JP2010215067A - 車両の舵角比可変装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 操舵トルクの推定精度を向上させる。
【解決手段】 舵角比ECU50により舵角比調整モータ22を駆動制御したときに流れるモータ電流Ivgを検出し、モータ電流Ivgから操舵トルクを推定する。操舵トルクを推定するにあたって、舵角比調整モータ22の出力軸22aを微小振動させる。これにより、舵角比調整モータ22の摩擦状態が常に動摩擦となるため、モータ回転開始時におけるモータ電流Ivgの立ち上がり特性を線形にすることができる。従って、モータ電流Ivgから高精度に操舵トルクを推定することができる。推定した操舵トルクは、電動パワーステアリング装置200に供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】 舵角比ECU50により舵角比調整モータ22を駆動制御したときに流れるモータ電流Ivgを検出し、モータ電流Ivgから操舵トルクを推定する。操舵トルクを推定するにあたって、舵角比調整モータ22の出力軸22aを微小振動させる。これにより、舵角比調整モータ22の摩擦状態が常に動摩擦となるため、モータ回転開始時におけるモータ電流Ivgの立ち上がり特性を線形にすることができる。従って、モータ電流Ivgから高精度に操舵トルクを推定することができる。推定した操舵トルクは、電動パワーステアリング装置200に供給する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、舵角比を電動モータにより可変する車両の舵角比可変装置に関する。
従来から、操舵ハンドルの操舵角に対する操舵輪の転舵角の比である舵角比を電動モータにより可変する舵角比可変装置が知られている。舵角比可変装置は、操舵ハンドルを上端に固定した入力操舵軸と、ラックバーに噛合するピニオンギヤを下端に固定した出力操舵軸との間に設けられ、電動モータにより入力操舵軸の回転角度に対する出力操舵軸の相対的な回転角度を連続的に変更する。尚、舵角比は、入力操舵軸の回転した角度αに対する操舵輪の転舵した角度βの比(β/α)を意味し、舵角比が大きいほど少ないハンドル操作で大きく操舵輪を転舵でき、舵角比が小さいほど操舵輪を転舵するのに大きなハンドル操作を必要とする。操舵輪の転舵角は、出力操舵軸の回転角度から一義的に決まるため、入力操舵軸の回転角度に対する出力操舵軸の回転角度の比を制御することにより舵角比を制御することができる。
また、舵角比可変装置に加えて、運転者による操舵ハンドルの回動操作を補助する操舵アシストトルクを出力する電動パワーステアリング装置を備えた車両用操舵装置も知られている。電動パワーステアリング装置は、一般的に操舵トルクと車速とに基づいて目標アシストトルクを設定し、目標アシストトルクが得られるように電動モータの通電を制御する。従って、操舵トルクセンサに異常が生じると適正な目標アシストトルクを設定することができない。そこで、例えば、特許文献1に提案された車両用操舵装置においては、操舵トルクセンサの異常が検知された場合、舵角比可変装置の電動モータに流れる電流量に基づいて操舵トルクを推定する。
しかしながら、電動モータには摩擦力が働き、その摩擦力が図10に示すように、回転開始時において変化する。これは、摩擦状態が静摩擦から動摩擦に変化するためである。従って、電動モータに流れる電流量に基づいて操舵トルクを推定する場合、電動モータの回転開始時においては、モータ電流の立ち上がりが図11に示すように変化するため、操舵トルクの推定精度が低下する。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、操舵トルクの推定精度を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、操舵ハンドルの操舵角に対する操舵輪の転舵角の比である舵角比を変更するための電動モータと、目標舵角比が得られるように前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段と、前記電動モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電動モータに流れる電流に基づいて操舵トルクを推定する操舵トルク推定手段とを備えた車両の舵角比可変装置において、
