JP5305704B2 - 新規化合物、光重合性組成物、カラーフィルタ用光重合性組成物、カラーフィルタ、及びその製造方法、固体撮像素子、並びに、平版印刷版原版 - Google Patents
新規化合物、光重合性組成物、カラーフィルタ用光重合性組成物、カラーフィルタ、及びその製造方法、固体撮像素子、並びに、平版印刷版原版 Download PDFInfo
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Description
また、光開始剤としては、例えば、光の照射により酸を発生し、発生した酸を触媒とする他の態様もある。具体的には、発生した酸を触媒とする色素前駆体の発色反応を利用して、画像形成、偽造防止、エネルギー線量検出のための材料に用いられたり、発生した酸を触媒とする分解反応を利用した半導体製造用、TFT製造用、カラーフィルタ製造用、マイクロマシン部品製造用等のポジ型レジストなどに用いられる。
また、光重合性組成物としても、経時安定性に優れると共に、365nm、405nmなどの短波長の光に対して優れた感度を有するものが望まれているのが現状である。
更に、例えば、特許文献7には、オキシム化合物を含有するカラーフィルタ用の着色感放射線性組成物が開示されているが、経時安定性、及び短波長の光に対する感度に関しては、未だ不十分であった。また、カラーフィルタ用の着色感放射線性組成物においては、パターン形成後の色相の再現性が新しい課題となっており、経時により着色性が変化する問題の改善が強く望まれていた。
本発明の第2の目的は、経時安定性に優れ、高感度で硬化し、良好なパターン形成性を有し、支持体との密着性に優れた着色パターンを形成し、現像後の後加熱時にも優れたパターン形状を有するカラーフィルタ用光重合性組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記カラーフィルタ用光重合性組成物を用いてなる、パターン形状が良好であり、支持体との密着性に優れた着色パターンを備えたカラーフィルタ、及び、該カラーフィルタを高い生産性で製造しうる製造方法、更には、該カラーフィルタを備えた固体撮像素子を提供することにある。
更には、上記光重合性組成物を用いた平版印刷版原版を提供することにある。
<1> (A)下記一般式(1−1)で表される化合物と、(B)重合性化合物とを含有する光重合性組成物である。
Y 1 は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、ハロゲン基、水素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボン酸基、スルホン酸基、又はスルフィン酸基を表す。
Zは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、又は水素原子を表す。
n 1 は、0〜4の整数を表す。
Y 1 とZは、互いに結合し、環を形成してもよい。
Aは、前記部分構造式(1)、(2)、または(42)を表す。ただし、部分構造式中、2つの*は、一方が、一般式(1−1)における部分構造『>C=N−O−R』中の炭素原子(C)に結合し、他方が、一般式(1−1)における部分構造『>N−Z』中の窒素原子(N)に結合する。
<4> 前記(A)化合物が、下記一般式(2−2)で表される<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光重合性組成物である。
Y3’は、水素原子または上記部分構造式(y3−1)〜(y3−3)のいずれか1つを表す。部分構造式(y3−1)〜(y3−3)において、*は、一般式(2−2)における部分構造『>N−ph』(phはベンゼン環を表す)のベンゼン環(ph)への結合部を表す。
Aは、上記部分構造式(1)、(2)、または(42)を表す。ただし、部分構造式中、2つの*は、一方が、一般式(2−2)における部分構造『>C=N−O−R』中の炭素原子(C)に結合し、他方が、前記部分構造『>N−ph』中の窒素原子(N)に結合する。
<7> 前記(C)着色剤が顔料であり、且つ、(D)顔料分散剤を更に含有する<6>に記載の光重合性組成物である。
<8> 前記(C)着色剤が黒色着色剤である<6>又は<7>に記載の光重合性組成物である。
<10> 支持体上に、<9>に記載のカラーフィルタ用光重合性組成物を用いてなる着色パターンを有するカラーフィルタである。
前記光重合性組成物層を、マスクを介して露光する工程と、
露光後の前記光重合性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程と、
を含むカラーフィルタの製造方法である。
本明細書では、下記一般式(1)で表される化合物(以下、適宜、「特定オキシム化合物」と称する)について説明する。
なお、下記一般式(1)中、R、Y1、及びZは、各々独立に、1価の置換基を表し、n1は、0〜4の整数を表す。Aは、2価の連結基を表す。
特定オキシム化合物のうち、本発明の新規化合物は、下記構造式(1−1)〜(1−8)のいずれか1つで表される化合物である。
前記一般式(1)におけるRで表される一価の非金属原子団として、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基、置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノチオカルボニル基等が挙げられる。
n1は、0〜2が好ましく、2がより好ましい。n1が2以上の整数の時は、各々Yは互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成してもよい。当該環には、脂肪族性又は芳香属性の炭化水素環、或いはヘテロ原子を有するヘテロ環が含まれる。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。
ヘテロ環としては、ヘテロ原子として硫黄原子又は酸素原子又は窒素原子を有するヘテロ環が挙げられ、硫黄原子を有するヘテロ環がより好ましい。
上記一般式(I)におけるZで表される一価の置換基の具体例および好ましい炭素数の範囲は、前記一般式(I)におけるY1で表される一価の置換基の例と同様である。
ヘテロ環としては、ヘテロ原子として硫黄原子又は酸素原子又は窒素原子を有するヘテロ環が挙げられ、硫黄原子を有するヘテロ環がより好ましい。
前記一般式(I)におけるAの具体例としては、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキニレン基等が挙げられる。
置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基、アルキレンオキシド基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基、ベンゾイル基、トリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、アリル基、ビニル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルハロアルキル基、トリアルキルシリル基、ホスホノ基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
前記一般式(1)において、R、Y1、n1、Z、及びAの好ましい組み合わせは、R、Y1、n1、Z、及びAの各々の好ましい範囲の組み合わせである。
前記一般式(2)におけるAは、前記一般式(1)におけるAと同義であり、好ましい例も同様である。
中でも、前記一般式(2)におけるY2は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルオキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、無置換であることが好ましい。
前記一般式(2)におけるY3は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、又はアシル基が好ましく、特に、下記一般式(3)を表し得る置換基であることが好ましい。
また、n2及びn3は、各々独立に、0または1が好ましく、n2は0、n3は1がより好ましい。
一般式(2)におけるAは、前記一般式(1)におけるAと同義であり、好ましい例も同様である。
中でも、前記一般式(3)におけるY4は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルオキシ基、又はハロゲン原子が好ましく、無置換であることがより好ましい。
前記一般式(3)におけるY5は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、アルキルチオキシ基、アリールオキシ基、又はアリールチオキシ基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
また、n4、及びn5は、各々独立に、0又は1が好ましく、n4は0、n5は1がより好ましい。
このように、特定オキシム化合物は、従来のオキシム系の化合物に比して、長波長領域に吸収を有する。したがって、365nmや405nmの光源で露光した際に、優れた感度を示すことになる。
ここで、特定オキシム化合物のモル吸光係数は、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用いて0.01g/Lの濃度で測定した値をいう。
