JP2004283747A - 高分子電解質の吸着方法 - Google Patents

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雅子 安冨
Hiroyuki Sekiguchi
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Abstract

【課題】アニオン交換樹脂を用いる水処理において高分子電解質、特に高分子のPSAを吸着し汚染を制御して安定した処理を行い得る方法を提供する。
【解決手段】高分子電解質を、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩基を有する構造単位および不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーから誘導される構造単位を含有し、且つ比表面積が0.01m/g〜20m/gである多孔性強塩基性アニオン交換樹脂により吸着することを特徴とする高分子電解質の吸着方法。
【化1】
Figure 2004283747

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子電解質の吸着方法に関するものであり、詳しくは、高分子電解質の吸着性に優れた特定の物性を有する多孔性アニオン交換樹脂を用いた高分子電解質の吸着方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換樹脂は周知のように、水の脱塩処理や溶液の精製などの各種分野で幅広く用いられている。現在もっとも一般的に用いられているアニオン交換樹脂は、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体をハロメチル化し、ついでこのハロメチル基に3級アミンを反応させて得られる強塩基性アニオン交換樹脂、あるいは該共重合体のベンゼン環とイオン交換基との間にスペーサーを有する構造のアニオン交換樹脂である。一方、カチオン交換樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスルホン化物である強酸性カチオン交換樹脂が用いられている。
【0003】
通常、水処理、例えば水の脱塩処理ではアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂は、それぞれ別個に、あるいは混合して用いられている。
一般にイオン交換樹脂は、長期間の使用に伴い酸化等の種々の要因により劣化し、交換能力が低下することが知られており、強酸性カチオン交換樹脂からはポリスチレンスルホン酸(以下、PSAと略記する)等の有機電解質が溶出してくることも知られている。イオン交換樹脂で処理した水中にPSAが存在すると、水の電気伝導度に影響を及ぼすだけでなく、たとえば半導体洗浄用超純水においては製品の歩留まりを悪くする。また、PSAが更に分解すると硫酸イオンを発生し、装置等の金属部品の腐食・劣化を招くことにもなり好ましく無い。
【0004】
強酸性カチオン交換樹脂の劣化等により生じたPSAはアニオン交換樹脂によりある程度吸着除去できる。しかしながら、高架橋度のアニオン交換樹脂では、比較的分子量が小さいPSAはある程度吸着されるが、高分子量のPSAは樹脂内部への拡散が阻害されるため樹脂表面にしか吸着できず、アニオン交換樹脂が吸着し得る全PSA量は僅かである。従来から一般に使用されているスチレン−ジビニルベンゼン系の共重合体からなる強塩基性アニオン交換樹脂では、共重合体にイオン交換基を導入するためのフリーデルクラフツ反応によるハロメチル化反応の際、分子間での架橋反応が進行するのを避け難く(ジャーナルオブポリマーマテリアルズ、8巻、190ページ(1991年)等参照)、そのため、ジビニルベンゼンのような架橋モノマーによって構成された架橋構造に加え、さらに架橋構造が発達するので、樹脂表面でしか吸着せずPSAの吸着には不利な構造となっている。
【0005】
特開2001−215294号公報では、復水処理のための混床において、カチオン交換樹脂からのPSA等の溶出物に対する耐汚染性に優れているとして、多孔性アニオン交換樹脂の使用が提案されている。しかしながら、ここで用いられている多孔性アニオン交換樹脂は、通常使用されているイオン交換樹脂であるので、上述の如く樹脂表面でしかPSAを吸着せず吸着量には限界があった。
【0006】
一方、本出願人は、復水処理において、特定の構造を有するゲル型のアニオン交換樹脂を用いることにより、PSAの脱塩性を向上させる方法を提案した(特願2002−031340号)。しかしながら、このアニオン交換樹脂は低分子量、具体的には分子量2000未満のPSAに対し有効ではあるが、より高分子量のPSAに対しては必ずしも有効な手段とはいえない。
【特許文献1】特開2001−215294号公報