前記モータ制御手段は、前記操舵トルク推定手段が操舵トルクを推定する場合に、常に前記電動モータの回転軸を正逆回転方向に微小振動させる振動付加手段を備えたことにある。
前記モータ制御手段は、前記操舵トルク推定手段が操舵トルクを推定する場合に、常に前記電動モータの回転軸を正逆回転方向に微小振動させる振動付加手段を備えたことにある。
本発明においては、目標舵角比が得られるように電動モータを駆動制御して舵角比を変更する。尚、舵角比を、入力操舵軸の回転した角度αに対する操舵輪の転舵した角度βの比(β/α)とする。電動モータは、例えば、操舵ハンドルに連結される入力操舵軸と、ラックバーにピニオンギヤを介して連結される出力操舵軸とのあいだに設けられ、入力操舵軸と出力操舵軸との相対的な回転角度を変更する。モータ制御手段は、この相対的な回転角度が目標舵角比に対応する角度に維持されるように電動モータを駆動制御する。目標舵角比は、例えば、車速が大きくなるにしたがって減少し、車速が小さくなるにしたがって増加するように設定される。
このように電動モータが駆動制御されているときは、操舵軸に入力される操舵トルクに抗するだけのモータトルクが発生している。また、電動モータに流れる電流量は、操舵トルクに比例する。そこで、操舵トルク推定手段は、電動モータに流れる電流(以下、モータ電流と呼ぶ)を検出することで操舵トルクを推定する。推定した操舵トルクは、操舵トルク情報として出力することができる。例えば、電動パワーステアリング装置の操舵トルク情報として利用することができる。電動パワーステアリング装置は、車速センサと操舵トルクセンサとを備え、両センサにより検出した操舵トルクと車速とに基づいて目標アシストトルクを設定し、この目標アシストトルクが得られるように操舵アシスト用モータを駆動制御する。従って、電動パワーステアリング装置の操舵トルクセンサに異常が生じた場合には、舵角比可変装置にて推定した操舵トルクを操舵トルク情報として電動パワーステアリング装置に供給することにより、操舵アシスト用モータを適正に駆動制御することができる。尚、推定した操舵トルクは、電動パワーステアリング装置に限らず他の車両制御装置に利用するようにしてもよい。
モータ電流から操舵トルクを推定する場合、電動モータの回転開始時における摩擦状態の変化(静摩擦から動摩擦への変化)により電流値が変化するため、そのまま電流値から操舵トルクを推定すると推定精度が低下する。そこで、本発明においては、モータ制御手段に振動付加手段が設けられている。振動付加手段は、操舵トルク推定手段が操舵トルクを推定する場合に、電動モータの回転軸を正逆回転方向に微小振動させる。例えば、電動モータが正回転方向に微小トルクを発生する信号成分と逆回転方向に微小トルクを発生する信号成分とを交互に出力する微小振動信号成分を、モータ駆動信号に重畳する。これにより、電動モータは、常時、回転軸が正逆回転方向に微小振動する。
従って、電動モータの摩擦状態が動摩擦に維持される。これにより、電動モータの回転開始時におけるモータ電流の立ち上がり波形が線形となり、モータ電流に基づいて推定する操舵トルクの推定精度が向上する。
以下、本発明の一実施形態に係る車両の舵角比可変装置について図面を用いて説明する。図1は、実施形態として舵角比可変装置100と電動パワーステアリング装置200とを備えた車両のステアリング装置の概略構成を表している。
車両のステアリング装置は、運転者によって回動操作される操舵ハンドル11を操舵軸12に固定して備えている。操舵軸12は、操舵ハンドル11を上端に固定する操舵軸12a(以下、入力操舵軸12aと呼ぶ)と、ピニオンギヤ13を下端に固定する操舵軸12b(以下、出力操舵軸12bと呼ぶ)とに、上下に2分割されている。ピニオンギヤ13は、ラックバー14のラック歯が噛み合っている。ラックバー14は、左右方向(車幅方向)に延設され、その両端が、図示しないタイロッドを介して操舵輪としての左右前輪15a,15bのナックルと操舵可能に連結されている。従って、操舵ハンドル11の回動は、操舵軸12およびピニオンギヤ13を介してラックバー14に伝達されて、ラックバー14を軸線方向に変位させて、左右前輪15a,15bを転舵する。
