JP5099412B2 - 変性粘土を用いた膜 - Google Patents
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Description
(1)変性粘土を主要構成成分とする材料であって、1)原料粘土のイオン変換によって該粘土に有機カチオンが導入された変性粘土と添加物から構成され、2)変性粘土の全固体に対する重量比が70%以上であり、3)ガスバリア性を有し、4)自立膜として利用可能な機械的強度を有し、5)変性粘土に用いられる原料粘土が、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、イライト、セリサイトのうちの一種以上であり、6)変性粘土の交換性イオンの少なくとも50パーセントが、リチウムイオンであり、7)変性粘土における有機カチオン組成が、30重量パーセント未満であり、8)熱重量測定において5パーセント減量温度が235℃以上760℃以下であり、9)40℃、相対湿度90パーセントにおける水蒸気透過度が、6gm −2 day −1 未満であり、10)添加物が、セルロイド、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ユリア樹脂、酢酸セルロース、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリウレタン樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル、ケイ素樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボナート、ポリアセタール、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタラート、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミドのうちの1種以上である、ことを特徴とする膜。
(2)変性粘土が、天然粘土あるいは合成粘土を用いたものである、前記(1)に記載の膜。
(3)変性粘土が有機カチオンとして第四級アンモニウムカチオンあるいは第四級ホスホニウムカチオンを含む、前記(1)に記載の膜。
(4)塩素濃度が、150ppm未満である、前記(3)に記載の膜。
(5)変性粘土が、粘土にシリル化剤を反応させたものである、前記(1)から(4)のいずれかに記載の膜。
(6)粘土とシリル化剤に対するシリル化剤の組成が、30重量パーセント未満である、前記(5)に記載の膜。
(7)エポキシ樹脂が、リグニン由来、あるいはスクロース由来エポキシである、前記(1)に記載の膜。
(8)加熱処理により耐水性を向上させた、前記(1)に記載の膜。
(9)シリル化粘土が、エポキシ末端シリル化粘土であり、製膜過程でエポキシ反応させ粘土間に共有結合を形成する、前記(1)に記載の膜。
(10)シリル化粘土A及びシリル化粘土Bを混合し、シリル化粘土Aの末端とシリル化粘土Bの末端を反応させることにより、粘土間に共有結合を形成する、前記(1)に記載の膜。
(11)シリル化粘土Aの末端が、エポキシ基であり、シリル化粘土Bの末端がアミノ基である、前記(10)に記載の膜。
(12)表面処理が行われている、前記(1)に記載の膜。
(13)表面処理が、撥水処理、防水処理、補強処理、及び表面平坦化処理のうちの一種以上である、前記(12)に記載の粘土膜。
(14)表面処理が、酸化ケイ素膜、フッ素系膜、シリコン系膜、ポリシロキサン膜、フッ素含有オルガノポリシロキサン膜、アクリル樹脂膜、塩化ビニル樹脂膜、ポリウレタン樹脂膜、高撥水メッキ膜、金属蒸着膜、又はカーボン蒸着膜を表面に形成することである、前記(12)に記載の粘土膜。
(15)補強材により補強されている、前記(1)に記載の膜。
(16)補強材が、鉱物繊維、グラスウール、炭素繊維、セラミックス繊維、植物繊維、及び有機高分子繊維からなる群のうちの一種以上である、前記(15)に記載の粘土膜。
(17)補強材が、布の形態を有している、前記(15)に記載の粘土膜。
(18)布が、織物、不織布、紙である、前記(17)に記載の粘土膜。
(19)補強材の、全固体に対する重量割合が、多くとも30パーセントである、前記(15)に記載の粘土膜。
(20)加熱、光照射等の任意の方法により、上記添加物分子内、添加物分子間、添加物と無機層状化合物間、無機層状化合物結晶間において、付加反応、縮合反応、又は重合反応の化学反応を行わせ、新たな化学結合を生じさせて、光透過性、ガスバリア性、水蒸気バリア性あるいは機械的強度を改善させた、前記(1)に記載の膜。
(21)厚みが0.003ミリメートル以上、0.3ミリメートル以下である、前記(1)に記載の膜。
(22)酸素ガスに対する透過係数が、室温において2.0×10−9cm2s−1cmHg−1未満である、前記(1)から(21)のいずれかに記載の膜。
(23)40℃、相対湿度90パーセントにおける水蒸気透過度が、10gm−2day−1未満である、前記(1)から(22)のいずれかに記載の膜。
(24)20℃、相対湿度65パーセントにおける吸水率が2パーセント未満である、前記(1)から(23)のいずれかに記載の膜。
(25)150℃の過熱水に1時間浸漬処理後に膜形状に損傷が視覚的に観察されず、酸素ガスに対する透過係数が、室温において2.0×10−9cm2s−1cmHg−1未満である、前記(1)から(24)のいずれかに記載の膜。
(26)膜に対して、垂直方向の体積抵抗率が、少なくとも2.8×1011Ωcmである、前記(1)から(25)のいずれかに記載の膜。
(27)膜に垂直方向のイオン伝導率が、少なくとも1×10−4Scm−1である、前記(1)から(26)のいずれかに記載の膜。
(28)曲げ半径8ミリメートルでクラックが発生せず、使用が可能である、前記(1)から(27)のいずれかに記載の膜。
(29)膜平面と平行方向における50℃から250℃の平均熱線膨張係数が、5ppm以上10ppm以下である、前記(1)から(28)のいずれかに記載の膜。
(30)前記(1)から(29)のいずれか1項に記載の膜Aと、前記(1)から(29)のいずれか1項に記載の膜Bを含み、AとBの構成成分が同一ではない多層膜。
