JP5360331B2 - Hdd用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、HDD用ガラス基板の製造方法、HDD用ガラス基板、及びHDD用磁気記録媒体に関する。
一般に、磁気、光、光磁気等の性質を利用した記録層を有する情報記録媒体の代表的なものにHDD(hard disk drive)用磁気記録媒体が知られている。HDD用磁気記録媒体を製造するためのHDD用基板としては、従来、アルミニウム基板が広く用いられていた。しかし、近年、記録密度向上のための磁気ヘッド浮上量の低減の要請に伴い、アルミニウム基板よりも表面平滑性に優れ、しかも表面欠陥が少ないことから、磁気ヘッド浮上量の低減を図ることができるガラス基板をHDD用基板として用いる割合が増えている。
ノート型パーソナルコンピューター等のモバイル機器に搭載されるHDD用磁気記録媒体には、衝撃に強い基板が必要であるため、例えば特許文献1に開示されるように、化学強化処理を施して耐衝撃性を向上したガラス基板がよく用いられる。
ところで、昨今は高密度記録化が進行し、例えば2.5インチの記録媒体1枚で、記録容量が500GB、面記録密度が630Gb/平方インチ以上というようなHDD用磁気記録媒体の出現が予想されている。それに伴い、ヘッド機構も改良が進み、DFH(dynamic flying height)と称されるヘッド機構が知られている。DFHは、ヘッドの装着箇所に特殊な金属を用い、金属の熱膨張によってヘッドを記録媒体に対して微小距離で突出させる技術である。このようなDFHヘッド機構では、ヘッドと記録媒体との間隙は数nm程度まで小さくなり、記録媒体の表面に対する磁気ヘッドの追従不良によるヘッドクラッシュ(head crash)が起き易くなる。
特開2001−167427号公報
本発明の目的は、たとえDFHヘッド機構を備えるHDDに搭載されるような面記録密度が高いHDD用磁気記録媒体であっても、ヘッドクラッシュの発生が抑制されるHDD用ガラス基板の製造方法、その製造方法により製造されたHDD用ガラス基板、及びそのHDD用ガラス基板を用いたHDD用磁気記録媒体を提供することである。
すなわち、本発明の一局面は、ガラス基板を化学強化処理液に浸漬することによりガラス基板に化学強化処理を施す化学強化工程を含むHDD用ガラス基板の製造方法であって、化学強化工程の前後におけるガラス基板の周方向のTIR(total indicated runout)の増加量を0.5μm以下とすることを特徴とするHDD用ガラス基板の製造方法である。
本発明の他の一局面は、前記HDD用ガラス基板の製造方法により製造されたことを特徴とするHDD用ガラス基板である。
本発明のさらに他の一局面は、前記HDD用ガラス基板の主表面の上に記録層が設けられたことにより製造されたことを特徴とするHDD用磁気記録媒体である。
前記並びにその他の本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な記載と添付図面とから明らかになるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係るHDD用ガラス基板の製造工程図である。 図2は、第1及び第2ラッピング工程で用いられる両面研削機の主要部の構成を示す部分側面図である。 図3は、図2のIII−III線に沿う矢視図であって下定盤及びキャリアの平面図である。 図4は、第1ポリッシング工程で用いられるオスカー研磨機の主要部の構成を示す縦断面図である。 図5(a)は、ガラス基板を遊嵌合したリング状冶具が配置されたオスカー研磨機の下研磨皿の平面図、図5(b)は、ガラス基板を遊嵌合したリング状冶具の拡大水平断面図である。 図6(a)、図6(b)、図6(c)は、オスカー研磨機の動作を示す平面図である。 図7(a)は、化学強化工程でガラス基板を保持するのに用いられるキャリヤの斜視図、図7(b)は、キャリアの側面図である。 図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)は、従来の化学強化工程で行われる化学強化処理の流れ図である。 図9(a)は、化学強化処理前のガラス基板の表面形状を示す斜視図、図9(b)は、従来の化学強化処理を行った後のガラス基板の表面形状を示す斜視図である。 図10(a)は、化学強化処理前のガラス基板の主表面の高低マップ、図10(b)は、従来の化学強化処理を行った後のガラス基板の主表面の高低マップ、図10(c)は、化学強化処理前後のガラス基板の周方向のTIRを比較して示す説明図である。 図11(a)、図11(b)、図11(c)、図11(d)、図11(e)は、本発明の実施形態に係る化学強化工程で行われる化学強化処理(具体的方法の1)の流れ図である。 図12(a)、図12(b)、図12(c)は、具体的方法の1で得られる作用を説明するためのガラス基板の主表面の高低マップである。 図13(a)、図13(b)、図13(c)、図13(d)は、本発明の実施形態に係る化学強化工程で行われる化学強化処理(具体的方法の2及び3)の流れ図である。 図14(a)、図14(b)は、具体的方法の2又は3で得られる作用を説明するためのガラス基板の主表面の高低マップである。 図15は、本発明の実施形態に係るHDD用ガラス基板の斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
本発明者等は、HDDの稼働中に磁気ヘッドが記録媒体の径方向に移動する移動速度に比べて、記録媒体の周方向の回転速度が十分大きいので、ヘッドクラッシュの発生を抑制するためには、記録媒体の周方向の表面状態の変動を抑制することが重要であることに着目した。そして、その観点から、記録媒体の表面の平坦度の指標であるTIR(total indicated runout)が記録媒体の周方向において小さいことが有効であることを見出した。その上で、本発明者等は、耐衝撃性の向上等のために行われる化学強化処理がガラス基板の周方向のTIRを悪化させるという知見を得て本発明を完成した。
さらに、本発明者等は、化学強化処理がガラス基板の周方向のTIRを悪化させる原因が、ガラス基板を浸漬する化学強化処理液の温度バラツキや濃度バラツキあるいは異物の混入等、ガラス基板を取り巻く環境が様々な要因により一様でないから、化学強化処理の前後におけるガラス基板の表面形状が均一に変化しないためであるという知見を得て本発明を完成した。
<HDD用ガラス基板の製造方法>
図1に示した工程図を参照して、HDD用ガラス基板の製造方法を説明する。
[ガラス溶融工程]
まず、ガラス溶融工程では、ガラス素材を溶融する。ガラス基板の材料としては、例えば、SiO、NaO、CaOを主成分としたソーダライムガラス;SiO、Al、RO(R=K、Na、Li)を主成分としたアルミノシリケートガラス;ボロシリケートガラス;LiO−SiO系ガラス;LiO−Al−SiO系ガラス;R’O−Al−SiO系ガラス(R’=Mg、Ca、Sr、Ba)等を使用することができる。これらのなかでも、アルミノシリケートガラスやボロシリケートガラスは、耐衝撃性や耐振動性に優れるため特に好ましい。
[成型工程]
