JP2004098841A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操舵負担(操舵トルク)の左右差を、抑制または解消する。運転者に伝わるトルク変動を抑制または解消する。
【解決手段】トルク積算部16は、トルク検出値Tsを所定時間に渡って積算する。舵角平均値演算部15は、舵角θの所定時間に渡る平均値を求める。オフセット演算部17は、トルク積算値を舵角平均値で除算して、トルク検出値Tsの中点ずれ量(オフセット値)OFを求める。減算部12は、オフセットOFをトルク検出値Tsから減じることにより、中点ずれ補正のされた操舵トルク値T1を求める。実トルク不感帯検出部22は、モータ電流値Imが零に保持される操舵トルク値T1の範囲を実トルク不感帯として検出する。加算部24では、実トルク不感帯を排除する補正が行われ、補正後の操舵トルク値T2が求められる。この操舵トルク値T2に基づいて、電動モータMの目標電流値が設定される。
【選択図】 図5
【解決手段】トルク積算部16は、トルク検出値Tsを所定時間に渡って積算する。舵角平均値演算部15は、舵角θの所定時間に渡る平均値を求める。オフセット演算部17は、トルク積算値を舵角平均値で除算して、トルク検出値Tsの中点ずれ量(オフセット値)OFを求める。減算部12は、オフセットOFをトルク検出値Tsから減じることにより、中点ずれ補正のされた操舵トルク値T1を求める。実トルク不感帯検出部22は、モータ電流値Imが零に保持される操舵トルク値T1の範囲を実トルク不感帯として検出する。加算部24では、実トルク不感帯を排除する補正が行われ、補正後の操舵トルク値T2が求められる。この操舵トルク値T2に基づいて、電動モータMの目標電流値が設定される。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータが発生する駆動力をステアリング機構に伝達して操舵補助する構成の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動モータの駆動力をステアリング機構に機械的に伝達することによって操舵補助する電動パワーステアリング装置が従来から用いられている。電動モータは、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクに応じて設定される目標電流値に基づいて制御され、これによって、操舵トルクに応じた操舵補助力がステアリング機構に与えられる。
【0003】
操舵トルクに対する目標電流値の特性は、アシスト特性とよばれる。一般的なアシスト特性は、零の近傍の操舵トルク範囲をトルク不感帯とし、このトルク不感帯内の操舵トルク値に対しては目標電流を零とする一方で、トルク不感帯外の操舵トルク値に対しては、所定の上限値までの範囲で目標電流値の絶対値を操舵トルクに応じて増加させるように定められている。これにより、操舵トルクが大きいほど、大きな操舵補助力がステアリング機構が与えられ、良好な操舵フィーリングが得られる。
【0004】
また、アシスト特性にトルク不感帯を設けていることにより、操舵トルクを検出するトルクセンサに多少の出力誤差がある場合でも、ステアリングホイールが自転したりすることがない。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−278818号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、トルク不感帯では、操舵補助がされないので、システムのマニュアルトルク性能が露出する。そのため、ステアリング機構に含まれる、たとえばラックアンドピニオンの噛み合いむらや、電動モータのコギングトルク等に起因するトルク変動が、ステアリングホイールから運転者に伝えられ、操舵フィーリングを損なうおそれがある。
【0007】
この問題は、ラックアンドピニオンの噛み合い部や電動モータのコギングトルクの管理精度を高くすることによって改善されるが、製造工程数が増えたりして、コスト高となる。
また、トルクセンサ自体に出力誤差があるか否かにかかわりなく、ステアリングホイールを右に操作するときと左に操作するときとでは、運転者の操舵負担(操舵トルク)が必ずしも均等にならず、いわゆる左右差が生じる。たとえば、車両重量の左右差やサスペンション回転効率の左右差などに起因して、操舵負担の左右差が生じる場合がある。この場合には、旋回時等の大舵角域において、運転者が操舵負担の左右差を感じることが多い。また、電動パワーステアリング装置自体の機械的な作動効率の左右差等に起因して操舵負担の左右差が生じる場合がある。この場合には、直進走行時等の微小舵角域において、運転者が操舵負担の左右差を感じ取ることが多い。
【0008】
そこで、この発明の第1の目的は、操舵負担(操舵トルク)の左右差を、抑制または解消することができる電動パワーステアリング装置を提供することである。
また、この発明の第2の目的は、運転者に伝わるトルク変動を安価な構成で抑制または解消して、操舵フィーリングを向上することができる電動パワーステアリング装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、車両の操向のための操作部材(1)の操作量に応じて制御される電動モータ(M)の駆動力をステアリング機構(3)に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、上記操作部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(5)と、上記操舵トルク検出手段の検出値であるトルク検出値を所定時間積算してトルク積算値を求めるトルク積算手段(16)と、上記操作部材の舵角を求める舵角検出手段(6)と、この舵角検出手段によって検出される舵角の上記所定時間に渡る平均値を求める舵角平均値演算手段(15)と、上記トルク積算手段によって求められたトルク積算値および上記舵角平均値演算手段によって求められた舵角平均値に基づいて、上記操舵トルク検出手段の中点ずれを補正する中点ずれ補正手段(12,17,18)とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0010】
この発明によれば、所定時間(たとえば、5秒程度)に渡ってトルク検出値が積算されるとともに、当該所定時間に渡る舵角検出手段の検出値の平均値が求められる。そして、これらに基づいて、操舵トルク検出手段の中点ずれが補正される。すなわち、上記所定時間ごとに、いわばリアルタイムで、操舵トルク検出手段の中点ずれが検出されて補正されていく。
したがって、このような中点ずれ補正のされた操舵トルク値に基づいて電動モータを制御することにより、車両の負荷状態(乗車状況、荷物の積載状況、重心の位置など)や、ステアリング機構の機械的な作動効率などに起因する操舵トルクの左右差を解消でき、良好な操舵フィーリングを実現できる。
【0011】
なお、上記電動パワーステアリング装置は、上記中点ずれ補正手段によって中点ずれ補正のされた操舵トルク値に基づいて、電動モータの目標電流値を設定する目標電流値設定手段(13)と、この目標電流値設定手段が設定した目標電流値に基づいて上記電動モータを駆動するモータ駆動手段(20)とをさらに含むことが好ましい。
また、上記中点ずれ補正手段は、上記トルク積算値を上記舵角平均値で除した値に基づいて、操舵トルク検出手段の中点ずれ量(オフセット値)を求める中点ずれ量演算手段(17)と、この中点ずれ量演算手段によって求められた中点ずれ量を上記操舵トルク検出手段が検出した操舵トルク値から減じる減算手段(12)とを含むものであってもよい。
【0012】
このような構成により、舵角が大きい場合ほど、中点ずれ量が少なく見積もられる。大舵角域においては、トルク積算値の値は、中点ずれを正確には反映しないのであるが、上記のようにして中点ずれ量を求めることにより、大舵角域における中点ずれ補正が抑制される。
この構成の場合に、上記舵角平均値が舵角域(小舵角域か大舵角域か)を正確に表すようにし、また、中点ずれ量を求めるときの除数を零にしないために、上記舵角平均値演算手段は、上記舵角検出手段が検出する舵角の絶対値の平均値を求めるものであることが好ましい。
【0013】
中点ずれ量を求めるときの除数があまり小さな値となると、求めた中点ずれ量が大きくなってしまうから、上記舵角平均値演算手段は、所定値以上の絶対値を有する舵角の絶対値のみを抽出して平均値を求めるものであることが好ましい。
また、上記中点ずれ量演算手段は、上記所定時間における右切り(または左切り)時間の割合が所定範囲(たとえば、20%〜80%)である場合に限り、中点ずれ量の演算を行って、中点ずれ量を更新するものであることが好ましい。操作部材を左右に操作していなければ中点ずれ量を求めることができないからである。
【0014】
