JP3707093B2 - フタロシアニン化合物、その中間体、該フタロシアニン化合物の製造方法及びこれを用いるカラーフィルター、油性インク組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なフタロシアニン化合物、その製造方法及びその用途に関する。詳しくは、液晶テレビなどの表示素子に用いるカラーフィルターや、撮像管、カラーコピー機に用いる色分解フィルターに重要な役割を果たすカラーフィルター用の色素、さらにインクジェット記録用、印刷用、筆記具用、スタンプ用等の油性インクに適した色素として有用なフタロシアニン化合物及びこれを用いるカラーフィルター用色素、カラーフィルター、油性インク組成物、インクジェット記録用油性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラーフィルター用の色素として種々のフタロシアニン化合物を使用することが知られている。例えば、特開平1-233401号公報には、β-位(2または3位、6または7位、10または11位、14または15位)にアルキル基等を有するフタロシアニンをカラーフィルターに使用することが開示されており、この色素は耐熱性、耐光性等に優れているが、透過率特性が十分でない。一方、特開平5-295283号公報にα-位(1または4位、5または8位、9または12位、13または16位)に分岐アルコキシ基等を有するフタロシアニン化合物が開示されているが、本発明のフタロシアニン化合物と置換基が全く異なるものであり、これを用いるカラーフィルターは緑色系である。
【0003】
特開平6-73397号公報には特定のフタロシアニン化合物を含有する光活性剤、漂白剤、殺菌剤が開示されており、6頁には4−テトラキス(o−メトキシフェノキシ)フタロシアニン、4−テトラキス(p−メトキシフェノキシ)フタロシアニンが記載されているが、これらはβ−位置換のフタロシアニン化合物であり、本発明のフタロシアニン化合物に比較して吸光係数、溶剤溶解性等が劣る。
【0004】
また特開平6-328856号公報には含フッ素フタロシアニン化合物を用いる光記録媒体が開示されており、28頁に化合物31としてβ−位に
【化6】
を有するフタロシアニン化合物が記載されているが、これも前記同様の欠点がある。
【0005】
このような事情から溶剤溶解性、吸光係数が高く、かつカラーフォーマー用色素として用いた場合に透過率特性、耐光性、耐熱性に優れ、青色系である色素が要望されている。
【0006】
又、インクジェット記録法に使用されるインクには、一般に主溶媒として水を用いる水性インクと、主溶媒として有機溶媒を用いる油性インクとがある。水性インクを用いた印刷画像は、全般に、耐水性に劣り、疎水表面を有する被印刷物への印刷が困難であるのに対して、油性インクは耐水性に優れた印刷画像を提供することができ、疎水性の表面あるいは上質紙への記録も容易となる利点を有する。この油性インクにおいて、溶解性に優れて保存安定性やノズルの目詰まりに対して良好な成績を示し、且つ耐水性、耐光性に優れた画像を形成し得る油性インクのための色素が要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記した諸特性に優れるカラーフィルター用の色素、さらにインクジェット記録方式に使用される諸特性に優れた油性インク用の色素等として有用な新規なフタロシアニン化合物、及びこれを使用したカラーフィルター、油性インクを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の位置に特定の置換基を有するフタロシアニン化合物を使用することにより、諸特性に優れるカラーフィルター、油性インク組成物が得られることを見いだした。
【0009】
本発明はまず、下記一般式(I)で表わされる新規フタロシアニン化合物、その製造方法及びその中間体に関する。
【0010】
【化7】
(式(I)中、R1、R2、R3及びR4は各々独立に下記一般式(II)で表され、かつR1、R2、R3及びR4の置換位置が、R1が1または4位、R2が5または8位、R3が9または12位、R4が13または16位である置換基を示し、Mは2個の水素原子、2価の金属あるいは3価または4価の金属誘導体を示す)
【化8】
(式(II)中、R5はアルキル基、アルコキシ基、置換あるいは非置換のフェニル基、置換あるいは非置換のフェニルオキシ基、ベンジル基またはベンジルオキシ基を示す)
本発明はまた、一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物を含有するカラーフィルター用色素およびこの色素を含有してなるカラーフィルターに関する。
本発明は更に、有機溶媒と油溶性染料を主成分とする油性インク組成物において、油溶性染料として一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物を含有することを特徴とする油性インク組成物およびこの油性インク組成物を含有してなるインクジェット記録用油性インクに関する。
【0011】
一般式(I)のフタロシアニン化合物において、R5がアルキル基であるものとしては、炭素数1〜12の直鎖或いは分岐のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖或いは分岐のアルキル基が特に好ましい。例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
【0012】
R5がアルコキシ基であるものとしては、炭素数1〜12の直鎖或いは分岐のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖或いは分岐のアルコキシ基が特に好ましい。また、アルコキシ基の炭素原子上に更に他の置換基を有することがないものが好ましい。例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
【0013】
R5が置換または非置換のフェニル基であるものとしては、フェニル基または置換基として炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐のアルキル基を有するフェニル基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。
【0014】
R5が置換または非置換のフェニルオキシ基であるものとしては、フェニルオキシ基または置換基として炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐のアルキル基を有するフェニルオキシ基が好ましく、特にフェニルオキシ基が好ましい。
【0015】
また、式(II)の置換基としては、下記一般式(III)または(IV)で表されるものが特に好ましい。
【0016】
【化9】
【化10】
(式(III)、式(IV)中、R5は前記と同じものを示す)
Mが2価の金属であるものとしては、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Pb、Rh、Pd、Pt、Mn、Sn、Pbが好ましく、3価または4価の金属誘導体であるものとしては、AlCl、InCl、FeCl、MnOH、SiCl2、SnCl2、GeCl2、Si(OH)2、Sn(OH)2、Ge(OH)2、VO、TiOが好ましい。特にCu、Ni、Co、FeCl、Zn、VO、Pd、MnOHが好ましい。
【0017】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物は、特定の位置(α−位)に特定の置換基を有することにより、グラム吸光係数が高く、かつ溶剤に対する溶解性が高い。
【0018】
このため本発明のフタロシアニン化合物は、カラーフィルターの作成において、高濃度の溶剤溶液が使用できる、塗布が容易である等の利点がある。またかくして得られるカラーフィルターは、耐熱性、耐光性等に優れるとともに透過率特性が良い。
【0019】
また本発明のフタロシアニン化合物は、インクジェット記録用油性インクに用いた場合、ノズルの目づまりの危険が少なく、保存安定性に優れる。またこのインクジェット記録用油性インクを使用して記録した印刷物は、耐水性、耐光性が高く、鮮明である。
【0020】
本発明のフタロシアニン化合物の具体例を下記の表1に挙げる。
【0021】
【表1】
R1〜R4:下記一般式(III)で表される置換基。
【0022】
【化11】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
R1〜R4:下記一般式(IV)で表される置換基。
【0031】
【化12】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば一般式(V)で表されるフタロニトリル化合物と一般式(VI)で表される金属誘導体を反応させることにより製造される。
【0036】
【化13】
(式(V)中、R5はアルキル基、アルコキシ基、置換あるいは非置換のフェニル基、置換あるいは非置換のフェニルオキシ基、ベンジル基またはベンジルオキシ基を示す)
M−(Y)d (VI)
(式(VI)中、Mは式(I)のMと同一であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を示し、dは1〜4の整数である)
式(VI)で示される金属誘導体としては、Al、Si、Ti、V、Mn,Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pbのハロゲン化物、カルボン酸誘導体、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物、錯体等が挙げられる。具体例としては塩化銅、臭化銅、沃化銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化コバルト、臭化コバルト、酢酸コバルト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミニウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、アセチルアセトンマンガン、塩化マンガン、塩化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、塩化チタン、塩化スズ等が挙げられる。
