JP5278695B2 - 感熱記録体 - Google Patents

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Description

本発明は、高記録濃度で、記録部の耐可塑剤性、耐油性に優れ、しかも高温高湿下でも地肌かぶりが少ない感熱記録体に関する。
無色乃至は淡色のロイコ染料と該ロイコ染料の電子受容体として作用できる呈色剤とを、熱により反応させて発色させることにより記録像を得るようにした感熱記録体がよく知られている。
このような感熱記録体に用いられる呈色剤としては、記録濃度が高い記録部が得られる一方、記録部以外の地肌部では、いわゆる地肌かぶりの少ない(地肌部の白色度が高い)ものが求められる。
さらに、記録部については、種々の環境における長期間の保存性が求められることから、特に耐油性、耐可塑剤性に優れることが求められる。
このような要件を充足すべく、呈色剤、呈色助剤について、種々の提案がなされている。例えば、特開昭62−169681号(特許文献1)では、電子受容性化合物として、アリールオキシアルキルオキシ基を有するサリチル酸誘導体またはその金属塩を含有する記録材料は、フリーのカルボキシル基を有しないフェノール系化合物やアリールオキシアルキルオキシ基を有しないサリチル酸亜鉛と比べて、耐油性に優れることが開示されている。
さらに、特開平5−345742号(特許文献2)では、特定の合成方法により合成された芳香族カルボン酸亜鉛塩では、耐油性だけでなく、耐可塑剤性にも優れることが示されている。
また、特開平7−68936号(特許文献3)には、p−ニトロ安息香酸又はp−クロロ安息香酸亜鉛の水和物は、無水物に比べて、高温高湿保存下でも、地肌部の白色性が保たれ、地肌部の耐熱湿性に優れることが開示されている。
一方、特開平5−147357号(特許文献4)には、記録部の耐油性、耐可塑剤性に優れた新たな電子受容体として、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンが提案されている。
しかしながら、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン単独では、サリチル酸の金属塩と同様に、記録部の耐可塑剤性、耐油性は改善されるものの、高温高湿保存下における白紙部(地肌部)の発色がみられるなど、地肌部の耐熱湿性が劣っている。
特開昭62−169681号公報 特開平5−345742号公報 特開平7−68936号公報 特開平5−147357号公報
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、記録部の耐油性、耐可塑剤性が改善され、しかも高温高湿保存下でも地肌かぶりが問題とならない、長期保存性に優れた感熱記録体を提供することにある。
本発明の感熱記録体は、支持体上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録体において、前記呈色剤として、前記感熱記録層固形分に対して、安息香酸亜鉛を8〜30質量%、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンを2〜15質量%含有しており、好ましくは安息香酸亜鉛を8〜25質量%、および4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンを2〜12質量%含有している。
前記呈色剤は、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン及び安息香酸亜鉛を、平均粒子径0.1〜3.0μmに、同時湿式粉砕したものであることが好ましく、さらに、同時湿式粉砕後、加熱処理されていることが好ましく、前記加熱処理は30〜70℃の温度範囲で行われることが好ましい。
前記感熱記録層は、前記安息香酸亜鉛と4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの合計含有量が、前記感熱記録層固形分に対して16〜35質量%であることが好ましく、また、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンに対する安息香酸亜鉛の含有比率(安息香酸亜鉛/4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン)は、0.8〜10であることが好ましい。
また、前記感熱記録層には、さらに4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンが含有されていることが好ましい。
本発明の感熱記録体は、呈色剤として、安息香酸亜鉛及び4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンを所定範囲で含有することにより、記録部の耐油性、耐可塑剤性を有するとともに、地肌部の耐熱湿性にも優れている。
本発明の感熱記録体は、支持体上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録体において、前記呈色剤として、前記感熱記録層固形分に対して、安息香酸亜鉛及び4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンを所定範囲量含有するものである。
〔支持体〕
