JP5270337B2 - 抗Aβ抗体を精製する方法 - Google Patents

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Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2005年6月17日出願の米国仮特許出願第60/691,821号明細書「Fc領域を有するタンパク質を精製する方法(METHODS OF PURIFYING Fc REGION CONTAINING PROTEINS)」の優先権を主張するものである。本願の内容全体は本明細書中に援用される。
アルツハイマー病(「AD」)は、アミロイド斑、神経原線維変化および有意な神経細胞脱落の出現によって特徴づけられる神経変性疾患である。老人斑の主要成分であるβ−アミロイドタンパク質(Aβペプチドとも称される)がアルツハイマー病の病因に関与している(セルコエ(Selkoe)(1989年) Cell 58:611〜612頁(非特許文献1);ハーディ(Hardy)(1997年) Trends Neurosci.20:154〜159頁(非特許文献2))。β−アミロイドは、培養されたニューロンにいずれも直接的に毒性を示し(ロレンツォ(Lorenzo)およびヤンクナー(Yankner)(1996年) Ann.NY Acad.Sci.777:89〜95頁(非特許文献3))、かつ様々なメディエーターを介して間接的に毒性を示す(コー(Koh)ら(1990年) Brain Research 533:315〜320頁(非特許文献4);マットソン(Mattson)ら(1992年) J.Neurosciences 12:376〜389頁(非特許文献5))ことが示されている。さらに、PDAPPマウスおよびラットモデルを含むインビボモデルによると、β−アミロイドが学習障害、認知機能の変化、および長期海馬増強の抑制に関連している(チェン(Chen)ら(2000年) Nature 408:975〜985頁(非特許文献6);ウォルシュ(Walsh)ら(2002年) Nature 416:535〜539頁(非特許文献7))。したがって、重症度を潜在的に低下させる、ひいては疾患自体を無効にするため、β−アミロイドのレベルを変更する治療法に対して多大な関心が払われている。
PDAPPマウスおよびラット実験モデルにおける研究での成功に応じて最近出てきたAD治療戦略の1つは、個人における受動免疫によりβ−アミロイドに特異的な抗体などの免疫グロブリンを提供することに関するものである(例えば、バード(Bard)ら(2000年) Nat.Med.6:916〜919頁(非特許文献8)およびバード(Bard)ら(2003年) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:2023〜2028頁(非特許文献9)を参照)。最近、アルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデルにおいて受動免疫によるAβの低下によりシナプス変性の進行性消失に対する保護がなされることも示されている(ブッチーニ(Buttini)ら(2005年) J.Neurosci.25:9096〜101頁(非特許文献10))。
組換え技術における最近の進歩により、仮想的に任意の標的、例えば癌細胞、細菌、およびウイルスに対する抗体の産生が可能になっている。典型的には、抗体を高レベルに発現するように設計されている細胞株を用いて抗体が産生される。次いで、設計された細胞株は、糖類、アミノ酸、および成長因子の複合混合物、ならびに例えば血清タンパク質を含む様々なタンパク質を含む培養物中で成長される。しかし、完全抗体を細胞副産物および培養物成分から分離して研究用途にまたは治療薬として十分な純度に高めることは大変な課題をもたらす。もし抗体がヒトへの投与用の薬剤として用いられるものである場合、抗体分子の精製は特に重要である。
従来の抗体精製スキーム(またはトレイン)は、様々な不純物の結合または保持と比較して、抗体分子が優先的に結合する能力またはクロマトグラフィーカラムの固相(または官能化された固相)によって保持される能力を探索するクロマトグラフィーステップを含むことが多い。抗体精製のためのスキームが提案または実施されており、ここでは、まずCH2/CH3領域を含有するタンパク質の固相上に固定化されたプロテインAへの結合後、固相に結合された不純物が疎水性電解質溶媒での固相の洗浄によって除去され、続いてCH2/CH3領域を含有するタンパク質が固相から回収される。しかし、これらのスキームは、CH2/CH3領域を含有するタンパク質への優先的結合に用いられる条件が不純物(例えば、不完全なCH2/CH3領域を有する抗体)に対する結合も支持するという点で限定的である。ヒト治療薬の開発においては、かかる不純物は極めて不都合なものである。
Selkoe(1989年)Cell 58:611〜612頁 Hardy(1997年)Trends Neurosci.20:154〜159頁 LorenzoおよびYankner(1996年)Ann.NY Acad.Sci.777:89〜95頁 Kohら(1990年)Brain Research 533:315〜320頁 Mattsonら(1992年)J.Neurosciences 12:376〜389頁 Chenら(2000年)Nature 408:975〜985頁 Walshら(2002年)Nature 416:535〜539頁 Bardら(2000年)Nat.Med.6:916〜919頁 Bardら(2003年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:2023〜2028頁 Buttiniら(2005年)J.Neurosci.25:9096〜101頁
したがって、細胞培養物内で生成される、定常領域を有するタンパク質またはポリペプチド、特にFc領域(例えば抗体)を有するタンパク質の精製における改善に対する必要性が存在する。
(発明の要旨)
本発明は、Aβ結合タンパク質、特に、Aβ結合抗体を精製する方法を特徴とする。本発明の方法は、ヒトへの投与のために開発されたタンパク質(例えば抗体)の精製に特に適する。特に、本発明は、細胞培養物中に産生される、定常領域を有するタンパク質、特にFc領域を有するタンパク質(例えば抗体)の精製を特徴とする。
様々な態様では、本発明は、抗−Aβ抗体など、Fc領域を有するAβ結合タンパク質を、そのタンパク質および1種もしくは複数種の不純物を含有するソース液体から分離するための方法を特徴とする。本発明の方法では、Aβ結合タンパク質はFc結合剤に吸着され、次いでFc結合剤を二価カチオン塩を含有する緩衝溶液で洗浄することで、1種もしくは複数種の不純物が除去される。次いで、タンパク質は溶出溶液中のFc結合剤から回収される。本発明の方法は、イントロンリードスルー(intron read through)変種(IRT)、アンダージスルフィド結合種(under disulfide bonded species)(UDB)および/または低分子量変種(LMW)などの不純物を除去するのに特に有用である。本発明の方法はまた、宿主細胞タンパク質(HCP)およびDNAなどの不純物の除去において有効である。
本発明の方法は1つもしくは複数のクロマトグラフィー分離ステップを含み、さらに1つもしくは複数の濾過ステップを含みうる。クロマトグラフィー分離ステップは、連続または不連続(例えばバッチアプローチ)またはそれらの組み合わせでありうる。様々な実施形態では、例えば、本方法に1つもしくは複数の濾過ステップが含まれることで、ウイルスが除去され、標的タンパク質を含有する溶液が濃縮、緩衝化され、かつ微生物汚染物質が除去される。
様々な実施形態では、抗−Aβ抗体は、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体である。一部の実施形態では、抗−Aβ抗体は、Aβの残基1〜7、1〜5、3〜7、3〜6、13〜28、15〜24、16〜24、16〜21、19〜22、33〜40、33〜42内のエピトープに特異的に結合する抗体である。典型的な抗Aβ抗体は、例えばAβの残基1〜7、1〜5、3〜7、または3〜6内など、Aβの残基1〜10内のエピトープに特異的に結合する。他の典型的な抗Aβ抗体は、例えばAβの残基16〜21または19〜22内など、Aβの残基13〜28内のエピトープに特異的に結合する。さらに他の典型的な抗Aβ抗体は、例えばAβの33〜40または33〜42など、AβのC−末端エピトープに特異的に結合する。一部の実施形態では、抗Aβ抗体は、Aβの残基1〜7内および残基13〜28内を含む不連続エピトープに結合する。他の実施形態は、抗−Aβ抗体のFab断片、Fab’(2)断片またはFv断片を特徴とする。一部のかかる実施形態では、抗体は二重特異性抗体(bispecific antibody)であるかまたは国際公開第03/070760号パンフレットに記載のプロセスによって作製される抗体である。
抗体は、好ましい実施形態ではヒト化抗−Aβ抗体であり、特定の実施形態では、3D6、10D5、12B4、12A11、15C11および266からなる群から選択される抗−Aβ抗体である。抗体のアイソタイプは、IgM、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4または任意の他の医薬的に許容できるアイソタイプでありうる。好ましい実施形態では、アイソタイプはヒトIgGlまたはヒトIgG4である。
様々な実施形態では、Aβ結合タンパク質は組換え生成される。様々な実施形態では、Aβ結合タンパク質はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内で組換え生成される。
様々な実施形態では、1種もしくは複数種の不純物としては、1種もしくは複数種の宿主細胞タンパク質、宿主細胞DNA、細胞培養物タンパク質、Aβ結合タンパク質の望ましくない種、およびこれらの混合物が挙げられる。例えば様々な実施形態では、Aβ結合タンパク質の望ましくない種としては、イントロンリードスルー配列を有する1種もしくは複数種の抗体鎖またはその断片、不適切なジスルフィド結合を有する1種もしくは複数種の抗体鎖またはその断片、半抗体またはその断片、軽鎖二量体またはその断片、および重鎖二量体またはその断片が挙げられる。
一態様では、本発明の方法は、Aβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体を、まずタンパク質をFc結合剤に吸着させた後、Fc結合剤を二価カチオン塩を含有する緩衝溶液で洗浄して1種もしくは複数種の不純物を除去し、その後にタンパク質をFc結合剤から回収することにより、タンパク質および1種もしくは複数種の不純物を含有するソース液体から精製するものである。様々な実施形態では、タンパク質をFc結合剤に吸着させるステップとFc結合剤を二価カチオン塩を含有する緩衝溶液で洗浄するステップは、約2℃〜約24℃の範囲内の温度で行われる。様々な実施形態では、タンパク質をFc結合剤から回収するステップは、約2.0〜約6.5の範囲内のpHを有する溶出緩衝液を用いてタンパク質を溶出するステップを含む。
様々な実施形態では、Fc領域結合剤はプロテインAおよびプロテインGのうちの1種もしくは複数種を含有する。好ましい実施形態では、Fc結合剤は固相上に固定化される。この固相は、例えばビーズ、アガロースマトリックス、シリカ、およびそれらの混合物の1種もしくは複数種を含有しうる。
Fc結合剤を洗浄するのに用いられる緩衝液中に存在する二価カチオン塩は、例えばカオトロピック塩を含みうる。洗浄緩衝溶液の調製に適する二価カチオン塩としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ニッケルおよびそれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。様々な実施形態では、洗浄緩衝溶液の調製に適する二価カチオン塩としては、二価グループII(divalent group II)(例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウムなど)カチオン、二価遷移金属(例えば、銅、ニッケル、マンガンなど)カチオンのチオシアン酸塩(SCN-)、過塩素酸塩(ClO4 -)、硝酸塩(NO3 -)、塩化物塩および臭化物塩、ならびにこれらの塩の組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
様々な実施形態では、二価カチオン塩を含有する緩衝溶液は約4〜約9、一部の実施形態では約4〜約8、約4.5〜約7.5または約6〜約8の範囲内のpH値を有する。本明細書に示される範囲内に含まれる値および範囲ならびに/または同範囲内の中間値もまた、本発明の範囲内にあるように意図されている。例えば、二価カチオン塩は約7.1〜約7.9、約7.2〜約7.9、約7.3〜約7.7、約7.4〜約7.6、約4〜約5、約5〜約6、約6〜約7、または約8〜約9のpH値を有する。
さらに、本明細書で列挙される値を上限または下限として有する範囲は、本発明の範囲内にあるように意図されている。例えば、二価カチオン塩は、少なくとも約(または約)4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、または8のpHを有する。
様々な実施形態では、緩衝溶液は、約0.1M〜約5Mおよび一部の実施形態では約0.5M〜約3M、約1.0M〜約3Mまたは約0.6M〜約2.5Mの範囲内の二価カチオン塩濃度を有する。例えば、二価カチオン緩衝液は、少なくとも約0.6MのCaCl2または少なくとも約2MのMgCl2または少なくとも約2MのCaCl2を含有しうる。本明細書に示される範囲内に含まれる値および範囲ならびに/または同範囲内の中間値もまた、本発明の範囲内にあるように意図されている。例えば、緩衝溶液は、約0.5M〜約0.75M、約0.5M〜約0.8M、約0.5M〜約0.9M、約0.5M〜1.0M、約0.5M〜2M、約1.5M〜約2.0M、約1.5M〜約2.5M、約1.5M〜約3.0M、または約2.5M〜約3Mの二価カチオン塩濃度を有する。
さらに、本明細書で列挙される値を上限または下限として有する範囲は、本発明の範囲内にあるように意図されている。例えば、緩衝溶液は、少なくとも約(または約)0.6M、1M、1.5M、2M、2.5M、または3Mの二価カチオン塩濃度を有する。様々な実施形態では、二価カチオン塩を含有する緩衝溶液は約2℃〜約24℃の範囲内の温度を有する。
様々な実施形態では、抗体をFc結合剤から回収するステップは、約2.0〜約6.5の範囲内、好ましくは約2.0〜約4.0の範囲内、より好ましくは約2.5〜約3.5の範囲内のpHを有する溶出緩衝液を用いて抗体を溶出するステップを含む。本明細書に示される範囲内に含まれる値および範囲ならびに/または同範囲内の中間値もまた、本発明の範囲内にあるように意図されている。例えば、溶出緩衝液は約2〜約3または約3〜約4のpHを有する。
さらに、上限または下限として本明細書で列挙される値を有する範囲は、本発明の範囲内にあるように意図されている。例えば、溶出緩衝液は少なくとも約(または約)2、2.5、3、3.5または4のpHを有する。
様々な実施形態では、Fc結合剤のクロマトグラフィーステップに先立ちまたはその後に、回収されたタンパク質にさらなる精製ステップを施してもよい。例えば、典型的なさらなる精製ステップとしては、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、固定化金属親和性クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、透析、親和性クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム沈殿、エタノール沈殿、逆相HPLC(RP−HPLC)、クロマトフォーカシング、限界濾過、透析濾過(diafiltration)、精密濾過(microfiltration)、およびゲル濾過が挙げられるがこれらに限定されない。様々な実施形態では、Fc結合剤のクロマトグラフィーステップの後にアニオン交換クロマトグラフィーおよびHICステップが行われる。様々な実施形態では、クロマトグラフィーステップの後にさらに、ウイルス濾過ステップ、限界濾過/透析濾過ステップ、および/または微生物汚染物質濾過ステップが行われる。
一態様では、本発明は、Aβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体をその不純物を含有する溶液から精製するための方法を提供する。様々な実施形態では、方法は、まずタンパク質をFc結合剤に吸着させるステップと、その後のFc結合剤を二価カチオン塩を含有する緩衝溶液で洗浄することで1種もしくは複数種の不純物を除去するステップと、それに続くタンパク質をFc結合剤から回収することで第1の溶離液プールを生成するステップとを含む。
様々な実施形態では、精製プロセスは、標的タンパク質が樹脂に吸着しないようにイオン交換樹脂と第1の溶離液プールとの接触により第1の溶離液プールにイオン交換クロマトグラフィーを施すステップと、貫流する標的タンパク質を回収して第2の溶離液プールを生成するステップにより継続する。様々な実施形態では、イオン交換クロマトグラフィーステップは、イオン交換樹脂を緩衝化洗浄溶液で洗浄し、任意の吸着された標的タンパク質の少なくとも一部を回収するステップをさらに含む。
様々な実施形態では、精製プロセスは、標的タンパク質の疎水性相互作用樹脂(例えば、疎水性リガンド(配位子)で機能化(官能化)された固相)への吸着により第2の溶離液プールに疎水性相互作用クロマトグラフィーを施すステップと、標的タンパク質を実質的に溶出しないイオン強度を有する緩衝化洗浄溶液で疎水性相互作用樹脂を洗浄するステップと、精製された標的タンパク質を回収するステップ(典型的には標的タンパク質を疎水性相互作用樹脂から脱着するのに十分に低いイオン強度を有する溶出緩衝液を用いる)により継続する。
本発明の様々な態様の好ましい実施形態では、Fc結合剤は固相上に固定化され、それは好ましくはソース液体との接触に先立ち適切な緩衝液で平衡化される。固相は、好ましくはFc結合剤を固定化するアガロースを含むカラムである。様々な実施形態では、カラムがグリセリンなどの試薬でコーティングされることで、カラムに対する非特異的付着性が低下するかまたは阻止される。
様々な実施形態では、本発明の方法により精製されるタンパク質を、医薬的に許容できる担体中に調合し、かつかかる分子において既知の様々な診断用途、治療用途または他の用途に用いることが可能である。
様々な態様では、本発明は、Aβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体を同タンパク質とそのイントロンリードスルー変異体(IRT)を含有する溶液から精製するための方法を提供する。特徴的な態様では、本発明の方法を用いることで、タンパク質調製物中、例えば抗体調製物中の1種もしくは複数種のイントロンリードスルー変種のレベルが低下する。様々な実施形態では、Fc結合剤から回収されたタンパク質のイントロンリードスルー変異体のレベルがソース液体中のイントロンリードスルー変異体のレベルの少なくとも1/5未満であり、一部の実施形態ではソース液体中のイントロンリードスルー変異体のレベルの少なくとも1/10未満である。様々な実施形態では、イントロンリードスルー変異体は、Fc結合剤から回収された前記タンパク質を含有する溶液中で前記タンパク質の種の約1.0%未満、約0.8%未満、約0.5%未満、約0.2%未満または約0.1%未満のを含む。