【0037】
金属誘導体とフタロニトリル化合物の使用量は、モル比で1:3〜1:6が好ましい。
【0038】
反応は通常、溶媒の存在下に行われる。溶媒としては、沸点80℃以上、好ましくは130℃以上の有機溶媒が用いられる。例えばn−アミルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、スルフォラン、ニトロベンゼン、キノリン、尿素等がある。溶媒の使用量はフタロニトリル化合物の1〜100重量倍、好ましくは5〜20重量倍である。
【0039】
反応において触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)或いはモリブデン酸アンモニウムを添加しても良い。添加量はフタロニトリル化合物1モルに対して、0.1〜10倍モル好ましくは0.5〜2倍モルである。
【0040】
反応温度は80〜300℃、好ましくは130〜230℃である。80℃以下では反応速度が極端に遅い。300℃以上ではフタロシアニン化合物の分解が起こる可能性がある。
【0041】
反応時間は2〜20時間、好ましくは5〜15時間である。2時間以下では未反応原料が多く存在し、20時間以上ではフタロシアニン化合物の分解が起こる可能性がある。
【0042】
後処理としては反応後、反応液より溶媒を留去した後の残渣、又は反応液をフタロシアニン化合物に対する含溶媒(メタノール等)に排出、析出物を濾取したものを再結晶或いはカラムクロマトグラフィー処理により精製する。
【0043】
かくして得られる一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物は、通常、R1〜R4の各置換位置における異性体である下記一般式(I)−1〜(I)−4で表される化合物の混合物となっている。
【0044】
【化14】
【化15】
【0045】
【化16】
【化17】
【0046】
前記一般式(V)で表されるフタロニトリル化合物は新規化合物であり、下記の様な方法により製造できる。
【0047】
例えば、3−ニトロフタロニトリルと下記一般式(VII)で表されるアルコールとを、反応溶媒に非プロトン性極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)ジメチルスルホキシド(DMSO)等を用い、触媒として例えば水素化ナトリウム、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の存在下0〜90℃にて撹拌し、反応後水に排出して有機溶剤例えばトルエン等で抽出後、再結晶、あるいはカラムクロマトグラフィーにより精製する事によって得られる。
【0048】
【化18】
(式(VII)中、R5は前記式(V)におけるものと同じ)
一般式(V)で表される本発明のフタロニトリル化合物の例を下記の表2に挙げる。
【0049】
【表2】
【化19】
【0050】
【0051】
【0052】
【化20】
【0053】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物のカラーフィルター用色素及びこれを用いたカラーフィルターについて以下に説明する。
【0054】
本発明のフタロシアニン化合物は、LCD用カラーフィルター、撮像管用色分解フィルター等に用いられるカラーフィルター用の色素として好適に使用される。
【0055】
本発明の一般式(I)で表わされるフタロシアニン化合物を用いてLCD用カラーフィルター、撮像管用色分解フィルターを作製する方法としては、感光性樹脂又は光重合性モノマーを用いて基板上にキャスト、スピンコート等により成膜化し、光照射によりパターニングした後、樹脂層を色素でディッピング等により染色する方法、ドライエッチング法あるいはリフトオフ法で蒸着により色素層をパターニングする方法、感光性樹脂または光重合性モノマーに予め色素を溶解あるいは分散させておき、基板上にキャスト、スピンコート等により成膜化し、光照射によりパターニングする方法、印刷法でパターニングする方法等が挙げられる。
【0056】
色素層のパターニングは光学的に透明な基板上で行うことができ、用いる基板としては、色素層のパターニングが可能であり、形成されたカラーフィルターが所定の機能を有するものであれば特に限定されるものではない。
【0057】
例えば、ガラス板、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルメタクリレート、ポリエステル、ブチラール、ポリアミド、ポリエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリオレフィン共重合樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン共重合樹脂、スチレン共重合樹脂などの樹脂フィルムもしくは板が挙げられる。またパターン状の色素層をカラーフィルターとして適用されるものと一体に形成させることも可能である。その場合の基板の一例としては、ブラウン管表示面、撮像管の受像面、CCD、BBD、CID、BASIS等の固体撮像素子が形成されたウエハー、薄膜半導体を用いた密着型イメージセンサー、液晶ディスプレイ面、カラー電子写真感光体等が挙げられる。
【0058】
また、本発明の一般式(I)で表わされるフタロシアニン化合物を用いてカラーコピー機等に用いるカラーフィルターを作製する方法としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂に対して本発明の色素を0.5〜10重量%混合し、射出成型、延伸などの方法により作製するか、本発明の色素を単独またはバインダーと共に溶剤に溶解し、基板上にキャスト、スピンコート等により成膜化するか、蒸着により基板上に成膜化するか、あるいは色素を樹脂中間体を含むワニスと共に混合した後、加熱処理により、樹脂化、加工する方法がある。
【0059】
この時の基板としては、光学的に透明な樹脂であれば良い。例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン樹脂、ポリオレフィン共重合樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン共重合樹脂などが挙げられる。
【0060】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物を含有する油性インク組成物、インクジェット記録用インクについて以下に説明する。
【0061】
本発明のフタロシアニン化合物は、有機溶媒と油溶性色素を主成分とする油性インク組成物における油溶性色素として好適に使用される。この油性インク組成物は特にインクジェット記録用インクとして適している。
【0062】
油性インク中の色素の濃度は、特にインクジェット記録時のインクの吐出安定性、保存安定性を保持しつつ、優れた印刷画像を得るために、0.1〜20,重量%の範囲が好ましく、印刷濃度、インクの安定性の点で1〜10重量%の範囲がより好ましい。
【0063】
有機溶媒としては、必ずしも染料との相溶性の優れた良溶媒のみを用いる必要はなく、良溶媒を2種類以上混合するか或いは良溶媒と一般溶媒を混合して用いればよい。又色素溶解剤との組み合わせで使用しても良い。例えば、直鎖状炭化水素、分岐状炭化水素、ナフテン系炭化水素、モノまたはジ置換直鎖状又は分岐状アルキルナフタレン、フェニル、ビフェニル、又はターフェニルの直鎖状又は分岐状アルキル誘導体、フェニル、ビフェニル、又はターフェニルの直鎖状又は分岐状アルキレン誘導体、芳香族炭化水素、脂肪族アルコール類、ケトン類、グリコール類、グリコール類のモノまたはジ置換直鎖状又は分岐状アルキルエーテル、グリコール類のモノまたはジ置換直鎖状又は分岐状アルキレンエーテル、グリコール類のエステル、脂肪酸及び脂肪酸エステル、含窒素化合物、ヒドロキシ安息香酸等が挙げられるがこれらの有機溶媒に限定されるものではない。
【0064】
有機溶媒のインク組成物中の含有量は、他の添加剤類を用いない場合には、色素を除いた全成分を構成することが可能であるが、インク組成物中に良溶媒として用いる溶媒成分は、好ましくは総量で0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上インク組成物中に含有される事が望まれる。
【0065】
また必要に応じて、酸化防止剤・紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、バインダーレジン等を加えることができる。そのような酸化防止剤として例えばBHA(2,3−ブチル−4−オキシアニソール)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)等;紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の化合物が挙げられ、界面活性剤としてアニオン系、カチオン系、両性、非イオン系のいずれも使用できる。バインダーレジンとして使用し得る樹脂には、具体的には、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0066】
本発明の油性インクは、その用途がインクジェット記録装置用インクに限られるものではなく、ペンプロッターなどの機械記録方式等においても高品質、高信頼性の記録を提供することができる。
【0067】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の実施の態様はこれらにより限定されるものではない。
