JP4190310B2 - 感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録材料に関し、記録感度、画像の保存安定性、耐地肌カブリ性に優れた感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録材料は、一般に支持体に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体、ならびに電子受容性の顕色剤とを主成分とする感熱記録層を設けた物であり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光などで加熱することにより、染料前駆体と顕色剤とが瞬時反応し記録画像が得られるものである。このような感熱記録材料に記録するための記録機器は、比較的安価で、コンパクトで、その保守も容易なこと、騒音の発生がないこと等の利点があるため、感熱記録材料は計測記録計、ファクシミリ、プリンター、コンピューターの端末機、ラベル、乗車券の自動販売機等の記録媒体として広範囲の分野に利用されている。
【0003】
特に近年は、ガス、水道、電気料金等の領収書、金融機関のATMの利用明細書、各種レシートなど、財務関係の記録用紙にも感熱記録材料が用いられるようになっている。
【0004】
このように感熱記録材料の用途、需要が多種多様に拡大する中、高い熱応答性、ならびに画像部の保存安定性が要求されるようになってきている。
【0005】
しかしながら、感熱記録材料は、加熱により記録画像を得るものであり、高い感度、すなわち熱応答性を実現した場合、高温、高湿度または両方の条件下に長時間曝された場合、記録画像が劣化したり、未発色部の変色、すなわち地肌カブリが大きくなってしまう欠点がある。この記録画像の劣化と地肌カブリにより、画像部と地肌のコントラストが失われることになる。従って、高い熱応答性、ならびに発色濃度を有しながら地肌カブリが少なく、かつ画像の保存安定性に優れた感熱記録材料の開発が望まれている。
【0006】
高い熱応答性、ならびに発色濃度を有しながら地肌カブリが少なく、かつ画像の保存安定性に優れた感熱記録材料を得る手段として、該感熱記録層中に、電子受容性化合物としてウレアウレタン化合物を用い、さらに各種電子受容性化合物、増感剤を併用することを特徴とする感熱記録材料、例えば、ジフェニルスルホン誘導体(例えば、特許文献1参照。)、ジフェニルスルホン酸誘導体(例えば、特許文献2、3参照。)、スルホンアミド誘導体またはジフェニルスルホン誘導体とジフェニルスルホン酸誘導体の併用(例えば、特許文献4参照。)等が開示されている。
【0007】
しかしながら、該公報に記載されているウレアウレタン化合物は、電子受容性化合物として単独で使用するか、または、その他の電子受容性化合物と併用して使用する場合でも、発色感度が低いことが課題とされる。
【0008】
感熱記録材料の熱応答性を改良するために、電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とを主成分として含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料において、該感熱記録層中に該電子受容性化合物として4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを含有することを特徴とする感熱記録材料(例えば、特許文献5参照。)が提案されているが、高い熱応答性、ならびに発色濃度は得られるものの、画像部の保存安定性に優れた感熱記録材料を得るまでには至っていない。
【0009】
また、感熱記録材料の熱応答性を改良するためには、必要に応じて上記ジフェニルスルホン誘導体、スルホンアミド誘導体以外にも様々な増感剤が添加される。増感剤は、伝達された熱エネルギーによりそれ自身が融解する際、近傍の染料前駆体、ならびに電子受容性化合物を溶解、ないし内包して発色反応を促進する作用があるため、増感剤の熱応答性、ないし染料前駆体、ならびに電子受容性化合物に対する相溶性を上げることも感熱記録材料を高感度化する1つの手段である。
【0010】
本手法として、ワックス類(例えば、特許文献6参照。)、含窒素化合物、カルボン酸エステルなど(例えば、特許文献7参照。)、ナフトール誘導体(例えば、特許文献8参照。)、ナフトエ酸誘導体(例えば、特許文献9参照。)、安息香酸エステル誘導体(例えば、特許文献10参照。)、パラベンジルビフェニル(例えば、特許文献11参照。)、ジフェノキシエタン類(例えば、特許文献12参照。)を添加する例が開示されている。しかし、これらの開示された方法によって製造した感熱記録材料は、発色濃度、ならびに低温時での熱応答性がなお不充分なものである。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−1646号公報
【特許文献2】
特開2001−341424号公報
【特許文献3】
特開2002−178645号公報
【特許文献4】
特開2002−178646号公報
【特許文献5】
特開昭60−13852号公報
【特許文献6】
特開昭48−19231号公報
【特許文献7】
特開昭49−34842号公報
【特許文献8】
特開昭57−64593号公報
【特許文献9】
特開昭57−64592号公報
【特許文献10】
特開昭57−148688号公報
【特許文献11】
特開昭60−122193号公報
【特許文献12】
特開昭60−56588号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、記録部の発色濃度、保存性、耐地肌カブリ性に優れた感熱記録材料を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究した結果、上記の課題を解決することができる本発明の感熱記録材料を発明するに到った。
