上述した画像表示の際、入射光は、液晶層に加えて画素電極及び対向電極等も通過するので、高品質な表示を行うためには画素電極及び対向電極の透過率を高めることが望まれる。更に、資源の有効利用による、環境へ負荷低減の観点から、画素電極及び対向電極を構成する部材としてITOを使用する使用量を低減することも望まれる。そこで、画素電極或いは対向電極の膜厚を薄くすることで、透過率を高めると共にITOの使用量を低減することが考えられる。しかしながら、仮に画素電極或いは対向電極の膜厚を薄くした場合、これら電極の抵抗が増大してしまい、画像表示に悪影響を与えてしまうおそれがある。
ここで特に、対向電極については、仮にその膜厚を薄くした場合、上述した上下導通材と接触する部分、及び該接触する部分から画素領域に形成された部分までに至る部分において抵抗の増大が生じてしまいやすいという技術的問題点がある。即ち、対向電極のうち画素領域に形成された部分については、例えばアルミニウム等の金属膜から例えば格子状に形成された遮光膜(いわゆるブラックマトリクス)が形成されており、このような遮光膜を介して対向電極のうち画素領域に形成された部分の全体に所定電位を供給することが可能であるが、上下導通材と接触する部分から画素領域に形成された部分までに至る部分については、シール材を硬化させるための紫外線を透過させる必要があるシール領域と重なる部分があるために、一般的には上述のような金属膜からなる遮光膜が設けられていないので、抵抗が増大してしまいやすい。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、高品質な表示が可能であると共に環境に与える負荷が低減された電気光学装置及び該電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
本発明に係る第1の電気光学装置は上記課題を解決するために、 画像表示領域に設けられた複数の画素電極を有する第1基板と、前記第1基板に対向して配置された第2基板と、前記画像表示領域と前記第1基板の縁部との間に、前記画像表示領域を囲うように設けられ、前記第1基板と前記第2基板を接着するシール材と、前記シール材の角部と前記第1基板の縁部との間に設けられた導通材と、含み、前記第2基板は、前記画像表示領域と前記シール材の外縁との間に、前記画像表示領域を囲うように設けられた本体部と、前記導通材と重なるように設けられた第1部分と、前記第1部分から前記本体部分を接続する複数本の配線で構成された第2部分と、を有する遮光性導電材料からなる導電膜と、
前記画素電極に対向するように且つ前記本体部、前記第1部分および前記第2部分と重なるように設けられ、前記導電膜と接続された透光性の対向電極と、を含み、前記第2部分は、前記本体部の前記第1部分側の角部から前記第1部分に延設された第1配線と、前記本体部の外縁の第1辺から前記第1部分に延設された第2配線と、前記本体部の外縁の前記第1辺と隣接する第2辺から前記第1部分に延設された第3配線と、を含む。
本発明に係る第1の電気光学装置によれば、一対の第1及び第2基板間に電気光学物質として例えば液晶等が封入される。一対の第1及び第2基板は、例えば、画素領域を囲むシール領域に配置された例えば紫外線硬化樹脂からなるシール材によって互いに貼り合わされる。第1基板上の画素領域には例えばITO等の透明導電膜からなる画素電極が例えばマトリクス状に配列され、第2基板上には例えばITO等の透明導電膜からなる対向電極が画素電極に対向して設けられる。第1基板上には、画像信号によらない対向電極電位或いは共通電位である所定電位が供給される例えば上下導通端子が、例えば画素領域の四隅の近傍(典型的には、画素領域の周囲に位置する周辺領域のうちシール材が配置されるシール領域よりも外側の領域における、画素領域の四隅に対応する領域)に設けられる。そして、導電性ペースト等を含んでなる導通材が、対向電極における上下導通端子に対向する部分と上下導通端子との間に配置され、第1基板側(即ち、上下導通端子)から当該導通材を介して対向電極に対する電気的な導通がとられる。
本発明に係る第1の電気光学装置の動作時には、画素電極には画像信号が供給され、対向電極には所定電位が第1基板側から導通材を介して供給される。そして、画素電極及び対向電極間の例えば液晶層に、各々の電位によって規定される電圧(即ち、画像信号に応じた電圧)が印加され、液晶分子の配向状態が変化する。このような液晶分子の配向状態の変化によって画素毎の光の透過率が変化する。これにより液晶層を通過する光が画像信号に応じて変化し、画素領域において画像表示が行われる。
本発明では、第2基板上における画素領域のうち非開口領域内に、例えば金属膜等からなる導電膜が設けられる。導電膜は、例えば、第2基板上の画素領域において例えば格子状のパターンを有する遮光膜として形成される。導電膜は、対向電極の下層側に設けられる(即ち、第2基板上に導電膜及び対向電極がこの順に積層される)。