2分割された操舵軸12の入力操舵軸12aと出力操舵軸12bとの間には、操舵ハンドル11の操舵角に対する前輪(操舵輪)15a,15bの転舵角の比である舵角比を変更する舵角比可変機構20が介装されている。舵角比可変機構20は、入力操舵軸12aの下端部に一体回転するように接続された円筒状のケーシング21を備えている。このケーシング21内には、電動モータ22が固定されている。電動モータ22の出力軸22aは、ケーシング21に回転可能に支持されていて、下端にて出力操舵軸12bに一体回転可能に接続されている。電動モータ22は、減速機構を内蔵していて、電動モータ22の回転は減速されて出力軸22aに出力される。以下、電動モータ22を舵角比調整モータ22と呼ぶ。
ラックバー14には、操舵アシストトルクを出力して運転者の操舵ハンドルの回動操作を補助するパワーアシスト機構30が設けられている。パワーアシスト機構30は、電動モータ31とボールねじ機構32とを備えている。電動モータ31の回転は、ボールねじ機構32によってラックバー14の軸線方向の運動に変換されてラックバー14に伝達され、左右前輪15a,15bに転舵力を付与して運転者の操舵操作をアシストする。以下、電動モータ31をアシストモータ31と呼ぶ。
また、操舵機構内には、操舵角センサ41と操舵トルクセンサ42とが設けられている。操舵角センサ41は、入力操舵軸12aに組み付けられていて、操舵ハンドル11の中立位置からの回転角、すなわち、操舵角θinを検出する。操舵トルクセンサ42は、出力操舵軸12bに組み付けられており、出力操舵軸12bに作用するトルク、すなわち、左右前輪15a,15bの操舵に伴う操舵トルクTrを検出する。
舵角比可変機構20内には、相対角センサ43が設けられている。相対角センサ43は、舵角比調整モータ22の出力軸22aに組み付けられていて、出力操舵軸12bのケーシング21に対する回転角Δθvを検出する。尚、ラックバー14に噛み合うピニオンギヤ13の回転角(すなわち出力操舵軸12bの回転角)は、操舵角θinと出力操舵軸12bのケーシング21に対する回転角Δθvとの和に等しい。この回転角Δθvは、入力操舵軸12aに対する出力操舵軸12bの相対的な回転角を意味するため、以下、相対角Δθvと呼ぶ。操舵角θin、操舵トルクTrおよび相対角Δθvは、正の値により左方向の角度およびトルクを表し、負の値により右方向の角度およびトルクを表すものとする。
舵角比可変機構20の舵角比調整モータ22は、舵角比電子制御ユニット50(以下、舵角比ECU50と呼ぶ)によって駆動制御される。舵角比ECU50は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として備えたマイコン部51と、モータ駆動回路52とから構成される。モータ駆動回路52には、舵角比調整モータ22に流れる電流Ivg(以下、モータ電流Ivgと呼ぶ)を検出する電流センサ53が設けられている。マイコン部51は、図示しない入力インタフェースを介して操舵角センサ41、相対角センサ43、車速を検出する車速センサ44、電流センサ53を接続し、操舵角θinを表す信号、相対角Δθvを表す信号、車速vを表す信号、モータ電流Ivgを表す信号を入力する。また、モータ駆動回路52は、Hブリッジ回路やインバータ回路であって、マイコン部51から出力されるPWM制御信号により内部のスイッチング素子のデューティ比が制御されて、舵角比調整モータ22の通電量および回転方向を調整する。
舵角比可変装置100は、舵角比可変機構20と舵角比ECU50と上述のセンサ類(操舵角センサ41、相対角センサ43、車速センサ44、電流センサ53)とにより構成される。舵角比可変装置100により調整される舵角比は、入力操舵軸12aの回転した角度αに対する前輪15a,15bの転舵した角度βの比(β/α)を意味し、舵角比が大きいほど少ないハンドル操作で大きく前輪15a,15bを転舵でき、舵角比が小さいほど前輪15a,15bを転舵するのに大きなハンドル操作を必要とする。前輪15a,15bの転舵角δは、出力操舵軸12bの回転角度θoutから一義的に決まるため、入力操舵軸12aの回転角度θinに対する出力操舵軸12bの回転角度θoutの比(θout/θin)を制御することにより舵角比を制御することができる。また、出力操舵軸12bの回転角度θoutは、操舵角θinと相対角Δθvとの和に等しい。従って、舵角比ECU50による舵角比調整モータ22の回転角制御により舵角比を目標値に制御することができる。