様々な態様では、本発明は、Aβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体を同タンパク質とその低分子量変異体(LMW)を含有する溶液から精製するための方法を提供する。特徴的な態様では、本発明の方法を用いることで、タンパク質調製物中、例えば抗体調製物中の1種もしくは複数種の低分子量変種のレベルが低下する。様々な実施形態では、Fc結合剤から回収されたタンパク質が有する低分子量変異体のレベルがソース液体中の低分子量変異体のレベルの少なくとも1/5未満であり、一部の実施形態ではソース液体中の低分子量変異体のレベルの少なくとも1/10未満である。様々な実施形態では、低分子量変異体は、Fc結合剤から回収された前記タンパク質を含有する溶液中で前記タンパク質の種の約1.0%未満、約0.8%未満、約0.5%未満、約0.2%未満または約0.1%未満を含む。
様々な態様では、本発明は、Aβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体をタンパク質とそのアンダージスルフィド結合変異体(UDB)を含有する溶液から精製するための方法を提供する。特徴的な態様では、本発明の方法を用いることで、タンパク質調製物中、例えば抗体調製物中の1種もしくは複数種のアンダージスルフィド結合変種のレベルが低下する。様々な実施形態では、Fc結合剤から回収されたタンパク質が有するアンダージスルフィド結合変異体のレベルがソース液体中のアンダージスルフィド結合変異体のレベルの少なくとも1/5未満であり、一部の実施形態ではソース液体中のアンダージスルフィド結合変異体のレベルの少なくとも1/10未満である。様々な実施形態では、アンダージスルフィド結合変異体は、Fc結合剤から回収された前記タンパク質を含有する溶液中での約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満または約1%未満の前記タンパク質の種を含む。
別の態様では、本発明は、最初にタンパク質をFc結合剤に吸着させるステップと、その後のFc結合剤を二価カチオン塩を含有する緩衝溶液で洗浄して1種もしくは複数種の不純物を除去するステップと、その後のタンパク質をFc結合剤から回収するステップとを少なくとも含む方法のいずれかに従って精製されるAβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体を提供する。様々な実施形態では、抗−Aβ抗体は3D6、10D5、12B4、12A11、15C11および266からなる群から選択されるヒト化抗−Aβ抗体である。様々な実施形態では、抗−Aβ抗体は3D6、10D5、12B4、および12A11からなる群から選択されるヒト化抗−Aβ抗体である。
別の態様では、本発明は、最初に抗−Aβ抗体など、Fc領域を有するAβ結合タンパク質をFc結合剤に吸着させるステップと、その後のFc結合剤を二価カチオン塩を含有する緩衝溶液で洗浄して1種もしくは複数種の不純物を除去するステップと、その後のタンパク質をFc結合剤から回収するステップとを少なくとも含む方法のいずれかを実施するのに適する系を提供する。
別の態様では、本発明は、最初にAβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体をFc結合剤に吸着させるステップと、その後のFc結合剤を二価カチオン塩を含有する緩衝溶液で洗浄して1種もしくは複数種の不純物を除去するステップと、その後のタンパク質をFc結合剤から回収するステップとを少なくとも含む方法のいずれかを実施するための精製順序(train)を提供する。
本発明はまた、様々な態様では、1つもしくは複数の本発明の方法を実施するのに用いられるキットを特徴とする。様々な実施形態では、キットは少なくとも1種の試薬およびキットの使用説明書を含む。例えばキットは、例えばAβ結合タンパク質、例えば抗−Aβ抗体を精製することを目的とした、Fc結合剤、二価カチオン塩および二価カチオン塩を含有する緩衝化洗浄溶液を調製するための試薬などの1種もしくは複数種の試薬をキットの使用説明書とともに含みうる。
(発明の詳細な説明)
本発明のさらなる説明に先立ち、本明細書で用いられる特定の用語の定義を示すことは、その理解に役立つものでありうる。本明細書で示される定義は分類されているものであり、これはあくまで参照を容易にするためであって限定を目的とするものではない。
(タンパク質に関連する定義)
本発明は、Aβ結合タンパク質、特にAβ結合抗体を精製する方法を特徴とする。特に本発明は、細胞培養物内で生成される、定常領域を有するタンパク質、特にFc領域を有するタンパク質(例えば抗体)の精製を特徴とする。様々な態様では、本発明は、抗−Aβ抗体などのFc領域を有するAβ結合タンパク質を、タンパク質およびその1種もしくは複数種のリードスルー変異体、例えばイントロンリードスルー変異体などを含有する溶液から精製するための方法を提供する。特徴的な態様では、本発明の方法を用いることで、タンパク質調製物中、例えば抗体調製物中での1種もしくは複数種のイントロンリードスルー(IRT)変種のレベルが低下する。「イントロンリードスルー変異体」および「イントロンリードスルー変種」という用語は、本明細書で同義的に用いられ、Aβ結合タンパク質の合成においてポリペプチド鎖伸長がコーディング領域上流のイントロン内の停止コドンによってコーディング領域の転写の上流で終結する場合のプロセスの産物を示す。産物は、1つもしくは複数の不完全なドメインを有するかまたはそのドメインを欠いた目的タンパク質の変異体(すなわちイントロンリードスルー変異体)である。かかるイントロンは、数種の異なるイントロンリードスルー変異体を生成する可能性をもたらす2つ以上の停止コドンを有しうる。
「アンダージスルフィド結合変異体」(または「UDB」)という用語は、少なくとも1つのジスルフィド結合が欠けている場合の任意の種を示す。欠けているジスルフィド結合は、鎖間ジスルフィド結合または鎖内ジスルフィド結合またはその2つの組み合わせでありうる。
「低分子量種」または「LMW」種という用語は、遊離重鎖、遊離軽鎖、IRT種、半分子、および3/4(three−quarters)分子、またはそれらの混合物からなるタンパク質種が挙げられる、Aβ結合タンパク質、例えば抗−Aβ抗体の変異体を示す。
プロテインAは、抗体のFc領域に高親和性(ヒトIgGに対して約10-8M)結合する黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureas)の大部分の株内に見出される約42kDの細胞壁タンパク質である。本明細書で用いられる「プロテインA」という用語は、CH2/CH3領域を有するタンパク質に対する結合能を保持する、その天然ソースから回収されたプロテインA、(例えば、ペプチド合成、組換え技術などにより)合成的に生成されたプロテインA、およびそれらの変異体を包含する。
プロテインGは、グループGの連鎖球菌(streptococci)由来の細胞壁タンパク質である。プロテインGは、抗体、特にIgG抗体のFc領域に高親和性結合するタイプIIIのFc受容体である。本明細書で用いられる「プロテインG」という用語は、Fc領域を有するタンパク質に対する結合能を保持する、その天然ソースから回収されたプロテインG、(例えば、ペプチド合成、組換え技術などにより)合成的に生成されたプロテインG、およびそれらの変異体を包含する。
「β−アミロイドタンパク質」、「β−アミロイドペプチド」、「β−アミロイド」、「Aβ」および「Aβペプチド」という用語は、本明細書で同義的に用いられる。
本明細書で用いられる「Aβ結合タンパク質」という用語は、Aβペプチドまたは前記Aβペプチド内部のエピトープに特異的に結合し得るかまたはAβに対してかなり高い結合親和性を有することが可能なタンパク質を示すように意図されている。典型的な実施形態では、Aβ結合タンパク質は、本発明の方法に記載のFc結合剤に結合可能であるようにFc領域を有する。
(本明細書で同義的に用いられる)「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は、2つの重鎖と2つの軽鎖からなる基本的な4つのポリペプチド鎖構造を有する抗原結合タンパク質を示し、前記鎖は例えば鎖間ジスルフィド結合によって安定化され、このタンパク質は抗原に対する特異的な結合能を有する。重鎖と軽鎖の双方はドメイン内に折り畳まれる。「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は、(完全長モノクローナル抗体を含む)モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、キメラ抗体、CDR−移植抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および一本鎖抗体(scFv)を含む。本明細書で用いられる「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、標的抗原の特定のエピトープ、例えばAβのエピトープを認識および結合可能な唯一の種の抗原結合部位を有する抗体分子の集団を示す。したがって、モノクローナル抗体組成物は、典型的にはその免疫反応相手の特定の標的抗原に対して単一の結合特異性および親和性を示す。非ヒト抗体は、例えば米国特許第5,225,539号明細書中に記載の技術により「ヒト化」可能である。一方法では、非ヒトCDRはヒト抗体または共有抗体のフレームワークのコンセンサス配列内に挿入される。次いで、さらなる変更を抗体フレームワークに導入することで親和性または免疫原性を調節することが可能である。
「抗−Aβ抗体」という用語は、ヒトアミロイド前駆体タンパク質(APP)のAβペプチドに対して結合特異性を有する抗体を示すように意図されている。Aβペプチドは、当該技術分野でβ−アミロイドペプチドとしても知られている。Aβペプチドは、APPの39〜43個のアミノ酸(それぞれAβ39、Aβ40、Aβ41、Aβ42およびAβ43)の約4kDの内部断片である。「抗−Aβ抗体」という用語は、これらの形態のAβペプチドのいずれかに対して結合特異性を有する抗体を包含するように意図されている。目的の特異的な抗−Aβ抗体としては、3D6、10D5、12B4、12A11、15C11および266、ならびにそれらのヒト化バージョンが挙げられるがこれらに限定されない。典型的な抗−Aβ抗体が、2001年12月6日出願の米国特許出願第10/010,942号明細書(米国特許出願公開第2003/0165496A1号明細書;PCT公報第2002/46237A2号パンフレットも参照);2003年3月12日出願の米国特許出願第10/388,389号明細書(米国特許出願公開第2004/0087777A1号明細書;PCT公報第2004/080419A2号パンフレットも参照);2003年3月12日出願の米国特許出願第10/388,214号明細書(米国特許出願公開第2004/0082762A1号明細書;PCT公報第2003/077858A2号パンフレットも参照);2004年6月1日出願の米国特許出願第10/858,855号明細書(米国特許出願公開第2005/0118651Al号明細書;PCT公報第2004/108895A2号パンフレットも参照);および2005年12月15日出願の米国特許出願第11/304,986号明細書(国際出願PCT/US05/45515号明細書も参照)において記載されており、それら全部の内容全体は参照により本明細書により援用される。
さらなる典型的な抗−Aβ抗体は、2001年2月26日出願の米国特許出願第10/226,435号明細書(米国特許出願公開第2004/0043418Al号明細書;PCT公報第01/062801A2号パンフレットも参照)、2002年8月14日出願の米国特許出願第10/487,322号明細書(米国特許出願公開第2004/0192898A1号明細書;PCT公報第03/016466A2号パンフレットも参照);2002年4月26日出願の米国特許出願第10/476,265号明細書(米国特許出願公開第2005/0090648A1号明細書;PCT公報第02/088306A2号パンフレットも参照);2002年4月26日出願の米国特許出願第10/497,475号明細書(米国特許出願公開第2005/0142131A1号明細書;PCT公報第02/088307A2号パンフレットも参照);および2003年2月20日出願の米国特許出願第10/505,313号明細書(米国特許出願公開第2005/0169925号明細書;PCT公報第03/070760A2号パンフレットも参照)において記載されている。
「抗体断片」という用語は、無傷(intact)もしくは完全な抗体または抗体鎖よりも少ないアミノ酸残基を含む抗体または抗体鎖の部分を示す。断片は、無傷のあるいは完全な抗体または抗体鎖の化学処理または酵素処理を介して取得可能なものである。断片は組換え手段によっても取得可能である。典型的な断片としては、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fabc断片および/またはFv断片が挙げられる。Fab断片を作製するための方法は、例えばフセ(Huse)ら(1989年) Science 246:1275〜1281頁)に記載されている。他の抗体断片は、当該技術分野で既知の技術により産生可能であり、この断片としては、(i)抗体分子のペプシン消化により生成されるF(ab’)2断片、(ii)F(ab’)2断片のジスルフィド橋の還元により生成されるFab断片、(iii)抗体分子のパパインおよび還元剤を用いた処理により生成されるFab’断片、ならびに(iv)Fv断片が挙げられるがこれらに限定されない。「抗原結合断片」という用語は、抗原に結合するかまたは特異的な抗原結合のためのそれら断片の誘導源である無傷の抗体と競合する、免疫グロブリンまたは抗体のポリペプチド断片を示す。
「ドメイン」という用語は、例えばβ−プリーツシートおよび/または鎖内ジスルフィド結合により安定化されたペプチドループを含む(例えば3〜4つのペプチドループを含む)重鎖または軽鎖ポリペプチドの球状領域を示す。ドメインは本明細書では「定常」または「可変」とも称され、それは、「定常」ドメインの場合には、様々なクラスメンバーのドメイン内部の配列変異の相対的欠如に基づいている一方、「可変」ドメインの場合には、様々なクラスメンバーのドメイン内部の有意な変異に基づいている。軽鎖上の「定常」ドメインは、「軽鎖定常領域」、「軽鎖定常ドメイン」、「CL」領域または「CL」ドメインと同義的に称される。重鎖上の「定常」ドメインは、「重鎖定常領域」、「重鎖定常ドメイン」、「CH」領域または「CH」ドメインと同義的に称される。軽鎖の「可変」ドメインは、「軽鎖可変領域」、「軽鎖可変ドメイン」、「VL」領域または「VL」ドメインと同義的に称される。重鎖上の「可変」ドメインは、「重鎖可変領域」、「重鎖可変ドメイン」、「VH」領域または「VH」ドメインと同義的に称される。
「領域」という用語は、抗体鎖または抗体鎖ドメインの部分(例えば、本明細書で定義される、重鎖または軽鎖の部分あるいは定常または可変ドメインの部分)、ならびに前記鎖またはドメインのより分散した部分も示しうる。例えば、軽鎖および重鎖または軽鎖および重鎖の可変ドメインとしては、本明細書で定義される、「フレームワーク領域」または「FR」内に分散した「相補性決定領域」または「CDR」が挙げられる。
「高次構造」という用語は、例えば、抗体、抗体鎖、それらのドメインまたは領域などのタンパク質またはポリペプチドの三次構造を示す。例えば、「軽(または重)鎖高次構造」という表現は軽(または重)鎖可変領域の三次構造を示し、「抗体高次構造」または「抗体断片高次構造」という表現は抗体またはその断片の三次構造を示す。
抗体の「特異的結合」という用語は、抗体が特定の抗原またはエピトープに対してかなり高い親和性を示し、一般に有意な交差反応性を示さないことを意味する。典型的な実施形態では、抗体は交差反応性を全く示さない(例えば、非AβペプチドまたはAβ上の離れたエピトープと交差反応しない)。「かなり強い」または好ましい結合としては、少なくとも10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、または10-10Mの親和性での結合が挙げられる。10-7Mよりも高い、好ましくは10-8Mよりも高い親和性がより好ましい。本明細書で示される値の中間値もまた本発明の範囲内にあるように意図されており、好ましい結合親和性としては、例えば10-6〜10-10M、好ましくは10-7〜10-10M、より好ましくは10-8〜10-10Mといった親和性の範囲として示されうる。「有意な交差反応性を示さない」抗体は、望ましくない実体(例えば、望ましくないタンパク質、ポリペプチド、またはペプチド)にあまり強く結合することのない抗体である。例えば、Aβに特異的に結合する抗体は、Aβにかなり強く結合するが非Aβタンパク質またはペプチド(例えば、斑内に含まれる非Aβタンパク質またはペプチド)との反応性は有意でないことになる。例えば、特定のエピトープに特異的な抗体においては、同じタンパク質またはペプチド上での遠隔かまたは異なるエピトープとの交差反応性は有意でない。特異的結合については、かかる結合を測定するための任意の当該技術分野で認められた手段により測定可能である。好ましくは、特異的結合はスキャッチャード(Scatchard)分析および/または競合的結合アッセイにより測定される。
「二重特異性」または「二官能性」免疫グロブリンまたは抗体以外では、免疫グロブリンまたは抗体が有する各結合部位は同一であると理解されている。「二重特異性」または「二官能性抗体」は、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工的なハイブリッド抗体である。ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結が挙げられる種々の方法により、二重特異性抗体を産生することが可能である。例えば、ソングシヴィライ(Songsivilai)およびラックマン(Lachmann)、Clin.Exp.Immunol.79:315〜321頁(1990年);コステルニー(Kostelny)ら、J.Immunol.148、1547〜1553頁(1992年)を参照のこと。
「抗原」は、抗体の特異的結合対象である抗原決定基を有する分子(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、または小分子)である。
「エピトープ」または「抗原決定基」という用語は、免疫グロブリンまたは抗体(またはその抗原結合断片)の特異的結合対象である抗原上の部位を示す。エピトープは、タンパク質の三次元折り畳みによって並列された隣接アミノ酸または非隣接アミノ酸の双方から形成されうる。隣接アミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には変性溶媒に暴露された状態で保持される一方、三次元折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的には変性溶媒での処理時に失われる。エピトープは、典型的には独自の空間的高次構造の、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個のアミノ酸を含む。エピトープの空間的高次構造を測定する方法としては、例えばX線結晶学および二次元核磁気共鳴が挙げられる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、第66巻、G.E.モリス(G.E.Morris)編(1996年)を参照のこと。