本発明では特に、導電膜は、非開口領域内に設けられた本体部と該本体部から導通材が形成された領域内まで延設された延設部とを有する。即ち、導電膜は、画素領域内において例えば格子状のパターンを有する遮光膜として形成された本体部と、この本体部から導通材が形成された領域の少なくとも一部にまで延設された延設部と有する。延設部は、典型的には、第2基板上で平面的に見て、導通材と少なくとも部分的に重なる部分を有すると共に、該重なる部分から画素領域内の本体部へ向かう一又は複数本の配線として形成された部分を有する。よって、導電性を有する延設部と、対向電極のうち導通材と導通或いは接触する部分から画素領域に形成された部分へ至る部分とを電気的に接続することができる。従って、対向電極のうち導通材と導通する部分から画素領域に形成された部分へ至る部分の電気的な抵抗を低減できる、即ち低抵抗化を図ることができる。このため、仮に対向電極の膜厚を薄くした場合にも、導通材から供給される所定電位を、対向電極のうち導通材と導通する部分から画素領域に形成された部分まで確実に供給することが可能となる。よって、画像表示時に、対向電極の全体に所定電位を安定して供給することができる、即ち、仮に対向電極の電位が電気的なノイズによって変動してしまったとしても、対向電極の電位を、画像表示に殆ど或いは全く悪影響を及ぼさない程度に速やかに、所定電位とすることができる。従って、対向電極の電位が変動してしまうことによる、画像表示における輝度ムラなどの表示上の不具合を低減或いは防止できる。この結果、高品質な表示が可能となる。
更に、対向電極の膜厚を薄くすることで、例えば、入射光が対向電極を透過して例えば液晶層内へ出射される際の透過率を高めることができる。尚、入射光が、第1基板側から入射する場合についても同様に、対向電極を透過して第2基板内へ出射される際の透過率を高めることができる。
加えて、対向電極の膜厚を薄くすることで、対向電極を構成する部材であるITOの使用量を低減でき、資源を有効利用することができる。この結果、環境に与える負荷を低減できる。
以上説明したように、本発明に係る第1の電気光学装置によれば、延設部によって対向電極の低抵抗化を図ることができるので、高品質な表示が可能となる。更に、対向電極の膜厚を薄くすることで透過率を向上させることができ、より一層、高品質な表示が可能となる。加えて、対向電極を構成する部材であるITOの使用量を低減でき、資源の有効利用が可能であるため、環境に与える負荷を低減できる。
本発明に係る第1の電気光学装置の一態様では、前記導電膜は、遮光性導電材料からなり、前記開口領域を規定する遮光膜として形成される。
この態様によれば、導電膜は、第2基板上における画素領域内に、例えば格子状のパターンを有する遮光膜として形成される。よって、導電膜を、いわゆるブラックマトリクスとして機能させることができる。
本発明に係る第1の電気光学装置の他の態様では、前記第1及び第2基板間における前記周辺領域の一部をなすシール領域に設けられ、前記第1及び第2基板を互いに接着するシール材を備え、前記延設部は、前記シール領域の一部に設けられたシール領域内部分を有する。
この態様によれば、延設部は、シール領域の一部に設けられたシール領域内部分を有する。即ち、延設部は、シール領域の一部に設けられ、該一部を除く他部には設けられない。つまり、延設部は、シール領域に部分的に設けられ、シール領域の全てには設けられない。よって、例えば紫外線硬化樹脂等からなるシール材を硬化するために必要となる例えば紫外線等の照射を、延設部によって妨げてしまうことを低減或いは防止できる。
本発明に係る第1の電気光学装置の他の態様では、前記延設部は、前記導通材が形成された領域に部分的に設けられる。
この態様によれば、延設部は、導通材が形成された領域に部分的に設けられる。即ち、延設部は、導通材が形成された領域内まで延設されるが、該領域内には、延設部が設けられない領域がある。つまり、延設部は、導通材が形成された領域に部分的に設けられ、導通材が形成された領域の全てには設けられない。よって、例えば紫外線硬化型の導電性ペーストを含む導通材を硬化するために必要となる例えば紫外線等の照射を、延設部によって妨げてしまうことを低減或いは防止できる。
本発明に係る第2の電気光学装置は上記課題を解決するために、互いに対向して配置された一対の第1及び第2基板と、前記第1基板上の画素領域に設けられた複数の画素電極と、前記第2基板上における少なくとも前記画素領域に、前記複数の画素電極に対向するように設けられた対向電極と、前記第1及び第2基板間における前記画素領域の周囲に位置する周辺領域に設けられ、前記対向電極に対して導通をとる導通材とを備え、前記対向電極は、前記画素領域に設けられた本体部と該本体部から前記導通材が形成された領域内まで前記本体部よりも厚い膜厚で延設された延設部とを有する。