次に、パワーアシスト機構30のアシストモータ31を制御する構成について説明する。パワーアシスト機構30のアシストモータ31は、操舵アシスト電子制御ユニット60(以下、操舵アシストECU60と呼ぶ)によって駆動制御される。操舵アシストECU60は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として備えたマイコン部61と、モータ駆動回路62とから構成される。モータ駆動回路62には、アシストモータ31に流れる電流Ias(以下、モータ電流Iasと呼ぶ)を検出する電流センサ63が設けられている。マイコン部61は、図示しない入力インタフェースを介して操舵角センサ41、操舵トルクセンサ42、車速センサ44、電流センサ63を接続し、操舵角θinを表す信号、操舵トルクTrを表す信号、車速vを表す信号、モータ電流Iasを表す信号を入力する。モータ駆動回路62は、Hブリッジ回路やインバータ回路であって、マイコン部61から出力されるPWM制御信号により内部のスイッチング素子のデューティ比が制御されて、アシストモータ31の通電量および回転方向を調整する。
電動パワーステアリング装置200は、パワーアシスト機構30と操舵アシストECU60と上述のセンサ類(操舵角センサ41、操舵トルクセンサ42、車速センサ44、電流センサ63)とにより構成される。電動パワーステアリング装置200と舵角比可変装置100とは、マイコン部51,61間において図示しない通信インタフェースを介して通信可能に接続される。
電動パワーステアリング装置200においては、後述するように操舵トルクセンサ42により検出される操舵トルクTrと車速センサ44により検出される車速vに基づいて、目標アシストトルクを設定するが、操舵トルクセンサ42の異常時においては操舵トルクTrを検出することができない。一方、舵角比可変装置100においては、舵角比制御を行うにあたって操舵トルクを検出する必要はないが、舵角比調整モータ22に流れる電流値から操舵トルクを推定することができる。そこで、本実施形態においては、舵角比可変装置100にて操舵トルクを推定により算出し、操舵トルクセンサ42の異常(以下、トルクセンサフェールと呼ぶ)が発生したときに電動パワーステアリング装置200に操舵トルクの推定値(推定操舵トルクと呼ぶ)の情報を供給できるように構成されている。
次に、舵角比可変装置100で行われる舵角比制御処理について説明する。図2は、マイコン部51により行われる舵角比制御ルーチンを表す。この舵角比制御ルーチンは、マイコン部51のROM内に制御プログラムとして記憶され、図示しないイグニッションスイッチがオンされて所定の初期診断が完了すると起動し、短い周期で繰り返し実行される。
舵角比制御ルーチンが起動すると、マイコン部51は、ステップS11において、車速センサ44によって検出された車速vと、操舵角センサ41により検出された操舵角θinと、相対角センサ43により検出された相対角Δθvを読み込む。続いて、マイコン部51は、ステップS12において、下記式の演算の実行により目標相対角Δθv*を計算する。なお、下記式中の係数Kcは予め決められた定数である。係数Kvは、マイコン部51のROM内に設けられた車速−係数マップ(図3参照)を参照することにより、車速vが増加するにしたがって「1.0」より大きな所定値から「1.0」に徐々に減少する値に決定される。
Δθv*=Kc・(Kv−1)・θin
Δθv*=Kc・(Kv−1)・θin
続いて、マイコン部51は、ステップS13において、算出した目標相対角Δθv*と、相対角センサ43から入力した実際の相対角Δθvとの偏差(Δθv*−Δθv)を演算し、偏差(Δθv*−Δθv)に応じた基本目標電圧V0*を計算する。続いて、ステップS14において、基本目標電圧V0*に振動用付加電圧Vvibを加算した値を目標指令電圧V*(=V0*+Vvib)として算出する。
この振動用付加電圧Vvibは、舵角比調整モータ22の出力軸22aを正逆回転方向に微小振動させる(正転方向と逆転方向とに交互に微小回転させる)ための振動トルク成分を与える電圧である。従って、振動用付加電圧Vvibは、図4に示すように、所定の速い周期で正の値と負の値とに交互に切り替えられる。従って、基本目標電圧V0*に振動用付加電圧Vvibを加算した目標指令電圧V*は、図5に示すように振動的に変化する。尚、振動用付加電圧Vvibは、正の値とゼロとに交互に切り替える構成や、負の値とゼロとに交互に切り替える構成など、振動トルク成分を与えられる信号であれば任意の構成を採用することができる。
