JP6024416B2 - 超純水の製造方法及び超純水製造装置 - Google Patents

超純水の製造方法及び超純水製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、陰イオン交換樹脂を備えた超純水製造装置を用いて超純水を製造する方法及び装置に関する。
超純水は、半導体、液晶、ウェハ、精密部品などの製造工程に用いられる洗浄水、発電所復水脱塩装置にて製造される脱塩水、医薬製造用水など、種々の用途において使用されている。通常、これらの超純水は、MF(精密濾過)膜、UF(限外濾過)膜、RO(逆浸透濾過)膜、イオン交換樹脂、EDI(連続電気再生式純水システム)、紫外線水殺菌装置、脱ガス装置など、多種多様の装置が組み合わされて使用され、製造されている。
イオン交換樹脂はこれらの中で主要部材として使用される。このような超純水の製造プロセスは、イオン交換樹脂塔を主に単床で使用する系、イオン交換樹脂塔を混床で使用する系、これらを組み合わせた系などがある。これらの中でも、代表的に例示される超純水の製造プロセスには、大きく分けて、前処理、1次系、2次系(サブシステムともいう)、排水系の系列がある。これらのうち、1次系は原水から純度を上げた1次純水を製造する系であり、2次系は1次系で製造した1次純水をさらに高純度化する系であって、これら1次系および2次系には、多くの場合、イオン交換樹脂塔が設けられている(非特許文献1)。
超純水製造装置のイオン交換樹脂塔で用いられるイオン交換樹脂のうち、1次系では通常、イオン交換樹脂の繰り返し再生、再利用がなされるため、低溶出(通水時、イオン交換樹脂からの溶出物が少ない)かつサイクル強度(繰り返し再生、再利用に対する耐久性)が高い樹脂が求められる。また、2次系に用いられるイオン交換樹脂においても、樹脂の再生、再利用が可能であることが望ましく、1次系と同様の機能が求められる。
ところで、イオン交換樹脂は、その構造で大別すると、「ゲル型」と「ポーラス(多孔性)型」とに分けられ、それぞれに陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂がある。ゲル型樹脂は、ポーラス型と比べ、体積当たりのイオン交換容量が大きいため、超純水の製造に有利であると考えられるが、反面、ポーラス型に比べてサイクル強度が低いという欠点がある。また、ゲル型樹脂は一般に比表面積がポーラス型樹脂と比べて小さいので、通常の無機イオン(塩化物イオン等)を吸着するのには何ら問題がないが、高分子量の物質を吸着するには不利である。
また、イオン交換樹脂は、一般に、スチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体に官能基を導入した有機物質であるため、水処理に用いると、イオン交換樹脂由来の有機物成分が溶出してくる。例えば、陽イオン交換樹脂からは母体構造の酸化劣化等により、分子量数百〜数万のポリスチレンスルホン酸が溶出してくる。ゲル型の陰イオン交換樹脂は、ポーラス型の陰イオン交換樹脂に比べて、このような高分子量の物質の吸着性能に劣るために、原水(イオン交換樹脂で処理する前の水)中に含まれる有機物や、陽イオン交換樹脂から溶出したポリスチレンスルホン酸により、そのイオン交換能が損なわれることがある。更には、これらの原水由来の有機物や陽イオン交換樹脂の溶出物により、陰イオン交換樹脂が有機物汚染を受けるという問題もある。有機物汚染を受けた陰イオン交換樹脂は反応速度が低下し、結果的に処理後の超純水への有機物(測定値としてはTOC値)の漏洩を起こしてしまうため、早期に交換する必要が生じる。このようなことから、陰イオン交換樹脂においては、有機物成分の吸着能力が高く、長期間使用することができるものが望まれる。
なお、陰イオン交換樹脂由来の有機物成分を低減させて低溶出性の陰イオン交換樹脂とする方法については、陰イオン交換樹脂を有機溶媒で洗浄する方法(特許文献1)、陰イオン交換樹脂をアルカリ性水溶液中で加熱処理後、水溶性有機溶剤で洗浄する方法(特許文献2)等が知られている。また最近では、陰イオン交換樹脂を密閉状態でエージング処理する方法(特許文献3)等も提案されている。
特開平5−15789号公報 特開2004−41915号公報 特開2007−83132号公報
「これでわかる純水・超純水技術」栗田工業株式会社監修 2004年11月18日初版発行
本発明は、従来の陰イオン交換樹脂を用いた超純水の製造方法よりも容易に、また、高純度の超純水をサイクル強度が高く、長期に亘り安定かつ効率的に有機物溶出量が低減された超純水を製造することのできる超純水の製造方法及び超純水製造装置を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、超純水製造装置の陰イオン交換樹脂として特定のゲル型強塩基性陰イオン交換樹脂を用いることにより、上記課題を解決することができることを見出した。
即ち、本発明は以下の[1]〜[]を要旨とする。
[1] 陰イオン交換樹脂を備えた超純水製造装置を用いて超純水を製造する方法において、該陰イオン交換樹脂がゲル型であり、以下の方法で測定されるポリスチレンスルホン酸吸着量が0.25mmoL/L−樹脂以上であって、かつ平均粒径が300μm以上、1000μm以下である強塩基性陰イオン交換樹脂を用いることを特徴とする超純水の製造方法。
<ポリスチレンスルホン酸吸着量の測定方法>
東ソー有機化学(株)製ポリスチレンスルホン酸ナトリウム「ポリナスPS−1」を強酸性陽イオン交換樹脂に通液してH形とした後、H濃度として0.01mmoL/Lに濃度調整したポリスチレンスルホン酸水溶液を調製する。
水酸化ナトリウム水溶液で処理してOH形に調整した強塩基性陰イオン交換樹脂をカラムに充填して水洗した後、濃度調整したポリスチレンスルホン酸水溶液を通液し、50%破過相当時のポリスチレンスルホン酸吸着量を求め、当該強塩基性陰イオン交換樹脂のポリスチレンスルホン酸の吸着量とする。
[2] 前記陰イオン交換樹脂が、クリプトンを吸着ガスとするBET吸着法により測定される比表面積が1m/g未満の強塩基性陰イオン交換樹脂である、[1]に記載の超純水の製造方法。
[3] 前記陰イオン交換樹脂が、波長800nmの光の反射率から求められる吸光度が0.10以上0.44以下の強塩基性陰イオン交換樹脂である、[1]又は[2]に記載の超純水の製造方法。
[4] 前記陰イオン交換樹脂が、アルカリ性水溶液の存在下で加熱処理を施され、かつ50重量%以上の水溶性有機溶剤を含有する液により洗浄処理を施されたものである、[1]乃至[3]のいずれかに記載の超純水の製造方法。
[5] 前記超純水製造装置が、強酸性陽イオン交換樹脂層と前記陰イオン交換樹脂の層とを有する複床式の超純水製造装置である、[1]乃至[]のいずれかに記載の超純水の製造方法。
] 前記超純水製造装置が、強酸性陽イオン交換樹脂と前記陰イオン交換樹脂とを混合してなる層を有する混床式の超純水製造装置である、[1]乃至[]のいずれかに記載の超純水の製造方法。
] 前記超純水装置が、超純水の製造プロセスの2次系に適用される、[1]乃至[]のいずれかに記載の超純水の製造方法。
] 陰イオン交換樹脂を備えた超純水製造装置であって、該陰イオン交換樹脂として、ゲル型であり、以下の方法で測定されるポリスチレンスルホン酸吸着量が0.25mmoL/L−樹脂以上であって、かつ平均粒径が300μm以上、1000μm以下である強塩基性陰イオン交換樹脂を備えることを特徴とする超純水製造装置。
<ポリスチレンスルホン酸吸着量の測定方法>
東ソー有機化学(株)製ポリスチレンスルホン酸ナトリウム「ポリナスPS−1」を強酸性陽イオン交換樹脂に通液してH形とした後、H濃度として0.01mmoL/Lに濃度調整したポリスチレンスルホン酸水溶液を調製する。