即ち、例えば、印刷インク用、例えば、スクリーン印刷インク用、オフセットもしくはフレキソ印刷インク用、UV硬化インク用として、例えば、木材または金属に対する、白色もしくは有色仕上げ用として、粉末コーティング用として、特に、紙、木材、金属またはプラスチックに対するコーティング材料用として、建築物のマーキング用や道路マーキング用として、写真複製手法用として、ホログラフ記録の材料用として、画像記録手法用として、有機溶媒もしくは水性アルカリで現像できる印刷原版の製造用として、スクリーン印刷マスクの製造のための日光硬化性コーティング用として、歯科充填用組成物用として、接着剤用として、感圧接着剤用として、積層用樹脂用として、液体および乾燥薄膜双方のエッチングレジスト用として、はんだレジスト用として、電気めっきレジスト用または永久レジスト用として、プリント回路板や電子回路用の光構成性誘電体用として、様々な表示用として、光学スイッチ用として、光学格子(干渉格子)用として、光回路の製造として、大量硬化(透明成形用型でのUV硬化)またはステレオリトグラフィ手法による三次元的物品の製造用として(例えば、米国特許第4,575,330号明細書に記載のような)、複合材料(例えば、所望であれば、ガラス繊維および/またはその他の繊維ならびに他の助剤を含み得るスチレン系ポリエステル)その他の厚層組成物の製造用として、電子部品および集積回路のコーティングまたは密封のためのレジスト用として、あるいは光ファイバー用、または光学レンズ用、例えば、コンタクトレンズもしくはフレネルレンズ製造のためのコーティング用として、さらに、医用機器、補助具またはインプラントの製造や、例えば、ドイツ国特許第19,700,064号および欧州特許第678,534号公報に記載のようなサーモトロピック特性を有するゲルの製造用としての各種の用途が挙げられる。
光重合性組成物は、前述の(A)特定オキシム化合物、及び、(B)重合性化合物を含有する構成とすることができる。ただし、本発明の光重合性組成物は、(A)特定オキシム化合物として、前記一般式(1)におけるR、Y 1 、n 1 、Z、及びAが次の内容である化合物〔一般式(1−1)で表される化合物〕を用いる。すなわち、
Rが、置換基を有してもよいアシル基を表す。
Y 1 が、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、ハロゲン基、水素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボン酸基、スルホン酸基、又はスルフィン酸基を表す。
Zが、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、又は水素原子を表す。n 1 が、0〜4の整数を表す。Y 1 とZは、互いに結合し、環を形成してもよい。
Aが、下記部分構造式(1)、(2)、または(42)を表す。ただし、部分構造式中、2つの*は、一方が、一般式(1−1)における部分構造『>C=N−O−R』中の炭素原子(C)に結合し、他方が、一般式(1−1)における部分構造『>N−Z』中の窒素原子(N)に結合する。
また、本発明において、硬化膜の加熱経時による着色を評価するためには、色差ΔEab * を用いればよい。ここで、色差ΔEab * は、大塚電子(株)製MCPD−3000で測定することができる。
評価の際の条件としては、まず、本発明の光重合性組成物を超高圧水銀灯プロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)、若しくは、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)(365nm)で10mJ/cm 2 〜2,500mJ/cm 2 の範囲の種々の露光量で露光し、硬化膜を形成する。そして、所望により現像を行った後、硬化膜を200℃で1時間加熱する。
この硬化膜の加熱前後の色差ΔEab * を測定することで、硬化膜の加熱経時による着色状態を評価することができる。
本発明の光重合性組成物によれば、加熱前後の色差ΔEab * を5以下とすることができる。
本発明の光重合性組成物は、成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合材料、印刷インキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、カラーフィルタ用光重合性組成物、ブラックマトリクス用レジスト、プリント基板用レジスト、半導体製造用レジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト等、絶縁材、ホログラム材料、導波路用材料、オーバーコート剤、接着剤、粘着剤、粘接着剤、剥離コート剤等の種々の用途に利用することができる。
〔(1)−(A)特定オキシム化合物〕
光重合性組成物(1)が含有する(A)特定オキシム化合物は、組成物中、重合開始剤として機能しうる。
光重合性組成物(1)における特定オキシム化合物の含有量は、該組成物の全固形分に対し0.5〜40質量%が好ましく、1〜35質量%がより好ましく、1.5〜30質量%が更に好ましい。
特定オキシム化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
併用可能な光重合開始剤は、光により分解し、後述する重合性化合物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。具体的には、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ビイミダゾール系化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられる。
光重合性組成物(1)に用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
(ただし、一般式(A)中、R4及びR5は、それぞれ、H又はCH3を示す。)
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、光重合性組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、着色剤(顔料、染料)等、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
光重合性組成物(1)は(C)着色剤を含有することができる。着色剤を含有することにより、所望色の着色光重合性組成物を得ることができる。
なお、光重合性組成物(1)は、短波長の光源である365nmや405nmの光源に優れた感度を有する(A)特定オキシム化合物を含有するため、着色剤を高濃度に含有する場合にも高感度に硬化することができる。
前記(A)特定オキシム化合物を含有する本発明の光重合性組成物は、露光量が少なくても高感度に硬化することができるため、光を透過し難い黒色着色剤を含有する光重合性組成物に、特に好ましく用いることができる。
有彩色系の顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。また、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、なるべく細かいものの使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、上記顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。
C.I.ピグメント イエロー 11, 24, 31, 53, 83, 93, 99, 108, 109, 110, 138, 139, 147, 150, 151, 154, 155, 167, 180, 185, 199, ;
C.I.ピグメント オレンジ36, 38, 43, 71;
C.I.ピグメント レッド81, 105, 122, 149, 150, 155, 171, 175, 176, 177,209, 220, 224, 242, 254, 255, 264, 270;
C.I.ピグメント バイオレット 19, 23, 32, 39;
C.I.ピグメント ブルー 1, 2, 15, 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22, 60, 66;
C.I.ピグメント グリーン 7, 36, 37;
C.I.ピグメント ブラウン 25, 28;
C.I.ピグメント ブラック 1, 7;
カーボンブラック等を挙げることができる。
C.I.ピグメント オレンジ36, 71,
C.I.ピグメント レッド 122, 150, 171, 175, 177, 209, 224, 242, 254, 255, 264,
C.I.ピグメント バイオレット 19, 23, 32,
C.I.ピグメント ブルー 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22,
60, 66,
C.I.ピグメント ブラック 1
光重合性組成物(1)に含有される着色剤として使用できる染料は、特に制限はなく、
従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に開示されている色素が使用できる。
その他、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料、及び/又は、これらの誘導体等も有用に使用することができる。
以下に酸性染料の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。例えば、
acid alizarin violet N;acid black 1,2,24,48;acid blue 1,7,9,15,18,23,25,27,29,40〜45,62,70,74,80,83,86,87,90,92,103,112,113,120,129,138,147,158,171,182,192,243,324:1;acid chrome violet K;acid Fuchsin;acid green 1,3,5,9,16,25,27,50;acid orange 6,7,8,10,12,50,51,52,56,63,74,95;acid
