータ50が連結機構30を通じて連結されている。
そして、車両に制動力を付与させるために電動駐車制動装置40が作動されると、図1に示す復帰位置からパーキングレバー20が作動位置に向けて傾動される。すると、こうしたパーキングレバー20の傾動が連結部材18を介して第2のブレーキシュー14に伝達され、第2のブレーキシュー14が変位する。また、このようにパーキングレバー20が傾動されると、パーキングレバー20を支持する第1のブレーキシュー13が変位する。これにより、各ブレーキシュー13,14のライニング15がブレーキドラムに押し付けられ、車両に制動力が付与される。
一方、車両への制動力の付与を解除させる際には、リターンスプリング19の復元力などに基づいて作動位置から図1に示す復帰位置に向けてパーキングレバー20が傾動される。この際、電動駐車制動装置40が作動されることにより、パーキングレバー20の傾動がアシストされる。その結果、各ブレーキシュー13,14のライニング15がブレーキドラムから離間され、車両への制動力の付与が解除される。
次に、図2を参照して、本実施形態の電動駐車制動装置40について説明する。なお、図2における左右方向を「軸方向」というものとする。
図2に示すように、電動駐車制動装置40は、アクチュエータ50と、アクチュエータ50の作動を制御する制御装置100とを備えている。
アクチュエータ50は、モータ51と、同モータ51からの出力トルクを出力する出力機構60とを有している。モータ51は、その出力軸511を正方向及び逆方向に回転させることが可能に構成されている。本明細書では、車両に制動力を付与させるためのモータ51の駆動を正駆動といい、車両への制動力の付与を解除させるためのモータ51の駆動を逆駆動というものとする。そして、モータ51の正駆動時における出力軸511の回転方向は、モータ51の逆駆動時における出力軸511の回転方向の反対方向である。
また、アクチュエータ50は、モータ51を支持している第1のハウジング52と、第1のハウジング52を挟んでモータ51の反対側に位置している第2のハウジング53とを有している。そして、第1のハウジング52と第2のハウジング53とによって、出力機構60の一部が収容されている収容スペース54が形成されている。なお、この収容スペース54内には温度センサSE1が設けられており、この温度センサSE1によって検出された収容スペース54内の温度が、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPとして制御装置100に入力される。
出力機構60は、モータ51の出力軸511と一体回転するピニオン61と、ピニオン61に歯合されている第1の中間ギヤ62と、第1の中間ギヤ62に歯合されている第2の中間ギヤ63と、第2の中間ギヤ63に歯合されている出力ギヤ64とを有している。第1の中間ギヤ62、第2の中間ギヤ63及び出力ギヤ64は、各ハウジング52,53に回転自在に支持されている。そして、モータ51からの出力トルクがピニオン61、第1の中間ギヤ62、第2の中間ギヤ63及び出力ギヤ64に伝達される過程で、モータ51の出力軸511の回転速度が減速されるようになっている。
出力ギヤ64は、軸方向における一端及び他端の双方に開口する筒状部641と、筒状部641の軸方向における中途位置に位置するフランジ部642とを有している。そして、フランジ部642が第2の中間ギヤ63に歯合している。また、筒状部641の内周面には雌ねじ加工が施されている。そのため、筒状部641の内周面が雌ねじ部643となっている。
なお、出力ギヤ64は、ハウジング52,53に対して軸方向に移動可能に支持されている。そして、出力ギヤ64のフランジ部642の軸方向における一端である図中左端と第1のハウジング52との間には、パーキングレバー20からの反力を受けるスラストベアリング65が設けられている。また、筒状部641の軸方向における他端である図中右端と第2のハウジング53との間には、皿ばね組み立て体66が設けられている。この皿ばね組み立て体66は、複数の皿ばね661と、スラストプレート662とを有している。そして、出力ギヤ64が図中右方に移動しているときに出力ギヤ64の図中右端がスラストプレート662に当接すると、同出力ギヤ64の図中右方への移動が規制される。
また、出力機構60には、出力ギヤ64に対して軸方向に相対移動するロッド67が設けられている。このロッド67の周面には雄ねじ加工が施されている。そのため、ロッド67の周面が、出力ギヤ64の雌ねじ部643に螺合する雄ねじ部671となっている。そして、出力ギヤ64の図中左方への移動がスラストベアリング65によって規制されている状況下で、出力ギヤ64が回転されると、ロッド67が軸方向に移動するようになっている。こうしたロッド67の図中左端である先端が、連結機構30を通じてパーキングレバー20に連結されている。したがって、本実施形態の電動駐車制動装置40では、出力ギヤ64及びロッド67によって、モータ51の回転運動を直線運動に変換する「変換機構」の一例が構成される。
なお、ロッド67は、第1のハウジング52の開口部521を通じて図中左方に突出している。こうしたロッド67の突出部分については、伸縮可能なブーツ68によって被覆されている。