次に、成型工程では、溶融したガラス素材を下型に流し込み、上型によってプレス成形して円板状のガラス基板(これをブランクという)を得る。なお、ブランクは、プレス成形によらず、例えばダウンドロー法やフロート法等で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して作製してもよい。
ガラス基板、すなわちブランクの大きさに限定はない。例えば、外径が2.5インチ、1.8インチ、1インチ、0.8インチ等の種々の大きさのガラス基板を作製することができる。ガラス基板の厚みにも限定はない。例えば、2mm、1mm、0.8mm、0.63mm等の種々の厚みのガラス基板を作製することができる。
[熱処理工程]
次に、熱処理工程では、プレス成型や切り出しによって作製されたガラス基板を耐熱部材のセッターと交互に積層し、高温の電気炉を通過させることにより、ガラス基板の反りの低減やガラスの結晶化を促進させる。
[第1ラッピング工程]
次に、第1ラッピング工程では、ガラス基板の両表面を研削加工し、ガラス基板の平行度、平坦度及び厚みを予備調整する。
[コアリング加工工程]
次に、コアリング加工工程では、第1ラッピング工程後のガラス基板の中心部に円形の穴を開ける。穴開けは、例えば、カッター部にダイヤモンド砥石等を備えたコアドリル等で研削することにより行うことができる。
[内・外径加工工程]
次に、内・外径加工工程では、ガラス基板の外周端面及び内周端面を、例えばダイヤモンド等を用いた鼓状の研削砥石により研削することで内・外径加工する。
[第2ラッピング工程]
次に、第2ラッピング工程では、ガラス基板の両表面を再び研削加工し、ガラス基板の平行度、平坦度及び厚みを微調整する。
前記第1ラッピング工程及び前記第2ラッピング工程では、図2及び図3に示すように、遊星歯車機構を利用した両面研削機と称される公知の研削機10が使用できる。両面研削機10は、互いに平行になるように上下に配置された円盤状の上定盤11と下定盤12とを備えている。この上下の定盤11,12は互いに逆方向に回転する。この上下の定盤11,12の対向するそれぞれの面にガラス基板の主表面を研削するためのダイヤモンドペレット13,14が貼り付けられている。上下の定盤11,12の間に複数のキャリア17が配設されている。各キャリア17は、下定盤12の回転軸の周囲に設けられたサンギア15と、下定盤12の外周に円環状に設けられたインターナルギア16とに結合して回転する。各キャリア17に複数の穴18が形成されている。各穴18にガラス基板が遊嵌合されて保持される。なお、ガラス基板は図2及び図3には図示されていないが、例えば図15に符号80が付されて図示されている。上下の定盤11,12、サンギア15及びインターナルギア16は、それぞれ別駆動で動作する。
研削機10の研削動作はおよそ次のようにして行われる。すなわち、上下の定盤11,12が互いに逆方向に回転すると、ダイヤモンドペレット13,14を介して上下の定盤11,12間に挟まれているキャリア17は、複数のガラス基板を保持した状態で、自転しながら定盤11,12の回転中心に対して下定盤12と同じ方向に公転する。このように動作している研削機10に対して、上定盤11のダイヤモンドペレット13とガラス基板との間、及び、下定盤12のダイヤモンドペレット14とガラス基板との間に研削液を供給することにより、ガラス基板の研削が行われる。
この両面研削機10を使用する際、ガラス基板に加わる定盤11,12の加重及び定盤11,12の回転数を所望の研削状態に応じて適宜調整する。第1及び第2ラッピング工程における加重は、60g/cm(5.88kPa)から120g/cm(11.77kPa)とするのが好ましい。また、定盤11,12の回転数は、10rpmから30rpm程度とし、上定盤11の回転数を下定盤12の回転数よりも30%から40%程度遅くするのが好ましい。定盤11,12による加重を大きくし、定盤11,12の回転数を速くすると、研削量は多くなる。しかし、加重が大きすぎると表面粗さが良好とならず、回転数が速すぎると平坦度が良好とならない。また、定盤11,12の加重を小さくし、定盤11,12の回転数を遅くすると、研削量が少なくなり、製造効率が低くなる。
第2ラッピング工程を終えた時点で、ガラス基板の大きなうねり、欠け、ひび等の欠陥はほぼ除去される。また、ガラス基板の主表面の表面粗さは、Raが0.2μmから0.4μm程度とするのが好ましく、主表面の平坦度は、7〜10μmが好ましい。このような面状態にしておくことで、次の第1ポリッシング工程での研磨を効率よく行うことができる。
なお、第1ラッピング工程では、第2ラッピング工程を効率よく行うことができるように大まかにガラス基板の大きなうねり、欠け、ひび等を除去する。そのため、第2ラッピング工程では粗さが#1300メッシュから#1700メッシュ程度のダイヤモンドペレット13,14を使用し、第1ラッピング工程では粗さがそれより粗い#800メッシュから#1200メッシュ程度のダイヤモンドペレット13,14を使用するのが好ましい。第1ラッピング工程を終えた時点で、ガラス基板の主表面の表面粗さは、Raが0.4μmから0.8μm程度とするのが好ましく、主表面の平坦度は、10〜15μmが好ましい。
また、第1ラッピング工程の後に、及び/又は、第2ラッピング工程の後に、ガラス基板の表面に残った研削液やガラス粉を除去するための洗浄工程を行うことが好ましい。
なお、本実施形態で用いる表面粗さは、原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメンツ社製ナノスコープ)を用いて、1μm×1μmの範囲を測定した値である。また、本実施形態で用いる平坦度は、平坦度測定装置で測定した値であり、ガラス基板の表面の最も高い位置(Po)と最も低い位置(Vo)との高低差(Po−Vo値)である。
[端面研磨加工工程]
次に、端面研磨加工工程では、第2ラッピング工程を終えたガラス基板の外周端面及び内周端面を、端面研磨機を用いて研磨加工する。
[第1ポリッシング工程]
次に、第1ポリッシング工程では、ガラス基板の両表面を研磨加工する。第1ポリッシング工程では、図4から図6に示すようなオスカー研磨機20を用い、最終的に本実施形態に係るHDD用ガラス基板の形状を効率よく得ることができるようにガラス基板80を研磨する。オスカー研磨機20は、回転する下研磨皿21と、下研磨皿21の上方空間を水平方向(X←→X)に揺動する上研磨皿22とを備えている。そして、上下の研磨皿21,22の間に、ガラス基板80の外径よりも大きい内径を有するリング状冶具23に収容されたガラス基板80を配置して、ガラス基板80を自転させながら、ガラス基板80の両面を上下の研磨皿21,22で研磨する。
オスカー研磨機20では、上下の研磨皿21,22の間に研磨対象物であるガラス基板80を置いた状態で、研磨液を供給しながら、下研磨皿21を自転させ、上研磨皿22を図4から図6に関して左右に揺動させることで、ガラス基板80が上下の研磨皿21,22により研磨される。条件によっては、ガラス基板80の自転を促すことができる。その結果、同心円の点対象形状のガラス基板80を製造することができる。すなわち、ガラス基板80の周方向の表面状態の変動を抑制することができる。本実施形態では、外径が2.5インチ(63.5mm)のガラス基板80を例にして説明するが、ガラス基板80の大きさに限定はない。