水酸化ナトリウム水溶液で処理してOH形に調整した強塩基性陰イオン交換樹脂をカラムに充填して水洗した後、濃度調整したポリスチレンスルホン酸水溶液を通液し、50%破過相当時のポリスチレンスルホン酸吸着量を求め、当該強塩基性陰イオン交換樹脂のポリスチレンスルホン酸の吸着量とする。
本発明で用いる強塩基性陰イオン交換樹脂は、ポーラス型と比べて体積当たりのイオン交換容量が大きいゲル型樹脂の利点を持ちつつ、サイクル強度が高く、ポリスチレンスルホン酸等の陽イオン交換樹脂からの溶出物や原水由来の有機物などの有機物成分の吸着量が高いというポーラス型樹脂の利点も兼ね備えているため、長期間使用することができ、かつ低溶出性である。そのため、この強塩基性陰イオン交換樹脂を用いて、好ましくはこの強塩基性陰イオン交換樹脂と強酸性陽イオン交換樹脂とを備える超純水製造装置により、高純度の超純水を長期に亘り安定かつ効率的に製造することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
本発明の超純水の製造方法は、陰イオン交換樹脂を備えた超純水製造装置を用いて超純水を製造するにあたり、該陰イオン交換樹脂として、特定の物性を有するゲル型強塩基性陰イオン交換樹脂を用いることを特徴とする。
なお、本発明において、「超純水」とは本発明に用いるゲル型強塩基性陰イオン交換樹脂に通液された水と定義され、後掲の実施例に示される方法により測定された有機物溶出量が好ましくは50ppb以下であり、より好ましくは35ppb以下であり、特に好ましくは20ppb以下の水である。
また、以下において、本発明で用いる特定の強塩基性陰イオン交換樹脂を「本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂」と称す場合がある。また、本発明の超純水の製造に用いる、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂を備える超純水製造装置を「本発明の超純水製造装置」と称す場合がある。
本発明の超純水製造装置において、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、好ましくは後述の強酸性陽イオン交換樹脂と共に用いられる。この場合において、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、強酸性陽イオン交換樹脂からの溶出物の吸着性能に優れるという効果が有効に発揮される。
[強塩基性陰イオン交換樹脂]
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、ゲル型樹脂であり、かつ、特定の方法で測定されるポリスチレンスルホン酸吸着量が0.25mmol/L−樹脂以上であって、平均粒径が300μm以上であることを特徴とする。なお、本発明において、「強塩基性陰イオン交換樹脂」とは、交換基として、四級アンモニウム基を有する塩基性陰イオン交換樹脂を意味する。強塩基性陰イオン交換樹脂の交換基の好ましい例としては、トリメチルアンモニウム基、ジメチルエタノールアンモニウム基などが挙げられる。これらの交換基の中でもトリメチルアンモニウム基を有するものが、塩基性の強さや化学的安定性などの点から好ましい。
<ゲル型>
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、ゲル型であることを特徴とする。
前述の通り、イオン交換樹脂はその構造で大別すると、「ゲル型」と「ポーラス型」との2種類に分けられる。本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、ゲル型であることにより、ポーラス型樹脂に比べて、体積当たりのイオン交換容量が大きいという特長を有する。
ゲル型とポーラス型との判別方法としては、特開2009−279519号公報に記載されているように、目視において透明球はゲル型樹脂、不透明球はポーラス型樹脂として判別する方法がある。
前述の如く、ゲル型樹脂は、ポーラス型と比べ、体積当たりのイオン交換容量が大きいという利点を有する。一方で、ゲル型樹脂は一般に比表面積がポーラス型樹脂と比べて小さいので、無機イオン(塩化物イオン等)を吸着するのには何ら問題がないが、高分子量の物質を吸着するには不利である。すなわち、前述の如く、陽イオン交換樹脂からは母体構造の酸化劣化等により、分子量数百〜数万のポリスチレンスルホン酸が溶出するが、これを吸着除去する能力は、ゲル型樹脂はポーラス型樹脂に比べて低い。また、ゲル型樹脂は、ポーラス型樹脂に比べて、サイクル強度も低いものである。
本発明者は、鋭意検討の結果、ゲル型樹脂のイオン交換容量が大きいという利点と、ポーラス型樹脂のポリスチレンスルホン酸の吸着能力が高く、サイクル強度が高いという利点をあわせもった樹脂を開発し、本発明に至った。すなわち、一般的なゲル型樹脂は、スチレン等のモノビニル芳香族モノマーとジビニルベンゼン等の架橋性芳香族モノマーを懸濁重合等により共重合させて架橋共重合体を合成し、ここへ官能基を導入して製造される。一方で、ポーラス型樹脂の合成方法は各メーカーによって異なるものの、一般に、懸濁重合の際に不活性な物質(以下「多孔化剤」と称す場合がある。)を添加しておき、重合後にこれを除去する方法が採用されている。この多孔化剤とはすなわち、トルエン、ペンタノール、s−ブタノール、ヘプタン、イソオクタン等の有機溶媒、あるいは線状重合体の希釈物、具体的にはポリスチレンを溶解したトルエン等が挙げられる。この際、架橋度(架橋性芳香族モノマーの添加量)と、多孔化剤の種類とその添加量のバランスでポーラス(多孔性)部分の存在量が決定される。
本発明においては、スチレン等のモノビニル芳香族モノマーとジビニルベンゼン等の架橋性芳香族モノマーを重合させて架橋共重合体を合成する際に、一般的なポーラス型樹脂を合成する際に添加される上記のような多孔化剤を用い、その添加量を調整することで、ゲル型樹脂であって、かつポーラス型樹脂のポリスチレンスルホン酸の吸着能力が高く、サイクル強度が高いという利点をあわせもった強塩基性陰イオン交換樹脂が得られた。
更に、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、後述の特定の処理を施すことで、低溶出性を更に良好なものとすることができる。特定の処理とはすなわち、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂を、アルカリ性水溶液の存在下で加熱処理を施し、かつ50重量%以上の水溶性有機溶剤を含有する液により洗浄処理を施すものである。本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は従来のゲル型陰イオン交換樹脂に対して架橋構造の網目を広げる構造となっているため、樹脂中の残留有機物の洗浄性がよく、この処理を実施することにより、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂はより優れた低溶出性が達成され、超純水製造装置の陰イオン交換樹脂として高純度の超純水を長期に亘り安定かつ効率的に製造することが可能となる。
<平均粒径>
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、平均粒径が300μm以上であることを特徴とする。