続いて、マイコン部51は、ステップS15において、目標指令電圧V*に応じたPWM制御信号をモータ駆動回路52に出力する。この場合、目標指令電圧V*に応じたデューティ比のパルス列信号がPWM制御信号として出力される。この結果、舵角比調整モータ22は、出力操舵軸12bが入力操舵軸12aに対して目標相対角Δθv*だけ回転した回転位置となるようにフィードバック制御される。こうして、前輪15a,15bの転舵角δは、舵角比特性に設定された角度と等しくなるように制御される。
続いて、マイコン部51は、ステップS16において、電流センサ53により検出されるモータ電流Ivgを読み込み、続くステップS17において、モータ電流Ivgから出力操舵軸12bに働く操舵トルクを推定する。以下、この推定された操舵トルクを推定トルクTrsと呼ぶ。操舵トルクと舵角比調整モータ22に流れるモータ電流とは、図6に示すように、比例関係であるとみなすことができる。従って、推定トルクTrsは、電流センサ53により検出したモータ電流Ivgにトルク定数を乗じて算出することができる。尚、舵角比調整モータ22は、基本目標電圧V0*に振動用付加電圧Vvibを加算した目標指令電圧V*により駆動されるため、モータ電流Ivgには振動成分が含まれるが、電流センサ53の検出値をローパスフィルタ処理により振動成分を除去した後に推定トルクTrsを算出するようにするとよい。
続いて、マイコン部51は、ステップS18において、推定トルクTrsを表す情報を電動パワーステアリング装置200のマイコン部61に出力する。ステップS18の処理が行われると、舵角比制御ルーチンは一旦終了する。舵角比制御ルーチンは、図示しないイグニッションスイッチがオフするまでのあいだ短い周期で繰り返される。
この舵角比制御ルーチンによれば、車速−係数マップにしたがって車速vに対応した目標相対角Δθv*が繰り返し計算され、実際の相対角Δθvが目標相対角Δθv*と等しくなるように舵角比調整モータ22が駆動制御される。従って、車速vが小さいほど操舵ハンドル11の回転に対して左右前輪15a,15bは大きく操舵される。つまり、車速vが小さくなるにしたがって舵角比が大きくなり、低速走行時における車両の小回り性能が良好になる。また、高速走行時における車両の走行安定性が良好になる。
また、舵角比制御により舵角比調整モータ22を駆動制御しているときに、舵角比調整モータ22に流れるモータ電流(電流値)Ivgを検出し、この検出したモータ電流Ivgから操舵トルクを推定する。そして、推定した推定トルクTrsを電動パワーステアリング装置200のマイコン部61に出力する。従って、電動パワーステアリング装置200は、トルクセンサフェールが発生した場合であっても、推定トルクTrsを使って適切に操舵アシスト制御を行うことが可能となる。
しかも、操舵トルクを推定するにあたり、舵角比調整モータ22の出力軸22aを常に正逆回転方向に微小振動させているため、出力軸22aが停止している状態が無く、舵角比調整モータ22の摩擦状態が動摩擦となる。このため、図7に示すように、モータ電流の立ち上がり波形が線形になる。この結果、モータ電流Ivgから推定される推定トルクTrsを精度良く算出することができる。
尚、推定トルクTrsを算出するにあたって、トルクの方向は、操舵角センサ41により検出される操舵角θinの変化量(微分値)である操舵角速度の符号(正、負)に基づいて簡単に判別することができる。また、舵角比調整モータ22の回転角の変化量(微分値)である回転角速度の符号(正、負)を用いてトルクの方向を判別するようにしてもよい。
次に、電動パワーステアリング装置200で行われる操舵アシスト制御処理について説明する。図8は、マイコン部61により行われる操舵アシスト制御ルーチンを表す。このアシスト制御ルーチンは、マイコン部61のROM内に制御プログラムとして記憶され、図示しないイグニッションスイッチがオンされて所定の初期診断が完了すると起動し、短い周期で繰り返し実行される。