即ち、本発明の感熱記録材料は、電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とを主成分として含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料において、該感熱記録層中に該電子受容性化合物として、一般式(1)で表されるウレアウレタン化合物(A)と、4−ヒドロキシ−4′−アリルオキシジフェニルスルホン(B)とを含有し、(A):(B)の質量比が3:1〜1:39であることを特徴とする感熱記録材料である。
【化3】
【0014】
また、該感熱記録層中に、補助増感剤として、一般式(2)で表される飽和脂肪酸モノアミドを含有することを特徴とする前記記載の感熱記録材料である。
【化4】
(式中、R1は炭素数11〜21のアルキル基を示す。)
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の内容を更に具体的に説明する。
支持体上に電子供与性である通常無色ないし淡色である染料前駆体と、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料において、該感熱記録層中に該電子受容性化合物として、一般式(1)で表されるウレアウレタン化合物を用いることにより、他の電子受容性化合物を用いた場合と比較して、画像部の保存安定性が改善されるが、高い熱応答性、ならびに発色濃度は得られない。
しかし、本発明の感熱記録材料は、上記の一般式(1)で表されるウレアウレタン化合物に4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホンを併用することによって、該電子受容性化合物の画像部の保存安定性を損なうことなく、高い熱応答性、ならびに発色濃度が得られる。また、従来、電子受容性化合物の併用は、感熱記録材料の未発色部の白色度を低下、いわゆる地肌カブリを起こす傾向にあるが、上記の一般式(1)で表されるウレアウレタン化合物と4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホンの併用は、そのような白色度の低下が見られない上に耐熱性においても優れた白色度を有する感熱記録材料を提供する。
【0016】
該電子受容性化合物と、4−ヒドロキシ−4′−アリルオキシジフェニルスルホンの含有量質量比は、該電子受容性化合物1質量部に対して1/3〜39質量部であるが、1〜20質量部程度が好ましく、さらに好ましくは5〜10質量部程度である。
【0017】
また、本発明の感熱記録材料は、該感熱記録層中に、補助増感剤として、上記の一般式(2)で表される飽和脂肪酸モノアミドを用いる。これによって、発色感度が著しく向上する。
【0018】
本発明における感熱記録層に用いられる電子受容性化合物である上記の一般式(1)で表されるウレアウレタン化合物の具体的な例としては、4、4’−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、4、4’−ビス[(2−メチル−5−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、[4−(2−メチル−5−フェノキシカルボニルアミノフェニル)−4’−(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホンなどを挙げることができるが、本発明に係わるウレアウレタン化合物は、これに限定されるものではなく、また、これらのウレアウレタン化合物は必要に応じて単独、または2種以上併用して使用することができる。
【0019】
本発明における感熱記録層に用いられる補助増感剤である上記一般式(2)で表される飽和脂肪酸モノアミドの具体的な例としては、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラギン酸アミド、べへニン酸アミドなどを挙げることができるが、本発明に係わる飽和脂肪酸モノアミドは、これに限定されるものではなく、また、これらの飽和脂肪酸モノアミドは必要に応じて単独、または2種以上併用して使用することができる。
【0020】
本発明の感熱記録材料は、一般に支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体、及び本発明の電子受容性化合物である共反応体を主成分とし、これらをバインダーなどに分散した後、支持体上に塗工して感熱記録層を設け、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光などで加熱することにより、染料前駆体、電子受容性化合物が瞬時反応し記録画像が得られるものである。上記感熱記録層には顔料、増感剤、バインダー、酸化防止剤、及びスティッキング防止剤などが必要に応じて添加される。
【0021】
本発明の感熱記録材料に用いられる染料前駆体としては、一般に感圧記録材料、または感熱記録材料に用いられているものに代表されるが、これらに制限されることはない。
【0022】
このような染料前駆体の具体的な例を挙げれば、次の通りである。
(1)トリアリールメタン系化合物:3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリドなど、
【0023】
(2)ジフェニルメタン系化合物:4,4’−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなど、
【0024】
(3)キサンテン系化合物:ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−4−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオランなど、
【0025】
(4)チアジン系化合物:ベンゾイルロイコメチレンブルー、4−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなど、
【0026】