本発明に係る第2の電気光学装置によれば、その動作時には、上述した本発明に係る第1の電気光学装置と概ね同様に、画素領域において画像表示が行われる。
本発明では特に、対向電極は、画素領域に設けられた本体部と該本体部から導通材が形成された領域内まで本体部よりも厚い膜厚で延設された延設部とを有する。よって、延設部によって、対向電極のうち導通材と導通或いは接触する部分から画素領域に設けられた本体部へ至る部分の電気的な抵抗を低減できる。従って、画像表示時に、対向電極の全体に所定電位を安定して供給することができる。このため、対向電極の電位が変動してしまうことによる、画像表示における輝度ムラなどの表示上の不具合を低減或いは防止できる。この結果、高品質な表示が可能となる。
更に、典型的には例えば格子状のパターンを有する金属膜から形成され表示に寄与する光を透過する開口領域を規定する遮光膜によって低抵抗化が図られる、対向電極のうち本体部の膜厚を薄くすることで、光を透過する該本体部の透過率を高めることが可能となる。即ち、例えば、入射光が対向電極の本体部を透過して例えば液晶層内へ出射される際の透過率を高めることができる。尚、入射光が、第1基板側から入射する場合についても同様に、対向電極の本体部を透過して第2基板内へ出射される際の透過率を高めることができる。
加えて、対向電極の大部分を占める、本体部の膜厚を薄くすることで、対向電極を構成する部材であるITOの使用量を低減でき、資源を有効利用することができる。この結果、環境に与える負荷を低減できる。
以上説明したように、本発明に係る第2の電気光学装置によれば、対向電極が延設部を有するので、当該対向電極の低抵抗化を図ることができ、高品質な表示が可能となる。更に、対向電極のうち本体部の膜厚を薄くすることで透過率を向上させることができ、より一層、高品質な表示が可能となる。加えて、対向電極を構成する部材であるITOの使用量を低減でき、資源の有効利用が可能であるため、環境に与える負荷を低減できる。
本発明に係る第2の電気光学装置の一態様では、前記第2基板上における前記画素領域内に設けられ、表示に寄与する光が出射される開口領域を規定する、導電膜からなる遮光膜を備え、前記第2基板上に、前記遮光膜及び前記対向電極がこの順に積層される。
この態様によれば、第2基板上における画素領域内に、例えば格子状のパターンを有する遮光膜が形成される。更に、第2基板上に遮光膜及び対向電極がこの順に積層されるので、導電性を有する遮光膜と対向電極とを電気的に接続できる。よって、対向電極の低抵抗化を図ることができる。
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備してなる。
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図6を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H´線断面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10及び対向基板20は、本発明に係る「画素領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域52aに設けられたシール材52により相互に貼り合わされており、シール材52及び封止材109により、TFTアレイ基板10及び対向基板20間に液晶層50が封入されている。シール材52は、紫外線硬化樹脂からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布されTFTアレイ基板10及び対向基板20間に配置された後、紫外線照射により硬化させられたものである。
図1において、シール領域52aの内側に並行して、画像表示領域10aのうち額縁領域53aを規定する額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。額縁遮光膜53は、後述する遮光膜23と一体的に例えばアルミニウム等の遮光性金属膜から形成されており、本発明に係る「導電膜」或いは「遮光膜」を構成する。
周辺領域のうち、シール領域52aの外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域52aの内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。上下導通材107は、本発明に係る「導通材」の一例であり、例えば紫外線硬化型の導電性ペーストを含んでなり、シール材52と同様に、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10及び対向基板20間に配置された後、紫外線照射により硬化させられたものである。上下導通材107は、TFTアレイ基板10上に設けられた上下導通端子107と対向基板10上に設けられた対向電極21との両方に接触されている。このため、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
