JP5445693B2 - 車両の操舵制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、ARS(Active Rear Steering:後輪操舵装置)やAWS(All Wheel Steering:全輪操舵装置)等、後輪舵角を変化させ得る各種の後輪舵角可変装置を搭載した車両の操舵状態を制御する、車両の操舵制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、ある制御手段による制御対象の基本制御と、他の制御手段による当該基本制御を修正する修正制御との制御干渉を抑制するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された車両の制御装置によれば、上記修正制御として、旋回外向きのヨーモーメントを減少させる或いは旋回内向きのヨーモーメントを増加させるアンダーステア制御、及び左右輪の制動力差によるヨーモーメントを打ち消すための制動時μスプリット制御が開示されており、これらが作動状態にある場合において、上記基本制御としての後輪操舵比制御を停止し、後輪操舵比SGrを「0」とすることによって、これらと後輪操舵比制御との干渉を抑制可能であるとされている。
尚、後輪操舵と異なる分野における干渉抑制制御としては、目標制御トルクの操舵方向とドライバ操舵トルクの操舵方向とが異なり制御干渉しているときに目標制御トルクの制御量を低減させるものも提案されている。
特開2008−110708号公報 特開2009−190464号公報
後輪の操舵に係る複数の制御において、当該複数の制御相互間の制御上の優先度は必ずしも一律でない。従って、一方の制御が他方の制御に対し常に優先される場合には、実践的運用面において車両の挙動が必ずしも最適化されない。即ち、通常の舵角制御の範疇に属する、基本制御としての後輪操舵比の制御(以下、適宜「常用域の制御」等を表現する)が常に制限対象となる、特許文献1に開示される装置においては、車両挙動の最適化を図るにあたって改善の余地がある。
確かに、横加速度、車体スリップ角、ヨーレート或いはヨーモーメント等を所望の目標値に維持することによって車両挙動の安定化を図る各種の挙動安定化制御がなされる車両構成においては、常用域の後輪操舵比の制御がこの種の挙動安定化制御と干渉する場合に、車両挙動の不安定化を回避する観点から、後輪操舵比の制御を制限すべき場合も多い。
然るに、常用域における後輪操舵比の制御にも当然ながら技術的意義が存在するのであって、例えば、後輪操舵によって安定に維持すべき車両挙動を他の方法で安定化させ得る場合や、後輪操舵を積極的に介入させる必要が生じる程度の車両挙動の不安定化自体をその発生前に或いは発生直後に抑制し得る場合においてまで、頑なに常用域の後輪操舵比制御を制限する合理的理由は存在しないと考えるべきである。
また、特許文献1に開示される装置においては、このような制御干渉の発生時において実質的に後輪操舵比の制御が無効とされるため、制御干渉の発生時には常時ドライバの意思が無視されることになる。このような二値的な制御形態では、自動操舵を優先すべき場合に自動操舵を優先している状況にあっても、車両挙動は必ずしも望ましいものとならない。
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであって、後輪操舵に係る複数の制御が相互に干渉する場合において、車両の挙動を常時最適に維持し得る車両の操舵制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る車両の操舵制御装置は、後輪の舵角を変化させることが可能な後輪舵角可変装置を備えた車両を制御する車両の操舵制御装置であって、第1目標舵角として、運転者のハンドル操作に応じた前記後輪の目標舵角を設定する第1設定手段と、第2目標舵角として、目標値へ向けた車両状態量の制御を伴う自動操舵に係る、前記運転者のハンドル操作と連動しない前記後輪の目標舵角を設定する第2設定手段と、前記後輪舵角可変装置を介し、前記設定された第1及び第2目標舵角に基づいて前記後輪の舵角を制御する制御手段と、前記設定された第1及び第2目標舵角が相互に逆相関係にある場合に、前記車両の走行条件に応じて前記後輪の舵角に対する前記第1目標舵角の影響を制限する制限手段とを具備し、前記制限手段は、前記自動操舵が、前記後輪の舵角とは異なる前記車両の状態制御量の制御過程において生じる前記車両状態量の変化を抑制するものである場合には、前記第1目標舵角に優先して、前記車両の走行条件に応じて前記後輪の舵角に対する前記第2目標舵角の影響を制限することを特徴とする。
本発明に係る車両は、後輪舵角可変装置を備える。後輪舵角可変装置とは、例えば、ARSやAWS等、少なくとも後輪をハンドル操作から独立して変化させることが可能な装置を包括する概念である。但し、「ハンドル操作から独立して変化させることが可能」とは、ハンドル操作と連動した後輪の舵角制御(ハンドルと機械的に連結された操舵機構を介した舵角制御でも、ハンドルと機械的に連結しない操舵機構を介した舵角制御でもよい)を除外するものではない。
尚、好適な一形態として、本発明に係る車両は、VGRS(Variable Gear Ratio Steering:操舵伝達比可変装置)等、前輪の舵角をハンドル操作から独立して変化させる装置を搭載していてもよい。また、上記AWSとは、ARSとこのVGRSとの組み合わせにより構築された四輪操舵装置であってもよい。
本発明に係る車両の操舵制御装置は、このような車両を制御する装置であって、例えば、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、各種プロセッサ又は各種コントローラ、或いは更にROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バッファメモリ又はフラッシュメモリ等の各種記憶手段等を適宜に含み得る、単体の或いは複数のECU(Electronic Controlled Unit)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る。
本発明に係る車両の操舵制御装置によれば、第1設定手段により第1目標舵角が設定される。
第1目標舵角は、運転者のハンドル操作に応じた、運転者の操舵意思に沿った後輪の目標舵角であり、常用域における後輪の目標舵角である。第1目標舵角は、例えば、車速、ハンドル角(ステアリングホイルの回転角であり、所謂「操舵角」と等価である)、ハンドル角の時間微分値であるハンドル角速度等に応じて算出されるか、或いは、これらをパラメータとして予め然るべき記憶装置に格納された制御マップから該当値が選択される等して適宜に設定される。
一方、本発明に係る車両の操舵制御装置によれば、この第1目標舵角とは別に、第2設定手段により第2目標舵角が設定される。
第2目標舵角は、自動操舵を実現するための後輪の目標舵角である。ここで、「自動操舵」とは、目標値へ向けた車両状態量の制御を伴う、運転者のハンドル操作と連動しない自動的な操舵制御を意味し、例えば、車両挙動の安定化を図ることを目的とした、例えばVSC(Vehicle Stability Control)或いは跨ぎ制動制御等の各種の挙動安定化制御や、車両を目標走行路に沿って走行させる、例えばLKA(Lane Keeping Assist)等の各種軌跡追従制御等を好適に含み得る趣旨である。無論、車両において実行される自動操舵は、必ずしも単数でなくてよく、複数の自動操舵が、各々の発動条件や制御条件に従って適宜協調的に或いは択一的に実行されてもよい。
尚、「車両状態量」とは、車両の運動状態を定量的に規定する各種物理量、制御量又は指標値であって、後輪舵角可変装置を含む各種運動制御デバイスを介して可制御性を付与された各種の状態制御量(言うなれば、直接的な制御対象値を意味する)によって間接的に制御可能な値である。後輪舵角可変装置により可制御性を付与される状態制御量が後輪舵角である点に鑑みれば、本発明に係る車両状態量は、車両の旋回挙動に関連する値であって、例えば、ヨーレート、ヨーモーメント、車体スリップ角、目標走行路に対するヨー角偏差、横加速度及びそれらに類するもの等を含み得る。
第2目標舵角は、例えば、直進時又は旋回時に何らかの理由で発生した意図しないヨーモーメントと逆方向のヨーモーメントを生じさせるための後輪の目標舵角であってもよいし、車両旋回時に何らかの理由で発生したアンダーステア(走行路が目標走行路に対して旋回外側に膨らむ現象)又はオーバーステア(走行路が目標走行路に対して旋回内側に入り込む現象)をニュートラルステア又は弱アンダーステア若しくは弱オーバーステアに補正するための後輪の目標舵角であってもよい。或いは、目標走行路を規定する車線やレーンマーク等の各種目標体と車両との横位置偏差やヨー角偏差等を所定範囲に維持するための後輪の目標舵角であってもよい。
制御手段は、第1及び第2目標舵角が共に設定されている状況においては(車両の走行条件によっては、いずれか一方のみが設定される場合も当然ながら生じ得る)、これら設定された第1及び第2目標舵角に基づいて後輪の舵角を制御する。