他のAβ結合タンパク質は、上記の抗−Aβ抗体に加え、抗体融合タンパク質を含む。「抗体融合タンパク質」および「抗体融合体」という用語は、少なくとも1種の非抗体タンパク質部分またはポリペプチドに融合される抗体の全部または一部を含む融合タンパク質を示す。融合は、一般に前記タンパク質をコードする遺伝子に関する遺伝子工学によって行われる。さらなる典型的な抗体融合タンパク質としては、別の可溶性または細胞性の生物学的タンパク質の全部または一部、例えば受容体(細胞性または可溶性)またはその一部、サイトカインまたはその一部、酵素またはその一部などに融合される(Fc領域を含む)抗体の細胞受容体結合部分が挙げられる。特に、本発明の抗体融合タンパク質は、Aβに結合可能な非抗体タンパク質部分またはポリペプチドに融合される抗体のFc領域を含みうる。
「Fc結合剤」という用語は、抗体のFc領域に高親和性を有する、補体タンパク質、Fc受容体または細菌由来タンパク質、例えばプロテインAまたはプロテインGなどを含むがこれらに限定されない、抗体(例えばIgG抗体)のFc領域に結合可能な分子を示す。
「Fc領域」という用語は、IgG抗体のC−末端領域、特に前記IgG抗体の重鎖のC−末端領域を示す。IgG重鎖のFc領域の境界はやや変化しうるが、Fc領域は典型的にはおよそアミノ酸残基Cys226からIgG重鎖のカルボキシル末端までの範囲として定義される。
(クロマトグラフィーに関連した定義)
本明細書で用いられる「ソース液体」という用語は、少なくとも1種の標的物質を含有する液体を示し、同物質は共存する他の物質から精製されることが求められる。ソース液体は、例えば水溶液、有機溶媒系、または水/有機溶媒混合物もしくは溶液でありうる。ソース液体は、多種の生体分子(タンパク質、抗体、ホルモン、およびウイルスなど)、小分子(塩、糖類、脂質など)、および微粒子物質までも含有する複合混合物または溶液である場合が多い。典型的な生物学的起源を有するソース液体が水溶液または懸濁液として出発しうる一方、それは溶媒沈殿、抽出などの初期分離ステップで用いられる有機溶媒も含有しうる。本発明の様々な実施形態による精製に準じた貴重な生体物質を含有しうるソース液体の例として、バイオリアクターからの培養上清、均質化された細胞懸濁液、血漿、血漿画分、および乳液(ミルク)が挙げられるがこれらに限定されない。
「標的物質」または「標的タンパク質」または「標的抗体」という用語は、本明細書ではソース液体から精製されるべき1種もしくは複数種の所望のAβ結合タンパク質、例えば抗−Aβ抗体を示す。標的物質は、懸濁液としてのソース液体中または溶液中に存在しうる。
「不純物」という用語は、標的物質と異なる、望ましくは最終標的物質生成物から除去されるソース液体中の物質を示す。典型的な不純物としては、核酸、(イントロン−リードスルー種、低分子量種およびアンダージスルフィド結合種を含む)タンパク質、ペプチド、内毒素、ウイルスならびに小分子が挙げられる。
「副生成物」という用語は、本発明の治療タンパク質の割合を損なわせるまたは減少させる望ましくない生成物を含む。
「高分子量種」という用語は、本発明の所望のタンパク質よりも大きい分子量を有するタンパク質複合体を示す。抗体、例えばIgG抗体の場合、かかる凝集体は約150kDより大きい。
「低分子量種」という用語は、タンパク質、例えば本発明の所望のタンパク質より小さい分子量を有する分解生成物を示す。抗体、例えばIgG抗体の場合、かかる分解生成物は約150kDより小さい。
本明細書で用いられる「固相」は、標的物質が精製の間に相互作用する相手であるかまたはFc結合剤が付着しうる対象である非水性マトリックスを示す。適切な固相物質としては、ガラス、シリカ(例えばシリカゲル)、アガロースおよびセルロースなどの多糖類(例えば多糖類マトリックス)、ポリアクリルアミド、メチルメタクリレート、およびポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体など、例えばアンバーライト(Amberlite)(商標)樹脂(ローム・アンド・ハース・ケミカル(Rohm&Haas Chemical Co.)、フィラデルフィア(Philadelphia)、ペンシルバニア州から市販)などの有機高分子が挙げられるがこれらに限定されない。固相を、親和性樹脂、イオン交換樹脂およびイオン捕捉樹脂として一般に記載されている樹脂の群のいずれかから選択可能である。固相は、例えば精製カラム、分離した粒子の不連続相、またはそれらの組み合わせでありうる。固相は、多孔質または非孔質の特徴を有しかつ圧縮性または非圧縮性でありうる。様々な実施形態では、固相は高分子マトリックスまたはアガロースの粒子またはビーズである。様々な実施形態では、固相を試薬(グリセリンなど)でコーティングすることで、例えば不純物の固相への非特異的付着性を阻止することが可能である。Fcを結合する固相は、Fc結合剤が固相の表面へ付着することを可能にする化学物質または会合性配位子のみを有する必要がある。好ましい固相物質は、ポンプ輸送および交差流濾過を含む精製プロセスにて用いられる条件、ならびに用いられる液体における温度、pH、および他の態様に対して物理的および化学的に回復性がある(resilient)。
「親和性リガンド」は、ソース液体の成分の結合部位との特異的相互作用により、その成分に選択的または優先的に結合する部分を示す。本発明では、親和性リガンド(例えばFc結合剤)は、典型的には樹脂などの固相に固定化される。樹脂支持体に結合することで本発明のプロセスにて有用なクロマトグラフィー樹脂を提供可能な親和性リガンドの例として、選択的にタンパク質のFc領域に結合するプロテインA、プロテインG、およびそれらの類似体が挙げられるがこれらに限定されない。親和性リガンドの固体支持体物質への結合方法は精製技術分野で周知である。例えば、参照テキストであるAffinity Separations:A Practical Approach(Practical Approach Series)、ポール・マテチューク(Paul Matejtschuk)(編集者)、アイアールエル・プレス(Irl Pr):1997年;およびAffinity Chromatography、ヘルベルト・ショット(Herbert Schott)、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク(New York):1997年を参照のこと。
「親和性クロマトグラフィー樹脂」または「親和性樹脂」は、固相または基材とその表面に結合される親和性配位子を備えるクロマトグラフィー樹脂を示す。
「イオン交換クロマトグラフィー樹脂」または「イオン交換樹脂」は、正または負の電荷を担持する共有結合性配位子を有し、それ故、イオン交換樹脂の接触相手である溶液中のイオンとの交換に使用可能な遊離対イオンを有する固体支持体を示す。
「カチオン交換樹脂」は、負に帯電した共有結合性配位子とのイオン交換樹脂を示し、それ故、樹脂の接触相手である溶液中のカチオンとの交換において遊離カチオンを有する。多種多様のカチオン交換樹脂、例えば共有結合基がカルボン酸またはスルホン酸であるものが当該技術分野で既知である。市販のカチオン交換樹脂として、CMC−セルロース、SP−Sephadex(商標)およびFast S−Sepharose(商標)が挙げられる(後の2種はファルマシア(Pharmacia)から入手可能)。
「アニオン交換樹脂」は、4級アミノ基などの正に帯電した共有結合基を有するイオン交換樹脂を示す。市販のアニオン交換樹脂として、DEAEセルロース、TMAE、QAE Sephadex(商標)、およびFast Q−Sepharose(商標)が挙げられる(後の2種はファルマシア(Pharmacia)から入手可能)。
本明細書で用いられる「カオトロピック塩」という用語は、タンパク質水和殻に浸透しかつそれら表面に直接結合しうる分離指向性(lyotropic)系列のうち低位の1種もしくは複数種のイオン成分を含有する塩を示す。これは共水和会合(cohydrative association)を破壊し、タンパク質の可溶化を促進する。カオトロピック塩の例として、グループII元素のハロゲン化物塩(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化バリウム)が挙げられるがこれらに限定されない。
適切な二価カチオン塩の例として、Mn2+、Ni2+またはCu2+、Mg2+、Ca2+およびBa2+のチオシアネート(SCN-)、過塩素酸塩(ClO4 -)、硝酸塩(NO3 -)、塩化物(Cl-)、および臭化物(Br-)との塩およびそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
特定の実施形態では、二価カチオン塩は二価カチオン(例えば、Mg2+、Ca2+、Ni2+またはBa2+)を含む。特徴的なプロセスでの使用に好ましいカオトロピック塩はMgCl2、NiCl2およびCaCl2である。二価カチオン塩の洗浄ステップ後、標的タンパク質は親和性クロマトグラフィーマトリックスから溶出される。
「緩衝液」は、溶液中に存在することにより、pHにおける単位変化を誘起するために添加されなければならない酸またはアルカリの量を増加させる物質である。緩衝溶液は、その酸−塩基抱合体成分の作用によりpHの変化に抵抗性を示す。生物学的試薬とともに用いられる緩衝溶液は、一般に溶液のpHが生理的範囲内にあるように水素イオンの一定濃度を維持することが可能である。「生理的pH」という用語は、哺乳類血液のpH(すなわち7.38または約7.4)を示す。したがって、生理的pH範囲は約7.2〜7.6である。従来の緩衝液成分としては、有機および無機の塩、酸および塩基が挙げられるがこれらに限定されない。生体分子(例えばタンパク質分子)の精製にて用いられる典型的な緩衝液は両性イオンまたは「グッド(Good)」緩衝液であり、例えばグッド(Good)ら(1966年) Biochemistry 5:467頁およびグッド(Good)およびイザワ(Izawa)(1972年) Methods Enzymol.24:62頁を参照のこと。典型的な緩衝液としては、TES、MES、PIPES、ヘペス(HEPES)、MOPS、MOPSO、トリシン(TRICINE)およびビシン(BICINE)が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書における「平衡化緩衝液」は、標的タンパク質を含有するソース液体のロードのためのFc結合試薬、固相、またはそれら双方を調製するために用いられる緩衝液である。平衡化緩衝液は、好ましくは等張性であり、一般に約6〜約8の範囲内のpHを有する。「ローディング緩衝液」は、Aβ結合タンパク質、例えば抗−Aβ抗体および不純物を含有するソース液体を、Fc結合剤が固定化された固相上にロードするのに用いられる緩衝液である。平衡化およびローディング緩衝液は同一であることが多い。「溶出緩衝液」は、Aβ結合タンパク質を固定化Fc結合剤から溶出するのに用いられる。好ましくは、溶出緩衝液は、低いpHを有することからFc結合剤と目的タンパク質の間の相互作用を破壊する。好ましくは、低いpHの溶出緩衝液は約2〜約5の範囲内、最も好ましくは約3〜約4の範囲内のpHを有する。pHをこの範囲内に調節する緩衝液の例として、グリシン緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液およびアンモニウム緩衝液、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましいかかる緩衝液は、クエン酸緩衝液および酢酸緩衝液、最も好ましくはクエン酸ナトリウム緩衝液または酢酸ナトリウム緩衝液である。高pH緩衝液(例えば9以上のpHを有するもの)あるいは目的タンパク質の溶出用として、MgCl2(2mM)などの化合物または組成物を含有する緩衝液を含む他の溶出緩衝液が検討されている。
本明細書で用いられる「洗浄液体」または「洗浄緩衝液」はいずれも本明細書中で、標的物質の結合対象のクロマトグラフィー樹脂から不純物を除去するのに用いられる液体を示す。2種以上の洗浄液体を、クロマトグラフィー樹脂に非特異的会合性の多種多様な不純物の解離および除去のために設計された、例えばpH、電導度、溶媒濃度などの様々な特性を有する洗浄液体を連続させることにより連続的に用いてもよい。
本明細書における「溶出液体」または「溶出緩衝液」は、クロマトグラフィー樹脂を1種もしくは複数種の洗浄液体での洗浄後にこのクロマトグラフィー樹脂から標的物質を解離するのに用いられる液体を示す。溶出液体が作用することで、標的物質が不可逆的な変性を伴うことなく解離される。典型的な溶出液体は、クロマトグラフィー技術において周知であり、より高濃度の塩、遊離性親和性配位子または類似体、あるいは標的物質のクロマトグラフィー樹脂からの解離を促進する他の物質を有しうる。「溶出条件」は、標的物質を結合したクロマトグラフィー樹脂とかかる解離をもたらす溶出液体または溶出緩衝液との接触など、標的物質をクロマトグラフィー樹脂から解離させる、標的物質を結合したクロマトグラフィー樹脂上にロードされるプロセス条件を示す。
本明細書における「洗浄液体」または「洗浄緩衝液」は、精製プロセスの完了後にクロマトグラフィー樹脂の洗浄に用いられる液体を示す。洗浄液体は、界面活性剤(洗剤)、ウイルス不活化剤または比較的高濃度の塩を含有する場合があり、かつ精製プロセスの間に用いられる液体よりも高いpHまたは低いpHを有しうる。その目的は、クロマトグラフィー樹脂を浄化することでその再使用ために準備することである。典型的な洗浄液体は、クロマトグラフィーの技術分野において周知である。
本明細書における「保存液体」または「保存緩衝液」は、クロマトグラフィー樹脂が使用の間で懸濁される場合の液体を示す。保存液体は、イオンの緩衝化に加え、殺菌剤または他の保存剤も含有しうる。かかる保存液体はクロマトグラフィー技術分野で周知である。
様々な態様では、本発明は、Aβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体を、同タンパク質をFc結合剤に吸着した後、Fc結合剤を二価カチオン塩を含有する緩衝溶液で洗浄して1種もしくは複数種の不純物を除去し、次いでタンパク質をFc結合剤から回収することにより、タンパク質および1種もしくは複数種の不純物を含有するソース液体から精製するための方法を特徴とする。適切なFc結合剤としては、プロテインAおよびプロテインGが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明は、Aβ結合タンパク質、特に抗−Aβ抗体を精製するためのプロセスを特徴とする。典型的な精製プロセスとしては親和性クロマトグラフィーステップが挙げられる。親和性クロマトグラフィーステップは、連続、不連続、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、親和性クロマトグラフィーステップを例えばバッチプロセスなどの不連続プロセスとして実施してもよい。親和性クロマトグラフィーは、バイオセレクティブ(bioselective)吸着および続く標的化合物の固定化リガンドからの回収のプロセスである。このプロセスは、標的化合物の高度に特異的かつ効率的な精製を可能にする。このプロセスは、穏やかな条件下での回収を可能にしつつ、一般に10-4〜10-8の範囲内の解離定数を有する標的化合物(例えば抗−Aβ抗体)に結合する適度に選択的なリガンド(例えばFc結合剤)の使用を必要とする。リガンドは、一般に、カラムパッキングまたはバッチ式吸着媒体の形態でありうるビーズ状の多孔質マトリックス上に固定化される。
好ましい結合剤はプロテインAである。プロテインAは免疫グロブリンのFc領域に結合する。プロテインAは6つの領域からなり、その内の5つはIgGに結合する。それはヒトIgG1、IgG2およびIgG4、ならびにマウスIgG2a、IgG2bおよびIgG3に対して高い親和性で結合する。プロテインAは、ヒトIgD、IgM、IgAおよびIgEならびにマウスIgG1に対して中程度の親和性で結合する。親和性リガンドとして、プロテインAはマトリックスにこれらの領域が自由に結合するように固定化される。固定化プロテインAの1分子がIgGの少なくとも2種の分子に結合しうる。プロテインAの天然および組換え変異体は、IgGのFc領域に対して類似した特異性を共有する。組換えプロテインA(rProteinA)を、例えばC−末端システインを含むように設計し、かつ固相マトリックスに対するチオエステルカップリング(結合)を介して固定化することが可能である。かかるカップリングの結果、プロテインAの結合能が高められる。
別の結合剤がプロテインGである。プロテインGはIgGに特異的であり、それは高い親和性でヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4、ならびにマウスIgG1およびIgG3に対して結合する。プロテインG PLUSは、ヒトIgG4ならびにマウスIgG2a、IgG2bおよびIgG3に対して中程度の親和性を有する。組換えプロテインG(rProteinG)において天然タンパク質のアルブミン−結合領域を削除するように設計可能である。組換えプロテインGは2つのFc結合領域を有する。
別の結合剤としてプロテインA/Gが挙げられる。プロテインA/Gは、プロテインAとプロテインGの双方のIgG結合特性を組み合わせた、遺伝子操作されたタンパク質である。それは非病原性形態のバチルス(Bacillus)から分泌される遺伝子融合産物である。プロテインA/Gは、プロテインA由来の4つおよびプロテインG由来の2つのFc結合ドメインを有する。プロテインA/GはプロテインAとしてのpH依存性を示さないが、それ以外はプロテインAおよびGの相加的特性を有する。
プロテインA/GはすべてのヒトIgGサブクラスに結合し、サブクラスが決定されていないポリクローナルまたはモノクローナルIgG抗体の精製に特に適する。さらに、それはIgA、IgE、IgMおよび(より少ない程度に)IgDに結合する。プロテインA/GはすべてのマウスIgGサブクラスにも十分に結合し、マウスモノクローナル抗体のIgGサブクラスからの精製に特に適し、ここではIgA、IgMおよびマウス血清アルブミンからの干渉を伴うことはない(例えば、シッキマ(Sikkema)(1989年) Amer.Biotech.Lab 7、42頁を参照)。マウスモノクローナルの個々のサブクラスは、プロテインAまたはプロテインGのいずれかよりもキメラプロテインA/Gに対してより強い親和性を有しうる(例えばエリアッソン(Eliasson)ら(1988年) J.Biol.Chem.263、4323〜4327頁を参照)。
本発明では、固定化されたFc結合剤(例えばプロテインA)を二価カチオン塩の溶液で洗浄することで不純物が除去される。特に、組換え抗体発現技術の結果として生成される望ましくない不純物が二価カチオン塩での洗浄ステップを用いて除去可能であることが発見されている。