本実施形態では、上下の研磨皿21,22は直径が1000mmであり、対向するそれぞれの面に弾性に富むスウェード(図5(a)に下研磨皿21のスウェード24のみ図示)が貼り付けられている。図5(b)に示すような樹脂材料で製造したリング状冶具23(内径65mm、外径67mm、厚み0.5mm)にガラス基板80を遊嵌合して保持する。これを100セット下研磨皿21のスウェード24の上に置く。そして、上研磨皿22でガラス基板80を挟み込み、研磨液として、酸化セリウムやコロイダルシリカを砥粒(研磨材)として含有するスラリーを供給しながら、下研磨皿21を自転させ、上研磨皿22を任意の範囲で図4から図6に関して左右に揺動させる。これにより、ガラス基板80は上下の研磨皿21,22の相対運動によってリング状冶具23内で自転し、両表面が周方向に研磨される。
[化学強化工程]
(総論)
次に、化学強化工程では、ガラス基板を化学強化処理液に浸漬することにより、ガラス基板の主表面、外周端面及び内周端面に化学強化層(応力層)を形成する。すなわち、ガラス基板に化学強化処理を施す。ガラス基板の主表面に化学強化層を形成することにより、ガラス基板の反りや主表面の粗面化を防止することができる。ガラス基板の外周端面及び内周端面に化学強化層を形成することにより、ガラス基板の耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させることができる。
化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス基板を浸漬することによってガラス基板に含まれるリチウムイオン、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンで置換するイオン交換法により行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みにより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス基板の主表面、外周端面及び内周端面が応力層、すなわち化学強化層によって強化される。ガラス基板の表面が応力層で強化される結果、ガラス基板の耐衝撃性がより一層改善される。
化学強化処理液に特に制限はなく、公知の化学強化処理液を用いることができる。通常、カリウムイオンを含む溶融塩又はカリウムイオンとナトリウムイオンとを含む溶融塩を用いることが一般的である。カリウムイオンやナトリウムイオンを含む溶融塩としては、カリウムやナトリウムの硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩やこれらの混合溶融塩が挙げられる。これらのなかでも、融点が低く、ガラス基板の変形を防止できるという観点から、硝酸塩を用いることが好ましい。
(従来の化学強化処理)
従来の化学強化処理はおよそ次のようなものである。まず、図7(a)に示すように、ガラス基板80を保持するためのキャリア30が用いられる。キャリア30は上下が開放した容器であり、複数の保持ロッド31が相互に平行に架設されている。図7(b)に示すように、ガラス基板80は複数の保持ロッド31に3点で保持される。1つのキャリア30で数十枚のガラス基板80が僅かな間隙で相互に平行に並べられて同時に保持される。
図8(a)に示すように、キャリア30に保持したガラス基板80を電気炉40で300℃に予熱する。図8(b)に示すように、硝酸カリウム(60質量%)と硝酸ナトリウム(40質量%)とを混合、溶解した化学強化処理液を処理液槽50に用意し、ヒータ51で400℃に加熱する。予熱したガラス基板80を化学強化処理液中に約20分浸漬し、ガラス基板80の全面に亘って強化層を形成する。図8(c)に示すように、化学強化処理を終えたガラス基板80を、ヒータ61で70℃に加温された温水槽60に約10分間浸漬して冷却した後、図8(d)に示すように、温水槽60から取り出す。
このとき、化学強化処理液の温度バラツキや濃度バラツキあるいは異物の混入等、ガラス基板80を取り巻く環境が様々な要因により一様でないため、化学強化処理の前後におけるガラス基板80の表面形状が均一に変化しない。例えば、図9(a)に示すように、化学強化処理前は表面形状がほぼ平坦であったガラス基板80が、図9(b)に示すように、化学強化処理後は表面形状が歪となる。
その結果、図10(a)、(b)、(c)に示すように、化学強化処理後は、ガラス基板80の周方向のTIRが悪化する。図10(a)は、化学強化処理前のガラス基板80の主表面81(図15参照)の高低マップである。この図に示すように、化学強化処理前はガラス基板80の主表面81の平坦度が相対的に良好である。そのため、図10(c)に実線(a)で示すように、ガラス基板80の主表面81の周方向のTIRは小さい。一方、図10(b)は、従来の化学強化処理後のガラス基板80の主表面81の高低マップである。この図に示すように、化学強化処理後はガラス基板80の主表面81の表面形状に歪が発生している。そのため、図10(c)に破線(b)で示すように、ガラス基板80の主表面81の周方向のTIRは大きくなる。
なお、図10(c)の周方向TIRは、図10(a)及び図10(b)に破線で示す位置における値である。具体的には、ガラス基板80の半径をRとしたときに、ガラス基板80の中心から0.75Rの位置における値である。
前記「ガラス基板の周方向のTIR」とは、例えば、ガラス基板の主表面に最適にフィットした平面を最小二乗法で求め、ガラス基板の主表面の高さを周方向に複数箇所測定し、高さが前記平面よりも上方にある最高点(P)と下方にある最低点(V)との差の絶対値(P−V値)をいう。
ガラス基板80の主表面81の周方向のTIRは、例えば、白色光の干渉を利用して表面形状を測定する方式(例えば、Phase Shift Technology社製の「Optiflat」)や、被測定面に対して斜めにレーザー光を入射することで垂直入射方式に比べて高い反射率を得ることができ、粗い面形状においても測定が可能な方式(例えば、TROPEL社製の「Flat Master FM100XRA」)等により測定することができる。
このように、ガラス基板80の耐衝撃性の向上等のために従来行われている化学強化処理がガラス基板80の周方向のTIRを悪化させていることが分かった。その結果、ガラス基板80の周方向の表面状態が大きく変動し、磁気ヘッドの追従不良によるヘッドクラッシュが起き易くなっていた。
(本実施形態の化学強化処理)
そこで、本実施形態では、化学強化処理がガラス基板80の周方向のTIRを悪化させないようにすることを図っている。具体的には、化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量を0.5μm以下とすることを図っている。
これによれば、化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量が0.5μm以下であるから、化学強化処理によるガラス基板80の周方向TIRの悪化が極めて限定的となる。そのため、化学強化工程後のガラス基板80の周方向のTIRが小さい値に抑えられ、ガラス基板80の周方向の表面状態の変動が抑制されて、磁気ヘッドの追従不良によるヘッドクラッシュの発生が抑制される。