上記所定時間の間、車速が所定値(たとえば、10km/h)以上に保持されることを条件に、上記トルク積算手段は、上記所定時間に渡ってトルク検出値の積算を行い、上記舵角平均値演算手段は、上記所定時間に渡る舵角の平均値を求めるものであることが好ましい。トルク積算値および舵角平均値を用いた中点ずれの補正は、停車中にはあまり正確に行えないと考えられるからである。
請求項2記載の発明は、上記電動モータの駆動電流が零のときの上記トルク検出値に基づいて、上記電動モータの駆動電流が零に保持される操舵トルクの範囲である実トルク不感帯を検出する実トルク不感帯検出手段(22)と、上記トルク検出値を、上記実トルク不感帯を排除するように補正する不感帯排除補正手段(24)とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置である。
【0015】
この構成によれば、操舵トルク検出手段の検出値に基づいて実際のトルク不感帯である実トルク不感帯が検出され、この実トルク不感帯が排除される。すなわち、操舵トルクの中点付近においても、電動モータは、零以外の目標電流値に基づいて駆動される。これによって、たとえばラックアンドピニオン機構の噛み合い精度や電動モータのコギングトルクに起因するトルク変動が操作部材を介して運転者に伝達されることを防止でき、操舵フィーリングを改善できる。しかも、たとえば、プログラム処理のみで、操舵トルクの変動を抑制または解消できるから、コストの大幅な増加を要することがない。
【0016】
しかも、操舵トルク検出手段の検出値に対する中点ずれ補正がなされるから、操舵トルクの検出誤差に起因して、ステアリング機構に不所望な操舵補助力が働いたり、操作部材が不用意に動いたりすることがない。
なお、実トルク不感帯検出手段は、中点ずれ補正後の操舵トルク値に基づいて、実トルク不感帯を検出するものであってもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。操作部材としてのステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ステアリング機構3に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータMが発生する駆動力が、操舵補助力として、ギヤ機構を介して、またはダイレクトドライブ方式によって、機械的に伝達されるようになっている。
【0018】
ステアリング機構3は、ステアリングシャフト2に結合されたピニオンギヤと、このピニオンギヤに噛合し、車両の左右方向に移動可能に支承されたラックとを有し、このラックの移動によって、車両の左右の舵取り用の車輪が転舵されるようになっている。
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2Aと、ステアリング機構3側に結合された出力軸2Bとに分割されていて、これらの入力軸2Aおよび出力軸2Bは、トーションバー4によって互いに連結されている。トーションバー4は、ステアリングホイール1に加えられた操舵トルクに応じてねじれを生じるものであり、このねじれの方向および量は、トルクセンサ5によって検出されるようになっている。このトルクセンサ5が出力するトルク検出値Tsは、コントローラ10(電子制御ユニット)に入力されている。
【0019】
コントローラ10には、トルクセンサ5の出力信号のほかにも、ステアリングホイール1の舵角θを検出する舵角センサ6と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の車速Vを検出する車速センサ7との各出力信号も入力されている。
コントローラ10は、トルクセンサ5が出力するトルク検出値Tsおよび車速センサ7によって検出される車速Vに応じた目標電流値を設定し、この目標電流値に基づいてモータドライバ20を制御することにより、電動モータMに適切な駆動電流を与える。これにより、操舵トルクおよび車速Vに応じた操舵補助力が、ステアリング機構3に与えられることになる。
【0020】
コントローラ10は、内部に備えられたマイクロコンピュータによるプログラム処理によって、トルク検出値Tsに対して中点ずれ補正を施すためのオフセット値(中点ずれ量)OFを生成するオフセット値生成部11と、このオフセット値生成部11が生成するオフセット値OFをトルク検出値Tsから減算して中点ずれ補正のされた操舵トルク値T1(=Ts−OF)を出力する減算部12と、この減算部12が生成する操舵トルク値T1および車速Vに基づいて、電動モータMを駆動するための目標電流値を設定する目標電流値設定部13との各機能を実現する。
【0021】
オフセット値生成部11は、舵角センサ6の検出値の所定時間(たとえば5秒間)に渡る平均値Zaveを算出する舵角平均値演算部15と、トルク検出値Tsを上記所定時間に渡って積算してトルク積算値Ztを求めるトルク積算部16と、舵角平均値演算部15が求めた舵角平均値Zaveとトルク積算部16が求めたトルク積算値Ztとに基づいてオフセット値OFを求めるオフセット値演算部17と、このオフセット値演算部17が求めたオフセット値OFを記憶して保持するオフセット値記憶部18とを有している。舵角平均値演算部15およびトルク積算部16は、いずれも、車速センサ7が所定車速(たとえば、10km/h)以上の車速Vを検出していること、すなわち、車両が走行状態であることを条件に、舵角平均値Zaveおよびトルク積算値Ztをそれぞれ演算するようになっている。
【0022】
また、舵角平均値演算部15は、舵角センサ6が検出する舵角の絶対値|θ|の平均値を求めるものであり、また、舵角の絶対値|θ|が所定値(たとえば1度)以上であることを条件に、舵角センサ6の検出値θを平均値演算に用いるようになっている。
図2は、目標電流値設定部13の働きを説明するための図であり、操舵トルク値Tに対する目標電流値の関係(アシスト特性)が示されている。操舵トルク値Tは、たとえば右方向への操舵のためのトルクが正の値にとられ、左方向への操舵のためのトルクが負の値にとられている。また、目標電流値は、電動モータMから右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、電動モータMから左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。
【0023】
目標電流値は、操舵トルク値Tの正の値に対しては正の値をとり、操舵トルク値Tの負の値に対しては負の値をとる。操舵トルク値Tが−α〜α(たとえば、α=0.4N・m)の範囲(トルク不感帯)の微小な値のときには、目標電流値は零とされる。また、目標電流値は、車速センサ7によって検出される車速Vが大きいほど、その絶対値が小さく設定されるようになっている。これにより、低速走行時には大きな操舵補助力を発生させることができ、高速走行時には操舵補助力を小さくすることができる。
【0024】
この実施形態では、目標電流値の設定のために用いられる操舵トルク値Tとして、上記の中点ずれ補正のされた操舵トルク値T1が用いられる。
図3は、オフセット値生成部11による処理を説明するための図である。トルクセンサ5は、理想的には、ステアリングホイール1に加えられる操舵トルク値Tに比例するトルク検出値を出力するが、車両の負荷状態などによっては左右差を生じる。すなわち、操舵トルクが零であるにも拘わらず、トルク検出値Tsは正または負の値をとる。このときのトルク検出値Tsがオフセット値OFとして、オフセット値生成部11によって求められることになる。
【0025】
オフセット値OFが零の場合、すなわち、中点ずれの補正をしないときのトルク検出値Tsと目標電流値演算に用いられることになる操舵トルク値T1との関係は、図3において破線で示すとおりであり、オフセット値OFが零以外の値(たとえば負の値のとき)には、減算部12での演算の結果、トルク検出値Tsと目標電流値演算用の操舵トルク値T1との関係は、図3において実線で示すとおりとなる。
【0026】
図4は、オフセット値生成部11によるオフセット値OFの生成処理を説明するためのフローチャートである。まず、車両が所定車速(この例では10km/h)以上で走行中かどうかを判断するために、車速Vが上記所定車速以上かどうかが判断される(ステップS1)。車速Vが所定車速未満であれば、後述する複数のパラメータt,ta,Zt,Zθをそれぞれ零に初期化して(ステップS11)、リターンする。
【0027】
車速Vが所定車速以上であれば、舵角検出値θおよびトルク検出値Tsを積算している時間(積算時間)t(秒)が所定時間(この例では5秒)に達したかどうかが判断される(ステップS2)。積算時間tが所定時間に達すると(ステップS2のNO)には、積算時間tのうちで、舵角θが正の値(すなわち、舵角中点から右側に切ったときの値)である状態での積算時間(正側積算時間)taが一定範囲(この例では、4秒>ta>1秒。すなわち、全体の積算時間(この例では5秒)の20〜80%)内の値かどうかが判断される(ステップS3)。正側積算時間Taが上記一定範囲内の値でなければ、上記のパラメータt,ta,Zt,Zθがそれぞれ零に初期化されて(ステップS11)、リターンする。