本発明の方法は、場合により、親和性クロマトグラフィーおよび二価カチオン洗浄ステップ後に精製ステップを含みうる。次の精製ステップは、イオン交換クロマトグラフィーステップおよび/または疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップを含みうる。次のクロマトグラフィーステップは、連続、不連続(例えばバッチプロセスなど)、またはそれらの組み合わせであってもよい。イオン交換クロマトグラフィーでは、タンパク質の総電荷間の相違に基づき分子が分離される。標的タンパク質は、結合目的に樹脂に付着された官能基の電荷の逆電荷を有する必要がある。例えば、一般に全体として正電荷を有する抗体は、負に帯電した官能基を有するカチオン交換体に十分に結合することになる。この相互作用がイオン性であることから、低イオン性条件下で結合が生じる必要がある。溶出は、イオン強度を高めてイオン相互作用を破壊するかまたはタンパク質のpHを変化させることによってなされる。イオン交換クロマトグラフィーがタンパク質の電荷に依存することでタンパク質が単離される一方、疎水性相互作用クロマトグラフィーでは一部のタンパク質の疎水特性が用いられる。タンパク質上の疎水基はカラム上の親水基に結合する。タンパク質の疎水性が高まると、そのカラムへの結合が強まることになる。HICステップでは、例えば宿主細胞由来の不純物(例えばDNAや他の高分子量および低分子量生成物の関連種)が除去される。さらなる精製ステップは、本明細書に記載のように、ウイルス除去ステップならびに限界濾過および/または透析濾過ステップを含みうる。
様々な実施形態では、Fc領域を有するタンパク質は、Fc領域を有する抗体または抗体融合タンパク質であり、これはFc結合剤のFc受容体に結合する。二価カチオン塩を含有する緩衝溶液を用いてFc結合剤を洗浄することで、例えば目的タンパク質(例えばソース液体中の標的物質)におけるリードスルー変異体および(LMWおよびUDB種を含む)定常領域を含有する断片などの不純物の大幅な除去が可能になる。
本発明の方法は、1つもしくは複数のクロマトグラフィー分離ステップを含むことに加え、Aβ結合タンパク質(「標的タンパク質」)をソース液体中の不純物から分離するための1つもしくは複数の濾過ステップを含みうる。
例えば、ソース液体を濾過するか、遠心分離するか、またはそれ以外の処理を行うことで、ソース液体とFc結合剤との接触前に微粒子残渣などを除去することが可能である。例えば、組換え技術を用い、タンパク質を細胞内、ペリプラスム空間内で生成するか、または培地内に直接分泌してもよい。もしタンパク質が細胞内で生成される場合、宿主細胞または溶解断片といった微粒子残渣を、例えば遠心分離または限界濾過によって除去してもよい。タンパク質が培地内に分泌される場合、組換え宿主細胞を、例えばタンジェンシャルフロー濾過(tangential flow filtration)により細胞培地から分離してもよい。
様々な実施形態では、標的タンパク質を含有するソース液体は、標的タンパク質がFc結合剤(例えば固定化Fc結合剤)に吸着するようにFc結合剤と接触される(好ましくは固相上に固定化されかつ適切な緩衝液で平衡化される)。ソース液体は、平衡化緩衝液と同一でありうるローディング緩衝液中のFc結合剤(例えば固定化Fc結合剤)と接触される。不純物を含有するソース液体が固相を貫流すると、標的タンパク質はFc結合剤に吸着され、様々な他の不純物(標的タンパク質が組換え宿主細胞内で生成される場合の宿主細胞タンパク質または他のプロセス由来の不純物など)が貫流するかまたは固相に非特異的に結合する。様々な実施形態では、Fc結合剤はプロテインAであり、平衡化緩衝液は20mMトリス(Tris)、0.15M NaCl、pH7.5でありうる。他の適切な平衡化緩衝液としては、生理的濃度、例えば約0.5mM〜約100mMの範囲内の濃度(例えば、10mM、20mM、50mMなど)、生理的塩濃度(例えば約0.15mM NaCl)、および5.0〜9.0のpHにて、例えばBIS、ヘペスなどが挙げられる。
固相は、好ましくはFc結合剤を固定化するためのアガロース(例えばSepharose)ビーズまたは粒子である。様々な実施形態では、カラムをグリセリンなどの試薬でコーティングすることで、カラムへの非特異的付着性が低下するかまたは阻止される。様々な実施形態では、Fc結合剤はプロテインAである。アマシャム・バイオサイエンシーズ(Amersham Biosciences)から市販されているrmpプロテインA Sepharose(商標)Fast Flow(FF)カラムは、特徴的方法での使用に適するプロテインAカラムの一例である。
次いで、Fc結合剤を二価カチオン塩を含有する緩衝化洗浄溶液で洗浄することで、固相またはFc結合剤に結合したタンパク質変種が除去される。特に、二価カチオン塩洗浄ステップを用い、大量の望ましくない不純物の除去が可能であることが発見されている。具体的には、二価カチオン塩洗浄を用い、抗−Aβ抗体のイントロンリードスルー変異体、低分子量変異体およびアンダージスルフィド結合変異体の除去が可能であることが発見されている。さらに、二価カチオン塩洗浄を用い、宿主細胞タンパク質(HCP)およびDNAも除去可能である。様々な実施形態では、洗浄溶液中の二価カチオン塩はカオトロピック塩を含有する。適切なカオトロピック塩の例として、塩化カルシウム(CaCl2)、ニッケル塩化物(NiCl2)および塩化マグネシウム(MgCl2)が挙げられるがこれらに限定されない。単一の二価カチオン塩が洗浄溶液中に存在しうる一方、様々な実施形態では2種類以上の二価カチオン塩を用いることが可能である。
様々な実施形態では、二価カチオン塩を含有する洗浄溶液に加えて洗浄溶液を用いることで不純物が除去される。例えば、様々な実施形態では、二価カチオン塩を含有する洗浄溶液でのFc結合剤の洗浄前、洗浄後、または洗浄前と洗浄後の双方において、20〜50mMトリス、0.75〜2.0M NaCl、pH5.0〜9.0溶液、および/または10mMトリス、pH7.5溶液を用いてFc結合剤が洗浄される。
様々な実施形態では、約0.5M〜約2.5Mの濃度の二価カチオン塩は、好ましくは約5〜約9の範囲内のpHおよび好ましくは約7〜約8の範囲内のpHを有するpH緩衝溶液に添加される。二価カチオン塩の好ましい濃度としては、0.6M、2.0Mおよび2.5Mが挙げられるがこれらに限定されない。この目的に適する緩衝液としては、20〜50mMの濃度内のトリスまたは酢酸塩緩衝液が挙げられるがこれらに限定されない。
洗浄ステップ後、標的タンパク質はFc結合剤から回収される。これは通常、適切な溶出緩衝液を用いて行われる。標的タンパク質を、例えば低いpH、例えば約2〜約6.5の範囲内、および好ましくは約2.5〜約3.5の範囲内のpHを有する溶出緩衝液を用いてカラムから溶出させてもよい。
様々な実施形態では、このようにして回収された標的タンパク質を医薬的に許容できる担体中で調合し、かかる分子における既知の様々な診断用途、治療用途または他の用途として用いてもよい。
様々な実施形態では、Fc結合剤のクロマトグラフィーステップ後、溶出された標的タンパク質調製物に追加の精製ステップを施してもよい。例えば、典型的なさらなる精製ステップとしては、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、透析、親和性クロマトグラフィー(固定化金属親和性クロマトグラフィーを含む)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、硫酸アンモニウム沈殿、エタノール沈殿、逆相HPLC(RP−HPLC)、クロマトフォーカシング、限界濾過、透析濾過、およびゲル濾過が挙げられるがこれらに限定されない。様々な実施形態では、Fc結合剤クロマトグラフィーステップ後にアニオン交換クロマトグラフィーおよびHICステップが行われる。様々な実施形態では、クロマトグラフィーステップ後、さらにウイルス濾過ステップ、限界濾過/透析濾過ステップ、および微生物汚染物質濾過ステップが行われる。様々な実施形態では、これらの追加の精製ステップは、Fc結合剤クロマトグラフィーステップに先立ち実施可能である。
様々な実施形態では、Aβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体を精製するための方法では、標的タンパク質を固相上に固定化されたプロテインAを含有するFc結合剤に吸着させるステップに始まり、その後、Fc結合剤を二価カチオン塩を含有する緩衝溶液で洗浄して1種もしくは複数種の不純物を除去するステップ、次いでタンパク質をプロテインAから回収して第1の溶離液プールを生成するステップが行われる。
様々な実施形態では、精製プロセスでは、アニオン交換樹脂と第1の溶離液プールとを、不純物が樹脂に吸着しても標的タンパク質が樹脂に吸着しないように接触させることにより、第1の溶離液プールにアニオン交換クロマトグラフィーを施すステップが続行される。したがって、標的タンパク質をフロースルーから回収することで第2の溶離液プールを生成してもよい。様々な実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィーステップは、アニオン交換樹脂を緩衝化洗浄溶液で洗浄して吸着された標的タンパク質の少なくとも一部を回収するステップをさらに含み、次いでそれは第2の溶離液プールと結合される。あるいは、第1の溶離液プールは抗体が吸着するようにアニオン交換樹脂と接触可能であり、それにより任意の不純物のフロースルーが可能であり、場合により吸着された抗体の洗浄および溶出が続く。
様々な実施形態では、精製プロセスでは、標的タンパク質を疎水性相互作用樹脂(例えば、疎水性リガンドで機能化された固相)に吸着させることにより、第2の溶離液プールにHICを施すステップが続行され、疎水性相互作用樹脂を標的タンパク質を実質的に溶出しないイオン強度を有する緩衝化洗浄溶液で洗浄し、かつ(典型的には標的タンパク質をこの疎水性相互作用樹脂から脱着するのに十分に低いイオン強度を有する溶出緩衝液を用いて)第3の溶離液プールに標的タンパク質を回収する。あるいは、第2の溶離液プールは標的タンパク質が吸着しないようにHICカラムと接触可能であり、それにより貫流する標的タンパク質が第3の溶離液プールとして回収される。
様々な実施形態では、精製プロセスは、例えば、ウイルスを除去し、標的タンパク質を含有する溶液を濃縮、緩衝化し、かつ微生物汚染物質を除去するための1つもしくは複数の濾過ステップを含む。
様々な実施形態では、本発明は、Aβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体を、タンパク質および1種もしくは複数種の不純物(ここで、不純物が1種もしくは複数種のIRT変異体を含有する)を含有するソース液体から精製するための方法を提供する。一実施形態では、この方法はソース液体中でのIRT変異体レベルから約1/2〜約1/20への低下をもたらす。好ましくは、IRT変異体レベルは少なくとも1/5に低下し、かつより好ましくはIRT変異体レベルは少なくとも1/10に低下する。例えば、(ソース液体中の種全体における百分率として)約3〜5%のIRT抗体変異体を有するソース液体(出発試料)中で、IRT抗体変種は約0.3〜約0.5%にまで低下しうる。様々な実施形態では、IRT変種は1%未満、0.8%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.2%未満、および/または0.1%未満に低下する。好ましくは、タンパク質を調製するためのソース液体の精製において、IRT変異体はソース液体中の種全体における百分率として1%未満、0.8%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.2%未満、および/または0.1%未満に低下する。
様々な実施形態では、本発明は、Aβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体を、タンパク質および1種もしくは複数種の不純物(ここで、不純物が1種もしくは複数種のLMW変異体を含有する)を含有するソース液体から精製するための方法を提供する。一実施形態では、方法はソース液体中でのLMW変異体レベルにおける約1/2〜約1/20への低下をもたらす。好ましくは、LMW変異体レベルは少なくとも5倍低下し、かつより好ましくは、LMW変異体レベルは少なくとも1/10に低下する。例えば、(ソース液体中の種全体における百分率として)約3〜5%のLMW抗体変異体を有するソース液体(出発試料)中で、LMW抗体変種は約0.3〜約0.5%にまで低下しうる。様々な実施形態では、LMW変種は1%未満、0.8%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.2%未満、および/または0.1%未満に低下する。好ましくは、タンパク質を調製するためのソース液体の精製において、LMW変異体はソース液体中の種全体における百分率として1%未満、0.8%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.2%未満、および/または0.1%未満に低下する。
様々な実施形態では、本発明は、Aβ結合タンパク質、好ましくは抗−Aβ抗体を、タンパク質および1種もしくは複数種の不純物(ここで、不純物が1種もしくは複数種のUDB変異体を含有する)を含有するソース液体から精製するための方法を提供する。一実施形態では、方法はソース液体中でのUDB変異体レベルにおける約1/2〜約1/20への低下をもたらす。好ましくは、UDB変異体レベルは少なくとも1/5に低下し、かつより好ましくは、UDB変異体レベルは少なくとも1/10に低下する。
例えば、(ソース液体中の種全体における百分率として)約20%のUDB抗体変異体を有するソース液体(出発試料)中で、UDB抗体変種は約10%〜約2%にまで低下しうる。様々な実施形態では、UDB変種は20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2%未満、または1%未満に低下する。好ましくは、タンパク質を調製するためのソース液体の精製において、UDB変異体はソース液体中の種全体における百分率として20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2%未満、または1%未満に低下する。
さらに、例えば(ソース液体中の種全体における百分率として)約3〜5%のUDB抗体変異体を有するソース液体(出発試料)中で、UDB抗体変種は約0.3〜約0.5%にまで低下しうる。様々な実施形態では、UDB変種は1%未満、0.8%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.2%未満、および/または0.1%未満に低下する。好ましくは、タンパク質を調製するためのソース液体の精製において、UDB変異体はソース液体中の種全体における百分率として1%未満、0.8%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.2%未満、および/または0.1%未満に低下する。
(本発明の精製方法において用いられるAβ結合タンパク質)
本明細書に記載の本発明に従って精製されるべきAβ結合タンパク質、例えば抗−Aβ抗体は、当該技術分野で十分に確立されており、例えば合成技術(組換え技術およびペプチド合成またはこれらの技術の組み合わせなど)を含む技術を用いて調製されうるか、またはタンパク質の内因性ソースから単離されうる。様々な実施形態では、抗体は、例えばポリクローナル抗体調製物、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体であってもよい。抗体を産生するための技術は以下にさらに記載される。他の実施形態では、Aβ結合タンパク質は、Aβに結合可能なタンパク質またはポリペプチドの一部に融合される抗体Fc領域を含む抗体融合タンパク質であってもよい。抗体融合タンパク質の調製についても以下にさらに記載される。
(ポリクローナル抗体)
ポリクローナル抗体を、免疫原で適切な被験体を免疫することにより調製してもよい。免疫された被験体における抗体力価を、例えば固定化された標的抗原を用いる酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いた標準技術により経時的に監視してもよい。標的抗原に特異的な抗体分子を、必要に応じて哺乳動物から(例えば血液から)単離し、さらにプロテインA Sepharoseクロマトグラフィーなどの周知の技術により精製して抗体、例えばIgGの画分を取得してもよい。免疫後の適切な時間、例えば抗−抗原抗体力価が最大である場合、抗体産生細胞を被験体から取得し、コーラー(Kohler)およびミルスタイン(Milstein)(1975年) Nature 256:495〜497頁)に最初に記載されたハイブリドーマ技術など(ブラウン(Brown)ら(1981年) J.Immunol.127:539〜46頁;ブラウン(Brown)ら(1980年) J.Biol.Chem.255:4980〜83頁;イェー(Yeh)ら(1976年) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:2927〜31頁;およびイェー(Yeh)ら(1982年) Int.J.Cancer 29:269〜75頁も参照)の標準技術によりモノクローナル抗体を調製するのに用いてもよい。キメラポリクローナル抗体の調製においては、ベクラー(Buechler)ら、米国特許第6,420,113号明細書を参照のこと。
(モノクローナル抗体)
リンパ球と不死化細胞株を融合させるために用いられる多数の周知のプロトコルのうちのいずれかをモノクローナル抗体を産生する目的で適用してもよい(例えば、G.ガルフレ(G.Galfre)ら(1977年) Nature 266:55052頁;ゲフター(Gefter)ら、Somatic Cell Genet、上記;レーナー(Lerner)、Yale J.Biol.Med.、上記;ケネス(Kenneth)、Monoclonal Antibodies、上記を参照)。さらに、当業者は、かかる方法には多数のバリエーションがあり、これらもまた有用であることを理解するであろう。典型的には、不死化細胞株(例えば骨髄腫細胞株)はリンパ球と同じ哺乳類種に由来する。例えば、マウスハイブリドーマを本発明の免疫原性調製物で免疫されたマウス由来のリンパ球と不死化マウス細胞株との融合により作製してもよい。好ましい不死化細胞株は、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含有する培地(「HAT培地」)に感受性を示すマウス骨髄腫細胞株である。多数の骨髄腫細胞株(例えばP3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653またはSp2/O−Ag14骨髄腫株)のいずれかを、標準技術に従い融合パートナーとして用いてもよい。これらの骨髄腫株はATCCから入手可能である。典型的には、HAT−感受性のマウス骨髄腫細胞は、ポリエチレングリコール(「PEG」)を用いてマウス脾細胞に融合される。次いで、融合物から得られるハイブリドーマ細胞がHAT培地を用いて選択され、それは未融合骨髄腫細胞および非生産的に融合された骨髄腫細胞を死滅させる(未融合脾細胞は形質転換されていないため数日後に死滅する)。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、標準ELISAアッセイを用いた、ハイブリドーマ培養上清を標的抗原に結合する抗体についてスクリーニングすることにより検出される。