本実施形態では、化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量を0.3μm以下とすることが好ましい。化学強化処理によるガラス基板80の周方向TIRの悪化がより一層限定的となり、磁気ヘッドの追従不良によるヘッドクラッシュの発生がより一層抑制されるからである。
本実施形態では、ガラス基板80の周方向のTIRは、ガラス基板80の半径をRとしたときに、ガラス基板80の中心から0.75Rの位置における周方向のTIRである。
これによれば、次のような利点がある。すなわち、同一のガラス基板における周方向TIRはガラス基板の中心からの距離と相関関係にあり、ガラス基板の中心から外側に離れるほど周方向TIRは大きくなる傾向にある。そして、ガラス基板80の中心から0.75Rの位置は、ガラス基板80の主表面81ないし記録媒体の記録領域において相対的に外側の位置である。そのため、ガラス基板80の中心から0.75Rの位置における周方向のTIRの増加量を0.5μm以下又は0.3μm以下に制限することによって、ガラス基板80の主表面81の外周端部及び内周端部を含めた主表面81の全部、ないし記録媒体の記録領域の外周端部及び内周端部を含めた記録領域の全部においても、周方向TIRの悪化が極めて限定的となり、ヘッドクラッシュの発生が広範囲に亘って抑制されるという利点がある。
(具体的方法の1)
化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量を0.5μm以下とする1つ目の具体的方法としては、化学強化工程において、化学強化処理液に浸漬されているガラス基板80の化学強化処理液中の姿勢を変えることが挙げられる。
これによれば、次のような作用が得られる。すなわち、化学強化処理液中のガラス基板80の姿勢を変えない場合は、ガラス基板80を取り巻く環境が様々な要因により一様でないことに起因して、ガラス基板80の表面の部位ごとに異なる形状変化が生じ得る。これに対し、化学強化処理液中のガラス基板80の姿勢を変えることによって、このような部位ごとに異なる形状変化を打ち消すことができる。そのため、化学強化処理の前後におけるガラス基板80の表面形状が均一に変化することとなって、TIR増加量を容易に0.5μm以下とすることができる。
例えば、図11(a)に示すように、キャリア30に保持したガラス基板80を電気炉40で300℃に予熱する。図11(b)に示すように、硝酸カリウム(60質量%)と硝酸ナトリウム(40質量%)とを混合、溶解した化学強化処理液を処理液槽50に用意し、ヒータ51で400℃に加熱する。予熱したガラス基板80を化学強化処理液中に約10分浸漬する(1回目の浸漬)。10分浸漬後、ガラス基板80をキャリア30ごと処理液槽50から取り出し、全てのガラス基板80を図中矢印で示すようにガラス基板80の中心に関して90°回転する。このようにガラス基板80の姿勢を変えた後、図11(c)に示すように、再び化学強化処理液中に約10分浸漬する(2回目の浸漬)。図11(d)に示すように、化学強化処理を終えたガラス基板80を、ヒータ61で70℃に加温された温水槽60に約10分間浸漬して冷却した後、図8(e)に示すように、温水槽60から取り出す。
こうすれば、図12(a)に示すように、1回目の浸漬で、ガラス基板80の中心を通る線対称にガラス基板80の表面形状が歪に変化したものが、図12(b)に示すように、2回目の浸漬で、化学強化処理液中のガラス基板80の姿勢がガラス基板80の中心に関して90°変わったため、これらが相まって、図12(c)に示すように、ガラス基板80の表面の部位ごとに異なる形状変化が打ち消されることとなる。その結果、化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量が0.5μm以下となる。
なお、この例は、ガラス基板の表面形状がガラス基板の中心を通る線対称に変化する場合、つまりガラス基板の180°対向する所定の2箇所においてガラス基板の表面形状が変化する場合である。これに限らず、例えば、ガラス基板の表面形状が所定の1箇所のみにおいて変化するような場合は、ガラス基板を90°より小さい角度で少しずつ回転して、その都度、ガラス基板を化学強化処理液中に浸漬すればよい(例えば全部で3回以上の複数回の浸漬を行う)。
この周方向のTIR増加量を0.5μm以下とする具体的方法の1は、化学強化処理によるガラス基板の形状変化を予め把握しておき、その形状変化に応じて、その形状変化を打ち消すように、化学強化処理を複数回に分けて行うことを趣旨とするものである。
なお、可能であれば、ガラス基板80を処理液槽50から取り出さずに、化学強化処理液中に浸漬したまま、姿勢を変えてもよい。
(具体的方法の2)
化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量を0.5μm以下とする2つ目の具体的方法としては、化学強化工程において、化学強化処理液の温度分布を均一化することが挙げられる。
これによれば、ガラス基板80を浸漬する化学強化処理液の温度バラツキが低減される。そのため、ガラス基板80を取り巻く環境が一様となり、化学強化処理の前後におけるガラス基板80の表面形状が均一に変化することとなって、TIR増加量を容易に0.5μm以下とすることができる。
例えば、図13(a)に示すように、キャリア30に保持したガラス基板80を電気炉40で300℃に予熱する。図13(b)に示すように、硝酸カリウム(60質量%)と硝酸ナトリウム(40質量%)とを混合、溶解した化学強化処理液を処理液槽50に用意し、ヒータ51〜55で400℃に加熱する。予熱したガラス基板80を化学強化処理液中に約20分浸漬する。このとき、複数のヒータ51〜54を処理液槽50の周囲に均等に配置することで、化学強化処理液の温度分布を均一化する。また、ガラス基板80の中心部の円形穴の中に配置するヒータ55を設けることで、ガラス基板80に対する化学強化処理液の温度分布をより一層均一化できる。図13(c)に示すように、化学強化処理を終えたガラス基板80を、ヒータ61で70℃に加温された温水槽60に約10分間浸漬して冷却した後、図13(d)に示すように、温水槽60から取り出す。
こうすれば、ガラス基板80は、温度分布が均一化された化学強化処理液中に浸漬されたため、図14(a)、(b)に示すように、化学強化処理前後でガラス基板80の周方向のTIRが悪化することが抑制される。図14(a)は、化学強化処理前のガラス基板80の主表面81の高低マップ、図14(b)は、この具体的方法の2による化学強化処理後のガラス基板80の主表面81の高低マップである。この図に示すように、化学強化処理の前後でガラス基板80の主表面81の平坦度が良好に維持されている。その結果、化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量が0.5μm以下となる。
この周方向のTIR増加量を0.5μm以下とする具体的方法の2は、イオン交換法における化学反応の安定化を図ることを趣旨とするものである。
