JP4911981B2 - 高含水含溶剤エポキシ樹脂用硬化剤およびエポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
二液性エポキシ樹脂組成物は室温で硬化しうる反面、エポキシ樹脂と硬化剤を別々に保管し、必要に応じて両者を計量、混合した後、使用する必要があるため、保管や取り扱いが煩雑である。
こうした二液性エポキシ樹脂配合品の問題を解決する目的で、これまでいくつかの一液性エポキシ樹脂組成物が提案されてきている。例えば、ジシアンジアミド、BF3−アミン錯体、アミン塩、変性イミダゾール化合物等の潜在性硬化剤をエポキシ樹脂に配合したものがある。
しかし近年、特に電子機器分野において、回路の高密度化や接続信頼性の向上に対応するため、またモバイル機器の軽量化として耐熱性の低い材料を使用するために、あるいは生産性を大幅に改善する目的で、接続材料の一つとして用いられる一液性エポキシ樹脂組成物に対して、硬化剤の貯蔵安定性を損なわずに、低温での硬化性の一層の向上が強く求められるようになり、従来技術ではその達成は困難であった。
たエポキシ樹脂組成物であって、得られたエポキシ樹脂組成物が低温あるいは短時間の硬化条件であっても、高い接続信頼性、高い封止性が得られる接着材料、導電材料、絶縁材料、封止材料、コーティング材料、塗料組成物、プリプレグ、構造用接着剤、熱伝導性材料等を提供することを目的とする。
1)アミンアダクト(A)と低分子アミン化合物(B)を主成分とするエポキシ樹脂用硬化剤(C)であって、エポキシ樹脂用硬化剤(C)が含有する水分量がエポキシ樹脂用硬化剤(C)100質量部に対して0.05質量部以上3質量部以下であり、かつ、アミンアダクト(A)に対して不活性である溶剤(S)がエポキシ樹脂用硬化剤(C)100質量部に対して、3質量部を超えて10質量部以下で含有することを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤。
2)25℃で固体状であることを特徴とする1)記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
4)低分子アミン化合物(B)がイミダゾール類であることを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
5)1)〜4)のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂用硬化剤(C)からなるコアの表面を合成樹脂および/または無機酸化物からなるシェルによって被覆されている構造を持つことを特徴とするマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
7)エポキシ樹脂(N)の全塩素量が2500ppm以下であることを特徴とする6)に記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
10)エポキシ樹脂(E)の全塩素量が2500ppm以下であることを特徴とする8)または9)に記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物。
11)エポキシ樹脂(E)のジオール末端不純成分が、エポキシ樹脂(E)の基本構造成分の0.001〜30質量%であることを特徴とする8)〜10)のいずれかに記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物。
13)上記環状ホウ酸エステル化合物(L)は、2,2’−オキシビス(5,5’−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン)である12)に記載のエポキシ樹脂組成物。
14)上記環状ホウ酸エステル化合物(L)の配合量は、エポキシ樹脂用硬化剤(C)および/またはマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)、および/またはマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)100質量部に対して0.001〜10質量部である12)または13)に記載のエポキシ樹脂組成物。
16)15)記載のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して、12)または13)に記載の環状ホウ酸エステル化合物(L)の0.001〜10質量部を配合したことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
17)エポキシ樹脂(J)100質量部に対して、酸無水物類、フェノール類、ヒドラジド類、およびグアニジン類よりなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤(K)の1〜200質量部と、1)〜4)のいずれか一つに記載のエポキシ樹脂用硬化剤(C)および/または5)〜7)のいずれか一つに記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)、および/または8)〜11)のいずれか一つに記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)の0.1〜200質量部を含有し、それらを主成分とするエポキシ樹脂組成物。
19)8)〜18)のいずれかに記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物またはエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とするペースト状組成物。
20)8)〜18)のいずれかに記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物またはエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とするフィルム状組成物。
22)12)〜18)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする接合用ペースト。
23)12)〜18)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする接合用フィルム。
24)12)〜18)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする導電性材料。
25)12)〜18)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする異方導電性材料。
26)12)〜18)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする異方導電性フィルム。
する絶縁性材料。
28)12)〜18)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする封止材料。
29)12)〜18)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とするコーティング用材料。
30)12)〜18)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする塗料組成物。
31)12)〜18)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とするプリプレグ。
32)12)〜18)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする熱伝導性材料。
本発明は、アミンアダクト(A)と低分子アミン化合物(B)を主成分とするエポキシ樹脂用硬化剤であって、エポキシ樹脂用硬化剤(C)が含有する水分量がエポキシ樹脂用硬化剤(C)に対して特定範囲であり、かつ、アミンアダクト(A)に対して不活性である溶剤(S)がエポキシ樹脂用硬化剤(C)に対して、特定範囲に含有することを特徴とするマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)および、該マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)をエポキシ樹脂(E)に配合させてマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤としたものである。
アミンアダクト(A)は、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物およびエポキシ樹脂(a1)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とアミン化合物(b1)とを反応して得られるアミノ基を有する化合物である。アミンアダクト(A)の原料として用いられる、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物およびエポキシ樹脂(a1)を下記に示す。
カルボン酸化合物としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、ダイマー酸等が挙げられる。
スルホン酸化合物としては、例えば、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