【非特許文献1】ジャーナルオブポリマーマテリアルズ、8巻、190ページ(1991年)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アニオン交換樹脂を用いる水処理、例えば脱塩処理を行う際に、高分子電解質、特に強酸性カチオン交換樹脂と混床で使用した場合にカチオン交換樹脂から溶出する高分子のPSAを吸着し、汚染を制御して長期間安定した処理を行い得る方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意検討した結果、特定の多孔性アニオン交換樹脂を用いることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、高分子電解質を、その含有液から下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩基を有する構造単位および不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーから誘導される構造単位を含有し、且つ比表面積が0.01m/g〜20m/gである多孔性強塩基性アニオン交換樹脂により吸着することを特徴とする高分子電解質の吸着方法に存する。
【0009】
【化3】
Figure 2004283747
[一般式(1)中、Aは炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基、又は炭素数4〜9のアルコキシメチレン基を表わし、Rは水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜4の炭化水素基を表し、Xはアンモニウム基に配位した対イオンを表し、またベンゼン環は置換基を有していてもよい。]
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する多孔性強塩基性アニオン交換樹脂は、前記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩基を有する構造単位および不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーから誘導される構造単位を含有する。
【0011】
該アニオン交換樹脂の構造単位を表す一般式(1)において、Aは炭素数3〜8の直鎖状、分岐状アルキレン基、又は炭素数4〜9のアルコキシメチレン基を表すが、上記の直鎖状アルキレン基としては、たとえばプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基などが挙げられ、分岐状アルキレン基としてはメチルプロピレン基、メチルブチレン基などが挙げられ、アルコキシメチレン基としては、ブトキシメチレン基、ペントキシメチレン基などが挙げられる。これらの中、炭素数3〜5の直鎖状アルキレン基が好ましい。
また、Aは構造上、スチレン基のm−位又はp−位導入されていることが好ましい。
【0012】
一般式(1)において、Rは水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜4の炭化水素基を表す。具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。RおよびRは炭素数1〜4の炭化水素を表すが、上記アルキル基の他、アルケニル基等も挙げられる。また、R、RおよびRの全てがメチル基である場合、トリメチルアンモニウム塩基(I型強塩基性樹脂)であり、Rがヒドロキシエチル基で、RおよびRがメチル基である場合、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩基(II型強塩基樹脂)になる。これらの交換基を有する樹脂は、単位重量当たりの交換容量の低下が少ないので好ましい。
【0013】
一般式(1)において、Xはアンモニウム基に配位した対イオンを表す。たとえば塩化物イオン、臭化物イオン、水酸化イオン、炭酸水素イオン等が挙げられる。アニオンが硫酸イオンのように2価である場合には、一般式(1)で表される構造単位2分子に対してアニオン1分子が結合する。
一般式(1)において、ベンゼン環は更に他の置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば上記Rで述べたようなアルキル基、または塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子が挙げられる。
【0014】
本発明におけるアニオン交換樹脂の構造単位を誘導する不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン等の芳香族ポリビニルモノマー、およびエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の脂肪族エステル系ポリビニルモノマーが挙げられるが、これらの中ではジビニルベンゼンが好ましい。
【0015】
本発明における多孔性強塩基性アニオン交換体の製造方法は、特に制限されず例えば、特開平10−245417号公報に記載されているような公知のイオン交換樹脂製造技術に準じて製造することが出来る。具体的には、下記一般式(2)で示される構造単位の前駆モノマー、不飽和炭化水素基含有架橋性モノマー及び多孔化剤としてのこれらのモノマー混合物に可溶な線状高分子を含む混合物を、重合開始剤の存在下に懸濁重合し、必要に応じ、得られた球状架橋重合体の置換基Zをアンモニウム基に変換し、強塩基性アニオン交換基を導入することによって製造することができる。
【0016】
【化4】
Figure 2004283747
[一般式(2)中、Aは前記一般式(1)における定義と同義を表し、Zはハロゲン原子、水酸基、トシル基またはNR基(R、Rは前記一般式(1)における定義と同義を表す)を表し、またベンゼン環は置換基を有していてもよい。]
【0017】
