JP3855004B2 - 粘土膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複合粘土膜、その製造方法及びそれを用いた製品に関するものであり、更に詳しくは、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、粘土粒子の配向積層を高度に向上させた複合粘土膜、その製造方法及びそれを用いた構造部材に関するものである。
本発明は、粘土薄膜の作製技術及びその製品の技術分野において、従来法では、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、粘土粒子の積層を高度に配向させた粘土配向膜を製造することは困難であり、その開発が強く要請されていたことを踏まえ、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、しかも、優れた熱安定性とフレキシビリティーを有する配向性粘土自立膜の製造技術、及び耐熱性・高ガスバリアー性部材等の新技術・新素材を提供するものとして有用である。
一般に、多くの化学産業分野において、高温条件下での種々の生産プロセスが用いられている。それらの生産ラインの配管連結部などでは、例えば、パッキンや溶接などによって、液体や気体のリークを防止する方策がとられている。これまで、例えば、フレキシビリティーに優れたパッキンは、有機高分子材料を用いて作られていた。しかしながら、その耐熱性は、最も高いテフロン(登録商標)で約250℃であり、これ以上の温度では、金属製パッキンを用いなければならないが、その金属製パッキンは、有機高分子材料のものと比較して、フレキシビリティーに劣るという問題点があった。
粘土は、水やアルコールに分散し、その分散液をガラス板の上に広げ、静置乾燥することにより、粒子の配向の揃った膜を形成することが知られており、この膜形成により、X線回折用の定方位試料が調製されてきた(非特許文献1参照)。しかしながら、ガラス板上に膜を形成した場合、ガラス板から粘土薄膜を剥がすことが困難であり、剥がす際に膜に亀裂が生じるなど、自立膜として得ることが難しいという問題があった。また、膜を剥がせたとしても、得られた膜が脆く、強度が不足であり、これまで、ピンホールのない均一の厚さの膜を調製することは困難であった。
また、水に可溶性の高分子は、成形材料の他、分散剤、増粘剤、結合剤として無機材料に配合しガスバリアー材として用いられている。例えば、ポリアクリル酸等の、分子中に2個以上のカルボキシル基をもつカルボキシル基含有高水素結合性樹脂(A)と、澱粉類等の、分子鎖中に2個以上の水酸基をもつ水酸基含有高水素結合性樹脂(B)の重量比A/B=80/20〜60/40の混合物100重量部と、粘土鉱物等の無機層状化合物1〜10重量部との組成物を形成し、この組成物から形成した厚み0.1〜50μmの皮膜に、熱処理・電子線処理すると、その皮膜はガスバリアー性を得る(特許文献1参照)。しかし、この場合に、水可溶性高分子樹脂が主成分であり、耐熱性は高くないという問題がある。
また、二つのポリオレフイン系樹脂層の間に、無機層状化合物と樹脂とを含む樹脂組成物からなる層を積層することにより、防湿性やガスバリアー性に優れ、食品包装に適用される積層フイルムを得ることができる(特許文献2参照)。しかし、この場合に、無機層状化合物を含む樹脂組成物の層は、多層膜の一部として用いられており、自立膜として単独で用いられるものではない。また、この樹脂組成物の体積比(無機層状化合物/樹脂)は、5/95〜90/10の範囲内に特定されており、樹脂が10パーセント以上含まれている。
最近、ラングミュアーブロジェット法(Langmuir−Blodgett Method)を応用した粘土薄膜の作製が行われている(例えば、非特許文献2参照)。しかし、この方法では、粘土薄膜は、ガラスなどの材料でできた基板表面上に形成されるものであり、自立膜としての強度を有する粘土薄膜を得ることができなかった。更に、従来、例えば、機能性粘土薄膜等を調製する方法が、種々報告されている。例えば、ハイドロタルサイト系層間化合物の水分散液を膜状化して乾燥することからなる粘土薄膜の製造方法(特許文献3参照)、層状粘土鉱物と燐酸又は燐酸基との反応を利用し、その反応を促進させる熱処理を施すことにより層状粘土鉱物が持つ結合構造を配向固定した層状粘土鉱物薄膜の製造方法(特許文献4参照)、スメクタイト系粘土鉱物と2価以上の金属の錯化合物を含有する皮膜処理用水性組成物(特許文献5参照)などをはじめ、多数の事例が存在する。しかしながら、これまで、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、粘土粒子の積層を高度に配向させた粘土配向膜の開発例はなかった。
以上のように、これまで、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、粘土粒子の積層を高度に配向させた膜はなかった。一方、化粧品及び医薬品分野において、好適な球状の有機複合粘土鉱物(例えば、特許文献6及び特許文献7参照)、粘土鉱物と酸と酵素とを混合した湿潤性水虫の治療薬の製造(例えば、特許文献8及び特許文献9参照)等、粘土と有機化合物を複合化させることが提案されていた。しかしながら、これらの有機複合粘土鉱物を自立膜として用いることは、なされてこなかったのが実情であり、当技術分野では、自立膜として利用可能な機械的強度を有する新しい粘土膜を開発し、実用化することが強く求められていた。