挙げることができる。脂肪族トリイソシアネートの例としては、1,3,6−トリイソシアネートメチルヘキサン、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸−2−イソシアナトエチル等を挙げることができる。ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートや上記ジイソシアネート化合物より誘導されるポリイソシアネートが例示される。上記ジイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシアネート、カルボジイミド型ポリイソシアネート等がある。
尿素化合物としては、例えば、尿素、メチル尿素、ジメチル尿素、エチル尿素、t −ブチル尿素等が挙げられる。
エポキシ樹脂(a1)としては、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を高めることができるので、多価エポキシ化合物が好ましい。多価エポキシ化合物としては、アミン化合物の生産性が圧倒的に高いので、グリシジル型エポキシ樹脂が好ましく、より好ましくは、硬化物の接着性や耐熱性が優れるため多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂であり、更に好ましくはビスフェノール型エポキシ樹脂である。ビスフェノールAをグリシジル化したエポキシ樹脂とビスフェノールFをグリシジル化したエポキシ樹脂が一層好ましい。ビスフェノールAをグリシジル化したエポキシ樹脂が更に一層好ましい。これらエ
ポキシ樹脂は単独で使用しても併用しても良い。
より好ましくは2000ppm以下であり、より好ましくは1500ppm以下であり、より好ましくは800ppm以下であり、より好ましくは400ppm以下であり、より好ましくは180ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは80ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
全塩素量が2500ppm以下のエポキシ樹脂(a1)を用いることにより、硬化反応性の高い硬化剤を得ることができる。
加水分解性塩素量が50ppm以下で、高い硬化性と貯蔵安定性の両立に対し有利であり、優れた電気特性を示し好ましい。
これらエポキシ樹脂は単独で使用しても併用しても良い。
少なくとも1 個の一級アミノ基および/または二級アミノ基を有するが三級アミノ基を有さない化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、アニリン、トルイジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の三級アミノ基を有さない第一アミン類、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルア
ミン、ジヘキシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペリドン、ジフェニルアミン、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミン等の三級アミノ基を有さない第二アミン類を挙げることができる。
少なくとも1個の三級アミノ基と少なくとも1個の活性水素基を有する化合物において、活性水素基としては一級アミノ基、二級アミノ基、水酸基、チオール基、カルボン酸、ヒドラジド基が例示される。
アミン化合物(b1)としては、貯蔵安定性と硬化性のバランスが優れているので、少なくとも1個の三級アミノ基と少なくとも1個の活性水素基を有する化合物が好ましく、イミダゾール類が更に好ましく、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールが一層好ましい。
および/またはマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)、および/またはエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性が高く、エポキシ樹脂組成物の流動性に優れ、また、エポキシ樹脂にマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)および/またはマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)を配合する際の分散性にも優れたエポキシ樹脂用硬化剤またはエポキシ樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を成すに至った。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤(C)が含有する水分量は、通常の水分量の定量方法なら問題なく使用することができる。例えば、電量滴定を利用するカールフィッシャー法や、TCD(Thermal Conductivity Detector)検出器によるガスクロマトグラフィー、化学反応を起こし水分量に応じて発生する水素ガス量による定量方式などがある。
本発明において、溶剤(S)がアミンアダクト(A)に対して不活性であるとする定義は、溶剤(S)を100質量部とアミンアダクト(A)を含むポキシ樹脂用硬化剤(C)を1質量部を、60℃で混合した場合、エポキシ樹脂用硬化剤(C)が均一に溶解する溶剤であって、かつ、溶剤(S)100質量部に対して、アミンアダクト(A)を含むエポキシ樹脂用硬化剤(C)を10重量部添加した直後と、25℃で24時間静置した後の溶液部分のLC分析により、溶剤(S)とアミンアダクト(A)が反応によりアミンアダクト(A)の添加量の反応による消失が1%未満であるとする。
溶剤(S)としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類、水等であり、これらの溶剤は併用しても構わない。特に、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、n−ブタノールが好ましい。
エポキシ樹脂用硬化剤(C)に含有する溶剤(S)は、アミンアダクト(A)の製造後にエポキシ樹脂用硬化剤(C)に混合しても構わないし、アミンアダクト(A)の製造前および/または製造中に混合しても構わない。また、アミンアダクト(A)を得るエポキシ樹脂(a1)とアミン化合物(b1)の反応において用いる溶剤を所望の量だけ含有させても構わない。
一級アミノ基を有する化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、アニリン、トルイジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等を挙げることができる。
二級アミノ基を有する化合物としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペリドン、ジフェニルアミン、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミン等を挙げることができる。
、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−β−ヒドロキシエチルモルホリン等のアミノアルコール類;2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミノフェノール類;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン、2−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−(o−トリル)−イミダゾリン、テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4―テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4―テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4―テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4―テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,2−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,3−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−4−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン類、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、N−メチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、ジエチルアミノエチルピペラジン等の三級アミノアミン類;2−ジメチルアミノエタンチオール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン等のアミノメルカプタン類;N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸等のアミノカルボン酸類;N,N−ジメチルグリシンヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド等のアミノヒドラジド類を挙げることができる。