この際、制御手段は、例えば、この第1目標舵角と第2目標舵角とを単純に加算して(操舵方向に応じて付与される正負の符号は勘案される必要がある)最終的な後輪の目標舵角を設定してもよいし、この加算処理後の目標舵角に、或いは加算処理に先立って少なくとも一方の目標舵角に、適宜補正処理を加えてもよい。この最終的な目標舵角は、好適には、後輪舵角可変装置の制御量(制御電流値、制御電圧値、制御時間値又は制御回転角等)に換算され、後輪舵角可変装置が制御される。
ここで、第2目標舵角は、運転者のハンドル操作とは無関係に設定される目標舵角であるから、自動操舵の制御基準に基づいて規定される、その時点で車両の採るべき車両状態量によっては、運転者のハンドル操作に応じた第1目標舵角とその制御方向が逆相関係となり、ハンドル操作に応じた後輪の舵角制御と自動操舵における後輪の舵角制御とが相互干渉する場合がある。
特に、第1目標舵角と第2目標舵角とが相殺して最終的な後輪の目標舵角がゼロ又はゼロ相当値となる場合、ハンドル操作に応じた後輪の舵角制御と、自動操舵における後輪の舵角制御との双方が実質的に失効状態となり、車両挙動が不安定となり易い。従って、このような制御干渉が生じる場合においては、後輪の最終的な舵角に対する、第1目標舵角又は第2目標舵角の影響を制限する必要が生じ得る。
この際、自動操舵が車両状態量の目標値への収束或いは漸近を促す制御である点と、運転者の明確な終了意思に基づいて終了させることが許可され得る類の自動操舵制御についてはその終了条件が自動操舵制御各々において明確に規定され得る点とに鑑みれば、第1目標舵角に従った運転者の操舵と第2目標舵角に従った自動操舵とが相互に干渉する場合、即ち、自動操舵を停止すべき条件に該当しない場合においては、第1目標舵角が運転者の操舵意思を反映するものであるにしても、自動操舵を制限すべきでないと考えるのが妥当である。特に、自動操舵が、車両挙動の安定化を図るためのもの(例えば、跨ぎ制動制御やVSC等)であれば尚更である。
そこで、本発明に係る車両の操舵制御装置では、設定された第1及び第2目標舵角が相互に逆相関係にある場合に、制限手段により、後輪の舵角に対する第1目標舵角の影響が制限される。
尚、「制限」とは、寄与の度合いを幾らかなり低減させることを意味するものであって、全く反映させない(即ち、100%制限することを意味する)ことも含む趣旨である。制限手段は、例えば、車速、操舵角或いは操舵角速度等、後輪の舵角変化と車両挙動との関係性に有意な影響を与え得る条件としての車両の走行条件に応じて、多段階に又は連続的に第1目標舵角の影響を制限する構成となっている。
このような制御干渉の発生時において、運転者のハンドル操作に応じた第1目標舵角を無効化する選択肢しかない場合、運転者は、自身のハンドル操作が車両挙動に全く反映されないことによる不安感、不快感或いは違和感を覚え易い。例えば、車両の走行条件に応じて後輪舵角が車両挙動に与える影響が変化し得る点に鑑みれば、第1目標舵角を殆ど制限せずともよい場合も存在し得るのであって、そのような場合に100%の制限を行なえば、制限の度合いが実践的要求値と乖離することとなって、自動操舵を優先すべき旨の判断の下に自動操舵を優先しているにもかかわらず、望ましい車両挙動を実現することが難しくなる。
その点、このように車両の走行条件に応じて多段階に又は連続的に第1目標舵角が制限される本発明の構成によれば、その時点の車両の走行条件に応じた適切な制限がなされ得るので、運転者のハンドル操作を常時的確に後輪舵角に反映させることができ、実践上非常に有益である。
ところで、第1目標舵角と第2目標舵角とが逆相関係になる場合においては、基本的に、このようにハンドル操作に応じた第1目標舵角を優先して制限するのが妥当な施策となり得るが、ハンドル操作に応じた第1目標舵角にも当然ながら実践上の意義があるから、第1目標舵角が第2目標舵角に対して常時優先して制限されるのは、必ずしも合理的でない場合もある。
そこで、本発明に係る制限手段は、下記の如き制御規則に従って、第1目標舵角に優先した第2目標舵角の制限を実行し得るか否かを判定し、第2目標舵角の制限を優先し得る場合については、第1目標舵角に優先して第2目標舵角を制限する構成となっている。より具体的には、制限手段は、自動操舵が、後輪舵角とは異なる状態制御量の制御過程において生じる車両状態量の変化を抑制するものである場合には、第1目標舵角に優先して第2目標舵角の影響を制限する。
ここで、「後輪舵角とは異なる状態制御量」とは、好適な一形態として、例えば各輪に付与される制駆動力(制動力及び駆動力のうち少なくとも一方を意味する)等を意味する。各輪の制駆動力を制御する過程においては、例えば、左右輪の制駆動力差等により、車両に意図しないヨーモーメントが発生することがある。このヨーモーメントにより、車両は、制動力が相対的に大きい側へ或いは駆動力が相対的に小さい側へ旋回する。
ここで特に、第2目標舵角の設定に係る自動操舵が、例えばこの種のヨーモーメント(即ち、他の状態制御量の制御過程で生じた車両状態量の変化)の抑制を図るものである場合、言うなれば、自動操舵を遂行するに際し後輪舵角と相互に補完関係にある状態制御量が存在する場合については、この第2目標舵角と一対一、一対多、多対一又は多対多に対応する他の状態制御量(この例では、左右制駆動力差)自体を低減或いは抑制することによって、自動操舵に係る第2目標舵角の設定値自体を合理的に減じることができる。
即ち、本発明に係る車両の操舵制御装置は、自動操舵の種類によっては、第1目標舵角と干渉する第2目標舵角それ自体を合理的に制限し得る場合がある点に着眼し、そのような場合に第2目標舵角を第1目標舵角に優先して制限する旨の技術思想によって、自動操舵と運転者による操舵との制御干渉が発生する場合において、車両挙動の悪化を可及的に抑制しつつも、運転者のハンドル操作を車両挙動に可及的に反映させることを可能としているのである。
尚、第1目標舵角に優先して第2目標舵角を制限するにあたり、制限手段は、第1目標舵角の場合と同様に、車両の走行条件に応じて第2目標舵角を制限する。この場合の車両の走行条件とは、必ずしも第1目標舵角の場合と一致しておらずともよいが、いずれにせよ、走行条件を考慮することによって、第2目標舵角を常時的確な度合いをもって制限することが可能となる。
本発明に係る車両の操舵制御装置の一の態様では、前記制限手段は、前記走行条件としての車速及び運転者の操舵入力相当値のうち少なくとも一方に応じて前記設定された第1又は第2目標舵角を減少側に補正することにより、前記後輪の舵角に対する前記第1又は第2目標舵角の影響を制限する(請求項2)。
この態様によれば、後輪舵角が車両挙動に及ぼす影響の度合いを顕著に規定する走行条件としての車速及び運転者の操舵入力相当値のうち少なくとも一方に応じて、制限されるべき一方の目標舵角が減少側に補正されることによって、当該一方の目標舵角が制限されるので、当該一方の目標舵角の制限の度合いを最小限度に或いは適切な範囲に留めることができ、車両挙動の不安定化を招かない範囲で、ハンドル操作に応じた操舵と自動操舵との共存を好適に図ることが可能となる。
尚、本発明に係る「操舵入力相当値」とは、運転者のハンドル操作(ドライバ操舵とも称される)の度合いを規定する状態量、制御量又は指標値を包括する概念であり、好適な一形態としては、例えば、操舵入力量(例えば、ハンドル角(操舵角))や操舵入力速度(例えば、ハンドル角速度(操舵角速度))等を意味する。
また、ハンドル操作に応じた第1目標舵角が制限されるに際しては、操舵入力相当値として操舵入力量が、また自動操舵に係る第2目標舵角が制限されるに際しては、操舵入力相当値として操舵入力量或いは操舵入力速度等が採用されてもよい。
本発明に係る車両の操舵制御装置の他の態様では、前記車両は、前記状態制御量として前記後輪を含む車輪の各々に付与される制動力を変化させることが可能な制動力可変装置を備え、前記第2設定手段は、前記車輪の左右制動力差の大小に応じて夫々大小に変化する前記車両状態量としての前記車両のヨーモーメントが、前記車輪の舵角の大小に応じて夫々大小に変化する前記車両のヨーモーメントによって相殺されるように前記第2目標舵角を設定し、前記制限手段は、前記走行条件としての車速及び運転者の操舵入力相当値のうち少なくとも一方に応じて、前記設定される第2目標舵角を減少側に補正すると共に、前記設定される第2目標舵角の減少側への補正による前記車両のヨーモーメントの変化が抑制されるように前記制動力可変装置を介して前記左右制動力差を制御することによって、前記後輪の舵角に対する前記第2目標舵角の影響を制限する(請求項3)。
この態様によれば、車両において実行される自動操舵として、後輪を含む車輪の舵角(即ち、状態制御量)に応じたヨーモーメント(即ち、車両状態量)の制御が少なくとも含まれ、左右輪(前輪のみでも、後輪のみでも、全車輪でもよい)の制動力差に応じて発生するヨーモーメントと、少なくとも後輪舵角を含む車輪の舵角に応じて発生するヨーモーメントとが、その度合いの大小は問わず相殺されるように、第2目標舵角が設定される。即ち、この場合、共に状態制御量である後輪舵角と左右制動力差とは相互に補完する関係となる。