連結機構30は、ロッド67の先端に支持されている第1の連結ピン31と、パーキングレバー20に支持されている第2の連結ピン32とを備えている。また、連結機構30には、第1の連結ピン31及び第2の連結ピン32の双方に支持されている一対の連結板33が設けられている。
そして、車両に制動力を付与すべくモータ51が正駆動されると、モータ51からの出力トルクが出力ギヤ64に入力され、出力ギヤ64が回転する。このとき、出力ギヤ64がスラストベアリング65から離れているとき、出力ギヤ64は、回転しつつもスラストベアリング65に接近する方向に移動する。そして、出力ギヤ64がスラストベアリング65に当接すると、スラストベアリング65によって図中左方への移動が規制された状態で出力ギヤ64が回転するようになる。このように出力ギヤ64の図中左方への移動が規制されるようになると、出力ギヤ64の回転によってロッド67が図中右方に移動する。すると、アクチュエータ50からの出力トルクが連結機構30を通じてパーキングレバー20に伝達され、ドラムブレーキ11によって車両に制動力が付与される。なお、このように出力ギヤ64がスラストベアリング65に当接している場合、同出力ギヤ64は皿ばね組み立て体66から離れている。
一方、車両への制動力の付与を解除すべくモータ51が逆駆動されると、出力ギヤ64は、スラストベアリング65によって図中左方への移動が規制された状態で回転される。この際の出力ギヤ64の回転方向は、モータ51の正駆動時とは反対方向である。そのため、こうした出力ギヤ64の回転運動が、雌ねじ部643及び雄ねじ部671を通じてロッド67に伝達されると、ロッド67が図中左方に移動する。すると、アクチュエータ50からの出力トルクが連結機構30を通じてパーキングレバー20に伝達され、ドラムブレーキ11によって車両に付与されている制動力が徐々に小さくなり、やがてドラムブレーキ11による車両への制動力の付与が解除される。
このようにロッド67が図中左方に移動していると、連結機構30の第1の連結ピン31がストッパ41に当接し、ロッド67の図中左方への移動が規制される。すると、出力ギヤ64が、図中右方に移動するようになり、スラストベアリング65から離間される。そして、図中右方に移動している出力ギヤ64の筒状部641が皿ばね組み立て体66に当接すると、出力ギヤ64の移動が皿ばね組み立て体66によって規制される。そして、出力ギヤ64が皿ばね組み立て体66に当接している状態が検出されると、ドラムブレーキ11による車両への制動力の付与が解除されたと判断され、モータ51の逆駆動が停止される。
したがって、本実施形態の電動駐車制動装置40では、出力ギヤ64により、モータ51の正駆動時には軸方向における一方(すなわち、図中左方)に変位し、同モータ51の逆駆動時には軸方向における他方(すななち、図中右方)に変位する「変位部材」の一例が構成される。また、皿ばね組み立て体66により、出力ギヤ64が軸方向における他方に変位しているときに出力ギヤ64が当接する「規制部」の一例が構成される。すなわち、本実施形態の電動駐車制動装置40を構成する変換機構は、出力ギヤ64及びロッド67に加え、皿ばね組み立て体66を有しているということができる。
なお、モータ51の逆駆動によって出力ギヤ64が皿ばね組み立て体66に当接しているか否かは、モータ51に流れる電流値の変化を監視することにより検出することができる。すなわち、出力ギヤ64が皿ばね組み立て体66に当接すると、モータ51に加わる負荷が増大され、モータ51に流れる電流値Imが大きくなる。そのため、例えば電流値Imが判定電流値以上になったときに、出力ギヤ64が皿ばね組み立て体66に当接していると判断することができるようになる。なお、この判定電流値は、後述する目標電流値ImTrよりも小さい値である。
電動駐車制動装置40を構成する制御装置100には、運転者によって操作される操作部110が電気的に接続されている。そして、操作部110が運転者によってオン操作されると、制御装置100は、モータ51を正駆動させ、車両に制動力を付与させる。一方、操作部110が運転者によってオフ操作されると、制御装置100は、モータ51を逆駆動させ、車両への制動力の付与を解除させる。
ところで、モータ51の抵抗値は、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが高いほど大きくなる。そのため、図3(a)に示すように、使用環境の温度TMPが高く、モータ51の抵抗値が大きいほど、モータ51に流すことのできる電流の上限Im_maxが小さくなる。
また、出力機構60では、同出力機構60を構成する部品の間にグリースなどの潤滑剤が用いられている。こうした潤滑剤の粘性は、使用環境の温度TMPが低いほど高くなる。そのため、使用環境の温度TMPが低いほど、潤滑剤の粘性の増大に起因してアクチュエータ50が作動しにくくなる分、アクチュエータ50の出力効率が小さくなる。具体的には、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh以上である場合、使用環境の温度TMPが比較的高く、潤滑剤の粘性があまり変化しない。すなわち、アクチュエータ50の出力効率があまり変化しない。しかし、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh未満である場合、使用環境の温度TMPが低いため、同温度TMPが低くなるほど潤滑剤の粘性が低下する。そのため、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh未満である場合には、使用環境の温度TMPが低いほど、アクチュエータ50の出力効率が低下する。