前記一般式(2)で示される前駆モノマーは、前記一般式(1)で示される構造単位の前駆体である。一般式(2)において、Aは前記一般式(1)における定義と同義を表し、Zは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、水酸基、トシル基(トルエンスルホン酸基)またはNR(RおよびRは前記一般式(1)における定義と同義を表す)を表す。
【0018】
一般式(2)で示される前駆モノマーは、特開平10−245417号公報に記載のような公知の方法により製造することができる。
また、一般式(2)の前駆モノマーと架橋性モノマーとの重合により得られる架橋共重合体における置換基Zを、必要に応じアンモニウム基(−NR基:R、R、Rは、前記一般式(1)における定義と同義を表す。)に変換するには、公知の方法に準じて行うことが出来、例えば、置換基Zがハロゲン原子或いはトシル基の場合、適当な溶媒中で3級アミンを反応させることによりアンモニウム基とすることが出来る。
【0019】
本発明で用いる多孔性強塩基性アニオン交換樹脂において、前記一般式(1)で示される構造単位と不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーから誘導される構造単位の割合はとくに制限されない。しかし、前記一般式(1)で示される構造単位の割合が少なすぎる場合はイオン交換容量が低下し、また、架橋度が高くなるので高分子電解質の吸着能力の面からも不利な構造となる。一方、不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーから誘導される構造単位の割合が少なすぎる場合は、高膨潤性となって単位体積あたりのイオン交換容量が低下するばかりでなく、細孔も発達しにくくなる。したがって、上記の各構造単位の比率は、所望のイオン交換容量、膨潤性、強度などを勘案して適宜選定される。
【0020】
多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を構成する全構造単位中における、一般式(1)で表される構造単位(前駆モノマー)の割合は、通常5〜99モル%、好ましくは50〜98モル%の範囲であり、不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーから誘導される構造単位は、通常0.5〜60モル%、好ましくは2〜50モル%の範囲である。
【0021】
なお、本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂において、アニオン交換樹脂としての機能を低下させない範囲において、必要に応じて、第3のモノマー成分を共重合成分として併用してもよい。この第3の共重合成分としては、例えばスチレン、アルキルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂における、この第3のモノマーから誘導される繰り返し単位は0〜25モル%が好ましい。
【0022】
本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂の製造において使用される多孔化剤としての線状高分子は、前記一般式(2)で示される前駆モノマーおよび不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーを主成分とするモノマー混合物に可溶な線状高分子である。このような線状高分子としては、モノマー混合物に溶解して共重合し、共重合後に生成架橋共重合体から溶剤等により抽出可能なものであればいずれも使用することが出来、例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。これらの中で、ポリスチレンが好ましい。
また、使用する線状高分子の重量平均分子量(Mw)は、通常、10,000〜150,000、好ましくは15,000〜50,000の範囲である。
【0023】
多孔化剤としての線状高分子は、モノマー総量に対して5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%の範囲で用いられる。使用量が少なすぎる場合には、細孔の発達が得られず、多すぎる場合には、モノマー混合物の粘度が高くなり重合を行う際の取り扱いが困難になることや、重合後の抽出に多量の溶媒を必要とする等の問題が生じるので好ましくない。
【0024】
本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を製造するに当たり、重合反応に影響を及ぼさない範囲において、要すればモノマー混合物および多孔化剤の線状高分子に相溶性のある溶媒を添加して重合を行うことも出来る。このような溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンなどが挙げられる。これらの中ではトルエンが好ましい。
溶媒の使用量は、モノマー混合物に対し、通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%程度である。
【0025】