red 1,4,8,14,17,18,26,27,29,31,34,35,37,42,44,50,51,52,57,66,73,80,87,88,91,92,94,97,103,111,114,129,133,134,138,143,145,150,151,158,176,183,198,211,215,216,217,249,252,257,260,266,274;acid violet 6B,7,9,17,19;acid yellow 1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36,42,54,72,73,76,79,98,99,111,112,114,116,184,243;Food Yellow 3;及びこれらの染料の誘導体が挙げられる。
また、上記以外の、アゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系の酸性染料も好ましく、C.I.Solvent Blue 44、38;C.I.Solvent orange 45;Rhodamine B、Rhodamine 110等の酸性染料及びこれらの染料の誘導体も好ましく用いられる。
また、本発明において使用しうる顔料の二次粒子の粒子径分布(以下、単に「粒子径分布」という。)は、(平均粒子径±100)nmに入る二次粒子が全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上であることが望ましい。
着色剤の含有量を上記範囲とすることで、光重合性組成物(1)によりカラーフィルタを作製した際に、適度な色度が得られる。また、光硬化が充分に進み、膜としての強度を維持することができるため、アルカリ現像の際の現像ラチチュードが狭くなることを防止することができる。
すなわち、本発明で用いられる(A)特定オキシム化合物は、光吸収効率が高いことから、光重合性組成物中に着色剤を高濃度に含有する場合であっても、顕著に感度向上効果が発揮される。
光重合性組成物(1)が(C)着色剤として顔料を含有する場合、該顔料の分散性を向上させる観点から、(D)顔料分散剤を添加することが好ましい。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料に対して、5〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲がより好ましい。
また、顔料誘導体を使用する場合であれば、その使用量としては、顔料に対し1〜30質量%の範囲にあることが好ましく、3〜20質量%の範囲にあることがより好ましく、5〜15質量%の範囲にあることが特に好ましい。
以下、光重合性組成物(1)が含有しうる任意成分について説明する。
光重合性組成物(1)は、ラジカル開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、前記した(A)特定オキシム化合物に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
即ち、例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
される少なくとも一種が挙げられる。
これらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
なお、本明細書においては、化学式は簡略構造式により記載することもあり、特に元素や置換基の明示がない実線等は、炭化水素基を表す。
光重合性組成物(1)は、更に(F)共増感剤を含有することも好ましい。
本発明において共増感剤は、(A)特定オキシム化合物や(E)増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは、酸素による(B)重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
光重合性組成物(1)に含有しうるチオール化合物としては、下記一般式(IV)で表される化合物が好ましい。
前記アルキル基としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を挙げることができ、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。
この原子団を構成する原子としては、炭素原子、窒素原子、水素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。
なお、AとN=C−Nとで形成されるヘテロ環は、更に置換基を有していてもよく、導入しうる置換基としては、上記アルキル基やアリール基に導入可能な置換基と同様のものが挙げられる。
また、前記一般式(VI)及び(VII)におけるアリール基は、前記一般式(V)のRで表されるアリール基と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
前記一般式(VI)中、R1は、フェニル基であることが、感度とPGMEA溶解性の観点で最も好ましい。
前記一般式(VII)中、R2は、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基であることが、感度とPGMEA溶解性の観点でより好ましい。
なお、本明細書においては、化学式は簡略構造式により記載することもあり、特に元素や置換基の明示がない実線等は、炭化水素基を表す。また、下記具体例において、Meはメチル基を表す。
本明細書において、チオール化合物の溶解度は、以下のように定義する
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶媒5mLに特定チオール化合物を加え、25℃で1時間攪拌したときに特定チオール化合物が溶けなくなる直前の量を溶解度とした。
チオール化合物を併用する場合、前記した一般式のいずれかで表される化合物のみを2種以上併用してもよいし、異なる一般式で表される化合物を併用してもよい(例えば、前記一般式(VI)で表される化合物から選択される化合物と、前記一般式(VII)で表される化合物から選択される化合物とを併用する態様がある。)。
光重合性組成物(1)においては、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更にバインダーポリマーを使用することができる。バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭54−92723号公報、特開昭59−53836号公報、特開昭59−71048号公報に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特願2001−115595号明細書、特願2001−115598号明細書等に記載されている化合物を挙げることができる。
また、欧州特許993966号明細書、欧州特許1204000号明細書、特開2001−318463号公報等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
光重合性組成物(1)において用いうるバインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
光重合性組成物(1)においては、光重合性組成物の製造中或いは保存中において、(B)重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
光重合性組成物(1)においては、支持体などの硬質表面との密着性を向上させるために、密着向上剤を添加することができる。密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
中でも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
光重合性組成物(1)は、希釈剤として、種々の有機溶剤を用いてもよい。
ここで使用する有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。有機溶剤に対する固形分の濃度は、2質量%〜60質量%であることが好ましい。
更に、光重合性組成物(1)に対しては、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、重合性化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
このような光重合性組成物(1)は、(A)特定オキシム化合物、(B)重合性化合物、及び(C)着色剤を含有させてカラーフィルタ用光重合性組成物(本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物)として用いることが好ましい。
〔(2)−(A)特定オキシム化合物〕
光重合性組成物(2)が含有する特定オキシム化合物は、組成物中、重合開始剤として機能しうる。
光重合性組成物(2)における特定オキシム化合物の含有量は、該組成物の全固形分に対し0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜35質量%がより好ましく、1.5質量%〜30質量%が更に好ましい。
特定オキシム化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
他の重合開始剤としては、例えば、(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。より具体的には、例えば、特開2006−78749号公報の段落番号[0081]〜[0139]、等に記載される重合開始剤が挙げられる。
光重合性組成物(2)が含有する(B)重合性化合物としては、光重合性組成物(1)にて既述した付加重合性化合物が挙げられる。
また、これらの付加重合性化合物は、単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
光重合性組成物(2)は、バインダーポリマーを含有することが好ましい。バインダーポリマーは、膜性向上の観点から含有されるものであって、膜性を向上させる機能を有していれば、種々のものを使用することがすることができる。
光重合性組成物(2)は、(A)特定オキシム化合物等の重合開始剤とともに増感剤を含有することが好ましい。本発明において用いうる増感剤としては、分光増感色素、光源の光を吸収して重合開始剤と相互作用する染料又は顔料などが挙げられる。