このような構成においては、第2目標舵角を本来の設定値に対し減少側へ補正することによって制限したとしても、第2目標舵角と一対一、一対多、多対一又は多対多に対応して増減する左右制動力差を、設定される第2目標舵角自体が減少する方向へ変化させることによって、自動操舵の効能を実質的に維持することが可能となる。
この態様によれば、制限手段が、目標舵角同士の干渉が生じた場合において、第2目標舵角を制限し、それに伴って左右制動力差を減少させる。従って、第2目標舵角の制限が自動操舵に係る車両挙動の制御に影響を与えることを防止しつつ、運転者によるハンドル操作に応じた常用域の舵角制御を可及的に維持することが可能となる。
本発明に係る車両の操舵制御装置の他の態様では、前記車両は、前記状態制御量として前記後輪を含む車輪の各々に付与される制動力を変化させることが可能な制動力可変装置を備え、前記第2設定手段は、前記車輪の左右制動力差の大小に応じて夫々大小に変化する前記車両状態量としての前記車両のヨーモーメントが、前記車輪の舵角の大小に応じて夫々大小に変化する前記車両のヨーモーメントによって相殺されるように前記第2目標舵角を設定し、前記制限手段は、前記制動力可変装置を介し、前記走行条件としての車速及び運転者の操舵入力相当値のうち少なくとも一方に応じて前記左右制動力差を減少側に補正することにより、前記後輪の舵角に対する前記第2目標舵角の影響を制限する(請求項4)。
この態様によれば、上記態様と同様に、第1目標舵角と干渉する第2目標舵角の設定に係る自動操舵がヨーモーメントの制御である場合において、第2目標舵角に先立って左右制動力差が減じられる。左右制動力差が減じられれば、自動操舵に係る第2目標舵角の設定に影響するヨーモーメント自体が抑制されるから、第2設定手段により設定される第2目標舵角もまた減じられ、必然的に後輪舵角に対する第2目標舵角の影響が制限されることになる。
即ち、この態様によれば、第2目標舵角の設定プロセス自体に介入することによって、第1目標舵角と第2目標舵角との干渉の規模を抑制することが可能となる。従って、実践上極めて有益である。
自動操舵が、左右制動力差に起因するヨーモーメントの変化を相殺すべくなされる場合における、本発明に係る車両の操舵制御装置の一の態様では、前記車輪の左右制動力差は、前記車両が摩擦係数の相互に異なる路面を跨いで走行している場合に前記各々に前記制動力が付与される場合において、前記摩擦係数の差異に起因して生じる左右制動力差である(請求項5)。
この態様によれば、左右制動力差に起因するヨーモーメントの制御たる自動操舵は、所謂「跨ぎ制動制御」の一態様をなす。即ち、左右輪が摩擦係数の相異なる路面を走行中である場合には、左右輪に同様の制動圧を付与しても、車輪と路面との間に作用する制動力は、摩擦係数の相対的に高い方が大きくなり、車両には、摩擦係数の相対的に高い路面の側へ旋回する方向へヨーモーメントが発生して、車両が旋回する。跨ぎ制動制御においては、このヨーモーメントが、後輪を含む車輪の舵角変化により意図的に発生させたヨーモーメントと相殺される構成を採る。
この種の跨ぎ制動制御は、EPS等の操舵トルクの制御によっても代替可能であるが、舵角変化は、操舵トルクよりも直接的に車両挙動を変化させ得るため、迅速性を要求される言わば一種の緊急回避的措置の意味合いを有する跨ぎ制動制御に係る状態制御量としては好適である。
自動操舵が、左右制動力差に起因するヨーモーメントの変化を相殺すべくなされる場合における、本発明に係る車両の操舵制御装置の他の態様では、前記制限手段は、前記制動力の付与が開始されてからの経過時間が長くなるに連れて前記設定される第2目標舵角又は前記後輪の左右制駆動力差の減少側への補正量を減少させる(請求項6)。
能動的にせよ受動的にせよ左右制動力差を減じるにあたっては、相対的に高い方の制動力を、相対的に低い方の制動力に近付けるのが合理的である。とりわけ、跨ぎ制動制御においては、意図的に制動力差を付与している訳ではないため、このような対策(相対的に高摩擦係数側の路面に接地している車輪に作用する制動力を減少側に補正する旨の対策)以外は実質的に講じ難い。ところが、このように一方の制動力の減少により左右制動力差の減少を図る場合、制動要求に応じた制動力が、必ずしも十分に得られなくなる可能性がある。
このような問題に対し、本態様によれば、制動力の付与が開始されてよりの経過時間に応じて第2目標舵角の減少側への補正量が低減される。即ち、制動開始から時間が経過するに連れて、制動力は制動要求に応じた通常の制動力に近付くことになる。従って、総体的に見て、制動開始から時間が経過するに連れて制動力が増加し、車両の減速度が十分に確保されることとなって、車両挙動をより安定に維持することが可能となる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
本発明の一実施形態に係る車両の構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図1の車両における常用域の前輪の一操舵特性を例示する図である。 図1の車両における常用域の後輪の一操舵特性を例示する図である。 図1の車両における跨ぎ制動制御の概念図である。 図1の車両においてECUにより実行される後輪操舵干渉補償制御のフローチャートである。 図2の後輪操舵干渉補償制御に係る後輪操舵特性変更処理における補正ゲインの一特性を表す図である。 図2の後輪操舵干渉補償制御に係る左右制動力差低減処理における補正ゲインの一特性を表す図である。 図2の後輪操舵干渉補償制御に係る左右制動力差低減処理における補正ゲインの他の例を表す図である
<発明の実施形態>
以下、適宜図面を参照して本発明の車両の制御装置に係る実施形態について説明する。
<1.実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図1は、車両10における操舵系の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、車両10は、操舵輪として左右一対の前輪FL及びFR並びに左右一対の後輪RL及びRRを備え、これら各操舵輪が左右方向へ操舵されることにより所望の方向に進行可能に構成されている。車両10は、ECU100、VGRSアクチュエータ200、VGRS駆動装置300、EPSアクチュエータ400、EPS駆動装置500、ARSアクチュエータ600、ARS駆動装置700及びECB(Electronic Controlled Braking system;電子制御式制動装置)800を備える。
ECU100は、夫々不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備え、車両10の動作全体を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「車両の操舵制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する後輪操舵干渉補償制御を実行可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「第1設定手段」、「第2設定手段」、「制御手段」及び「制限手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
車両10では、操舵入力手段としてのハンドル11を介して運転者から与えられる操舵入力が、ハンドル11と同軸回転可能に連結され、ハンドル11と同一方向に回転可能な軸体たるアッパーステアリングシャフト12に伝達される。アッパーステアリングシャフト12は、その下流側の端部においてVGRSアクチュエータ200に連結されている。
VGRSアクチュエータ200は、ハウジング201、VGRSモータ202及び減速機構203を備えた操舵伝達比可変装置である。
ハウジング201は、VGRSモータ202及び減速機構203を収容してなるVGRSアクチュエータ200の筐体である。ハウジング201には、前述したアッパーステアリングシャフト12の下流側の端部が固定されており、ハウジング201は、アッパーステアリングシャフト12と一体に回転可能となっている。
VGRSモータ202は、回転子たるロータ202a、固定子たるステータ202b及び駆動力の出力軸たる回転軸202cを有するDCブラシレスモータである。ステータ202bは、ハウジング201内部に固定されており、ロータ202aは、ハウジング201内部で回転可能に保持されている。回転軸202cは、ロータ202aと同軸回転可能に固定されており、その下流側の端部が減速機構203に連結されている。
減速機構203は、差動回転可能な複数の回転要素(サンギア、キャリア及びリングギア)を有する遊星歯車機構である。この複数の回転要素のうち、第1の回転要素たるサンギアは、VGRSモータ202の回転軸202cに連結されており、また、第2の回転要素たるキャリアは、ハウジング201に連結されている。そして第3の回転要素たるリングギアが、ロアステアリングシャフト13に連結されている。