本発明の感熱記録体に用いられる支持体としては、特に限定しないが、例えば、中性または酸性の上質紙、合成紙、透明又は半透明のプラスチックフィルム、白色のプラスチックフィルム等が挙げられる。支持体の厚みは特に限定しないが、通常、20〜200μm程度である。
〔感熱記録層〕
感熱記録層内には、ロイコ染料、および呈色剤として、安息香酸亜鉛及び4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンが含有されている。さらに、4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンが含有されていることが好ましい。
以下、各順に説明する。
<ロイコ染料>
本発明で用いられるロイコ染料としては、各種公知のものが使用できる。ロイコ染料の具体例としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノ−ベンゾ[α]フルオラン等の青発色性染料;3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン等の緑発色性染料;3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン等の赤発色性染料;3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−フルオロフェニルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン等の黒発色性染料;3,3−ビス[1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3、6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等の近赤外領域に吸収波長を有する染料等が挙げられる。勿論、これらに限定されるものではなく、また2種類以上を併用することも可能である。
<安息香酸亜鉛>
安息香酸亜鉛は、ロイコ染料の呈色剤として含有されている。
一般に、芳香族カルボン酸亜鉛塩は、遷移金属である亜鉛原子のd軌道の電子受容能が、塩基性ロイコ染料に対し、顕色剤として機能できる。亜鉛原子のd軌道の電子吸引性は、芳香族のp位置換基の種類により異なる。電子吸引性基であるハロゲン、アルデヒド基、ニトロ基等を、p位置に有する芳香族カルボン酸は、結果として、発色性能、耐油性、耐可塑剤性といった記録部保存性に優れているが、安全性、特に廃棄物として処理される際に、塩素や窒素酸化物が排出されることから、使用しないことが求められるようになっている。ベンズアルデヒドは、このような廃棄物としての問題はないものの、高コストであり、大量に使用すると、感熱記録体の価格アップの原因となる。
この点、置換基のない安息香酸では、廃棄物の問題もなく、感熱記録体のコストアップといった問題もない。また、記録部の耐油性、耐可塑剤性が、電子吸引性基置換芳香族カルボン酸よりも劣るという点については、後述の4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンとの併用により、解決可能である。
安息香酸亜鉛は、市販の安息香酸亜鉛を使用してもよいし、安息香酸と亜鉛供給化合物から合成してもよい。安息香酸と亜鉛供給化合物の組み合わせとして含有させる場合、安息香酸と亜鉛の含有モル比率(安息香酸/亜鉛)は、1.5/1〜3.4/1、好ましくは1.8/1〜3.0/1であり、さらに好ましくは1.8/1〜2.6/1である。安息香酸と亜鉛のモル比率(安息香酸/亜鉛)を2/1付近とすることにより、芳香環に結合したカルボキシル基が亜鉛塩の状態で存在することができるので安定した状態となり、亜鉛の電子受容体効果が充分に発揮されるためではないかと考えられる。
安息香酸から安息香酸亜鉛に置換する方法としては、安息香酸のアルカリ金属塩水溶液と亜鉛供給化合物水溶液との塩交換により析出させて合成することができる。亜鉛供給化合物としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、シュウ酸亜鉛などが挙げられる。得られた安息香酸亜鉛は、水媒体中に分散した懸濁液を粉砕処理により感熱記録層塗工液に使用される。また、亜鉛供給化合物として酸化亜鉛を使用する場合は、安息香酸亜鉛は、水媒体中に安息香酸及び酸化亜鉛を、調節しようとするモル比率で混合してなる懸濁液を同時湿式粉砕することによって得ることもできる。
粉砕処理は、超音波、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、メディアレス微粒化装置などを用いて、平均粒子径が0.1〜3.0μm、好ましくは0.3〜1.5μm程度に粉砕することが好ましい。ここでいう平均粒子径は、水分散液の状態で、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500(堀場製作所社製)で測定される粉末の粒子径のメジアン径をいう。
感熱記録層中の安息香酸亜鉛の含有量は、感熱記録層固形分に対して、8〜30質量%、好ましくは8〜25質量%である。
また、感熱記録層中のロイコ染料と安息香酸亜鉛の含有比率は、特に限定しないが、一般にロイコ染料1質量部に対して0.5〜50質量部、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部程度の安息香酸亜鉛を含有することが好ましい。