重合時に添加する重合開始剤としては、公知の開始剤から適宜選択して使用することが出来、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられ、通常全モノマーに対して0.1〜5重量%の範囲で使用される。重合時の重合温度は、重合開始剤の種類や濃度により異なるが、通常は40〜100℃の範囲で選択される。また、懸濁重合の際、モノマー、線状高分子、重合開始剤の他に、通常重合反応に用いられる、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の分散剤、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等のpH調節剤等を適宜使用することが出来る。
【0026】
上記のようにして得られた架橋共重合体にアンモニウム基を導入する方法としては、公知の方法が挙げられる。たとえば、特開平4−349941号公報および特開平7−289912号公報に記載された方法に従って、アンモニウム基を導入し、その後公知の方法により、塩形を各種アニオン形に変えることによって本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を得ることが出来る。具体的には、溶媒中に架橋共重合体を懸濁し、NR(R〜Rは、一般式(1)における定義と同義である)で表される置換アミンを反応させる方法が挙げられる。この際使用する溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジオキサン等が挙げられ、これらを単独でも混合しても使用出来る。反応温度としては、置換アミンの種類、溶媒の種類等によっても異なるが、通常20〜100℃の範囲で選ばれる。
本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂の有する交換容量は、重量当たりの中性塩分解容量で、通常1.0〜6.0meq/g、好ましくは1.0〜5.5meq/gの範囲である。
【0027】
本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂は、内部に細孔を有する多孔質体であり、比表面積はBET法による窒素吸着法による測定で、0.01〜20m/g、好ましくは0.02〜10m/gである。比表面積がこの範囲以下では、吸着する高分子電解質の細孔内への拡散が不十分となり、吸着量の向上が達せらず十分な吸着効果が得られない。
【0028】
尚、線状高分子を添加して多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を製造する場合、BET法では比表面積値が略0m/gとなるものが存在する。これはBET法の測定を、サンプルを乾燥させた状態で実施するため、乾燥工程でサンプルが収縮することが原因である。それ故、BET法による比表面積の測定値が略0m/gであっても、目視ではゲル型の樹脂とは明らかに異なり、樹脂が白濁し不透明に見えることから多孔質であることが判る。
本発明における多孔性強塩基性アニオン交換樹脂には、このようなBET法での比表面積測定値が略0m/gの、白濁し不透明に見える多孔性強塩基性アニオン交換樹脂も含まれる。
【0029】
本発明で使用する多孔性強塩基性アニオン交換樹脂は、高分子電解質、例えばPSA等の負に荷電した高分子電解質に対する吸着性に優れている。
従来から、一般的に使用されているスチレン−ジビニルベンゼン系の強塩基性アニオン交換樹脂は、その製造時フリーデルクラフツ反応により、スチレン−ジビニルベンゼン系架橋共重合体にハロメチル基が導入されるが、その反応の際副反応である架橋反応が進行し、樹脂表面では架橋密度が高くなる。そのためPSAでも、より分子量の大きい高分子電解質は樹脂内部への拡散が阻害され、高分子電解質は樹脂表面にしか吸着できず、吸着量に限界があった。
【0030】
これに対し、本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂は、フリーデルクラフツ反応を経ずにイオン交換基が導入されているため、このような副次的な架橋反応による樹脂表面での高架橋密度化は起こらず、高分子電解質を吸着するのに有利な構造となっているのである。その結果、本発明で使用する多孔性強塩基性アニオン交換樹脂は、高分子の電解質でも効率良く吸着することが出来るのである。
【0031】
本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を用いて吸着される高分子電解質は、少なくとも重量平均分子量(Mw)が通常、2,000〜100,000、好ましくは2,000〜50,000であるものを含むものである。
高分子電解質の種類としては、負に荷電した高分子電解質、例えばスルホン酸基、カルボン酸基等を有する高分子電解質が好ましく、ポリスチレンスルホン酸(PSA)、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル安息香酸等が挙げられるが、これらの中ではPSAが好ましい。特に強酸性カチオン交換樹脂から溶出するPSAには種々の分子量のものが混在しており、従来の多孔性アニオン交換樹脂では、分子量2,000未満の低分子量のPSAしか吸着し得なかったが、本発明では上記の如き高分子量のPSAを吸着できる結果、従来吸着されていた低分子量のものから高分子に亘る幅広い分子量のPSAを吸着することが可能となる。
【0032】