このような構成を有する減速機構203によれば、ハンドル11の操作量に応じたアッパーステアリングシャフト12の回転速度(即ち、キャリアに連結されたハウジング201の回転速度)と、VGRSモータ202の回転速度(即ち、サンギアに連結された回転軸202cの回転速度)とにより、残余の一回転要素たるリングギアに連結されたロアステアリングシャフト13の回転速度が一義的に決定される。この際、回転要素相互間の差動作用により、VGRSモータ202の回転速度を増減制御することによって、ロアステアリングシャフト13の回転速度を増減制御することが可能となる。即ち、VGRSモータ202及び減速機構203の作用により、アッパーステアリングシャフト12とロアステアリングシャフト13とは相対回転可能である。また、減速機構203における各回転要素の構成上、VGRSモータ202の回転速度は、各回転要素相互間のギア比に応じて定まる所定の減速比に従って減速された状態でロアステアリングシャフト13に伝達される。
このように、車両10では、アッパーステアリングシャフト12とロアステアリングシャフト13とが相対回転可能であることによって、アッパーステアリングシャフト12の回転量たるハンドル角δhと、ロアステアリングシャフト13の回転量に応じて一義的に定まる(後述するラックアンドピニオン機構のギア比も関係する)前輪舵角δfとの比たる操舵伝達比Kが、予め定められた範囲で連続的に可変となる。
即ち、VGRSアクチュエータ200は、ハンドル角δhと前輪舵角δfとの関係を変化させることが可能であり、運転者の操舵入力とは無関係に前輪舵角δfを変化させることが可能である。
尚、減速機構203は、ここに例示した遊星歯車機構のみならず、他の態様(例えば、アッパーステアリングシャフト12及びロアステアリングシャフト13に夫々歯数の異なるギアを連結し、各ギアと一部分で接する可撓性のギアを設置すると共に、係る可撓性ギアを、波動発生器を介して伝達されるモータトルクにより回転させることによって、アッパーステアリングシャフト12とロアステアリングシャフト13とを相対回転させる態様等)を有していてもよいし、遊星歯車機構であれ上記と異なる物理的、機械的、又は機構的態様を有していてよい。
VGRS駆動装置300は、VGRSモータ202のステータ202bに対し通電可能に構成された、PWM回路、トランジスタ回路及びインバータ等を含む電気駆動回路である。VGRS駆動装置300は、図示せぬバッテリと電気的に接続されており、当該バッテリから供給される電力によりVGRSモータ202に駆動電圧を供給することが可能に構成されている。また、VGRS駆動装置300は、ECU100と電気的に接続されており、その動作はECU100により制御される構成となっている。
ロアステアリングシャフト13の回転は、操舵機構14に伝達される。
操舵機構14は、所謂ラックアンドピニオン機構であり、ロアステアリングシャフト13の下流側端部に接続されたピニオンギア及び当該ピニオンギアのギア歯と噛合するギア歯が形成されたラックバーを含む機構である。操舵機構14は、ピニオンギアの回転がラックバーの図中左右方向の運動に変換されることにより、ラックバーの両端部に連結されたタイロッド及びナックル(符号省略)を介して操舵力を各前輪に伝達する構成となっている。
EPSアクチュエータ400は、永久磁石が付設されてなる回転子たる不図示のロータと、当該ロータを取り囲む固定子であるステータとを含むDCブラシレスモータとしてのEPSモータを備えた操舵トルク補助装置である。このEPSモータは、EPS駆動装置500を介した当該ステータへの通電によりEPSモータ内に形成される回転磁界の作用によってロータが回転することにより、その回転方向にアシストトルクTAを発生可能に構成されている。
一方、EPSモータの回転軸たるモータ軸には、不図示の減速ギアが固定されており、この減速ギアはまた、ピニオンギアと噛合している。このため、EPSモータから発せられるアシストトルクTAは、ピニオンギアの回転をアシストするアシストトルクとして機能する。ピニオンギアは、先に述べたようにロアステアリングシャフト13に連結されており、ロアステアリングシャフト13は、VGRSアクチュエータ200を介してアッパーステアリングシャフト12に連結されている。従って、アッパーステアリングシャフト12に加えられる操舵トルクMTは、アシストトルクTAにより適宜アシストされた形でラックバーに伝達され、運転者の操舵負担が軽減される構成となっている。
EPS駆動装置500は、EPSモータのステータに対し通電可能に構成された、PWM回路、トランジスタ回路及びインバータ等を含む電気駆動回路である。EPS駆動装置500は、図示せぬバッテリと電気的に接続されており、当該バッテリから供給される電力によりEPSモータに駆動電圧を供給することが可能に構成されている。また、EPS駆動装置500は、ECU100と電気的に接続されており、その動作はECU100により制御される構成となっている。
一方、車両10には、操舵トルクセンサ15、ハンドル角センサ16及びVGRS回転角センサ17を含む各種センサが備わっている。
操舵トルクセンサ15は、運転者からハンドル11を介して与えられる操舵トルクMTを検出可能に構成されたセンサである。より具体的に説明すると、アッパーステアリングシャフト12は、上流部と下流部とに分割されており、図示せぬトーションバーにより相互に連結された構成を有している。係るトーションバーの上流側及び下流側の両端部には、回転位相差検出用のリングが固定されている。このトーションバーは、車両10の運転者がハンドル11を操作した際にアッパーステアリングシャフト12の上流部を介して伝達される操舵トルク(即ち、操舵トルクMT)に応じてその回転方向に捩れる構成となっており、係る捩れを生じさせつつ下流部に操舵トルクを伝達可能に構成されている。従って、操舵トルクの伝達に際して、先に述べた回転位相差検出用のリング相互間には回転位相差が発生する。操舵トルクセンサ15は、係る回転位相差を検出すると共に、係る回転位相差を操舵トルクに換算して操舵トルクMTに対応する電気信号として出力可能に構成されている。また、操舵トルクセンサ15は、ECU100と電気的に接続されており、検出された操舵トルクMTは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
ハンドル角センサ16は、アッパーステアリングシャフト12の回転量を表すハンドル角δhを検出可能に構成された角度センサである。ハンドル角センサ16は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたハンドル角δhは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
VGRS回転角センサ17は、VGRSアクチュエータ200におけるハウジング201(即ち、回転角で言うならばアッパーステアリングシャフト12と同等である)とロアステアリングシャフト13との相対回転角たるVGRS回転角δvgrsを検出可能に構成されたロータリーエンコーダである。VGRS回転角センサ17は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたVGRS回転角δvgrsは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
尚、VGRS回転角センサ17により検出されるVGRS回転角δvgrsは、ハンドル角δhと足し込まれることにより前輪舵角δfと一対一に対応する。
ARSアクチュエータ600は、夫々不図示の舵角制御用ロッドと、ARSモータと、このARSモータの回転を舵角制御用ロッドの往復運動に変換する直動機構とを備えた後輪舵角可変装置であり、本発明に係る「後輪舵角可変装置」の一例である。後輪RL及びRRは、この舵角制御用ロッドの両端部にナックル等の支持体を介して連結されており、ARSモータから付与される駆動力によって、舵角制御用ロッドが左右いずれかの方向にストロークすると、そのストローク量に応じて後輪舵角δrが変化する構成となっている。
ARS駆動装置700は、ARSモータに対し通電可能に構成された、PWM回路、トランジスタ回路及びインバータ等を含む電気駆動回路である。ARS駆動装置700は、図示せぬバッテリと電気的に接続されており、当該バッテリから供給される電力によりARSモータに駆動電圧を供給することが可能に構成されている。また、ARS駆動装置700は、ECU100と電気的に接続されており、その動作はECU100により制御される構成となっている。
車両10にはARS回転角センサ18が備わる。ARS回転角センサ18は、ARSアクチュエータ600に収容されたARSモータの回転角たるARS回転角δarsを検出可能に構成されたロータリーエンコーダである。ARS回転角センサ18は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたARS回転角δarsは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
尚、ARS回転角センサ18により検出されるARS回転角δarsは、後輪舵角δrと一対一に対応しており、ECU100は、ARS回転角センサ18から送出されるARS回転角δarsの情報を基に、常時後輪舵角δrを把握している。