強塩基性陰イオン交換樹脂の平均粒径が300μmより小さいと、樹脂充填層における通水時の圧力損失が大きくなり、送液に大容量のポンプが必要となったり、耐圧容器を使用することとなったりして、実用上不利となる。ただし、強塩基性陰イオン交換樹脂の平均粒径が大き過ぎると、体積あたりの表面積が小さくなりイオン交換の反応速度が低下する、あるいは樹脂の強度を維持することが難しくなる傾向にある。このため、強塩基性陰イオン交換樹脂の平均粒径は300μm以上であり、好ましくは400μm以上であり、一方、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは800μm以下である。なお、強塩基性陰イオン交換樹脂の平均粒径とは、後述の実施例の項に記載される方法で測定された値である。
<ポリスチレンスルホン酸吸着量>
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、特定の方法で測定されるポリスチレンスルホン酸吸着量が0.25mmol/L−樹脂以上であることを特徴とする。
強塩基性陰イオン交換樹脂のポリスチレンスルホン酸吸着量が0.25mmol/L−樹脂未満では、陽イオン交換樹脂からの溶出物や有機物成分の吸着性能が不十分である。ポリスチレンスルホン酸吸着量が0.25mmol/L−樹脂以上であることにより、長期に亘り、陽イオン交換樹脂からのポリスチレンスルホン酸等の溶出物や原水由来の有機物を効率的に吸着し、これらの有機物成分の超純水への漏洩を防止し、得られる超純水の水質を高めることができる。また、サイクル強度も高く、繰り返しの再生、再利用にも十分に耐えることができるものとなる。
強塩基性陰イオン交換樹脂のポリスチレンスルホン酸吸着量は、高い程好ましく、特に0.27mmol/L−樹脂以上、とりわけ0.29mmol/L−樹脂以上であることが好ましいが、ゲル型樹脂の物性上、このポリスチレンスルホン酸吸着量は通常0.5mmol/L−樹脂以下である。
なお、強塩基性陰イオン交換樹脂のポリスチレンスルホン酸吸着量は、より具体的には、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂がポリスチレンスルホン酸の吸着能力が高いのは従来のゲル型陰イオン交換樹脂に対して架橋構造の網目を広げる構造としているためであり、前記の「特定の方法で測定されるポリスチレンスルホン酸吸着量が0.25mmol/L−樹脂以上」との構成は本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂がこのような構造をとっていることを意味する。また、ポリスチレンスルホン酸の吸着能力が高い本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂が、従来のゲル型陰イオン交換樹脂と比較してサイクル強度が高いのは、従来のゲル型陰イオン交換樹脂に対して架橋構造の網目を広げる構造とすることで、塩形変換時の樹脂の体積変化のエネルギーを緩和できるためである。
更に、このように、ポリスチレンスルホン酸の吸着能力の高い本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、有機物成分の吸着能力も高く、ゲル型樹脂でありながら、通常のゲル型樹脂よりも長期間使用することができるという特長を有する。
<比表面積>
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、クリプトンを吸着ガスとするBET吸着法により測定される比表面積が1m/g未満であることが好ましい。
即ち、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、ポーラス型樹脂のような多孔型樹脂ではなく、ゲル型樹脂であるため、その比表面積が小さく、好ましくは1m/g未満である。強塩基性陰イオン交換樹脂の比表面積が1m/g以上であると、ポーラス型樹脂に近似するものとなり、体積当たりのイオン交換容量に劣るものとなる。強塩基性陰イオン交換樹脂の比表面積の下限については特に制限はないが、測定限界(通常0.01m/g)である。
なお、強塩基性陰イオン交換樹脂の比表面積は、後述の実施例の項に記載される方法で測定された値である。
<吸光度>
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、波長800nmの光の反射率から求められる吸光度(以下「特定吸光度」と称す場合がある。)が0.10〜0.44であることが好ましい。
強塩基性陰イオン交換樹脂の特定吸光度が小さすぎるものは、透明性が低く、これは即ち、ゲル型というよりもポーラス型であることを示すことになり、体積当たりのイオン交換容量が低くなる。一方、特定吸光度が大きいものは、ゲル型樹脂の透明性を有するが、特定吸光度が大き過ぎるとポリスチレンスルホン酸吸着量が低くなり、サイクル強度も低くなる。強塩基性陰イオン交換樹脂の特定吸光度が上記範囲であることにより、ポリスチレンスルホン酸吸着量及びサイクル強度と体積当たりのイオン交換容量を十分なものとすることができるために好ましい。強塩基性陰イオン交換樹脂の特定吸光度は、より好ましくは0.20〜0.42、特に好ましくは0.30〜0.40である。
なお、強塩基性陰イオン交換樹脂の特定吸光度は、より具体的には、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
後述の実施例では、粒径を約600μmに調整したものを、特定吸光度測定の試料としているが、600μm以外の粒径(但し、均一粒径であること)の試料の場合は、当該試料の粒径Rμmと実測吸光度から下記式で求められる換算吸光度の値を特定吸光度とすればよい。
また、例えば、平均粒径(R)が450μm以下で均一性の高い粒径分布の陰イオン交換樹脂等、約600μmに粒度調整が困難な陰イオン交換樹脂については、以下の計算式を用いて、実測吸光度から、約600μmの整粒品の特定吸光度に補正することができる。
(換算吸光度) = (実測吸光度) ×(600/R)
<サイクル強度>
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、後述の実施例の項に記載される方法で測定されるサイクル強度の指標としての後掲の外観指数(完全球率)が55%以上であることが、実用上のサイクル強度を満たす上で好ましい。この外観指数(完全球率)は大きい程好ましく、より好ましくは65%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
<その他の物性>
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、後述の実施例の項に記載される方法で測定される水分量が以下の範囲であることが、イオン交換樹脂の脱塩性能を良好なものとするために好ましい。水分量が少な過ぎるとイオン交換樹脂内の物質拡散が抑制されるため、脱塩性が阻害されるおそれがあるため、好ましくは40%以上であり、より好ましくは45%以上である。一方、多過ぎるとイオン交換樹脂の体積あたりの交換容量が低くなり脱塩能力が低下するおそれがあるため、好ましくは60%以下であり、より好ましくは55%以下である。
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、後述の実施例の項に記載される方法で測定される中性塩分解能力が1.1meq/mL以上の陰イオン交換性能であることが好ましい。この中性塩分解能力は大きいほど好ましく、より好ましくは1.2meq/mL以上である。
<製造方法>