(組換え抗体)
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマの調製に代わり、モノクローナル抗体を、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)を標的抗原によりスクリーニングすることによって標的抗原に結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離することにより、同定し、単離してもよい。ファージディスプレイライブラリの生成およびスクリーニングのためのキットは市販されている(例えば、ファルマシア(Pharmacia)製Recombinant Phage Antibody System、カタログ番号27−9400−01;およびストラタジーン(Stratagene)製SurfZAP(商標)Phage Display Kit、カタログ番号240612)。さらに、特に抗体ディスプレイライブラリーの生成およびスクリーニングでの使用に準じた方法および試薬の例が、例えば、ラドナー(Ladner)ら、米国特許第5,223,409号明細書;カン(Kang)ら、PCT国際公開第92/18619号パンフレット;ダウワー(Dower)ら、PCT国際公開第91/17271号パンフレット;ウインター(Winter)ら、PCT国際公開第92/20791号パンフレット;マークランド(Markland)ら、PCT国際公開第92/15679号パンフレット;ブレイトリング(Breitling)ら、PCT国際公開第93/01288号パンフレット;マッカファーティ(McCafferty)ら、PCT国際公開第92/01047号パンフレット;ガラード(Garrard)ら、PCT国際公開第92/09690号パンフレット;ラドナー(Ladner)ら、PCT国際公開第90/02809号パンフレット;フックス(Fuchs)ら(1991年) Bio/Technology 9:1370〜1372頁;ヘイ(Hay)ら(1992年) Hum.Antibod.Hybridomas 3:81〜85頁;フセ(Huse)ら(1989年) Science 246:1275〜1281頁;グリフィス(Griffiths)ら(1993年) EMBO J 12:725〜734頁;ホーキンス(Hawkins)ら(1992年) J.Mol.Biol.226:889〜896頁;クラークソン(Clarkson)ら(1991年) Nature 352:624〜628頁;グラム(Gram)ら(1992年) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:3576〜3580頁;ガラッド(Garrad)ら(1991年) Bio/Technology 9:1373〜1377頁;フーゲンブーム(Hoogenboom)ら(1991年) Nuc.Acid Res.19:4133〜4137頁;バーバス(Barbas)ら(1991年) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7978〜7982頁;およびマッカファーティ(McCafferty)ら、Nature (1990年)348:552〜554頁にて見出されうる。
(キメラおよびヒト化抗体)
さらに、標準の組換えDNA技術を用いて作製可能な、ヒト部分と非ヒト部分の双方を含む、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体などの組換え抗体は、本発明の範囲内にある。
「ヒト化免疫グロブリン」または「ヒト化抗体」という用語は、少なくとも1種のヒト化免疫グロブリンまたは抗体鎖(すなわち、少なくとも1種のヒト化軽鎖または重鎖)を含む免疫グロブリンまたは抗体を示す。「ヒト化免疫グロブリン鎖」または「ヒト化抗体鎖」(すなわち「ヒト化免疫グロブリン軽鎖」または「ヒト化免疫グロブリン重鎖」)という用語は、実質的にヒト免疫グロブリンまたは抗体に由来する可変フレームワーク領域と実質的に非ヒト免疫グロブリンまたは抗体に由来する相補性決定領域(CDR)(例えば、少なくとも1つのCDR、好ましくは2つのCDR、より好ましくは3つのCDR)とを含む可変領域を有する免疫グロブリンまたは抗体鎖(すなわち各々、軽鎖または重鎖)を示し、さらに定常領域(例えば、軽鎖の場合に少なくとも1つの定常領域またはその一部、および重鎖の場合に3つの定常領域)を含む。「ヒト化可変領域」(例えば「ヒト化軽鎖可変領域」または「ヒト化重鎖可変領域」)という用語は、実質的にヒト免疫グロブリンまたは抗体に由来する可変フレームワーク領域と実質的に非ヒト免疫グロブリンまたは抗体に由来する相補性決定領域(CDR)とを含む可変領域を示す。
「実質的にヒト免疫グロブリンまたは抗体に由来する」または「実質的にヒト」という表現は、同領域が、比較目的でヒト免疫グロブリンまたは抗体のアミノ配列に整列される場合、ヒトフレームワークまたは定常領域配列と少なくとも80〜90%、90〜95%、または95〜99%の同一性(すなわち局所的配列の同一性)を共有することから、例えば保存的置換、コンセンサス配列置換、生殖系列置換、逆突然変異などが可能になることを意味する。保存的置換、コンセンサス配列置換、生殖系列置換、逆突然変異などの導入は、ヒト化抗体または鎖の「最適化」と称される場合が多い。「実質的に非ヒト免疫グロブリンまたは抗体に由来する」または「実質的に非ヒト」という表現は、非ヒト生物、例えば非ヒト哺乳動物の免疫グロブリンまたは抗体の配列に対して少なくとも80〜95%、好ましくは少なくとも90〜95%、より好ましくは96%、97%、98%、または99%同一である同配列を有することを意味する。
したがって、ヒト化免疫グロブリンまたは抗体、あるいはヒト化免疫グロブリンまたは抗体鎖のすべての領域または残基が、CDRを除き、1つもしくは複数の天然ヒト免疫グロブリン配列の対応する領域または残基に実質的に同一である。「対応する領域」または「対応する残基」という用語は、第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列上の領域または残基と同じ(すなわち等価な)位置を占める第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列上の領域または残基を示し、これは第1および第2の配列が比較目的で最適に整列される場合である。
「有意な同一性」という用語は、2つのポリペプチド配列が、例えばデフォルトギャップ重み(default gap weights)を用いてプログラムのGAPまたはBESTFITにより最適に整列される場合、少なくとも50〜60%の配列同一性、好ましくは少なくとも60〜70%の配列同一性、より好ましくは少なくとも70〜80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも80〜90%の配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも90〜95%の配列同一性、およびさらにより好ましくは少なくとも95%の配列同一性またはそれを超える配列同一性(例えば、99%もしくはそれを超える配列同一性)を共有することを意味する。「実質的な同一性」という用語は、2つのポリペプチド配列が、例えばデフォルトギャップ重みを用いてプログラムのGAPまたはBESTFITにより最適に整列される場合、少なくとも80〜90%の配列同一性、好ましくは少なくとも90〜95%の配列同一性、およびより好ましくは少なくとも95%の配列同一性またはそれを超える配列同一性(例えば、99%もしくはそれを超える配列同一性)を共有することを意味する。配列比較において、典型的には1つの配列が参照配列としての機能を果たし、それに対して試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験および参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じてサブ配列コーディネート(subsequence coordinates)が指定され、かつ配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定のプログラムパラメータに基づいて試験配列における参照配列に対する配列同一性の百分率を計算する。
比較目的の配列の最適なアラインメントを、例えば、スミス(Smith)およびウォーターマン(Waterman)、Adv.Appl.Math.2:482頁(1981年)の局所ホモロジーアルゴリズム、ニードルマン(Needleman)およびヴンシュ(Wunsch)、J.Mol.Biol.48:443頁(1970年)のホモロジーアラインメントアルゴリズム、パールソン(Pearson)およびリップマン(Lipman)、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444頁(1988年)の類似性に対する検索の方法、これらのアルゴリズムのコンピューターでの実行(ウィスコンシン・ジェネティクス・ソフトウェア・パッケージ(Wisconsin Genetics Software Package)、ジェネティクス・コンピュータ・グループ(Genetics Computer Group)、575 Science Dr.、マディソン(Madison)、ワイオミング州におけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または目視検査(一般にオースベル(Ausubel)ら、Current Protocols in Molecular Biologyを参照)により行ってもよい。配列同一性および配列類似性の百分率における判定に適するアルゴリズムの一例としてBLASTアルゴリズムが挙げられ、それはアルツシュール(Altschul)ら、J.Mol.Biol.215:403頁(1990年)に記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、ナショナル・センター・フォア・バイオテクノロジー・インフォメーション(National Center for Biotechnology Information)を通して公的に入手可能(ナショナル・インスティチュート・オブ・ヘルス(National Institutes of Health)のNCBIインターネットサーバーを通して公的に入手可能)である。典型的には、デフォルトプログラムパラメータを用いて配列比較を実行可能であるが、カスタマイズされたパラメータを用いてもよい。BLASTPプログラムでは、アミノ酸配列において、デフォルトとして3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびBLOSUM62スコアリングマトリックスが用いられる(ヘニコッフ(Henikoff)およびヘニコッフ(Henikoff)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915頁(1989年)を参照)。
好ましくは、同一でない残基位置は保存的アミノ酸置換の分だけ異なる。アミノ酸置換を保存的または非保存的として分類する目的で、以下のようにグループ分けした:アミノ酸をグループI(疎水性側鎖):leu、met、ala、val、leu、ile;グループII(中性の親水性側鎖):cys、ser、thr;グループIII(酸性側鎖):asp、glu;グループIV(塩基性側鎖):asn、gln、his、lys、arg;グループV(鎖方向に作用する残基):gly、pro;およびグループVI(芳香族性側鎖):trp、tyr、phe。保存的置換は、同じクラス内のアミノ酸間の置換を含む。非保存的置換は、これらのクラスのある1つのメンバーと別のメンバーとの交換となる。
好ましくは、ヒト化免疫グロブリンまたは抗体は、対応する非ヒト化抗体の親和性の3倍、4倍または5倍以内の親和性で抗原に結合する。例えば、もし非ヒト化抗体が10-9Mの結合親和性を有する場合、ヒト化抗体は少なくとも3×10-8M、4×10-8M、5×10-8M、または10-9Mの結合親和性を有することになる。免疫グロブリン鎖は、無傷免疫グロブリンまたは抗体(またはその抗原結合断片)に対して特異的な結合特性または結合親和性を与える場合、「抗原結合を指示する」と言われる。突然変異(例えば逆突然変異)は、もしそれが重鎖または軽鎖を含む無傷免疫グロブリンまたは抗体(またはその抗原結合断片)の結合親和性に、前記変異のないものに相当する鎖を含む抗体(またはその抗原結合断片)の結合親和性と比べて少なくとも一桁分だけ作用する(例えばそれを低下させる)場合、前記鎖が抗原結合を指示する能力に実質的に作用するといわれる。突然変異は、もし突然変異による鎖を含む無傷免疫グロブリンまたは抗体(またはその抗原結合断片)の結合親和性に対して、前記変異のないものに相当する鎖を含む抗体(またはその抗原結合断片)の結合親和性の2倍、3倍または4倍だけ影響する(例えば低下させる)にすぎない場合、「前記鎖における抗原結合を指示する能力に実質的に影響する(それを低下させる)ことはない」といわれる。
「キメラ免疫グロブリン」またはキメラ抗体という用語は、可変領域が第1の種に由来しかつ定常領域が第2の種に由来する免疫グロブリンまたは抗体を示す。キメラ免疫グロブリンまたは抗体を、例えば遺伝子工学により、異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから構成してもよい。「ヒト化免疫グロブリン」または「ヒト化抗体」という用語は、以下に定義されるように、キメラ免疫グロブリンまたは抗体を包含するように意図されていない。ヒト化免疫グロブリンまたは抗体は、それらの構成においてキメラ的である(すなわち2種以上のタンパク質の種に由来する領域を含む)が、本明細書で定義されるようにキメラ免疫グロブリンまたは抗体において見出されていない追加的な特徴(すなわち、ドナーCDR残基およびアクセプターフレームワーク残基を含む可変領域)を含む。
かかるキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体を、当該技術分野で既知の組換えDNA技術により、例えば、ロビンソン(Robinson)ら、国際出願PCT/US86/02269号明細書;アキラ(Akira)ら、欧州特許出願第184,187号明細書;タニグチ M.(Taniguchi M.)、欧州特許出願第171,496号明細書;モリソン(Morrison)ら、欧州特許出願第173,494号明細書;ノイバーガー(Neuberger)ら、PCT国際公開第86/01533号パンフレット;キャビリー(Cabilly)ら、米国特許第4,816,567号明細書;キャビリー(Cabilly)ら、欧州特許出願第125,023号明細書;ベッター(Better)ら(1988年) Science 240:1041〜1043頁;リウ(Liu)ら(1987年) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439〜3443頁;リウ(Liu)ら(1987年) J.Immunol.139:3521〜3526頁;サン(Sun)ら(1987年) Proc.Natl.Acad.Sci USA 84:214〜218頁;ニシムラ(Nishimura)ら(1987年) Canc.Res.47:999〜1005頁;ウッド(Wood)ら(1985年) Nature 314:446〜449頁;およびショー(Shaw)ら(1988年) J.Natl.Cancer Inst.80:1553〜1559頁);モリソン S.L.(Morrison S.L.)(1985年) Science 229:1202〜1207頁;オイ(Oi)ら(1986年) BioTechniques 4:214頁;ウインター(Winter)、米国特許第5,225,539号明細書;ジョーンズ(Jones)ら(1986年) Nature 321:552〜525頁;フェアホーヤン(Verhoeyan)ら(1988年) Science 239:1534頁;およびバイドラー(Beidler)ら(1988年) J.Immunol.141:4053〜4060頁にて記載の方法を用いて産生してもよい。
(トランスジェニック動物およびファージディスプレイに由来するヒト抗体)
あるいは、今では免疫時、内因性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の完全レパートリーを産生可能なトランスジェニック動物(例えばマウス)を作製することは可能である。例えば、キメラおよび生殖系列変異マウスにおける抗体の重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失が内因性抗体産生の完全な阻害を招くことが記載されている。かかる生殖系列変異マウスにおけるヒト生殖系列の免疫グロブリン遺伝子アレイの移入が、抗原チャレンジの際にヒト抗体の産生をもたらす。例えば、米国特許第6,150,584号明細書;米国特許第6,114,598号明細書;および米国特許第5,770,429号明細書を参照のこと。
完全ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリから誘導可能である(フーゲンブーム(Hoogenboom)ら、J.Mol.Biol.、227:381頁(1991年);マークス(Marks)ら、J.Mol.Biol、222:581〜597頁(1991年))。キメラポリクローナル抗体もまた、ファージディスプレイライブラリから取得してもよい(ビュークラー(Buechler)ら、米国特許第6,420,113号明細書)。
(二重特異性抗体および抗体結合体)
二重特異性抗体(BsAb)は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。かかる抗体は、完全長の抗体または抗体断片(例えばF(ab)’2二重特異性抗体)から誘導可能である。二重特異性抗体を作製するための方法は、当該技術分野で既知である。従来からの完全長二重特異性抗体の産生は2つの免疫グロブリンの重鎖−軽鎖ペアの共発現に基づくものであり、この場合、2つの鎖は異なる特異性を有する(ミルスタイン(Millstein)ら、Nature、305:537〜539頁(1983年))。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖がランダムに分かれることから、これらのハイブリドーマ(クアドローマ(quadromas))は異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生する(国際公開第93/08829号パンフレットおよびトラウネッカー(Traunecker)ら、EMBO J.、10:3655〜3659頁(1991年)を参照)。