特開平10−231434号公報 特開平7−251489号公報 特開平6−95290号公報 特開平5−254824号公報 特開2002−30255号公報 特開昭63−64913号公報 特公平07−17371号公報 特開昭52−15807号公報 特公昭61−3767号公報 白水晴雄「粘土鉱物学−粘土科学の基礎−」、朝倉書店、p.57(1988) 梅沢泰史、粘土科学、第42巻、第4号、218−222(2003)
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、自立膜として利用可能な機械的強度を有し、しかも、優れたフレキシビリティーを有し、250℃を超える高温度条件下で使用できる新しい粘土膜を開発することを目標として、鋭意研究を積み重ねる過程で、粘土分散水溶液を調製し、これに水に可溶性の高分子を少量混合し、均一な分散液を得た後、この分散液を水平に静置し、粘土粒子を沈積させるとともに、分散媒である液体を種々の固液分離方法、例えば、遠心分離、ろ過、真空乾燥、凍結真空乾燥又は加熱蒸発法などで分離し、膜状に成形した後、これを支持体から剥離することにより、粘土粒子が配向した粘土膜が得られることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。本発明は、熱安定性に優れ、フレキシブルな配向性粘土自立膜を製造する方法及びその製品を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)立膜として利用可能な機械的強度とフレキシビリティーを有し、粘土粒子の積層を配向させた構造を有し、ピンホールが存在せず、250℃を超える温度においても化学的に安定であり、積層している粘土膜内に、水可溶性高分子が分布していることを特徴とする水可溶性高分子複合自立粘土膜。
(2)粘土が、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト及びノントロナイトのうちの一種以上であることを特徴とする、前記(1)に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜。
(3)水可溶性高分子が、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、グルテン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキサイド、デオキシリボクレイン酸、ポリ−L−リシン臭化水素酸塩のうちから選択される一種以上であることを特徴とする、前記(1)に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜。
(4)水可溶性高分子の、全固体に対する重量割合が、0.005%から10%であることを特徴とする、前記(1)に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜。
(5)膜が、酸素指数(JIS K7201:1995)が>94.0、曲げ反発性試験(JIS L1096:1999)の値が8.0mNを下回る、密度が1.51を上回る特性を有することを特徴とする、前記(1)に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜。
(6)膜が、厚さは1mmよりも薄く、面積は1cm2よりも大きいことを特徴とする、前記(1)に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜。
(7)前記(1)から(6)のいずれかに記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜を製造する方法であって、粘土及び水可溶性高分子を、水あるいは水を主成分とする分散媒に分散させて、粘土及び水可溶性高分子を含む分散液とした後、この分散液を脱気、分散媒である液体を固液分離手段により分離して、自立膜とすることを特徴とする水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
(8)体を固液分離手段により分離させた後に、80〜300℃の温度条件下で乾燥してから、水可溶性高分子複合粘土膜を剥離することを特徴とする、前記(7)に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
(9)固液分離手段が加熱蒸発法であることを特徴とする、前記(8)に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
10)粘土が、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト及びノントロナイトのうちの一種以上であることを特徴とする、前記(7)に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
11)水可溶性高分子が、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、グルテン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキサイド、デオキシリボクレイン酸、ポリ−L−リシン臭化水素酸塩のうちから選択される一種以上であることを特徴とする、前記(7)に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