【0068】
[実施例1] 化合物(2-2)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル5.2g、4−ヒドロキシプロピオフェノン4.5g、DMF30mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU4.56gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、IPAから再結晶してフタロニトリル化合物(2-2)6.0gを得た。得られた化合物の融点は109〜111℃であった。下記分析結果より目的物であることを確認した。本化合物のIRスペクトルを図1に示す。
【0069】
[実施例2] 化合物(37)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、実施例1で得たフタロニトリル(2-2)5.8g、DBU3.1g、n−アミルアルコール63mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム1.1gを添加し、還流下6時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1000mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(37)(位置異性体の混合物)0.8gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。得られた化合物のトルエン溶液の吸収スペクトルを図2に示す。
【0070】
[実施例3] 化合物(2-22)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル17.3g、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルエステル19.4g、DMF100mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU15.2gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、IPAから再結晶してフタロニトリル化合物(2-22)21.3gを得た。得られた化合物の融点は113〜115℃であった。下記分析結果より目的物であることを確認した。本化合物のIRスペクトルを図3に示す。
【0071】
[実施例4] 化合物(46)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、実施例3で得たフタロニトリル(2-22)16.0g、DBU7.6g、n−アミルアルコール150mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム2.66gを添加し、還流下7時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1500mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(46)(位置異性体の混合物)9.3gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。本化合物のIRスペクトルを図4、トルエン溶液の吸収スペクトルを図5に示す。
【0072】
[実施例5] 化合物(2-30)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル17.3g、p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル25.0g、DMF100mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU15.2gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で3時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、カラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:トルエン)によりフタロニトリル化合物(2-30)18.8gを得た。下記分析結果より目的物であることを確認した。本化合物のIRスペクトルを図6に示す。
【0073】
[実施例6] 化合物(52)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、実施例5で得たフタロニトリル(2-30)18.8g、DBU7.6g、n−アミルアルコール150mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム2.66gを添加し、還流下7時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1500mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(52)(位置異性体の混合物)9.5gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。本化合物のIRスペクトルを図7、トルエン溶液の吸収スペクトルを図8に示す。
【0074】
[実施例7] 化合物(2-42)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル17.3g、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル22.8g、DMF100mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU15.2gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、IPAから再結晶してフタロニトリル化合物(2-42)27.3gを得た。得られた化合物の融点は114〜116℃であった。下記分析結果より目的物であることを確認した。本化合物のIRスペクトルを図9に示す。
【0075】
[実施例8] 化合物(56)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、実施例7で得たフタロニトリル(2-42)10.6g、DBU4.5g、n−アミルアルコール90mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム2.66gを添加し、還流下5時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1500mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(56)(位置異性体の混合物)4.7gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。本化合物のIRスペクトルを図10、トルエン溶液の吸収スペクトルを図11に示す。
【0076】
【0077】
[実施例9〜14] フタロシアニン化合物の合成
実施例8と同様にして、フタロニトリル化合物(2-42)と下記表3に示す金属誘導体とを反応させてフタロシアニン化合物を得た。得られたフタロシアニン化合物のトルエン溶液の極大吸収波長、グラム吸光係数を下記表3に示す。
【0078】
【表3】
[実施例15] 化合物(2-61)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル22.5g、サリチル酸イソアミル27.0g、DMF130mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU19.7gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、IPAから再結晶してフタロニトリル化合物(2-61)19.6gを得た。得られた化合物の融点は73〜75℃であった。下記分析結果より目的物であることを確認した。本化合物のIRスペクトルを図12に示す。
【0079】
[実施例16] 化合物(135)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、実施例15で得たフタロニトリル(2-61)16.7g、DBU7.6g、n−アミルアルコール150mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム2.66gを添加し、還流下7時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1500mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(135)(位置異性体の混合物)3.8gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。本化合物のIRスペクトルを図13、トルエン溶液の吸収スペクトルを図14に示す。
【0080】
[比較合成例1]
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、4−ニトロフタロニトリル17.3g、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル22.8g、DMF100mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU15.2gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、濃縮後、IPAから再結晶して下記に示すフタロニトリル化合物(A)27.3gを得た。
【0081】
【化21】