光重合性組成物(2)には、感度を一層向上させる、或いは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えてもよい。
光重合性組成物(2)は、該組成物の製造中或いは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
更に、感光層の着色を目的として、染料若しくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料及び顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
更に、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
次に、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物〔前記光重合性組成物(1)〕を用いてなる着色パターンを有することを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法における各工程について説明する。
着色光重合性組成物層形成工程では、支持体上に、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を塗布して着色光重合性組成物層を形成する。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する際には、カラーフィルタ用光重合性組成物の塗布膜厚としては、解像度と現像性の観点から、0.35μm〜1.5μmが好ましく、0〜40μm〜1.0μmがより好ましい。
露光工程では、前記着色光重合性組成物層形成工程において形成された着色光重合性組成物層をマスクを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、高圧水銀灯がより好まれる。照射強度は5mJ/cm2〜1500mJ/cm2が好ましく10mJ/cm2〜1000mJ/cm2がより好ましく、10mJ/cm2〜800mJ/cm2が最も好ましい。
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20秒〜90秒である。
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備えたことを特徴とする。
本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を用いているため、形成された着色パターンが支持体基板との高い密着性を示し、硬化した組成物は耐現像性に優れるため、露光感度に優れ、露光部の基板との密着性が良好であり、かつ、所望の断面形状を与える高解像度のパターンを形成することができる。従って、液晶表示素子やCCD等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等に好適である。つまり、本発明のカラーフィルタは、固体撮像素子に適用されることが好ましい。
本発明のカラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
続いて、本発明の平版印刷版原版について説明する。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に本発明の光重合性組成物を含む感光層を有することを特徴とする。
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて、保護層、中間層等の他の層を有してもよい。本発明の平版印刷版原版は、感光層に本発明の光重合性組成物を含むことにより、感度が高く、経時安定性及び耐刷性に優れる。以下、本発明の平版印刷版原版を構成する各要素について説明する。
感光層は、本発明の光重合性組成物を含む層である。具体的には、本発明の光重合性組成物の好適な態様の一つである前記光重合性組成物(2)を、感光層形成用の組成物(以下、適宜、「感光層用組成物」と称する。)として用い、該組成物を含む塗布液を支持体上に塗布、乾燥して感光層を形成することができる。
本発明の平版印刷版原版における支持体としては、表面が親水性の支持体が好ましい。親水性の支持体としては、平版印刷版に使用される従来公知の親水性支持体を制限なく使用することができる。
支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のような金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上、等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施してもよい。
本発明の平版印刷版原版においては、感光層上に、更に、保護層を有することが好ましい。保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や、塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、このような保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、更に、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることが望ましい。
その他、感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための層を設けることを可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物、等、基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗り層により、密着性が向上し、耐刷性を高めることが可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗り層により、非画像部の現像性が向上し、耐汚れ性の向上が可能となる。
平版印刷版原版は、通常、画像露光したのち、現像液で感光層の未露光部を除去し、画像を得る。
・フラットベッド方式で半導体レーザーを多数(10個以上)使用したマルチビームの露光装置
・外面ドラム方式で半導体レーザーを多数(10個以上)使用したマルチビームの露光装置
レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に、下記式(eq2)が成立する。
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に、下記式(eq3)が成立する。
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に、下記式(eq4)が成立する。
前記logPとは、C.Hansch,A.Leo,“Substituent Constants for CorrelationAnalysis in Chemistry and Biology”,J.Wile&Sons,1979. 記載の疎水性パラメータとして一般的に使用されるものであり、目的とする分子(A−H及びW−H)のオクタノール/水2層系に対して、各層に分配される割合から算出した平衡濃度比Pの対数として定義される。ここでは、一般式(α)中のA,Wの各基を特定する指標として使用しており、A,W各有機基に便宜的に水素原子結合させた、A−H、W−H構造に対して、A.K.Ghose、et.al.J. Comput.Chem. 9,80(1988).記載の方法に基づき、既知データより計算し、求めたものである。
なお、この現像液成分については特開2002−202616号公報の段落(0024)〜(0067)に詳述されている。
下記化合物A(18.0g、76.2mmol)を100mlのテトラヒドロフランに溶解し、トリエチルアミン(9.25g、91.4mmol)を加えた。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライド(7.18g、91.4mmol)を20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間攪拌する。反応液を0℃に冷却した蒸留水150mlに滴下し、酢酸エチルで有機層を抽出後、硫酸マグネシウムを加え乾燥し、溶媒を減圧留去した。析出した結晶をメタノールで洗浄し、下記構造の特定化合物1(収量19.5g、収率92%)を得た。
(1H−NMR 400MHz 重アセトン):8.22(d,1H,J=7.8Hz),8.20(d,1H,J=7.8Hz),7.95(d,1H,J=7.6Hz),7.60(d,1H,J=8.0Hz),7.54−7.50(m.1H),7.27(t,2H,7.3Hz),4.45(t,2H,6.8Hz),3.50(t,2H,6.8Hz),2.29(s,3H).
下記特定化合物B(20.0g、56.4mmol)を100mlのテトラヒドロフランに溶解し、トリエチルアミン(6.85g、67.7mmol)を加えた。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライド(5.32g、67.7mmol)を20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間攪拌する。反応液を0℃に冷却した蒸留水150mlに滴下し、酢酸エチルで有機層を抽出後、硫酸マグネシウムを加え乾燥し、溶媒を減圧留去した。析出した結晶をメタノールで洗浄し、下記構造の特定化合物2(収量19.0g、収率85%)を得た。
(1H−NMR 400MHz 重アセトン):8.62(s,1H),8.29(d,1H,J=7.8Hz),8.02−7.98(m,2H),7.71(d,1H,J=8.7Hz),7.49−7.32(m,1H),7.40−7.32(m,4H),4.57(t,2H,J=6.8Hz),3.53(t,2H,J=6.8Hz),2.30(s,3H),2.29(s,3H).