12可溶性高分子の、全固体に対する重量割合が、0.005%から10%であることを特徴とする、前記(7)に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
(13)前記(1)から(6)のいずれかに記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜を構成要素として含むことを特徴とする構造部材。
次に、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明者らは、粘土分散水溶液を調製し、これに、水可溶性高分子などの有機試薬を適量混合し、均一な分散液を得た後、この分散液を種々の固液分離方法、例えば、遠心分離、ろ過、真空乾燥、凍結真空乾燥又は加熱蒸発法などで乾燥後、支持体から剥離することにより、粘土粒子が配向した自立膜が得られることを見出し、更に、均一な厚さで、自立膜として用いるに十分な強度を得るための製造方法及び条件を見出した。すなわち、本発明は、希薄で均一な、粘土及び水可溶性高分子を含む分散水溶液を調製し、この分散水溶液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、分散媒である液体を種々の固液分離方法、例えば、遠心分離、ろ過、真空乾燥、凍結真空乾燥又は加熱蒸発法などで分離し、膜状に成形した後、これを支持体から剥離すること、その際に、均一な厚さで自立膜として用いるに十分な強度を得るための製造条件を採用すること、これらにより、粘土粒子の積層を高度に配向させた粘土膜を自立膜として得ること、を特徴とするものである。
本発明で用いる粘土は、天然あるいは合成物、好適には、例えば、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト及びノントロナイトのうちの1種以上、更に好適には、天然スメクタイト及び合成スメクタイトの何れかあるいはそれらの混合物である。また、本発明で用いる水可溶性高分子は、主鎖あるいは側鎖に極性基を有し、そのため親水性であり、水への溶解性が高いものであれば、特に限定されるものではないが、好適には、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、グルテン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキサイド、デオキシリボクレイン酸、ポリ−L−リシン臭化水素酸塩のうちから選択される一種以上である。本発明で用いるスメクタイト等の粘土もまた親水性であり、水によく分散する。このような水可溶性高分子と粘土とは、互いの親和性があり、両者を水中で混合すると、容易に結合し複合化する。
本発明の製造方法において、最初に、水あるいは水を主成分とする分散媒である液体に粘土及び水可溶性高分子を加えた、均一な分散液を調製しなければならない。この調製方法として、粘土を分散させてから水可溶性高分子を加える方法、水可溶性高分子を含む溶液に粘土を分散させる方法並びに粘土及び水可溶性高分子を同時に上記液体に加えて分散液とする方法のいずれでもよいが、粘土を分散させる容易さからは、粘土を水あるいは水を主成分とする分散媒である液体に分散させてから、水可溶性高分子を加えることが好ましい。この場合、先ず、スメクタイト等の粘土を、水あるいは水を主成分とする分散媒である液体に加え、希薄で均一な粘土分散液を調製する。この粘土分散液における粘土濃度は、好適には0.5から10重量パーセント、より好ましくは、1から3重量パーセントである。このとき、粘土濃度が薄すぎる場合、乾燥に時間がかかりすぎるという問題がある。また、粘土濃度が濃すぎる場合、よく粘土が分散しないため、粘土粒子の配向が悪く、均一な膜ができないという問題がある。
次に、水可溶性高分子あるいはそれを含む溶液を秤量して、上記粘土分散液に加え、粘土及び水可溶性高分子を含む均一な分散液を調製する。上述のように、粘土及び水可溶性高分子は、ともに親水性であり、水によく分散する。また、粘土及び水可溶性高分子は、互いの親和性があるので、両者は、水中で混合すると、容易に結合し複合化する。水可溶性高分子の、全固体に対する重量割合は、10パーセント以下であり、好ましくは0.005パーセントから0.1パーセントである。このとき、水可溶性高分子の割合が低過ぎる場合、使用の効果が現れず、水可溶性高分子の割合が高すぎる場合、調製した膜中に、水可溶性高分子が不均一に分布し、偏在することになり、結果として、得られる膜の均一性が低下し、高分子の使用効果が薄れる。
次に、粘土及び水可溶性高分子を含む分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、例えば、分散媒である液体をゆっくりと蒸発させ、膜状に成形する。このようにして形成された複合粘土膜は、好適には、例えば、種々の固液分離方法、例えば、遠心分離、ろ過、真空乾燥、凍結真空乾燥及び加熱蒸発法の何れか、あるいはこれらの方法を組み合わせて乾燥させ、乾燥した水可溶性高分子複合粘土膜を得る。これらの方法のうち、例えば、加熱蒸発法を用いる場合、真空引きにより、事前に脱気処理した分散液を、平坦なトレイ、好ましくはプラスチック製あるいは金属製のトレイなどの支持体に注ぎ、水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、30から70℃の温度条件下、好ましくは30から50℃の温度条件下で、3時間から半日間程度、好ましくは3時間から5時間、乾燥して水可溶性高分子複合粘土膜を得る。