低分子アミン化合物(B)としては、貯蔵安定性の優れたエポキシ樹脂組成物が得られるため、三級アミノ基を有する化合物が好ましく、イミダゾール類が更に好ましく、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールが一層好ましい。
即ち、本発明において、アミンアダクト(A)100質量部に対する低分子アミン化合物(B)の量は、貯蔵安定性の高いエポキシ樹脂組成物を得るために、0.001質量部以上3質量部以下の範囲である。好ましくは、0.01質量部以上2.5質量部以下、一層好ましくは、0.02質量部以上2質量部以下、更に一層好ましくは0.03質量部以上1.5質量部以下である。
低分子アミン化合物(B)の含有量が3質量部より多く含有すると、エポキシ樹脂用硬化剤(C)が含有する水分により形成される、優れたカプセル膜が存在しても、なおそのカプセル膜の間を抜けて溶出する量が増加し、潜在性および耐溶剤性を損なうこととなる。
低分子アミン化合物(B)は、アミンアダクト(A)の製造後にアミンアダクト(A)に混合しても構わないし、アミンアダクト(A)の製造前および/または製造中に混合しても構わない。また、アミンアダクト(A)の原料であるアミン化合物(b1)の未反応物を低分子アミン化合物(B) として用いても構わない。
固体状のエポキシ樹脂用硬化剤(C)としては、更に、塊状、顆粒状、粉末状、などが挙げられるが、好ましくは顆粒状または粉末状であり、さらに好ましくは粉末状である。本発明において粉末状とは、特別に制限するものではないが、0.1〜50μmの平均粒径が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10μmの平均粒径である。50μm以下にすることで、均質な硬化物を得ることができる。本発明でいう粒径とは、光散乱法で測定されるストークス径を指すものである。また平均粒径は、メディアン径を指すものである。また、その形状は特に制限は無く、球状、不定形いずれでも良く、一液性エポキシ樹脂組成物の低粘度化のためには、球状が好ましい。ここで球状とは、真球は勿論の事、不定形の角が丸みを帯びた形状をも包含する。
合成樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられ、モノまたは多価アルコールとモノまたは多価イソシアネートの付加生成物であるウレタン系樹脂、アミン系硬化剤とエポキシ樹脂との反応生成物、フェノール樹脂が望ましく、中でも膜の安定性と加熱時の破壊しやすさの観点から、アミン系硬化剤とエポキシ樹脂との反応生成物が好ましい。
無機物の例としては、酸化ホウ素、ホウ酸エステル等のホウ素化合物、二酸化珪素、酸化カルシウムが等挙げられ、膜の安定性と加熱時の破壊しやすさの観点から、酸化ホウ素が好ましい。
結合基(x)と結合基(y)は、フーリエ変換式赤外分光光度計(FT−IRと称す)を用いて測定することができる。また、結合基(x)およびまたは結合基(y)がエポキシ樹脂用硬化剤(C)の少なくとも表面に有することは、顕微FT−IRを用いて測定することができる。
このウレア結合、ビュレット結合を有するものは、イソシアネート化合物(G)と活性水素化合物(H)の反応により生成される反応生成物である。結合基(x)の代表であるウレア結合、及び結合基(y)の代表であるビュレット結合を生成するために用いられるイソシアネート化合物(G)としては、1分子中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物であればよいが、好ましくは1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を用いることであり、好ましいイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、低分子トリイソシアネート、ポリイソシアネートを挙げることができる。脂肪族ジイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。脂環式ジイソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート、4−4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,4−イソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,3−ビス(2−イソシアナトプロピル−2イル)−シクロヘキサン等を挙げることができる。芳香族ジイソシアネートの例としては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等を挙げることができる。低分子トリイソシアネートの例としては、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸−2−イソシアナトエチル、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸−1−メチル−2−イソシアネートエチル等の脂肪族トリイソシアネート化合物、トリシクロヘキシルメタントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式トリイソシアネート化合物、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等の芳香族トリイソシアネート化合物等を挙げることができる。ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートや上記ジイソシアネート、低分子トリイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートが例示される。上記ジイソシアネート、トリイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシアネート、カルボジイミド型ポリイソシアネート等がある。これらイソシアネート化合物(G)は併用して用いることができる。
しては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアルキルアミン。エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン。ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリオキシアルキレンポリアミン類等を挙げることができる。脂環式アミンの例としては、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等を挙げることができる。芳香族アミンとしては、アニリン、トルイジン、べンジルアミン、ナフチルアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等を挙げることができる。
結合基(y)の濃度が1meq/kg以上で、機械的剪断力に対して高い耐性を有するカプセル型硬化剤を得るのに有利である。また、1000meq/kg以下で、高い硬化性を得るのに有利である。さらに好ましい結合基(y)の範囲は10〜200meq/kgである。
い。結合基(z)についても、フーリエ変換式赤外分光光度計(FT−IR)を用いて測定することができる。また、結合基(z)がエポキシ樹脂用硬化剤(C)の少なくとも表面に有することは、顕微FT−IRを用いて測定することができる。
この結合基(z)のうち、特に有用なものは、ウレタン結合である。このウレタン結合は、イソシアネート化合物(G)と1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物との反応により生成される。ここで用いられるイソシアネート化合物(G)としては、ウレア結合、ビュレット結合を生成するために用いられるイソシアネート化合物(G)が使用できる。
る。
エポキシ樹脂用硬化剤(C)からなるコアに対する該表面の結合基の比は、質量比で100/1〜100/100である。この範囲において貯蔵安定性と硬化性が両立する。好ましくは100/2〜100/80、より好ましくは100/5〜100/60、一層好ましくは100/10〜100/50である。
ここで分散媒としては、溶媒、可塑剤、樹脂類等が例示される。また、エポキシ樹脂を分散媒として用いることもできる。
イソシアネート化合物(G)と活性水素化合物(H)との量比は、特に制限は無いが通常、イソシアネート化合物(G)中のイソシアネート基と活性水素化合物(H)中の活性水素との当量比が1:0.1〜1:1000の範囲で用いられる。
エポキシ樹脂用硬化剤(C)とエポキシ樹脂(N)との反応生成物からなるシェルでコアを被覆する方法としては、シェル成分を溶解し、エポキシ樹脂用硬化剤(C)を分散させた分散媒中で、シェル成分の溶解度を下げて、エポキシ樹脂用硬化剤(C)の表面にシェルを析出させる方法、エポキシ樹脂用硬化剤(C)を分散させた分散媒中で、シェルの形成反応を行い、エポキシ樹脂用硬化剤(C)の表面にシェルを析出させる方法、またはエポキシ樹脂用硬化剤(C)からなるコアの表面を反応の場として、そこでシェルを生成させる方法等が挙げられる。後2者の方法が反応と被覆を同時に行うことができ好ましい。