車両10は更に、ECB800を備える。ECB800は、車両10の前後左右各輪に個別に制動力を付与可能に構成された、本発明に係る「制動力可変装置」の一例たる電子制御式制動装置である。ECB00は、ブレーキアクチュエータ810並びに左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL及び右後輪RRに夫々対応する制動装置820FL、820FR、820RL及び820RRを備える。
ブレーキアクチュエータ810は、制動装置820FL、820FR、820RL及び820RRに対し、夫々個別に所望の油圧で作動油を供給可能に構成された油圧制御用のアクチュエータである。ブレーキアクチュエータ810は、マスタシリンダ、電動オイルポンプ、複数の油圧伝達通路及び当該油圧伝達通路の各々に設置された電磁弁等から構成されており、当該電磁弁の開閉状態を制御することにより、各制動装置に備わるホイルシリンダに供給される作動油の油圧を制動装置各々について個別に制御可能に構成されている。作動油の油圧は、各制動装置に備わるブレーキパッドの押圧力と一対一の関係にあり、作動油の油圧の高低が、各制動装置と各車輪との間に作用する制動力の大小に夫々対応する構成となっている。ブレーキアクチュエータ810は、ECU100と電気的に接続されており、各制動装置から各車輪に付与される制動力は、ECU100により制御される構成となっている。
尚、ECB800は、公知の各種電子制御式制動装置に係る各種実践的態様を採ることが可能であり、ここでは、その詳細な説明を省略することとする。
車両10の左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL及び右後輪RRには、各車輪の回転速度を検出可能な車輪速センサ19FL、19FR、19RL及び19RRが夫々付設されている。これら各車輪速センサは、夫々ECU100と電気的に接続されており、検出された各輪の車輪速は、ECU100に常時把握されている。
ここで、ECB800は、ECU100の制御により、ABS(Anti-lock Braking System)等のロック防止装置として機能する。即ち、この場合、ECU100は、常時各輪について検出される車輪速を把握しており、この各輪の車輪速に基づいて、各輪のスリップ状態を判定する。検出される車輪速により車輪のロックが検出された場合には、当該車輪のスリップ率が、最も制動力を発揮し得るスリップ率となるように、ロック状態にある旨が検出された車輪に対応する制動装置に供給される油圧が調整される。
<2.実施形態の動作>
以下、適宜図面を参照し、本実施形態の動作として、ECU100により実行される後輪操舵干渉補正制御について説明する。
<2-1.前後輪の舵角制御の概要>
先ず始めに、後輪操舵干渉補償制御の必要性を説明するため、前後輪の舵角制御について説明する。
本実施形態において、常用域の前輪舵角δfの目標値である第1目標前輪舵角δftg1は、下記(1)式により夫々算出される。
δftg1=δh×GRf×Ghf・・・(1)
上記(1)式において、GRfは、前輪ギア比である。前輪ギア比GRfは、ハンドル角δhに対する前輪舵角δfの比であり、即ち、前輪の操舵伝達比である。尚、ハンドル角δhには、操舵方向に応じて正負の符号が付帯する。
また、上記(1)式において、Ghfは、ハンドル角速度ゲインである。ハンドル角速度ゲインGhfは、ハンドル角δhの時間微分値たるハンドル角速度δh’に応じて変化する前輪舵角補正用のゲインである。
ECU100は、上記(1)により規定される第1目標前輪舵角δftg1が得られるように、ハンドル角δhに基づいてVGRS回転角δvgrsを算出し、この算出されたVGRS回転角δvgrsが得られるようにVGRSアクチュエータ200を制御する構成となっている。
但し、このような常用域における第1目標前輪舵角δftg1の設定態様は一例に過ぎず、常用域の前輪舵角δfの制御に関して、公知の各種態様を適用可能であることは言うまでもない。
ここで、図2を参照し、常用域における前輪舵角δfの制御態様について補足的に説明する。ここに、図2は、常用域の前輪の一操舵特性を例示する図である。
図2において、図2(a)は、前輪ギア比GRfの車速特性を表す図である。
図示するように、前輪ギア比GRfは、極低車速領域で顕著に大きく、それ以外の領域では車速の増大に伴って比較的緩やかに減少する。即ち、定性的に言えば、据え切り或いは極低車速領域のような、車輪の軸力が大きいことに起因して比較的大きな操舵トルクが必要となる車速領域においては、少ないハンドル操作で大きな舵角が得られるように、操舵伝達比は大きくなる。一方、舵角変化に対する車両挙動の変化は車速の上昇に伴って大きくなるため、高車速側程前輪ギア比GRfは小さくなる。尚、図2(a)の特性は、一例に過ぎない。
図2において、図2(b)は、前輪のハンドル角速度ゲインGhfの車速特性を表す図である。ハンドル角速度ゲインGhfは、先述したようにハンドル角速度δh’に応じたゲインであり、図示されるのは、一のハンドル角速度δh’におけるハンドル角速度ゲインGhfの車速特性である。図示するように、ハンドル角速度ゲインGhfは、総じて、車速の上昇に伴い第1目標前輪舵角δftg1が小さくなるように設定される。尚、図2(b)の特性も、ハンドル角速度ゲインGhfの採り得る実践的態様の一例に過ぎない。
一方、本実施形態において、常用域の後輪舵角δrの目標値である第1目標後輪舵角δrtg1は、下記(2)式により算出される。
δrtg1=-δh×GRr×Ghr・・・(2)
上記(2)式において、GRrは、後輪ギア比である。後輪ギア比GRrは、ハンドル角δhに対する後輪舵角δrの比であり、即ち、後輪の操舵伝達比である。但し、ARSアクチュエータ600は、ハンドル11と機械的に連結されない種類の後輪舵角可変装置であるから、この操舵伝達比は、言わば擬似的な操舵伝達比である。
また、上記(2)式において、Ghrは、ハンドル角速度ゲインである。ハンドル角速度ゲインGhrは、ハンドル角δhの時間微分値たるハンドル角速度δh’に応じて変化する後輪舵角補正用のゲインである。
ECU100は、上記(2)により規定される第1目標後輪舵角δrtg1が得られるように、ハンドル角δhに基づいてARS回転角δarsを算出し、この算出されたARS回転角δarsが得られるようにARSアクチュエータ600を制御する構成となっている。
但し、このような常用域における第1目標後輪舵角δrtg1の設定態様は一例に過ぎず、常用域の後輪舵角δrの制御に関して、公知の各種態様を適用可能であることは言うまでもない。
ここで、図3を参照し、常用域における後輪舵角δrの制御態様について補足的に説明する。ここに、図3は、常用域の後輪の一操舵特性を例示する図である。
図3において、図3(a)は、後輪ギア比GRrの車速特性を表す図である。
図示するように、後輪ギア比GRrは、低車速領域で負値を採り、予め実験的に適合された切り替え車速Vchg(不図示)を境界値として正値に反転する。ここで、後輪ギア比GRrの正負の符合は、後輪の転舵方向を意味しており、符合の反転は、後輪の転舵方向の反転を意味する。但し、図3(a)の特性は、一例に過ぎず、後輪ギア比GRrの設定態様は、如何様にも限定されない。
図3(b)は、後輪のハンドル角速度ゲインGhrの車速特性を表す。ハンドル角速度ゲインGhrは、ハンドル角δhの時間微分値たるハンドル角速度δh’に応じたゲインであり、図示されるのは、一のハンドル角速度δh’におけるハンドル角速度ゲインGhrの車速特性である。
ここで、ハンドル角速度ゲインGhrは、全車速領域において負値を採る。従って、上記(2)式から、第1目標後輪舵角δrtg1は、上記切り替え車速未満の相対的低車速領域において、ハンドル角δhと異符合となり、切り替え車速Vchg以上の相対的高車速領域においてハンドル角δhと同符合となる。
ここで特に、上述した第1目標前輪舵角δftg1は、全車速域においてハンドル角δhと同符合であるから、必然的に、第1目標前輪舵角δftg1と第1目標後輪舵角δrtg1とは、上記相対的低車速領域において逆相関係となり、上記相対的高速領域において同相関係となる。
尚、ハンドル角速度ゲインGhrは、上記相対的低車速領域において絶対値が大きくなり、上記基準車速近傍から上記相対的高車速領域においては概ね一定値を採るが、このような特性は一例に過ぎない。
<2-2.跨ぎ制動制御の概要>
次に、同じく後輪操舵干渉補償制御の必要性を説明するため、跨ぎ制動制御について説明する。
車輪と路面との間に作用する制動力は、路面の摩擦係数μに影響を受ける。より具体的には、
全車輪一律の制動力を得るべく、各車輪の制動装置に一律の油圧を供給したとしても、高μ路側の車輪に作用する制動力の方が、低μ路側の車輪に作用する制動力よりも大きくなる。
従って、このように左側車輪の接地する路面の摩擦係数と右側車輪の接地する路面の摩擦係数とが異なっている場合、車両10には左右制動力差ΔFxが発生する。この左右制動力差ΔFxは、車両10に重心回りのヨーモーメントを生じさせる要因となる。