(5)スピロ系化合物:3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3’−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピランなどを挙げることができる。またこれらの染料前駆体は必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して使用することができる。
【0027】
本発明の感熱記録材料を構成する感熱記録層に含まれる発色成分の分散液は、発色成分を構成する化合物を乾式粉砕して分散媒中に分散する方法、または発色成分を構成する化合物を分散媒に混入し湿式粉砕する方法などにより得られる。
【0028】
該分散液中の発色成分を構成する化合物の粒径は、通常7μm以下であり、0.1〜5μmが好ましく、特に0.1〜2μmの範囲が好ましい。平均粒子径が7μmを超える場合には、光散乱が起こりやすく、感熱記録層の透明度が損なわれると共に、発色画像を得るためのエネルギーがより多く必要となる。
【0029】
本発明では、本発明の効果を阻害しない限り、従来公知の増感剤を使用することが可能である。この場合、60℃〜180℃の融点を有するものが好ましく、特に、80℃〜140℃の融点を持つものがより好ましい。具体的な例を挙げれば、次の通りである。
N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、メチレンビス水添牛脂脂肪酸アミド、リシノール酸アミドなどの脂肪酸アミド類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックスなどの合成、および天然ワックス類、N−ステアリル尿素などの脂肪族尿素化合物、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル、2,2’−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、ナフチルエーテル誘導体、アントリルエーテル誘導体、脂肪族エーテルなどのエーテル化合物、アジピン酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(4−クロルベンジル)、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)、炭酸ジフェニル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニル、4−アセチルアセトフェノンなどのエステル化合物、3−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、4−アセチルビフェニル、4−アリルオキシビフェニルなどのビフェニル誘導体、ビス(4−アリルオキシフェニル)スルホン、アセト酢酸アニリド、4−メチルアセチルアニリド、脂肪酸アニリド類などの熱可融性化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して使用することができる。
【0030】
その他本発明の感熱記録材料の感熱記録層には、顔料として、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム 、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂などの無機、ならびに有機顔料を用いることができる。その中でも特に、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、水酸化アルミニウムが好ましく用いられる。
【0031】
本発明の感熱記録材料に用いられる樹脂としては、デンプン類、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、キトサン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、ポリアクリル酸のアルカリ塩、ポリマレイン酸のアルカリ塩、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩などの水溶性樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタンなどの水分散性樹脂が挙げられる。
【0032】
その他の添加剤としては、加熱印字ヘッドの摩耗防止、またはスティッキング防止などの目的でステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレンなどのワックス類、また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの分散剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、さらにはアニオン性、ノニオン性の高分子量のものを含む界面活性剤、蛍光染料、消泡剤などを必要に応じて添加することができる。
【0033】
感熱記録層の塗工量は、通常染料前駆体の塗工量で0.1〜2g/m2が適当である。上記の範囲でより優れた熱応答性と記録画像が得られる。
【0034】
本発明の感熱記録材料は、必要に応じて支持体と感熱記録層の間に単層あるいは複数層の顔料あるいは樹脂からなるアンダーコート層を1層以上設けることができる。本発明における感熱記録材料がアンダーコート層を設けたものである場合、そのアンダーコート層の塗工量は、1〜30g/m2が好ましく、3〜20g/m2がより好ましい。
【0035】
アンダーコート層の顔料としては、一般的には焼成カオリンが用いられるが、それ以外にもケイソウ土、タルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー、有機中空粒子、有機椀型粒子、貫通孔を有する有機粒子等の有機顔料を用いることができる。
【0036】