【0028】
積算時間tが所定時間に達していないと(ステップS2のYES)、舵角θが一定舵角範囲(この例では1度>θ>−1度)の値かどうか、すなわち、舵角の絶対値|θ|が一定値(この例では1度)未満かどうかが調べられる(ステップS4)。舵角θが上記一定舵角範囲外の値であれば(ステップS4のNO)、さらに、舵角θが正側の値かどうか、すなわち、θ≧1度かどうかが判断される(ステップS5)。舵角θがθ≧1度であれば、正側積算時間taに演算周期f(秒)が加算され(ステップS6)、さらに、積算時間tに演算周期fが加算される(ステップS7)。
【0029】
一方、舵角θが、θ<1度であれば(ステップS5のNO)、正側積算時間taについては演算周期fを加算せずに、積算時間tについてのみ、演算周期fの加算が行われる(ステップS7)。
つづくステップS8では、トルク積算値Ztに、今周期におけるトルク検出値Tsが積算され、さらに、舵角積算値Zθに、今周期における舵角の絶対値|θ|が加算されて、リターンする。
【0030】
一方、ステップS3において、正側積算時間taが一定範囲内の値であると判断されたとき、すなわち、トルク積算値Ztおよび舵角積算値Zθを所定時間に渡って積算する間に、正側(右側)および負側(左側)への操舵がある程度の割合で行われたときは、オフセット値OFが求められる。
より具体的には、Zave=Zθ÷(t/f)(t/fは、積算回数に対応する。)によって、上記所定時間に渡る舵角平均値Zaveが求められる(ステップS9)。さらに、トルク積算値Ztを舵角平均値Zaveで除することにより、オフセット値OF(=Zt/Zave)が求められる(ステップS9)。こうして求められたオフセット値OFは、新たなオフセット値OFとして、オフセット値記憶部18に記憶されて保持されることになる(ステップS10)。その後は、上記のパラメータt,ta,Zt,Zθがそれぞれ零に初期化されて(ステップS11)、リターンする。
【0031】
このように、トルク積算値Ztを舵角平均値Zaveで除してオフセット値OFを求めていることにより、大舵角での操作がされたときには、オフセット値OFを小さくでき、小舵角域での操作時には、オフセット値OFが比較的大きく定められることになる。大舵角域では、トルク積算値Ztは必ずしもトルク検出値Tsの中点ずれ量に対応しないので、上記のようにして定められたオフセット値OFは、大舵角域で操舵されるか小舵角域で操舵されるかに拘わらず、妥当な値を有することになる。
【0032】
以上のようにこの実施形態によれば、中点ずれの補正された操舵トルク値T1に基づいて目標電流値が定められることになるから、運転者の操舵負担の左右差を抑制または解消することができ、良好な操舵フィーリングを実現できる。しかも、所定時間(たとえば5秒)に渡るトルク積算値Ztおよび舵角平均値Zaveに基づいて求められるオフセット値OFは随時更新されていくので、いわばリアルタイムで中点ずれの補正を行うことができ、車両の負荷状態等に起因する操舵トルクの左右差を効果的に抑制または解消できる。
【0033】
図5は、この発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。上述の図1に示された各部に対応する部分には、図5中に図1の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
この実施形態では、電動モータMに流れる電流値(モータ電流値)Imを検出するモータ電流検出部21の出力と、減算部12によって中点ずれ補正のされた後の操舵トルク値T1とに基づいて、実際のトルク不感帯(実トルク不感帯)を検出する実トルク不感帯検出部22が設けられている。この実トルク不感帯検出部22は、モータ電流値Imが零のときの操舵トルク値T1を検出することによって、モータ電流値Imが零に維持される操舵トルク値T1の実際の範囲(実トルク不感帯)を検出する。この実トルク不感帯検出部22が検出する実トルク不感帯に対応するデータは、トルク不感帯記憶部23に記憶される。
【0034】
図6は、トルク不感帯記憶部23に記憶されるデータを説明するための図であり、中点ずれ補正後の操舵トルク値T1とモータ電流値Imとの関係が示されている。中点ずれ補正後の操舵トルク値T1が零の近傍の実トルク不感帯範囲TL≦T1≦TR内の値をとるときにモータ電流値Imが零に保持されることが検出されたとすると、トルク不感帯記憶部23には、負側(左側)不感帯閾値TL(<0)と、正側(右側)不感帯閾値TR(>0)とが記憶される。
【0035】
トルク不感帯記憶部23は、減算部12が出力する中点ずれ補正後の操舵トルク値T1が正の値のとき(すなわち、右側への操舵トルクのとき)には、正側不感帯閾値TR(正の値)を加算部24に与え、中点ずれ補正後の操舵トルク値T1が負の値のとき(すなわち、左側への操舵トルクのとき)には、負側不感帯閾値TL(負の値)を加算部24に与える。
加算部24においては、中点ずれ補正後の操舵トルク値T1に不感帯閾値TR,TLのいずれかが加算され、これによって、操舵トルク値T1に対して、実トルク不感帯を排除するための補正(実トルク不感帯排除補正)が施されることになる。この実トルク不感帯排除補正後の操舵トルク値T2が、目標電流値設定部13における目標電流値の設定のために用いられることになる。すなわち、上記図2のアシスト特性における操舵トルク値Tとして実トルク不感帯排除補正後の操舵トルク値T2が適用される。
【0036】
操舵トルク値T2は、結局、次の(1)式および(2)式により表される。
右切りの場合 T2=Ts−OF+TR ・・・・・・ (1)
左切りの場合 T2=Ts−OF+TL ・・・・・・ (2)
図7は、トルク検出値Tsと、操舵トルク値T1,T2との関係を示す図である。中点ずれの補正も実トルク不感帯排除のための補正もしないときには、トルク検出値Tsと目標電流値演算に用いられることになる操舵トルク値とは、直線L0で示す比例関係にある。これに対して、中点ずれ補正を施すことにより、トルク検出値Tsと中点ずれ補正後の操舵トルク値T1との関係は、操舵トルク値の座標軸に沿って直線L0をオフセット値OFの分だけ平行移動した直線L1に従う。さらに、トルク検出値Tsに対して中点ずれ補正および実トルク不感帯排除のための補正を施すと、トルク検出値Tsと目標電流値設定のために用いられる操舵トルク値T2との関係は、折れ線L2に従うことになる。この折れ線L2は、直線L1においてTs>OFの部分を操舵トルク値の座標軸に沿って正側不感帯閾値TRだけ移動(TR>0なので正方向に移動)し、直線L1においてTs<OFの部分を操舵トルク値の座標軸に沿って負側不感帯閾値TLだけ移動(TL<0なので負方向に移動)して得られる。
【0037】
図8(a)は、中点ずれ補正後の操舵トルク値T1に基づいて目標電流値を定めたとき(上記第1の実施形態の場合)の特性を示し、トルク検出値Tsと目標電流値との関係を示す。図8(b)は中点ずれ補正および実トルク不感帯排除補正の両方を施した操舵トルク値T2に基づいて目標電流値を定めたとき(この実施形態)のトルク検出値Tsと目標電流値との関係を示す。
図8(a)に示すように、中点ずれ補正のされた操舵トルク値T1に基づいて目標電流値を設定すると、−α≦T1≦αの範囲がトルク不感帯となる。すなわち、この操舵トルク範囲においては、目標電流値が零に保持され、電動モータMは駆動力を発生しない。
【0038】
これに対して、上記(1)式および(2)式によって補正された後の操舵トルク値T2が目標電流値設定部13に与えられると、トルク不感帯が排除され、いずれの操舵トルク域においても電動モータMが駆動されて、操舵補助力がステアリング機構3に与えられることになる。
その結果、ステアリング機構3に備えられた、たとえばラックアンドピニオンの噛み合わせに起因するトルクむらや、電動モータMのコギングトルクが、ステアリングホイール1を介して運転者に伝達されることを抑制または防止することができる。つまり、不所望なトルク変動を抑制できるから、操舵フィーリングを改善することができる。
【0039】
図9は、実トルク不感帯検出部22による処理内容を説明するためのフローチャートである。まず、車速Vが所定車速(この例では、10km/h)以上かどうかが判断される(ステップS21)。車速Vが所定車速未満であれば、その後の処理を行わずにリターンする。
車速Vが所定車速以上であれば(ステップS21のYES)、現在のトルク検出値Tsを中点ずれ補正した操舵トルク値T1(=Ts−OF)とトルク不感帯記憶部23に記憶された正側不感帯閾値TRとが比較され、さらに、モータ電流値Imが零以下かどうかが判断される(ステップS22)。操舵トルク値T1が正側不感帯閾値TRよりも大きく、かつ、モータ電流値Imが零以下である場合には、その操舵トルク値T1を新たな正側不感帯閾値TRとしてトルク不感帯記憶部23に格納する(ステップS23)。その後、処理は、リターンする。