また、前記化合物一覧中に示される比較化合物1(IRGACURE OXE 01)および比較化合物2(IRGACURE OXE 02)の構造は以下の通りである。
<光重合性組成物1の調製及び評価>
光重合性組成物1を以下のように調製し、その感度を評価した。
特定オキシム化合物として前記特定化合物1を0.08mmol、ラジカル重合性化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレートを1g、バインダー樹脂としてポリメチルメタクリレート(Aldrich社製、分子量c.a.996000)1g、及び、溶剤としてシクロヘキサノン16gを含有する均一な組成物を調製した。得られた組成物を塗液として用い、これをガラス板上にスピンコーターにて塗工して、40℃で10分間乾燥し、1.5μmの膜厚の塗工膜を形成した。この塗工膜上に21√2ステップタブレット(大日本スクリーン製造(株)製のグレイスケールフィルム)を置き、ウシオ電機(株)製の500mWの高圧水銀ランプの光を、熱線カットフィルターを介して30秒間露光した後、トルエン中に60秒間含浸させて現像処理を行った。ステップタブレットに対応した完全に硬化して不溶化した段数を感度として評価したところ、感度は8段であった。
なお、感度段数は数字が大きいほど感度が高いことを示す。
実施例1−1において、特定オキシム化合物として用いた特定化合物1:0.08mmolを、前記一覧に示した各化合物(特定化合物2〜特定化合物9及び比較化合物1〜比較化合物3):各0.08mmolにそれぞれ置き替えた他は、実施例1−1と全く同一の操作で光重合性組成物2〜光重合性組成物12をそれぞれ調製し、実施例1−1と同様にして感度段数を評価した。
実施例1−1〜1−9、及び比較例1−1〜比較例1−3の評価結果を下記表1に示す。
〔1.着色光重合性組成物A−1の調製〕
カラーフィルタ形成用光重合性組成物として、着色剤(顔料)を含有するネガ型の着色光重合性組成物A−1を調製し、これを用いてカラーフィルタを作製した。
顔料としてC.I.ピグメント グリーン36と、C.I.ピグメント イエロー219との30/70(質量比)混合物40質量部、分散剤としてBYK2001〔Disperbyk :ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%〕10質量部(固形分換算約4.51質量部)、及び、溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル150質量部からなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、顔料分散液(P1)を調製した。
下記組成A−1の成分を混合して溶解し、着色光重合性組成物A−1を調製した。
・顔料分散液(P1) 600質量部
・アルカリ可溶性樹脂 200質量部
(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、mol比:80/10/10、Mw:10,000)
・多官能性単量体:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 60質量部
・特定オキシム化合物:特定化合物1 60質量部
・溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 1,000質量部
・界面活性剤(商品名:テトラニック150R1、BASF社) 1質量部
・γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 5質量部
2−1.光重合性組成物層の形成
上記により得られた顔料を含有する着色光重合性組成物A−1をレジスト溶液として、550mm×650mmのガラス基板に下記条件でスリット塗布した後、10分間そのままの状態に保持し、真空乾燥とプレベーク(prebake)(100℃80秒)を施して光重合性組成物塗膜(光重合性組成物層)を形成した。
塗布ヘッド先端の開口部の間隙:50μm
塗布速度:100mm/秒
基板と塗布ヘッドとのクリヤランス:150μm
塗布厚(乾燥厚):2μm
塗布温度:23℃
その後、2.5kWの超高圧水銀灯を用いて、光重合性組成物層をパターン状に露光した。露光後の光重合性組成物層の全面を、有機系現像液(商品名:CD、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の10%水溶液で被い、60秒間静止した。
その後、光重合性組成物層上に純水をシャワー状に噴射して現像液を洗い流し、次いで、220℃のオーブンにて1時間加熱した(ポストベーク)。これにより、ガラス基板上に着色パターンを有するカラーフィルタを得た。
着色光重合性組成物の保存安定性及び露光感度、着色光重合性組成物を用いてガラス基板上に着色パターンを形成した際の現像性、得られた着色パターンの加熱経時での着色、基板密着性、及びパターン断面形状について、下記のようにして評価した。評価結果をまとめて表2に示す。
着色光重合性組成物を室温で1ヶ月保存した後、異物の析出度合いを下記判定基準に従って目視により評価した。
−判定基準−
○:析出は認められなかった。
△:僅かに析出が認められた。
×:析出が認められた。
着色光重合性組成物を、ガラス基板上にスピンコート塗布後、乾燥して膜厚1.0μmの塗膜を形成した。スピンコート条件は、300rpmで5秒の後、800rpmで20秒とし、乾燥条件は100℃で80秒とした。次に、得られた塗膜を、線幅2.0μmのテスト用のフォトマスクを用い、超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)により、10mJ/cm2〜1600mJ/cm2の種々の露光量で露光した。次に、60%CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)現像液を使用して、露光後の塗膜を、25℃、60秒間の条件で現像した。その後、流水で20秒間リンスした後、スプレー乾燥しパターニングを完了した。
露光感度の評価は、露光工程において光が照射された領域の現像後の膜厚が、露光前の膜厚100%に対して95%以上であった最小の露光量を露光感度として評価した。露光感度の値が小さいほど感度が高いことを示す。
「2−3.加熱処理」においてポストベークを行った後の基板表面及び断面形状を、光学顕微鏡及びSEM写真観察により通常の方法で確認することにより、現像性、基板密着性、強制加熱経時での着色変化、及びパターン断面形状の評価を行った。評価方法の詳細は以下の通りである。
露光工程において、光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無を観察し、現像性を評価した。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった
△:未露光部に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
×:未露光部に、残渣が著しく確認された
露光、及び現像後の光重合性組成物層(着色パターン)を、ホットプレートで200℃、1時間加熱し、下記基準に基づいて加熱前後の色差ΔEab*を、大塚電子(株)製MCPD−3000で評価した。
−評価基準−
○:ΔEab*≦5
△:5<ΔEab*<8
×:ΔEab*≧8
基板密着性は、パターン欠損が発生しているか否かを観察し、下記基準に基づいて評価した。
−評価基準−
○:パターン欠損がまったく観察されなかった
△:パターン欠損がほとんど観察されなかったが、一部分欠損が観察された
×:パターン欠損が著しく多く観察された
形成されたパターンの断面形状を観察して評価した。パターンの断面形状は、矩形が最も好ましく、順テーパーが次に好ましい。逆テーパーは好ましくない。
<後加熱パターン断面形状>
「2−3.加熱処理」においてポストベークを行った後形成されたパターンの断面形状を観察して評価した。パターンの断面形状は矩形が最も好ましく、順テーパーが次に好ましい。逆テーパーは好ましくない。