そこで、本実施形態の電動駐車制動装置40では、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低いときには使用環境の温度TMPが高いときよりもモータ51に流れる電流値Imが大きくなるようにした。より具体的には、図3(a)に実線で示すように、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh以上である場合、制御装置100によって、モータ51に流す電流の目標である目標電流値ImTrが、規定値ImAで固定されている。一方、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh未満である場合、制御装置100によって、目標電流値ImTrが、使用環境の温度TMPが低いほど大きい値に設定される。これにより、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh未満であるときには、温度TMPが低温判定温度TMPTh以上であるときよりも大きい電流をモータ51に流すことが可能となる。
このようにアクチュエータ50の使用環境の温度TMPに応じて目標電流値ImTrを可変とすることにより、図3(b)に示すように、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh未満である場合であっても、アクチュエータ50からの出力トルクXが低下しにくくなる。その結果、使用環境の温度TMPに起因するアクチュエータ50からの出力トルクXの大きさのばらつきが抑えられる。したがって、本実施形態では、温度センサSE1及び制御装置100により、モータ51に流れる電流値Imを、使用環境の温度TMPが低いときには使用環境の温度TMPが高いときよりも大きくする「電流調整手段」の一例が構成される。
ここで、従来の電動駐車制動装置にあっては、図3(a)に破線で示すように、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPによらず、目標電流値ImTrCが固定されている。上述したように、使用環境の温度TMPが低いときには、アクチュエータ50からの出力トルクが小さくなるため、目標電流値ImTrCは、以下に示すような条件を満たすように設定されていた。
・使用環境の温度TMPが非常に高く、モータ51に印加される電圧が小さい最悪の環境下であっても、目標電流値ImTrCが、その時点でモータ51に流すことができる電流の上限Im_maxを超えないこと。
・使用環境の温度TMPが非常に低くても、アクチュエータ50からの出力トルクが許容範囲を下回らないこと。
このように目標電流値ImTrCを設定してモータ51を駆動させると、図3(a)に破線で示すように、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低いほど、アクチュエータ50の出力効率が低下するため、アクチュエータ50からの出力トルクXが小さくなりやすい。一方、使用環境の温度TMPが高く、アクチュエータ50の出力効率が高いときには、アクチュエータ50からの出力トルクXが過剰となりやすい。
この点、本実施形態の電動駐車制動装置40では、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPに応じて目標電流値ImTrが可変される。そのため、図3(a)に示すように、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが高く、アクチュエータ50の出力効率が高いときには、目標電流値ImTr(すなわち、上記の規定値ImA)を、従来の目標電流値ImTrCよりも小さくすることができる。そして、こうした目標電流値ImTrに基づいたモータ51の駆動を制御することにより、使用環境の温度TMPが高く、アクチュエータ50の出力効率が高い場合には、アクチュエータ50からの出力トルクXが過剰となりにくくなる。
次に、図4に示すフローチャートを参照し、アクチュエータ50を作動させる際に制御装置100が実行する処理ルーチンについて説明する。なお、この処理ルーチンは、操作部110が運転者によってオン操作又はオフ操作された際に実行される。
図4に示すように、本処理ルーチンにおいて、制御装置100は、温度センサSE1によって検出されている最新の温度を、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPとして取得する(ステップS11)。この点で、本実施形態の電動駐車制動装置40では、温度センサSE1及び制御装置100により、「温度取得部」の一例が構成される。続いて、制御装置100は、取得した使用環境の温度TMPに基づき、目標電流値ImTrを設定する(ステップS12)。例えば、制御装置100は、図3(a)に実線で示す線に準じたマップを参照することにより、目標電流値ImTrを使用環境の温度TMPに応じた値に設定することができる。したがって、本実施形態の電動駐車制動装置40では、制御装置100により、取得されている使用環境の温度TMPが低いときには同使用環境の温度TMPが高いときよりも目標電流値ImTrを大きくする「目標設定部」の一例が構成される。