なお、状況に応じて、ガラス基板80の中心部の円形穴の中に配置するヒータ55を省略してもよい。
(具体的方法の3)
化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量を0.5μm以下とする3つ目の具体的方法としては、化学強化工程において、化学強化処理液を攪拌することが挙げられる。
これによれば、ガラス基板80を浸漬する化学強化処理液の濃度バラツキが低減される。そのため、ガラス基板80を取り巻く環境が一様となり、化学強化処理の前後におけるガラス基板80の表面形状が均一に変化することとなって、TIR増加量を容易に0.5μm以下とすることができる。
例えば、前記図13(b)において、ガラス基板80の中心部の円形穴の中に配置したヒータ55を図中矢印で示すように攪拌棒のように円運動又は回転させる。
こうすれば、ガラス基板80は、濃度分布が均一化された化学強化処理液中に浸漬されたため、図14(a)、(b)に示すように、化学強化処理前後でガラス基板80の周方向のTIRが悪化することが抑制される。図14(a)は、化学強化処理前のガラス基板80の主表面81の高低マップ、図14(b)は、この具体的方法の3による化学強化処理後のガラス基板80の主表面81の高低マップである。この図に示すように、化学強化処理の前後でガラス基板80の主表面81の平坦度が良好に維持されている。その結果、化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量が0.5μm以下となる。
この周方向のTIR増加量を0.5μm以下とする具体的方法の3は、イオン交換法における化学反応の安定化を図ることを趣旨とするものである。
なお、状況に応じて、ガラス基板80の中心部の円形穴の中に配置したヒータ55に代えて、ガラス基板80の中心部の円形穴の中に加熱機能のない攪拌棒を配置してもよい。また、ヒータ51のみ残し、処理液槽50の周囲に配置する複数のヒータ52〜54を省略してもよい。また、ガラス基板80の中心部の円形穴の中で化学強化処理液を攪拌することに限られず、ガラス基板80の中心部の円形穴の外、つまりガラス基板80の周囲で化学強化処理液を攪拌してもよい。また、ガラス基板80の中心部の円形穴の中と外との両方で化学強化処理液を攪拌してもよい。
[第2ポリッシング工程]
次に、第2ポリッシング工程では、化学強化工程後のガラス基板の両表面をさらに精密に研磨加工する。第2ポリッシング工程では、図2及び図3に示した、第1及び第2ラッピング工程で使用する両面研削機10と類似の構成の両面研磨機を使用する。
第2ポリッシング工程では、ダイヤモンドペレット13,14に代えて、第1ポリッシング工程で使用するスウェードよりも軟らかい硬度65から80(Asker−C)程度の軟質の研磨パッドを使用する。この研磨パッドは、例えば発泡ウレタンやスウェードを使用するのが好ましい。
研磨液としては、第1ポリッシング工程と同様の酸化セリウム等を砥粒(研磨材)として含有するスラリーを用いることができる。ただし、ガラス基板の表面をより滑らかにするために、砥粒の粒径がより細かくバラツキが少ない研磨液を用いるのが好ましい。例えば、平均粒径が40nmから70nmのコロイダルシリカを砥粒(研磨材)として水に分散させてスラリー状にしたものを研磨液として用いることが好ましい。水と砥粒との混合比率は、概ね1:9から3:7程度が好ましい。
上下の定盤によるガラス基板への加重は、90g/cm(8.83kPa)から110g/cm(10.8kPa)とするのが好ましい。また、上下の定盤の回転数は、15rpmから35rpmとし、上定盤の回転数を下定盤の回転数よりも30%から40%程度遅くするのが好ましい。
第2ポリッシング工程の研磨条件を適宜調整することにより、ガラス基板の主表面の平坦度を3μm以下、ガラス基板の主表面の表面粗さRaを0.1nmまで小さくすることができる。
第2ポリッシング工程での研磨量は2μmから5μmとするのが好ましい。研磨量をこの範囲とすることにより、ガラス基板の表面に発生した微小な荒れやうねり、あるいはこれまでの工程で発生した微小なキズ痕といった微小欠陥を良好に除去することができる。
このように、化学強化工程の後、ガラス基板80の表面を研磨するポリッシング工程を含むことにより、最終のガラス基板80の周方向のTIRがより一層小さくなる。そのため、ヘッドクラッシュの発生がより一層抑制される。
[洗浄工程]
次に、洗浄工程では、第2ポリッシング工程後のガラス基板をスクラブ洗浄する。ただし、スクラブ洗浄に限られず、ポリッシング工程後のガラス基板の表面を清浄にできる洗浄方法であればいずれの洗浄方法でも構わない。
スクラブ洗浄されたガラス基板に対して、必要により、超音波による洗浄及び乾燥処理が行われる。乾燥処理は、ガラス基板の表面に残る洗浄液をIPA(イソプロピルアルコール)等を用いて除去した後、ガラス基板の表面を乾燥させる処理である。例えば、スクラブ洗浄後のガラス基板に水リンス洗浄工程を2分間行ない、洗浄液の残渣を除去する。次に、IPA洗浄工程を2分間行い、ガラス基板の表面に残る水をIPAにより除去する。最後に、IPA蒸気乾燥工程を2分間行い、ガラス基板の表面に付着している液状のIPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させる。
ガラス基板の乾燥処理としてはこれに限定されるわけではなく、スピン乾燥、エアーナイフ乾燥等、ガラス基板の乾燥方法として一般的に知られたいずれの乾燥方法でも構わない。
[検査工程]
次に、検査工程では、ガラス基板のキズ、割れ、異物の付着等の有無を目視にて検査する。目視では判別できない場合は、光学表面アナライザ(例えば、KLA−TENCOL社製の「OSA6100」)を用いて検査を行う。
検査工程で良品と判別されたガラス基板は、異物等が表面に付着しないように、清浄な環境の中で、専用収納カセットに収納され、真空パックされた後、HDD用ガラス基板として出荷される。
<HDD用ガラス基板>
次に、前記のようにして製造されたHDD用ガラス基板について説明する。図15に示すように、本実施形態に係るHDD用ガラス基板80は、その主表面81において、周方向のTIRが小さい値に抑えられ、周方向の表面状態の変動が抑制された、高品質のHDD用ガラス基板である。
<HDD用磁気記録媒体>
次に、前記HDD用ガラス基板80を用いて製造されたHDD用磁気記録媒体について説明する。本実施形態に係るHDD用磁気記録媒体は、前記HDD用ガラス基板80の主表面81の上に記録層としての磁性膜が設けられたことにより製造されたものである。磁性膜は主表面81の上に直接に又は間接に形成されてよい。磁性膜はガラス基板80の片面に又は両面に形成されてよい。
磁性膜の形成方法としては従来公知の方法を用いることができ、例えば磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂をガラス基板80上にスピンコートして形成する方法や、スパッタリングや無電解めっきにより形成する方法等が挙げられる。スピンコート法での膜厚は約0.3μm〜1.2μm程度、スパッタリング法での膜厚は0.01μm〜0.08μm程度、無電解めっき法での膜厚は0.01μm〜0.1μm程度であり、薄膜化及び高密度化の観点からは、スパッタリング法や無電解めっき法による膜形成が好ましい。