実施例2−1での着色光重合性組成物A−1の調製に用いた組成A−1において、特定化合物1(特定オキシム化合物)60質量部を下記表2に示される各化合物及び量に代え、実施例2−10〜2−17については、更に、増感剤、共増感剤を下記表2に示される種類及び量で加えた以外は、すべて実施例2−1と同様にして、着色光重合性組成物A−2〜A−17及びA’−1〜A’−3を調製し、カラーフィルタを得た。更に、実施例2−1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
前記表2中に示される、増感剤の種類A1〜A3、共増感剤の種類F1〜F3、及びLD−5は、以下に示す化合物である。
〔1.レジスト液の調製〕
下記組成の成分を混合して溶解し、レジスト液を調製した。
−レジスト液の組成−
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
19.20質量部
・乳酸エチル 36.67質量部
・樹脂 30.51質量部
〔メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60/22/18)の40%PGMEA溶液〕
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合性化合物)
12.20質量部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.0061質量部
・フッ素系界面活性剤 0.83質量部
(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・光重合開始剤 0.586質量部
〔TAZ−107(トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤)、みどり化学(株)製〕
6inchシリコンウエハーをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハー上に前記レジスト液を乾燥膜厚が2μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハー基板を得た。
下記組成B−1の成分を混合して溶解し、着色剤(染料)を含有する着色光重合性組成物B−1を調製した。
・シクロヘキサノン 80質量部
・着色剤 C.I.Acid Blue 108 7.5質量部
・着色剤 C.I.ソルベントイエロー162 2.5質量部
・ラジカル重合性モノマー(重合性化合物) 7.0質量部
〔ペンタエリスリトールトリアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの3:7の混合物〕
・特定化合物1(特定オキシム化合物) 2.5質量部
・グリセロールプロポキシレート 0.5質量部
〔数平均分子量Mn:1,500、モル吸光係数ε=0〕
着色光重合性組成物B−1を室温で1ヶ月保存した後、異物の析出度合いを下記判定基準に従って目視により評価した。結果を下記表3に示す。
−判定基準−
○:析出は認められなかった。
△:僅かに析出が認められた。
×:析出が認められた。
前記3.で調製した着色光重合性組成物B−1を、前記2.で得られた下塗り層付シリコンウエハー基板の下塗り層上に塗布し、光硬化性の塗布膜を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が0.9μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長でパターンが2μm四方のIslandパターンマスクを通して10〜1600mJ/cm2の露光量で照射した。
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハー基板をスピン・シャワー現像機〔DW−30型、(株)ケミトロニクス製〕の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハー基板上に着色パターンを形成した。
以上のようにして、基板上に着色パターンが形成されたカラーフィルタを得た。
露光工程において光が照射された領域の現像後の膜厚が、露光前の膜厚100%に対して95%以上であった最小の露光量を露光感度として評価した。露光感度の値が小さいほど感度が高いことを示す。
またその際の、測長SEM「S−9260A」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて、着色パターンのサイズを測定した。パターンサイズが2μmに近いほど、硬化性が充分で感度が良好であることを示す。
結果を下記表3に示す。
現像性、加熱経時での着色、基板密着性、パターン断面形状、後加熱パターン断面形状の評価は、実施例2−1に対して行った評価方法及び評価基準に基づいて評価を行った。結果を下記表3に示す。
実施例3−1において、着色光重合性組成物B−1の調製に用いた組成B−1中の特定化合物1(特定オキシム化合物)2.5質量部を下記表3に示される各化合物及び量に代え、更に実施例3−10〜実施例3−17については、下記表3に示される増感剤、共増感剤を下記表3に示される種類及び量で加えた以外は、すべて実施例3−1と同様にして、着色光重合性組成物B−2〜B−17及びB’−1〜B’−3を調製し、カラーフィルタを得た。更に、実施例3−1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
なお、前記表3に示される、増感剤A1〜A3、共増感剤F1〜F3、及びLD−5は前記した化合物である。
下記組成C−1の成分を混合して溶解し、着色剤(顔料)を含有する着色光重合性組成物C−1を調製した。
・3−エトキシプロピオン酸エチル〔溶剤〕 17.9質量部
・着色剤 C.I.PigmentRed 254の分散液 26.7質量部
(固形分:15質量%、固形分中の顔料含有率:60%)
・着色剤 C.I.PigmentYellow 139の分散液 17.8質量部
(固形分:15質量%、固形分中の顔料含有率:60%)
・ラジカル重合性モノマー(重合性化合物) 3.5質量部
〔ペンタエリスリトールトリアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの3:7の混合物〕
・特定化合物1(特定オキシム化合物) 0.5質量部
・ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体 2.0質量部
(モル比=70/30)
実施例3−18において、着色光重合性組成物C−1の調製に用いた組成C−1中の特定化合物1(特定オキシム化合物)0.5質量部を、下記表4に示される各化合物及び量に代え、更に、実施例3−27〜実施例3−34については、下記表4に示される増感剤及び共増感剤を下記表4に示される種類及び量で加えた以外は、すべて実施例3−18と同様にして、着色光重合性組成物C−2〜C−17及びC’−1〜C’−3を調製した。
なお、前記表4に示される、増感剤A1〜A3、共増感剤F1〜F3、及びLD−5は前記した化合物である。
下記組成D−1の成分を混合して溶解し、着色剤(顔料)を含有する着色光重合性組成物D−1を調製した。
・3−エトキシプロピオン酸エチル〔溶剤〕 17.9質量部
・着色剤 C.I.PigmentRed 254の分散液
33.34質量部
(固形分:15質量%、固形分中の顔料含有率:60%)
・着色剤 C.I.PigmentYellow 139の分散液
22.23質量部
(固形分:15質量%、固形分中の顔料含有率:60%)
・ラジカル重合性モノマー(重合性化合物) 2.5質量部
〔ペンタエリスリトールトリアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの3:7の混合物〕
・特定化合物1(特定オキシム化合物) 0.5質量部
・ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体 2.0質量部
(モル比=70/30)
実施例3−35において、着色光重合性組成物D−1の調製に用いた組成D−1中の特定化合物1(特定オキシム化合物)0.5質量部を、下記表5に示される各化合物0.5質量部に代えた以外は、すべて実施例3−35と同様にして、着色光重合性組成物D−2〜D−17及びD’−1〜D’−3を調製した。