(31)変性処理を行わない粘土を主成分とする膜が含まれる、前記(30)に記載の多層膜。
(32)変性処理を行わない粘土を主成分とする膜が、1)粘土の全固体に対する重量比が少なくとも70%であり、2)ガスバリア性を有する、前記(31)に記載の多層膜。
(33)変性処理を行わない粘土が、天然あるいは合成粘土である、前記(31)に記載の多層膜。
(34)変性処理を行わない粘土が、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト及びノントロナイトのうちの1種以上である、前記(31)に記載の多層膜。
(35)変性処理を行わない粘土を主成分とする膜の添加剤が、イプシロンカプロラクタム、デキストリン、澱粉、セルロース系樹脂、ゼラチン、寒天、小麦粉、グルテン、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキサイド、タンパク質、デオキシリボヌクレイン酸、リボヌクレイン酸及びポリアミノ酸、多価フェノール、安息香酸類化合物のうちの1種以上である、前記(31)に記載の多層膜。
(36)添加剤の、全固体に対する重量割合が、多くとも30パーセントである、前記(30)に記載の多層膜。
(37)加熱、光照射等の任意の方法により、上記添加物分子内、添加物分子間、添加物と無機層状化合物間、無機層状化合物結晶間において、付加反応、縮合反応、又は重合反応の化学反応を行わせ、新たな化学結合を生じさせて、光透過性、ガスバリア性、水蒸気バリア性あるいは機械的強度を改善させた、前記(30)に記載の多層膜。
(38)厚みが0.003ミリメートル以上、0.5ミリメートル以下である、前記(30)に記載の多層膜。
(39)酸素ガスに対する透過係数が、室温において2.0×10−9cm2s−1cmHg−1未満である、前記(30)に記載の多層膜。
(40)前記(1)から(39)のいずれか1項に記載の膜と、金属ホイル、プラスチックフィルム、ゴム、紙の一種以上からなる複合多層膜。
(41)プラスチックフィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルイミドの一種以上を含む、前記(40)に記載の複合多層膜。
(42)前記(1)から(41)のいずれか1項に記載の膜からなることを特徴とする表面保護膜。
(43)被保護材料が、金属、金属酸化物、セラミックス、プラスチック、プラスチック発泡材、木材、石膏、ゴムである、前記(42)に記載の表面保護膜。
(44)前記(1)から(43)のいずれかに記載の膜からなることを特徴とする封止材、包装材、保護材、断熱材、絶縁材、耐熱材、不燃材、又は燃料電池隔膜。
(45)前記(1)に記載の膜を製造する方法であって、変性粘土のプレゲル溶媒を加え、変性粘土プレゲルを作製し、その後、極性溶媒を加え、その後、添加物を加える構成を含むことを特徴とする上記膜の製造方法。
(46)変性粘土のプレゲル溶媒が、水である、前記(45)に記載の膜の製造方法。
(47)極性溶媒が、エタノールあるいはジメチルアセトアミドである、前記(45)に記載の膜の製造方法。
(48)前記(29)に記載の膜を製造する方法であって、前記(1)から(29)のいずれか1項に記載の膜の表面に、前記(31)から(39)のいずれか1項に記載の膜を形成させる手順、あるいはその逆である手順を含むことを特徴とする上記膜の製造方法。
本発明の膜材は、変性粘土を主要構成成分とする耐水性を有する材料であって、(1)変性粘土と添加物から構成される、(2)変性粘土の全固体に対する重量比が70%以上である、(3)ガスバリア性を有する、及び(4)自立膜として利用可能な機械的強度を有する、ことを特徴とする膜であることを特徴とするものである。本発明では、耐水性の高い有機粘土と、必要に応じて少量の耐水性の高い添加物を、溶剤に分散させ、ダマを含まない均一な分散液を得た後、この分散液を、表面が平坦な支持体に塗布し、分散媒である溶剤を、適宜の固液分離方法で分離し、膜状に成形した後、これを必要に応じて乾燥・加熱・冷却するなどの方法により支持体から剥離することにより、変性粘土結晶が配向し、耐水性が高く、柔軟性に優れ、ガスバリア性に優れ、耐熱性も高い変性粘土膜が得られる。
変性粘土として、天然ベントナイトにジメチルステアリルベンジルタイプの第四級アンモニウムイオン、及びシリル化剤としてトリメチルシランを導入した市販品(ホージュン株式会社製)を用いた。14グラムの前記変性粘土を、440cm3のトルエンに加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液を二等分し、それぞれ添加物として、市販のエポキシ系接着剤(コニシ株式会社製)のエポキシ樹脂(A剤)及び変性ポリアミド(B剤)を、3グラムずつ加え、激しく振とうし、均一な分散液を得た。次に、二つの分散液を混合し、更に、25℃で20分間激しく振とうし、均一な粘土ペーストを得た。
マンドレル型屈曲試験機を用い柔軟性を測定した(ISO1519)。その結果、WR30−60を、半径6ミリメートルに曲げても、クラックなど何の欠陥も生じなかった。この膜の酸素の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。その結果、室温における酸素ガスの透過係数は、1.28×10−9cm2s−1cmHg−1未満であることが確認され、高ガスバリア性能を示すことが分かった。カップ法により測定された40℃、相対湿度90パーセントにおける水蒸気透過度(JIS Z0208−1976)は2.15グラム/m2/dayであった。WR30−60の垂直方向の直流電気抵抗を交流二端子法で測定した結果、1メガオーム以上であった。同様の製法で作製した、厚み40マイクロメートルの膜WR30−40において、その1MHzにおける誘電率を測定したところ、3.34であった。また、体積抵抗率を測定した結果、2.15×1013[Ωcm]であった。
WR30−60のX線回折チャートを、図1に示す。このX線回折チャートにおいて、きわめてシャープな底面反射ピーク001が、d=3.855nmに観察された。加えて、他のシャープな高次反射ピークがd=1.845(002)、d=1.260(003)、d=0.948(004)等に観察されていることから、WR30−60において、粘土層状結晶が高配向して積層していることが分かる。