アンダーコート層の樹脂としては、通常の塗工で用いられる種々の水溶性樹脂または水分散性樹脂を用いることができる。具体例についてはすでに述べたような感熱記録材料に用いられる樹脂が挙げられる。
【0037】
本発明の感熱記録材料は、感熱記録層を設けた後、さらにその上に水溶性樹脂または水分散性樹脂を主成分とする保護層を1層以上設けて、画像保存性を向上させることができる。保護層の乾燥塗工量は0.2〜10g/m2が好ましく、0.5〜5g/m2がより好ましい。
【0038】
保護層の水溶性樹脂または水分散性樹脂としては、従来公知の水溶性高分子または水分散性樹脂から適宜選択される。具体例についてはすでに述べたような感熱記録材料に用いられる樹脂が挙げられる。また、電子線、紫外線により皮膜を形成する樹脂を使用してもよい。
【0039】
保護層には、記録走行性、筆記性等を向上させる目的で、顔料を含有させることが可能である。顔料の具体例としては、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー等の有機顔料を使用することができる。
【0040】
また、保護層には、ヘッド摩耗防止、スティッキング防止等記録走行性向上の目的から、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン、カットワックスなどの滑剤が必要に応じて添加される。
【0041】
さらに、感熱記録層が設けられている面と反対側の面に、電気的、光学的、磁気的に情報が記録可能な材料を含んでもよい。また、感熱記録層が設けられている面と反対側の面に、インクジェットプリンター適性を有するインク受理層や、ブロッキング防止、カール防止、帯電防止を目的としたバックコート層を設けることもできる。
【0042】
感熱記録層、保護層、アンダーコート層、またはバックコート層の形成方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の技術に従って形成することができる。具体的な例としては、エアナイフ塗工、ロッドブレード塗工、バー塗工、ブレード塗工、グラビア塗工、カーテン塗工、Eバー塗工などの方法により塗工液を塗工し、乾燥により感熱記録層、保護層、アンダーコート層、またはバックコート層を形成させることができる。
【0043】
また、平版、凸版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルトなどの方式による各種印刷機などによって各層を形成しても良い。
【0044】
また、必要に応じて、アンダーコート層塗工後、感熱記録層塗工後、または保護層塗工後、スーパーカレンダー処理をし、画質を向上させることもできる。
【0045】
なお、本発明に使用される支持体としては、紙が主として用いられるが、不織布、プラスチックフィルム、合成紙、金属箔など、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを任意に用いることができる。
【0046】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。ただし、これらに限定されるものではない。なお、以下に示す「部」、ならびに「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示し、塗工量は絶乾塗工量である。
【0047】
実施例1
下塗り層用塗液の調製
焼成カオリン100部、固形分濃度50%のスチレン/ブタシエン系ラテックス24部、固形分濃度20%のリン酸エステル化澱粉30部、および水200部からなる組成物を混合攪拌して下塗り層用の塗液を得た。
【0048】
感熱記録層用塗液の調製
<分散液A>
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200g、水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が1μmになるまで粉砕し分散液Aを得た。
【0049】
<分散液B>
4、4’−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200g、水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が0.7μmになるまで粉砕し分散液Cを得た。
【0050】
<分散液C>
4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200g、水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が0.7μmになるまで粉砕し分散液Bを得た。
【0051】
<分散液D>
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200g、水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が1μmになるまで粉砕し分散液Dを得た。
【0052】
<分散液E>
非晶質シリカ200gを0.5%ポリアクリル酸ナトリウム塩水溶液800g中に分散し、ホモミキサーで10分間撹拌し分散液Dを得た。
【0053】
<分散液F>
水酸化アルミニウム200gを0.5%ポリアクリル酸ナトリウム塩水溶液800g中に分散し、ホモミキサーで10分間撹拌し分散液Dを得た。
【0054】
上記の分散液を用い、各々の素材を下記に示す割合で混合し、感熱塗工液濃度が15%水溶液になるように添加水を加え、充分撹拌して感熱記録層塗液を調製した。
分散液A 40部
分散液B 10部
分散液C 70部
分散液D 20部
分散液E 60部
分散液F 60部
40%ステアリン酸亜鉛分散液 10部
10%完全鹸化PVA水溶液 40部
【0055】
感熱記録材料の作製
坪量60g/m2の上質の中性紙の片面に、下塗り層用塗液の固形分塗抹量が10g/m2、感熱記録層用塗液の固形分塗抹量が染料前駆体の塗工量で0.3g/m2となるように順次塗布乾燥して下塗り層、感熱記録層を形成して感熱記録材料を作製した。