TFTアレイ基板10上には、外部回接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に例えばITO膜等の透明導電膜からなる画素電極9aが設けられている。画素電極9a上には、配向膜が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が、格子状のパターンを有するように、遮光性金属膜から形成されている。そして、遮光膜23上に、画素電極9aと同様に例えばITO膜等の透明導電膜からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。対向電極21は、対向基板20のほぼ全面に形成されており、基準電位としての共通電位LCCが、TFTアレイ基板10上の上下導通端子106から上下導通材107を介して供給される。上下導通端子106は、引回配線90のうち外部回路から外部回路接続端子102を介して共通電位LCCが供給される共通電位線と電気的に接続されている。対向電極21上には配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
尚、本実施形態では、対向基板20側から入射された入射光が、液晶層50によって変調され、TFTアレイ基板10側から表示光として出射されることを前提として説明するが、TFTアレイ基板10側から入射された入射光が、液晶層50によって変調され、対向基板20側から表示光として出射されるようにしてもよい。
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素部における電気的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
図3において、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して液晶層50(図2参照)に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板20に形成されると共に共通電位LCCとされた対向電極21との間で一定期間保持される。液晶層50は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9aと並列してTFT30のドレインに接続され、他方の電極は、共通電位LCCとなるように、共通電位線91と電気的に接続された容量配線300に接続されている。
次に、本実施形態に係る液晶装置の対向基板の構成について、図4から図6を参照して説明する。ここに図4は、対向基板の構成を示す平面図である。図5は、図4の円C1内を拡大して示す拡大平面図である。図6は、図5のA−A´線断面図である。尚、図6において、配向膜の図示を省略すると共に、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。また、図6は、説明の便宜上、図2に示した断面図に対して、上下が逆転した断面図を示している。
図4及び図6において、対向基板20は、透明基板200上に、遮光膜23、額縁遮光膜53及び対向電極21が形成されることにより構成されている。
透明基板200は、ガラス基板からなる。
遮光膜23は、例えばアルミニウム等の遮光性金属膜から形成されており、透明基板200上の画像表示領域10a内で、格子状にパターニングされている。即ち、遮光膜23は、画像表示領域10aにおける表示に寄与する光が出射される開口領域25aを規定する、ブラックマトリクスとして機能する。言い換えれば、遮光膜23が形成された遮光領域23aは、後述する額縁領域53aと共に、画像表示領域10aにおける表示に寄与する光が出射されない非開口領域を規定している。
額縁遮光膜53は、遮光膜23と同一膜から連続的に形成されている。即ち、額縁遮光膜53は、遮光膜23と連続的に或いは一体的に、例えばアルミニウム等の遮光性金属膜から形成されている。額縁遮光膜53は、画像表示領域10aのうち該画像表示領域10aの額縁を規定する額縁領域53a(即ち、格子状にパターニングされた遮光膜23を囲む領域)に設けられている。言い換えれば、遮光膜53が形成された額縁領域53aは、上述した遮光領域23aと共に、画像表示領域10aにおける表示に寄与する光が出射されない非開口領域を規定している。
対向電極21は、遮光膜23及び額縁遮光膜53より上層側に且つ透明基板200上の全面に、ITO膜から形成されている。