WR30−60を電気炉で加熱した。室温から150℃まで約20分で昇温した。次に、150℃で1時間保持した後、電気炉内で放冷した。この加熱処理の後、肉眼でピンホール・クラックの発生などの異常は観察されなかった。この膜の酸素の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。その結果、室温における酸素ガスの透過係数は、1.28×10−9cm2s−1cmHg−1未満であることが確認され、高ガスバリア性能を示すことが分かった。
WR30−60を一時間蒸留水に浸漬した。この処理の後、肉眼でピンホール・クラックの発生などの異常は観察されなかった。この処理の後、肉眼でピンホール・クラックの発生などの異常は観察されなかった。この膜の酸素の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。その結果、室温における酸素ガスの透過係数は、1.28×10−9cm2s−1cmHg−1未満であることが確認され、高ガスバリア性能を示すことが分かった。
WR30−60をオートクレーブに入れ、蒸留水を注ぎWR30−60が蒸留水に浸漬するようにした。このオートクレーブを電気炉内に置き加熱した。室温から150℃まで約20分で昇温した。次に、これを150℃で1時間保持した後、電気炉内で放冷した。一時間蒸留水に浸漬した。この処理の後、肉眼でピンホール・クラックの発生などの異常は観察されなかった。この膜の酸素の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。その結果、室温における酸素ガスの透過係数は、1.28×10−9cm2s−1cmHg−1未満であることが確認され、高ガスバリア性能を示すことが分かった。WR30−60のJIS K7105に基づく全光線透過率は89.3パーセントであり、ヘーズ(曇価)は31.2パーセントであった。
(1)粘土薄膜の製造
粘土として、2.7グラムの天然モンモリロナイト(クニピア P、クニミネ工業株式会社製)と0.72グラムの合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル株式会社製)とを、100cm3の蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体(ダイセル化学工業株式会社製)を0.18グラム加え、激しく振とうし、天然モンモリロナイト及びイプシロンカプロラクタムを含む均一な分散液を得た。これを徐々に乾燥させ、粘土ペーストを得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、真鍮製トレイに塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。ここで、ペーストの厚みを2ミリメートルとした。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で1時間乾燥することにより、厚さ約40マイクロメートルの均一な添加物複合粘土膜を得た。生成した粘土膜をトレイから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた粘土膜(HR)を得た。
HR膜を蒸留水に一時間浸漬したところ、膜を構成する粘土が水に再分散し、膜形状を失った。カップ法により測定された40℃、相対湿度90パーセントにおける水蒸気透過度(JIS Z0208−1976)は71.9グラム/m2/dayであった。
変性粘土として、天然ベントナイトにジメチルステアリルベンジルタイプの第四級アンモニウムイオン、及びシリル化剤としてトリメチルシランを導入した市販品(ホージュン株式会社製)を用いた。14グラムの前記変性粘土を、440cm3のトルエンに加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液を二等分し、それぞれ添加物として、市販のエポキシ系接着剤(コニシ株式会社製)のエポキシ樹脂(A剤)及び変性ポリアミド(B剤)を、3グラムずつ加え、激しく振とうし、均一な分散液を得た。次に、二つの分散液を混合し、更に、25℃で20分間激しく振とうし、均一な粘土ペーストを得た。
天然の精製ベントナイトであるクニピアP(クニミネ工業株式会社製)60グラムを蒸留水600cm3に分散させた。次に、この分散液に市販のテトラブチルアンモニウムブロミド特級試薬を60グラム混合し、25℃で2時間振とう攪拌することにより、均一な分散液を調製した。この分散液を6000回転、10分間遠心分離機にかけ固液分離した。更に、ホモジナイザーを用いて20分間混合した。得られた固体を水洗浄し、乾燥、粉砕することにより変性粘土を作製した。
作製した変性粘土19.2グラムを、665cm3のトルエンに加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な粘土ペーストを得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次いで、この粘土ペーストを、厚さ0.1mmのテフロン(登録商標)フィルムを貼り付けた金属板に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを室温で自然乾燥することにより、厚さ約60マイクロメートルの均一な変性粘土薄膜を得た。一昼夜静置後生成した変性粘土膜をトレイから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜(WRCF0−60)を得た。WRCF0−60を、半径2ミリメートルに曲げても、クラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。
天然の精製ベントナイトであるクニピアP(クニミネ工業株式会社製)60グラムを蒸留水600cm3に分散させた。次に、この分散液に市販のテトラブチルアンモニウムブロミド特級試薬を60グラム混合し、25℃で2時間振とう攪拌することにより、均一な分散液を調製した。この分散液を6000回転、10分間遠心分離機にかけ固液分離した。更に、ホモジナイザーを用いて20分間混合した。得られた固体を水洗浄し、乾燥、粉砕することにより変性粘土を作製した。この変性粘土の塩素濃度は150ppm以下であった。