跨ぎ制動制御とは、このように車両10が摩擦係数の相異なる路面を跨いで走行している場合における、当該重心回りのヨーモーメントを、前後輪の舵角変化により意図的に発生させたヨーモーメントにより相殺する、本発明に係る「自動操舵」の一例たる自動操舵制御である。
ここで、図4を参照し、跨ぎ制動制御の仕組みについて説明する。ここに、図4は、跨ぎ制動制御の概念図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図4において、左前輪FLに制動力Fxflが、右前輪FRに制動力Fxfrが、左後輪RLに制動力Fxrlが、また右後輪RRに制動力Fxrrが夫々作用しており、Fxfl<Fxfr且つFxrl<Fxrrなる関係が成立しているとする。この場合、車両10における左右制動力差ΔFxは、下記(3)式により表される。
ΔFx=(Fxfr+Fxrr)−(Fxfl+Fxrl)・・・(3)
一方、この左右制動力差ΔFxにより車両10の重心G回りに発生するヨーモーメントMzは、車両10のトレッド(左右輪の接地点間距離であり、本実施形態では、前後輪で等しいものとする)をTrとすると、下記(4)式により規定される。
Mz=ΔFx/(Tr/2)・・・(4)
ここで、この左右制動力差により生じるヨーモーメントMzを、各車輪に横力が発生しないように前後輪の舵角変化によるヨーモーメントにより相殺しようとする場合、下記(5)式及び(6)式が成立する。
Mz=2・Kf・δf・Lf−2・Kr・δr・Lr・・・(5)
Kf・δf+Kr・δr=0・・・(6)
その結果、最終的に前輪舵角δfの目標値たる第2目標前輪舵角δftg2は下記(7)式により、また後輪舵角δrの目標値たる第2目標後輪舵角δrtg2は下記(8)式により、夫々求められる。
δf=−Mz/{2・(L・Kf)}・・・(7)
δr=Mz/{2・(L/Kr)}・・・(8)
尚、Lfは左右前輪の接地点を結ぶ線分と重心Gとの距離であり、Lrは左右後輪の接地点を結ぶ線分と重心Gとの距離である。また、Kfは前輪等価コーナリングパワーであり、Krは後輪等価コーナリングパワーである。上記(7)式及び(8)式から明らかな通り、車両10に左右制動力差ΔFxが生じている状況において実行される跨ぎ制動制御においては、前後輪の目標舵角の方向は、相互に逆相関係となる。
尚、ここでは跨ぎ制動制御について説明したが、車両10において実行される自動操舵制御は、跨ぎ制動制御のみに限定されない。但し、これ以降の説明においては、各種自動操舵制御において設定される目標前輪舵角及び目標後輪舵角を、夫々第2目標前輪舵角δfrg2及び第2目標後輪舵角δrtg2と統一して表現することとする。
尚、このような他の自動操舵制御とは、例えばLKA等の軌跡追従制御であってもよい。
この場合、例えば、車載カメラ等により撮像される白線やレーンマークと車体とのヨ−角偏差や、走行路の半径(又は曲率)やヨーレート等に基づいて、車体に発生させる横方向加速度の目標値が決定され、決定された目標値に相当する横方向加速度が得られるように、VGRSアクチュエータ300やARSアクチュエータ700等の各種アクチュエータの動作が制御されてもよい。また、このような自動走行状態の実現に際しては、適宜EPSアクチュエータ等の操舵トルク補助装置による操舵トルクの補助が付随してもよい。
<2-3.後輪操舵干渉補償制御の概要>
上述したように、車両10では、前輪舵角δfに係る目標値として、常用域の第1目標前輪舵角δftg1と自動操舵制御に係る第2目標前輪舵角δftg2とがあり、後輪舵角δrに係る目標値としても同様に、常用域の第1目標後輪舵角δrtg1と自動操舵制御に係る第2目標後輪舵角δrtg2とが存在する。
ECU100は、常用域における舵角制御と自動操舵制御における舵角制御とが時間軸上で重複する場合においては、基本的に、下記(9)式に従って最終的な目標前輪舵角δftgを、また(10)式に従って最終的な目標後輪舵角δrtgを夫々設定する。尚、下記(9)式及び(10)式もまた、各目標舵角に基づいた最終的な目標舵角の算出方法に係る一例であり、各目標舵角が構成要素として寄与し得る限りにおいて、最終的な目標舵角の算出方法は、公知の如何なる態様をも採り得る。
δftg=δftg1+δftg2・・・(9)
δrtg=δrtg1+δrtg2・・・(10)
ところで、常用域の舵角制御と自動操舵における舵角制御との間で、後輪舵角の制御方向が異なる場合がある。即ち、後輪舵角の制御に関して常用域の舵角制御と自動操舵制御とが干渉することになる。
そのような場合について、上記(10)式に従って、単純に常用域の目標後輪舵角δrtg1と、自動操舵制御の目標後輪舵角δrtg2とを加算すると、両者が相殺して後輪舵角δrが減少し、極端な場合、最終的な目標後輪舵角δrtgがゼロになることがある。これでは、常用域の舵角制御と自動操舵制御との双方が失効状態となるため、車両挙動を安定に維持し得る上で望ましくない。
そこで、本実施形態においては、ECU100により後輪操舵干渉補償制御が実行される。後輪操舵干渉補償制御は、このような後輪操舵の干渉が生じる場合において、制限すべき一方を的確に選択し、且つ制限すべき一方を的確に制限するための制御である。
<2-4.後輪操舵干渉補償制御の詳細>
ここで、図5を参照し、後輪操舵干渉補償制御の詳細について説明する。ここに、図5は、後輪操舵干渉補償制御のフローチャートである。
図5において、ECU100は、各種自動操舵制御の実行中であるか否かを判定する(ステップS101)。各種自動操舵制御の実行中でない場合(ステップS101:NO)、第2目標後輪舵角δrtg2が設定されることがないため、常用域の後輪舵角制御と自動操舵による後輪舵角制御との制御干渉も生じることがない。従って、自動操舵制御が開始されるまで、ステップS101が繰り返し実行される。
尚、複数の自動操舵制御が並存する場合、その実行条件は、各自動操舵制御において個別に規定される場合が多い。従って、ステップS101の判定に係る判定基準も多様性を有し得る。従って、ここでは、その詳細な判定基準について逐次述べることを省略するが、自動操舵制御が、ECU100によって実行される、車両状態量の制御を伴う、ハンドル操作と非連動な操舵制御である点に鑑みれば、自動操舵制御が実行されているか否かをECU100自身が常時把握することに、実践上何らの困難性も存在しない。
ステップS101において各種自動操舵制御が実行されている場合(ステップS101:YES)、ECU100は、運転者のハンドル操作の有無を判定する(ステップS102)。運転者のハンドル操作が無い場合(ステップS102:NO)、第1目標後輪舵角δrtg1が設定されることがなく、常用域の後輪舵角制御と自動操舵における後輪舵角制御との制御干渉も生じることがない。従って、処理はステップS101に戻される。
尚、運転者のハンドル操作の有無の判定に係る判定基準は、第2目標後輪舵角δrtg2が設定されている状況における、ドライバの操舵意思に基づいたハンドル操作を検出可能である限りにおいて何ら限定されない。例えば、ECU100は、ハンドル角δhが判定基準値を超えている状況において、更に操舵トルクMT又はハンドル角速度δh’が判定基準値を超えている場合に、自動操舵制御実行中に運転者のハンドル操作が生じた旨の判定を下してもよい。
ステップS102において運転者のハンドル操作が生じていると判定された場合(ステップS102:YES)、ECU100は、第1目標後輪舵角δrtg1と第2目標後輪舵角δrtg2とが逆相関係にあるか否かを判定する(ステップS103)。
これらが逆相関係にあるか否かは、上述した如き制御ロジックを伴って設定される第1目標前輪舵角δftg1及び第2目標前輪舵角δftg2の符合を比較し、且つ第1目標後輪舵角δrtg1及び第2目標後輪舵角δrtg2の符合を比較することによって判定される。より具体的には、前輪の目標舵角が同符合であり、且つ後輪の目標舵角が異符合である場合に、ステップS103において常用域の後輪舵角制御と自動操舵における後輪舵角制御とが逆相関係にあるものと判定される。
両者が逆相関係にない場合(ステップS103:NO)、即ち、第1目標後輪舵角δrtg1と第2目標後輪舵角δrtg2とを上記(10)式に従って単純に加算してよい場合には、処理はステップS101に戻される。
一方、両者が逆相関係にある場合(ステップS103:YES)、ECU100は、常用域の後輪舵角制御と干渉している後輪舵角制御が、跨ぎ制動制御によるものであるか否かを判定する(ステップS104)。即ち、跨ぎ制動制御が実行されているか否かを判定する。
ステップS104に係る判定処理は、前輪二輪がABS制動中であり、且つ左右制動力差ΔFxが基準値以上であるか否か又は左右輪の接地路面の摩擦係数μが基準値以上であるか否かに基づいて実行される。即ち、前輪二輪がABS制動中であり、且つ左右制動力差ΔFxが基準値以上であるか又は左右路面の摩擦係数μが基準値以上である場合に、跨ぎ制動制御の実行中であるものと判定される。尚、ステップS104に係る判定処理は、ステップS101において、実行中の自動操舵の種別まで明確に判定される場合には、その判定結果等に基づいて行われてもよい。