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、上記で得たフタロニトリル(A)10.6g、DBU4.5g、n−アミルアルコール90mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム1.6gを添加し、還流下15時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1500mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(B)(位置異性体の混合物)6.3gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。本化合物のIRスペクトルを図15、トルエン溶液の吸収スペクトルを図16に示す。
【0082】
【化22】
[溶解度の測定]
実施例及び比較合成例で合成した各フタロシアニン化合物の溶解度を、下記の方法に従って測定した。
【0083】
50mLサンプル管中、各フタロシアニン化合物と下記表4に示す各溶媒を、それぞれ1%(W/V)及び3%(W/V)の混合割合で混合し、密栓後40℃で10分間超音波振とうを与えた。ついで室温で30分間放置後濾過し、不溶物の有無を確認した。
【0084】
1%(W/V)の混合液にて不溶物があるものを溶解度1%以下とし×で、1%(W/V)の混合液にて不溶分が無く、3%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物があるものを溶解度1%以上〜3%未満とし△で、3%(W/V)調整の混合液にて不溶分が無いものを溶解度3%以上とし○で表した。結果を下記表4に示す。
【0085】
【表4】
[実施例17] カラーフィルターの製造
ポリメチルメタクリレート100g、実施例4で合成したフタロシアニン化合物(46)2.5gをトルエン250gに溶解し、ガラス基板上にキャストし、乾燥した。このようにして得られたカラーフィルターの透過率を分光光度計(島津製作所製:UV2200)で測定した。透過スペクトルを図17に示す。また該カラーフィルターのコーティング面を60℃の条件でカーボンアーク灯で108時間照射して耐光性試験を行った。試験後、同様に透過率を測定したところ試験前後での透過率変化は小さく耐光性は良好であった。
【0086】
[実施例18] カラーフィルターの製造
フタロシアニン化合物(46)の代わりに、実施例6で合成したフタロシアニン化合物(52)を使用した以外は、実施例17とまったく同様にして、カラーフィルターを作成した。このようにして得られたカラーフィルターは良好な透過率を示すと共に、耐久性に優れていた。透過スペクトルを図18に示す。
【0087】
[実施例19] カラーフィルターの製造
フタロシアニン化合物(46)の代わりに、実施例8で合成したフタロシアニン化合物(56)を使用した以外は、実施例17とまったく同様にして、カラーフィルターを作成した。このようにして得られたカラーフィルターは良好な透過率を示すと共に、耐久性に優れていた。透過スペクトルを図19に示す。
【0088】
[実施例20] カラーフィルターの製造
フタロシアニン化合物(46)の代わりに、実施例16で合成したフタロシアニン化合物(135)を使用した以外は、実施例17とまったく同様にして、カラーフィルターを作成した。このようにして得られたカラーフィルターは良好な透過率を示すと共に、耐久性に優れていた。透過スペクトルを図20に示す。
【0089】
[実施例21] カラーフィルターの製造
ポリスチレン100gに実施例4で合成したフタロシアニン化合物(46)1gを加え、加熱溶融し、射出成形によりカラーフィルターを作製した。このようにして得られたカラーフィルターは良好な透過率特性を示すと共に、耐久性に優れていた。
【0090】
[実施例22] カラーフィルターの製造
1,4−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン24.4g、1,3,5−トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアネート23.4g、及び実施例6で合成したフタロシアニン化合物(52)2g、ジブチルスズジラウレート0.06gとを混合し、均一液とした。この液をフッソ系外部離型剤で表面処理したガラスモールドと塩ビ製ガスケットよりなる鋳型の中に注入し、70℃で4時間、80℃で2時間、120℃で2時間加熱した後、冷却して離型した。得られたカラーフィルターは耐久性(耐湿熱性、耐光性)、透過率特性が良好であった。
【0091】
[実施例23] カラーフィルターの製造
4,4’−ビス(2−アミノフェノキシ)ビフェニル36.8g、DMF202g、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物39.8gよりなるポリアミド酸溶液に実施例8で合成したフタロシアニン化合物(56)3gとM/P Yellow3GSL(三井東圧染料社製)3g加え、混合した後、ガラス上にキャストし、200℃で5時間加熱処理した。このようにして得られたカラーフィルターは良好な透過率特性を示すと共に久性に優れていた。
【0092】
[実施例24] カラーフィルターの製造
実施例16で合成したフタロシアニン化合物(135)5gとM/P Yellow3GSL(三井東圧染料社製)5gをプレポリマー(大日本インキ社製、商品名:SD−17)10gに溶解し、スピナーを用いてガラス基板上に回転塗布した。85〜100℃で2〜5分プレベークし、ストライプ状パターンを有するマスクを介して高圧水銀ランプで露光(20〜30mj/cm2、2分)した。さらに、これを現像しパターンを形成した。最後に200〜230℃で10〜30分ポストベークし、ストライプ状カラーフィルターを得た。このカラーフィルターは耐久性(耐湿熱性、耐光性)、透過率特性が良好であった。
【0093】
[実施例25] 油性インク粗成物の製造
実施例8で合成したフタロシアニン化合物(56)6g、スチレンアクリル樹脂25g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル5g、エタノール20g,メチルエチルケトン44gとを混合し、均一液とした。この液を0.5ミクロンのメンブランフィルターを用いて濾過を行いインクとした。このインクを用いてインクジェット記録の噴射試験を行ったところ、500時間後でも安定したインクの噴出が可能であった。得られた印刷物は鮮明で、高画質の印刷物が得られた。
【0094】
【発明の効果】
本発明のフタロシアニン化合物は溶解性及び吸光係数が高く、これを使用したカラーフィルターは、透過率特性、耐光性、耐熱性に優れる。また、これを用いたインクジェット記録用油性インキは、長期に亘る安定したインクの吐出を得られ、かつ長期保存安定性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で合成した化合物(2-2)の赤外吸収スペクトルである。
【図2】 実施例2で合成した化合物(37)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図3】 実施例3で合成した化合物(2-22)の赤外吸収スペクトルである。
【図4】 実施例4で合成した化合物(46)の赤外吸収スペクトルである。
【図5】 実施例4で合成した化合物(46)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図6】 実施例5で合成した化合物(2-30)の赤外吸収スペクトルである。
【図7】 実施例6で合成した化合物(52)の赤外吸収スペクトルである。
【図8】 実施例6で合成した化合物(52)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図9】 実施例7で合成した化合物(2-42)の赤外吸収スペクトルである。
【図10】 実施例8で合成した化合物(56)の赤外吸収スペクトルである。
【図11】 実施例8で合成した化合物(56)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図12】 実施例15で合成した化合物(2-61)の赤外吸収スペクトルである。
【図13】 実施例16で合成した化合物(135)の赤外吸収スペクトルである。
【図14】 実施例16で合成した化合物(135)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図15】 比較合成例1で合成した化合物(B)の赤外吸収スペクトルである。
【図16】 比較合成例1で合成した化合物(B)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図17】 実施例17で製造した、化合物(46)を含有してなるカラーフィルターの透過スペクトルである。
【図18】 実施例18で製造した、化合物(52)を含有してなるカラーフィルターの透過スペクトルである。
【図19】 実施例19で製造した、化合物(56)を含有してなるカラーフィルターの透過スペクトルである。
【図20】 実施例20で製造した、化合物(135)を含有してなるカラーフィルターの透過スペクトルである。