そして、制御装置100は、設定した目標電流値ImTrに基づき、アクチュエータ50の作動を制御する(ステップS13)。このとき、制御装置100は、車両に制動力を付与させるときにはモータ51を正駆動させる一方、車両への制動力の付与を解除させるときにはモータ51を逆駆動させる。なお、制御装置100には、モータ51に流れる電流値Imを監視する電流モニタが設けられている。そして、制御装置100は、同電流モニタで検出している電流値Imが目標電流値ImTrに近づくように制御を行う。この点で、本実施形態の電動駐車制動装置40では、制御装置100により、設定されている目標電流値ImTrに、モータ51に流れる電流値Imを近づける「モータ制御部」の一例が構成される。
続いて、制御装置100は、モータ51を停止させるための条件である停止条件が成立しているか否かを判定する(ステップS14)。停止条件が未だ成立していない場合(ステップS14:NO)、制御装置100は、その処理を前述したステップS13に移行し、アクチュエータ50の作動を継続させる。一方、停止条件が既に成立している場合(ステップS14:YES)、制御装置100は、アクチュエータ50の作動、すなわちモータ51の駆動を停止させ(ステップS15)、本処理ルーチンを終了する。
ここで、モータ51に流れる電流値Imは、モータ51に作用する負荷が大きいほど大きくなりやすい。そのため、モータ51を正駆動させて車両に制動力を付与させる場合、各ブレーキシュー13,14のライニング15がブレーキドラムに未だ接触していないときには、モータ51に作用する負荷が小さく、同モータ51に流れる電流値Imは小さい、すなわち同電流値Imは目標電流値ImTr未満である。そして、ライニング15がブレーキドラムに接触するようになると、電流値Imが大きくなる。この際、ライニング15をブレーキドラムに押し付ける力が大きくなるにつれて電流値Imが徐々に大きくなる。そして、電流値Imが目標電流値ImTrに達すると、アクチュエータ50の作動によって、車両に対して適切な大きさの制動力が付与されるようになったと判断することができる。そのため、モータ51を正駆動させているときの停止条件は、電流値Imが目標電流値ImTrに達していることを含んでいる。
一方、モータ51を逆駆動させて車両への制動力の付与を解除させる場合、第1の連結ピン31がストッパ41に当接したり、出力ギヤ64が皿ばね組み立て体66に当接したりする前では、モータ51に作用する負荷が小さく、同モータ51に流れる電流値Imは小さい、すなわち同電流値Imは目標電流値ImTr未満である。そして、第1の連結ピン31がストッパ41に当接するようになると、電流値Imが大きくなる。その後、さらに出力ギヤ64が皿ばね組み立て体66に当接するようになると、電流値Imが徐々に大きくなる。そして、電流値Imが目標電流値ImTrに達すると、アクチュエータ50の作動による車両への制動力の付与が解除されたと判断することができる。そのため、モータ51を逆駆動させているときの停止条件は、電流値Imが目標電流値ImTrに達していることを含んでいる。
以上、上記構成及び作用によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低いときには、同使用環境の温度TMPが高いときよりもモータ51に流れる電流値Imが大きくなる。このように電流値Imが大きくなると、モータ51からの出力トルクが大きくなる。そのため、使用環境の温度TMPが低く、出力機構60で使用されている潤滑剤の粘性が高い場合と、使用環境の温度TMPが高く、出力機構60で使用されている潤滑剤の粘性が低い場合とで、アクチュエータ50からの出力トルクXの差が大きくなりにくい。そして、このように使用環境の温度TMPに起因するアクチュエータ50からの出力トルクXの大きさのばらつきを抑えることにより、アクチュエータ50の作動によって車両に付与される制動力の大きさのばらつきを抑えることができる。
(2)本実施形態の電動駐車制動装置40では、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低いときには、目標電流値ImTrが使用環境の温度TMPが高いときよりも大きくされる。このように目標電流値ImTrを大きくすることで、モータ51に流れる電流値Irを大きくすることができる。すなわち、使用環境の温度TMPに応じて目標電流値ImTrを可変とすることにより、使用環境の温度TMPが低いときには使用環境の温度TMPが高いときよりもモータ51に流れる電流値Imを大きくする構成を実現することができる。