<4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン>
4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンは、記録部の耐油性、耐可塑剤性に優れているが、耐油性、耐可塑剤性を満足できるレベルを確保できる量を添加すると、高温高湿保存により地肌かぶりがおこるという問題がある。しかしながら、本発明においては、安息香酸亜鉛との併用により、地肌かぶりが問題とならず、優れた記録部の耐油性、耐可塑剤性を確保することができる。
4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンは、感熱記録層中に、感熱記録層固形分に対して、2〜15質量%、好ましくは2〜12質量%含有される。15質量%を超えると、高温高湿保存後に地肌部かぶりが生じる傾向にある。一方、2質量%以下では、記録部の耐油性、耐可塑剤性改善効果が得られない。
また、感熱記録層における4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンに対する安息香酸亜鉛の含有比率(安息香酸亜鉛/4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン(質量比))は、0.8〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8である。4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの割合が多くなるにしたがって、高温高湿保存下の地肌かぶりが起きやすくなるからである。一方、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの割合が少なくなりすぎると、記録部における耐油性、耐可塑剤性の十分な改善効果が得られないからである。
さらに、前記感熱記録層固形分に対する、前記安息香酸亜鉛と4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンにの合計含有量を16〜35質量%とすることが好ましく、より好ましくは16〜30質量%である。16質量%未満では記録濃度が低く、35質量%を超えると、発色性成分が多くなってヘッドカスが発生しやすくなるからである。
さらに、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンは、平均粒子径0.1〜3.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.5μmである。
4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの粉砕処理は、安息香酸亜鉛の粉砕処理と別々に行ってもよいが、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン及び安息香酸亜鉛、好ましくは4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン、安息香酸、および酸化亜鉛の組み合わせを水媒体中に仕込み、同時湿式粉砕処理することが好ましい。同時粉砕により得られる分散液は、個別に粉砕処理して得られた分散液を混合した場合よりも、耐油性、耐可塑剤性の改善効果が高く、また可塑剤と接触させたときの地肌かぶりも少なくて済み、感熱記録体の保存性に優れている。
<4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン>
4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンは、安息香酸亜鉛及び4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンと併用する事により、未記録部(地肌部)に影響を与えることなく、発色感度を上げることができる。
4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンは、感熱記録層中、1〜15質量%含有することが好ましく、より好ましくは3〜10質量%である。
4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンは、平均粒子径0.1〜3.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.5μmである。
<増感剤>
本発明では必要に応じて、公知の増感剤を併用することもできる。かかる増感剤の具体例としては、例えば、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル等が挙げられる。
<接着成分>
感熱記録層は、以上のような成分の他、接着成分を含有する。接着成分としては、例えば酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂、完全(または部分)鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、スチレン・無水マレイン酸共重合体及びそのアルカリ塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体及びそのアルカリ塩、カゼイン、ゼラチン、酢酸ビニル樹脂系ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス、スチレン・ブタジエン共重合体系ラテックス、アクリル樹脂系ラテックス等が挙げられる。