【0040】
一方、操舵トルク値T1が正側不感帯閾値TR以下であるか、または、モータ電流値Imが零を超えていれば(ステップS22のNO)、今度は、操舵トルク値T1がトルク不感帯記憶部23に記憶された負側不感帯閾値TL未満であり、かつ、モータ電流値Imが零以上であるかどうかが判断される(ステップS24)。もし、この判断が肯定されれば、その操舵トルク値T1が、新たな負側不感帯閾値TLとしてトルク不感帯記憶部23に格納されることになる(ステップS25)。その後、処理はリターンする。
【0041】
ステップS24において、操舵トルク値T1が負側不感帯閾値TL以上であるか、または、モータ電流値Imが0未満であれば(ステップS24のNO)、負側不感帯閾値TLを更新することなく、処理をリターンする。
なお、ステップS22,S24におけるモータ電流値Imについての判断は、電動モータMが停止状態、または、車輪からの逆入力によりモータが回転させられることによりモータに発生する逆起電力に応じたモータ電流が流れているかどうかのための判断であるので、モータ電流値Imに代えて、モータ電圧が零以下かどうか(ステップS22の場合)、またはモータ電圧が零以上かどうか(ステップS24の場合)を判断するようにしてもよい。
【0042】
図10は、コントローラ10による電動モータMの制御ルーチンを説明するためのフローチャートである。操舵中かどうかを判断するために、トルク検出値Tsとオフセット値OFとが等しいかどうかが判断される(ステップS31。T1=0かどうかを判定してもよい)。これらが等しく、したがって、操舵中でない(左右いずれにもステアリングホイール1を操作していない。)と判断されると、目標電流値の設定のための操舵トルク値TがT=Ts−OFに設定される(ステップS32)。すなわち、この場合には、加算部24(図5参照)による処理が省かれる。この操舵トルク値Tに基づいて目標電流値が設定され(ステップS33)。この目標電流値に基づいて、電動モータMが制御されることになる(ステップS34)。
【0043】
一方、ステップS31において、トルク検出値Tsがオフセット値OFに等しくなく、したがって、操舵中であると判断されると、減算部12での補正後の操舵トルク値T1(=Ts−OF)の符号に基づき、右切り状態(T1>0。すなわち、Ts>OF)かどうかが判断される(ステップS35)。右切り状態であれば、目標電流値の設定のための操舵トルク値TをT=T2=Ts−OF+TRによって求め(ステップS36)、左切り状態(T1<0。すなわち、Ts<OF)であれば(ステップS35のNO)、目標電流値の設定のための操舵トルク値TをT=T2=Ts−OF+TLによって求める(ステップS37)。このようにして求められた操舵トルク値Tに基づいて、目標電流値が設定され(ステップS33)、この目標電流値に基づいて、電動モータMが制御される。
【0044】
このようにして、トルク不感帯を排除した制御を実現することができる。しかも、操舵トルクの中点をリアルタイムで検出しているから、手放し状態において、ステアリングホイール1の自動回転が生じたりすることはない。
図11は、ステアリングホイール1を左右に回転させたときの舵角θと操舵トルク(運転者の操舵負担)との関係の一例を示す図である。二点鎖線は、減算部12および加算部24による補正を行わず、トルク検出値Tsを図2のアシスト特性に適用した場合の特性を示す。これに対して、減算部12および加算部24による補正を行った操舵トルク値T2を図2のアシスト特性に適用した場合の特性が実線で示されている。
【0045】
これらの2つの曲線の比較から理解されるとおり、トルク検出値Tsにオフセット値OFを加算することによって左右差が解消されており、さらに、トルク不感帯を排除することによって、目標電流値設定部13が従うアシスト特性におけるトルク不感帯範囲内の操舵トルク範囲における微小なトルク変動(たとえば、参照符号A1,A2で示す部分を参照)が軽減されていることが理解される。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の第2の実施形態では、トルク検出値Tsに対して中点ずれを施して得られた操舵トルク値T1に基づいて実トルク不感帯の検出を行っているが、中点ずれ補正前のトルク検出値Tsをそのまま用いて実トルク不感帯、すなわち、正側不感帯閾値TR′および負側不感帯閾値TL′を検出してもよい。この場合には、上記(1)式および(2)式に代えて、次の(1)′式および(2)′式が用いられることになる。
【0046】
右切りの場合 T2=Ts+TR′ ・・・・・・ (1)′
左切りの場合 T2=Ts+TL′ ・・・・・・ (2)′
また、上記の実施形態では、操舵トルク値T1の符号に基づいて右切りか左切りかを判断しているが、トルク検出値Tsとオフセット値OFとを大小比較して、右切りか左切りかを判断するようにしてもよい。
また、ステアリング機構3の静止摩擦等に起因するトルクロスを解消するために、電動モータMを駆動するための制御信号にディザ制御信号を重畳し、擬似的に摩擦のない状態としておくと好ましい。すなわち、ステアリング機構3や電動モータMの機械的な粘性に起因して、電動モータMが作動しないトルク範囲(機械な不感帯)が存在しており、電動モータMの駆動指示がそのようなトルク範囲内の値であると、電動モータMが作動しないことになる。これにより、直進時の安定性が悪かったり、ステアリングホイール1を切り始めるときの応答性が不足したりする。このような問題が、ディザ制御信号を電動モータMを駆動するための制御信号に重畳することによって改善される。
【0047】
たとえば、車両の直進時、ステアリングホイール1の舵角が微小な状態が一定時間以上継続するとき、および操舵トルクが微小な状態が一定時間以上継続するときなどに、ディザ制御信号の重畳を行えばよい。
ディザ制御信号の振幅は、電動モータMの機械的な不感帯範囲内とし、その周波数は、たとえば、50〜10Hzとすればよい。
とくに、ステアリングギヤ比の変更が可能なステアリング機構や、ステアリングホイールと転舵機構との機械的な結合を持たないステアバイワイヤシステムにおいて、ディザ制御信号の重畳を行うと、効果的である。ステアバイワイヤシステムの場合には、ステアリングホイールに操舵反力を与えるための反力アクチュエータの駆動制御信号に対してもディザ制御信号を重畳することが好ましい。
【0048】
さらに、上記の実施形態では、電動モータMを制御するための目標駆動値として目標電流値を用いているが、目標電圧値や操舵補助力の目標値であるアシストトルク目標値を目標駆動値として用いてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】目標電流値設定部の働きを説明するための図であり、操舵トルクに対する目標電流値の関係が示されている。
【図3】オフセット値生成部によって生成されるオフセット値を説明するための図である。
【図4】オフセット値生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】この発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】中点ずれ補正後の操舵トルク値とモータ電流値との関係を示す図である。
【図7】トルク検出値と操舵トルク値との関係を示す図である。
【図8】図8(a)は、中点ずれ補正後の操舵トルク値に基づいて目標電流値を定めたときの特性を示し、図8(b)は中点ずれ補正および実トルク不感帯排除補正の両方を施した操舵トルク値に基づいて目標電流値を定めたときの特性を示す。
【図9】実トルク不感帯検出処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図10】電動モータの制御ルーチンを説明するためのフローチャートである。
【図11】ステアリングホイールを左右に回転させたときの舵角と操舵トルク(運転者の操舵負担)との関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ステアリング機構
4 トーションバー
5 トルクセンサ
6 舵角センサ
7 車速センサ
10 コントローラ
11 オフセット値生成部
12 減算部
13 目標電流値設定部
15 舵角平均値演算部
16 トルク積算部
17 オフセット値演算部
18 オフセット値記憶部
20 モータドライバ
21 モータ電流検出部
22 実トルク不感帯検出部
23 トルク不感帯記憶部
24 加算部
M 電動モータ
Ts トルク検出値
T1 中点ずれ補正後の操舵トルク値
T2 中点ずれ補正およびトルク不感帯排除補正をした操舵トルク値
V 車速
Zt トルク積算値
Zθ 舵角積算値
Zave 舵角平均値
θ 舵角
t 積算時間
ta 正側積算時間(右切りの積算時間)