【0056】
実施例2
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、30%ステアリン酸アミド分散液を30部加えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0057】
実施例3
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Bの添加量を10部から13部に変更し、分散液Cの添加量を70部から67部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0058】
実施例4
実施例3の感熱記録層用塗液の調製において、30%ステアリン酸アミド分散液を30部加えた以外は、実施例3と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0059】
実施例5
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Bの添加量を10部から8部に変更し、分散液Cの添加量を70部から72部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0060】
実施例6
実施例5の感熱記録層用塗液の調製において、30%ステアリン酸アミド分散液を30部加えた以外は、実施例5と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0061】
実施例7
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Bの添加量を10部から4部に変更し、分散液Cの添加量を70部から76部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0062】
実施例8
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Bの添加量を10部から40部に変更し、さらに分散液Cの添加量を70部から40部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0063】
実施例9
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Bの添加量を10部から60部に変更し、さらに分散液Cの添加量を70部から20部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0064】
実施例10
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Bの添加量を10部から2部に変更し、さらに分散液Cの添加量を70部から78部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0065】
比較例1
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Bの添加量を10部から80部に変更し、かつ、分散液Cを加えなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0066】
比較例2
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Bを加えず、かつ、分散液Cの添加量を70部から80部に変更した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0067】
比較例3
<分散液G>
2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200g、水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が0.7μmになるまで粉砕し分散液Gを得た。
【0068】
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Cを分散液Gに置き換えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0069】
比較例4
<分散液H>
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200g、水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が0.7μmになるまで粉砕し分散液Hを得た。
【0070】
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Cを分散液Hに置き換えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0071】
比較例5
<分散液I>
ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200g、水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が0.7μmになるまで粉砕し分散液Iを得た。
【0072】
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Cを分散液Iに置き換えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0073】
比較例6
<分散液J>
2、4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200g、水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が0.7μmになるまで粉砕し分散液Jを得た。
【0074】