磁性膜に用いる磁性材料としては特に限定はなく、従来公知のものが使用できる。なかでも、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本材料とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金等が好適である。具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPt、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiO等が好ましい。
磁性膜は、非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrV等)で分割し、ノイズの低減を図った多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTa等)としてもよい。
前記磁性材料の他、フェライト系や鉄−希土類系のものや、SiO、BN等からなる非磁性膜中に、Fe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散させた構造のグラニュラー等でもよい。
磁性膜は、内面型及び垂直型のいずれの記録形式であってもよい。
磁気ヘッドの滑りをよくするために磁性膜の表面に潤滑剤を薄くコーティングしてもよい。潤滑剤としては、例えば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系等の溶媒で希釈したもの等が挙げられる。
本実施形態では、必要に応じて、記録層としての磁性膜の他に、下地層や保護層を設けてもよい。HDD用磁気記録媒体における下地層は磁性膜に応じて選択される。下地層の材料としては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Ni等の非磁性金属からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。Coを主成分とする磁性膜の場合は、磁気特性の向上等の観点から、Cr単体やCr合金であることが好ましい。下地層は単層とは限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造としても構わない。例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層とすることができる。
保護層は、磁性膜の摩耗や腐食を防止するために設けられる。保護層としては、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層等が挙げられる。これらの保護層は、下地層や磁性膜等と共に、インライン型スパッタ装置で連続して形成できる。また、これらの保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一又は異種の層からなる多層構造としてもよい。
前記保護層上に、あるいは前記保護層に代えて、他の保護層を形成してもよい。例えば、前記保護層に代えて、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成することにより、二酸化ケイ素(SiO)層を形成してもよい。
以上のように、基板として本実施形態に係るHDD用ガラス基板80を用いて製造されたHDD用磁気記録媒体をHDDに用いることで、HDDの高速回転時の磁気ヘッドの動作を安定にすることができる。
また、本実施形態に係るHDD用ガラス基板80を用いて製造されたHDD用磁気記録媒体によれば、周方向のTIRが小さい値に抑えられ、周方向の表面状態の変動が抑制されたHDD用ガラス基板80が用いられているから、ヘッドクラッシュの発生が抑制された高品質のHDD用磁気記録媒体である。
本実施形態においては、HDD用ガラス基板80を用いて製造されたHDD用磁気記録媒体は、ハードディスクドライブに装填されたときの回転数が7000rpm以上であることが好ましい。
これによれば、7000rpm以上の高速で回転されても磁気ヘッドの追従不良によるヘッドクラッシュが起き難い高品質のHDD用磁気記録媒体が実現することになる。
なお、本実施形態では、ラッピング工程及びポリッシング工程は、2回に分けて行ったが、これに限らず、1回のみ行ってもよい。また、化学強化工程を第2ポリッシング工程の前に行ったが、状況に応じて第2ポリッシング工程の後に行ってもよい。
さらに、落下強度対策として、ガラス基板の主表面以外の外周端面や内周端面の強化を行ってもよいし、ガラス基板に生じたキズのエッジ緩和処理として、ガラス基板をHF浸漬処理に供してもよい。
本実施形態に係るHDD用ガラス基板は、HDD用磁気記録媒体の製造用途に限定されるものではなく、例えば、光磁気ディスクや光ディスク等の製造用途にも用いることができる。
本実施形態の技術的特徴をまとめると下記のようになる。
本実施形態に係るHDD用ガラス基板の製造方法は、ガラス基板80を化学強化処理液に浸漬することによりガラス基板80に化学強化処理を施す化学強化工程を含むHDD用ガラス基板の製造方法であって、化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量を0.5μm以下とすることを特徴とする。
本実施形態によれば、化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量が0.5μm以下であるから、化学強化処理によるガラス基板80の周方向のTIRの悪化が極めて限定的となる。そのため、化学強化工程後のガラス基板80の周方向のTIRが小さい値に抑えられ、ガラス基板80の周方向の表面状態の変動が抑制されて、ヘッドクラッシュの発生が抑制される。
本実施形態においては、化学強化工程の前後におけるガラス基板80の周方向のTIRの増加量を0.3μm以下とすることが好ましい。
本実施形態によれば、化学強化処理によるガラス基板80の周方向のTIRの悪化がより一層限定的となる。そのため、ヘッドクラッシュの発生がより一層抑制される。
本実施形態においては、化学強化工程では、化学強化処理液に浸漬されているガラス基板80の化学強化処理液中の姿勢を変えることにより、TIRの増加量を0.5μm以下とする。
本実施形態によれば、ガラス基板80の姿勢を変えない場合に生じ得る、ガラス基板80の表面の部位ごとに異なる形状変化が、ガラス基板80の姿勢を変えることによって打ち消される。そのため、化学強化処理の前後におけるガラス基板80の表面形状が均一に変化することとなって、TIR増加量を容易に0.5μm以下とすることができる。
本実施形態においては、化学強化工程では、化学強化処理液の温度分布を均一化することにより、TIRの増加量を0.5μm以下とする。
本実施形態によれば、ガラス基板80を浸漬する化学強化処理液の温度バラツキが低減される。そのため、ガラス基板80を取り巻く環境が一様となり、化学強化処理の前後におけるガラス基板80の表面形状が均一に変化することとなって、TIR増加量を容易に0.5μm以下とすることができる。