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂の製造方法は、本発明で規定されるポリスチレンスルホン酸吸着量と平均粒径を満たすゲル型強塩基性陰イオン交換樹脂を製造することができる方法であればよく、特に制限はないが、その具体的な一例を挙げると以下の通りである。
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂の製造工程は、大きく分けて(a)重合工程、(b)ハロアルキル化工程、(c)アミノ化工程に分けられる。
(a)重合工程においては、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーとの混合物(以下「モノマー混合物」と称す場合がある。)を共重合させて架橋共重合体を製造する際に、多孔化剤を添加して共重合を行う。
モノビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン等のアルキル置換スチレン類、ブロモスチレン等のハロゲン置換スチレン類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。モノビニル芳香族モノマーとしては、中でも、スチレンまたはスチレンを主体とするモノマーが好ましい。
また、架橋性芳香族モノマーとしては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、ジビニルビフェニル、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。架橋性芳香族モノマーとしては、これらの中でも、ジビニルベンゼンが好ましい。なお、工業的に製造されるジビニルベンゼンは、通常、副生物であるエチルビニルベンゼン(エチルスチレン)を多量に含有しているが、本発明においてはこのようなジビニルベンゼンも使用できる。
架橋性芳香族モノマーの使用量としては、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物の重量に対して通常0.5〜30重量%、好ましくは2.5〜12重量%、更に好ましくは4〜10重量%である。本発明においては、このモノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物の重量に対する架橋性モノマーの使用量を架橋度と定義する。架橋性芳香族モノマーの使用量が多く、架橋度が高くなるほど、得られる陰イオン交換樹脂のイオン交換基の導入量が低下する傾向があり、一方、架橋度が低すぎると多孔化剤の効果が作用しにくくなり、また陰イオン交換樹脂粒子の押し潰し強度も低くなる傾向にある。
なお、架橋度の調整に後段の(b)ハロアルキル化工程において、ハロアルキル化の副反応としての後架橋反応を利用することもできる。
モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーとの共重合反応は、ラジカル重合開始剤を用いて公知の技術に基づいて行うことができる。
ラジカル重合開始剤としては、過酸化ジベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の1種又は2種以上が用いられ、その使用量は、通常、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物の重量に対して0.05重量%以上、5重量%以下である。
多孔化剤としては、前記モノマー混合物には溶解するが、得られる架橋共重合体は膨潤しない物質(以下、「貧溶媒」と称する場合がある。)、あるいは、前記モノマー混合物に溶解し、得られる架橋共重合体を膨潤させる物質(以下、「良溶媒」と称する場合がある。)を用いることができる。
前記貧溶媒としては、具体的には、非水溶性の有機化合物を用いることができる。非水溶性の有機化合物としては、直鎖または分岐の炭化水素類、直鎖または分岐の非水溶性のアルコール類、ポリマー、コポリマーなどが挙げられる。直鎖または分岐の炭化水素類としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、イソオクタン、ガソリン、ミネラルオイルなどを挙げることができる。また、非水溶性のアルコール類としては、炭素数4以上でアルキル鎖が直鎖または分岐のアルコールを挙げることができ、例えばn−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、メチルイソブチルカルビノールなどが挙げられる。ポリマーとしては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。また、ブロックコポリマーも使用することができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、前記良溶媒としては、具体的には、芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン(オルト、メタ、パラ)、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、ブロモベンゼン、アニリン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼンなどの、芳香環が置換されていてもよい芳香族炭化水素類を用いることができる。また、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類などを用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂の製造における前記多孔化剤としては、前記貧溶媒を用いることが、反応時の操作性、反応後の多孔化剤と架橋共重合体との分離性等において好ましい。貧溶媒の中でも、特に直鎖または分岐の炭化水素類が好ましく、中でも、ヘキサン、ヘプタン、オクタン類が好ましい。
多孔化剤は、前記モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーとの混合物に対して、通常1重量%以上100重量%以下、好ましくは5重量%以上80重量%以下、より好ましくは10重量%以上60重量%以下の量で用いられる。多孔化剤の量が多いと、過度に多孔性のポリマーが生成して押し潰し強度の低下を引き起こす傾向にあり、また、多孔化剤の量が少な過ぎるとポリスチレンスルホン酸吸着量が増加しなくなる傾向にある。即ち、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂の製造においては、ゲル型の陰イオン交換樹脂の製造においては使用されていない多孔化剤を、通常のポーラス型の陰イオン交換樹脂の製造時の多孔化剤使用量よりも少なく用い、ポリスチレンスルホン酸吸着量を高めたゲル型陰イオン交換樹脂を製造する。
一般に、ポーラス型陰イオン交換樹脂の製造においては、特公昭37−13792号公報中の実施例1及び実施例2に記載されているように、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物に対する架橋性芳香族モノマーの使用量が12重量%より高い場合、多孔化剤は、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物に対して50重量%以上使用される。