粘土及び水可溶性高分子を含む分散液を、事前に脱気処理しない場合は、得られる複合粘土膜に気泡に由来する孔ができ易くなるという問題が生ずる場合がある。また、乾燥条件は、液体分を蒸発によって取り除くに十分であるように設定される。このとき、温度が低すぎると、乾燥に時間がかかるという問題がある。また、温度が高すぎると、分散液の対流が起こり、粘土粒子の配向度が低下するという問題がある。本発明の水可溶性高分子複合粘土膜の厚さについては、分散液に用いる固体量を調整することによって、任意の厚さの膜を得ることができる。
本発明において、粘土粒子の積層を高度に配向させるとは、粘土粒子の単位構造層(厚さ約1ナノメートル)を、層面の向きを一にして積み重ね、層面に垂直な方向に、高い周期性を持たせることを意味する。このような粘土粒子の配向を得るためには、粘土及び水可溶性高分子を含む、希薄で均一な分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、分散媒である液体をゆっくりと蒸発させ、膜状に成形することが重要である。このプロセスにおける好適な製造条件を示すと、粘土分散液中の粘土の濃度は、好ましくは0.5から10重量パーセント、より好ましくは、1から3重量パーセントであり、また、加熱乾燥法による乾燥条件は、好ましくは、強制送風式オーブン中で、30℃から70℃の温度条件下、より好ましくは、30℃から50℃の温度条件下で、3時間から半日間程度の乾燥、より好ましくは、3時間から5時間程度の乾燥である。
また、水可溶性高分子複合粘土膜がトレイなどの支持体から自然に剥離しない場合は、好適には、約80から300℃の温度条件下で乾燥し、剥離を容易にして自立膜を得る。このとき、温度が低すぎる場合には、剥離が起こりにくいという問題がある。温度が高すぎる場合には、水可溶性高分子の作用が、その熱劣化で弱くなり、粘土積層の配向性が劣る。
このように、本発明の粘土膜は、粘土粒子の積層が高度に配向し、自立膜として用いることが可能であり、フレキシビリティーに優れ、ピンホールが存在せず、250℃以上500℃までの高温においても気体・液体のバリアー性を保持することを特徴とする。また、本発明の粘土膜は、例えば、はさみ、カッター等で容易に円、正方形、長方形などの任意の大きさ、形状に切り取ることができる。更に、本発明の粘土膜は、好適には、厚さは1mmよりも薄く、面積は1cmよりも大きい。
したがって、本発明の粘土膜は、高温条件下でフレキシビリティーに優れた自立膜として、広範に使用することができ、例えば、化学産業分野の生産ラインの配管連結部などのパッキン又はその類似製品等の耐熱性・高バリアー性部材として利用することができる。また、水可溶性高分子は、極性高分子であり、同様に極性を有する粘土と相互作用し、フレキシビィリティー及び強度の点で優れた薄膜を生成する。そのため、粘土薄膜の引っ張り、捩れ等による容易な破壊が抑えられ、それにより、自立膜として利用可能な優れた特性を有する粘土膜が得られる。
本発明の粘土膜は、自立膜として用いることが可能であり、また、250℃を超える高温条件下で使用が可能であり、かつ、フレキシビリティーに優れており、更に、ピンホールの存在しない緻密な材料であり、バリアー性に優れるといった特徴を有する。したがって、本発明の粘土膜は、250℃を超える高温条件下でフレキシビリティーに優れたパッキンやセパレータとして広範に使用することができ、多くの化学産業分野で、生産ラインの配管連結部のリーク防止、電池や電解装置の隔膜などに利用することができる。
次に、本発明の材料の特性値について説明する。
(1)密度
従来材料は、下表に示されるようにプラスチック・フィラーナノコンポジット製品において、その密度が最も高いものでも1.51である。これに対して、本発明の材料は、1.51を上回る密度を有し、2.0以上、例えば、2.10程度の密度の測定値を示す。このように、本発明の材料は、1.51を上回る密度、特に、1.60から2.50程度の高密度を有する。
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(2)柔軟性
従来材料で最も柔らかいものは、粘土とパルプ繊維からできている市販のシートであり、その剛軟度は、曲げ反発性試験の値として、JIS L1096:1999「一般織物試験方法」A法に準拠して測定された値は、8.0(mN)である。一方、粘土膜で最も硬いものは、HR50/5−80Hであり、表面が5.3(mN)、裏面が17.1(mN)である。これに対して、本発明の材料は、曲げ反発性試験の値が2.0mN程度であり、少なくとも、8.0mNを下回る値を有するものである。従来材料と本発明の材料の剛軟度の閾値は8.0mNであると言えることから、この値をもって、本発明の材料を従来材料と区別(識別)することができる。
(3)原料粘土の特性
本発明では、原料粘土として、好適には、例えば、1次粒子のアスペクト比(粒子数基準)が320程度のもので、特に、メチレンブルー吸着量、陽イオン交換容量が高いものが使用される。具体例として、例えば、メチレンブルー吸着量が130mmol/100g、陽イオン交換容量が110meq/100g、2%水分散液pHが10.2、4%水分散液粘度が350mPa・s、水分散メジアン径が1.13μmの諸物性を有するものが例示される。しかし、これらに制限されるものではなく、これらを標準値として、これらと同等もしくは均等の物性を有するものであれば同様に使用することができる。これらの原料粘土として、山形県月布産粘土及びこれを主原料とする材料が好適に用いられる。
(4)その他の特性
