JP5354996B2 - 破断分割性に優れたコネクティングロッド用熱間鍛造部品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
Cは、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を確保するために必要である。さらに、破断分割性を高めるのにも有効な元素である。そこでC量を0.1%以上と定めた。C量は好ましくは0.2%以上、より好ましくは0.3%以上である。しかし、C量が過剰であると被削性が低下する。そこでC量を0.6%以下と定めた。C量は好ましくは0.55%以下、より好ましくは0.5%以下である。
Siは、鋼を溶製する際の脱酸元素として有用である。さらに、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を向上させるために有効な元素である。この効果を十分に発揮させるため、Si量は好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上とする。しかし、Si量が過剰であると被削性および熱間加工性が低下する。そこでSi量を1.0%以下と定めた。Si量は好ましくは、0.7%以下、より好ましくは0.5%以下である。
Mnは、MnSを形成することによって鋳造時の割れを防止することができる元素として有用である。さらに、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を向上させるために有効な元素である。この効果を十分に発揮させるため、Mn量は0.5%以上と定めた。Mn量は、好ましくは0.7%以上、より好ましくは0.9%以上である。しかし、Mn量が過剰であるとベイナイトが生成し、被削性が低下する。そこでMn量を2.0%以下と定めた。Mn量は好ましくは1.8%以下、より好ましくは1.5%以下である。
Pは、コンロッド用熱間鍛造部品の破断分割性を高めるのに必要な元素である。そこでP量を0.01%以上と定めた。P量は、好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.02%以上(特に0.03%以上)である。しかし、P量が過剰となると熱間加工性が低下する。そこでP量を0.08%以下と定めた。P量は、好ましくは0.07%以下、より好ましくは0.06%以下である。
Sは、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を確保し、破断分割性を高めるのに有用な元素である。そこでS量を0.01%以上と定めた。S量は、好ましくは0.02%以上、より好ましくは0.03%以上である。しかし、S量が過剰になると熱間加工性が低下する。そこでS量を0.20%以下とした。S量は、好ましくは0.1%以下であり、より好ましくは0.07%以下である。
Vは、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を確保し、破断分割性を高めるのに有用な元素である。この効果を十分に発揮させるため、V量は好ましくは0.02%以上、より好ましくは0.05%以上である。しかし、V量が多すぎてもその効果は飽和し、またコスト上昇を招く。そこでV量を0.4%以下と定めた。V量は、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下である。
Crは、コンロッド用熱間鍛造部品の強度を確保し、破断分割性を高めるのに有用な元素である。この効果を十分に発揮させるため、Cr量は好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上である。しかし、Cr量が過剰になると被削性が低下する。そこでCr量を1.0%以下とした。Cr量は、好ましくは0.9%以下、より好ましくは0.7%以下である。
Alは、脱酸元素として有用な元素である。この効果を十分に発揮させるため、Al量は好ましくは、0.002%以上、より好ましくは0.004%以上である。しかしAl量が多すぎてもその効果は飽和し、またコスト上昇を招く。そこでAl量を0.05%以下と定めた。Al量は、好ましくは0.04%以下、より好ましくは0.035%以下である。
Nbは、本発明においてコンロッド用熱間鍛造部品の破断分割性を高めるのに重要な元素である。そこでNb量を0.01%以上と定めた。Nb量は、好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.02%以上である。しかしNb量が多すぎてもその効果は飽和し、またコスト上昇を招く。そこでNb量を0.1%以下と定めた。Nb量は、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.07%以下である。
Ni:1.0%以下(0%を含まない)、
Mo:1.0%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種