これらの接着成分は1種又は2種以上組合わせて用いることができる。かかる接着成分は、感熱記録層の全固形分に対して10〜50質量%程度含有されることが好ましい。
<その他の成分>
さらに、感熱記録層中には、必要により助剤としてカオリン、炭酸カルシウム、無定形シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、焼成カオリン等の顔料、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド等の滑剤、蛍光染料、着色染料、紫外線吸収剤、界面活性剤、耐水化剤等が含有されていてもよい。
<塗工液の調製>
以上のような成分、すなわち、ロイコ染料、安息香酸亜鉛、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン、さらに必要に応じて4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、増感剤、接着成分、さらに必要に応じて添加させる添加物を、水媒体に分散させてなる塗工液(感熱記録層用塗工液)を調製する。
塗工液の調製にあたっては、上記のようなロイコ染料、安息香酸亜鉛、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン、4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン各々の粉体分散液をまず調製し、その後、所定割合となるように混合してもよい。安息香酸亜鉛及び4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンについては、個別に粉砕して分散液を調製するよりも、同時粉砕した分散液を調製することが好ましい。理由は明らかでないが、同時粉砕した分散液を用いる方が耐油性、耐可塑剤性、耐可塑剤性試験後の地肌かぶりに優れる。
また、同時粉砕した分散液を、さらに加熱処理することが好ましい。加熱処理をさらに行うことで、地肌部の耐熱性、耐可塑剤性試験後の地肌かぶりが向上する。詳細は不明であるが、地肌部の耐熱性、耐可塑剤性試験後の地肌かぶりが向上する理由は次のように考えられる。一般に粒子が細かくなるほど、発色感度があがるため、微細粒子では感度が高くなりすぎてヘッドの熱がかからなくても発色してしまうことがあり、これが地肌かぶりの一因となっていたが、加熱処理を行うことにより、微小粒子が凝集して、発色感度の閾値が下がり、地肌かぶりが低減したと考えられる。
同時粉砕後に行う加熱処理において、加熱温度は、特に限定しないが、通常30〜70℃、好ましくは30〜60℃である。加熱時間は、加熱温度により適宜選択され、通常40〜50℃では6〜24時間、好ましくは8〜15時間である。このような加熱処理方法は特に限定しないが、通常、上記温度範囲に設定したオーブン内に放置することにより行うことができる。
接着剤、その他の成分は、ロイコ染料、安息香酸亜鉛、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン、4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンの各分散液に、適宜含有させておくことが好ましい。
<感熱記録層の作製方法>
以上のようにして調製される感熱記録層用塗工液を、支持体の一方の面に、乾燥後の塗布量が2〜10g/m程度、好ましく2.5〜5g/m程度となるように塗工し、乾燥することで、感熱記録層が形成される。
塗工方法としては、特に限定しないが、例えばエアナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、スライドビードコーティング、オフセットグラビアコーティング、5本ロールコーティング等が挙げられる。
このようにして形成された感熱記録層は、ロイコ染料、安息香酸亜鉛、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン、必要に応じて添加される4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンが、所定割合で含有されている。
上記のようにして調製される感熱記録層用塗工液を、支持体上に直接塗工することにより、支持体上に感熱記録層を積層してもよいし、支持体上にまず下塗り層を形成し、形成された下塗り層上に感熱記録層を形成してもよい。下塗り層の介在により、感度、画質の改良等することができる。下塗り層の組成は、下塗り層を介在させる目的により適宜選択すればよいが、一般に、接着成分、顔料などが含まれる。
〔下塗り層〕
下塗り層に用いられる接着成分としては、感熱記録層で使用するような樹脂を用いることができる。すなわち、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂、完全(または部分)鹸化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、スチレン・無水マレイン酸共重合体及びそのアルカリ塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体及びそのアルカリ塩、カゼイン、ゼラチン、酢酸ビニル樹脂系ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス、スチレン・ブタジエン共重合体系ラテックス、アクリル樹脂系ラテックス等を用いることができる。