本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂では、その架橋度が8%を超え、30%以下、好ましくは25%以下である樹脂は、分子量(Mw)が約10,000程度までの高分子電解質を吸着するのに適しており、架橋度が8%以下、0.5%以上、好ましくは1%以上である樹脂は、分子量(Mw)が約50,000程度までの高分子電解質を吸着するのに適している。従って、高分子電解質に応じて適切な多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を選択して使用するのが良い。
なお、架橋度は、アニオン交換樹脂の製造時に使用した全モノマー混合物中に占める不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーの割合をモル%で表したものである。
【0033】
水処理においては、一般にアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを併用、特に脱塩処理では混床で使用されることが多いが、長期に亘る使用中にカチオン交換樹脂は酸化等により劣化し交換能力が低下すると共に、PSA等の有機物が流出し、これらがアニオン交換樹脂に付着してアニオン交換樹脂の交換能力の低下をもたらすことが知られている。
本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を混床に使用した場合、従来汎用されている多孔性アニオン交換樹脂に比べ広範囲の分子量のPSAの吸着性に優れているため、カチオン交換樹脂からPSAが溶出しても、PSAの吸着総量が多く、より長期にわたりイオン交換能力を保持することができる。また、カチオン交換樹脂を充填したカチオン交換塔、アニオン交換樹脂を充填したアニオン交換塔を、この順序で連結し、カチオン交換塔からの流出水をアニオン交換塔で処理する場合にも、アニオン交換塔に本発明における多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を用いるのが有利である。
【0034】
本発明の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を混床に使用する場合、カチオン樹脂としては、特に制限されず公知のものが使用できる。例えば、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、エチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマーと、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族ポリビニルモノマーを重合し、これにカチオン交換基を導入して製造されたものが挙げられる。カチオン交換樹脂の種類としては、ゲル型、多孔質型などがあるが、PSAの溶出が少ない点でゲル型樹脂が好ましい。また、カチオン交換樹脂の架橋度は好ましくは8〜18%、特に12〜16%がより好ましい。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、比表面積はBET法による窒素吸着法により、また、イオン交換容量及び水分は「ダイヤイオンマニュアル」(三菱化学(株)発行)に記載の方法に従って測定した(meq/gは、乾燥樹脂重量当たりのミリ当量を表す)。
【0036】
製造例1
4−(4−ブロモブチル)スチレン61.9gと高純度ジビニルベンゼン(新日鐵化学社製、純度81%)1.8gを混合し、さらにポリスチレン(分子量45,000)12.7g、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(含有率75%)0.5gを溶解したモノマー溶液を調製した。モノマー溶液をポリビニルアルコールと塩化ナトリウムを溶解した脱塩水中に撹拌下分散した後、85℃で8時間重合した。重合後、得られた共重合体粒子を取り出し、トルエン中で40℃に加熱、引き続き濾過する工程を3回繰り返した。不透明な多孔質の共重合体粒子が得られた。得られた共重合体30gをトルエン100mLとトリメチルアミン水溶液(純度30%)35mLの混合物中で密閉下、80℃で4時間加熱し、イオン交換樹脂を得た。交換容量は、3.63meq/g、水分62%の不透明な多孔質のイオン交換体であった。BET法による比表面積は1.1m/gであった。
【0037】
製造例2
製造例1において、モノマー溶液中にトルエン12.7gを添加し、ポリスチレン(分子量45000)の量を6.4gとして以外は、製造例1と同様に行い、イオン交換樹脂を得た。交換容量は、3.71meq/g、水分61%の不透明な多孔質のイオン交換体であった。
【0038】
実施例1
製造例1で得た多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を用いて、PSAの吸着試験を実施した。
多孔性強塩基性アニオン交換樹脂のOH形樹脂10mLをメスシリンダーで計りとり、ジャケット付きカラム(直径12mm、長さ100mm)に充填した。カラム温度を25℃に保持し、分子量10,000のPSA水溶液(25μmol/L、H形)を流速SV30で流通させた。カラム出口の流出液のPSA濃度を測定し、吸着されずに漏れ出てくるPSAの量を測定した。PSA水溶液400mLを通液した時点での、出口水のPSA濃度は0.24μmol/Lであり、漏れ出てくるPSAは原液の10%未満であった。
【0039】
比較例1