二重特異性抗体は、架橋または「ヘテロ結合体」抗体も含む。例えば、ヘテロ結合体内の抗体の一方はアビジンに結合体化され、他方はビオチンまたは他のペイロード(payload)に結合体化されうる。ヘテロ結合体抗体は、任意の便利な架橋方法を用いて作製可能である。適切な架橋剤は当該技術分野で周知であり、多数の架橋技術とともに米国特許第4,676,980号明細書中に開示されている。
さらに別の実施形態では、抗体を化学的または遺伝的に反応部分、検出可能部分、または機能部分などのペイロード、例えば免疫毒素に結合体化することで、抗体結合体の生成が可能である。かかるペイロードとしては、例えば免疫毒素、化学療法剤、および放射性同位体が挙げられ、それらのすべては当該技術分野で周知である。
(抗体融合タンパク質)
本発明で用いられるFc領域を有するAβ結合タンパク質は、Aβに結合可能な非抗体タンパク質またはポリペプチドに融合される抗体の少なくともFc部分を有する融合タンパク質でありうる。したがって、Aβに結合可能でありかつFcに関連した機能(血清安定性、Fc受容体結合など)を有する可溶性融合タンパク質が生成される。抗体融合タンパク質(当該技術分野ではFc融合タンパク質またはIg融合タンパク質とも称される)は、標準の組換えDNA技術を用いて調製可能なものであり、当該技術分野で記載されており、例えば米国特許第5,116,964号明細書、米国特許第5,225,538号明細書、米国特許第5,336,603号明細書および米国特許第5,428,130号明細書(すべてカポン(Capon)らによる)を参照のこと。
(抗Aβ抗体)
一般に、本発明の抗体としては、Aβペプチドの標的化によるアミロイド生成性疾患(amyloidogenic diseases)、特にアルツハイマー病の治療を目的とした種々の抗体挙げられる。
本明細書において、用語「Aβ抗体」、「抗Aβ抗体」および「抗Aβ」は、ヒトアミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβタンパク質、またはそれら双方の1種もしくは複数種のエピトープまたは抗原決定基に結合する抗体を示すように同義的に用いられる。典型的なエピトープまたは抗原決定基はAPP内部に見出されうるが、好ましくはAPPのAβペプチド内部に見出される。APPの複数のアイソフォーム、例えばAPP695、APP751およびAPP770が存在する。APP内部のアミノ酸には、APP770アイソフォームの配列(例えばGenBank登録番号P05067を参照)に応じた数が割り当てられる。現在、ヒトにおいて存在することで知られるAPPの特異的アイソタイプの例として、「正常な」APPとして示される、カン(Kang)ら(1987年) Nature 325:733〜736頁に記載の695アミノ酸ポリペプチド、ポンテ(Ponte)ら(1988年) Nature 331:525〜527頁(1988年)およびタンジ(Tanzi)ら(1988年) Nature 331:528〜530頁に記載の751アミノ酸ポリペプチド、およびキタグチ(Kitaguchi)ら(1988年) Nature 331:530〜532頁に記載の770−アミノ酸ポリペプチドが挙げられる。インビボまたはインサイチュでの異なるセクレターゼ酵素によるAPPのタンパク質分解プロセシングの結果として、Aβが「短い形態」としての40アミノ酸長と「長い形態」としての42〜43の範囲のアミノ酸長との双方にて見出される。短い形態のAβ40はAPPの残基672〜711からなる。長い形態、例えばAβ42またはAβ43は、それぞれ残基672〜713または672〜714からなる。APPの疎水性ドメインの一部がAβのカルボキシ末端で見出され、これにより長い形態の場合に特に、Aβが凝集する能力を説明し得る。Aβペプチドは、健常者とアミロイド原性疾患を患う患者の双方を含む、ヒトおよび他の哺乳類の体液内、例えば脳脊髄液内に見出されうるか、またはそれらから精製可能である。
用語「β−アミロイドタンパク質」、「β−アミロイドペプチド」、「β−アミロイド」、「Aβ」および「Aβペプチド」は本明細書で同義的に用いられる。Aβペプチド(例えば、Aβ39、Aβ40、Aβ41、Aβ42およびAβ43)は、APPの39〜43個のアミノ酸の約4−kDaの内部断片である。例えば、Aβ40はAPPの残基672〜711からなり、Aβ42はAPPの残基672〜713からなる。Aβペプチドとしては、APPのセクレターゼ切断から得られるペプチドおよび切断生成物と同じまたは本質的に同じ配列を有する合成ペプチドが挙げられる。Aβペプチドは、種々のソース、例えば組織、細胞株、または体液(例えば血清または脳脊髄液)に由来し得る。例えば、Aβは、例えばウォルシュ(Walsh)ら(2002年)、Nature、416、535〜539頁に記載のように、APP717VFが安定的にトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などのAPP−発現細胞に由来し得る。Aβ調製物は、先行的に記載された方法(例えば、ジョンソン(Johnson)−ウッド(Wood)ら(1997年)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:1550頁を参照)を用いて組織ソースから誘導可能である。あるいは、Aβペプチドは、当該技術分野で周知の方法を用いて合成可能である。例えば、フィールズ(Fields)ら、Synthetic Peptides:A User’s Guide、グラント(Grant)編、W.H.フリーマン(W.H.Freeman & Co.)、ニューヨーク(New York)、ニューヨーク州、1992年、77頁)を参照のこと。それ故、ペプチドは、例えばアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)製Peptide Synthesizerモデル430Aまたは431上で側鎖保護アミノ酸を用い、α−アミノ基がt−BocまたはF−mocの化学により保護された状態で固相合成の自動化メリフィールド(Merrifield)技術を用いることで合成可能である。より長いペプチド抗原は、周知の組換えDNA技術を用いて合成可能である。例えば、ペプチドまたは融合ペプチドをコードするポリヌクレオチドを合成するか、または適切な宿主細胞によるトランスフェクションおよび異種発現に適する発現ベクター内に分子クローニングし、挿入することが可能である。Aβペプチドはまた、正常遺伝子のAβ領域内の変異体から生じる関連Aβ配列を示す。
Aβ抗体の結合対象の典型的なエピトープまたは抗原決定基がヒトアミロイド前駆体タンパク質(APP)内部に見出されうるが、好ましくはAPPのAβペプチド内部に見出される。Aβ内部の典型的なエピトープまたは抗原決定基は、AβのN−末端内、中央領域内、またはC−末端内に位置する。「N−末端エピトープ」は、AβペプチドのN−末端内に位置するかまたはN−末端を含むエピトープまたは抗原決定基である。典型的なN−末端エピトープとしては、Aβのアミノ酸1〜10または1〜12内部の残基、好ましくはAβ42の残基1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、2〜6、2〜7、3〜6、または3〜7が挙げられる。他の典型的なN−末端エピトープは、Aβの残基1〜3から開始し、残基7〜11で終結する。さらなる典型的なN−末端エピトープとしては、Aβの残基2〜4、5、6、7または8、Aβの残基3〜5、6、7、8または9、あるいはAβ42の残基4〜7、8、9または10が挙げられる。「中央エピトープ」は、Aβペプチドの中央または中間部分の内部に位置する残基を含むエピトープまたは抗原決定基である。典型的な中央エピトープとしては、Aβのアミノ酸13〜28内の残基、好ましくはAβの残基14〜27、15〜26、16〜25、17〜24、18〜23、または19〜22が挙げられる。他の典型的な中央エピトープとしては、Aβのアミノ酸16〜24、16〜23、16〜22、16〜21、18〜21、19〜21、19〜22、19〜23、または19〜24内の残基を含む。「C−末端」エピトープまたは抗原決定基は、AβペプチドのC−末端内に位置するかまたはそれを含むように位置し、このエピトープとしては、Aβのアミノ酸33〜40、33〜41、または33〜42内の残基を含む。「C−末端エピトープ」は、AβペプチドのC−末端内、例えばAβのアミノ酸30〜40または30〜42辺りの内部に位置する残基を含むエピトープまたは抗原決定基である。さらなる典型的なC−末端エピトープまたは抗原決定基としては、Aβの残基33〜40または33〜42が挙げられる。
抗体がAβ3〜7などの特定の残基内のエピトープに結合すると言われる場合、これは抗体が特定の残基(すなわちこの例ではAβ3〜7)を有するポリペプチドに特異的に結合することを意味している。かかる抗体は必ずしもAβ3〜7内のすべての残基に接触するわけではない。Aβ3〜7内部でのすべての単一のアミノ酸の置換または欠失が必ずしも結合親和性に有意に作用するわけでもない。様々な実施形態では、Aβ抗体は末端特異的である。本明細書で用いられる「末端特異的」という用語は、AβペプチドのN−末端またはC−末端残基に特異的に結合するものの、同残基が同残基を含むより長いAβ種またはAPPに内在する場合に同残基を認識しない抗体を示す。様々な実施形態では、Aβ抗体は「C−末端に特異的」である。本明細書で用いられる「C−末端に特異的」という用語は、抗体がAβペプチドの遊離C−末端を特異的に認識することを意味する。C−末端に特異的なAβ抗体の例として、残基40で終結するAβペプチドを認識するものの残基41、42、および/または43で終結するAβペプチドを認識しないもの、残基42で終結するAβペプチドを認識するものの残基40、41、および/または43で終結するAβペプチドを認識しないものなどが挙げられる。
一実施形態では、Aβ抗体は、3D6抗体またはその変異体、あるいは10D5抗体またはその変異体であり、それら双方は米国特許出願公開第2003/0165496A1号明細書、米国特許出願公開第2004/0087777A1号明細書、国際特許公開第02/46237A3号パンフレットおよび国際公開第04/080419A2号パンフレットに記載されている。3D6および10D5抗体についての記載は、例えば、国際特許公開第02/088306A2号パンフレットおよび国際特許公開第02/088307A2号パンフレットにも見出されうる。さらなる3D6抗体は、米国特許出願第11/303,478号明細書および国際出願PCT/US05/45614号明細書に記載されている。3D6は、ヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基1〜5内に位置するN−末端エピトープに特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)である。比較すると、10D5はヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基3〜6内に位置するN−末端エピトープに特異的に結合するmAbである。3D6モノクローナル抗体(RB96 3D6.32.2.4)を産生する細胞株は、ブダペスト条約の条項に従って2003年4月8日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)、マナサス(Manassas)、VA20108、米国に寄託されたものであり、受託番号PTA−5130を有する。10D5モノクローナル抗体(RB44 10D5.19.21)を産生する細胞株は、ブダペスト条約の条項に従って2003年4月8日にATCCに寄託されたものであり、受託番号PTA−5129を有する。
典型的な変異体3D6抗体は、例えば配列番号3または配列番号5として示される可変領域アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖と、配列番号4または配列番号6として示される可変領域アミノ酸配列とを含むヒト化重鎖を有するものである。他の典型的な変異体3D6抗体は、例えば配列番号7として示されるヒト化軽鎖アミノ酸配列と、配列番号8として示されるヒト化重鎖アミノ酸配列とを有するものである。
典型的な変異体10D5抗体は、例えば配列番号9または配列番号11として示される可変領域アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖と、配列番号10または配列番号12として示される可変領域アミノ酸配列を含むヒト化重鎖とを有するものである。他の典型的な変異体10D5抗体は、例えば配列番号13として示されるヒト化軽鎖アミノ酸配列と、配列番号14として示されるヒト化重鎖アミノ酸配列とを有するものである。かかる変異抗体は、さらに国際公開第02/088307A2号パンフレットに記載されている。
別の実施形態では、抗体は米国特許出願公開第2004/0082762A1号明細書および国際特許公開第03/077858A2号パンフレットに記載のように12B4抗体またはその変異体でありうる。12B4は、ヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基3〜7内に位置するN−末端エピトープに特異的に結合するmAbである。
典型的な変異体12B4抗体は、例えば配列番号15または配列番号17として示される可変領域アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖(または軽鎖)と、配列番号16、配列番号18または配列番号19として示される可変領域アミノ酸配列を含むヒト化重鎖とを有するものである。
さらに別の実施形態では、抗体は、米国特許出願公開第2005/0118651Al号明細書、米国特許出願第11/303,478号明細書、国際特許公開第04/108895A2号パンフレットおよび国際特許出願PCT/US05/45614号明細書に記載のように、12A11抗体またはその変異体でありうる。12A11は、ヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基3〜7内に位置するN−末端エピトープに特異的に結合するmAbである。12A11モノクローナル抗体を産生する細胞系は、ブダペスト条約の条項に従って2005年12月13日にATCCに寄託されたものであり、受託番号PTA−7271を有する。
典型的な変異体12A11抗体は、例えば配列番号20として示される可変領域アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖と、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40または配列番号41として示される可変領域アミノ酸配列とを含むヒト化重鎖を有するものである。
さらに別の実施形態では、抗体は、米国特許出願第11/305,899号明細書および国際出願PCT/US05/45860号明細書に記載のように6C6抗体またはその変異体でありうる。6C6は、ヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基3〜7内に位置するN−末端エピトープに特異的に結合するmAbである。抗体6C6を産生する細胞株は、ブダペスト条約の条項に従って2005年11月1日にATCCに寄託され、登録番号PTA−7200が割り当てられた。
さらに別の実施形態では、抗体は、米国特許出願第11/305,899号明細書および国際出願PCT/US05/45860号明細書に記載のように2H3抗体でありうる。2H3は、ヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基2〜7内に位置するN−末端エピトープに特異的に結合するmAbである。
さらに別の実施形態では、抗体は、米国特許出願第11/305,899号明細書および国際出願PCT/US05/45860号明細書に記載のように3A3抗体でありうる。3A3は、ヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基3〜7内に位置するN−末端エピトープに特異的に結合するmAbである。
抗体2H3および3A3を産生する細胞系(各々、ATCC登録番号PTA−7267およびPTA−7269を有する)は、ブダペスト条約の条項に従って2005年12月13日に寄託されたものである。
さらに別の実施形態では、抗体は、「Humanized Antibodies that Recognize Beta Amyloid Peptide」という表題の米国特許出願第11/304,986号明細書および国際特許出願PCT/US05/45515号明細書に記載のように15C11抗体またはその変異体でありうる。15C11は、ヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基19〜22内に位置する中央エピトープに特異的に結合するmAbである。15C11モノクローナル抗体を産生する細胞株は、ブダペスト条約の条項に従って2005年12月13日にATCCに寄託されたものであり、受託番号PTA−7270を有する。
さらに別の実施形態では、抗体は、米国特許出願公開第2005/0249725Al号明細書および国際特許公開第01/62801A2号パンフレットに記載のように266抗体でありうる。266は、ヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基16〜24内に位置する中央エピトープに特異的に結合するmAbである。266モノクローナル抗体を産生する細胞株は、ブダペスト条約の条項に従って2004年7月20日にATCCに寄託されたものであり、受託番号PTA−6123を有する。
典型的な変異体266抗体は、例えば配列番号42または配列番号44として示される可変領域アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖と、配列番号43または配列番号45として示される可変領域アミノ酸配列を含むヒト化重鎖とを有するものである。他の典型的な変異体266抗体は、例えば配列番号46として示されるヒト化軽鎖アミノ酸配列と、配列番号47として示されるヒト化重鎖アミノ酸配列とを有するものである。かかる変異抗体は、さらに米国特許出願公開第2005/0249725Al号明細書および国際特許公開第01/62801A2号パンフレットに記載されている。
さらに別の実施形態では、抗体は、「Aβ Antibodies for Use in Improving Cognition」という表題で米国特許出願第11/305,899号明細書および国際特許出願PCT/US05/45860号明細書に記載のように2B1抗体またはその変異体でありうる。2B1は、ヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基19〜23内に位置する中央エピトープに特異的に結合するmAbである。
さらに別の実施形態では、抗体は、「Aβ Antibodies for Use in Improving Cognition」という表題で米国特許出願第11/305,899号明細書および国際出願PCT/US05/45860号明細書に記載のように1C2抗体またはその変異体でありうる。1C2は、ヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基16〜23内に位置する中央エピトープに特異的に結合するmAbである。