OF オフセット値(中点ずれ量)
f 演算周期
Im モータ電流値
TR 正側不感帯閾値
TL 負側不感帯閾値
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータが発生する駆動力をステアリング機構に伝達して操舵補助する構成の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動モータの駆動力をステアリング機構に機械的に伝達することによって操舵補助する電動パワーステアリング装置が従来から用いられている。電動モータは、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクに応じて設定される目標電流値に基づいて制御され、これによって、操舵トルクに応じた操舵補助力がステアリング機構に与えられる。
【0003】
操舵トルクに対する目標電流値の特性は、アシスト特性とよばれる。一般的なアシスト特性は、零の近傍の操舵トルク範囲をトルク不感帯とし、このトルク不感帯内の操舵トルク値に対しては目標電流を零とする一方で、トルク不感帯外の操舵トルク値に対しては、所定の上限値までの範囲で目標電流値の絶対値を操舵トルクに応じて増加させるように定められている。これにより、操舵トルクが大きいほど、大きな操舵補助力がステアリング機構が与えられ、良好な操舵フィーリングが得られる。
【0004】
また、アシスト特性にトルク不感帯を設けていることにより、操舵トルクを検出するトルクセンサに多少の出力誤差がある場合でも、ステアリングホイールが自転したりすることがない。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−278818号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、トルク不感帯では、操舵補助がされないので、システムのマニュアルトルク性能が露出する。そのため、ステアリング機構に含まれる、たとえばラックアンドピニオンの噛み合いむらや、電動モータのコギングトルク等に起因するトルク変動が、ステアリングホイールから運転者に伝えられ、操舵フィーリングを損なうおそれがある。
【0007】
この問題は、ラックアンドピニオンの噛み合い部や電動モータのコギングトルクの管理精度を高くすることによって改善されるが、製造工程数が増えたりして、コスト高となる。
また、トルクセンサ自体に出力誤差があるか否かにかかわりなく、ステアリングホイールを右に操作するときと左に操作するときとでは、運転者の操舵負担(操舵トルク)が必ずしも均等にならず、いわゆる左右差が生じる。たとえば、車両重量の左右差やサスペンション回転効率の左右差などに起因して、操舵負担の左右差が生じる場合がある。この場合には、旋回時等の大舵角域において、運転者が操舵負担の左右差を感じることが多い。また、電動パワーステアリング装置自体の機械的な作動効率の左右差等に起因して操舵負担の左右差が生じる場合がある。この場合には、直進走行時等の微小舵角域において、運転者が操舵負担の左右差を感じ取ることが多い。
【0008】
そこで、この発明の第1の目的は、操舵負担(操舵トルク)の左右差を、抑制または解消することができる電動パワーステアリング装置を提供することである。
また、この発明の第2の目的は、運転者に伝わるトルク変動を安価な構成で抑制または解消して、操舵フィーリングを向上することができる電動パワーステアリング装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、車両の操向のための操作部材(1)の操作量に応じて制御される電動モータ(M)の駆動力をステアリング機構(3)に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、上記操作部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(5)と、上記操舵トルク検出手段の検出値であるトルク検出値を所定時間積算してトルク積算値を求めるトルク積算手段(16)と、上記操作部材の舵角を求める舵角検出手段(6)と、この舵角検出手段によって検出される舵角の上記所定時間に渡る平均値を求める舵角平均値演算手段(15)と、上記トルク積算手段によって求められたトルク積算値および上記舵角平均値演算手段によって求められた舵角平均値に基づいて、上記操舵トルク検出手段の中点ずれを補正する中点ずれ補正手段(12,17,18)とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0010】
この発明によれば、所定時間(たとえば、5秒程度)に渡ってトルク検出値が積算されるとともに、当該所定時間に渡る舵角検出手段の検出値の平均値が求められる。そして、これらに基づいて、操舵トルク検出手段の中点ずれが補正される。すなわち、上記所定時間ごとに、いわばリアルタイムで、操舵トルク検出手段の中点ずれが検出されて補正されていく。
したがって、このような中点ずれ補正のされた操舵トルク値に基づいて電動モータを制御することにより、車両の負荷状態(乗車状況、荷物の積載状況、重心の位置など)や、ステアリング機構の機械的な作動効率などに起因する操舵トルクの左右差を解消でき、良好な操舵フィーリングを実現できる。
【0011】
なお、上記電動パワーステアリング装置は、上記中点ずれ補正手段によって中点ずれ補正のされた操舵トルク値に基づいて、電動モータの目標電流値を設定する目標電流値設定手段(13)と、この目標電流値設定手段が設定した目標電流値に基づいて上記電動モータを駆動するモータ駆動手段(20)とをさらに含むことが好ましい。
また、上記中点ずれ補正手段は、上記トルク積算値を上記舵角平均値で除した値に基づいて、操舵トルク検出手段の中点ずれ量(オフセット値)を求める中点ずれ量演算手段(17)と、この中点ずれ量演算手段によって求められた中点ずれ量を上記操舵トルク検出手段が検出した操舵トルク値から減じる減算手段(12)とを含むものであってもよい。
【0012】
このような構成により、舵角が大きい場合ほど、中点ずれ量が少なく見積もられる。大舵角域においては、トルク積算値の値は、中点ずれを正確には反映しないのであるが、上記のようにして中点ずれ量を求めることにより、大舵角域における中点ずれ補正が抑制される。
この構成の場合に、上記舵角平均値が舵角域(小舵角域か大舵角域か)を正確に表すようにし、また、中点ずれ量を求めるときの除数を零にしないために、上記舵角平均値演算手段は、上記舵角検出手段が検出する舵角の絶対値の平均値を求めるものであることが好ましい。
【0013】
中点ずれ量を求めるときの除数があまり小さな値となると、求めた中点ずれ量が大きくなってしまうから、上記舵角平均値演算手段は、所定値以上の絶対値を有する舵角の絶対値のみを抽出して平均値を求めるものであることが好ましい。
また、上記中点ずれ量演算手段は、上記所定時間における右切り(または左切り)時間の割合が所定範囲(たとえば、20%〜80%)である場合に限り、中点ずれ量の演算を行って、中点ずれ量を更新するものであることが好ましい。操作部材を左右に操作していなければ中点ずれ量を求めることができないからである。
【0014】
上記所定時間の間、車速が所定値(たとえば、10km/h)以上に保持されることを条件に、上記トルク積算手段は、上記所定時間に渡ってトルク検出値の積算を行い、上記舵角平均値演算手段は、上記所定時間に渡る舵角の平均値を求めるものであることが好ましい。トルク積算値および舵角平均値を用いた中点ずれの補正は、停車中にはあまり正確に行えないと考えられるからである。
請求項2記載の発明は、上記電動モータの駆動電流が零のときの上記トルク検出値に基づいて、上記電動モータの駆動電流が零に保持される操舵トルクの範囲である実トルク不感帯を検出する実トルク不感帯検出手段(22)と、上記トルク検出値を、上記実トルク不感帯を排除するように補正する不感帯排除補正手段(24)とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置である。
【0015】
この構成によれば、操舵トルク検出手段の検出値に基づいて実際のトルク不感帯である実トルク不感帯が検出され、この実トルク不感帯が排除される。すなわち、操舵トルクの中点付近においても、電動モータは、零以外の目標電流値に基づいて駆動される。これによって、たとえばラックアンドピニオン機構の噛み合い精度や電動モータのコギングトルクに起因するトルク変動が操作部材を介して運転者に伝達されることを防止でき、操舵フィーリングを改善できる。しかも、たとえば、プログラム処理のみで、操舵トルクの変動を抑制または解消できるから、コストの大幅な増加を要することがない。
【0016】
しかも、操舵トルク検出手段の検出値に対する中点ずれ補正がなされるから、操舵トルクの検出誤差に起因して、ステアリング機構に不所望な操舵補助力が働いたり、操作部材が不用意に動いたりすることがない。