Cu、Ni、Moはいずれもコンロッド用熱間鍛造部品の強度を確保するのに有用な元素であり、必要に応じて含有させてもよい。この効果を十分に発揮させるため、Cu量は好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.05%以上である。Ni量は好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.05%以上である。Mo量は好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.1%以上である。しかし、Cu量は過剰になると熱間加工性が低下し、またコストが上昇する。そこでCu量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下である。またNi量は、多すぎても効果が飽和し、またコスト上昇を招く。そこでNi量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下である。さらに、Mo量は過剰になると被削性が低下し、またコストも上昇する。そこでMo量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.7%以下(特に0.5%以下)である。
Zr:0.2%以下(0%を含まない)、
Ca:0.005%以下(0%を含まない)、
Mg:0.005%以下(0%を含まない)、
Te:0.1%以下(0%を含まない)、
REM:0.3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種
Bi、Zr、Ca、Mg、Te、およびREMはいずれも被削性を高めるのに有用な元素である。特にZr、Ca、Mg、Te、およびREMは、MnSを球状化することによって被削性を高める作用がある。この効果を十分に発揮させるために、Bi量は好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.01%以上、Zr量は好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、Ca量は好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.001%以上、Mg量は好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.001%以上、Te量は好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.001%以上、REM量は好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.001%以上である。しかし、これらの元素はいずれも過剰であっても効果が飽和し、またコスト上昇を招く。そこでBi量は好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.08%以下であり、Zr量は好ましくは0.15%以下、より好ましくは0.13%以下(特に0.12%以下)、Ca量は好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.004%以下(特に0.003%以下)、Mg量は好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.004%以下(特に0.003%以下)、Te量は好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下(特に0.03%以下)、REM量は好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.1%以下(特に0.05%以下)である。
旧オーステナイト粒の粒度番号と破断分割性の関係について図1を用いて説明する。図1は、表1に示すように、Nb量を0.000、0.006、0.015、0.050%と変化させた熱間鍛造後の試験片について、旧オーステナイト粒の粒度番号と破断分割時の寸法変化との関係を整理したものである。
本発明において、旧オーステナイト粒がJIS G 0551で規定する混粒に該当しないとは、1視野内(1mm2)において、最大頻度を持つ粒度番号の粒から3以上異なった粒度番号の粒が存在する場合、これらの粒の面積が20%未満であることを意味する。旧オーステナイト粒が混粒に該当しない状態にすることによって、破断分割性のバラツキ(後記する実施例で示すように、破断分割試験を複数回行った時の寸法変化のバラツキで評価する)を抑制することができる。
本発明のコネクティングロッド用熱間鍛造部品は、上記の通りNbを必須元素として含むものである。通常、Nbを添加した鋼はNbの炭窒化物等のピンニング効果により結晶粒が微細化し、高靭性となる。高靭性であると、破断分割時に熱間鍛造部品の変形量が大きくなり、破断分割性に劣るものとなる。
本発明の熱間鍛造部品は、実質的にフェライト・パーライト組織である。800℃から500℃までの平均冷却速度が速くなりすぎると、ベイナイト組織が生成し、破断分割性に劣ったものとなる。そこで800℃から500℃までの平均冷却速度を1.5℃/s以下(より好ましくは1.3℃/s以下)と定めた。このような冷却速度を実現するためには、放冷または空冷を行うのが好ましく、また冷却速度が速くなりすぎる場合には所望の冷却速度となるように保持する工程を設けてもよい。また冷却速度の下限は特に制限されないが、800℃から500℃の冷却速度は0.2℃/s以上であってもよい。