さらに別の実施形態では、抗体は、米国特許出願第11/304,986号明細書および国際出願PCT/US05/45515号明細書に記載のように9G8抗体またはその変異体でありうる。9G8は、ヒトβ−アミロイドペプチド内、具体的には残基16〜21内に位置する中央エピトープに特異的に結合するmAbである。
抗体2B1、1C2および9G8を産生する細胞株は、ブダペスト条約の条項に従って2005年11月1日にATCCに寄託され、各々、登録番号PTA−7202、PTA−7199およびPTA−7201が割り当てられた。
本発明で用いられる、ヒトβ−アミロイドペプチド内に位置するC−末端エピトープに特異的に結合する抗体としては、「Monoclonal antibody 369.2B specific for βA4 peptide」という表題で米国特許第5,786,180号明細書に記載の369.2Bが挙げられるがこれに限定されない。本発明で用いられる抗体についての詳細な記載は、例えば、ビュシエール(Bussiere)ら(Am.J.Pathol.165(3):987〜95頁(2004年))、バード(Bard)ら(PNAS 100(4):2023〜8頁(2003年))、カジュコウスキー(Kajkowski)ら(J.Biol.Chem.276(22):18748〜56頁(2001年))、ゲームズ(Games)ら(Ann.NY Acad.Sci.920:274〜84頁(2000年))、バード(Bard)ら(Nat.Med.6(8):916〜9頁(2000年))、および「Effecting rapid improvement of cognition in a subject having Alzheimer’s disease,Down’s syndrome,cerebral amyloid angiopathy,or mild cognitive impairment,comprises administering anti−A beta antibody」という表題で国際特許出願公開第03015691A2号パンフレットに見出されうる。本発明で用いられる抗体断片についての詳細な記載は、例えばベールズ(Bales)ら(要旨集P4−396、S587頁、ポスターセッションP4:Therapeutics and Therapeutic Strategies−Therapeutic Strategies、Amyloid−Basedで提示)およびザミール(Zameer)ら(要旨集P4−420、S593頁、ポスターセッションP4:Therapeutics and Therapeutic Strategies−Therapeutic Strategies,Amiloid−Basedで提示)に見出されうる。
本発明で用いられる抗体は、組換え的または合成的に産生可能である。例えば、抗体は、CHO細胞、NIH 3T3細胞、PER.C6(登録商標)細胞、NSO細胞、VERO細胞、ニワトリ胚線維芽細胞、またはBHK細胞を例として用いる組換え細胞培養プロセスにより産生可能である。さらに、Aβペプチドに結合するという主要な機能特性を保持する軽微な改変を伴う抗体が本発明により検討されている。特定の実施形態では、抗体はAβペプチドに選択的に結合するヒト化抗Aβペプチド3D6抗体である。より詳細には、ヒト化抗Aβペプチド3D6抗体は、NH2−末端エピトープ、例えば(例えばアルツハイマー病を患う患者における)脳内の斑沈着内に見出されるヒトβ−アミロイドの1〜40または1〜42ペプチド内に位置するアミノ酸残基1〜5に特異的に結合するように設計される。
典型的なヒト化抗Aβペプチド抗体は、ヒト化3D6バージョン2(h3D6v2)である。h3D6v2軽鎖および重鎖における対応する発現ベクターのDNA配列から予測される完全アミノ酸配列は図1に示され(軽鎖および重鎖のNH2−末端から数えられる場合の残基が残基番号1である)、それぞれ配列番号1および配列番号2で示される。重鎖DNA配列でコードされる最後のアミノ酸残基Lys449は、h3D6v2の成熟した分泌形態で観察されておらず、任意の特定の理論に拘束されたくないが、おそらくはCHO細胞プロテアーゼによる細胞内プロセシングの間に除去される。したがって、h3D6v2重鎖のCOOH−末端は場合によりGIy448である。COOH−末端のリジンのプロセシングが組換え抗体および血漿由来抗体内で観察されており、それはそれらの機能に作用するようには見られない(ハリス(Harris)(1995年) J.Chromatogr.A.705:129〜134頁)。精製されたh3D6v2は、N−連結グリカンの重鎖のFc部分への付加により翻訳後修飾されたものであり、単一のN−グリコシル化コンセンサス部位を有することで知られる。N−グリコシル化部位は、哺乳類IgGタンパク質の類似のN−グリコシル化部位で共通に観察される3つの主要な複雑な二分岐状の中性オリゴ糖構造を示す。
別の典型的なヒト化抗Aβペプチド抗体は、軽鎖の位置1でのD→Y置換、重鎖の位置75でのS→A置換(カバト(Kabat)のナンバリングによると位置74)、重鎖の位置78でのT→S置換(カバト(Kabat)のナンバリングによると位置77)、および重鎖の位置93でのV→L置換(カバト(Kabat)のナンバリングによると位置89)を除いては、図1に示される配列を有するヒト化3D6バージョン1(hu3D6v1)である。
本発明の様々な態様および実施形態は、以下の実施例によりさらに説明される。実施例は、例示目的であって限定目的で提供されるものではない。
以下の実施例はあくまでも例示目的で提供される。実施例は2つの異なる抗−Aβモノクローナル抗体を用いて提供する。6つの別々の実験について記載し、各々は抗体および不純物の除去の組み合わせを示している。
(材料および方法)
一般に、本発明の実行には、他に指示がない限り、化学、分子生物学、組換えDNA技術、免疫学(特に、例えば免疫グロブリン技術)、および電気泳動における標準技術に関する従来技術が用いられる。例えば、サムブルック(Sambrook)、フリッツ(Fritsch)およびマニアティス(Maniatis)、Molecular Cloning:コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)(1989年);Antibody Engineering Protocols(Methods in Molecular Biology)、510、ポール S.(Paul S.)、ヒュマーナ・プレス(Humana Pr)(1996年);Antibody Engineering:A Practical Approach(Practical Approach Series、169)、マッカファーティ(McCafferty)編、アイアールエル・プレス(Irl Pr)(1996年);Antibodies:A Laboratory Manual、ハーロウ(Harlow)ら、シーエスエイチエル・プレス(C.S.H.L.Press)発行(1999年);Current Protocols in Molecular Biology、アウスベル(Ausubel)ら編、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)(1992年);ブセ(Bousse)ら、Protein Sizing on a Microchip、Anal.Chem.73、1207〜1212頁(2001年);ナップ(Knapp)ら、Commercialized and Emerging Lab−on−a−Chip Applications;Proceedings of the μTAS 2001 Symposium、ラムゼイ J.M.(Ramsey J.M.)およびファンデンベルグ A.(van den Berg A.)、7〜10頁(2001年);およびムハトル(Mhatre)ら、Strategies for locating disulfide bonds in a monoclonal antibody via mass spectrometry、Rapid Commun.Mass Spectrom、13(24)2503〜2510頁(1999年)を参照のこと。
(標的抗体の産生)
標的抗体を、例えば懸濁液培養物中で増殖させた組換え哺乳類細胞株を用いて産生してもよい。生成バイオリアクター内で目的の抗体を含有する馴化培地を生成する。得られた生成物を回収し、例えば精密濾過および0.22μmの濾過、または遠心分離、あるいはパッド濾過および0.22μmの濾過などの任意の適切な清澄化ステップを用いて清澄化することが可能である。
(標的抗体の精製)
本明細書で例示される標的モノクローナル抗体(AAB、12A11)の精製は、プロテインAの親和性クロマトグラフィー上での標的分子の捕捉からなる。これは、rmpプロテインA Sepharose(商標)Fast Flow、プロテインA Sepharose(商標)Fast Flow、またはMabSelectプロテインAから構成されうる。次いで各実験に記載のように樹脂を洗浄し、生成物を溶出させ、不純物レベルについて試験する。
(標的抗体の分析)
逆相HPLC(RP−HPLC)を用い、AABモノクローナル抗体試料中に存在するIRTの量を定量した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC)を用い、単量体タンパク質(単量体IgG)種、高分子量(HMW)種、および低分子量(LMW)種の百分率を測定した。変性SEC−HPLC分析を行い、試料中のアンダージスルフィド結合(UDB)種の相対量を測定した。試験試料中のHCPのレベルを酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて測定した。
(分析アッセイ:IRTおよびUDB)
(逆相HPLC(AAB IRT分析))
RP−HPLCを以下のように行った。各試料のジスルフィド還元を、2.5mM DTTの存在下、40℃で60分間のインキュベーションにより行った。アルキル化を5.5mMヨード酢酸の存在下、室温でのインキュベーションにより行った。還元およびアルキル化を行ってから、全試料を1M DTT5μlでクエンチした。このアッセイでの定量限界は0.5%である。還元しアルキル化した試料各々約40μgをPOROS R1/H RP−HPLCカラムに注入し、以下の条件下で70分間実験した。
カラム:Poros R1/H RP−HPLC
カラム温度:50℃;
移動相A:水中、0.1%TFA(w/v);
移動相B:95%アセトニトリル中、0.1%TFA(w/v);
流速:1.0mL/分
検出:217nm
運転時間:70分
注入:各々、約40μgで3連
勾配時間を表1に列挙する。
(dSEC−HPLC(AAB UDB分析))
変性SEC−HPLCを以下のように行った。変性SECアッセイ用の試料の前処理として、200μg/mLのタンパク質、3MグアニジンHCl、および100mMトリス(pH7.4)の最終濃度での試薬/試料混合物が含まれる。試料を反転により混合しながら80℃で20分間加熱した。このアッセイにおいては、2種の対照を用いてUDBレベルの限度設定(bracketing)を可能にした。低レベルのUDBおよび高レベルのUDBを伴う内部参照を対照として用いた。
クロマトグラフィー/アッセイ条件は以下の通りであった。
カラム:Tosoh BioSep G3000 SWxl
カラム温度:周囲温度
移動相:3MグアニジンHCl、25mM NaPO4、pH6.8
勾配:アイソクラティック
流速:0.5mL/分
検出:280nm
運転時間:50分
注入:50μL(10μg)で3連
(実施例1:IRT除去における洗浄緩衝液の比較)
この実施例では、抗−Aβモノクローナル抗体AABを含有する不純溶液をプロテインAカラム上への吸着により精製した後、CaCl2、MgCl2、NaClまたはプロピレングリコールのいずれかを含有する洗浄緩衝液を用いて1回目の洗浄を行った。
モノクローナル抗体を含有する培養物を、GEヘルスケア(GE Healthcare)製AEKTA FPLCクロマトグラフィーシステムに接続されたrmpプロテインA Sepharose(商標)FFカラム(8.9mL)を用いて小規模精製した。実験1に記載のすべてのrmpプロテインA Sepharose(商標)FFクロマトグラフィーステップにおいては、以下の条件を用いた(個々の実験仕様において例外が認められる)。
カラム寸法−1.0cm×11.4cm
運転流速−150cm/時
平衡化1−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(5カラム容量)
フラッシュ−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(1カラム容量)
洗浄1−洗浄1を含まない実験#1を除き一定でない(表2参照)
洗浄2−20mMトリス、1.0M NaCl、pH7.5(5カラム容量)
洗浄3−10mMトリス、75mM NaCl、pH7.5(7カラム容量)
溶出−50mMグリシン、75mM NaCl、pH3.1(6カラム容量)
剥離1−20mMクエン酸ナトリウム、pH2.7(5カラム容量)
剥離2−6MグアニジンHCl(2カラム容量)
剥離洗浄−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(5カラム容量)
保存−16%エタノール(5カラム容量)
運転温度:2〜8℃
rmpプロテインA Sepharose(商標)FFカラム実験を5カラム容量の20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5で平衡化した。約10mg生成物/mL樹脂でカラムにロードした。ロードに続き、1カラム容量を平衡化緩衝液および5カラム容量の洗浄1溶液でフラッシュした。試験したすべての洗浄1溶液の概略を表2に示す。実験#1を除くすべての実験で洗浄1を含めた。洗浄1の後、5カラム容量の20mMトリス、1.0M NaCl、pH7.5および7カラム容量の10mMトリス、75mM NaCl、pH7.5を続けた。モノクローナル抗体を50mMグリシン、75mM NaCl、pH3.1を用いてカラムから溶出させた。次いで、生成物プールを2Mトリス、pH8.5を用いて7.9〜8.1に中和した。次いで、カラムから剥離し、洗浄し、保存した。表2は、様々な実験から得た生成物プール中に存在するIRT種およびLMWのレベルを列挙する。塩化マグネシウムおよび塩化カルシウム洗浄により、IRTおよびLMW種のレベルが低下した。
これらの結果は、塩化マグネシウム洗浄および塩化カルシウム洗浄によりIRTおよびLMW種のレベルが低下する一方、塩化ナトリウム洗浄およびプロピレングリコール洗浄によりIRTまたはLMW種が低下しないことを示した。
(実施例2:IRTを除去するためのCaCl2洗浄を伴うプロテインAのクロマトグラフィー)
この実施例では、大規模な抗体精製を、IRT種を除去するためのCaCl2洗浄を伴うプロテインAのクロマトグラフィーを用いて行った。
モノクローナル抗体を含有する培養物を、ミリポア(Millipore)製K−Prime400クロマトグラフィーシステムに接続されたMabSelectプロテインAカラム(2.4L)を用いてパイロット規模で精製した。2つのMabSelect実験を下記のように行った。
カラム寸法−13cm×18cm
運転流速−150cm/時、300cm/時
平衡化1−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(5カラム容量)
フラッシュ−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(2カラム容量)
洗浄1−実験#1では50mMトリス、2M CaCl2、pH7.5、実験#2では洗浄1を行わない
洗浄2−20mMトリス、1.0M NaCl、pH7.5(5カラム容量)
洗浄3−10mMトリス、75mM NaCl、pH7.5(5カラム容量)
溶出−50mMグリシン、25mM NaCl、pH3.1(6カラム容量)
剥離1−50mMグリシン、0.5M NaCl、pH2.7(5カラム容量)
剥離2−6MグアニジンHCl(2カラム容量)
剥離洗浄−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(5カラム容量)
保存−16%エタノール(5カラム容量)
運転温度:2〜8℃
MabSelectプロテインAカラムを5カラム容量の20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5で平衡化した。次いで、約10mgの生成物/mL樹脂でカラムにロードした。この次に2カラム容量の平衡化緩衝液でフラッシュし、5カラム容量の洗浄1溶液を続けた。実験1ではこの洗浄1溶液が50mMトリス、2.0M CaCl2、pH7.5からなる一方、実験2ではそれをそのまま放置した。次いで、洗浄1は5カラム容量の50mMトリス、1.0M NaCl、pH7.5および5カラム容量の10mMトリス、75mM NaCl、pH7.5を続けた。モノクローナル抗体を、50mMグリシン、25mM NaCl、pH3.1を用いてMabSelectプロテインAカラムから溶出させた。次いで、生成物プールを2Mトリス、pH8.5を用いて7.8〜8.2に中和した。次いで、カラムを剥離し、洗浄し、保存した。結果を表3に示す。
これらの結果は、パイロット規模での塩化カルシウム洗浄によりIRTが生成物プールから除去されることを示した。
(実施例3:DNA除去)
この実施例では、CaCl2洗浄がAABモノクローナル抗体を含有する調製物から宿主細胞DNAを除去する能力について試験した。
モノクローナル抗体を含有する培養物をGEヘルスケア(GE Healthcare)製AEKTA FPLCクロマトグラフィーシステムに接続されたMabSelectプロテインAカラム(19mL)を用いて小規模精製した。3つのMabSelect実験を下記のように行った。
カラム寸法−1.1cm×20cm
運転流速−300cm/時
平衡化1−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(5カラム容量)
フラッシュ−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(2カラム容量)
洗浄1−50mMトリス、2.0M CaCl2、pH7.5(5カラム容量)(実験2および3のみ)
洗浄2−20mMトリス、1.0M NaCl、pH7.5(5カラム容量)(実験1および3のみ)
洗浄3−10mMトリス、75mM NaCl、pH7.5(7カラム容量)
溶出−50mMグリシン、75mM NaCl、pH3.0(6カラム容量)
剥離−50mMグリシン、0.5M NaCl、pH2.7(5カラム容量)
剥離洗浄−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(5カラム容量)
保存−16%エタノール(5カラム容量)
運転温度:18〜24℃
MabSelectプロテインAカラム実験を5カラム容量の20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5で平衡化した。次いで、約40mgの生成物/mL樹脂のロード量でカラムにロードした。この次に2カラム容量の平衡化緩衝液でフラッシュした。実験2および3においては、このステップに5カラム容量の洗浄1溶液を続けた。実験1および3においては、5カラム容量の洗浄2溶液を用いた。すべての3つの実験においては、7カラム容量の洗浄3溶液を用いた。モノクローナル抗体を、50mMグリシン、75mM NaCl、pH3.0を用いてMabSelectプロテインAカラムから溶出させた。次いで、生成物プールを2Mトリス、pH8.5を用いて7.5〜8.0に中和した。次いで、カラムを剥離し、洗浄し、保存した。結果を表4に示す。