本発明の材料は、熱サイクルテスト(100−600℃、30サイクル)で異状がなく(高耐熱性)、電気抵抗は、体積抵抗率(500V)が2.3×10Ωm(JIS K6911:1995)であり(高絶縁性)、例えば、フレキシブル基板材料として使用される。本発明の材料は、他の特性として、例えば、以下のような特性値を有する。酸素透過度:<0.00008cm/20μm・m day・atm、水素透過度:0.002cm/20μm・m day・atm、破断延び:2.2%、引裂試験(JISK6252:2001):33.4N/mm、酸素指数(JIS K7201:1995):>94.0、比熱:1.19J/g・K、熱拡散率:1.12×10−7/s、熱伝導率:0.27W/m・K、熱膨張係数(−100〜100℃):0.1×10−4−1、熱膨張係数(100〜200℃):−0.06×10−4−1、耐ガス腐食試験:異状なし。これらの値は、本発明の材料の好適な特性値を示すものであり、本発明は、これらに制限されるものではなく、これらを標準値として、これらと同等もしくは均等のものであれば、本発明の範囲に含まれる。
本発明により、(1)粘土粒子の配向が揃った粘土膜及びその製造方法を提供できる、(2)該粘土膜は、自立膜として用いることができ、例えば、250℃を超える高温においても化学的に安定な、パッキンや電解質隔壁材料等として用いることができる、(3)250℃を超える高温においても使用可能で、フレキシブルな、半透明粘土膜を提供できる、という効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)ポリアクリル酸ナトリウム複合粘土薄膜の製造
粘土として、1グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、水可溶性高分子として、ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、重合度2700-7500)が、所定の割合で含まれている水溶液を1cm加え、天然モンモリロナイト及びポリアクリル酸ナトリウムを含む分散液を得た。このとき、所定の割合を変えることで、天然モンモリロナイトとポリアクリル酸ナトリウムとの重量割合を異ならせた分散液を作製した。天然モンモリロナイトのポリアクリル酸ナトリウムに対する重量比は、0.90g/0.2g(ポリアクリル酸ナトリウム2%)、から1.00g/0.0000002g(ポリアクリル酸ナトリウム0.00002%)までとした。次に、天然モンモリロナイト及びポリアクリル酸ナトリウムを含む分散液を、底面が平坦で、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30マイクロメートルの均一な水可溶性高分子複合粘土薄膜を得た。生成した複合粘土薄膜をトレイから剥離して、自立した、フレキシビリティーに優れた水可溶性高分子複合粘土薄膜を得た。更に、500℃で24時間の加熱処理を行った。
(2)ポリアクリル酸ナトリウム複合粘土薄膜の特性
加熱処理前の、ポリアクリル酸塩複合粘土薄膜(ポリアクリル酸ナトリウム0.02%)のX線回折チャートを、図1に示す。このX線回折チャートにおいて、底面反射ピーク001が、d=1.23nmに観察された。このピークは、この種の粘土鉱物における一般的な底面反射ピークに比較して、強度が高く、また、線幅の細いものである。この結果から、ポリアクリル酸塩を用いて得た複合粘土薄膜において、モンモリロナイト結晶が配向して積層していることがわかる。この底面反射ピーク強度は、ポリアクリル酸ナトリウムを0.005%から0.1%使用の複合粘土薄膜で特に高く、モンモリロナイト結晶が、高度に配向していることがわかる。また、これらの複合粘土薄膜のうちで、ポリアクリル酸ナトリウムが0.02%であるポリアクリル酸塩複合粘土薄膜のTG−DTAチャート(昇温速度5℃毎分、空気雰囲気下)を、図2に示す。図2のTG曲線から、室温から200℃までに、吸着水の脱水による重量減少が観察され、また、700から800℃にかけて、モンモリロナイトの大きな重量減少が観察された。これらの中間温度においては、なんらの熱変化あるいは熱重量変化も観察できない。このことは、ポリアクリル酸塩を用いて得た複合粘土薄膜の耐熱性が高いことを示す。
ポリアクリル酸の使用割合が異なる複合粘土薄膜の、空気の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定した。このとき、複合薄膜調製時に用いた天然モンモリロナイトとポリアクリル酸ナトリウムとの重量比は、0.99g/0.002g(ポリアクリル酸ナトリウム0.2%)、1.00g/0.0002g(ポリアクリル酸ナトリウム0.02%)、1.00g/0.00002g(ポリアクリル酸ナトリウム0.002%)、1.00g/0.000002g(ポリアクリル酸ナトリウム0.0002%)、及び1.00g/0.0000002g(ポリアクリル酸ナトリウム0.00002%)とした。全ての複合薄膜において、室温における空気の透過係数が、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、ガスバリアー性能を示すことがわかった。また、この複合薄膜を500℃で24時間加熱処理した後では、複合薄膜の室温における空気の透過係数は、全て、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、高温処理後もガスバリアー性能を示すことがわかった。
(1)ポリビニルアルコール複合粘土薄膜の製造