また、後者の場合、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤は、本コア中のアミン化合物を使用してもよいし、別途添加しても構わない。
用的な硬化性が得られる。ここでいう層の厚みは、透過型電子顕微鏡により観察される。特に好ましいシェルの厚みは、平均層厚で50〜700nmである。
本発明のエポキシ樹脂(N)については本発明の目的とする効果を損なわない範囲内において特に制限されない。そのようなエポキシ樹脂(N)の一例を挙げると、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等;多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂等のグリシジル型エポキシ樹脂と、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキサイド等が例示される。
これらエポキシ樹脂は単独で使用しても併用しても良い。
より好ましくは1500ppm以下であり、より好ましくは800ppm以下であり、より好ましくは400ppm以下であり、より好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは80ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
また、本発明のエポキシ樹脂(E)のジオール末端不純成分が、エポキシ樹脂(E)の基本構造成分の0.001〜30質量%であることが望ましい。
エポキシ樹脂(E)の基本構造成分およびジオール末端不純成分の分析方法については、同じくエポキシ樹脂技術協会刊行の「総説 エポキシ樹脂 第1巻基礎編I」において引用されている文献に記載の方法を参考に分析を行う。
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)は全塩素量が2500ppm以下であることが望ましい。全塩素量が低いほど反応性が高まり、また、該エポキシ樹脂組成物を電子材料に使用した場合、信頼性が高いという観点から望ましく、より好ましくは1500ppm、より好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは800ppm以下であり、より好ましくは500ppm、より好ましくは300ppm以下であり、より好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下であり、さらに
好ましくは50ppm以下である。本発明において全塩素量とは、化合物中に含まれる有機塩素及び無機塩素の総量のことであり、化合物に対する質量基準の値である。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂用硬化剤(C)および/またはマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)、および/またはマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)と、環状ホウ酸エステル化合物(L)を同時に配合させたエポキシ樹脂組成物を調製することが望ましい。
これにより、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性、特に高温時における貯蔵安定性を向上させることができる。
エポキシ樹脂(J)に、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤(C)および/またはマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)、および/またはマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)を混合して一液性エポキシ樹脂組成物が得られる。
;多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;グリセリンやポリエチレングリコールのような多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂と、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキサイド等が例示される。
また、本発明において、エポキシ樹脂(J)とエポキシ樹脂用硬化剤(C)および/またはマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)、および/またはマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)との配合物に対して、環状ホウ酸エステル化合物(L)を同時に配合させたエポキシ樹脂組成物を調製することが望ましい。その際の環状ホウ酸エステル化合物(L)の配合量は、エポキシ樹脂(J)とエポキシ樹脂用硬化剤(C)および/またはマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)、および/またはマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)との配合物の配合物100質量部に対して、0.001〜10質量部である。この範囲で用いることで組成物の高温時の貯蔵安定性に優れた硬化を与え、かつ、本来の短時間硬化性、耐熱性、接続信頼性を損なわない、優れた硬化物を得ることができる。
酸無水物類としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水−3−クロロフタル酸、無水−4−クロロフタル酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水ジメチルコハク酸、無水ジクロールコハク酸、メチルナジック酸、ドテシルコハク酸、無水クロレンデックク酸、無水マレイン酸等;フェノール類としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック等;ヒドラジン類としては、例えば、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドテレフタル酸ジヒドラジド、p−オキシ安息香酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、フェニルアミノプロピオン酸ヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド等;グアニジン類としては、例えば、ジシアンジアミド、メチルグアニジン、エチルグアニジン、プロピルグアニジン、ブチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トル
イルグアニジン等が例示される。
硬化剤(K)を使用する場合、硬化剤(K)を1〜200質量部に対して、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤(C)および/またはマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)、および/またはマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)が0.1〜200質量部となる量で用いるのが好ましい。
この範囲で用いることで硬化性と貯蔵安定性に優れた組成物を与え、耐熱性、耐水性に優れた硬化物を得ることができる。
は、加熱により硬化することで所望の性能が発現されるが、ここで言う主成分とは、加熱による硬化反応の主体をなす成分であることを意味し、加熱硬化性成分の60%以上である事が好ましい。更に好ましくは70%以上である。
一液性エポキシ樹脂組成物の内、硬化に関与しない成分としては、例えば、増量剤、補強材、充填材、導電材料、顔料、有機溶剤、樹脂類等が挙げられるが、これらの成分は一液性エポキシ樹脂組成物全体に対して0〜90質量%の範囲で使用されるのが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、接着剤および/または接合用ペースト、接合用フィルムの他に、導電材料、異方導電材料、絶縁材料、封止材、コーティング材、塗料組成物、プリプレグ、熱伝導性材料等として有用である。
封止材としては、固形封止材や液状封止材、フィルム状封止材等として有用であり、液状封止材としては、アンダーフィル材、ポッティング材、ダム材等として有用である。封止材の製造方法としては、例えば、特開平5−43661号公報、特開2002−226675号公報などにおいて、電気・電子部品の封止・含浸用成形材料としての記載がある。より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤として例えば酸無水物硬化剤として無水メチルヘキサヒドロフタル酸、さらに球状溶融シリカ粉末を加えて均一に混合し、それに本発明で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)を加え均一に混合し、封止材料を得ることができる。