なお、前記表5に示される、増感剤A1〜A3、共増感剤F1〜F3、及びLD−5は前記した化合物である。
また、表5に明らかなように、顔料の含有量が多い場合であっても、優れた露光感度を有することが分かる。
〔黒色光重合性組成物の調製〕
<カーボンブラック分散液Aの調製>
下記組成1の成分を二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。この際の分散物の粘度は70,000mPa・sであった。
その後、この分散物に下記組成2の成分を添加し、3,000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、0.3mmジルコニアビーズを用いた分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して、カーボンブラック分散液A(以下、CB分散液Aと表記する。)を調製した。この際の、混合溶液の粘度は37mPa・sであった。
・平均一次粒径15nmカーボンブラック(PigmentBlack7) 23部
・ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45%溶液 22部
(BzMA/MAA=70/30 Mw:30,000)
・ソルスパース5000(ゼネカ社製) 1.2部
・ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45%溶液 22部
(BzMA/MAA=70/30 Mw:30,000)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200部
下記組成3の成分を二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。この際の分散物の粘度は40,000mPa・sであった。
なお、高粘度分散処理の前にニーダーで30分混練することを行ってもよい。
・平均一次粒径75nmチタンブラック13M−C 39部
(三菱マテリアルズ(株)製)(ピグメント ブラック35)
・ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 8部
(BzMA/MAA=70/30、Mw:30,000、固形分40質量%)
・ソルスパース5000(ゼネカ社製) 1部
この際の、混合溶液の粘度は7.0mPa・sであった。
・ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液 8部
(BzMA/MAA=70/30Mw:30,000、固形分40質量%)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200部
下記組成E−aの成分を攪拌機で混合して黒色光重合性組成物E−1〜E−18、及びE’−1〜E’−6を調製した。
・メタクリレート/アクリル酸共重合体(アルカリ可溶樹脂) 1.6質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 2.3質量部
・エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート 0.8質量部
・前記CB分散液A、又は前記TB分散液A 24質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10質量部
・エチル−3−エトキシプロピオネート 8質量部
・下記表6に記載の化合物:特定オキシム化合物、比較化合物又はLD−5
下記表6に記載の量
・共増感剤:前記F3 添加なし、又は0.1質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 2.3質量部
・前記CB分散液A、又は前記TB分散液A 24質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10質量部
・エチル−3−エトキシプロピオネート 8質量部
・下記表7に記載の化合物:特定オキシム化合物、比較化合物又はLD−5
下記表7に記載の量
・共増感剤:前記F3 添加なし、又は0.1質量部
上記のようにして得られた黒色光重合性組成物E−1〜E−38、及びE’−1〜E’−12を用いて、以下のような評価を行った。その結果を表6及び表7にまとめて示す。
まず、上記のようにして得られた黒色光重合性組成物E−1〜E−38、及びE’−1〜E’−12の露光感度を、下記の方法で求めて、評価した。
次いで、i線ステッパー、FPA−3000iS+(キャノン(株)製)を使用して、10nmのL&S(ラインアンドスペース)のパターンが描かれてあるマスクを介して、100〜5,100mJ/cm2の範囲の露光量を、100mJ/cm2の刻みで変化させて照射した。
照射後に、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)0.3%水溶液を用いて、23℃にて60秒間パドル現像を行い、その後、純水を用いて20秒スピンシャワーにて、リンスを行い、更に純水にて水洗を行った。その後、付着した水滴を高度のエアーで除去し、基板を自然乾燥させ、黒色画像パターンを得た。
得られた各着色画像パターンについて、光学顕微鏡を用いて下記の基準で評価した。
露光感度の値が小さいほど感度が高いことを示す。
また、上記のようにして得られた黒色光重合性組成物E−1〜E−38、及びE’−1〜E’−12の経時安定性(保存安定性)について、下記の方法で評価した。
即ち、黒色光重合性組成物E−1〜E−38、及びE’−1〜E’−12を室温で1ヶ月保存した後、異物の析出度合いを下記判定基準に従って目視により評価した。
−判定基準−
○:析出は認められなかった。
△:僅かに析出が認められた。
×:析出が認められた。
更に、上記のようにして得られた黒色光重合性組成物E−1〜E−38、及びE’−1〜E’−12の現像性について、下記の方法で評価した。
即ち、上記感度評価の際の露光工程において、光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無を観察し、現像性を評価した。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった
△:未露光部に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
×:未露光部に、残渣が著しく確認された
<フルカラーのカラーフィルタの作製>
前記実施例4−1で作製した黒色画像パターンをブラックマトリックスとし、該ブラックマトリックス上に、前記着色光重合性組成物A−1を用いて、実施例2−1に記載の方法と同じ要領で1.6×1.6μmの緑色(G)の着色パターンを形成した。さらに、前記着色光重合性組成物A−1について、顔料(C.I.ピグメント グリーン36と、C.I.ピグメント イエロー219との30/70〔質量比〕混合物)のみを、青色顔料(C.I.ピグメント ブルー15:6とC.I.ピグメント バイオレット23との30/70〔質量比〕混合物)と赤色顔料(C.I.ピグメント レッド254)とにそれぞれ変更した他は同様にして青色(B)、赤色(R)の着色光重合性組成物を調製した。
上記基板にまず、緑色(G)光重合性組成物A−1で実施したのと同様にして1.6×1.6μmの青色(B)、赤色(R)パターンを順次形成して固体撮像素子用のカラーフィルターを作製した。
<固体撮像素子の作製>
実施例5にて得られたフルカラーのカラーフィルタを固体撮像素子に組み込んだところ、該固体撮像素子は、高解像度で、色分離性に優れることが確認された。
<支持体の作製>
厚さ0.30mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で、水洗後、20%HNO3で中和洗浄、水洗した。このアルミニウム板を、VA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ0〜45μm(Ra表示)であった。ひき続いて、アルミニウム板を30%のH2SO4水溶液中に浸漬し、55℃で2分間デスマットした後、33℃、20%H2SO4水溶液中で、砂目立てした面に陰極を配置して、電流密度5A/dm2において50秒間陽極酸化したところ、厚さが2.7g/m2であった。