製造例1で得た多孔性強塩基性アニオン交換樹脂に代えて、これと同じ化学構造をもつゲル形強塩基性アニオン交換樹脂(三菱化学社製:ダイヤイオン(登録商標)TSA1200)を用いた以外は実施例1と同様に行い、カラム出口の流出液のPSA濃度を測定した。PSA水溶液100mLを通液した時点での出口水のPSA濃度は20μmol/Lであり、漏れ出てくるPSAは原液の80%であった。
【0040】
比較例2
製造例1で得た多孔性強塩基性アニオン交換樹脂に代えて、従来形の多孔性強塩基性アニオン交換樹脂(三菱化学社製:ダイヤイオン(登録商標)PA308)を用いた以外は実施例1と同様に行い、カラム出口の流出液のPSA濃度を測定した。PSA水溶液150mLを通液した時点での出口水のPSA濃度は20μmol/Lであり、漏れ出てくるPSAは原液の80%であった。
【0041】
実施例2
製造例1で得た多孔性強塩基性アニオン交換樹脂に代えて、製造例2で得た多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を用いた以外は実施例1と同様に行い、カラム出口のPSA濃度を測定した。PSA水溶液600mLを通液した時点での出口水のPSA濃度は0.11μmol/Lであり、漏れ出てくるPSAは原液の5%未満であった。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を用いて、より多くの高分子電解質を吸着することができる。よって、水処理等における混床にこの多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を用いることにより、長期間イオン交換能力を維持することを可能にし得るので極めて有用である。

Claims (9)

  1. 高分子電解質を、その含有液から下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩基を有する構造単位および不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーから誘導される構造単位を含有し、且つ比表面積が0.01m/g〜20m/gである多孔性強塩基性アニオン交換樹脂により吸着することを特徴とする高分子電解質の吸着方法。
    Figure 2004283747
    [一般式(1)中、Aは炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基、又は炭素数4〜9のアルコキシメチレン基を表わし、Rは水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜4の炭化水素基を表し、Xはアンモニウム基に配位した対イオンを表し、またベンゼン環は置換基を有していてもよい。]
  2. 多孔性強塩基性アニオン交換樹脂は、下記一般式(2)で示される構造単位の前駆モノマーおよび不飽和炭化水素基含有架橋性モノマーを主成分とするモノマー混合物、並びに多孔化剤としての該モノマー混合物に可溶な線状高分子を用いて製造されることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質の吸着方法。
    Figure 2004283747
    [一般式(2)中、Aは前記一般式(1)における定義と同義を表し、Zはハロゲン原子、水酸基、トシル基またはNR基(R、Rは前記一般式(1)における定義と同義を表す)を表し、またベンゼン環は置換基を有していてもよい。]
  3. 多孔性強塩基性アニオン交換樹脂は、前記一般式(2)で示される構造単位の前駆モノマー、並びに芳香族ポリビニルモノマー及び脂肪族エステル系ポリビニルモノマーから選ばれるポリビニルモノマーを主成分とするモノマー混合物に多孔化剤としての線状高分子を溶解させた混合物を重合開始剤の存在下重合し、生成した架橋共重合体の置換基ZをNR基で表されるアンモニウム基(R、R、Rは前記一般式(1)における定義と同義を表す。)に変換することにより製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の高分子電解質の吸着方法。
  4. 多孔化剤として使用する線状高分子の使用量が、モノマー混合物に対して5〜30重量%であることを特徴とする請求項2又は3に記載の高分子電解質の吸着方法。
  5. 高分子電解質が負に荷電している事を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子電解質の吸着方法。
  6. 高分子電解質がポリスチレンスルホン酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子電解質の吸着方法。
  7. 高分子電解質は、少なくとも重量平均分子量が2,000〜100,000であるものを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の高分子電解質の吸着方法。
  8. 多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を、強酸性カチオン交換樹脂と併用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の高分子電解質の吸着方法。
  9. 多孔性強塩基性アニオン交換樹脂を、強酸性カチオン交換樹脂との混床で使用することを特徴とする請求項8に記載の高分子電解質の吸着方法。
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