作製した変性粘土19.2グラムを、665cm3のトルエンに加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液を二等分し、それぞれ添加物として、市販のエポキシ系接着剤(コニシ株式会社製)のエポキシ樹脂(A剤)及び変性ポリアミド(B剤)を、2.4グラムずつ加え、激しく振とうし、均一な分散液を得た。次に、二つの分散液を混合し、更に、25℃で20分間激しく振とうし、均一な粘土ペーストを得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次いで、この粘土ペーストを、厚さ0.1mmのテフロン(登録商標)フィルムを貼り付けた金属板に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを室温で自然乾燥することにより、厚さ約50マイクロメートルの均一な変性粘土薄膜を得た。一昼夜静置後生成した変性粘土膜をトレイから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた膜(WRCF20−50)を得た。WRCF20−50を、半径2ミリメートルに曲げても、クラックなどが発生せず、何らの欠陥も生じなかった。
変性粘土として、天然ベントナイトにジメチルステアリルベンジルタイプの第四級アンモニウムイオン、及びシリル化剤としてトリメチルシランを導入した市販品(ホージュン株式会社製)を用いた。14グラムの前記変性粘土を、440cm3のトルエンに加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液を二等分し、それぞれ添加物として、市販のエポキシ系接着剤(コニシ株式会社製)のエポキシ樹脂(A剤)及び変性ポリアミド(B剤)を、3グラムずつ加え、激しく振とうし、均一な分散液を得た。次に、二つの分散液を混合し、更に、25℃で20分間激しく振とうし、均一な粘土ペーストを得た。
マンドレル型屈曲試験機を用い柔軟性を測定した(ISO1519)。その結果、DL30を、半径6ミリメートルに曲げても、クラックなど何の欠陥も生じなかった。この膜の酸素の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。その結果、室温における酸素ガスの透過係数は、1.28×10−9cm2s−1cmHg−1未満であることが確認され、高ガスバリア性能を示すことが分かった。変性粘土層の接着を評価するために、JIS K5600に基づく1mm25マスクロスカット試験を行ったところ変性粘土層の剥離を観察しなかった。
変性粘土として、天然ベントナイトにジメチルステアリルベンジルタイプの第四級アンモニウムイオン、及びシリル化剤としてトリメチルシランを導入した市販品(ホージュン株式会社製)を用いた。14グラムの前記変性粘土を、440cm3のトルエンに加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液を二等分し、それぞれ添加物として、市販のエポキシ系接着剤(コニシ株式会社製)のエポキシ樹脂(A剤)及び変性ポリアミド(B剤)を、3グラムずつ加え、激しく振とうし、均一な分散液を得た。次に、二つの分散液を混合し、更に、25℃で20分間激しく振とうし、均一な粘土ペーストを得た。
マンドレル型屈曲試験機を用い柔軟性を測定した(ISO1519)。その結果、TL30を、半径6ミリメートルに曲げても、クラックなど何の欠陥も生じなかった。この膜の酸素の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。その結果、室温における酸素ガスの透過係数は、1.28×10−9cm2s−1cmHg−1未満であることが確認され、高ガスバリア性能を示すことが分かった。この膜のカップ法により測定された水蒸気透過度(JIS Z0208−1976)は0.6グラム/m2/dayであった。
変性粘土として、天然ベントナイトにジメチルステアリルベンジルタイプの第四級アンモニウムイオン、及びシリル化剤としてトリメチルシランを導入した市販品(ホージュン株式会社製)を用いた。14グラムの前記変性粘土を、440cm3のトルエンに加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液を二等分し、それぞれ添加物として、市販のエポキシ系接着剤 (コニシ株式会社製)のエポキシ樹脂(A剤)及び変性ポリアミド(B剤)を、3グラムずつ加え、激しく振とうし、均一な分散液を得た。次に二つの分散液を混合し、更に25℃で20分間激しく振とうし、均一な粘土ペーストを得た。
FRWR30−45を一時間蒸留水に浸漬した。この処理の後、肉眼でピンホール・クラックの発生などの異常は観察されなかった。マンドレル型屈曲試験機を用い柔軟性を測定した(ISO1519)。その結果、FRWR30−45を、半径6ミリメートルに曲げても、クラックなど何の欠陥も生じなかった。この膜の引っ張り強度を測定したところ、破断強さは68MPaであった。
変性粘土として、天然ベントナイトにジメチルステアリルベンジルタイプの第四級アンモニウムイオン、及びシリル化剤としてトリメチルシランを導入した市販品(ホージュン株式会社製)を用いた。14グラムの前記変性粘土を、440cm3のトルエンに加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液を二等分し、それぞれ添加物として、市販のエポキシ系接着剤(コニシ株式会社製)のエポキシ樹脂(A剤)及び変性ポリアミド(B剤)を、3グラムずつ加え、激しく振とうし、均一な分散液を得た。次に、二つの分散液を混合し、更に、25℃で20分間激しく振とうし、均一な粘土ペーストを得た。