ーティング用材料の製造方法としては、例えば、特公平4−6116号公報や、特開平7−304931号公報、特開平8−64960号公報、さらに特開2003−246838号公報などに記載の各種方法がある。より具体的には、充填剤からシリカ等を選定してフィラーとして、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のほかフェノキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂などを配合し、さらに本発明のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)を配合し、MEKで50%の溶液を調製する。これをポリイミドフィルム上に50μmの厚さでコーティングし、銅箔を重ねて、60〜150℃でラミネートし、当該ラミネートを180〜200℃で加熱硬化させることにより、層間をエポキシ樹脂組成物によりコーティングされた積層板を得ることができる。
熱伝導性材料の製造方法としては、例えば、特開平06−136244号公報、特開平10−237410号公報、特開2000−3987号公報などがある。より具体的には、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、硬化剤としてフェノールノボラック硬化剤、さらに熱伝導フィラーとしてグラファイト粉末を配合して均一に混練する。これに本発明のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)を配合して熱伝導性樹脂ペーストを得ることができる。
以下に述べる手法により、本実施例および比較例に係る樹脂およびその硬化物の物性評価試験を行った。
(1)エポキシ当量
1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量(g)であり、JIS K−7236に準拠して求めた。
試料1gを25mlのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mlを加えて20分間煮沸したのち、硝酸銀水溶液で滴定した。
(3)エポキシ樹脂(N)・(E)およびマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)の全塩素量
エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂組成物を、キシレンを用いて、エポキシ樹脂が無くな
るまで洗浄と濾過を繰り返す。次にろ液を100℃以下で減圧留去し、エポキシ樹脂を得る。得られたエポキシ樹脂試料1〜10gを滴定量が3〜7mlになるよう精秤し、25mlのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mlを加えて20分間煮沸したのち、硝酸銀水溶液で滴定した。
試料3gを50mlのトルエンに溶解し、これに0.1規定KOHのメタノール溶液20mlを加えて15分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定した。
(5)エポキシ樹脂用硬化剤(C)が含有する水分量
ダイアインスツルメンツ製カールフィッシャー水分計CA−100型を使用して測定した。
(6)粘度
25℃でBM型粘度計を使用して測定した。
JIS K−7234(環球法)に準拠した。
(8)FT−IR測定
日本分光(株)社製FT/IR−410を使用し吸光度を測定した。
(9)分子量分布
東ソー(株)製HLC8220GPC(検出器:RI)を用い、カラム:PLgel3μMIXED−E(ポリマーラボラトリー社製)2本、溶離液:ジメチルホルムアミド1%リチウムブロマイド溶液、検量線:ポリスチレンの条件でゲルパーミッションクロマトグラフィーを行い、重量平均分子量を数平均分子量で割った値で分子量分布を示した。
(10)エポキシ樹脂(E)の基本構造成分の定量
得られたエポキシ樹脂を、以下の方法で分析して定量する。東ソー製高速液体クロマトグラフィ(AS−8021、検出器UV−8020、以下HPLC)で、カラムはミリポア社製のノバパックC−18を使用する。移動相は水/アセトニトリル=70/30〜0/100にグラジェントをかける。尚、検出波長を254nmとした。HPLC分析して両方の末端構造の違いによる分離条件を選定して、分離液について切り替え弁を使用して分取する。分取した分離液をフラクションごとに減圧、留去し残渣をMSで分析する。MSスペクトルにより、基準ピークの質量数に18の差があるもの同士について、18小さいものを基本構造成分と認める。この基本構造成分について、HPLC分析チャート上のピーク強度より、その面積比率でエポキシ樹脂(E)の基本構造成分含有量を求める。
エポキシ樹脂(E)の基本構造成分の定量と同様にして、分離液をMSで分析する。MSスペクトルにより、基準ピークの質量数に18の差があるもの同士について、18大きいものをジオール末端不純成分と認める。HPLC分析チャート上のジオール末端不純成分ピークの強度を示す面積と、基本構造成分を示すピーク強度の面積比でエポキシ樹脂(E)中の基本構造成分に対する、ジオール末端不純成分の含有量を求める。尚、検出波長を254nmとした。
ここでいうジオール末端不純成分の構造とは、どちらか一方、または両方の末端のエポキシ基が開環して、1,2−グリコールを形成した構造をいう。
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤(F)を、キシレンを用いて、エポキシ樹脂が
無くなるまで洗浄と濾過を繰り返す。次に、キシレンが無くなるまでシクロヘキサンで洗浄と濾過を繰り返す。シクロヘキサンを濾別し、50℃以下の温度でシクロヘキサンを完全に除去乾燥する。
(13)マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)からのカプセル膜の分離
マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)を、メタノールを用いて、エポキシ樹脂用硬化剤が無くなるまで洗浄と濾過を繰り返し、50℃以下の温度でメタノールを完全に除去乾燥する。
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤(F)30部を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/当量、全塩素量1200ppm:以下エポキシ樹脂(M)と称す)100部と混合、一液性エポキシ樹脂組成物を製造する。製造した一液性エポキシ樹脂組成物を40℃で1週間貯蔵し、貯蔵後の粘度を貯蔵前粘度で割った値(以下粘度倍率と称す)により貯蔵安定性を評価した。粘度倍率が1.5倍未満を◎、2倍未満を○、2倍以上3倍未満を△、3倍以上を×、貯蔵途中でゲル化したものを××とした。
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤(F)30部を、エポキシ樹脂(M)100部と混合、一液性エポキシ樹脂組成物を製造してThermo ELECTORON CORPORATION製のレオメーター(Rheo Stress5600)を用いて、測昇温速度を5℃/minの条件での粘度−温度曲線において、40℃の粘度測定値に対して、粘度上昇率が20%/min以上となる硬化開始温度を測定する。硬化開始温度が120℃未満のものを◎、120℃から135℃未満のものを○、135℃から155℃未満のものを△、155℃から170℃未満のものを×、170℃以上のものを××とした。
(アミンアダクトA−1を含むエポキシ樹脂用硬化剤(C−1’)の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185g/当量、全塩素量1400ppm:以下エポキシ樹脂a1−1と称す)1.5当量と、2−メチルイミダゾール1当量(活性水素換算)を、n−ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)、80℃で反応させた。その後減圧下で2−メチルイミダゾールの含有量が10ppm未満になるまで溶剤と共に留去し、25℃で固体状のエポキシ樹脂用硬化剤(C−1’)を得た。
エポキシ樹脂用硬化剤(C−1’)100部に対するn−ブタノールとトルエン含有量は10ppm未満であった。
(アミンアダクトA−2を含むエポキシ樹脂用硬化剤(C−2’)の製造)
以下エポキシ樹脂a1−1を1当量とビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量470g/当量、全塩素量1300ppm:以下エポキシ樹脂a1−2と称す)1当量と、トリエチレンテトラミン2当量を2−プロパノールとトルエンの1/2混合溶媒中(樹脂分50%)、80℃で反応させた。その後、減圧下で溶剤と未反応低分子アミン化合物を留去し、トリエチレンテトラミンが0.5%(樹脂分に対して)になった時点で蒸留を終了し、25℃で固体状のエポキシ樹脂用硬化剤(C−2’)を得た。得られたエポキシ樹脂用硬化剤(C−2’)100部に対するトルエン含有量は2.5部、2−プロパノールは10ppm以下であった。
(アミンアダクトA−3を含むエポキシ樹脂用硬化剤(C−3’)の製造)
エポキシ樹脂a1−1を1.5当量と、2−メチルイミダゾール1.2当量とし、溶剤を2−プロパノール/トルエン/PGMを1/1/1混合とした以外は製造例2と同様に反応させた後、蒸留留去して25℃で固体状のエポキシ樹脂用硬化剤(C−3’)を得た。得られたエポキシ樹脂用硬化剤(C−3’)に含有される2−メチルイミダゾールは0.4%で、トルエン含有量は0.8部、2−プロパノールとPMGは10ppm以下であった。