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂の製造にあたっては、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物に対する架橋性芳香族モノマーの使用量を12重量%以下にした場合、多孔化剤の使用量をモノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物に対して50重量%以下とするのが好ましい。また、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物に対する架橋性芳香族モノマーの使用量を10重量%以下にした場合、多孔化剤の使用量をモノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物に対して60重量%以下とするのが好ましい。また、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物に対する架橋性芳香族モノマーの使用量を8重量%以下にした場合、多孔化剤の使用量をモノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物に対して70重量%以下とするのが好ましい。なお、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの混合物に対する架橋性芳香族モノマーの使用量や多孔化剤の使用量は、ポリスチレンスルホン酸吸着量が増加したゲル型陰イオン交換樹脂が得られる範囲において、後工程での取り扱いに必要な強度を満足する陰イオン交換樹脂が得られるように、最適な範囲を設定する必要がある。
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂の重合様式は、特に限定されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の種々の様式で重合を行うことができるが、このうち均一な粒子状の共重合体が得られる懸濁重合法が好ましく採用される。懸濁重合法は、一般にこの種の共重合体の製造に使用される溶媒、分散安定剤等を用い、公知の反応条件を選択して行うことができる。
なお、重合温度は、通常、室温(約18℃〜25℃)以上、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、通常250℃以下、好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。重合温度が高すぎると解重合が併発し重合完結度がかえって低下する傾向にある。重合温度が低すぎると重合完結度が不十分となる傾向にある。
また、重合雰囲気は、空気下もしくは不活性ガス下で実施可能であり、不活性ガスとしては窒素、二酸化炭素、アルゴン等が使用できる。また、特開2006−328290号公報に記載の重合法も好適に使用できる。また、均一粒径の架橋共重合体を得る公知の方法も好適に使用できる。例えば特開2002−35560号公報、特開2001−294602号公報、特開昭57−102905号公報、特開平3−249931号公報の方法が好適に使用できる。
前述の多孔化剤は、重合反応終了後、溶媒による洗浄あるいは加熱留去により反応系から除去して、架橋共重合体を得る。
(b)ハロアルキル化工程は、(a)重合工程にて得られた架橋共重合体を膨潤状態で、フリーデル・クラフツ反応触媒の存在下、ハロアルキル化剤を反応させてハロアルキル化する工程である。
架橋共重合体を膨潤させるためには、膨潤溶媒、例えばジクロロエタンを使用することができる。またハロアルキル化剤の種類によっては、ハロアルキル化剤のみで膨潤させることもできる。
ハロアルキル化剤としては、クロロメチルメチルエーテル、塩化メチレン、ビス(クロロメチル)エーテル、塩化ビニル、ビス(クロロメチル)ベンゼン等のハロゲン化合物が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよいが、より好ましいのはクロロメチルメチルエーテルである。
ハロアルキル化剤の使用量は、架橋共重合体の架橋度、その他の条件により広い範囲から選ばれるが、少なくとも架橋共重合体を十分に膨潤させる量が好ましく、架橋共重合体に対して、通常1重量倍以上、好ましくは2重量倍以上であり、通常20重量倍以下、好ましくは10重量倍以下である。
フリーデル・クラフツ反応触媒としては、塩化亜鉛、塩化鉄(III)、塩化スズ(IV)、塩化アルミニウム等のルイス酸触媒が挙げられる。これらの触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、フリーデル・クラフツ反応触媒の使用量は通常架橋共重合体の重量に対して通常、0.001〜10倍量、好ましくは0.1〜2倍量、更に好ましくは0.2〜1倍量である。
反応温度は、採用するフリーデル・クラフツ反応触媒の種類によっても異なるが、通常0℃以上で、55℃以下とすることが好ましい。
上記ハロアルキル化反応を実施することにより、ハロアルキル化架橋共重合体を得ることができる。
(c)アミノ化工程においては、(b)で得たハロアルキル化架橋共重合体にアミン化合物を反応させることにより、アミノ基を導入して陰イオン交換樹脂を製造するが、アミノ基の導入についても公知の方法を用いて実施することができる。
例えば、ハロアルキル化架橋共重合体を溶媒中に懸濁させ、トリメチルアミンやジメチルエタノールアミンなどのアミン化合物と反応させる方法が挙げられる。ここで、トリメチルアミンと反応させることにより、トリメチルアンモニウム基が導入され、ジメチルエタノールアミンと反応させることにより、ジメチルエタノールアンモニウム基が導入される。これらのアミノ基導入反応の際に用いられる溶媒としては、例えば水、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジクロロエタン等の1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。アミノ化工程後は、公知の方法によって塩形を各種アニオン形に変えることによって陰イオン交換樹脂が得られる。塩形は、Cl形、OH形、炭酸形、硫酸形などが使用される。
<強塩基性陰イオン交換樹脂の処理>
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、アルカリ性水溶液の存在下で加熱処理を施され、かつ50重量%以上の水溶性有機溶剤を含有する液(以下「有機溶剤洗浄液」と称す場合がある。)により洗浄処理を施されたものであることが、低溶出性でかつ、体積当たりのイオン交換容量が高く、サイクル強度に優れるという本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂の特徴を有効に発揮する上で好ましい。
以下、この強塩基性陰イオン交換樹脂の処理について説明する。
(アルカリ性水溶液存在下での加熱処理)
本発明に使用されるアルカリ性水溶液としては、強塩基性陰イオン交換樹脂の樹脂骨格に組み込まれていない余分な強塩基性成分を低減させる能力があるものであればよく、強アルカリを呈する水溶液が好ましい。アルカリとしては、アルカリ金属水酸化物であることが好ましい。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の1種又は2種以上が挙げられる。経済的な観点から、水酸化ナトリウムが好適に用いられる。
また、アルカリ性水溶液の溶媒は、通常は水であるが、水とアルコールとの混合液でもよい。アルコールとしては、通常、炭素数1〜3のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が使用できるが、好ましくはメタノールである。アルカリ性水溶液の溶媒が水とアルコールの混合液である場合、溶媒中の水の含有率は、通常70重量%以上、好ましくは90重量%以上である。