(3)また、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低く、出力機構60で使用されている潤滑剤の粘度が高いと推定されるときほど、目標電流値ImTrが大きくされる。そのため、使用環境の温度TMPが低く、アクチュエータ50の出力効率が低くなっているときには、モータ51に流れる電流値Imを大きくすることで同モータ51からの出力トルクを大きくすることができる。その結果、使用環境の温度TMPが低いことに起因するアクチュエータ50からの出力トルクXの低下を抑制することができる。
(4)アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh以上である場合の目標電流値ImTrである規定値ImAは、従来の目標電流値ImTrCよりも小さい値となっている。そのため、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh以上である場合にモータ51から出力されるトルクを、従来よりも小さくすることができる。これにより、比較的強度の低い部品で出力機構60を構成することが可能となる。その結果、部品の小型化及び出力機構60の小型化を図ることが可能となる。また、モータ51に大きなトルクを出力させる必要性が低くなったため、小型のモータを採用することも可能となる。
(第2の実施形態)
次に、電動駐車制動装置40を具体化した第2の実施形態を図5及び図6に従って説明する。なお、第2の実施形態では、目標電流値ImTrを可変させることなく、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPに応じてモータ51に流れる電流値Imを可変させるようにしている点が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一の部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
図5に示すように、本実施形態の電動駐車制動装置40には、モータ51に対して電気的に並列に接続されている抵抗器80が設けられている。この抵抗器80は、低温であるほど電気抵抗が大きくなる特性を有している。なお、こうした特性を有する抵抗器としては、サーミスタやツェナーダイオードなどの温感抵抗を挙げることができる。
この抵抗器80には、モータ51と同じ大きさの電圧が印加されることとなる。そして、抵抗器80の電気抵抗は、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低いほど大きくなるため、図6に一点鎖線で示すように、抵抗器80に流れる電流値Irは、使用環境の温度TMPが低いほど小さくなる。
また、このように抵抗器80の電気抵抗がアクチュエータ50の使用環境の温度TMPに応じて可変されると、目標電流値ImTrを一定値で固定しても、モータ51に流れる電流値Irもまた可変される。具体的には、図6に実線で示すように、使用環境の温度TMPが低く、抵抗器80の電気抵抗が大きいほど、モータ51に流れる電流値Imは大きくなる。
次に、図6を参照し、本実施形態の電動駐車制動装置40の作用について説明する。
制御装置100によって目標電流値ImTrに基づいてモータ51の駆動が制御される場合、制御装置100は、自身の電流モニタによって、モータ51に流れる電流値Imと、抵抗器80に流れる電流値Irとの和である合計電流値を監視することとなる。そのため、合計電流値(=Im+Ir)が目標電流値ImTrに達するなどして停止条件が成立すると、モータ51の駆動が停止される。この点で、本実施形態の電動駐車制動装置40では、制御装置100により、「モータ制御部」の一例が構成される。
ここで、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが高い場合、抵抗器80の電気抵抗が小さいため、抵抗器80に流れる電流値Irが大きくなる。そのため、図6に示すように、上記の合計電流値が目標電流値ImTrに達している場合、モータ51に流れる電流値Imは比較的小さい。したがって、モータ51からの出力トルクが過剰に大きくなることがない。
その一方で、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低い場合、抵抗器80の電気抵抗が大きいため、抵抗器80に流れる電流値Irが小さくなる。そのため、図6に示すように、上記の合計電流値が目標電流値ImTrに達している場合、モータ51に流れる電流値Imは、使用環境の温度TMPが高い場合よりも大きくなる。その結果、モータ51からの出力トルクが大きくなる。これにより、使用環境の温度TMPが低いときでも、アクチュエータからの出力トルクXが大きくなる。したがって、制御装置100及び抵抗器80により、モータ51に流れる電流値Imを、使用環境の温度TMPが低いときには使用環境の温度TMPが高いときよりも大きくする「電流調整手段」の一例が構成される。
以上、上記構成及び作用によれば、上記実施形態の効果(1)と同等の効果に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(5)本実施形態の電動駐車制動装置40では、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低いほど、モータ51に対して並列に接続されている抵抗器80に流れる電流値Irが小さくなる。その結果、目標電流値ImTrを可変としなくても、使用環境の温度TMPが低いほどモータ51に流れる電流値Imを大きくすることができる。そのため、使用環境の温度TMPが低い場合におけるアクチュエータ50からの出力トルクXの低下を抑制することができる。