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なフタロシアニン化合物、その製造方法及びその用途に関する。詳しくは、液晶テレビなどの表示素子に用いるカラーフィルターや、撮像管、カラーコピー機に用いる色分解フィルターに重要な役割を果たすカラーフィルター用の色素、さらにインクジェット記録用、印刷用、筆記具用、スタンプ用等の油性インクに適した色素として有用なフタロシアニン化合物及びこれを用いるカラーフィルター用色素、カラーフィルター、油性インク組成物、インクジェット記録用油性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラーフィルター用の色素として種々のフタロシアニン化合物を使用することが知られている。例えば、特開平1-233401号公報には、β-位(2または3位、6または7位、10または11位、14または15位)にアルキル基等を有するフタロシアニンをカラーフィルターに使用することが開示されており、この色素は耐熱性、耐光性等に優れているが、透過率特性が十分でない。一方、特開平5-295283号公報にα-位(1または4位、5または8位、9または12位、13または16位)に分岐アルコキシ基等を有するフタロシアニン化合物が開示されているが、本発明のフタロシアニン化合物と置換基が全く異なるものであり、これを用いるカラーフィルターは緑色系である。
【0003】
特開平6-73397号公報には特定のフタロシアニン化合物を含有する光活性剤、漂白剤、殺菌剤が開示されており、6頁には4−テトラキス(o−メトキシフェノキシ)フタロシアニン、4−テトラキス(p−メトキシフェノキシ)フタロシアニンが記載されているが、これらはβ−位置換のフタロシアニン化合物であり、本発明のフタロシアニン化合物に比較して吸光係数、溶剤溶解性等が劣る。
【0004】
また特開平6-328856号公報には含フッ素フタロシアニン化合物を用いる光記録媒体が開示されており、28頁に化合物31としてβ−位に
【化6】
を有するフタロシアニン化合物が記載されているが、これも前記同様の欠点がある。
【0005】
このような事情から溶剤溶解性、吸光係数が高く、かつカラーフォーマー用色素として用いた場合に透過率特性、耐光性、耐熱性に優れ、青色系である色素が要望されている。
【0006】
又、インクジェット記録法に使用されるインクには、一般に主溶媒として水を用いる水性インクと、主溶媒として有機溶媒を用いる油性インクとがある。水性インクを用いた印刷画像は、全般に、耐水性に劣り、疎水表面を有する被印刷物への印刷が困難であるのに対して、油性インクは耐水性に優れた印刷画像を提供することができ、疎水性の表面あるいは上質紙への記録も容易となる利点を有する。この油性インクにおいて、溶解性に優れて保存安定性やノズルの目詰まりに対して良好な成績を示し、且つ耐水性、耐光性に優れた画像を形成し得る油性インクのための色素が要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記した諸特性に優れるカラーフィルター用の色素、さらにインクジェット記録方式に使用される諸特性に優れた油性インク用の色素等として有用な新規なフタロシアニン化合物、及びこれを使用したカラーフィルター、油性インクを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の位置に特定の置換基を有するフタロシアニン化合物を使用することにより、諸特性に優れるカラーフィルター、油性インク組成物が得られることを見いだした。
【0009】
本発明はまず、下記一般式(I)で表わされる新規フタロシアニン化合物、その製造方法及びその中間体に関する。
【0010】
【化7】
(式(I)中、R1、R2、R3及びR4は各々独立に下記一般式(II)で表され、かつR1、R2、R3及びR4の置換位置が、R1が1または4位、R2が5または8位、R3が9または12位、R4が13または16位である置換基を示し、Mは2個の水素原子、2価の金属あるいは3価または4価の金属誘導体を示す)
【化8】
(式(II)中、R5はアルキル基、アルコキシ基、置換あるいは非置換のフェニル基、置換あるいは非置換のフェニルオキシ基、ベンジル基またはベンジルオキシ基を示す)
本発明はまた、一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物を含有するカラーフィルター用色素およびこの色素を含有してなるカラーフィルターに関する。
本発明は更に、有機溶媒と油溶性染料を主成分とする油性インク組成物において、油溶性染料として一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物を含有することを特徴とする油性インク組成物およびこの油性インク組成物を含有してなるインクジェット記録用油性インクに関する。
【0011】
一般式(I)のフタロシアニン化合物において、R5がアルキル基であるものとしては、炭素数1〜12の直鎖或いは分岐のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖或いは分岐のアルキル基が特に好ましい。例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
【0012】
R5がアルコキシ基であるものとしては、炭素数1〜12の直鎖或いは分岐のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖或いは分岐のアルコキシ基が特に好ましい。また、アルコキシ基の炭素原子上に更に他の置換基を有することがないものが好ましい。例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
【0013】
R5が置換または非置換のフェニル基であるものとしては、フェニル基または置換基として炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐のアルキル基を有するフェニル基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。
【0014】
R5が置換または非置換のフェニルオキシ基であるものとしては、フェニルオキシ基または置換基として炭素数1〜8の直鎖あるいは分岐のアルキル基を有するフェニルオキシ基が好ましく、特にフェニルオキシ基が好ましい。
【0015】
また、式(II)の置換基としては、下記一般式(III)または(IV)で表されるものが特に好ましい。
【0016】
【化9】
【化10】
(式(III)、式(IV)中、R5は前記と同じものを示す)
Mが2価の金属であるものとしては、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Pb、Rh、Pd、Pt、Mn、Sn、Pbが好ましく、3価または4価の金属誘導体であるものとしては、AlCl、InCl、FeCl、MnOH、SiCl2、SnCl2、GeCl2、Si(OH)2、Sn(OH)2、Ge(OH)2、VO、TiOが好ましい。特にCu、Ni、Co、FeCl、Zn、VO、Pd、MnOHが好ましい。
【0017】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物は、特定の位置(α−位)に特定の置換基を有することにより、グラム吸光係数が高く、かつ溶剤に対する溶解性が高い。
【0018】
このため本発明のフタロシアニン化合物は、カラーフィルターの作成において、高濃度の溶剤溶液が使用できる、塗布が容易である等の利点がある。またかくして得られるカラーフィルターは、耐熱性、耐光性等に優れるとともに透過率特性が良い。
【0019】
また本発明のフタロシアニン化合物は、インクジェット記録用油性インクに用いた場合、ノズルの目づまりの危険が少なく、保存安定性に優れる。またこのインクジェット記録用油性インクを使用して記録した印刷物は、耐水性、耐光性が高く、鮮明である。
【0020】
本発明のフタロシアニン化合物の具体例を下記の表1に挙げる。
【0021】
【表1】
R1〜R4:下記一般式(III)で表される置換基。
【0022】
【化11】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
R1〜R4:下記一般式(IV)で表される置換基。
【0031】
【化12】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物は、例えば一般式(V)で表されるフタロニトリル化合物と一般式(VI)で表される金属誘導体を反応させることにより製造される。
【0036】
【化13】
(式(V)中、R5はアルキル基、アルコキシ基、置換あるいは非置換のフェニル基、置換あるいは非置換のフェニルオキシ基、ベンジル基またはベンジルオキシ基を示す)
M−(Y)d (VI)
(式(VI)中、Mは式(I)のMと同一であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を示し、dは1〜4の整数である)
式(VI)で示される金属誘導体としては、Al、Si、Ti、V、Mn,Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ru、Rh、Pd、In、Sn、Pt、Pbのハロゲン化物、カルボン酸誘導体、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物、錯体等が挙げられる。具体例としては塩化銅、臭化銅、沃化銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化コバルト、臭化コバルト、酢酸コバルト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミニウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、アセチルアセトンマンガン、塩化マンガン、塩化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、塩化チタン、塩化スズ等が挙げられる。
【0037】
金属誘導体とフタロニトリル化合物の使用量は、モル比で1:3〜1:6が好ましい。
【0038】
反応は通常、溶媒の存在下に行われる。溶媒としては、沸点80℃以上、好ましくは130℃以上の有機溶媒が用いられる。例えばn−アミルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、スルフォラン、ニトロベンゼン、キノリン、尿素等がある。溶媒の使用量はフタロニトリル化合物の1〜100重量倍、好ましくは5〜20重量倍である。