操舵アシスト制御ルーチンが起動すると、マイコン部61は、まず、ステップS21において、トルクセンサフェールが発生しているか否かを判定する。トルクセンサフェールは、操舵トルクセンサ42自身の異常だけでなく、センサ信号の伝達経路の異常など、操舵トルクを正常に検出できない異常状態をいう。トルクセンサフェールの発生は、例えば、操舵トルクセンサ42の検出値が正常範囲から外れている状態、操舵角θinの変化に対して操舵トルクセンサ42の出力信号が変化しない状態などを検出することにより判定することができる。マイコン部61は、図示しないセンサフェール監視ルーチンを実行することによりトルクセンサフェールを検出し、ステップS21においては、センサフェール監視ルーチンでの判定結果を読み込むようにする。
マイコン部61は、トルクセンサフェールが発生していない場合(S21:No)には、ステップS22において、操舵トルクセンサ42により検出される操舵トルクTrを読み込む。一方、トルクセンサフェールが発生している場合(S21:Yes)には、ステップS23において、舵角比可変装置100のマイコン部51が出力する推定トルクTrsを読み込み、続くステップS24において、推定トルクTrsを操舵トルクTrに置き換える(Tr←Trs)。つまり、推定トルクTrsを操舵トルクTrとみなす。
続いて、マイコン部61は、ステップS25において、車速センサ44によって検出された車速vと、電流センサ63によって検出されたアシスト電流Iasを読み込む。
続いて、ステップS26において、図9に示すアシストトルクマップを参照して、入力した車速vおよび操舵トルクTrに応じて設定される目標アシストトルクTr*を計算する。アシストトルクマップは、マイコン部61のROMに記憶されるもので、操舵トルクTrの増加にしたがって増加する目標アシストトルクTr*を設定する。この場合、目標アシストトルクTr*は、車速vが低くなるほど大きな値となるように設定される。尚、目標アシストトルクTr*の算出に関しては、例えば、操舵角センサ41から操舵角θinを読み込み、操舵角θinに比例して大きくなる操舵軸12の中立位置への復帰力や、操舵ハンドル11の操舵角速度に比例して大きくなる操舵軸12の回転に対向する抵抗力に対応した戻しトルクを計算し、これらを補償トルクとして目標アシストトルクTr*に加算するようにしてもよい。
続いて、マイコン部61は、ステップS27において、目標アシストトルクTr*を発生させるために必要な目標電流Ias*を計算する。目標電流Ias*は、目標アシストトルクTr*をトルク定数で除算することにより求められる。
次に、マイコン部61は、ステップS28において、目標電流Ias*と実電流Iasとの偏差ΔIasを算出し、この偏差ΔIasに基づいて目標指令電圧Vas*を計算する。このステップS28の演算に用いられる実電流Iasは、電流センサ63により検出したアシスト電流Iasである。
目標指令電圧Vas*は、例えば、下記のPI制御(比例積分制御)式により計算する。
Vas*=Kp・ΔIas+Ki・∫ΔIas dt
ここでKpは、PI制御における比例項の制御ゲイン、Kiは、PI制御における積分項の制御ゲインである。
目標指令電圧Vas*は、例えば、下記のPI制御(比例積分制御)式により計算する。
Vas*=Kp・ΔIas+Ki・∫ΔIas dt
ここでKpは、PI制御における比例項の制御ゲイン、Kiは、PI制御における積分項の制御ゲインである。
次に、マイコン部61は、ステップS29において、目標指令電圧Vas*に応じたPWM制御信号をモータ駆動回路62に出力する。この場合、目標指令電圧Vas*に応じたデューティ比のパルス列信号がPWM制御信号として出力される。こうして、アシストモータ31には、電流フィードバック制御により運転者の操舵方向と同じ方向に回転する向きの目標電流Ias*が流れる。この結果、アシストモータ31は、目標アシストトルクTr*に等しいトルクを出力し、運転者の操舵操作をアシストする。
ステップS29の処理が行われると、操舵アシスト制御ルーチンは一旦終了する。操舵アシスト制御ルーチンは、図示しないイグニッションスイッチがオフするまでのあいだ短い周期で繰り返される。
このアシスト制御ルーチンによれば、トルクセンサフェールが発生した場合であっても、舵角比可変装置100にて情報提供される推定トルクTrsを用いて目標アシストトルクTr*を設定するため、適正な操舵アシストを行うことができる。