(6)また、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが高いほど、抵抗器80に流れる電流値Irが大きくなる。その結果、目標電流値ImTrを可変としなくても、使用環境の温度TMPが高いほどモータ51に流れる電流値Imを小さくすることができる。そのため、使用環境の温度TMPが高い場合におけるアクチュエータ50からの出力トルクXが過剰に大きくなることを抑制することができる。
すなわち、使用環境の温度TMPが高い場合にモータ51から出力されるトルクを、従来よりも小さくすることができる。これにより、比較的強度の低い部品で出力機構60を構成することが可能となる。その結果、部品の小型化及び出力機構60の小型化を図ることが可能となる。
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・第1の実施形態において、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh未満であるときには使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh以上であるときよりも目標電流値ImTrを大きくすることができるのであれば、目標電流値ImTrの変化態様を任意に変更してもよい。
例えば、図7に示すように、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh以上であるときには目標電流値ImTrを、従来の目標電流値ImTrCよりも小さい第1の規定値ImA1に設定してもよい。また、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh未満であるときには目標電流値ImTrを、従来の目標電流値ImTrCよりも大きい第2の規定値ImA2に設定するようにしてもよい。このように目標電流値ImTrを設定する場合であっても、上記(1),(2)及び(4)と同等の効果に加え、以下に示す効果を得ることができる。
アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh未満であるときには、同温度TMPが低温判定温度TMPTh以上であるときよりも出力機構60で使用されている潤滑剤の粘度が高いと推定することができる。そのため、使用環境の温度TMPが低いときには、使用環境の温度TMPが高いときよりも目標電流値ImTrが大きくされるため、モータ51に流す電流値Imを大きくすることが可能となる。その結果、使用環境の温度TMPが低いことに起因するアクチュエータ50からの出力トルクXの低下を抑制することができる。
また、図8に示すように、目標電流値ImTrを多段階で変更するようにしてもよい。すなわち、低温判定温度として、第1の低温判定温度TMPTh1と、同第1の低温判定温度TMPTh1よりも小さい第2の低温判定温度TMPTh2とが設定されている。そして、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが第1の低温判定温度TMPTh1以上であるときには、目標電流値ImTrを、従来の目標電流値ImTrCよりも小さい第1の規定値ImA1に設定してもよい。また、使用環境の温度TMPが第1の低温判定温度TMPTh1未満であって且つ第2の低温判定温度TMPTh2以上であるときには、目標電流値ImTrを、第1の規定値ImA1よりも大きい第2の規定値ImA2に設定してもよい。また、使用環境の温度TMPが第2の低温判定温度TMPTh2未満であるときには、目標電流値ImTrを、第2の規定値ImA2よりも大きい第3の規定値ImA3に設定してもよい。この場合であっても、上記(1),(2)及び(4)と同等の効果を得ることができる。
また、図9に示すように、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低いほど目標電流値ImTrを徐々に大きくなるようにしてもよい。この場合であっても、そのときの電流の上限Im_maxを目標電流値ImTrが超えないようにすることが好ましい。このように目標電流値ImTrを設定することにより、上記(1),(2)と同等の効果を得ることができる。
また、第1の実施形態では、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh以上であるときには目標電流値ImTrを固定値としているが、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh以上であるときでもそのときの使用環境の温度TMPに応じて目標電流値ImTrを可変させるようにしてもよい。ただし、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh以上である場合には、使用環境の温度TMPの変化量に対する目標電流値ImTrの変化量の比を、使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh未満であるときよりも小さくすることが望ましい。