【0039】
反応において触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)或いはモリブデン酸アンモニウムを添加しても良い。添加量はフタロニトリル化合物1モルに対して、0.1〜10倍モル好ましくは0.5〜2倍モルである。
【0040】
反応温度は80〜300℃、好ましくは130〜230℃である。80℃以下では反応速度が極端に遅い。300℃以上ではフタロシアニン化合物の分解が起こる可能性がある。
【0041】
反応時間は2〜20時間、好ましくは5〜15時間である。2時間以下では未反応原料が多く存在し、20時間以上ではフタロシアニン化合物の分解が起こる可能性がある。
【0042】
後処理としては反応後、反応液より溶媒を留去した後の残渣、又は反応液をフタロシアニン化合物に対する含溶媒(メタノール等)に排出、析出物を濾取したものを再結晶或いはカラムクロマトグラフィー処理により精製する。
【0043】
かくして得られる一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物は、通常、R1〜R4の各置換位置における異性体である下記一般式(I)−1〜(I)−4で表される化合物の混合物となっている。
【0044】
【化14】
【化15】
【0045】
【化16】
【化17】
【0046】
前記一般式(V)で表されるフタロニトリル化合物は新規化合物であり、下記の様な方法により製造できる。
【0047】
例えば、3−ニトロフタロニトリルと下記一般式(VII)で表されるアルコールとを、反応溶媒に非プロトン性極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)ジメチルスルホキシド(DMSO)等を用い、触媒として例えば水素化ナトリウム、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の存在下0〜90℃にて撹拌し、反応後水に排出して有機溶剤例えばトルエン等で抽出後、再結晶、あるいはカラムクロマトグラフィーにより精製する事によって得られる。
【0048】
【化18】
(式(VII)中、R5は前記式(V)におけるものと同じ)
一般式(V)で表される本発明のフタロニトリル化合物の例を下記の表2に挙げる。
【0049】
【表2】
【化19】
【0050】
【0051】
【0052】
【化20】
【0053】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物のカラーフィルター用色素及びこれを用いたカラーフィルターについて以下に説明する。
【0054】
本発明のフタロシアニン化合物は、LCD用カラーフィルター、撮像管用色分解フィルター等に用いられるカラーフィルター用の色素として好適に使用される。
【0055】
本発明の一般式(I)で表わされるフタロシアニン化合物を用いてLCD用カラーフィルター、撮像管用色分解フィルターを作製する方法としては、感光性樹脂又は光重合性モノマーを用いて基板上にキャスト、スピンコート等により成膜化し、光照射によりパターニングした後、樹脂層を色素でディッピング等により染色する方法、ドライエッチング法あるいはリフトオフ法で蒸着により色素層をパターニングする方法、感光性樹脂または光重合性モノマーに予め色素を溶解あるいは分散させておき、基板上にキャスト、スピンコート等により成膜化し、光照射によりパターニングする方法、印刷法でパターニングする方法等が挙げられる。
【0056】
色素層のパターニングは光学的に透明な基板上で行うことができ、用いる基板としては、色素層のパターニングが可能であり、形成されたカラーフィルターが所定の機能を有するものであれば特に限定されるものではない。
【0057】
例えば、ガラス板、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルメタクリレート、ポリエステル、ブチラール、ポリアミド、ポリエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリオレフィン共重合樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン共重合樹脂、スチレン共重合樹脂などの樹脂フィルムもしくは板が挙げられる。またパターン状の色素層をカラーフィルターとして適用されるものと一体に形成させることも可能である。その場合の基板の一例としては、ブラウン管表示面、撮像管の受像面、CCD、BBD、CID、BASIS等の固体撮像素子が形成されたウエハー、薄膜半導体を用いた密着型イメージセンサー、液晶ディスプレイ面、カラー電子写真感光体等が挙げられる。
【0058】
また、本発明の一般式(I)で表わされるフタロシアニン化合物を用いてカラーコピー機等に用いるカラーフィルターを作製する方法としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂に対して本発明の色素を0.5〜10重量%混合し、射出成型、延伸などの方法により作製するか、本発明の色素を単独またはバインダーと共に溶剤に溶解し、基板上にキャスト、スピンコート等により成膜化するか、蒸着により基板上に成膜化するか、あるいは色素を樹脂中間体を含むワニスと共に混合した後、加熱処理により、樹脂化、加工する方法がある。
【0059】
この時の基板としては、光学的に透明な樹脂であれば良い。例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン樹脂、ポリオレフィン共重合樹脂、塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン共重合樹脂などが挙げられる。
【0060】
本発明の一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物を含有する油性インク組成物、インクジェット記録用インクについて以下に説明する。
【0061】
本発明のフタロシアニン化合物は、有機溶媒と油溶性色素を主成分とする油性インク組成物における油溶性色素として好適に使用される。この油性インク組成物は特にインクジェット記録用インクとして適している。
【0062】
油性インク中の色素の濃度は、特にインクジェット記録時のインクの吐出安定性、保存安定性を保持しつつ、優れた印刷画像を得るために、0.1〜20,重量%の範囲が好ましく、印刷濃度、インクの安定性の点で1〜10重量%の範囲がより好ましい。
【0063】
有機溶媒としては、必ずしも染料との相溶性の優れた良溶媒のみを用いる必要はなく、良溶媒を2種類以上混合するか或いは良溶媒と一般溶媒を混合して用いればよい。又色素溶解剤との組み合わせで使用しても良い。例えば、直鎖状炭化水素、分岐状炭化水素、ナフテン系炭化水素、モノまたはジ置換直鎖状又は分岐状アルキルナフタレン、フェニル、ビフェニル、又はターフェニルの直鎖状又は分岐状アルキル誘導体、フェニル、ビフェニル、又はターフェニルの直鎖状又は分岐状アルキレン誘導体、芳香族炭化水素、脂肪族アルコール類、ケトン類、グリコール類、グリコール類のモノまたはジ置換直鎖状又は分岐状アルキルエーテル、グリコール類のモノまたはジ置換直鎖状又は分岐状アルキレンエーテル、グリコール類のエステル、脂肪酸及び脂肪酸エステル、含窒素化合物、ヒドロキシ安息香酸等が挙げられるがこれらの有機溶媒に限定されるものではない。
【0064】
有機溶媒のインク組成物中の含有量は、他の添加剤類を用いない場合には、色素を除いた全成分を構成することが可能であるが、インク組成物中に良溶媒として用いる溶媒成分は、好ましくは総量で0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上インク組成物中に含有される事が望まれる。
【0065】
また必要に応じて、酸化防止剤・紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、バインダーレジン等を加えることができる。そのような酸化防止剤として例えばBHA(2,3−ブチル−4−オキシアニソール)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)等;紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の化合物が挙げられ、界面活性剤としてアニオン系、カチオン系、両性、非イオン系のいずれも使用できる。バインダーレジンとして使用し得る樹脂には、具体的には、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0066】
本発明の油性インクは、その用途がインクジェット記録装置用インクに限られるものではなく、ペンプロッターなどの機械記録方式等においても高品質、高信頼性の記録を提供することができる。
【0067】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の実施の態様はこれらにより限定されるものではない。
【0068】
[実施例1] 化合物(2-2)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル5.2g、4−ヒドロキシプロピオフェノン4.5g、DMF30mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU4.56gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、IPAから再結晶してフタロニトリル化合物(2-2)6.0gを得た。得られた化合物の融点は109〜111℃であった。下記分析結果より目的物であることを確認した。本化合物のIRスペクトルを図1に示す。
【0069】