粘土として、0.95グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cm3の蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、水可溶性高分子として、ポリビニルアルコール(関東化学株式会社製、重合度約500)を、0.05グラム含む水溶液1cmを混合した。この天然モンモリロナイト及びポリビニルアルコールを含む分散液を、底面が平坦で、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30マイクロメートルの均一な複合粘土薄膜を得た。次いで、生成した複合粘土薄膜をトレイから剥離した。
(2)ポリビニルアルコール複合粘土薄膜の特性
ポリビニルアルコールを用いて得た複合粘土薄膜の空気の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定したところ、室温において、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、ガスバリアー性能を示すことがわかった。また、この膜を500℃で24時間加熱処理した膜の空気の透過係数は、室温において、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、高温処理後もガスバリアー性能を示すことがわかった。
(1)澱粉複合粘土薄膜の製造
粘土として、0.99グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、水可溶性高分子として、澱粉(ナカライテスク株式会社製)を、0.01グラム含む水溶液1cmを混合した。この天然モンモリロナイト及び澱粉を含む分散液を、底面が平坦で、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30マイクロメートルの均一な複合粘土薄膜を得た。次いで、生成した複合粘土薄膜をトレイから剥離した。
(2)澱粉複合粘土薄膜の特性
澱粉を用いて得た複合粘土薄膜の空気の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定したところ、室温において、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、ガスバリアー性能を示すことがわかった。
(1)ヒドロキシエチルセルロース複合粘土薄膜の製造
粘土として、0.99グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cm3の蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、水可溶性高分子として、ヒドロキシエチルセルロース(Aldrich Chemical Company製)を、0.01グラム含む水溶液1cm3を混合した。この天然モンモリロナイト及びヒドロキシエチルセルロースを含む分散液を、底面が平坦で、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30マイクロメートルの均一な複合粘土薄膜を得た。次いで、生成した複合粘土薄膜をトレイから剥離した。
(2)ヒドロキシエチルセルロース複合粘土薄膜の特性
ヒドロキシエチルセルロースを用いて得た複合粘土薄膜の空気の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定したところ、室温において、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、ガスバリアー性能を示すことがわかった。
(1)ゼラチン複合粘土薄膜の製造
粘土として、0.99グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、水可溶性高分子として、ゼラチン(和光純薬株式会社製)を、0.01グラム含む水溶液1cmを混合した。この天然モンモリロナイト及びゼラチンを含む分散液を、底面が平坦で、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30マイクロメートルの均一な複合粘土薄膜を得た。生成した複合粘土薄膜をトレイから剥離した。
(2)ゼラチン複合粘土薄膜の特性
ゼラチンを用いて得た複合粘土薄膜の空気の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定したところ、室温において、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、ガスバリアー性能を示すことがわかった。
(1)グルテン複合粘土薄膜の製造
粘土として、0.99グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、水可溶性高分子として、グルテン(和光純薬株式会社製)粉末を0.01グラム混合した。この天然モンモリロナイト及びグルテンを含む分散液を、底面が平坦で、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30マイクロメートルの均一な複合粘土薄膜を得た。生成した複合粘土薄膜をトレイから剥離した。
(2)グルテン複合粘土薄膜の特性
グルテンを用いて得た複合粘土薄膜の空気の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定したところ、室温において、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、ガスバリアー性能を示すことがわかった。