下塗り層に含有される無機顔料としては、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸アルミニウム等の金属酸化物、金属水酸化物、硫酸塩、炭酸塩などの金属化合物;無定形シリカ、焼成カオリン、タルク等の無機白色顔料などが挙げられる。これらのうち、特に焼成カオリンは、発色感度と画質バランスに優れていることから、好ましく用いられる。尚、無機顔料の粒子径としては、平均粒子径で0.5〜3.0μm程度のものが好ましい。
また、下塗り層に含有される有機顔料としては、球状樹脂粒子(所謂、密実型樹脂粒子)、中空樹脂粒子、貫通孔を有する樹脂粒子、中空樹脂粒子の一部を平面で裁断して得られるような開口部を有する樹脂粒子等が挙げられる。記録濃度を高めたい場合には、中空樹脂が好ましく用いられる。これらの樹脂粒子を構成する樹脂成分については、特に限定するものではなく、例えば、球状樹脂粒子としては、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリロニトリル等の単量体の単独重合体やこれらの単量体の共重合体等が挙げられる。中空樹脂粒子、貫通孔を有する樹脂粒子、中空樹脂粒子の一部を平面で裁断して得られるような開口部を有する樹脂粒子としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリロニトリル等の単量体の単独重合体や、これらの単量体の共重合体等が挙げられる。これらの有機顔料の平均粒子径については特に限定するものではないが、例えば、球状粒子では0.1〜2.0μm程度、中空樹脂粒子では0.5〜5.0μm程度、貫通孔を有する樹脂粒子では0.1〜2.0μm程度、開口部を有する樹脂粒子では0.3〜5.0μm程度のものが好ましく用いられる。
以上のような無機顔料の少なくとも1種と有機顔料の少なくとも1種を併用すると、記録画質により優れ、しかもヘッドマッチング性にも優れた感熱記録体が得られることからより好ましい。無機顔料と有機顔料の使用比率としては、質量比で90:10〜30:70程度が好ましく、70:30〜50:50程度がより好ましい。
下塗り層は、一般に水を分散媒体とし、無機顔料及び有機顔料から選ばれる少なくとも1種と接着剤を混合攪拌して得られる下塗り層用塗液を、支持体上に乾燥後の塗布量が2〜20g/m、好ましくは5〜15g/m程度となるように塗布乾燥して形成される。前記接着剤及び顔料の使用量としては、下塗り層全固形分に対して接着剤が5〜40質量%程度、顔料が10〜95質量%程度が好ましい。更に、下塗り層用塗液には、必要に応じて、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス等の滑剤、蛍光染料、着色染料、界面活性剤、架橋剤等の各種助剤を添加することもできる。
〔その他の層〕
さらに、感熱記録層上に、成膜性を有する接着剤を主成分とする保護層を設けてもよい。保護層用塗液は、例えば水を媒体とし、接着成分、顔料、及び必要により助剤とを混合攪拌して調製される。保護層に用いられる接着成分、顔料、助剤は、上記の感熱記録層で用いられ得るものを使用できる。
更にまた、保護層上に光沢層を設けてもよい。光沢層は、電子線または紫外線硬化性化合物を主成分とする塗液を塗布後、電子線または紫外線を照射して硬化することにより形成できる。またさらに、支持体の裏面側に帯電防止層を設けてもよい。
下塗り層、保護層、光沢層等を形成するための塗工液は、感熱記録層と同様に、ピュアブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、カーテンコーティング、オフセットグラビアコーティング等の適当な塗工方法により塗工することができ、乾燥により各層が形成される。
各層を形成した後、または感熱記録体を構成する全ての層を形成した後に、スーパーキャレンダー処理する等の感熱記録体製造分野における各種の公知処理技術を適宜付加してもよい。
なお、以下の実施例において、「部」は「質量部」を示す。
〔測定評価方法〕
(1)記録濃度
感熱記録評価機(商品名:TH−PMD、大倉電機社製)を用いて、印加エネルギー0.25mJ/ドットにて各感熱記録体を印字し、記録部及び未記録部(地肌部)の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD−914型、マクベス社)のビジュアルモードで測定した。
数値が大きい程、印字の濃度が濃いことを示しており、記録部については、実用上、1.20以上であることが必要とされる一方、地肌部については数値が小さいほど好ましく、0.2を超えると、地肌かぶりが問題となる。
(2)地肌部耐熱(湿)性
(2−1)地肌部耐熱性
70℃雰囲気下で24時間放置した後の地肌部の濃度をマクベス濃度計で測定した。地肌部濃度が0.3を超えると、使用目的によっては地肌かぶりが問題となる。
(2−2)地肌部耐熱湿性