粘土として、2.765グラムの天然モンモリロナイト(クニピア P、クニミネ工業株式会社製)と0.691グラムの合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル株式会社製)とを、100cm3の蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、イプシロンカプロラクタム(和光純薬工業株式会社製)を0.144グラム加え、激しく振とうし、天然モンモリロナイト及びイプシロンカプロラクタムを含む均一な分散液を得た。これを徐々に乾燥させ、粘土ペーストを得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、真鍮製トレイに塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。ここで、ペーストの厚みを2ミリメートルとした。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で1時間乾燥することにより、厚さ約40マイクロメートルの均一な添加物複合粘土膜を得た。
変性粘土として、天然ベントナイトにジメチルステアリルベンジルタイプの第四級アンモニウムイオン、及びシリル化剤としてトリメチルシランを導入した市販品(ホージュン株式会社製)を用いた。14グラムの前記変性粘土を、440cm3のトルエンに加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液を二等分し、それぞれ添加物として、市販のエポキシ系接着剤(コニシ株式会社製)のエポキシ樹脂(A剤)及び変性ポリアミド(B剤)を、3グラムずつ加え、激しく振とうし、均一な分散液を得た。次に、二つの分散液を混合し、更に、25℃で20分間激しく振とうし、均一な粘土ペーストを得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次いで、この粘土ペーストを、添加物複合粘土膜Aに塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。高さ2ミリメートルのスペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを室温で自然乾燥することにより、添加物複合粘土膜上に厚さ約30マイクロメートルの均一な変性粘土薄膜が塗布されたトータルの厚み約70マイクロメートルの多層膜DL(HW)を得た。
DL(HW)の酸素の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。その結果、室温における酸素ガスの透過係数は、1.28×10−9cm2s−1cmHg−1未満であることが確認され、高ガスバリア性能を示すことが分かった。マンドレル型屈曲試験機を用い柔軟性を測定した(ISO1519)。その結果、DL(HW)を、半径2ミリメートルに曲げても、クラックなど何の欠陥も生じなかった。
変性粘土として、天然ベントナイトにジメチルステアリルベンジルタイプの第四級アンモニウムイオン、及びシリル化剤としてトリメチルシランを導入した市販品(ホージュン株式会社製)を用いた。14グラムの前記変性粘土を、440cm3のトルエンに加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液を二等分し、それぞれ添加物として、市販のエポキシ系接着剤(コニシ株式会社製)のエポキシ樹脂(A剤)及び変性ポリアミド(B剤)を、3グラムずつ加え、激しく振とうし、均一な分散液を得た。次に、二つの分散液を混合し、更に、25℃で20分間激しく振とうし、均一な粘土ペーストを得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った(粘土ペーストC)。次いで、この粘土ペーストCを、厚さ0.1mmのテフロン(登録商標)フィルムを貼り付けた金属板に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。高さ2ミリメートルのスペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。このトレイを室温で自然乾燥することにより、厚さ約30マイクロメートルの均一な変性粘土薄膜を得た。
粘土として、2.765グラムの天然モンモリロナイト(クニピア P、クニミネ工業株式会社製)と0.691グラムの合成雲母(ソマシフME−100、コープケミカル株式会社製)とを、100cm3の蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)回転子とともに入れ、25℃で2時間激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、添加物として、イプシロンカプロラクタム(和光純薬工業株式会社製)を0.144グラム加え、激しく振とうし、天然モンモリロナイト及びイプシロンカプロラクタムを含む均一な分散液を得た。これを徐々に乾燥させ、粘土ペーストを得た。次に、真空脱泡装置により、この粘土ペーストの脱気を行った。次に、この粘土ペーストを、変性粘土薄膜に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。ここで、ペーストの厚みを2ミリメートルとした。このトレイを強制送風式オーブン中において、60℃の温度条件下で1時間乾燥することにより、厚さ約40マイクロメートルのトータルの厚み約70マイクロメートルの均一な二層膜を得た。
粘土ペーストCを、二層膜上に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。高さ2ミリメートルのスペーサーをガイドとして利用し、均一厚の粘土ペースト膜を成型した。この膜を室温で自然乾燥することにより、厚さ約30マイクロメートルの均一な変性粘土薄膜を含む、トータルの厚み約100マイクロメートルの三層膜TL(WHW)を得た。