表2に示す化学組成の鋼を通常の溶製方法に従って溶解し、鋳造、分塊した後、開始温度1050℃、終了温度900℃の圧延を行って、φ50mmの棒鋼を得た。得られた棒鋼を適当な長さに切断した後、鍛造前加熱温度:1200℃、鍛造前加熱温度での保持時間:1800秒、鍛造終了温度:971℃で、厚さ25mmに平潰し熱間鍛造を行い、800℃から500℃までの平均冷却速度が0.57℃/sとなるように冷却した。得られた平板体の特性を以下の様にして調べた。なお、表2において、REMはCe:50%、La:25%、Nd:15%程度を含有するミッシュメタルを用いた。
平板体のt/4位置(tは板厚)の横断面において、0.63mm2の視野を光学顕微鏡(100倍)で観察し、JIS G 0551に従ってオーステナイト結晶粒度番号および混粒の有無を測定した。結晶粒度番号は、2視野について測定したものの平均値を算出した。混粒の有無の測定は2視野について行った。混粒の有無の判定は、2視野において最大頻度を持つ粒度番号の粒から3以上異なった粒度番号の粒が存在する場合、これらの粒の面積が20%未満である場合を混粒「無」と判定し、その他の場合を混粒「有」と判定した。
熱間鍛造によって得られた平板体を切削し、図3に示すような試験片に加工した。図3中、(a)は試験片の上面図、(b)は試験片の側面図を示し、aはノッチ、bはボルト穴、cは圧延方向を示す矢印である。試験片は、65mm×65mm×厚さ22mmの板状で、中央はφ43mmの円筒状の孔が抜き取られている。中央の孔の端部には、ノッチa(R0.2mm、深さ0.5mm)が設けられている。また、試験片には圧延方向に沿ってボルト孔b(φ8.3mm)が設けられている。
0.34%C−0.25%Si−1.06%Mn−0.048%P−0.055%S−0.093%V−0.35%Cr−0.020%Al−0.050%Nbを用い、実験例1と同様にし、表4に示す条件で平板体を作成した。旧オーステナイト粒の粒度番号、混粒の有無、および測定破断分割時の寸法変化について実験例1と同様に測定を行った。寸法変化については、各No.について5サンプル測定した。
0.34%C−0.25%Si−1.06%Mn−0.048%P−0.055%S−0.093%V−0.35%Cr−0.020%Al−0.050%Nbを用い、表5に示す条件で熱間鍛造、冷却する以外は、実験例1と同様にして測定を行った。
2 支持台
3a,3b ホルダー
4,5 くさび
6 試験片
Claims (7)
- C :0.1〜0.6%(質量%の意味。以下、同じ。)、
Si:1.0%以下(0%を含まない)、
Mn:0.5〜2.0%、
P :0.015〜0.08%、
S :0.01〜0.20%、
V :0.4%以下(0%を含まない)、
Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
Al:0.05%以下(0%を含まない)、
Nb:0.015〜0.1%を含有し、
残部は鉄及び不可避的不純物であり、
ミクロ組織において、
全組織に対してフェライトおよびパーライトを合計で90面積%以上含み、
旧オーステナイト粒の粒度番号が7番以下であるとともに、旧オーステナイト粒がJIS G 0551で規定する混粒に該当しないことを特徴とする破断分割性に優れたコネクティングロッド用熱間鍛造部品。 - 更に、
Cu:1.0%以下(0%を含まない)、
Ni:1.0%以下(0%を含まない)、
Mo:1.0%以下(0%を含まない)
よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1に記載のコネクティングロッド用熱間鍛造部品。 - 更に、
Bi:0.1%以下(0%を含まない)、
Zr:0.2%以下(0%を含まない)、
Ca:0.005%以下(0%を含まない)、
Mg:0.005%以下(0%を含まない)、
Te:0.1%以下(0%を含まない)、
REM:0.3%以下(0%を含まない)
よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1または2に記載のコネクティングロッド用熱間鍛造部品。 - 破断分割前後において測定した寸法変化が0.14mm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のコネクティングロッド用熱間鍛造部品。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のコネクティングロッド用熱間鍛造部品から製造されたコネクティングロッド。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の成分組成を満たす鋼材を、
鍛造前加熱温度を1150℃以上、鍛造終了温度を950℃以上として熱間鍛造し、
800℃から500℃までを1.5℃/s以下の平均冷却速度で冷却することを特徴とするコネクティングロッド用熱間鍛造部品の製造方法。 - 前記鍛造前加熱温度での保持時間を200s以上とする請求項6に記載の製造方法。
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