なお、実トルク不感帯検出手段は、中点ずれ補正後の操舵トルク値に基づいて、実トルク不感帯を検出するものであってもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。操作部材としてのステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ステアリング機構3に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータMが発生する駆動力が、操舵補助力として、ギヤ機構を介して、またはダイレクトドライブ方式によって、機械的に伝達されるようになっている。
【0018】
ステアリング機構3は、ステアリングシャフト2に結合されたピニオンギヤと、このピニオンギヤに噛合し、車両の左右方向に移動可能に支承されたラックとを有し、このラックの移動によって、車両の左右の舵取り用の車輪が転舵されるようになっている。
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2Aと、ステアリング機構3側に結合された出力軸2Bとに分割されていて、これらの入力軸2Aおよび出力軸2Bは、トーションバー4によって互いに連結されている。トーションバー4は、ステアリングホイール1に加えられた操舵トルクに応じてねじれを生じるものであり、このねじれの方向および量は、トルクセンサ5によって検出されるようになっている。このトルクセンサ5が出力するトルク検出値Tsは、コントローラ10(電子制御ユニット)に入力されている。
【0019】
コントローラ10には、トルクセンサ5の出力信号のほかにも、ステアリングホイール1の舵角θを検出する舵角センサ6と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の車速Vを検出する車速センサ7との各出力信号も入力されている。
コントローラ10は、トルクセンサ5が出力するトルク検出値Tsおよび車速センサ7によって検出される車速Vに応じた目標電流値を設定し、この目標電流値に基づいてモータドライバ20を制御することにより、電動モータMに適切な駆動電流を与える。これにより、操舵トルクおよび車速Vに応じた操舵補助力が、ステアリング機構3に与えられることになる。
【0020】
コントローラ10は、内部に備えられたマイクロコンピュータによるプログラム処理によって、トルク検出値Tsに対して中点ずれ補正を施すためのオフセット値(中点ずれ量)OFを生成するオフセット値生成部11と、このオフセット値生成部11が生成するオフセット値OFをトルク検出値Tsから減算して中点ずれ補正のされた操舵トルク値T1(=Ts−OF)を出力する減算部12と、この減算部12が生成する操舵トルク値T1および車速Vに基づいて、電動モータMを駆動するための目標電流値を設定する目標電流値設定部13との各機能を実現する。
【0021】
オフセット値生成部11は、舵角センサ6の検出値の所定時間(たとえば5秒間)に渡る平均値Zaveを算出する舵角平均値演算部15と、トルク検出値Tsを上記所定時間に渡って積算してトルク積算値Ztを求めるトルク積算部16と、舵角平均値演算部15が求めた舵角平均値Zaveとトルク積算部16が求めたトルク積算値Ztとに基づいてオフセット値OFを求めるオフセット値演算部17と、このオフセット値演算部17が求めたオフセット値OFを記憶して保持するオフセット値記憶部18とを有している。舵角平均値演算部15およびトルク積算部16は、いずれも、車速センサ7が所定車速(たとえば、10km/h)以上の車速Vを検出していること、すなわち、車両が走行状態であることを条件に、舵角平均値Zaveおよびトルク積算値Ztをそれぞれ演算するようになっている。
【0022】
また、舵角平均値演算部15は、舵角センサ6が検出する舵角の絶対値|θ|の平均値を求めるものであり、また、舵角の絶対値|θ|が所定値(たとえば1度)以上であることを条件に、舵角センサ6の検出値θを平均値演算に用いるようになっている。
図2は、目標電流値設定部13の働きを説明するための図であり、操舵トルク値Tに対する目標電流値の関係(アシスト特性)が示されている。操舵トルク値Tは、たとえば右方向への操舵のためのトルクが正の値にとられ、左方向への操舵のためのトルクが負の値にとられている。また、目標電流値は、電動モータMから右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、電動モータMから左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。
【0023】
目標電流値は、操舵トルク値Tの正の値に対しては正の値をとり、操舵トルク値Tの負の値に対しては負の値をとる。操舵トルク値Tが−α〜α(たとえば、α=0.4N・m)の範囲(トルク不感帯)の微小な値のときには、目標電流値は零とされる。また、目標電流値は、車速センサ7によって検出される車速Vが大きいほど、その絶対値が小さく設定されるようになっている。これにより、低速走行時には大きな操舵補助力を発生させることができ、高速走行時には操舵補助力を小さくすることができる。
【0024】
この実施形態では、目標電流値の設定のために用いられる操舵トルク値Tとして、上記の中点ずれ補正のされた操舵トルク値T1が用いられる。
図3は、オフセット値生成部11による処理を説明するための図である。トルクセンサ5は、理想的には、ステアリングホイール1に加えられる操舵トルク値Tに比例するトルク検出値を出力するが、車両の負荷状態などによっては左右差を生じる。すなわち、操舵トルクが零であるにも拘わらず、トルク検出値Tsは正または負の値をとる。このときのトルク検出値Tsがオフセット値OFとして、オフセット値生成部11によって求められることになる。
【0025】
オフセット値OFが零の場合、すなわち、中点ずれの補正をしないときのトルク検出値Tsと目標電流値演算に用いられることになる操舵トルク値T1との関係は、図3において破線で示すとおりであり、オフセット値OFが零以外の値(たとえば負の値のとき)には、減算部12での演算の結果、トルク検出値Tsと目標電流値演算用の操舵トルク値T1との関係は、図3において実線で示すとおりとなる。
【0026】
図4は、オフセット値生成部11によるオフセット値OFの生成処理を説明するためのフローチャートである。まず、車両が所定車速(この例では10km/h)以上で走行中かどうかを判断するために、車速Vが上記所定車速以上かどうかが判断される(ステップS1)。車速Vが所定車速未満であれば、後述する複数のパラメータt,ta,Zt,Zθをそれぞれ零に初期化して(ステップS11)、リターンする。
【0027】
車速Vが所定車速以上であれば、舵角検出値θおよびトルク検出値Tsを積算している時間(積算時間)t(秒)が所定時間(この例では5秒)に達したかどうかが判断される(ステップS2)。積算時間tが所定時間に達すると(ステップS2のNO)には、積算時間tのうちで、舵角θが正の値(すなわち、舵角中点から右側に切ったときの値)である状態での積算時間(正側積算時間)taが一定範囲(この例では、4秒>ta>1秒。すなわち、全体の積算時間(この例では5秒)の20〜80%)内の値かどうかが判断される(ステップS3)。正側積算時間Taが上記一定範囲内の値でなければ、上記のパラメータt,ta,Zt,Zθがそれぞれ零に初期化されて(ステップS11)、リターンする。
【0028】
積算時間tが所定時間に達していないと(ステップS2のYES)、舵角θが一定舵角範囲(この例では1度>θ>−1度)の値かどうか、すなわち、舵角の絶対値|θ|が一定値(この例では1度)未満かどうかが調べられる(ステップS4)。舵角θが上記一定舵角範囲外の値であれば(ステップS4のNO)、さらに、舵角θが正側の値かどうか、すなわち、θ≧1度かどうかが判断される(ステップS5)。舵角θがθ≧1度であれば、正側積算時間taに演算周期f(秒)が加算され(ステップS6)、さらに、積算時間tに演算周期fが加算される(ステップS7)。
【0029】
一方、舵角θが、θ<1度であれば(ステップS5のNO)、正側積算時間taについては演算周期fを加算せずに、積算時間tについてのみ、演算周期fの加算が行われる(ステップS7)。
つづくステップS8では、トルク積算値Ztに、今周期におけるトルク検出値Tsが積算され、さらに、舵角積算値Zθに、今周期における舵角の絶対値|θ|が加算されて、リターンする。
【0030】
一方、ステップS3において、正側積算時間taが一定範囲内の値であると判断されたとき、すなわち、トルク積算値Ztおよび舵角積算値Zθを所定時間に渡って積算する間に、正側(右側)および負側(左側)への操舵がある程度の割合で行われたときは、オフセット値OFが求められる。