40℃、90RH%雰囲気下で24時間放置した後の地肌部の濃度をマクベス濃度計で測定した。地肌部濃度が0.2を超えると、地肌かぶりが問題となる。
(3)記録部の耐油性
発色させた各感熱記録体をコーン油に浸し、24時間放置後に引き上げてガーゼで拭いた後の記録部の濃度(記録濃度)をマクベス濃度計で測定した。また、下記式により、記録部の保存率を求めた。油浸漬処理後の記録濃度0.6以上で、保存率50%以上であれば問題ない。
保存率(%)=測定値(記録濃度)÷処理前の記録濃度×100
(4)耐可塑剤性
ポリカーボネイトパイプ(40mmΦ)上にラップフィルム(商品名:ハイラップKMA−W、三井化学社製)を三重に巻付け、その上に発色させた各感熱記録体を載せ、更にその上にラップフィルムを三重に巻き付けて40℃で24時間放置した後の記録部及び地肌部の濃度をマクベス濃度計で測定した。また、記録部の保存率を、耐油性の場合と同様に、上記式に基づいて、算出した。
処理後の記録濃度0.6以上で、保存率50%以上であれば問題ない。また、処理後の地肌部濃度が0.2を超えると、地肌かぶりが問題となる。
(5)固形分濃度
分散液を乾燥して、固形分重量を測定し、分散液に対する重量比率(質量%)を算出した。
〔下塗り層用塗液の調製〕
球状樹脂粒子分散液(商品名:グロスデール130S、組成:スチレン、平均粒子径:0.8μm、三井化学社製、固形分濃度53質量%)90部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、エンゲルハード社製)の50%水分散液(平均粒子径:0.6μm)120部、スチレン−ブタジエン系ラテックス(商品名:L−1571、旭化成ケミカルズ社製、固形分濃度48質量%)10部、酸化澱粉の10%水溶液50部、及び水20部からなる組成物を、混合攪拌して下塗り層用塗液を得た。
〔感熱記録層用塗液の調製〕
(1)ロイコ染料分散液の調製(A液調製)
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン100部、鹸化度60モル%、重合度200のポリビニルアルコールの20%水溶液50部、天然油脂系消泡剤の5%エマルジョン20部、及び水52部からなる組成物(懸濁液)を、サンドミルによりレーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmとなる様に処理してA液を得た。
(2)呈色剤分散液の調製(B液)
(2−1)安息香酸亜鉛の分散液(b1液)
安息香酸244.2部、酸化亜鉛81.4部、鹸化度88モル%、重合度300のポリビニルアルコールの20%水溶液162.8部、天然油脂系消泡剤の5%エマルジョン65.1部、及び水169.3部からなる組成物(懸濁液)を、サンドミルにより動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500(堀場製作所社製)によるメジアン径が1.5μmとなる様に処理してb1液を得た。b1液における安息香酸に対する亜鉛のモル比率(Zn/安息香酸)は、1/2である。
尚、調製した分散液についてIR測定したところ、標準試薬(2安息香酸亜鉛)と同様のチャートが得られ、安息香酸亜鉛が生成されていることが確認できた。
(2−2)4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの分散液(b2液)
4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン100.0部、鹸化度88モル%、重合度300のポリビニルアルコールの20%水溶液50部、天然油脂系消泡剤の5%エマルジョン20部、及び水50部からなる組成物(懸濁液)を、サンドミルにより、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500(堀場製作所社製)によるメジアン径が1.5μmとなる様に処理してb2液を得た。
(2−3)4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンの分散液(b3液)
4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン100部、鹸化度88モル%、重合度300のポリビニルアルコールの20%水溶液50部、天然油脂系消泡剤の5%エマルション20部、及び水52部からなる組成物(懸濁液)を、サンドミルにより、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500(堀場製作所社製)によるメジアン径が1.5μmとなる様に処理してb3液を得た。
(2−4)安息香酸亜鉛及び4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの同時粉砕処理液(b4液)
安息香酸244.2部、酸化亜鉛81.4部、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン76.4部、鹸化度88モル%、重合度300のポリビニルアルコールの20%水溶液203.5部、天然油脂系消泡剤の5%エマルジョン81.4部、及び水211.7部からなる組成物(懸濁液)を、サンドミルにより、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500(堀場製作所社製)によるメジアン径が1.5μmとなる様に処理してb4液を得た。