(アミンアダクトA−4を含むエポキシ樹脂用硬化剤(C−4’)の製造)
エポキシ樹脂a1−1を1.5当量と、2−メチルイミダゾール0.9当量を、製造例3と同様に反応させた後、蒸留留去して25℃で固体状のエポキシ樹脂用硬化剤(C−4’)を得た。得られたエポキシ樹脂用硬化剤(C−4’)に含有される2−メチルイミダゾールは0.8%で、トルエン含有量が7部、PGM含有量が8部であった。
製造例1で得たアミンアダクトA−1を含むエポキシ樹脂用硬化剤C−1’の100質量部を溶融し、これに0.6質量部の2−メチルイミダゾール、トルエンを5部を均一に混合し、室温に冷却後粉砕して、25℃で固体状の平均粒径2.7μmのエポキシ樹脂用硬化剤C−1を得た。含有水分量はエポキシ樹脂用硬化剤C−1が100質量部に対して、0.6質量部であった。200質量部のエポキシ樹脂E−1に、エポキシ樹脂用硬化剤C−1を100質量部、水1.0質量部、トリレンジイソシアネート7質量部を加えて、40℃で攪拌しながら3時間反応を続けた。その後、シェル形成反応を50℃で8時間行い、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−1を得た。
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−1からキシレンを用いてマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を分離し、FT−IR測定により、結合基(x)、(y)、(z)を有することが確認された。
更に、100部のエポキシ樹脂(M)に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−1を30部配合したときの一液性エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性と硬化性を評価した。得られた結果を表−1に示す。
製造例2で得たアミンアダクトA−1を含むエポキシ樹脂用硬化剤C−2’の100質量部を溶融し、これにトルエンを6部を均一に混合し、室温に冷却後粉砕して、25℃で固体状の平均粒径2.9μmのエポキシ樹脂用硬化剤C−2を得た。エポキシ樹脂用硬化剤C−2が100質量部に対して、含有水分量は1.2質量部、トルエンは8部、トリエチレンテトラミンは0.3部であった。200質量部のエポキシ樹脂E−1に、エポキシ樹脂用硬化剤C−2を100質量部、水1.5質量部、MR−200を8質量部を加えて、40℃で攪拌しながら3時間反応を続けた。その後、シェル形成反応を50℃で8時間行い、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−2を得た。
何れも実施例1と同様にして結合基(x)、(y)、(z)を有することを確認し、実施例1と同様に、100部のエポキシ樹脂(M)に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−2を30部配合したときの一液性エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性と硬化性を評価した。得られた結果を表−1に示す。
200質量部のエポキシ樹脂E−1に、実施例2で得られたエポキシ樹脂用硬化剤C−2を100質量部、水1.0質量部、MR−200を6質量部加えて、40℃で攪拌しながら3時間反応を続けた。その後、環状ホウ酸エステル化合物(L)を0.8部加えて、さらにシェル形成反応を50℃で8時間行い、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−3を得た。実施例1と同様に、100部のエポキシ樹脂(M)に、得られたマスターバ
ッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−3を30部配合したときの一液性エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性と硬化性を評価した。得られた結果を表−1に示す。
製造例3で得たアミンアダクトA−3を含むエポキシ樹脂用硬化剤C−3’を粉砕して表−1記載のエポキシ樹脂用硬化剤C−3を得た。
更に、表−1で示した配合で、実施例1と同様にしてマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−4を得た。実施例1と同様に、100部のエポキシ樹脂(M)に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−4を30部配合したときの一液性エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性と硬化性を評価した。得られた結果を表−1に示す。
製造例4で得たアミンアダクトA−5を含むエポキシ樹脂用硬化剤C−4’を粉砕して表−1記載のエポキシ樹脂用硬化剤C−4を得た。
更に、表−1で示した配合で、実施例1と同様にしてマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−5を得た。実施例1と同様に、100部のエポキシ樹脂(M)に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−5を30部配合したときの一液性エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性と硬化性を評価した。得られた結果を表−1に示す。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製AER−2603)15部、フェノールノボラック樹脂(昭和高分子社製、商品名「BRG−558」)6部、合成ゴム(日本ゼオン社製商品名「ニポール1072」、重量平均分子量30万)4部を、メチルエチルケトンとブチルセロソルブアセテートの1:1(重量比)混合溶剤20部に溶解した。この溶液に銀粉末74部を混合し、さらに三本ロールにより混練した。これにさらに実施例2で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−2を30部加えて、さらに均一に混合させて、導電性接着剤を得た。得られた導電性接着剤を用いて、厚さ40μm のポリプロピレンフィルム上にキャストして、80℃で60分間、乾燥半硬化させ厚さ35μm の導電性接着剤層を有する導電性フィルムを得た。この導電性フィルムを用い、80℃のヒートブロック上でシリコンウェハー裏面に導電性接着剤層を導電性フィルムを転写させた。さらにシリコンウェハーをフルダイシングし、ヒートブロック上でリードフレームに導電性接着剤付半導体チップを、200 ℃、2分間の条件で接着硬化させたところ、チップの導電性の問題がなかった。
100部のエポキシ樹脂(M)に、実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−1を30部に、平均粒子径が14μm、アスペクト比が11の鱗片状銀粉(徳力化学研究所(株)製)150g及び平均粒子径が10μm、アスペクト比が9の鱗片状ニッケル粉(高純度化学(株)製、商品名「NI110104」)60gを添加し、均一になるまで撹拌後、三本ロールで均一に分散して導電ペーストとした。得られた導電ペーストを、厚さ1.4mmのポリイミドフィルム基板上にスクリーン印刷した後、200℃で1時間、加熱硬化させた。得られた配線板の導電性を測定した結果、導電性ペーストとして有用なものであった。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製AER6097、エポキシ当量42500g/eq)40重量部、フェノキシ樹脂(東都化成製、YP−50)30重量部を酢酸エチル30部に溶解し、それに、実施例2で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−2を30部に、粒径8μmの導電粒子(金メッキを施した架橋ポリスチレン)5部とを加え均一に混合し、一液性エポキシ樹脂組成物を得た。これをポリエステ
ルフィルム上に塗布し、70℃で酢酸エチルを乾燥除去し、異方導電性フィルムを得た。