より具体的には、Zave=Zθ÷(t/f)(t/fは、積算回数に対応する。)によって、上記所定時間に渡る舵角平均値Zaveが求められる(ステップS9)。さらに、トルク積算値Ztを舵角平均値Zaveで除することにより、オフセット値OF(=Zt/Zave)が求められる(ステップS9)。こうして求められたオフセット値OFは、新たなオフセット値OFとして、オフセット値記憶部18に記憶されて保持されることになる(ステップS10)。その後は、上記のパラメータt,ta,Zt,Zθがそれぞれ零に初期化されて(ステップS11)、リターンする。
【0031】
このように、トルク積算値Ztを舵角平均値Zaveで除してオフセット値OFを求めていることにより、大舵角での操作がされたときには、オフセット値OFを小さくでき、小舵角域での操作時には、オフセット値OFが比較的大きく定められることになる。大舵角域では、トルク積算値Ztは必ずしもトルク検出値Tsの中点ずれ量に対応しないので、上記のようにして定められたオフセット値OFは、大舵角域で操舵されるか小舵角域で操舵されるかに拘わらず、妥当な値を有することになる。
【0032】
以上のようにこの実施形態によれば、中点ずれの補正された操舵トルク値T1に基づいて目標電流値が定められることになるから、運転者の操舵負担の左右差を抑制または解消することができ、良好な操舵フィーリングを実現できる。しかも、所定時間(たとえば5秒)に渡るトルク積算値Ztおよび舵角平均値Zaveに基づいて求められるオフセット値OFは随時更新されていくので、いわばリアルタイムで中点ずれの補正を行うことができ、車両の負荷状態等に起因する操舵トルクの左右差を効果的に抑制または解消できる。
【0033】
図5は、この発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。上述の図1に示された各部に対応する部分には、図5中に図1の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
この実施形態では、電動モータMに流れる電流値(モータ電流値)Imを検出するモータ電流検出部21の出力と、減算部12によって中点ずれ補正のされた後の操舵トルク値T1とに基づいて、実際のトルク不感帯(実トルク不感帯)を検出する実トルク不感帯検出部22が設けられている。この実トルク不感帯検出部22は、モータ電流値Imが零のときの操舵トルク値T1を検出することによって、モータ電流値Imが零に維持される操舵トルク値T1の実際の範囲(実トルク不感帯)を検出する。この実トルク不感帯検出部22が検出する実トルク不感帯に対応するデータは、トルク不感帯記憶部23に記憶される。
【0034】
図6は、トルク不感帯記憶部23に記憶されるデータを説明するための図であり、中点ずれ補正後の操舵トルク値T1とモータ電流値Imとの関係が示されている。中点ずれ補正後の操舵トルク値T1が零の近傍の実トルク不感帯範囲TL≦T1≦TR内の値をとるときにモータ電流値Imが零に保持されることが検出されたとすると、トルク不感帯記憶部23には、負側(左側)不感帯閾値TL(<0)と、正側(右側)不感帯閾値TR(>0)とが記憶される。
【0035】
トルク不感帯記憶部23は、減算部12が出力する中点ずれ補正後の操舵トルク値T1が正の値のとき(すなわち、右側への操舵トルクのとき)には、正側不感帯閾値TR(正の値)を加算部24に与え、中点ずれ補正後の操舵トルク値T1が負の値のとき(すなわち、左側への操舵トルクのとき)には、負側不感帯閾値TL(負の値)を加算部24に与える。
加算部24においては、中点ずれ補正後の操舵トルク値T1に不感帯閾値TR,TLのいずれかが加算され、これによって、操舵トルク値T1に対して、実トルク不感帯を排除するための補正(実トルク不感帯排除補正)が施されることになる。この実トルク不感帯排除補正後の操舵トルク値T2が、目標電流値設定部13における目標電流値の設定のために用いられることになる。すなわち、上記図2のアシスト特性における操舵トルク値Tとして実トルク不感帯排除補正後の操舵トルク値T2が適用される。
【0036】
操舵トルク値T2は、結局、次の(1)式および(2)式により表される。
右切りの場合 T2=Ts−OF+TR ・・・・・・ (1)
左切りの場合 T2=Ts−OF+TL ・・・・・・ (2)
図7は、トルク検出値Tsと、操舵トルク値T1,T2との関係を示す図である。中点ずれの補正も実トルク不感帯排除のための補正もしないときには、トルク検出値Tsと目標電流値演算に用いられることになる操舵トルク値とは、直線L0で示す比例関係にある。これに対して、中点ずれ補正を施すことにより、トルク検出値Tsと中点ずれ補正後の操舵トルク値T1との関係は、操舵トルク値の座標軸に沿って直線L0をオフセット値OFの分だけ平行移動した直線L1に従う。さらに、トルク検出値Tsに対して中点ずれ補正および実トルク不感帯排除のための補正を施すと、トルク検出値Tsと目標電流値設定のために用いられる操舵トルク値T2との関係は、折れ線L2に従うことになる。この折れ線L2は、直線L1においてTs>OFの部分を操舵トルク値の座標軸に沿って正側不感帯閾値TRだけ移動(TR>0なので正方向に移動)し、直線L1においてTs<OFの部分を操舵トルク値の座標軸に沿って負側不感帯閾値TLだけ移動(TL<0なので負方向に移動)して得られる。
【0037】
図8(a)は、中点ずれ補正後の操舵トルク値T1に基づいて目標電流値を定めたとき(上記第1の実施形態の場合)の特性を示し、トルク検出値Tsと目標電流値との関係を示す。図8(b)は中点ずれ補正および実トルク不感帯排除補正の両方を施した操舵トルク値T2に基づいて目標電流値を定めたとき(この実施形態)のトルク検出値Tsと目標電流値との関係を示す。
図8(a)に示すように、中点ずれ補正のされた操舵トルク値T1に基づいて目標電流値を設定すると、−α≦T1≦αの範囲がトルク不感帯となる。すなわち、この操舵トルク範囲においては、目標電流値が零に保持され、電動モータMは駆動力を発生しない。
【0038】
これに対して、上記(1)式および(2)式によって補正された後の操舵トルク値T2が目標電流値設定部13に与えられると、トルク不感帯が排除され、いずれの操舵トルク域においても電動モータMが駆動されて、操舵補助力がステアリング機構3に与えられることになる。
その結果、ステアリング機構3に備えられた、たとえばラックアンドピニオンの噛み合わせに起因するトルクむらや、電動モータMのコギングトルクが、ステアリングホイール1を介して運転者に伝達されることを抑制または防止することができる。つまり、不所望なトルク変動を抑制できるから、操舵フィーリングを改善することができる。
【0039】
図9は、実トルク不感帯検出部22による処理内容を説明するためのフローチャートである。まず、車速Vが所定車速(この例では、10km/h)以上かどうかが判断される(ステップS21)。車速Vが所定車速未満であれば、その後の処理を行わずにリターンする。
車速Vが所定車速以上であれば(ステップS21のYES)、現在のトルク検出値Tsを中点ずれ補正した操舵トルク値T1(=Ts−OF)とトルク不感帯記憶部23に記憶された正側不感帯閾値TRとが比較され、さらに、モータ電流値Imが零以下かどうかが判断される(ステップS22)。操舵トルク値T1が正側不感帯閾値TRよりも大きく、かつ、モータ電流値Imが零以下である場合には、その操舵トルク値T1を新たな正側不感帯閾値TRとしてトルク不感帯記憶部23に格納する(ステップS23)。その後、処理は、リターンする。
【0040】
一方、操舵トルク値T1が正側不感帯閾値TR以下であるか、または、モータ電流値Imが零を超えていれば(ステップS22のNO)、今度は、操舵トルク値T1がトルク不感帯記憶部23に記憶された負側不感帯閾値TL未満であり、かつ、モータ電流値Imが零以上であるかどうかが判断される(ステップS24)。もし、この判断が肯定されれば、その操舵トルク値T1が、新たな負側不感帯閾値TLとしてトルク不感帯記憶部23に格納されることになる(ステップS25)。その後、処理はリターンする。
【0041】
ステップS24において、操舵トルク値T1が負側不感帯閾値TL以上であるか、または、モータ電流値Imが0未満であれば(ステップS24のNO)、負側不感帯閾値TLを更新することなく、処理をリターンする。
なお、ステップS22,S24におけるモータ電流値Imについての判断は、電動モータMが停止状態、または、車輪からの逆入力によりモータが回転させられることによりモータに発生する逆起電力に応じたモータ電流が流れているかどうかのための判断であるので、モータ電流値Imに代えて、モータ電圧が零以下かどうか(ステップS22の場合)、またはモータ電圧が零以上かどうか(ステップS24の場合)を判断するようにしてもよい。
【0042】