[実施例2] 化合物(37)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、実施例1で得たフタロニトリル(2-2)5.8g、DBU3.1g、n−アミルアルコール63mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム1.1gを添加し、還流下6時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1000mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(37)(位置異性体の混合物)0.8gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。得られた化合物のトルエン溶液の吸収スペクトルを図2に示す。
【0070】
[実施例3] 化合物(2-22)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル17.3g、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルエステル19.4g、DMF100mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU15.2gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、IPAから再結晶してフタロニトリル化合物(2-22)21.3gを得た。得られた化合物の融点は113〜115℃であった。下記分析結果より目的物であることを確認した。本化合物のIRスペクトルを図3に示す。
【0071】
[実施例4] 化合物(46)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、実施例3で得たフタロニトリル(2-22)16.0g、DBU7.6g、n−アミルアルコール150mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム2.66gを添加し、還流下7時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1500mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(46)(位置異性体の混合物)9.3gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。本化合物のIRスペクトルを図4、トルエン溶液の吸収スペクトルを図5に示す。
【0072】
[実施例5] 化合物(2-30)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル17.3g、p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル25.0g、DMF100mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU15.2gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で3時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、カラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:トルエン)によりフタロニトリル化合物(2-30)18.8gを得た。下記分析結果より目的物であることを確認した。本化合物のIRスペクトルを図6に示す。
【0073】
[実施例6] 化合物(52)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、実施例5で得たフタロニトリル(2-30)18.8g、DBU7.6g、n−アミルアルコール150mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム2.66gを添加し、還流下7時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1500mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(52)(位置異性体の混合物)9.5gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。本化合物のIRスペクトルを図7、トルエン溶液の吸収スペクトルを図8に示す。
【0074】
[実施例7] 化合物(2-42)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル17.3g、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル22.8g、DMF100mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU15.2gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、IPAから再結晶してフタロニトリル化合物(2-42)27.3gを得た。得られた化合物の融点は114〜116℃であった。下記分析結果より目的物であることを確認した。本化合物のIRスペクトルを図9に示す。
【0075】
[実施例8] 化合物(56)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、実施例7で得たフタロニトリル(2-42)10.6g、DBU4.5g、n−アミルアルコール90mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム2.66gを添加し、還流下5時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1500mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(56)(位置異性体の混合物)4.7gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。本化合物のIRスペクトルを図10、トルエン溶液の吸収スペクトルを図11に示す。
【0076】
【0077】
[実施例9〜14] フタロシアニン化合物の合成
実施例8と同様にして、フタロニトリル化合物(2-42)と下記表3に示す金属誘導体とを反応させてフタロシアニン化合物を得た。得られたフタロシアニン化合物のトルエン溶液の極大吸収波長、グラム吸光係数を下記表3に示す。
【0078】
【表3】
[実施例15] 化合物(2-61)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、3−ニトロフタロニトリル22.5g、サリチル酸イソアミル27.0g、DMF130mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU19.7gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、IPAから再結晶してフタロニトリル化合物(2-61)19.6gを得た。得られた化合物の融点は73〜75℃であった。下記分析結果より目的物であることを確認した。本化合物のIRスペクトルを図12に示す。
【0079】
[実施例16] 化合物(135)の合成
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、実施例15で得たフタロニトリル(2-61)16.7g、DBU7.6g、n−アミルアルコール150mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム2.66gを添加し、還流下7時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1500mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(135)(位置異性体の混合物)3.8gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。本化合物のIRスペクトルを図13、トルエン溶液の吸収スペクトルを図14に示す。
【0080】
[比較合成例1]
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、4−ニトロフタロニトリル17.3g、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル22.8g、DMF100mLを装入、室温で30分撹拌した。その後窒素雰囲気下で、70℃まで昇温した。次にDBU15.2gを70〜80℃で滴下し、70〜80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、目的化合物をトルエン抽出し、濃縮後、IPAから再結晶して下記に示すフタロニトリル化合物(A)27.3gを得た。
【0081】
【化21】
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器に、上記で得たフタロニトリル(A)10.6g、DBU4.5g、n−アミルアルコール90mLを装入し、窒素雰囲気下で、100℃まで昇温した。次に同温度で塩化パラジウム1.6gを添加し、還流下15時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、メタノール1500mLに排出した。吸引濾取後、得られた結晶をカラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開液:クロロホルム)により精製して目的とする化合物(B)(位置異性体の混合物)6.3gを得た。得られた化合物の吸光特性及び元素分析の結果は以下の通りであった。本化合物のIRスペクトルを図15、トルエン溶液の吸収スペクトルを図16に示す。