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Cを分散液Jに置き換えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0075】
比較例7
<分散液K>
4、4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン200gを10%スルホン基変性ポリビニルアルコール水溶液200g、水600gの混合物中に分散し、ビーズミルで平均粒子径が0.7μmになるまで粉砕し分散液Kを得た。
【0076】
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、分散液Cを分散液Kに置き換えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0077】
以上の実施例1〜10、比較例1〜7で作製した感熱記録材料を感熱記録層塗工面のベック平滑度が300〜800秒になるようにカレンダー処理した後、以下の評価に供した。評価結果を表1に示す。
【0078】
[熱応答性]
大倉電機製ファクシミリ試験機TH−PMDを用いて印字テストを行った。ドット密度8ドット/mm、ヘッド抵抗1685Ωのサーマルヘッドを使用し、ヘッド電圧21V、パルス幅1.0msecで通電して印字し、未印字部(地肌部)の濃度と印字部(記録部)の濃度をマクベスRD−918型反射濃度計(ビジュアルフィルター)で測定した。数値の大きい方が熱応答性に優れる。
【0079】
[耐可塑剤性試験]
熱応答性特性の評価で用いたパルス幅1.0msecで印字した記録部の上に軟質塩ビシートを密着させ、40℃の条件下に24時間保存した後の濃度をマクベスRD−918型反射濃度計(ビジュアルフィルター)で測定した。記録部の濃度の数値が大きいほど耐可塑剤画像保存性に優れる。
【0080】
[耐水性試験]
熱応答性特性の評価で用いたパルス幅1.0msecで印字した感熱記録材料を20℃の水道水に24時間浸漬した後、記録部の濃度をマクベスRD−918型反射濃度計(ビジュアルフィルター)で測定した。記録部の濃度の数値が大きいほど耐水画像保存性に優れる。
【0081】
[耐酒性試験]
熱応答性特性の評価で用いたパルス幅1.0msecで印字した感熱記録材料を20℃の日本酒に24時間浸漬した後、記録部の濃度をマクベスRD−918型反射濃度計(ビジュアルフィルター)で測定した。記録部の濃度の数値が大きいほど耐酒画像保存性に優れる。
【0082】
[耐熱性試験]
熱応答性特性の評価で用いたパルス幅1.0msecで印字した感熱記録材料を70℃の環境下に24時間置いた後、地肌部と記録部の濃度をマクベスRD−918型反射濃度計(ビジュアルフィルター)で測定した。地肌部の濃度の数値が小さい程、耐熱地肌部保存性に優れ、記録部の濃度の数値が大きいほど耐熱画像保存性に優れる。
【0083】
【表1】
【0084】
上記表1から明らかなごとく、支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料において、該感熱記録層中に該電子受容性化合物として、一般式(1)で表されるウレアウレタン化合物を含有する実施例1〜10は、該電子受容性化合物を含有しない比較例2と比較して、画像部の保存安定性が著しく向上しているのが判る。
【0085】
また、実施例1〜10は、本発明における感熱記録層に用いられる4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホンを含有することから、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホンを含有しない比較例1と比べて熱応答性が著しく向上しているのが判る。
【0086】
また、支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料において、該感熱記録層中に該電子受容性化合物として、一般式(1)で表されるウレアウレタン化合物に加えて、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン以外の他の電子受容性化合物を含有する比較例3〜7は、実施例1〜10と比較して、熱応答性は遜色ない程に優れるが、画像部の保存安定性が実施例1〜10より劣る上、地肌部の白さが低めで、耐熱性試験後の地肌部の白さに劣る。
【0087】
また、本発明の感熱記録材料に、更にステアリン酸アミドを加えて用いた実施例2、4、及び6は、各々、実施例1,3、及び5と比較して、熱応答性が大きく向上し、画像の保存安定性も向上している。
【0088】
【発明の効果】
支持体上に電子受容性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱時反応して該染料前駆体を発色させる電子受容性化合物とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料において、感熱記録層中に電子受容性化合物として、一般式(1)で表されるウレアウレタン化合物を用い、該電子受容性化合物と4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホンを併用することにより、熱応答性、発色濃度、画像部の保存安定性に優れ、良好な地肌白色度を有する感熱記録材料が得られる。該電子受容性化合物と、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホンの含有量質量比は、該電子受容性化合物1質量部に対して1〜20質量部程度が好ましく、さらに好ましくは、5〜10質量部程度である。
また、本発明の感熱記録材料は、該感熱記録層中に、補助増感剤として、一般式(2)で表される飽和脂肪酸モノアミドを用いることによって、発色感度が著しく向上する。
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