(1)ポリエチレングリコール複合粘土薄膜の製造
粘土として、0.99グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、水可溶性高分子として、ポリエチレングリコール(東京化成工業株式会社製)を0.01グラム含む水溶液1cmを混合した。この天然モンモリロナイト及びポリエチレングリコールを含む分散液を、底面が平坦で、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30マイクロメートルの均一な複合粘土薄膜を得た。生成した複合粘土薄膜をトレイから剥離した。
(2)ポリエチレングリコール複合粘土薄膜の特性
ポリエチレングリコールを用いて得た複合粘土薄膜の空気の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定したところ、室温において、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、ガスバリアー性能を示すことがわかった。
(1)ポリアクリルアマイド複合粘土薄膜の製造
粘土として、0.99グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、水可溶性高分子として、ポリアクリルアマイド(Aldrich Chemical Company製)を0.01グラム含む水溶液1cmを混合した。この天然モンモリロナイト及びポリアクリルアマイドを含む分散液を、底面が平坦で、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30マイクロメートルの均一な複合粘土薄膜を得た。生成した複合粘土薄膜をトレイから剥離した。
(2)ポリアクリルアマイド複合粘土薄膜の特性
ポリアクリルアマイドを用いて得た複合粘土薄膜の空気の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定したところ、室温において、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、ガスバリアー性能を示すことがわかった。
(1)ポリエチレンオキサイド複合粘土薄膜の製造
粘土として、0.99グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、水可溶性高分子として、ポリエチレンオキサイド(Aldrich Chemical Company製)を0.01グラム含む水溶液1cmを混合した。この天然モンモリロナイト及びポリエチレンオキサイドを含む分散液を、底面が平坦で、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30マイクロメートルの均一な複合粘土薄膜を得た。生成した複合粘土薄膜をトレイから剥離した。
(2)ポリエチレンオキサイド複合粘土薄膜の特性
ポリエチレンオキサイドを用いて得た複合粘土薄膜の空気の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定したところ、室温において、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、ガスバリアー性能を示すことがわかった。
(1)デオキシリボクレイン酸複合粘土薄膜の製造
粘土として、0.99グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、水可溶性高分子として、デオキシリボクレイン酸(東京化成工業株式会社製)の粉末0.01グラムを混合した。この天然モンモリロナイト及びデオキシリボクレイン酸を含む分散液を、底面が平坦で、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30マイクロメートルの均一な複合粘土薄膜を得た。生成した複合粘土薄膜をトレイから剥離した。
(2)デオキシリボクレイン酸複合粘土薄膜の特性
デオキシリボクレイン酸を用いて得た複合粘土薄膜の空気の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定したところ、室温において、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、ガスバリアー性能を示すことがわかった。
(1)ポリ−L−リシン臭化水素酸塩複合粘土薄膜の製造
粘土として、0.99グラムの天然モンモリロナイト(クニピアP、クニミネ工業株式会社製)を、60cmの蒸留水に加え、プラスチック製密封容器に、テフロン(登録商標)製回転子とともに入れ、激しく振とうし、均一な分散液を得た。この分散液に、水可溶性高分子として、ポリ−L−リシン臭化水素酸塩(ICN Biochemicals Inc.製)の粉末0.01グラムを混合した。この天然モンモリロナイト及びポリ−L−リシン臭化水素酸塩を含む分散液を、底面が平坦で、底面の形状が円形であり、その直径の長さが約15cmの真鍮製トレイに注ぎ、分散液を水平に静置し、粘土粒子をゆっくりと沈積させるとともに、トレイの水平を保った状態で、強制送風式オーブン中において、50℃の温度条件下で5時間乾燥して、厚さ約30マイクロメートルの均一な複合粘土薄膜を得た。生成した複合粘土薄膜をトレイから剥離した。
(2)ポリ−L−リシン臭化水素酸塩複合粘土薄膜の特性
ポリ−L−リシン臭化水素酸塩を用いて得た複合粘土薄膜の空気の透過係数を、日本分光株式会社製Gasperm−100で測定したところ、室温において、3.2×10-11cm-1cmHg-1未満であることが確認され、ガスバリアー性能を示すことがわかった。