図5に示すように、本実施形態では特に、額縁遮光膜53は、非開口領域の一部をなす額縁領域53aに設けられた本体部53sと該本体部53sから上下導通材107が形成される領域107a内まで延設された延設部61とを有している。即ち、額縁遮光膜53は、画像表示領域10a内において格子状のパターンを有する遮光膜23と連続的に形成された本体部53sと、この本体部53sから上下導通材107が形成される領域107aの一部にまで延設された延設部61と有している。
延設部61は、透明基板200上で平面的に見て、上下導通材107と部分的に重なる部分61aを有すると共に、該重なる部分61aから画像表示領域10a内の本体部53sへ向かう複数本の配線として形成された部分61bを有している。よって、導電性を有する延設部61と、対向電極21のうち上下導通材107と導通或いは接触する部分(即ち、対向電極21のうち領域107a内に形成された部分)から画像表示領域10aに形成された部分21aへ至る部分とを電気的に接続することができる。従って、対向電極21のうち上下導通材107と導通する部分21bから画像表示領域10aに形成された部分21aへ至る部分の低抵抗化を図ることができる。このため、仮に対向電極21の膜厚t1を薄くした場合にも、上下導通材107から供給される共通電位LCCを、対向電極21のうち上下導通材107と導通する部分21bから画像表示領域10aに形成された部分21aまで確実に供給することが可能となる。よって、画像表示時に、対向電極21の全体に共通電位LCCを安定して供給することができる、即ち、仮に対向電極21の電位が電気的なノイズによって変動してしまったとしても、対向電極21の電位を、画像表示に殆ど或いは全く悪影響を及ぼさない程度に速やかに、共通電位LCCとすることができる。従って、対向電極21の電位が変動してしまうことによる、画像表示における輝度ムラなどの表示上の不具合を低減或いは防止できる。この結果、高品質な表示が可能となる。
更に、対向電極21の膜厚t1を薄くすることで、入射光が対向電極21を透過して液晶層50内へ出射される際の透過率を高めることができる。即ち、対向電極21は、延在部61によって低抵抗化が図られているので、一般的には約140nmの膜厚を有するように形成される対向電極よりも薄い、例えば約40nm以下といった膜厚を有するように形成することができ、これにより透過率を高めることが可能となる。言い換えれば、本実施形態に係る液晶装置によれば、対向電極21の透過率を向上させるために対向電極21の膜厚をより薄くする際における対向電極21の抵抗の増加を低減できる。
加えて、対向電極21の膜厚t1を薄くすることで、対向電極21を構成する部材であるITOの使用量を低減でき、資源を有効利用することができる。この結果、環境に与える負荷を低減できる。
更に、本実施形態では特に、延設部61は、上述したように、複数本の配線として形成された部分61bを有している。部分61bは、上下導通材107が形成される領域107aから画像表示領域10aまで、シール領域52aを部分的に横切るように形成されている。つまり、延設部61は、シール領域52aに部分的に設けられており、シール領域52aの全てには設けられていない。よって、紫外線硬化樹脂からなるシール材52を硬化するために必要となる紫外線の照射を、延設部61によって妨げてしまうことを低減できる。
加えて、本実施形態では特に、延設部61は、上述したように、上下導通材107と部分的に重なる部分61aを有している。より具体的には、部分61aは、上下導通材107が形成される領域107a内において、環状に設けられている。言い換えれば、部分61aは、領域107aの中央と重なる部分に開口された開口部610を有するように形成されている。よって、延設部61は、上下導通材107が形成された領域107aに部分的に設けられており、この領域107aの全てには設けられない。従って、紫外線硬化型の導電性ペーストを含む上下導通材107を硬化するために必要となる紫外線を、開口部610を介して照射することができ、該照射を延設部61によって妨げてしまうことを低減できる。
以上説明したように、本実施形態に係る液晶装置によれば、延設部61によって対向電極21の低抵抗化を図ることができるので、高品質な表示が可能となる。更に、対向電極21の膜厚を薄くすることで透過率を向上させることができ、より一層、高品質な表示が可能となる。加えて、対向電極21を構成する部材であるITOの使用量を低減でき、資源の有効利用が可能となる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る液晶装置について、図7及び図8を参照して説明する。ここに図7は、第2実施形態における図5と同趣旨の平面図であり、図8は、図7のB−B´線断面図である。尚、図7及び図8において、図1から図6に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