(2−5)安息香酸亜鉛及び4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの同時粉砕処理液(b5液)
50℃に加熱した温水119.0部に、鹸化度88モル%、重合度300のポリビニルアルコールの20%水溶液233.6部、天然油脂系消泡剤の5%エマルジョン31.2部、ジトリデシルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:ペレックスTRB、花王社製)の5%水溶液200.0部、安息香酸200.0部、酸化亜鉛73.3部を加えて1時間攪拌した。さらに4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン188部を混合攪拌した後、サンドミルにより、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500(堀場製作所社製)によるメジアン径が1.5μmとなる様に処理してb5液を得た。
(2−6)安息香酸亜鉛及び4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの同時粉砕処理後に加熱処理を行った液(b6液)
前記で調製したb5液を、40℃にて8時間加熱してb6液とした。
(3)増感剤分散液(C液)
シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル100部、ケン化度88モル%、重合度300のポリビニルアルコールの20%水溶液50部、天然油脂系消泡剤の5%エマルジョン20部、および水52部からなる組成物(懸濁液)を、サンドミルによりレーザー回折式粒径測定器によるメジアン径(商品名:SALD2200、島津製作所社製による50%値)が1.5μmとなるように処理して50%分散液を調製した。
(4)感熱記録層用塗液の調製
ロイコ染料液(A液)25部、増感剤分散液(C液)80部、微粒子無定形シリカ(商品名:ミズカシールP−603、水澤化学社製)10部、鹸化度98モル%、重合度1000のポリビニルアルコールの25%水溶液40部、ステアリン酸アミドの分散液(商品名:G−270、固形分濃度21.5%、中京油脂社製)50部、及び水50部、及び呈色剤液としてb1〜b6液を、感熱記録層固形分に対する安息香酸亜鉛及び/又は4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの含有率が所期の値となるように選択して、含有量を調節した。
粉砕処理として個別処理を選択する場合には、呈色剤分散液としてb1〜b3液を使用し、これらをロイコ染料液、増感剤分散液と混合した。粉砕処理として同時粉砕処理を選択する場合には、b4液、b5液を使用して、ロイコ染料液、増感剤分散液と混合して、感熱記録層用塗液を調製した。また、粉砕処理として同時粉砕処理及び加熱処理を選択する場合には、b6液を使用して、ロイコ染料液、増感剤分散液と混合して、感熱記録層用塗液を調製した。
〔感熱記録体No.1〜18の作製〕
64g/mの上質紙(中性紙)の一方の面に、下塗り層用塗液を乾燥後の重量が8g/mとなるように塗布乾燥して下塗り層を形成し、次いで、この下塗り層上に、表1に示すような呈色剤含有率(感熱記録層固形分に対する質量%)となるように調製した感熱記録層用塗液を乾燥後の重量が4g/mとなるように塗布乾燥して感熱記録層を形成した後、スーパーキャレンダーを施し感熱記録体No.1〜18を作製した。No.1〜6及び13、15〜18が本発明実施例に該当する。
作製した感熱記録体No.1〜18について、上記測定評価方法に従って、記録濃度、地肌部耐熱湿性、記録部保存率、耐可塑剤性試験後の地肌部濃度を評価した。また、No.16〜18については、さらに地肌部耐熱性を評価した。結果を表1(No.1〜10)及び表2(No.11〜18)に示す。
Figure 0005278695

Figure 0005278695
表からわかるように、安息香酸亜鉛単独では、25質量%含有させた場合であっても、記録部の耐油性、耐可塑剤性を確保することができなかった(No.7)。
また、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンを単独で使用した場合、感熱記録層中、5質量%では記録濃度が低く、保存性試験後の記録部濃度を確保することができず(No.8)、15質量%以上含有させることによって耐油性、耐可塑剤性を確保することができても、地肌部耐熱湿性が問題となるレベルにまで低下した(No.9、10、11)。
一方、所定量の安息香酸亜鉛と4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンを組み合わせて用いることにより、地肌部耐熱湿性を低下させることなく、記録部の耐油性、耐可塑剤性を改善できることがわかる(No.1〜6、13、15〜18)。
ただし、安息香酸亜鉛/4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの比率が10を超えると、記録部耐油性、耐可塑剤性を十分に改善できず(No.2)、反対に上記比率が0.8未満では、地肌部の耐熱湿性が低下する傾向にある(No.4)。