・第1の実施形態において、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPが低温判定温度TMPTh以上であるときの目標電流値ImTrとなる規定値ImAを、従来の目標電流値ImTrCと等しい値としてもよい。
・第1の実施形態では、収容スペース54内に温度センサSE1を設け、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPを実際に計測しているが、使用環境の温度を推定し、この推定値を使用環境の温度TMPとして採用するようにしてもよい。なお、このような温度の推定方法としては、車両の運動エネルギ、電動駐車制動装置40の作動による仕事量、ホイールシリンダ16内の液圧の増圧に伴うドラムブレーキ11の作動による仕事量などを考慮することによりアクチュエータ50の使用環境の温度TMPを推定する方法を挙げることができる。
また、モータ51の起動時には、非常に大きな電流が流れる。このときの電流の最大値は、モータ51のその時点の電気抵抗が小さいほど大きくなる。そして、モータ51の電気抵抗は、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPと相関している。そのため、こうしたモータ51の起動時に流れる電流の最大値を取得できるのであれば、この電流の最大値に基づき使用環境の温度TMPを推定するようにしてもよい。
・第1の実施形態では、車両への制動力の付与時だけではなく車両への制動力の付与の解除時でも、アクチュエータ50の使用環境の温度TMPに応じて目標電流値ImTrを可変としている。しかし、車両への制動力の付与時に使用環境の温度TMPに応じて目標電流値ImTrを可変させるのであれば、車両への制動力の付与の解除時には、使用環境の温度TMPによらず、目標電流値ImTrを一定値で固定させてもよい。
・電動駐車制動装置を、モータ51と出力機構60とを備えるのであれば、任意の構成の装置に具体化してもよい。例えば、電動駐車制動装置を、ドラムブレーキ11ではなくディスクブレーキを作動させる装置に具体化してもよい。また、電動駐車制動装置を、出力機構60からの出力をコントロールケーブルを通じてブレーキに伝達する装置に具体化してもよい。
次に、上記各実施形態及び別の実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)目標設定部は、温度取得部によって取得されているアクチュエータの使用環境の温度が低いほど目標電流値を大きくすることが好ましい。
40…電動駐車制動装置、50…アクチュエータ、51…モータ、60…出力機構、80…電流調整手段の一例である抵抗器、100…電流調整手段及び温度取得部の一例を構成する制御装置(目標設定部、モータ制御部)、SE1…電流調整手段及び温度取得部の一例を構成する温度センサ、Im…電流値、TMP…アクチュエータの使用環境の温度、TMPTh…低温判定温度。

Claims (5)

  1. モータ、及び同モータから出力されるトルクを減速して出力する出力機構を有するアクチュエータを備え、
    同アクチュエータの作動によって、車両への制動力の付与、及び車両への制動力の付与の解除を行う電動駐車制動装置において、
    前記モータに流れる電流値を、前記アクチュエータの使用環境の温度が低いときには同使用環境の温度が高いときよりも大きくする電流調整手段を備え
    前記電流調整手段は、目標電流値に、前記モータに流れる電流値を近づけるモータ制御部と、前記モータに対して並列に接続されている抵抗器と、を有し、
    同抵抗器は、低温であるほど電気抵抗が大きくなる特性を有している
    ことを特徴とする電動駐車制動装置。
  2. 前記電流調整手段は、
    前記アクチュエータの使用環境の温度を取得する温度取得部と、
    取得されている前記使用環境の温度が低いときには同使用環境の温度が高いときよりも目標電流値を大きくする目標設定部と、を有する
    請求項1に記載の電動駐車制動装置。
  3. 前記温度取得部は、前記アクチュエータの使用環境の温度を検出する温度センサを含む
    請求項2に記載の電動駐車制動装置。
  4. 前記アクチュエータの使用環境の温度が低いか否かの判断基準となる温度を低温判定温度とした場合、
    前記目標設定部は、前記温度取得部によって取得されている前記アクチュエータの使用環境の温度が前記低温判定温度よりも低いとき、同使用環境の温度が低いほど目標電流値を大きくする
    請求項2又は請求項3に記載の電動駐車制動装置。
  5. 前記アクチュエータの使用環境の温度が低いか否かの判断基準となる温度を低温判定温度とした場合、
    前記目標設定部は、前記温度取得部によって取得されている前記アクチュエータの使用環境の温度が前記低温判定温度よりも低いとき、同使用環境の温度が前記低温判定温度以上であるときよりも目標電流値を大きくする
    請求項2又は請求項3に記載の電動駐車制動装置。
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