本実施形態においては、化学強化工程では、化学強化処理液を攪拌することにより、TIRの増加量を0.5μm以下とする。
本実施形態によれば、ガラス基板80を浸漬する化学強化処理液の濃度バラツキが低減される。そのため、ガラス基板80を取り巻く環境が一様となり、化学強化処理の前後におけるガラス基板80の表面形状が均一に変化することとなって、TIR増加量を容易に0.5μm以下とすることができる。
本実施形態においては、化学強化工程の後、ガラス基板80の表面を研磨するポリッシング工程(第2ポリッシング工程)を含む。
本実施形態によれば、最終のガラス基板80の周方向のTIRがより一層小さくなる。そのため、ヘッドクラッシュの発生がより一層抑制される。
本実施形態においては、ガラス基板80の周方向のTIRは、ガラス基板80の半径をRとしたときに、ガラス基板80の中心から0.75Rの位置における周方向のTIRである。
本実施形態によれば、ガラス基板80の主表面81の外周端部及び内周端部を含めた主表面81の全部、ないし記録媒体の記録領域の外周端部及び内周端部を含めた記録領域の全部において、周方向のTIRの悪化が極めて限定的となり、ヘッドクラッシュの発生が広範囲に亘って抑制される。
本実施形態に係るHDD用ガラス基板80は、前記HDD用ガラス基板の製造方法により製造されたことを特徴とする。
本実施形態によれば、周方向のTIRが小さい値に抑えられ、周方向の表面状態の変動が抑制された、高品質のHDD用ガラス基板80が得られる。
本実施形態に係るHDD用磁気記録媒体は、前記HDD用ガラス基板80の主表面81の上に記録層が設けられたことにより製造されたことを特徴とする。
本実施形態によれば、周方向のTIRが小さい値に抑えられ、周方向の表面状態の変動が抑制されたHDD用ガラス基板80が用いられているから、ヘッドクラッシュの発生が抑制された高品質のHDD用磁気記録媒体が得られる。
本実施形態に係るHDD用磁気記録媒体は、回転数が7000rpm以上のハードディスクドライブに用いられるものであることが好ましい。
本実施形態によれば、7000rpm以上の高速で回転されても磁気ヘッドの追従不良によるヘッドクラッシュが起き難い高品質のHDD用磁気記録媒体が得られる。
本実施形態によれば、記録媒体の表面に対する磁気ヘッドの追従不良によるヘッドクラッシュの発生が抑制されるHDD用ガラス基板80の製造方法、その製造方法により製造されたHDD用ガラス基板80、及びそのHDD用ガラス基板80を用いたHDD用磁気記録媒体が提供されるから、DFHヘッド機構に対応でき、昨今の高密度記録化に寄与できる。
以下、実施例及び比較例を通して、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<HDD用ガラス基板の製造>
図1の製造工程に従って、HDD用ガラス基板を製造した。
[1.ガラス溶融工程、成形工程]
ガラス素材として、Tgが480℃のアルミノシリケートガラスを用い、溶融したガラス素材をプレス成形して、外径が68mm、厚みが0.93mmの円板状のガラス基板(ブランク)を作製した。
[2.熱処理工程]
外形が70mm、厚みが2mm、材質がアルミナのセッターとガラス基板とを交互に積層し、約430℃に設定された高温の電気炉を2時間かけて通過させることにより、ガラス基板の反りや内部応力を低減させた。
[3.第1ラッピング工程]
ガラス基板の両表面を両面研削機(HAMAI社製)を用いて研削加工した。研削条件として、ダイヤモンドペレットは#1200メッシュのものを用い、加重は100g/cm(9.81kPa)とし、上定盤の回転数は20rpmとし、下定盤の回転数は30rpmとした。
[4.コアリング加工工程]
ダイヤモンド砥石を備えた円筒状のコアドリルを用いてガラス基板の中心部に直径が18mmの円形の穴を開けた。
[5.内・外径加工工程]
鼓状のダイヤモンド砥石を用いて、ガラス基板の外周端面及び内周端面を、外径65mm、内径20mmに内・外径加工した。
[6.第2ラッピング工程]
ガラス基板の両表面を両面研削機(HAMAI社製)を用いて再び研削加工した。研削条件として、ダイヤモンドペレットは#1700メッシュのものを用い、加重は100g/cm(9.81kPa)とし、上定盤の回転数は20rpmとし、下定盤の回転数は30rpmとした。
第1及び第2ラッピング工程の合計の研削量は0.1mmとした。その結果、ガラス基板の厚みは0.83mmとなった。
[7.端面研磨加工工程]
ガラス基板を100枚重ね、この状態で、ガラス基板の外周端面及び内周端面を、端面研磨機を用いて研磨加工した。研磨機のブラシ毛として、直径が0.2mmのナイロン繊維を用いた。研磨液は、平均粒径が3μmの酸化セリウムを砥粒(研磨材)として含有するスラリーを用いた。
[8.第1ポリッシング工程]
ガラス基板の両表面を図4から図6に示したようなオスカー研磨機を用いて周方向に研磨加工した。得られたガラス基板の周方向のTIR(化学強化工程前の周方向TIR)は0.7μmであった(表1参照)。このTIRの値は、ガラス基板の半径をRとしたときに、ガラス基板の中心から0.75Rの位置における周方向のTIRの値である。
[9.化学強化工程]
比較例1,2は、図8(a)、(b)、(c)、(d)を参照して説明したように化学強化処理を行った(従来の化学強化処理)。キャリアのガラス基板保持枚数は50枚(25枚×2列)とした。
実施例1,5は、図11(a)、(b)、(c)、(d)、(e)を参照して説明したように化学強化処理を行った(本発明に係る化学強化処理の具体的方法の1)。キャリアのガラス基板保持枚数は50枚(25枚×2列)とした。
実施例2,6は、図13(a)、(b)、(c)、(d)を参照して説明したように化学強化処理を行った(本発明に係る化学強化処理の具体的方法の2)。キャリアのガラス基板保持枚数は50枚(25枚×2列)とした。
実施例3,7は、図13(a)、(b)、(c)、(d)を参照して説明したように化学強化処理を行った(本発明に係る化学強化処理の具体的方法の3)。キャリアのガラス基板保持枚数は50枚(25枚×2列)とした。ただし、図13(b)において、ヒータ51のみ残し、処理液槽50の周囲に配置する複数のヒータ52〜54は省略した。また、ガラス基板80の中心部の円形穴の中には、ヒータ55ではなく、加熱機能のない攪拌棒を配置した。攪拌棒の回転数は60rpmとした。
実施例4,8は、図13(a)、(b)、(c)、(d)を参照して説明したように化学強化処理を行った(本発明に係る化学強化処理の具体的方法の2と3の組み合わせ)。キャリアのガラス基板保持枚数は50枚(25枚×2列)とした。ただし、図13(b)において、ヒータ51〜55を全て用いた。ヒータ55を攪拌棒のように回転させた。回転数は60rpmとした。
[10.第2ポリッシング工程]
比較例2、実施例5〜8のみ第2ポリッシング工程を行った。すなわち、ガラス基板の両表面を両面研磨機(HAMAI社製)を用いてさらに精密に研磨加工した。研磨条件として、研磨パッドは、硬度がAsker−Cで70度の発泡ウレタン製のものを用い、研磨液は、平均粒径が60nmのコロイダルシリカを砥粒(研磨材)として水に分散させてスラリー状にしたものを用い、水と砥粒との混合比率は、2:8とした。また、加重は90g/cm(8.83kPa)とし、上定盤の回転数は20rpmとし、下定盤の回転数は30rpmとした。