実行されている自動操舵制御が跨ぎ制動制御でない場合(ステップS104:NO)、即ち、例えば、上述したLKA等を含む目標走行路への追従制御や、VSC等、前後舵角及び各輪の制駆動力等を協調的に制御してなされる車両挙動制御である場合、ECU100は、後輪操舵特性変更処理を実行する(ステップS106)。後輪操舵特性変更処理は、最終的な後輪舵角(即ち、目標後輪舵角δrtg)に対する、常用域における後輪舵角制御(即ち、第1目標後輪舵角δrtg1)の影響を制限する処理である。
一方、実行されている自動操舵制御が跨ぎ制動制御である場合(ステップS104:YES)、ECU100は、後輪左右制動力差低減処理を実行する(ステップS105)。後輪左右制動力差低減処理は、最終的な後輪舵角(即ち、目標後輪舵角δrtg)に対する、跨ぎ制動制御における後輪舵角制御(即ち、第2目標後輪舵角δrtg2)の影響を制限する処理である。
ステップS105又はステップS106が実行されると、処理はステップS101に戻される。後輪操舵干渉補償制御は以上のように実行される。
ここで、後輪操舵干渉補償制御によれば、常用域における後輪舵角制御と自動操舵制御における後輪舵角制御とが干渉する場合において、基本的にはステップS106に係る後輪操舵特性変更処理が実行され、常用域の後輪舵角制御が制限される。一方、自動操舵制御が跨ぎ制動制御である場合に限ってステップS105に係る後輪左右制動力差低減処理が実行され、跨ぎ制動制御による後輪舵角制御が制限される。
ここで特に、LKA等の軌跡追従制御は、例えば運転者のオーバーライド操作が生じた場合等、別途規定される所定の終了条件に従って迅速に終了するように構成されるから、このような終了条件が満たされない場合における後輪舵角制御の制限は、かえって車両挙動の不安定化を招来し得る。また、VSC等、元より車両挙動の安定化を図るべく各種状態制御量の協調制御を必要とする挙動安定化制御は、運転者のハンドル操作に優先されるべきである。即ち、このような制御干渉時において、運転者のハンドル操作に応じた常用域の後輪舵角制御が制限されることによって、車両挙動の不安定化を好適に防止することができる。
ところで、跨ぎ制動制御において後輪舵角の変化により発生させるべきヨーモーメントは、左右制動力差ΔFxにより発生する意図しないヨーモーメントを抑制するためのものである。即ち、車両10の状態制御量としての後輪舵角δr及び左右制動力差ΔFxは、相互に補完関係にある。従って、跨ぎ制動制御における第2目標後輪舵角δrtg2は、補完関係にある左右制動力差ΔFxを減少させることによって、正常の制御範囲において合理的に減少させることができる(無論、このような合理的な低減もまた、補正の一態様である)。
一方、ハンドル操作に応じた常用域の後輪舵角制御が運転者の意思に基づいたものである点を加味すれば、このように補完関係にある状態制御量の減少制御を介して合理的に他方の干渉要因(即ち、第2目標後輪舵角δrtg2)を減じ得る場合についてまで常用域の後輪舵角制御を制限する理由はない。即ち、跨ぎ制動制御における後輪舵角制御が常用域における後輪舵角制御と干渉する場合については、跨ぎ制動制御を制限する方がより合理的であり、車両挙動の不安定化を招かない範囲で可及的に運転者の意思を反映し得る点において実践上極めて有益となるのである。
このように、本実施形態によれば、後輪の制御干渉が生じた場合において制限すべき一方を的確に制限し、車両挙動をより望ましく維持することが可能となっているのである。
ここで、後輪操舵特性変更処理の詳細について説明する。
後輪操舵特性変更処理においては、最終的な目標後輪舵角δrtgが、下記(11)式に従って算出される。
δrtg=δrtg1・GN+δrtg2・・・(11)
上記(11)式において、GNは、1以下の範囲で設定される補正ゲインであり、本実施形態では、ハンドル角速度δh’に応じて設定される補正ゲインGN1、車速Vに応じて設定される補正ゲインGN2又はこれらの積算値が使用される。補正ゲインGN1及びGN2は、予めROMに格納された補正ゲインマップから、その時点の走行条件に応じた該当値が選択される構成となっている。
ここで、図6を参照し、後輪操舵特性変更処理における補正ゲインについて説明する。ここに、図6は、後輪操舵特性変更処理における各種補正ゲインの一特性を表す図である。
図6において、図6(a)は、ハンドル角速度δh’に対する補正ゲインGN1の特性を表す図である。図示の通り、補正ゲインGN1は、ハンドル11が比較的緩慢に操作される旨に相当する、δh’<δh’1となる操作領域においては、実質的に補正無しに相当する「1」に、また、ハンドル11が比較的急激に操作される旨に相当する、δh’≧δh’2となる操作領域においては、実質的に常用域の後輪舵角制御が無効化される「0」に設定される。また、δh’1≦δh’<δh’2となる中間領域においては、補正ゲインGN1はリニアに減少する。
図6(b)は、車速Vに対する補正ゲインGN2の特性を表す図である。図示の通り、補正ゲインGN2は、車速Vが比較的低い旨に相当する、V<V1となる低車速領域においては、実質的に補正無しに相当する「1」に、また、車速Vが比較的高い旨に相当する、V≧V2となる高車速領域においては、実質的に常用域の後輪舵角制御が無効化される「0」に設定される。また、V1≦V<V2となる中間領域においては、補正ゲインGN2はリニアに減少する。
尚、常用域の後輪舵角の制御方向が、前輪と逆相となる逆相関係から、前輪と同相となる同相関係に切り替わる先述した切り替え車速Vchgは、この中間領域に存在する。従って、補正ゲインGN2に基づいた舵角制限は、車速VがVchg以上となる領域で有効となる。
このように、後輪操舵特性変更処理においては、常用域の後輪舵角の目標値である第1目標後輪舵角δrtg1が、制限されるか否かの二値的な制限態様ではなく、車両の走行条件(本実施形態では車速V又はハンドル角速度δh’)に応じた連続的な制限態様の下に制限される。従って、車両挙動の安定化を妨げない範囲で、運転者の操舵意思を可及的に反映した自然な操舵フィールを提供することが可能となる。
次に、後輪左右制動力差低減処理の詳細について説明する。
後輪左右制動力差低減処理においては、第2目標後輪舵角δrtg2の大小に係るヨーモーメントの発生自体を抑制するために、後輪左右制動力差ΔFxr(ΔFxr=Fxrr−Fxrl)が、下記(12)式に従った補正処理により減少側に補正される。
Fxrhtg=Fxrh・GNh・(GNv又はGnt)・・・(12)
上記(12)式において、Fxrhtgは、高摩擦係数側の後輪の制動力の目標値であり、Fxrhは、高摩擦係数側の後輪の制動力である。上記(12)式は、高摩擦係数側の後輪の制動力を減じることによって、後輪左右制動力差ΔFxrを減少させるための補正式である。尚、左右後輪のいずれが高摩擦係数側に相当するかは、例えば各輪の車輪速に基づいて判定される。
上記(12)式において、GNhは、ハンドル角速度δh’に応じて1以下の範囲で設定される操舵ゲインである。また、GNvは、車速Vに応じて1以下の範囲で設定される車速ゲインである。更に、Gntは、制動開始時刻からの経過時間Tに応じて1以下の範囲で設定される制動時間ゲインである。各補正ゲインは、予めROMに格納された補正ゲインマップから、その時点の走行条件に応じた該当値が選択される構成となっている。
ここで、図7を参照し、後輪左右制動力差低減処理における各種補正ゲインについて説明する。ここに、図7は、後輪左右制動力差低減処理における各種補正ゲインの一特性を表す図である。
図7において、図7(a)は、ハンドル角速度δh’に対する操舵ゲインGNhの特性を表す図である。図示の通り、操舵ゲインGNhは、ハンドル11が比較的緩慢に操作される旨に相当する、δh’<δh’3となる操作領域においては、実質的に補正無しに相当する「1」に、また、ハンドル11が比較的急激に操作される旨に相当する、δh’≧δh’4となる操作領域においては、高摩擦係数側の後輪の制動力がゼロとなることに相当する「0」に設定される。また、δh’3≦δh’<δh’4となる中間領域においては、操舵ゲインGNhはリニアに減少する。
図7(b)は、車速Vに対する車速ゲインGNvの特性を表す図である。図示の通り、車速ゲインGNvは、車速Vが比較的低い旨に相当する、V<V3となる低車速領域においては、実質的に補正無しに相当する「1」に、また、車速Vが比較的高い旨に相当する、V≧V4となる高車速領域においては、高摩擦係数側の後輪の制動力がゼロとなることに相当する「0」に設定される。また、V3≦V<V4となる中間領域においては、車速ゲインGNvはリニアに減少する。
図7(c)は、制動経過時間Tに対する制動時間ゲインGNtの特性を表す図である。図示の通り、制動時間ゲインGNtは、制動経過時間Tが比較的短い旨に相当する、T<T1となる時間領域においては、高摩擦係数側の後輪の制動力がゼロとなることに相当する「0」に、また、制動経過時間Tが比較的長い旨に相当する、T≧T2となる時間領域においては、実質的に補正無しに相当する「1」に設定される。また、T1≦T<T2となる中間領域においては、制動時間ゲインGNtはリニアに増加する。