得られた異方導電性フィルムをICチップと電極間に挟み、200℃のホットプレート上で30kg/cm2、20秒間熱圧着を行った結果、電極間が接合し、導通がとれ、異方導電性材料として有用であった。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製AER6091、エポキシ当量480g/eq)50重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製AER2603)50重量部と導電粒子としてミクロパールAu−205(積水化学製、比重2.67)5重量部を混合後、実施例2で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−2を30部加えて、さらに均一に混合させて、異方導電性ペーストを得た。得られた異方導電性ペーストを、ITO電極を有する低アルカリガラス上に塗布した。230℃のセラミックツールで、30秒間、2MPaの圧力にて試験用TAB(Tape Automated Bonding)フィルムと圧着し貼り合わせを行った。隣接するITO電極間の抵抗値を測定したところ、異方導電性ペーストとして有用であった。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名「YL983U」)100重量部、ジシアンジアミドを4重量部、シリカ粉末100重量部、希釈剤としてフェニルグリシジルエーテル10重量部、および有機リン酸エステル(日本化薬社製、商品名「PM−2」)1重量部を十分混合した後、さらに三本ロールで混練する。さらに、そこに実施例2で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−2を30部加えて、さらに均一に混合させて、減圧脱泡および遠心脱泡処理を行い、絶縁性ペーストを製造した。得られた絶縁性ペーストを用いて、半導体チップを樹脂基板に200℃で1時間加熱硬化させて接着したところ、絶縁性ペーストとして有用であった。
フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名「YP−50」)180重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量200g/eq、日本化薬株式会社製商品名「EOCN−1020−80」)40重量部、球状シリカ(平均粒径:2μm、アドマテック株式会社製、商品名SE−5101)300重量部、メチルエチルケトン200重量部を調合し均一分散させた後、これに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−1を250重量部加えてさらに攪拌・混合してエポキシ樹脂組成物を含む溶液を得る。得られた溶液を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレート上に、乾燥後の厚さが50μmになるように塗布し、熱風循環式乾燥機の中で加熱乾燥を行い、半導体接着用の絶縁性フィルムを得た。得られた半導体接着用の絶縁性フィルムを5インチのウェハサイズよりも大きく支持基材ごと切断し、バンプ電極付きウェハの電極部側に樹脂フィルムを合わせる。次に離型処理付き支持基材を上に挟み、70℃、1MPa、加圧時間10秒で真空中加熱圧着し接着樹脂付きウェハを得る。続いて、ダイシングソー(DISCO製DAD−2H6M)を用いてスピンドル回転数30,000rpm、カッティングスピード20mm/secで切断分離した個片の接着フィルム付き半導体素子の樹脂剥がれがないことを観察した。得られたフィルムは絶縁性フィルムとして有用なものであった。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製AER6091、エポキシ当量480g/eq)50重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製AER2603)50重量部、硬化剤として無水フタル酸を主成分とするHN−2200(日立化成工業(株)製)を40重量部、平均粒径16μmの球状溶融シリカを80重量部を均一に分散、配合させる。これに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用
硬化剤F−1を5重量部加えてエポキシ樹脂組成物を得る。得られたエポキシ樹脂組成物をプリント配線基板上に厚さ60μmになるように1cm角に塗布し、110℃10分、オーブンで加熱して半硬化させた。その後、厚さ370μm、1cm角のシリコンチップを半硬化させたエポキシ樹脂組成物の上に乗せ、荷重を加えてバンプとチップの電極を接触・保持しつつ220℃で1時間、完全硬化処理を行った。得られたエポキシ樹脂組成物からなる封止材は、外観およびチップの導通に問題のない有用なものであった。
30部のエポキシ樹脂(M)、フェノキシ樹脂としてYP−50を30部(東都化成製)、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のメチルエチルケトン溶液(荒川化学工業(株)製、商品名「コンポセランE103」)を50部、これに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−1を30部加えて、メチルエチルケトンで50重量%に希釈・混合させた溶液を調製した。調製した溶液を、剥離PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(パナック(株)製SG―1)上に、ロールコーターを用いて塗布し、150℃で15分、乾燥、硬化させ、剥離フィルム付き半硬化樹脂(ドライフィルム)膜厚100μmを作製した。これらのドライフィルムを先の銅張り積層板上に120℃で、10分間、6MPaで加熱圧着した後、室温に戻して剥離フィルムを除去し、200℃で2時間硬化させたところ、層間絶縁用のコーティング材として有用なものが得られた。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製AER6091、エポキシ当量480g/eq)50重量部に、二酸化チタン30重量部、タルク70重量部を配合し、混合溶剤としてMIBK/キシレンの1:1混合溶剤140重量部を添加、攪拌、混合して主剤とする。これに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤F−1を30重量部添加、均一に分散させることにより、エポキシ塗料組成物として有用なものが得られた。
プリプレグの実施例
130℃のオイルバス中のフラスコ内にノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業製のEPICLON N−740)を15部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(JER製のエピコート4005)を40部、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製AER2603)30部を溶解・混合し80℃まで冷やす。さらに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物F−1を15部加えて、十分、攪拌して混合する。室温に冷ました前記樹脂組成物を離型紙上にドクターナイフを用いて樹脂目付162g/m2で塗布し、樹脂フィルムとした。次にこの樹脂フィルム上に弾性率24トン/mm2の炭素繊維を12.5本/インチで平織りした三菱レイヨン製CFクロス(型番:TR3110、目付200g/m2)を重ねて樹脂組成物を炭素繊維クロスに含浸させた後、ポリプロピレンフィルムを重ねて表面温度90℃のロール対の間を通して、クロスプリプレグを作製した。樹脂の含有率は45重量%だった。得られたプリプレグを、繊維方向を揃えてさらに積層し、硬化条件150℃×1時間で成形を行い、炭素繊維を補強繊維とするFRP成形体を得ることができ、作製したプリプレグは有用なものであった。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製AER2603)100部、エポキシ樹脂用硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(荒川化学工業(株)製、商品名「タマノル759」)のメチルエチルケトン50%溶液を40重量部、鱗片状グラファイト粉末(ユニオンカーバイト社製の商品名HOPG)15重量部を均一になるまで攪拌後、
3本ロールで均一に分散させた。これにさらに、実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物F−1を15部加えて、十分、攪拌して混合する。得られた導電ペーストを、用いてCuリードフレーム上に半導体チップ(1.5mm角、厚み0.8mm)をマウントし、かつ、150℃、30分で加熱硬化させて評価用サンプルを得た。得られたサンプルの熱伝導性についてレーザフラッシュ法により測定する。すなわち、測定した熱拡散率α、比熱Cp、密度σから、以下の式、K=α×Cp×σより熱伝導率Kを求めたところ、Kが5×10−3Cal/cm・sec・℃以上あり、熱伝導性ペーストとして、有用なものであった。
混合において異物の発生が無い、極めて良好な分散性を有し、また、得られたエポキシ樹脂組成物の流動性に優れる一液性エポキシ樹脂組成物および、それを得るための潜在性硬化剤が得られる。更に電気特性、機械的強度、耐熱性、耐湿性等の性能もバランス良く有する硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物が得られる。本発明のカプセル型硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物は、接着剤、封止材、充填材、絶縁材料、導電材料、プリプレグ、フィルム状接着剤、異方導電性フィルム、異方導電性ペースト、絶縁接着フィルム、絶縁接着ペースト、アンダーフィル材、ポッティング材、ダイボンディング材、導電ペースト、ソルダーレジスト等として優れた性能を発揮する。
Claims (32)