また、アルカリ性水溶液中のアルカリ濃度は特に制限はないが、通常1重量%以上、12重量%以下が好適である。
加熱処理条件は、アルカリ性水溶液の濃度、強塩基性陰イオン交換樹脂量に対するアルカリ性水溶液の量等により異なるが、加熱温度は、通常60℃以上が必要であり、処理時間短縮のためには、より高い温度である80℃以上、より好ましくは90℃以上が好適である。一方、加熱処理温度の上限は120℃以下である。
加熱処理時間については、高温高濃度であれば比較的短時間で行える。例えば、加熱温度が90〜110℃では4〜18時間処理するとよい。
加熱処理方法としては、例えばカラムに強塩基性陰イオン交換樹脂を充填してアルカリ性水溶液を通液するカラム法や、容器に強塩基性陰イオン交換樹脂とアルカリ性水溶液を入れて攪拌するバッチ法が挙げられる。
この際のアルカリ性水溶液の必要量は、体積量として、通常、処理する強塩基性陰イオン交換樹脂量と同等量(1BV)以上であり、上限に制約はないが、一回の処理量に制限があることから、一般的には強塩基性陰イオン交換樹脂量の3倍(3BV)以下である。
(洗浄処理)
アルカリ性水溶液存在下で加熱処理した強塩基性陰イオン交換樹脂は、アルカリ性水溶液存在下で加熱処理したときに、強塩基性陰イオン交換樹脂から脱離するTOC成分を取り除くため、水溶性有機溶剤を50重量%以上含有する液で洗浄する。
アルカリ性水溶液存在下での加熱処理のみでは、TOC溶出の原因となる、強塩基性陰イオン交換樹脂の樹脂骨格に組み込まれていない余分な強塩基成分は低減するものの、脱離するTOC成分は、強塩基性陰イオン交換樹脂との親和性が強いためか、例えば超純水による洗浄のみでは効果的に除去するに至らない。また、メタノール等の水溶性溶媒と接触させるのみでは、強塩基性陰イオン交換樹脂に存在するスチレン骨格由来のTOC成分を効果的に除去することが可能ではあるが、強塩基性陰イオン交換樹脂骨格に組み込まれていない余分な強塩基成分は保存されるため、少なからずTOC成分は樹脂からの溶出が経時的に発生する。
なお、この洗浄処理に先立ち、アルカリ性水溶液を強塩基性陰イオン交換樹脂から除くことが望ましい。その方法としては、アルカリ性水溶液で加熱処理した強塩基性陰イオン交換樹脂とアルカリ性水溶液をカラムに充填し、水洗することが効率上望ましい。通常水洗に要する水質は、脱塩水以上であることが望ましい。水洗量は、通常2BV以上、好ましくは4BV以上である。流速は、通常SV0.5〜2.0hr−1が適当である。
洗浄処理に用いる水溶性有機溶剤とは、水の任意の割合で混合できる有機溶剤をいう。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール等の炭素数1〜6のアルコール、アセトン等が例示できるが、好適にはメタノールである。水溶性有機溶剤は、2種以上併用することもできる。
有機溶剤洗浄液としては、水溶性有機溶剤であってもよく、水溶性有機溶剤の水溶液を用いてもよいが、水溶性有機溶剤の水溶液は、TOC成分を効率的に除去するためには水溶性有機溶剤の濃度は高い方が好ましく、有機溶剤洗浄液中の水溶性有機溶剤濃度は好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上である。
有機溶剤洗浄液による洗浄方法は、カラムに強塩基性陰イオン交換樹脂を充填して有機溶剤洗浄液を通液するカラム法や、容器に強塩基性陰イオン交換樹脂と有機溶剤洗浄液を入れて攪拌するバッチ法が挙げられる。洗浄効率からは、カラム法が好適である。
有機溶剤洗浄液量は、カラム法を用いた場合、充填した強塩基性陰イオン交換樹脂量に対し、1BV以上とすることが好ましい。強塩基性陰イオン交換樹脂の充填は通常、水を用いて実施されるが、カラム系内が有機溶剤洗浄液と置換されるのに最低でも強塩基性陰イオン交換樹脂量相当が必要であるので、2BV以上が好適である。有機溶剤洗浄液量の上限には制限はないが、通常10BV以下である。有機溶剤洗浄液の流速は、通常SV0.5〜2.0hr−1が適当である。有機溶剤洗浄液による洗浄後、強塩基性陰イオン交換樹脂を水中に置換するために、カラムに充填した状態で続けて超純水を、流速SV1〜10hr−1の範囲で、通水量10〜50BVで通水することが好ましい。
バッチ法を用いた場合、付着水を取り除いた状態(水切り状態)で行うことで置換効率を上げ、強塩基性陰イオン交換樹脂量と同量の有機溶剤洗浄液を2回以上入れ替えることが好適である。また、有機溶剤洗浄液による洗浄後、強塩基性陰イオン交換樹脂を水中に置換するために、付着している有機溶剤洗浄液を取り除いた状態で、強塩基性陰イオン交換樹脂量と同容量の超純水で、20〜100回入れ替えることが適当である。
[超純水製造装置]
超純水製造装置は、通常、原水中の陽イオンと陰イオンとを高度に除去するために、イオン交換樹脂として陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とを備える。本発明の超純水製造装置において、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は強酸性陽イオン交換樹脂と共に超純水製造装置に充填使用されることが好ましく、例えば、本発明の超純水製造装置の型式としては、次のようなものが挙げられる。
(1) 強塩基性陰イオン交換樹脂層と強酸性陽イオン交換樹脂層とを同じ塔内に形成してなる単塔複床式イオン交換塔を備える超純水製造装置
(2) 強塩基性陰イオン交換樹脂を充填した陰イオン交換塔と、強酸性陽イオン交換樹脂を充填した陽イオン交換塔とを備える複床式超純水製造装置
(3) 強塩基性陰イオン交換樹脂と強酸性陽イオン交換樹脂とを混合充填した混床式イオン交換塔を備える混床式超純水製造装置
(4) 上記(1)〜(3)の組み合わせ
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂と併用する強酸性陽イオン交換樹脂としては、ゲル型及びポーラス(多孔性)型の強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。好ましくは耐酸化性の高い、ゲル型の架橋度の高い強酸性陽イオン交換樹脂が使用され、その架橋度は好ましくは8〜20重量%、さらに好ましくは12〜16重量%のものが使用される。上記範囲内において、強酸性陽イオン交換樹脂の架橋度が前記下限値以上であると、強酸性陽イオン交換樹脂からの溶出物の溶出量が低減される傾向にある。なお、本発明において、使用する強酸性陽イオン交換樹脂は特に制限されないが、通常、スルホン酸基を交換基として有する強酸性陽イオン交換樹脂が用いられる。
これらの強酸性陽イオン交換樹脂と本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂との使用割合は、超純水の製造においては、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂:強酸性陽イオン交換樹脂の体積比率として1:5〜5:1、特に1:3〜3:1で使用するのが好適である。
本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、その優れたポリスチレンスルホン酸吸着性能から、特に強酸性陽イオン交換樹脂との混床形態での使用に好適である。ただし、本発明において、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂は、強酸性陽イオン交換樹脂との混床形態での使用に限らず、その単独使用、その他の触媒樹脂との併用等、あらゆる形態で使用することができる。なお、複床式で本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂と強酸性陽イオン交換樹脂を用いる場合、本発明の強塩基性陰イオン交換樹脂層を、強酸性陽イオン交換樹脂の後段に設けることが、強酸性陽イオン交換樹脂からの溶出物を強塩基性陰イオン交換樹脂層で吸着除去する上で好ましい。