このように、後輪左右制動力差低減処理においては、自動操舵制御の一種としての跨ぎ制動制御における後輪舵角の目標値である第2目標後輪舵角δrtg2が、制限されるか否かの二値的な制限態様ではなく、車両の走行条件(本実施形態では車速V、ハンドル角速度δh’又は制動経過時間T)に応じた連続的な制限態様の下に制限される。従って、車両挙動の安定化を妨げない範囲で、運転者の操舵意思を可及的に反映した自然な操舵フィールを提供することが可能となる。
特に、制動経過時間Tに応じた制動時間ゲインGNtによる補正がなされた場合、制動開始直後から相応の時間が経過した時点においては、高摩擦係数側の後輪の制動力は、制動要求に応じた正規の目標制動力に近付く。従って、後輪のみとは言え制動力が一時的に減じられることによる全体的な制動力不足や制動時間の長期化が防止され、また、制動開始後の経過時間に応じて制動力が徐々に増加する旨の制動フィールが実現される。即ち、車両挙動の不安定化は未然に防止され、また運転者における違和感、不安感又は不快感の発生を抑制し得る。
尚、後輪左右制動力差低減処理における補正ゲインは、図7のものに限定されない。ここで、図8を参照し、後輪左右制動力差低減処理における補正ゲインの他の例について説明する。ここに、図8は、後輪左右制動力差低減処理における補正ゲインの他の特性を例示する図である。
ここで、図8の補正ゲインを使用する場合、上記(12)式に替えて下記(13)式が使用される。尚、下記(13)式において、Fxrlは、低摩擦係数側の後輪の制動力である。
Fxrhtg=Fxrl・GNh・(GNv又はGnt)・・・(13)
図8において、図8(a)には車速ゲインGNvの他の例が、図8(b)には制動時間ゲインGNtの他の例が夫々表される。
図8(a)は、車速Vに対する車速ゲインGNvの特性を表す図である。図示の通り、車速ゲインGNvは、車速Vが比較的低い旨に相当する、V<V5となる低車速領域においては、実質的に補正無しに相当する「Fxrh/Fxrl」に、また、車速Vが比較的高い旨に相当する、V≧V6となる高車速領域においては、高摩擦係数側の後輪の制動力が低摩擦係数側の後輪の制動力相当値となることに相当する「1」に設定される。また、V≦V<Vとなる中間領域においては、車速ゲインGNvはリニアに減少する。
)は、制動経過時間Tに対する制動時間ゲインGNtの特性を表す図である。図示の通り、制動時間ゲインGntは、制動経過時間Tが比較的短い旨に相当する、T<T3となる時間領域においては、高摩擦係数側の後輪の制動力が低摩擦側の後輪の制動力相当値となることに相当する「1」に、また制動経過時間Tが比較的長い旨に相当する、T≧T4となる時間領域においては、実質的に補正無しに相当する「Fxrh/Fxrl」に設定される。また、T≦T<Tとなる中間領域においては、制動時間ゲインGNtはリニアに増加する。
このような場合についても、高摩擦係数側の後輪の制動力が総体的に減じられている点に変わりはなく、上述した後輪左右制動力差低減処理における効能が何ら変わりなく担保される。
尚、本実施形態においては、後輪左右制動力差低減処理において、跨ぎ制動制御における第2目標後輪舵角δrtg2の設定に先立って、後輪左右制動力差ΔFxrが減じられる。その結果、左右制動力差ΔFxも減少し、車両の意図しないヨーモーメントが抑制されることになって、跨ぎ制動制御における第2目標後輪舵角δrtg2が必然的に減少する構成となっている。但し、左右制動力差ΔFx或いは後輪左右制動力差ΔFxrと第2目標後輪舵角δrtg2とは相互に補完する関係にあるから、後輪左右制動力差ΔFxrの減少側への補正(高摩擦係数側の後輪の制動力Fxrhの減少側への補正)に先立って、制御干渉の直接要因である第2目標後輪舵角δrtg2を減じてもよい。
このように第2目標後輪舵角δrtg2を減じる場合、ヨーモーメント抑制のための舵角変化が不足することになるから、ECU100は、必然的に、後輪左右制動力差ΔFxrを減少させることになり、結果的には、いずれが先立って実行されても、常用域の後輪舵角制御と、跨ぎ制動制御における後輪舵角制御との制御干渉を、車両挙動の安定化を妨げないように抑制することが可能となる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両の操舵制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、運転者の操作から独立して後輪の舵角を変化させることが可能な車両に利用可能である。
FL、FR、RL、RR…車輪、10…車両、11…ハンドル、12…アッパーステアリングシャフト、13…ロアステアリングシャフト、14…操舵機構、15…ハンドル角センサ、16…操舵トルクセンサ、17…VGRS回転角センサ、18…車速センサ、19…ヨーレートセンサ、20…ARS回転角センサ、100…ECU、200…VGRSアクチュエータ、300…VGRS駆動装置、400…EPSアクチュエータ、500…EPS駆動装置、600…ARSアクチュエータ、700…ARS駆動装置、800…ECB。

Claims (6)

  1. 後輪の舵角を変化させることが可能な後輪舵角可変装置を備えた車両を制御する車両の操舵制御装置であって、
    第1目標舵角として、運転者のハンドル操作に応じた前記後輪の目標舵角を設定する第1設定手段と、
    第2目標舵角として、目標値へ向けた車両状態量の制御を伴う自動操舵に係る、前記運転者のハンドル操作と連動しない前記後輪の目標舵角を設定する第2設定手段と、
    前記後輪舵角可変装置を介し、前記設定された第1及び第2目標舵角に基づいて前記後輪の舵角を制御する制御手段と、
    前記設定された第1及び第2目標舵角が相互に逆相関係にある場合に、前記車両の走行条件に応じて前記後輪の舵角に対する前記第1目標舵角の影響を制限する制限手段と
    を具備し、
    前記制限手段は、前記自動操舵が、前記後輪の舵角とは異なる前記車両の状態制御量の制御過程において生じる前記車両状態量の変化を抑制するものである場合には、前記第1目標舵角に優先して、前記車両の走行条件に応じて前記後輪の舵角に対する前記第2目標舵角の影響を制限する
    ことを特徴とする車両の操舵制御装置。
  2. 前記制限手段は、前記走行条件としての車速及び運転者の操舵入力相当値のうち少なくとも一方に応じて前記設定された第1又は第2目標舵角を減少側に補正することにより、前記後輪の舵角に対する前記第1又は第2目標舵角の影響を制限する
    ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の車両の操舵制御装置。
  3. 前記車両は、前記状態制御量として前記後輪を含む車輪の各々に付与される制動力を変化させることが可能な制動力可変装置を備え、
    前記第2設定手段は、前記車輪の左右制動力差の大小に応じて夫々大小に変化する前記車両状態量としての前記車両のヨーモーメントが、前記車輪の舵角の大小に応じて夫々大小に変化する前記車両のヨーモーメントによって相殺されるように前記第2目標舵角を設定し、
    前記制限手段は、前記走行条件としての車速及び運転者の操舵入力相当値のうち少なくとも一方に応じて、前記設定される第2目標舵角を減少側に補正すると共に、前記設定される第2目標舵角の減少側への補正による前記車両のヨーモーメントの変化が抑制されるように前記制動力可変装置を介して前記左右制動力差を制御することによって、前記後輪の舵角に対する前記第2目標舵角の影響を制限する
    ことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の車両の操舵制御装置。
  4. 前記車両は、前記状態制御量として前記後輪を含む車輪の各々に付与される制動力を変化させることが可能な制動力可変装置を備え、
    前記第2設定手段は、前記車輪の左右制動力差の大小に応じて夫々大小に変化する前記車両状態量としての前記車両のヨーモーメントが、前記車輪の舵角の大小に応じて夫々大小に変化する前記車両のヨーモーメントによって相殺されるように前記第2目標舵角を設定し、
    前記制限手段は、前記制動力可変装置を介し、前記走行条件としての車速及び運転者の操舵入力相当値のうち少なくとも一方に応じて前記左右制動力差を減少側に補正することにより、前記後輪の舵角に対する前記第2目標舵角の影響を制限する
    ことを特徴とする請求の範囲第1項又は第3項に記載の車両の操舵制御装置。
  5. 前記車輪の左右制動力差は、前記車両が摩擦係数の相互に異なる路面を跨いで走行している場合に前記各々に前記制動力が付与される場合において、前記摩擦係数の差異に起因して生じる左右制動力差である
    ことを特徴とする請求の範囲第3項又は第4項に記載の車両の操舵制御装置。
  6. 前記制限手段は、前記制動力の付与が開始されてからの経過時間が長くなるに連れて前記設定される第2目標舵角又は前記後輪の左右制駆動力差の減少側への補正量を減少させる
    ことを特徴とする請求の範囲第3項又は第4項に記載の車両の操舵制御装置。
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