図10は、コントローラ10による電動モータMの制御ルーチンを説明するためのフローチャートである。操舵中かどうかを判断するために、トルク検出値Tsとオフセット値OFとが等しいかどうかが判断される(ステップS31。T1=0かどうかを判定してもよい)。これらが等しく、したがって、操舵中でない(左右いずれにもステアリングホイール1を操作していない。)と判断されると、目標電流値の設定のための操舵トルク値TがT=Ts−OFに設定される(ステップS32)。すなわち、この場合には、加算部24(図5参照)による処理が省かれる。この操舵トルク値Tに基づいて目標電流値が設定され(ステップS33)。この目標電流値に基づいて、電動モータMが制御されることになる(ステップS34)。
【0043】
一方、ステップS31において、トルク検出値Tsがオフセット値OFに等しくなく、したがって、操舵中であると判断されると、減算部12での補正後の操舵トルク値T1(=Ts−OF)の符号に基づき、右切り状態(T1>0。すなわち、Ts>OF)かどうかが判断される(ステップS35)。右切り状態であれば、目標電流値の設定のための操舵トルク値TをT=T2=Ts−OF+TRによって求め(ステップS36)、左切り状態(T1<0。すなわち、Ts<OF)であれば(ステップS35のNO)、目標電流値の設定のための操舵トルク値TをT=T2=Ts−OF+TLによって求める(ステップS37)。このようにして求められた操舵トルク値Tに基づいて、目標電流値が設定され(ステップS33)、この目標電流値に基づいて、電動モータMが制御される。
【0044】
このようにして、トルク不感帯を排除した制御を実現することができる。しかも、操舵トルクの中点をリアルタイムで検出しているから、手放し状態において、ステアリングホイール1の自動回転が生じたりすることはない。
図11は、ステアリングホイール1を左右に回転させたときの舵角θと操舵トルク(運転者の操舵負担)との関係の一例を示す図である。二点鎖線は、減算部12および加算部24による補正を行わず、トルク検出値Tsを図2のアシスト特性に適用した場合の特性を示す。これに対して、減算部12および加算部24による補正を行った操舵トルク値T2を図2のアシスト特性に適用した場合の特性が実線で示されている。
【0045】
これらの2つの曲線の比較から理解されるとおり、トルク検出値Tsにオフセット値OFを加算することによって左右差が解消されており、さらに、トルク不感帯を排除することによって、目標電流値設定部13が従うアシスト特性におけるトルク不感帯範囲内の操舵トルク範囲における微小なトルク変動(たとえば、参照符号A1,A2で示す部分を参照)が軽減されていることが理解される。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の第2の実施形態では、トルク検出値Tsに対して中点ずれを施して得られた操舵トルク値T1に基づいて実トルク不感帯の検出を行っているが、中点ずれ補正前のトルク検出値Tsをそのまま用いて実トルク不感帯、すなわち、正側不感帯閾値TR′および負側不感帯閾値TL′を検出してもよい。この場合には、上記(1)式および(2)式に代えて、次の(1)′式および(2)′式が用いられることになる。
【0046】
右切りの場合 T2=Ts+TR′ ・・・・・・ (1)′
左切りの場合 T2=Ts+TL′ ・・・・・・ (2)′
また、上記の実施形態では、操舵トルク値T1の符号に基づいて右切りか左切りかを判断しているが、トルク検出値Tsとオフセット値OFとを大小比較して、右切りか左切りかを判断するようにしてもよい。
また、ステアリング機構3の静止摩擦等に起因するトルクロスを解消するために、電動モータMを駆動するための制御信号にディザ制御信号を重畳し、擬似的に摩擦のない状態としておくと好ましい。すなわち、ステアリング機構3や電動モータMの機械的な粘性に起因して、電動モータMが作動しないトルク範囲(機械な不感帯)が存在しており、電動モータMの駆動指示がそのようなトルク範囲内の値であると、電動モータMが作動しないことになる。これにより、直進時の安定性が悪かったり、ステアリングホイール1を切り始めるときの応答性が不足したりする。このような問題が、ディザ制御信号を電動モータMを駆動するための制御信号に重畳することによって改善される。
【0047】
たとえば、車両の直進時、ステアリングホイール1の舵角が微小な状態が一定時間以上継続するとき、および操舵トルクが微小な状態が一定時間以上継続するときなどに、ディザ制御信号の重畳を行えばよい。
ディザ制御信号の振幅は、電動モータMの機械的な不感帯範囲内とし、その周波数は、たとえば、50〜10Hzとすればよい。
とくに、ステアリングギヤ比の変更が可能なステアリング機構や、ステアリングホイールと転舵機構との機械的な結合を持たないステアバイワイヤシステムにおいて、ディザ制御信号の重畳を行うと、効果的である。ステアバイワイヤシステムの場合には、ステアリングホイールに操舵反力を与えるための反力アクチュエータの駆動制御信号に対してもディザ制御信号を重畳することが好ましい。
【0048】
さらに、上記の実施形態では、電動モータMを制御するための目標駆動値として目標電流値を用いているが、目標電圧値や操舵補助力の目標値であるアシストトルク目標値を目標駆動値として用いてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】目標電流値設定部の働きを説明するための図であり、操舵トルクに対する目標電流値の関係が示されている。
【図3】オフセット値生成部によって生成されるオフセット値を説明するための図である。
【図4】オフセット値生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】この発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】中点ずれ補正後の操舵トルク値とモータ電流値との関係を示す図である。
【図7】トルク検出値と操舵トルク値との関係を示す図である。
【図8】図8(a)は、中点ずれ補正後の操舵トルク値に基づいて目標電流値を定めたときの特性を示し、図8(b)は中点ずれ補正および実トルク不感帯排除補正の両方を施した操舵トルク値に基づいて目標電流値を定めたときの特性を示す。
【図9】実トルク不感帯検出処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図10】電動モータの制御ルーチンを説明するためのフローチャートである。
【図11】ステアリングホイールを左右に回転させたときの舵角と操舵トルク(運転者の操舵負担)との関係の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ステアリング機構
4 トーションバー
5 トルクセンサ
6 舵角センサ
7 車速センサ
10 コントローラ
11 オフセット値生成部
12 減算部
13 目標電流値設定部
15 舵角平均値演算部
16 トルク積算部
17 オフセット値演算部
18 オフセット値記憶部
20 モータドライバ
21 モータ電流検出部
22 実トルク不感帯検出部
23 トルク不感帯記憶部
24 加算部
M 電動モータ
Ts トルク検出値
T1 中点ずれ補正後の操舵トルク値
T2 中点ずれ補正およびトルク不感帯排除補正をした操舵トルク値
V 車速
Zt トルク積算値
Zθ 舵角積算値
Zave 舵角平均値
θ 舵角
t 積算時間
ta 正側積算時間(右切りの積算時間)
OF オフセット値(中点ずれ量)
f 演算周期
Im モータ電流値
TR 正側不感帯閾値
TL 負側不感帯閾値
Claims (2)
- 車両の操向のための操作部材の操作量に応じて制御される電動モータの駆動力をステアリング機構に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、
上記操作部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
上記操舵トルク検出手段の検出値であるトルク検出値を所定時間積算してトルク積算値を求めるトルク積算手段と、
上記操作部材の舵角を求める舵角検出手段と、
この舵角検出手段によって検出される舵角の上記所定時間に渡る平均値を求める舵角平均値演算手段と、
上記トルク積算手段によって求められたトルク積算値および上記舵角平均値演算手段によって求められた舵角平均値に基づいて、上記操舵トルク検出手段の中点ずれを補正する中点ずれ補正手段とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 上記電動モータの駆動電流が零のときの上記トルク検出値に基づいて、上記電動モータの駆動電流が零に保持される操舵トルクの範囲である実トルク不感帯を検出する実トルク不感帯検出手段と、
上記トルク検出値を、上記実トルク不感帯を排除するように補正する不感帯排除補正手段とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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