TL(WHW)の酸素の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。その結果、室温における酸素ガスの透過係数は、1.28×10−9cm2s−1cmHg−1未満であることが確認され、高ガスバリア性能を示すことが分かった。この膜のカップ法により測定された水蒸気透過度(JIS Z0208−1976)は4.9グラム/m2/dayであった。マンドレル型屈曲試験機を用い柔軟性を測定した(ISO1519)。その結果、TL(WHW)を、半径2ミリメートルに曲げても、クラックなど何の欠陥も生じなかった。TL(WHW)のJIS K7105に基づく全光線透過率は38.3パーセントであり、ヘーズ(曇価)は92.1パーセントであった。
オーブンで110℃以上の温度で十分乾燥させたクニミネ工業株式会社製精製ベントナイトクニピアFを300グラム、アルミナボールとともにボールミル用ポットに入れた。次に、シリル化剤(チッソ株式会社製サイラエースS330)6グラムを加え、ポット内を窒素に置換し、一時間ボールミル処理を行うことにより変性粘土を得た。用いたシリル化剤は末端にアミノ基を持つ。変性粘土24グラムを0.5規定の硝酸リチウム水溶液400ミリリットルに加え、振とうにより混合分散させた。2時間振とう分散し、粘土の層間イオンリチウムに交換した。次に、遠心分離により固液分離し、得られた固体を280グラムの蒸留水と120グラムのエタノールの混合液で洗浄し、過剰の塩分を除いた。この洗浄操作は二回以上繰り返した。得られた生成物をオーブンで十分に乾燥後、粉砕してリチウム交換変性粘土を得た。リチウム交換変性粘土15グラムを蒸留水485グラムに加え、振とうにより2時間程度混合分散させ、固液比3パーセントのリチウム交換変性粘土分散液を得た。一方、ポリイミド原料として、和光純薬工業株式会社製1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物及び株式会社同仁化学研究所製3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを用いた。まず、ジメチルアセトアミドを溶媒として用い、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを溶解し、30℃で30分攪拌した。これに1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物を混合し、30℃で一時間攪拌し、固液比約16パーセントのポリイミド酸ペーストを作製した。次に、リチウム交換変性粘土分散液とポリイミド酸ペーストを混合し、この混合ペースト得た。ここで、混合比は、乾燥固体基準で、ポリイミド酸が約20重量パーセント、リチウム交換変性粘土が約80重量パーセントとするように決定した。次に、真空脱泡装置により、この混合ペーストの脱気を行った。次に、この混合ペーストを、フッ素樹脂コーティングした金属製基板に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の混合ペースト膜を成型した。ここで、混合ペーストの厚みを1ミリメートルとした。次に、混合ペーストを室温条件下で4日乾燥し、ポリイミド酸リチウム交換変性粘土複合膜を得た。この混合膜を金属製基板から剥離し、加熱炉内で加熱処理した。この加熱処理において、300℃まで100℃/時間で昇温し、その後、300℃で二時間保持した。この加熱処理によって、厚み約20マイクロメートルのポリイミドリチウム交換変性粘土複合膜を得た。
マンドレル型屈曲試験機を用い柔軟性を測定した(ISO1519)。その結果、この膜を、半径2ミリメートルに曲げても、クラックなど何の欠陥も生じなかった。膜の1MHzにおける誘電率、誘電正接は、それぞれ4.32と0.071であった。膜の体積抵抗率は2.87×1011Ωcmであった。膜の絶縁破壊電圧は14kVmm−1であった。
実施例11と同様に、リチウム交換変性粘土分散液を得た。次に、真空脱泡装置により、この分散液の脱気を行った。次に、分散液を、金属製基板に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚の分散液膜を成型した。ここで、分散液膜の厚みを2ミリメートルとした。次に、分散液膜を強制対流式オーブン内で60℃で一晩乾燥し、金属製基板から剥離し、加熱炉内で加熱処理した。この加熱処理において、350℃まで100℃/時間で昇温し、その後、350℃で二時間保持した。この加熱処理によって、厚み約60マイクロメートルのリチウム交換変性粘土膜を得た。
マンドレル型屈曲試験機を用い、柔軟性を測定した(ISO1519)。その結果、この膜を、直径6ミリメートルに曲げても、クラックなど何の欠陥も生じなかった。膜の1MHzにおける誘電率は5.54であった。膜の体積抵抗率は3.2×1011Ωcmであった。熱重量測定装置を用いて測定した5パーセント減量温度は760℃であった。膜平面と平行方向における50℃から250℃の平均熱線膨張係数は5.1ppm以下であった。JIS K6258−1993に基づく、蒸留水、塩水(10wt%NaCl)、アルカリ(1wt%NaOH)、トルエン、アセトン、酢酸エチル、エタノールに対する耐薬品試験結果(40℃、72時間浸漬の重量変化)として、それぞれ28パーセント、21パーセント、評価不能、0パーセント、37パーセント、18パーセント、26パーセントであった。
実施例11と同様に、リチウム交換変性粘土を得た。この変性粘土重量部1に対して、重量部9の蒸留水を添加し、混合して練ることにより、プレゲルを調製した。更に、このプレゲルに、変性粘土重量部1に対して重量部16のエタノールを添加し、変性粘土ペーストを調製した。次に、添加物である、ナガセケムテックス株式会社製トレジンFS350(固液比18.2重量パーセント)を加え、2時間攪拌溶解し、混合ペースト得た。ここで、混合比は、乾燥固体基準で、添加物が約20重量パーセント、リチウム交換変性粘土が約80重量パーセントとするように決定した。次に、真空脱泡装置により、この混合ペーストの脱気を行った。次に、混合ペーストを、金属製基板に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚のペーストを塗布した。ここで、ペーストの厚みを2ミリメートルとした。次に、ペーストを強制対流式オーブン内で60℃で一晩乾燥し、金属製基板から剥離し、加熱炉内で加熱処理した。この加熱処理において、300℃まで100℃/時間で昇温し、その後、300℃で二時間保持した。この加熱処理によって、厚み約30マイクロメートルのリチウム交換変性粘土複合膜を得た。