以上のようにして、平版印刷版原版用の支持体A−1を得た。
得られた支持体上に、下記組成の感光層用塗布液を、乾燥塗布量が1.4g/m2となるように塗布し、95℃で乾燥し、感光層を形成した。
・付加重合性化合物(表8に記載のM、N、又はO) 0.80質量部
・バインダーポリマー(表8に記載のB1、B2、又はB3) 0.90質量部
・増感剤(表8に記載のA1、A2、又はA3) 添加なし又は0.10質量部
・下記表8に記載の化合物:特定オキシム化合物、比較化合物又はLD−5
0.05質量部
・共増感剤(表8に記載の前記F2又は前記F3) 添加なし又は0.25質量部
・フッ素系界面活性剤 0.02質量部
(メガファックF−177:大日本インキ化学工業(株)製)
・熱重合禁止剤 0.03質量部
(N−ニトロソヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
・ε型の銅フタロシアニン分散物 0.2質量部
・メチルエチルケトン 16.0質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 16.0質量部
得られた感光層上に、ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥して保護層を形成した。
平版印刷版原版に対して、以下の露光・現像処理を行った。
平版印刷版原版を、波長405nmのバイオレットLD(FFEI社製バイオレットボクサー)で50μJ/cm2の露光量で、4,000dpiにて175線/インチの条件でベタ画像と1〜99%の網点画像(1%刻み)を走査露光した。
下記現像液1及びフィニッシングガム液「FP−2W」(富士フイルム(株)製)を仕込んだ自動現像機(富士フイルム製LP−850P2)で標準処理を行った。プレヒートの条件は版面到達温度が100℃、現像液温は30℃、現像液への浸漬時間は約15秒であった。
・水酸化カリウム 0.15g
・ポリオキシエチレンフェニルエーテル(n=13) 5.0g
・キレスト400(キレート剤) 0.1g
・水 94.75g
平版印刷版原版の感度、保存安定性について、下記の方法で評価した。結果を表8にまとめて併記する。
平版印刷版原版を、上記の条件で露光し、その直後に上記の条件にて現像して画像形成を行い、その際の50%網点の面積%を網点面積測定器(グレタグーマクベス)で測定した。数字が大きいほど感度が高いことを示す。
印刷機として、ローランド社製「R201」を使用し、インキとして大日本インキ化学工業(株)製の「GEOS−G(N)」を使用して、平版印刷版原版を用い印刷を行った。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって耐刷性を調べた。数字が多いほど耐刷性がよいことを示す。
平版印刷版原版の各々を、合紙とともにアルミクラフト紙で密閉し、60℃で4日放置したものを用いた以外は、感度評価時とすべて同じ方法で網点面積測定を行った。次に、60℃、4日放置有りの網点面積と60℃、4日放置無しの網点面積との差を取り、強制経時による網点変動(Δ%)を測定した。この数字の絶対値が小さいほど強制経時による影響が少ないこと、すなわち経時安定性が高いことを示す。
一方、比較例7−1〜7−4の平版印刷版原版では、高感度で、経時安定性、及び耐刷性のいずれもが実施例の平版印刷版原版よりも劣っていた。
Claims (15)
- (A)下記一般式(1−1)で表される化合物と、(B)重合性化合物とを含有する光重合性組成物。
〔前記一般式(1−1)中、Rは、置換基を有してもよいアシル基を表す。
Y1は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、ハロゲン基、水素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボン酸基、スルホン酸基、又はスルフィン酸基を表す。
Zは、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、又は水素原子を表す。n1は、0〜4の整数を表す。Y1とZは、互いに結合し、環を形成してもよい。
Aは、下記部分構造式(1)、(2)、または(42)を表す。ただし、部分構造式中、2つの*は、一方が、一般式(1−1)における部分構造『>C=N−O−R』中の炭素原子(C)に結合し、他方が、一般式(1−1)における部分構造『>N−Z』中の窒素原子(N)に結合する。〕
- 前記(A)化合物が、下記一般式(2−1)で表される請求項1に記載の光重合性組成物。
〔前記一般式(2−1)中、Rは、置換基を有してもよいアシル基を表す。Y2は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、Y3は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、又はアシル基を表す。n2、及びn3は、各々独立に、0〜4の整数を表す。Aは、下記部分構造式(1)、(2)、または(42)を表す。ただし、部分構造式中、2つの*は、一般式(2−1)における部分構造『>C=N−O−R』中の炭素原子(C)に結合し、他方が、部分構造『>N−ph』(phはベンゼン環を表す)中の窒素原子(N)に結合する。〕
- 前記(A)化合物は、前記一般式(2−1)において、n2が0である請求項2に記載の光重合性組成物。
- 前記(A)化合物が、下記一般式(2−2)で表される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光重合性組成物。
〔前記一般式(2−2)中、R’は、置換基を有してもよいアシル基を表す。Y3’は、水素原子または下記部分構造式(y3−1)〜(y3−3)のいずれか1つを表す。部分構造式(y3−1)〜(y3−3)において、*は、一般式(2−2)における部分構造『>N−ph』(phはベンゼン環を表す)のベンゼン環(ph)への結合部を表す。
Aは、下記部分構造式(1)、(2)、または(42)を表す。ただし、部分構造式中、2つの*は、一方が、一般式(2−2)における部分構造『>C=N−O−R』中の炭素原子(C)に結合し、他方が、前記部分構造『>N−ph』中の窒素原子(N)に結合する。〕
- バインダーポリマーをさらに含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光重合性組成物。
- (C)着色剤を更に含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光重合性組成物。
- 前記(C)着色剤が顔料であり、且つ、(D)顔料分散剤を更に含有する請求項6に記載の光重合性組成物。
- 前記(C)着色剤が黒色着色剤である請求項7に記載の光重合性組成物。
- 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の光重合性組成物を含有するカラーフィルタ用光重合性組成物。
- 支持体上に、請求項9に記載のカラーフィルタ用光重合性組成物を用いてなる着色パターンを有するカラーフィルタ。
- 支持体上に、請求項9に記載のカラーフィルタ用光重合性組成物を塗布して光重合性組成物層を形成する工程と、
前記光重合性組成物層を、マスクを介して露光する工程と、
露光後の前記光重合性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程と、
を含むカラーフィルタの製造方法。 - 請求項10に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
- 支持体上に、請求項1に記載の光重合性組成物を含む感光層を有する平版印刷版原版。
- 下記構造式(1−1)〜(1−8)のいずれか1つで表される化合物。
- 前記化合物は、前記構造式(1−1)または(1−2)で表される請求項14に記載の化合物。
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