- アミンアダクト(A)と低分子アミン化合物(B)を主成分とするエポキシ樹脂用硬化剤(C)であって、エポキシ樹脂用硬化剤(C)が含有する水分量がエポキシ樹脂用硬化剤(C)100質量部に対して0.05質量部以上3質量部以下であり、かつ、アミンアダクト(A)に対して不活性である溶剤(S)がエポキシ樹脂用硬化剤(C)100質量部に対して、3質量部を超えて10質量部以下で含有することを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤。
- 25℃で固体状であることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
- アミンアダクト(A)がエポキシ樹脂(a1)とアミン化合物(b1)との反応により得られることを特徴とする請求項1又は2記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
- 低分子アミン化合物(B)がイミダゾール類であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤(C)からなるコアの表面を合成樹脂および/または無機酸化物からなるシェルによって被覆されている構造を持つことを特徴とするマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤(C)からなるコアを、イソシアネート化合物(G)と活性水素化合物(H)の反応により得られ、波数1630〜1680cm -1 の赤外線を吸収する結合基(x)と波数1680〜1725cm -1 の赤外線を吸収する結合基(y)を有する皮膜(c1)および/またはエポキシ樹脂用硬化剤(C)とエポキシ樹脂(N)の反応より得られた皮膜(c2)からなるシェルで被覆したことを特徴とするマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
- エポキシ樹脂(N)の全塩素量が2500ppm以下であることを特徴とする請求項6に記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
- 10〜50000重量部のエポキシ樹脂(E)に、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤(C)および/または請求項5〜7のいずれか1項に記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)の100重量部を配合したことを特徴とするマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- 請求項8記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)の全塩素量が2500ppm以下であることを特徴とするマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- エポキシ樹脂(E)の全塩素量が2500ppm以下であることを特徴とする請求項8または9に記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- エポキシ樹脂(E)のジオール末端不純成分が、エポキシ樹脂(E)の基本構造成分の0.001〜30質量%であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- エポキシ樹脂組成物において、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤(C)および/または請求項5〜7のいずれか1項に記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)、および/または請求項8〜11のいずれか1項に記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)と、環状ホウ酸エステル化合物(L)を同時に配合したエポキシ樹脂組成物。
- 上記環状ホウ酸エステル化合物(L)は、2,2’−オキシビス(5,5’−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン)である請求項12に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 上記環状ホウ酸エステル化合物(L)の配合量は、エポキシ樹脂用硬化剤(C)および/またはマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)、および/またはマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)100質量部に対して0.001〜10質量部である請求項12または13に記載のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(J)100質量部に対して、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤(C)および/または請求項5〜7のいずれか1項に記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)、および/または請求項8〜11のいずれか1項に記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)を0.1〜1000質量部含有し、それらを主成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項15記載のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して、請求項12または13に記載の環状ホウ酸エステル化合物(L)の0.001〜10質量部を配合したことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(J)100質量部に対して、酸無水物類、フェノール類、ヒドラジド類、およびグアニジン類よりなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤(K)の1〜200質量部と、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤(C)および/または請求項5〜7のいずれか1項に記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(D)、および/または請求項8〜11のいずれか1項に記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)の0.1〜200質量部を含有し、それらを主成分とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項17記載のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して、請求項12または13に記載の環状ホウ酸エステル化合物(L)の0.001〜10質量部を配合したことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 請求項8〜18のいずれか1項に記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)またはエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とするペースト状組成物。
- 請求項8〜18のいずれか1項に記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(F)またはエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とするフィルム状組成物。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする接合用ペースト。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする接合用フィルム。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする導電性材料。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする異方導電性材料。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする異方導電性フィルム。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする絶縁性材料。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする封止材料。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とするコーティング用材料。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする塗料組成物。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とするプリプレグ。
- 請求項12〜18のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有することを特徴とする熱伝導性材料。
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