[超純水の製造方法]
本発明の超純水の製造方法は、超純水製造装置として上述のような本発明の超純水製造装置を用いること以外は常法に従って行うことができる。
なお、本発明の超純水の製造方法は、上記の本発明の超純水製造装置を超純水の製造プロセスの2次系に適用して超純水を製造する方法として好適であるが、イオン交換樹脂塔を備えた超純水装置であれば、その実施態様は特に制限されず、例えば、上記の本発明の超純水製造装置は超純水の製造プロセスの1次系に適用して1次純水を製造することもできる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例における強塩基性陰イオン交換樹脂の各種物性の測定方法は以下の通りである。
<平均粒径の測定方法>
平均粒径は、三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部編ダイヤイオン(登録商標)(イオン交換樹脂・合成吸着剤マニュアル1)改訂4版第3刷(平成22年2月26日発行)第140〜142頁に記載される方法により算出した。
<水分量の測定方法>
水分量は、前記三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部編ダイヤイオン(登録商標)(イオン交換樹脂・合成吸着剤マニュアル1)改訂4版第3刷(平成22年2月26日発行)第131〜132頁に記載される方法により測定した。
<中性塩分解能力の測定方法>
中性塩分解能力は、前記三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部編ダイヤイオン(登録商標)(イオン交換樹脂・合成吸着剤マニュアル1)改訂4版第3刷(平成22年2月26日発行)第135〜137頁に記載される方法により測定した。
<ポリスチレンスルホン酸吸着量の測定方法>
東ソー有機化学(株)製ポリスチレンスルホン酸ナトリウム「ポリナスPS−1」を強酸性カチオン樹脂に通液してH形とした後、水を添加してH濃度として0.01mmoL/Lに希釈することにより、濃度調整したポリスチレンスルホン酸水溶液を調製した。
強塩基性陰イオン交換樹脂を水酸化ナトリウム水溶液で処理して塩形をOH形に調整した後、tap法(水を入れたメスシリンダーに樹脂を入れて、底部を軽くたたいて、これ以上沈まなくなった状態で体積を読み取る)にて10mLの樹脂を採取してカラムに充填後、樹脂由来の有機溶出成分がなくなるまで十分に水洗を実施した。
続いて上記の濃度調整したポリスチレンスルホン酸溶液をSV(空間速度)=20hr−1で通液し、UV検出器(225nm)で溶出するポリスチレンスルホン酸溶液の吸光度を測定し、破過曲線を記録した。前記濃度調整したポリスチレンスルホン酸溶液のUV吸光度に対して、溶出してきたポリスチレンスルホン酸溶液のUV吸光度が50%となったときまでに強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着されたポリスチレンスルホン酸の総吸着量を、ポリスチレンスルホン酸の吸着量として算出した。
<比表面積の測定方法>
強塩基性陰イオン交換樹脂を50℃の真空下で減圧加熱乾燥後、液体窒素下で吸着等温線(吸着ガス:クリプトン)を測定し、BETプロットを実施することで比表面積を算出した。なお、比表面積はカンタークローム社製オートソーブ1MPを用いて測定した。
<吸光度の測定方法>
検出器として積分球を使用した紫外・可視(UV−Vis)スペクトル測定装置(島津製作所製「UV2400PC」)において、スクリューキャップ付円筒セルに、サンプル(下記の方法に従って調製して、約600μmに粒度調整した湿潤状態の強塩基性陰イオン交換樹脂(Cl形))を密に充填し、波長800nmの光の反射率を測定し、クベルカ−ムンク変換により吸光度を求めた。
なお、サンプル(粒径約600μmに粒度調整した湿潤状態の強塩基性陰イオン交換樹脂)は以下に示す方法で調整した。
即ち、強塩基性陰イオン交換樹脂(Cl形)を600μmの篩にかけ、篩下(微粉)を取り除くとともに篩上の残留分を脱塩水で除去した。次に600μmの篩目に詰まった粒子を脱塩水の圧水でバットに回収した。この回収品を布に包み込み遠心分離して付着水分を除いた。遠心分離はかごの直径15cm、回転数3000rpmで7分間行った。
積分球は島津製作所製(検出器:ホトマル、内径:60mmφ、入口窓:12(W)×20(H)mm、出口窓:12(W)×24(H)mm、ホトマル窓:16mmφ、積分球の開口比:約11%)を使用した。ただし紫外・可視光の光路径は4mm×6mmである。スクリューキャップ付円筒セルは、GLサイエンス社製のスクリューキャップ付円筒セル(合成石英ガラス製、光路長:5mm、光路面のサイズ:22mmφ)を使用した。
また、スリット幅は5nmであった。装置のキャリブレーションは装置専用ホルダー(片開口27mmφ)に硫酸バリウムを詰めて、積分球の開口部にそのまま接触して行った。
反射率測定はサンプル(約600μmに粒度調整した湿潤状態の強塩基性陰イオン交換樹脂(Cl形))を積分球の後方に設置して行った。なお、サンプルの背面には黒色板を配置した。反射率測定後付属ソフトにてクベルカ−ムンク変換を行い、吸光度を求めた。
別に、同セルに硫酸バリウム(和光純薬製、和光1級)を充填し同様の測定を実施し、この値をセル自体の反射率および吸光度とした。
セルに強塩基性陰イオン交換樹脂を充填したときの吸光度からセルの吸光度を差し引いた値を強塩基性陰イオン交換樹脂の吸光度として算出した。
<サイクル強度の測定方法>
サイクル試験装置に、サンプル(下記の方法に従って約425μm〜850μmの粒度範囲に調整した湿潤状態の強塩基性陰イオン交換樹脂(Cl形))25mLを充填し、SV(空間速度)=30h−1で2N−硫酸(20分)→水洗(10分)→2N−NaOH(20分)→水洗(10分)の通液を1サイクル(所要60分)として、100サイクル通液を繰り返した。試験後の樹脂に関して、外観指数(完全球率)を計測した。
なお、サンプル(粒径約425μm〜850μmに粒度調整した湿潤状態の強塩基性陰イオン交換樹脂)は以下に示す方法で調整した。
すなわち、強塩基性陰イオン交換樹脂(Cl形)を850μmの篩にかけ、篩上(大粒子)を取り除くとともに、篩下の樹脂を回収した。続いて回収した樹脂を425μmの篩にかけ、篩下を取り除き、425μmの目に詰まった樹脂及び篩上の樹脂を回収した。
また、外観指数(完全球率)計測は、試験後の強塩基性陰イオン交換樹脂を分散させて顕微鏡観察により、1000粒を目視で観察し、破損やひび割れ等の欠陥がなく、試験前と同等の球形状を維持している樹脂粒子(完全球)の数を計測し、1000粒中の割合を百分率で求めた。
<実施例1−1>
モノマーとして、スチレン311gと純度57重量%のジビニルベンゼン51g(ジビニルベンゼン:29g、モノビニル芳香族モノマー:22g)を用い、更にイソオクタン181g、過酸化ジベンゾイル(純度75重量%、wet品)4.91gを混合してモノマー相とした。ポリビニルアルコール0.13重量%水溶液を水相とし、これと上記モノマー相を混合し、モノマー懸濁液を得た。該懸濁液を攪拌しながら75℃で6時間反応させ、その後80℃に昇温して3時間反応させて共重合体(1)を得た。