結果は、50mMトリス、2.0M塩化カルシウム、pH7.5の添加により、洗浄溶液中のNaClを用いる場合よりもDNAの10倍大きい低下がもたらされることを示した。
(実施例4:宿主細胞タンパク質の除去)
この実施例では、宿主細胞タンパク質(HCP)の除去能について様々な洗浄条件を試験した精製実験において第2の抗−Aβモノクローナル抗体12Al1を用いた。
96ウェルフィルタープレート形式でハイスループットスクリーニング(HTS)を行い、MabSelectステップにおけるHCPなどの不純物の除去にとって最良の洗浄条件を同定した。このスクリーニングで洗浄用賦形剤、賦形剤濃度、およびpHを変化させることで、HCPなどのプロセスに関連する不純物に対するそれらの作用を測定した。
MabSelect樹脂を5mMトリス、10mM NaCl、pH7.3を用いて平衡化し、それにカラム内の生成物をロードした。次いで、樹脂を取り出し、混合し、50μLの樹脂を96ウェルフィルタープレートの各ウェルに分配した。各ウェル内の樹脂を5mMトリス、10mM NaCl、pH7.3の溶液中で平衡化し、次いで3段階で、様々な賦形剤の洗浄溶液の各々(各々300μLの洗浄緩衝液)で洗浄した。賦形剤の洗浄を行った後、5mMトリス、10mM NaCl、pH7.3の緩衝液で第2の洗浄を、4段階、各300μLで行った。次いで、生成物を樹脂から3段階、各300μLで溶出させた。溶出段階1および2を組み合わせ、HCPレベルについて試験した。
樹脂容量−50μL
洗浄用賦形剤−塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム
賦形剤濃度−100、250、500、1000、1500、および2000mM
賦形剤pH−6.0および7.5
溶出緩衝液−25mMヘペス、10mM NaCl、pH3.0、25mMヘペス、100mM NaCl、pH3.0、50mMグリシン、10mM NaCl、pH3.0、50mMグリシン、100mM NaCl、pH3.0および100mMアルギニン、10mM NaCl、pH3.0、100mMアルギニン、100mM NaCl、pH3.0
運転温度:18〜24℃
結果を表5および表6に示す。
これらの結果は、塩化カルシウムと塩化マグネシウムの双方によりpH6.0(表5)およびpH7.5(表6)において、塩化ナトリウムと比べてMabSelectのピークのプール中でのHCPのレベルが低下することを示した。
(実施例5:アンダージスルフィド結合種(UDB)の除去)
この実施例では、CaCl2洗浄におけるアンダージスルフィド結合種(UDB)を除去する能力について試験した。
実施例1に本質的に記載のように、2つのrmpプロテインA Sepharose(商標)FF実験を行った。
カラム寸法−1.0cm×11.4cm
運転流速−150cm/時
平衡化1−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(5カラム容量)
フラッシュ−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(1カラム容量)
洗浄1−実験1では50mM酢酸塩、2.0M CaCl2、pH5.0、実験2ではなし
洗浄2−20mMトリス、1.0M NaCl、pH7.5(5カラム容量)
洗浄3−10mMトリス、75mM NaCl、pH7.5(7カラム容量)
溶出−50mMグリシン、75mM NaCl、pH3.1(6カラム容量)
剥離1−20mMクエン酸ナトリウム、pH2.7(5カラム容量)
剥離2−6MグアニジンHCl(2カラム容量)
剥離洗浄−20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(5カラム容量)
保存−16%エタノール(5カラム容量)
運転温度:2〜8℃
rmpプロテインA Sepharose FFカラムを5カラム容量の20mMトリス、150mM NaCl、pH7.5で平衡化した。次いで、約10mgの生成物/mL樹脂のロード量でカラムにロードした。この次に1カラム容量の平衡化緩衝液でフラッシュし、次いで5カラム容量の洗浄1溶液を用いた。実験1ではこの洗浄1溶液が50mM酢酸塩、2.0M CaCl2、pH5.0からなる一方、実験2ではそれをそのまま放置した。次いで、洗浄1は5カラム容量の20mMトリス、1.0M NaCl、pH7.5および7カラム容量の10mMトリス、75mM NaCl、pH7.5を続けた。モノクローナル抗体を、50mMグリシン、75mM NaCl、pH3.1を用いてrmpプロテインA Sepharose(商標)FFカラムから溶出させた。次いで、生成物プールを2Mトリス、pH8.5を用いて7.8〜8.2に中和した。次いで、カラムを剥離し、洗浄し、保存した。結果を表7に示す。
50mM酢酸塩、2.0M CaCl2、pH5.0での追加洗浄を含む実験において、UDBレベルの1/2への低下が観察された。
(実施例6:他の二価カチオン塩で洗浄される場合のHCPおよびIRTの除去)
この実施例では、MnCl2またはNiCl2のいずれかを含有する洗浄が、抗−Aβモノクローナル抗体AABを含有する調製物から不純物を除去する能力について試験した。
2つの実験を行い、MnCl2およびNiCl2などの他の二価カチオン塩を含有する洗浄剤の効果を評価した。2つの対照実験も行った。ここで一方では50mMトリス、1.0M NaCl、pH7.5の洗浄を用い(想定されたIRTまたはHCPの除去はなし)、もう一方では50mMトリス、2.0M CaCl2、pH7.5の洗浄を用いた。
モノクローナル抗体を含有する培養物を、GEヘルスケア(GE Healthcare)製AEKTA FPLCクロマトグラフィーシステムに接続されたMabSelectプロテインAカラム(9mL)を用いて小規模精製した。MabSelect実験を下記のように行った。下記のように、すべての運転可能なパラメータは4つの実験において同一であり、洗浄1は例外で変動させた(表8)。
カラム寸法−1.0cm×11.5cm(9mL)
運転流速−300cm/時(平衡化、洗浄2、溶出、再生、保存)
運転流速−230cm/時(ロード、フラッシュ、洗浄1)
平衡化1−50mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(5.0カラム容量)
洗浄1−変動(組成については表8を参照)
洗浄2−50mMトリス、10mM NaCl、pH7.5(5カラム容量)
溶出−50mMグリシン、10mM NaCl、pH3.0(3カラム容量)
再生−50mM NaOH、0.5M Na2SO4(5カラム容量)
保存−16%エタノール、50mMトリス、150mM NaCl、pH7.5(5カラム容量)
運転温度:18〜24℃
MabSelectプロテインAカラムを5カラム容量の50mMトリス、150mM NaCl、pH7.5で平衡化した。約40mgの生成物/mL樹脂でカラムにロードした。残存するロード物を5カラム容量の50mMトリス、150mM NaCl、pH7.5を用いてカラムからフラッシュした。次いで、カラムを表11に記載の溶液の1種で洗浄した。溶出に先立ち、カラムを5カラム容量の50mMトリス、10mM NaCl、pH7.5で洗浄した。生成物を、50mMグリシン、10mM NaCl、pH3.0を用いてMabSelectプロテインAカラムから溶出させた。次いで、生成物プールを2Mトリス、pH9.0を用いてpH8.0に中和した。カラムを5カラム容量の50mM NaOH、0.5M Na2SO4で剥離し、次いで5カラム容量の16%エタノール、50mMトリス、150mM NaCl、pH7.5を用いて保存した。結果を表8(HCP除去)および表9(IRT除去)に示す。
*MnCl2およびNiCl2の溶解度によりpH5.0を選択した。
*MnCl2およびNiCl2の溶解度によりpH5.0を選択した。
表8は、二価カチオンを含有する溶液で洗浄した実験において存在するHCPのレベルが対照(1.0M NaCl洗浄)よりも1.5〜3.5倍少ないことを示す。表9は、二価カチオン塩溶液を有する洗浄を含む実験が、1.0M NaClを含有する洗浄溶液を用いた実験と比べて3.5倍を超えるIRTの除去ももたらすことを示す。したがって、これらの結果は、CaCl2以外の他の二価カチオンを有する(例えば、MnCl2またはNiCl2を有する)塩洗浄が不純物の除去にも有効であることを示した。
(等価物)
当業者は、単なる通常の実験を用いて、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多数の等価物について理解するかまたは確認できるであろう。かかる等価物は、添付の特許請求の範囲にて包含されるように意図されている。
図1は、ヒト化3D6バージョン2(hu3D6.v2)抗Aβ抗体の軽鎖および重鎖の完全なアミノ酸配列(各々、配列番号1および配列番号2)を示す。軽鎖の相補性決定領域(CDR)すなわちCDRl、CDR2、およびCDR3は、それぞれ残基位置24〜39、55〜61、および94〜102にある(上方パネル)。重鎖の相補性決定領域(CDR)すなわちCDRl、CDR2、およびCDR3は、それぞれ残基位置40〜44、50〜65、および99〜108にある(下方パネル)。予測された分子内ジスルフィド結合は、関連のシステイン残基の接続により図示される。分子間ジスルフィド結合を形成すると期待されるシステインには下線が引かれ、その接続性が示される。抗体重鎖のN−連結グリコシル化コンセンサス部位は、残基位置299〜301にてイタリック体で示される(下方パネル)。予測された重鎖のC−末端リジンは括弧内に示される。

Claims (34)

  1. Fc領域を有する抗Aβ抗体を、前記抗Aβ抗体および1種もしくは複数種の不純物を含有するソース液体から精製するための方法であって、
    前記抗Aβ抗体を、プロテインAおよびプロテインGのうちの1種または複数種を含むFc結合剤に吸着させるステップ
    前記抗Aβ抗体と結合した前記Fc結合剤を濃度0.5M〜3MのCaClを含有する5〜6、6〜8または8〜9の範囲のpHを有する緩衝溶液で洗浄し、1種もしくは複数種の不純物を低下させるステップであって、前記1種もしくは複数種の不純物がイントロンリードスルー変種(IRT)、アンダージスルフィド結合種(UDB)、高分子量種(HMW)および低分子量種(LMW)からなる群から選択されるステップ、ならびに
    前記抗Aβ抗体2〜4の範囲のpHを有する溶出緩衝溶液中に溶出させることによっての前記Fc結合剤から前記抗Aβ抗体を回収するステッ
    を含む、方法。
  2. 前記1種もしくは複数種の不純物がIRTである請求項に記載の方法。
  3. 前記抗Aβ抗体が、抗体融合体、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、およびヒト抗体からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  4. 前記抗Aβ抗体がヒト化抗−Aβ抗体である請求項1に記載の方法。
  5. 前記ヒト化抗Aβ抗体が、以下
    ATCCに寄託されているPTA−5130細胞株より産生される3D6抗体のヒト化バージョン、
    ATCCに寄託されているPTA−5129細胞株より産生される10D5抗体のヒト化バージョン、
    ATCCに寄託されているPTA−7271細胞株より産生される12A11抗体のヒト化バージョン、
    ATCCに寄託されているPTA−6123細胞株より産生される266抗体のヒト化バージョン、
    ATCCに寄託されているPTA−7270細胞株より産生される15C11抗体のヒト化バージョン
    からなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  6. Fc領域を有する前記抗Aβ抗体が組換え生成される請求項1に記載の方法。
  7. Fc領域を有する前記抗Aβ抗体がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内で組換え生成される請求項に記載の方法。
  8. 前記Fc結合剤がプロテインAを含む請求項1に記載の方法。
  9. 前記Fc結合剤が固相上に固定化される請求項1に記載の方法。
  10. 前記固相がビーズ、ゲル、樹脂、および粒子のうちの1つもしくは複数を含有する請求項に記載の方法。
  11. 前記CaClを含有する緩衝溶液が7.3〜7.7の範囲内のpH値を有する請求項1に記載の方法。
  12. 前記CaCl を含有する緩衝溶液が0.5〜2Mの範囲内のCaCl濃度を有する請求項1に記載の方法。
  13. 前記CaCl を含有する緩衝溶液が1.5M〜2.5MのCaClを含有する請求項1に記載の方法。
  14. 前記CaCl を含有する緩衝溶液が1.5M〜2MのCaClを含有する請求項1に記載の方法。
  15. 前記抗Aβ抗体をFc結合剤に吸着させるステップと前記Fc結合剤を洗浄するステップとが2℃〜24℃の範囲内の温度で行われる請求項1に記載の方法。
  16. 前記1種もしくは複数種の不純物が宿主細胞タンパク質および宿主細胞DNAのうちの1種もしくは複数種を含む請求項1に記載の方法。
  17. 前記抗Aβ抗体を前記Fc結合剤から回収するステップが、2.5〜3.5の範囲内のpHを有する溶出緩衝液を用いて前記抗Aβ抗体を溶出させるステップを含む請求項1に記載の方法。
  18. 前記方法が、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、固定化金属親和性クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)からなる群から選択されるクロマトグラフィーステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
  19. 前記方法が、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、透析、親和性クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム沈殿、エタノール沈殿、逆相HPLC(RP−HPLC)、およびクロマトフォーカシングからなる群から選択されるさらなる精製ステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
  20. 前記1種もしくは複数種の不純物が前記抗Aβ抗体の1種もしくは複数種のイントロンリードスルー変異体を含み、かつ回収された前記抗体を含有する溶出溶液のイントロンリードスルー変異体のレベルが前記ソース液体中のイントロンリードスルー変異体のレベルの少なくとも1/5未満である請求項1に記載の方法。
  21. 回収され前記抗体を含有する溶出溶液のイントロンリードスルー変異体のレベルが前記ソース液体中のイントロンリードスルー変異体のレベルの少なくとも1/10未満である請求項20に記載の方法。
  22. 前記1種もしくは複数種の不純物が前記抗Aβ抗体の1種もしくは複数種のイントロンリードスルー変異体を含み、かつ前記イントロンリードスルー変異体が、回収された前記抗体を含有する溶出溶液中で前記抗体の種の1%未満を構成する請求項1に記載の方法。
  23. 前記イントロンリードスルー変異体が、回収された前記抗体を含有する溶出溶液中で前記抗体の種の0.8%未満、0.5%未満または0.2%未満を構成する請求項22に記載の方法。
  24. 前記1種もしくは複数種の不純物が前記抗Aβ抗体の1種もしくは複数種の低分子量種を含み、かつ前記低分子量種が、回収された前記抗体を含有する溶出溶液中で前記抗体の種の1%未満を構成する請求項1に記載の方法。
  25. 前記低分子量種が、回収された前記抗体を含有する溶出溶液中で前記抗体の種の0.8%未満、0.5%未満または0.2%未満を構成する請求項24に記載の方法。
  26. 前記1種もしくは複数種の不純物が前記抗Aβ抗体の1種もしくは複数種のアンダージスルフィド結合変異体を含み、かつ前記アンダージスルフィド結合変異体が、回収された前記抗体を含有する溶出溶液中で前記抗体の種の15%未満を構成する請求項1に記載の方法。
  27. 前記アンダージスルフィド結合変異体が、回収された前記抗体を含有する溶出溶液中で前記抗体の種の10%未満、5%未満または2%未満を構成する請求項26に記載の方法。
  28. CaClによる洗浄後、少なくとも濃度10mMのNaClを含む緩衝溶液により、前記抗Aβ抗体に結合したFc結合剤を洗浄するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  29. 前記1種以上の不純物がイントロンリードスルー変種、アンダージスルフィド結合種、低分子量種、宿主細胞タンパク質または宿主細胞DNAのうちの1種以上を含み、かつ前記1種以上の不純物がソース液体中のレベルよりも半分以下のレベルに低下される、請求項1に記載の方法。
  30. 前記抗Aβ抗体が、配列番号1の残基24〜39のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号1の残基55〜61のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号1の残基94〜102のアミノ酸配列を有するCDR3の軽鎖相補性決定領域を含む軽鎖を含み、かつ配列番号2の残基31〜35のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号2の残基50〜65のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号2の残基99〜108のアミノ酸配列を有するCDR3の重鎖相補性決定領域を含む重鎖を含むヒト化3D6抗体である、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記ヒト化3D6抗体が、配列番号1の残基1〜112のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域、及び配列番号2の残基1〜119のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域を含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記ヒト化3D6抗体が配列番号:1のアミノ酸配列を含む鎖および配列番号:2の残基1〜448のアミノ酸配列を含む鎖を含む、請求項31に記載の方法。
  33. 前記抗体がアイソタイプIgM、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のものである、請求項1に記載の方法。
  34. 前記抗体がアイソタイプIgG1のものである、請求項33に記載の方法。
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