以上、本発明の実施形態としての車両のステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、舵角比可変装置100にて推定した推定トルクTrsを表す情報を電動パワーステアリング装置200に供給するようにしているが、他の車両制御システムに供給するようにしてもよい。また、図2に示す舵角比制御ルーチンは、トルクセンサフェールの発生が検出されているときにのみ実行するようにして、トルクセンサフェールの発生が検出されていないときには、通常の舵角比制御を実行するようにするとよい。例えば、舵角比可変装置100側に電動パワーステアリング装置200からトルクセンサフェール信号を受信する受信部を設け、この受信部にトルクセンサフェール信号が入力されているときにのみ、上述した図2の舵角比制御ルーチンを実行する。一方、トルクセンサフェール信号が入力されていないときには、操舵トルクを推定するための処理(S14,S16〜S17)を除いた処理を実行するとよい。また、操舵機構に操舵トルクセンサ42を設けない構成であってもよく、この場合には、舵角比可変装置100から電動パワーステアリング装置200に推定トルクTrsを常時供給するようにする。
11…操舵ハンドル、12…操舵軸、12a…入力操舵軸、12b…出力操舵軸、13…ピニオンギヤ、14…ラックバー、15a,15b…前輪(操舵輪)、20…舵角比可変機構、21…ケーシング、22…舵角比調整モータ、22a…出力軸、30…パワーアシスト機構、31…アシストモータ、41…操舵角センサ、42…操舵トルクセンサ、43…相対角センサ、44…車速センサ、50…舵角比電子制御ユニット、51…マイコン部、52…モータ駆動回路、53…電流センサ、60…操舵アシスト電子制御ユニット、61…マイコン部、62…モータ駆動回路、63…電流センサ、100…舵角比可変装置、200…電動パワーステアリング装置。
Claims (1)
- 操舵ハンドルの操舵角に対する操舵輪の転舵角の比である舵角比を変更するための電動モータと、
目標舵角比が得られるように前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段と、
前記電動モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電動モータに流れる電流に基づいて操舵トルクを推定する操舵トルク推定手段と
を備えた車両の舵角比可変装置において、
前記モータ制御手段は、前記操舵トルク推定手段が操舵トルクを推定する場合に、常に前記電動モータの回転軸を正逆回転方向に微小振動させる振動付加手段を備えたことを特徴とする車両の舵角比可変装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009063015A JP2010215067A (ja) | 2009-03-16 | 2009-03-16 | 車両の舵角比可変装置 |
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JP (1) | JP2010215067A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016125794A1 (ja) * | 2015-02-02 | 2016-08-11 | 日本精工株式会社 | 舵角比可変装置 |
US9428209B2 (en) | 2011-12-21 | 2016-08-30 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Steering device |
-
2009
- 2009-03-16 JP JP2009063015A patent/JP2010215067A/ja active Pending
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WO2016125794A1 (ja) * | 2015-02-02 | 2016-08-11 | 日本精工株式会社 | 舵角比可変装置 |
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