マンドレル型屈曲試験機を用い、柔軟性を測定した(ISO1519)。その結果、この膜を、直径5ミリメートルに曲げても、クラックなど何の欠陥も生じなかった。膜の1MHzにおける誘電率は3.78であった。膜の体積抵抗率は1.9×1016Ωcmであった。この膜のカップ法により測定された水蒸気透過度(JIS Z0208−1976)は2.4グラム/m2/dayであった。熱重量測定装置を用いて測定した5パーセント減量温度は393℃であった。 膜平面と平行方向における50℃から250℃の平均熱線膨張係数は6.5ppm以下であった。JIS K6258−1993に基づく、蒸留水、塩水(10wt%NaCl)、アルカリ(1wt%NaOH)、トルエン、アセトン、酢酸エチル、エタノールに対する耐薬品試験結果(40℃、72時間浸漬の重量変化)として、それぞれ26パーセント、17パーセント、評価不能、−1パーセント、1パーセント、0パーセント、1パーセントであった。
実施例11の通りリチウム交換変性粘土を得た。この変性粘土重量部1に対して、重量部9の蒸留水を添加し、混合して練ることにより、プレゲルを調製した。更に、このプレゲルに、変性粘土重量部1に対して重量部22のジメチルアセトアミドを添加し、変性粘土ペーストを調製した。この変性粘土ペーストに添加物として、リグニン由来エポキシ樹脂を加え、2時間攪拌溶解し、混合ペースト得た。ここで、混合比は、乾燥固体基準で、添加物が約20重量パーセント、リチウム交換変性粘土が約80重量パーセントとするように決定した。次に、真空脱泡装置により、この混合ペーストの脱気を行った。次に、混合ペーストを、金属製基板に塗布した。塗布には、ステンレス製地べらを用いた。スペーサーをガイドとして利用し、均一厚のペーストを塗布した。ここで、ペーストの厚みを1ミリメートルとした。次に、ペーストを強制対流式オーブン内で60℃で一晩乾燥し、金属製基板から剥離し、加熱炉内で加熱処理した。この加熱処理において、150℃まで100℃/時間で昇温し、150℃で2時間保持した。次に、230℃まで100℃/時間で昇温し、その後、230℃で24時間保持した。この加熱処理によって、厚み約20マイクロメートルのリチウム交換変性粘土複合膜を得た。
マンドレル型屈曲試験機を用い柔軟性を測定した(ISO1519)。その結果、この膜を、直径2ミリメートルに曲げても、クラックなど何の欠陥も生じなかった。膜の1MHzにおける誘電率は9.1であった。膜の体積抵抗率は2.4×1015Ωcmであった。この膜のカップ法により測定された水蒸気透過度(JIS Z0208−1976)は2.0グラム/m2/dayであった。熱重量測定装置を用いて測定した5パーセント減量温度は334℃であった。 膜平面と平行方向における50℃から250℃の平均熱線膨張係数は9.0ppm以下であった。JIS K6258−1993に基づく、蒸留水、塩水(10wt%NaCl)、アルカリ(1wt%NaOH)、トルエン、アセトン、酢酸エチル、エタノールに対する耐薬品試験結果(40℃、72時間浸漬の重量変化)として、それぞれ13パーセント、13パーセント、評価不能、1パーセント、7パーセント、0パーセント、0パーセントであった。
Claims (48)
- 変性粘土を主要構成成分とする材料であって、(1)原料粘土のイオン変換によって該粘土に有機カチオンが導入された変性粘土と添加物から構成され、(2)変性粘土の全固体に対する重量比が70%以上であり、(3)ガスバリア性を有し、(4)自立膜として利用可能な機械的強度を有し、(5)変性粘土に用いられる原料粘土が、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、イライト、セリサイトのうちの一種以上であり、(6)変性粘土の交換性イオンの少なくとも50パーセントが、リチウムイオンであり、(7)変性粘土における有機カチオン組成が、30重量パーセント未満であり、(8)熱重量測定において5パーセント減量温度が235℃以上760℃以下であり、(9)40℃、相対湿度90パーセントにおける水蒸気透過度が、6gm −2 day −1 未満であり、(10)添加物が、セルロイド、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ユリア樹脂、酢酸セルロース、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリウレタン樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル、ケイ素樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボナート、ポリアセタール、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタラート、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミドのうちの1種以上である、ことを特徴とする膜。
- 変性粘土が、天然粘土あるいは合成粘土を用いたものである、請求項1に記載の膜。
- 変性粘土が有機カチオンとして第四級アンモニウムカチオンあるいは第四級ホスホニウムカチオンを含む、請求項1に記載の膜。
- 塩素濃度が、150ppm未満である、請求項3に記載の膜。
- 変性粘土が、粘土にシリル化剤を反応させたものである、請求項1から4のいずれかに記載の膜。
- 粘土とシリル化剤に対するシリル化剤の組成が、30重量パーセント未満である、請求項5に記載の膜。
- エポキシ樹脂が、リグニン由来、あるいはスクロース由来エポキシである、請求項1に記載の膜。
- 加熱処理により耐水性を向上させた、請求項1に記載の膜。
- シリル化粘土が、エポキシ末端シリル化粘土であり、製膜過程でエポキシ反応させ粘土間に共有結合を形成する、請求項1に記載の膜。
- シリル化粘土A及びシリル化粘土Bを混合し、シリル化粘土Aの末端とシリル化粘土Bの末端を反応させることにより、粘土間に共有結合を形成する、請求項1に記載の膜。
- シリル化粘土Aの末端が、エポキシ基であり、シリル化粘土Bの末端がアミノ基である、請求項10に記載の膜。