第1ポリッシング工程の研磨量(比較例1、実施例1〜4)、又は、第1及び第2ポリッシング工程の合計の研磨量(比較例2、実施例5〜8)は、いずれも30μmとした。その結果、最終のガラス基板の厚みは0.8mmとなった。
[11.洗浄工程]
ガラス基板をスクラブ洗浄した。洗浄液として、水酸化カリウム(KOH)と水酸化ナトリウム(NaOH)とを質量比で1:1に混合したものを超純水(DI水)で希釈し、洗浄能力を高めるために非イオン界面活性剤を添加して得られた液体を用いた。洗浄液の供給は、スプレー噴霧によって行った。スクラブ洗浄後、ガラス基板の表面に残る洗浄液を除去するために、水リンス洗浄工程を超音波槽で2分間行い、IPA洗浄工程を超音波槽で2分間行い、最後に、IPA蒸気によりガラス基板の表面を乾燥させた。
<HDD用磁気記録媒体の製造>
得られたガラス基板の主表面の上に磁性膜(記録層)を設けて磁気記録媒体(垂直型記録形式)とした。すなわち、ガラス基板側から、Ni−Alからなる下地層(厚み約100nm)、Co−Cr−Ptからなる記録層(厚み20nm)、DLC(Diamond Like Carbon)からなる保護層(厚み5nm)を順次積層した。磁気記録媒体は、比較例1,2及び実施例1〜8のいずれも100枚作製した。
<HDD用磁気記録媒体の評価>
作製した磁気記録媒体のヘッド浮上特性を評価した。すなわち、磁気記録媒体を7000rpmで回転させ、この記録媒体に対し、DFHヘッド機構の磁気ヘッドを用いて、記録媒体の表面に対する磁気ヘッドの追従不良回数(記録媒体1枚あたりの全記録領域)を記録し、下記基準で評価した。追従不良回数が多いほど、ヘッドクラッシュやリードライトエラーが起き易いと判定される。結果を表1に示す。
(評価基準)
◎◎:追従不良回数が0(申し分のない最優良品)
◎:追従不良回数が1(優良品)
○:追従不良回数が2〜4(良品)
△:追従不良回数が5〜9(品質にバラツキはあるが使用できないことはない)
×:追従不良回数が10以上(不良品)
表1には、化学強化工程前のガラス基板の周方向のTIR、化学強化工程の前後におけるガラス基板の周方向のTIRの増加量、化学強化工程後のガラス基板の周方向のTIR、及び、最終のガラス基板(比較例1及び実施例1〜4では化学強化工程後のガラス基板、比較例2及び実施例5〜8では第2ポリッシング工程後のガラス基板)の周方向のTIRを併せて示した。これらのTIRの値は、ガラス基板の半径をRとしたときに、ガラス基板の中心から0.75Rの位置における周方向のTIRの値である。
Figure 0005360331
<結果の考察>
従来の化学強化処理を行った比較例1,2は、化学強化工程の前後におけるガラス基板の周方向のTIRの増加量が0.5μmを超えており(0.7μm)、ヘッド浮上特性に劣っていた。
本発明に係る化学強化処理の具体的方法の1を行った実施例1,5は、化学強化工程の前後におけるガラス基板の周方向のTIRの増加量が0.3μm以下であり(0.3μm)、ヘッド浮上特性により一層優れていた。
本発明に係る化学強化処理の具体的方法の2を行った実施例2,6は、化学強化工程の前後におけるガラス基板の周方向のTIRの増加量が0.3μm以下であり(0.3μm)、ヘッド浮上特性により一層優れていた。
本発明に係る化学強化処理の具体的方法の3を行った実施例3,7は、化学強化工程の前後におけるガラス基板の周方向のTIRの増加量が0.5μm以下であり(0.5μm)、ヘッド浮上特性に優れていた。
本発明に係る化学強化処理の具体的方法の2と3とを同時に行った実施例4,8は、化学強化工程の前後におけるガラス基板の周方向のTIRの増加量が0.3μm以下であり(0.2μm)、ヘッド浮上特性により一層優れていた。
化学強化工程の後、第2ポリッシング工程を行った実施例5〜8と、行わなかった実施例1〜4とを比べると、実施例5〜8は、最終のガラス基板の周方向のTIRがより一層小さくなり、ヘッド浮上特性により一層優れていた。
この出願は、2011年6月30日に出願された日本国特許出願特願2011−146229を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
本発明を表現するために、前述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切かつ十分に説明したが、当業者であれば前述の実施形態を変更及び/又は改良することは容易になし得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態又は改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態又は当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
本発明は、HDD用ガラス基板の製造方法、HDD用ガラス基板、及びHDD用磁気記録媒体の技術分野において、広範な産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. ガラス基板を化学強化処理液に浸漬することによりガラス基板に化学強化処理を施す化学強化工程を含むHDD用ガラス基板の製造方法であって、
    化学強化工程の前後におけるガラス基板の周方向のTIRの増加量を0.5μm以下とすることを特徴とするHDD用ガラス基板の製造方法。
  2. 化学強化工程の前後におけるガラス基板の周方向のTIRの増加量を0.3μm以下とすることを特徴とする請求項1に記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
  3. 化学強化工程では、化学強化処理液に浸漬されているガラス基板の化学強化処理液中の姿勢を変えることにより、TIRの増加量を0.5μm以下とすることを特徴とする請求項1に記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
  4. 化学強化工程では、化学強化処理液の温度分布を均一化することにより、TIRの増加量を0.5μm以下とすることを特徴とする請求項1に記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
  5. 化学強化工程では、化学強化処理液を攪拌することにより、TIRの増加量を0.5μm以下とすることを特徴とする請求項1に記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
  6. 化学強化工程の後、ガラス基板の表面を研磨するポリッシング工程を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
  7. ガラス基板の周方向のTIRは、ガラス基板の半径をRとしたときに、ガラス基板の中心から0.75Rの位置における周方向のTIRであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のHDD用ガラス基板の製造方法。
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