第2実施形態に係る液晶装置は、上述した第1実施形態における額縁遮光膜53に代えて額縁遮光膜55を備える点、及び上述した第1実施形態における対向電極21に代えて対向電極22を備える点で、上述した第1実施形態に係る液晶装置と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る液晶装置と概ね同様に構成されている。
図7及び図8において、額縁遮光膜55は、上述した延設部61を有していない点で、上述した第1実施形態における額縁遮光膜53と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態における額縁遮光膜53と概ね同様に構成されている。即ち、額縁遮光膜55は、遮光膜23と同一膜から連続的に、画像表示領域10aの額縁を規定する額縁領域53aに設けられており、遮光膜23と共に、画像表示領域10aにおける表示に寄与する光が出射されない非開口領域を規定している。
図7及び図8において、対向電極22は、上述した第1実施形態における対向電極21と概ね同様に、遮光膜23及び額縁遮光膜53より上層側に且つ透明基板200上の全面に、ITO膜から形成されている。
本実施形態では特に、対向電極22は、画像表示領域10aに設けられた本体部22aと該本体部22aから導通材が形成された領域内まで本体部22aの膜厚t2よりも厚い膜厚t3で延設された延設部22bとを有している。延設部22bは、画像表示領域10aの四隅の各々から、この各々に対応する上下導通材107が形成される領域107a内まで形成されている。
よって、延設部22bによって、対向電極22のうち上下導通材107と導通或いは接触する部分から画像表示領域10aに設けられた本体部22aへ至る部分の低抵抗化を図ることができる。従って、画像表示時に、対向電極21の全体に共通電位LCCを安定して供給することができる。このため、対向電極21の電位が変動してしまうことによる、画像表示における輝度ムラなどの表示上の不具合を低減或いは防止できる。
更に、遮光性金属膜から形成された額縁遮光膜55及び遮光膜23によって低抵抗化が図られる、対向電極22のうち本体部22aの膜厚を薄くすることで、光を透過する本体部22aの透過率を高めることが可能となる。即ち、入射光が対向電極22の本体部22aを透過して液晶層50内へ出射される際の透過率を高めることができる。
加えて、対向電極22の大部分を占める、本体部22aの膜厚を薄くすることで、対向電極22を構成する部材であるITOの使用量を低減でき、資源を有効利用することができる。この結果、環境に与える負荷を低減できる。
尚、本実施形態では、対向基板20のほぼ全面に形成された対向電極22のうち本体部22a及び延設部22bを除く部分(即ち、対向電極22における、周辺領域に形成された部分のうち延設部22bを除く部分)22cの膜厚は、本体部22aと同じ膜厚t2を有するように形成されている。対向電極22のうち本体部22a及び延設部22bを除く部分22cの膜厚を、本体部22aの膜厚と同様に薄くすることで、対向電極21を構成する部材であるITOの使用量を、より一層低減できる。
尚、延設部22bは、例えば、シール領域52a或いは領域107aを覆うように形成してもよい。或いは、延設部22bは、周辺領域の殆ど或いは完全に全てを覆うように形成してもよい。いずれの場合にも、対向電極21のより一層の低抵抗化を図ることが可能であると共に、延設部22bは、透明導電膜からなるため、シール材52或いは上下導通材107を硬化させるために必要となる紫外線の照射を妨げない。但し、対向電極21を構成する部材であるITOの使用量を低減するという観点からは、製品仕様上で許容される程度に対向電極21の低抵抗化が可能な範囲で延設部22bを小さくすることが望ましい。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。ここに図9は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
図9に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
尚、図9を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
3a…走査線、6a…データ線、7…サンプリング回路、9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、20…対向基板、21…対向電極、23…遮光膜、25a…開口領域、50…液晶層、52…シール材、53…額縁遮光膜、61…延設部、101…データ線駆動回路、102…外部回路接続端子、104…走査線駆動回路、106…上下導通端子、107…上下導通材