- 表面処理が行われている、請求項1に記載の膜。
- 表面処理が、撥水処理、防水処理、補強処理、及び表面平坦化処理のうちの一種以上である、請求項12に記載の粘土膜。
- 表面処理が、酸化ケイ素膜、フッ素系膜、シリコン系膜、ポリシロキサン膜、フッ素含有オルガノポリシロキサン膜、アクリル樹脂膜、塩化ビニル樹脂膜、ポリウレタン樹脂膜、高撥水メッキ膜、金属蒸着膜、又はカーボン蒸着膜を表面に形成することである、請求項12に記載の粘土膜。
- 補強材により補強されている、請求項1に記載の膜。
- 補強材が、鉱物繊維、グラスウール、炭素繊維、セラミックス繊維、植物繊維、及び有機高分子繊維からなる群のうちの一種以上である、請求項15に記載の粘土膜。
- 補強材が、布の形態を有している、請求項15に記載の粘土膜。
- 布が、織物、不織布、紙である、請求項17に記載の粘土膜。
- 補強材の、全固体に対する重量割合が、多くとも30パーセントである、請求項15に記載の粘土膜。
- 加熱、光照射等の任意の方法により、上記添加物分子内、添加物分子間、添加物と無機層状化合物間、無機層状化合物結晶間において、付加反応、縮合反応、又は重合反応の化学反応を行わせ、新たな化学結合を生じさせて、光透過性、ガスバリア性、水蒸気バリア性あるいは機械的強度を改善させた、請求項1に記載の膜。
- 厚みが0.003ミリメートル以上、0.3ミリメートル以下である、請求項1に記載の膜。
- 酸素ガスに対する透過係数が、室温において2.0×10−9cm2s−1cmHg−1未満である、請求項1から21のいずれかに記載の膜。
- 40℃、相対湿度90パーセントにおける水蒸気透過度が、10gm−2day−1未満である、請求項1から22のいずれかに記載の膜。
- 20℃、相対湿度65パーセントにおける吸水率が2パーセント未満である、請求項1から23のいずれかに記載の膜。
- 150℃の過熱水に1時間浸漬処理後に膜形状に損傷が視覚的に観察されず、酸素ガスに対する透過係数が、室温において2.0×10−9cm2s−1cmHg−1未満である、請求項1から24のいずれかに記載の膜。
- 膜に対して、垂直方向の体積抵抗率が、少なくとも2.8×1011Ωcmである、請求項1から25のいずれかに記載の膜。
- 膜に垂直方向のイオン伝導率が、少なくとも1×10−4Scm−1である、請求項1から26のいずれかに記載の膜。
- 曲げ半径8ミリメートルでクラックが発生せず、使用が可能である、請求項1から27のいずれかに記載の膜。
- 膜平面と平行方向における50℃から250℃の平均熱線膨張係数が、5ppm以上10ppm以下である、請求項1から28のいずれかに記載の膜。
- 請求項1から29のいずれか1項に記載の膜Aと、請求項1から29のいずれか1項に記載の膜Bを含み、AとBの構成成分が同一ではない多層膜。
- 変性処理を行わない粘土を主成分とする膜が含まれる、請求項30に記載の多層膜。
- 変性処理を行わない粘土を主成分とする膜が、(1)粘土の全固体に対する重量比が少なくとも70%であり、(2)ガスバリア性を有する、請求項31に記載の多層膜。
- 変性処理を行わない粘土が、天然あるいは合成粘土である、請求項31に記載の多層膜。
- 変性処理を行わない粘土が、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト及びノントロナイトのうちの1種以上である、請求項31に記載の多層膜。
- 変性処理を行わない粘土を主成分とする膜の添加剤が、イプシロンカプロラクタム、デキストリン、澱粉、セルロース系樹脂、ゼラチン、寒天、小麦粉、グルテン、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキサイド、タンパク質、デオキシリボヌクレイン酸、リボヌクレイン酸及びポリアミノ酸、多価フェノール、安息香酸類化合物のうちの1種以上である、請求項31に記載の多層膜。
- 添加剤の、全固体に対する重量割合が、多くとも30パーセントである、請求項30に記載の多層膜。
- 加熱、光照射等の任意の方法により、上記添加物分子内、添加物分子間、添加物と無機層状化合物間、無機層状化合物結晶間において、付加反応、縮合反応、又は重合反応の化学反応を行わせ、新たな化学結合を生じさせて、光透過性、ガスバリア性、水蒸気バリア性あるいは機械的強度を改善させた、請求項30に記載の多層膜。
- 厚みが0.003ミリメートル以上、0.5ミリメートル以下である、請求項30に記載の多層膜。
- 酸素ガスに対する透過係数が、室温において2.0×10−9cm2s−1cmHg−1未満である、請求項30に記載の多層膜。
- 請求項1から39のいずれか1項に記載の膜と、金属ホイル、プラスチックフィルム、ゴム、紙の一種以上からなる複合多層膜。
- プラスチックフィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルイミドの一種以上を含む、請求項40に記載の複合多層膜。
- 請求項1から41のいずれか1項に記載の膜からなることを特徴とする表面保護膜。
- 被保護材料が、金属、金属酸化物、セラミックス、プラスチック、プラスチック発泡材、木材、石膏、ゴムである、請求項42に記載の表面保護膜。
- 請求項1から43のいずれかに記載の膜からなることを特徴とする封止材、包装材、保護材、断熱材、絶縁材、耐熱材、不燃材、又は燃料電池隔膜。
- 請求項1に記載の膜を製造する方法であって、変性粘土のプレゲル溶媒を加え、変性粘土プレゲルを作製し、その後、極性溶媒を加え、その後、添加物を加える構成を含むことを特徴とする上記膜の製造方法。
- 変性粘土のプレゲル溶媒が、水である、請求項45に記載の膜の製造方法。
- 極性溶媒が、エタノールあるいはジメチルアセトアミドである、請求項45に記載の膜の製造方法。
- 請求項29に記載の膜を製造する方法であって、請求項1から29のいずれか1項に記載の膜の表面に、請求項31から39のいずれか1項に記載の膜を形成させる手順、あるいはその逆である手順を含むことを特徴とする上記膜の製造方法。
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