上記共重合体(1)の乾燥品100gを丸底フラスコに入れ、クロロメチルメチルエーテル500gを加え、共重合体を十分膨潤させた。その後、フリーデル・クラフツ反応触媒として塩化亜鉛50gを添加し、浴の温度を50℃にして攪拌しながら10時間反応させ、クロロメチル化共重合体(2)を得た。
上記クロロメチル化共重合体(2)の湿潤品150g(クロロメチル化共重合体(2):140g)を丸底フラスコに入れ、脱塩水319mL、トルエン256g、30重量%トリメチルアミン水溶液183mLを添加し、50℃で攪拌しながら8時間反応させて強塩基性陰イオン交換樹脂(Cl形)(サンプルA)を得た。得られた強塩基性陰イオン交換樹脂の評価結果を表−1に示す。
<比較例1−1>
ダウケミカル社製 強塩基性陰イオン交換樹脂「IRA400J」について、実施例1−1と同様の評価を実施した結果を表−1に示す。
<比較例1−2>
ピュロライト社製 強塩基性陰イオン交換樹脂「A400MB」について、実施例1−1と同様の評価を実施した結果を表−1に示す。
Figure 0006024416
<実施例2−1>
サンプルAについて、特開2004−41915号公報に記載されている方法を参照して以下の手順で処理を行い、サンプルBを得た。
処理(1) ジムロート環流管を備えた側管付き500mLのガラス製丸底フラスコに、150mLのサンプルAを投入し、さらに1.6重量%の水酸化ナトリウム水溶液165mLを投入した。オイル浴にフラスコを設置し、樹脂を穏やかに攪拌しながらフラスコ内温が100℃になるように、オイル温を室温から約105℃に2時間かけて昇温し、その状態を8時間保持した。
処理(2) フラスコを放冷にて冷却し、樹脂を取り出した後、ガラス製カラムに充填し、脱塩水を流速SV2hr−1で1時間通水して水洗を行った。
処理(3) さらに試薬1級のメタノール150mLを、流速SV1hr−1で1時間通液した。
処理(4) 続けて、超純水を流速SV2hr−1で8時間通水してサンプルBを得た。
サンプルBの強塩基性陰イオン交換樹脂の有機物溶出量を下記に示す方法で測定した。表−2に有機物溶出量の測定結果を示す。
<有機物溶出量の測定方法>
強塩基性陰イオン交換樹脂100mLをガラスカラムに充填し、SV(空間速度)=4h−1で1N−NaOH480mLを通液した後、超純水300mLを同流速で通液した(以下において、この操作を「コンディショニング」と称することがある。)。
コンディショニング後の強塩基性陰イオン交換樹脂をアクリル製カラムに充填し、SV20h−1で2hr超純水を通液し、カラム出口のTOCをジーイーアナリティカルインスツルメンツ社製シーバスTOC計(Sievers 500RL)にて測定した。樹脂未充填のカラム出口TOCも同様に測定し、カラム出口の有機物の差分を有機物溶出量とした。
<比較例2−1>
ダウケミカル社製「IRA400J」について、実施例2−1の処理(1)について、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液を使用した以外は実施例2−1と同様の処理を行い、サンプルCを得た。サンプルCについて実施例2−1と同様の評価を実施した結果を表−2に示す。
<比較例2−2>
ピュロライト社製「A400MB」について、比較例2−1と同様の処理を行い、サンプルDを得た。サンプルDについて実施例2−1と同様の評価を実施した結果を表−2に示す。
Figure 0006024416
<結果の評価>
表−1に示すように、実施例1−1の強塩基性陰イオン交換樹脂は、比較例1−1及び比較例1−2の強塩基性陰イオン交換樹脂よりもサイクル強度に優れており、長期間の使用に耐え得ることがわかる。更に表−2に示すように、実施例2−1の強塩基性陰イオン交換樹脂は、比較例2−1及び比較例2−2の強塩基性陰イオン交換樹脂よりも有機物溶出量が少なかった。このため、実施例1−1及び実施例2−1の強塩基性陰イオン交換樹脂を用いて超純水を製造した場合、長期間、高純度の超純水を製造することができることがわかる。

Claims (8)

  1. 陰イオン交換樹脂を備えた超純水製造装置を用いて超純水を製造する方法において、該陰イオン交換樹脂がゲル型であり、以下の方法で測定されるポリスチレンスルホン酸吸着量が0.25mmoL/L−樹脂以上であって、かつ平均粒径が300μm以上、1000μm以下である強塩基性陰イオン交換樹脂を用いることを特徴とする超純水の製造方法。
    <ポリスチレンスルホン酸吸着量の測定方法>
    東ソー有機化学(株)製ポリスチレンスルホン酸ナトリウム「ポリナスPS−1」を強酸性陽イオン交換樹脂に通液してH形とした後、H濃度として0.01mmoL/Lに濃度調整したポリスチレンスルホン酸水溶液を調製する。
    水酸化ナトリウム水溶液で処理してOH形に調整した強塩基性陰イオン交換樹脂をカラムに充填して水洗した後、濃度調整したポリスチレンスルホン酸水溶液を通液し、50%破過相当時のポリスチレンスルホン酸吸着量を求め、当該強塩基性陰イオン交換樹脂のポリスチレンスルホン酸の吸着量とする。
  2. 前記陰イオン交換樹脂が、クリプトンを吸着ガスとするBET吸着法により測定される比表面積が1m/g未満の強塩基性陰イオン交換樹脂である、請求項1に記載の超純水の製造方法。
  3. 前記陰イオン交換樹脂が、波長800nmの光の反射率から求められる吸光度が0.10以上0.44以下の強塩基性陰イオン交換樹脂である、請求項1又は2に記載の超純水の製造方法。
  4. 前記陰イオン交換樹脂が、アルカリ性水溶液の存在下で加熱処理を施され、かつ50重量%以上の水溶性有機溶剤を含有する液により洗浄処理を施されたものである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超純水の製造方法。
  5. 前記超純水製造装置が、強酸性陽イオン交換樹脂層と前記陰イオン交換樹脂の層とを有する複床式の超純水製造装置である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の超純水の製造方法。
  6. 前記超純水製造装置が、強酸性陽イオン交換樹脂と前記陰イオン交換樹脂とを混合してなる層を有する混床式の超純水製造装置である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の超純水の製造方法。
  7. 前記超純水装置が、超純水の製造プロセスの2次系に適用される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の超純水の製造方法。
  8. 陰イオン交換樹脂を備えた超純水製造装置であって、該陰イオン交換樹脂として、ゲル型であり、以下の方法で測定されるポリスチレンスルホン酸吸着量が0.25mmoL/L−樹脂以上であって、かつ平均粒径が300μm以上、1000μm以下である強塩基性陰イオン交換樹脂を備えることを特徴とする超純水製造装置。
    <ポリスチレンスルホン酸吸着量の測定方法>
    東ソー有機化学(株)製ポリスチレンスルホン酸ナトリウム「ポリナスPS−1」を強酸性陽イオン交換樹脂に通液してH形とした後、H濃度として0.01mmoL/Lに濃度調整したポリスチレンスルホン酸水溶液を調製する。
    水酸化ナトリウム水溶液で処理してOH形に調整した強塩基性陰イオン交換樹脂をカラムに充填して水洗した後、濃度調整したポリスチレンスルホン酸水溶液を通液し、50%破過相当時のポリスチレンスルホン酸吸着量を求め、当該強塩基性陰イオン交換樹脂のポリスチレンスルホン酸の吸着量とする。
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