さらに、安息香酸亜鉛と4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンを組み合わせて用いる場合であっても、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの含有量が20質量%の場合には、地肌部の耐熱湿性が問題となるレベルにまで低下した(No.12)。
また、安息香酸亜鉛と4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンを組み合わせて用いる場合であっても、安息香酸亜鉛の含有量が5質量%と所定量に満たない場合には、地肌部の耐熱湿性が問題となるレベルにまで低下した(No.14)。
以上から、安息香酸亜鉛及び4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンを所定範囲内(安息香酸亜鉛8〜30質量%、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン2〜15質量%、好ましくは安息香酸亜鉛8〜25質量%、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン2〜12質量%)で配合するとともに、両化合物の配合量比率(安息香酸亜鉛/4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン)を0.8〜10の範囲内とすることが好ましいことがわかる。
また、No.1とNo.5との比較から、4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンを併用することで、記録部の保存性は維持されたレベルで記録濃度が上がることがわかる。
さらに、No.1とNo.6との比較、およびNo.17とNo.18との比較から、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンと安息香酸亜鉛の粉砕を個別に行うよりも同時湿式粉砕する方が、両化合物の含有量が同じであっても、記録部の保存性、耐可塑剤性試験後の地肌かぶりが向上できることがわかる。
特に、同時湿式粉砕処理後に加熱処理を行うことで、さらに地肌かぶり(特に、高温放置後の地肌かぶり、高温高湿放置後の地肌かぶり、耐可塑剤性試験後の地肌かぶり)が向上できた(No.16)。
さらにまた、No.5とNo.15との比較とから、安息香酸亜鉛及び4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの同時湿式粉砕の効果は、4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン併用時にも得られ、4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン併用による記録濃度向上効果に影響を与えないことが確認できた。
本発明の感熱記録体は、記録部の耐油性、耐可塑剤性に優れるとともに、地肌部の耐熱湿性に優れることから、保存性が高く、しかも廃棄焼却時には環境汚染物質を排出しないので、環境に優しい感熱記録体として有用である。

Claims (8)

  1. 支持体上に、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録体において、
    前記呈色剤として、前記感熱記録層固形分に対して、安息香酸亜鉛を8〜30質量%、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンを2〜15質量%含有している感熱記録体。
  2. 前記呈色剤は、4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン及び安息香酸亜鉛を、平均粒子径0.1〜3.0μmに、同時湿式粉砕したものである請求項1に記載の感熱記録体。
  3. 前記同時湿式粉砕された呈色剤の分散液が加熱処理されている請求項1または2に記載の感熱記録体。
  4. 前記加熱処理が、30〜70℃の温度範囲で行われる請求項1〜3のいずれかに記載の感熱記録体。
  5. 前記感熱記録層は、前記感熱記録層固形分に対して、安息香酸亜鉛を8〜25質量%、および4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンを2〜12質量%含有している請求項1〜4のいずれかに記載の感熱記録体。
  6. 前記感熱記録層は、前記安息香酸亜鉛と4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンの合計含有量が、前記感熱記録層固形分に対して、16〜35質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の感熱記録体。
  7. 4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタンに対する安息香酸亜鉛の含有比率(安息香酸亜鉛/4,4’−(3−(トシル)ウレイド)ジフェニルメタン)は、0.8〜10である請求項1〜6のいずれかに記載の感熱記録体。
  8. 前記感熱記録層には、さらに4−アリルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンが含有されている請求項1〜7のいずれかに記載の感熱記録体。
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