以上詳述したように、本発明は、粘土膜及びその製造方法に係るものであり、本発明により、自立膜として用いることが可能であり、優れたフレキシビリティーを有し、ピンホールの存在しない緻密な材料であり、優れた気体・液体バリアー性を有し、250℃を超える高温条件下で使用し得る、化学的に安定な、粘土膜及びその製造技術を提供することができる。本発明は、粘土の粒子配向を揃えることにより、粘土のバリアー性、耐熱性に優れた膜を提供することを可能とする。また、本発明の粘土膜は、自立膜として使用可能であり、耐熱性及びフレキシビリティーに優れることから、例えば、化学産業分野の生産ラインの配管連結部などのパッキン等に使用可能である。また、本発明により、上記粘土膜を、廃液を出さない簡便な工程で製造する方法を提供することができる。
本発明の、ポリアクリル酸塩を用いて調製した複合粘土薄膜(用いたポリアクリル酸ナトリウムの全固体に対する重量割合は0.02%)のX線回折チャートを示す図である。 本発明の、ポリアクリル酸塩を用いて調製した複合粘土薄膜(用いたポリアクリル酸ナトリウムの全固体に対する重量割合は0.02%)のTG−DTAチャート(昇温速度5℃毎分、空気雰囲気下)を示す図である。

Claims (13)

  1. 立膜として利用可能な機械的強度とフレキシビリティーを有し、粘土粒子の積層を配向させた構造を有し、ピンホールが存在せず、250℃を超える温度においても化学的に安定であり、積層している粘土膜内に、水可溶性高分子が分布していることを特徴とする水可溶性高分子複合自立粘土膜。
  2. 粘土が、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト及びノントロナイトのうちの一種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜。
  3. 水可溶性高分子が、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、グルテン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキサイド、デオキシリボクレイン酸、ポリ−L−リシン臭化水素酸塩のうちから選択される一種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜。
  4. 水可溶性高分子の、全固体に対する重量割合が、0.005%から10%であることを特徴とする、請求項1に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜。
  5. 膜が、酸素指数(JIS K7201:1995)が>94.0、曲げ反発性試験(JIS L1096:1999)の値が8.0mNを下回る、密度が1.51を上回る特性を有することを特徴とする、請求項1に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜。
  6. 膜が、厚さは1mmよりも薄く、面積は1cm2よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜を製造する方法であって、粘土及び水可溶性高分子を、水あるいは水を主成分とする分散媒に分散させて、粘土及び水可溶性高分子を含む分散液とした後、この分散液を脱気、分散媒である液体を固液分離手段により分離して、自立膜とすることを特徴とする水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
  8. 体を固液分離手段により分離させた後に、80〜300℃の温度条件下で乾燥してから、水可溶性高分子複合粘土膜を剥離することを特徴とする、請求項7に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
  9. 固液分離手段が加熱蒸発法であることを特徴とする、請求項8に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
  10. 粘土が、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト及びノントロナイトのうちの一種以上であることを特徴とする、請求項7に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
  11. 水可溶性高分子が、ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、グルテン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンオキサイド、デオキシリボクレイン酸、ポリ−L−リシン臭化水素酸塩のうちから選択される一種以上であることを特徴とする、請求項7に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
  12. 可溶性高分子の、全固体に対する重量割合が、0.005%から10%であることを特徴とする、請求項7に記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜の製造方法。
  13. 請求項1から6のいずれかに記載の水可溶性高分子複合自立粘土膜を構成要素として含むことを特徴とする構造部材。
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