【0082】
【化22】
[溶解度の測定]
実施例及び比較合成例で合成した各フタロシアニン化合物の溶解度を、下記の方法に従って測定した。
【0083】
50mLサンプル管中、各フタロシアニン化合物と下記表4に示す各溶媒を、それぞれ1%(W/V)及び3%(W/V)の混合割合で混合し、密栓後40℃で10分間超音波振とうを与えた。ついで室温で30分間放置後濾過し、不溶物の有無を確認した。
【0084】
1%(W/V)の混合液にて不溶物があるものを溶解度1%以下とし×で、1%(W/V)の混合液にて不溶分が無く、3%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物があるものを溶解度1%以上〜3%未満とし△で、3%(W/V)調整の混合液にて不溶分が無いものを溶解度3%以上とし○で表した。結果を下記表4に示す。
【0085】
【表4】
[実施例17] カラーフィルターの製造
ポリメチルメタクリレート100g、実施例4で合成したフタロシアニン化合物(46)2.5gをトルエン250gに溶解し、ガラス基板上にキャストし、乾燥した。このようにして得られたカラーフィルターの透過率を分光光度計(島津製作所製:UV2200)で測定した。透過スペクトルを図17に示す。また該カラーフィルターのコーティング面を60℃の条件でカーボンアーク灯で108時間照射して耐光性試験を行った。試験後、同様に透過率を測定したところ試験前後での透過率変化は小さく耐光性は良好であった。
【0086】
[実施例18] カラーフィルターの製造
フタロシアニン化合物(46)の代わりに、実施例6で合成したフタロシアニン化合物(52)を使用した以外は、実施例17とまったく同様にして、カラーフィルターを作成した。このようにして得られたカラーフィルターは良好な透過率を示すと共に、耐久性に優れていた。透過スペクトルを図18に示す。
【0087】
[実施例19] カラーフィルターの製造
フタロシアニン化合物(46)の代わりに、実施例8で合成したフタロシアニン化合物(56)を使用した以外は、実施例17とまったく同様にして、カラーフィルターを作成した。このようにして得られたカラーフィルターは良好な透過率を示すと共に、耐久性に優れていた。透過スペクトルを図19に示す。
【0088】
[実施例20] カラーフィルターの製造
フタロシアニン化合物(46)の代わりに、実施例16で合成したフタロシアニン化合物(135)を使用した以外は、実施例17とまったく同様にして、カラーフィルターを作成した。このようにして得られたカラーフィルターは良好な透過率を示すと共に、耐久性に優れていた。透過スペクトルを図20に示す。
【0089】
[実施例21] カラーフィルターの製造
ポリスチレン100gに実施例4で合成したフタロシアニン化合物(46)1gを加え、加熱溶融し、射出成形によりカラーフィルターを作製した。このようにして得られたカラーフィルターは良好な透過率特性を示すと共に、耐久性に優れていた。
【0090】
[実施例22] カラーフィルターの製造
1,4−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン24.4g、1,3,5−トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアネート23.4g、及び実施例6で合成したフタロシアニン化合物(52)2g、ジブチルスズジラウレート0.06gとを混合し、均一液とした。この液をフッソ系外部離型剤で表面処理したガラスモールドと塩ビ製ガスケットよりなる鋳型の中に注入し、70℃で4時間、80℃で2時間、120℃で2時間加熱した後、冷却して離型した。得られたカラーフィルターは耐久性(耐湿熱性、耐光性)、透過率特性が良好であった。
【0091】
[実施例23] カラーフィルターの製造
4,4’−ビス(2−アミノフェノキシ)ビフェニル36.8g、DMF202g、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物39.8gよりなるポリアミド酸溶液に実施例8で合成したフタロシアニン化合物(56)3gとM/P Yellow3GSL(三井東圧染料社製)3g加え、混合した後、ガラス上にキャストし、200℃で5時間加熱処理した。このようにして得られたカラーフィルターは良好な透過率特性を示すと共に久性に優れていた。
【0092】
[実施例24] カラーフィルターの製造
実施例16で合成したフタロシアニン化合物(135)5gとM/P Yellow3GSL(三井東圧染料社製)5gをプレポリマー(大日本インキ社製、商品名:SD−17)10gに溶解し、スピナーを用いてガラス基板上に回転塗布した。85〜100℃で2〜5分プレベークし、ストライプ状パターンを有するマスクを介して高圧水銀ランプで露光(20〜30mj/cm2、2分)した。さらに、これを現像しパターンを形成した。最後に200〜230℃で10〜30分ポストベークし、ストライプ状カラーフィルターを得た。このカラーフィルターは耐久性(耐湿熱性、耐光性)、透過率特性が良好であった。
【0093】
[実施例25] 油性インク粗成物の製造
実施例8で合成したフタロシアニン化合物(56)6g、スチレンアクリル樹脂25g、ジエチレングリコールモノメチルエーテル5g、エタノール20g,メチルエチルケトン44gとを混合し、均一液とした。この液を0.5ミクロンのメンブランフィルターを用いて濾過を行いインクとした。このインクを用いてインクジェット記録の噴射試験を行ったところ、500時間後でも安定したインクの噴出が可能であった。得られた印刷物は鮮明で、高画質の印刷物が得られた。
【0094】
【発明の効果】
本発明のフタロシアニン化合物は溶解性及び吸光係数が高く、これを使用したカラーフィルターは、透過率特性、耐光性、耐熱性に優れる。また、これを用いたインクジェット記録用油性インキは、長期に亘る安定したインクの吐出を得られ、かつ長期保存安定性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で合成した化合物(2-2)の赤外吸収スペクトルである。
【図2】 実施例2で合成した化合物(37)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図3】 実施例3で合成した化合物(2-22)の赤外吸収スペクトルである。
【図4】 実施例4で合成した化合物(46)の赤外吸収スペクトルである。
【図5】 実施例4で合成した化合物(46)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図6】 実施例5で合成した化合物(2-30)の赤外吸収スペクトルである。
【図7】 実施例6で合成した化合物(52)の赤外吸収スペクトルである。
【図8】 実施例6で合成した化合物(52)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図9】 実施例7で合成した化合物(2-42)の赤外吸収スペクトルである。
【図10】 実施例8で合成した化合物(56)の赤外吸収スペクトルである。
【図11】 実施例8で合成した化合物(56)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図12】 実施例15で合成した化合物(2-61)の赤外吸収スペクトルである。
【図13】 実施例16で合成した化合物(135)の赤外吸収スペクトルである。
【図14】 実施例16で合成した化合物(135)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図15】 比較合成例1で合成した化合物(B)の赤外吸収スペクトルである。
【図16】 比較合成例1で合成した化合物(B)のトルエン溶液における吸収スペクトルである。
【図17】 実施例17で製造した、化合物(46)を含有してなるカラーフィルターの透過スペクトルである。
【図18】 実施例18で製造した、化合物(52)を含有してなるカラーフィルターの透過スペクトルである。
【図19】 実施例19で製造した、化合物(56)を含有してなるカラーフィルターの透過スペクトルである。
【図20】 実施例20で製造した、化合物(135)を含有してなるカラーフィルターの透過スペクトルである。
Claims (10)
- R5が炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12でかつ炭素原子上に更に他の置換基を有することのないアルコキシ基、フェニル基、フェニルオキシ基、ベンジル基またはベンジルオキシ基である請求項1に記載のフタロシアニン化合物。
- MがCu、Zn、Co、Ni、Pd、Pb、MnOH、AlCl、FeCl、InCl、SnCl2、VOまたはTiOである請求項1〜3いずれかに記載のフタロシアニン化合物。
- 請求項5に記載の一般式(V)で表されるフタロニトリル化合物と金属誘導体を反応させることを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)で表わされるフタロシアニン化合物の製造方法。
- 請求項1に記載の一般式(I)で表わされるフタロシアニン化合物を含有することを特徴とするカラーフィルター用色素。
- 請求項1に記載の一般式(I)で表わされるフタロシアニン化合物を含有することを特徴とするカラーフィルター。
- 有機溶媒と油溶性色素を主成分とする油性インク組成物において、油溶性色素として請求項1に記載の一般式(I)で表わされるフタロシアニン化合物を含有することを特徴とする油性インク組成物。
- 請求項9の油性インク組成物を含有することを特徴とするインクジェット記録用油性インク。
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