JP2010132840A - 接着シート用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存安定性に優れた接着シート、熱伝導率と電気絶縁性が高く、接着性にも優れた接着シート硬化物、及びこれらの製造に好適な接着シート用エポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】高熱伝導性絶縁フィラー(A)と、
エポキシ樹脂(B)と、
マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)と、
シート化剤(D)と、
を含有する接着シート用エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着シート用エポキシ樹脂組成物、該樹脂組成物から形成された接着シート及び接着シート硬化物、並びに該接着シートを用いた放熱部材に関する。
近年、電子機器の高性能化、小型化への要求が高まり、半導体の高密度化、高機能化が求められている。半導体の高密度化、高機能化を達成するためには、半導体からの放熱、あるいは半導体を実装する回路基板からの放熱を考慮した実装材料設計が重要となってきている。
パワーモジュールや液晶ドライバー、各種CPU、MPU等の半導体チップ、あるいはそれらを実装する基板等の放熱性を高めるために、高熱伝導性材料の検討がなされている。
例えば、特許文献1には、固形エポキシ樹脂を溶剤に溶解させ、高熱伝導性の無機質充填剤を混合し、その後、薄膜状にして溶剤を揮発させて得られる接着シート(シート状接着剤)及びその接着シートから製造された高熱伝導性材料が開示されている。
特開平10−173097号公報
しかしながら、特許文献1に記載された接着シートは、半硬化状態にあるシートが保存中に反応し、特性が変化してしまうという問題がある。また、特許文献1においては、溶剤を使用せずにシートを作製することが検討されているが、この場合、接着シート用材料である樹脂組成物の粘度が高いために高熱伝導性フィラーの充填率を高めることができず、その結果、接着シートの熱伝導率が十分に高められないという問題がある。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、保存安定性に優れた接着シート、熱伝導率と電気絶縁性が高く、接着性にも優れた接着シート硬化物、及びこれらの製造に好適な接着シート用エポキシ樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、高熱伝導性絶縁フィラー(A)と、エポキシ樹脂(B)と、マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)と、シート化剤(D)と、を含有する接着シート用エポキシ樹脂組成物が、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の通りである。
[1]
高熱伝導性絶縁フィラー(A)と、
エポキシ樹脂(B)と、
マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)と、
シート化剤(D)と、
を含有する接着シート用エポキシ樹脂組成物。
[2]
前記高熱伝導性絶縁フィラー(A)は有機樹脂で被覆した金属粉末である、上記[1]記載の接着シート用エポキシ樹脂組成物。
[3]
前記金属粉末の金属種がアルミニウムである、上記[2]記載の接着シート用エポキシ樹脂組成物。
[4]
前記マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)は、コア(K)と、前記コア(K)を被覆するシェル(S)とを少なくとも有するマイクロカプセル型潜在性硬化剤であり、
前記シェル(S)は、少なくともその表面に波数1630〜1680cm−1の赤外線を吸収する結合基(x)、波数1680〜1725cm−1の赤外線を吸収する結合基(y)、及び波数1730〜1755cm−1の赤外線を吸収する結合基(z)を有し、
前記シェル(S)中の前記結合基(x)の濃度(Cx)の前記結合基(x)、(y)及び(z)の合計の濃度(Cx+Cy+Cz)に対する比(Cx/(Cx+Cy+Cz))が0.50以上0.75未満である、上記[1]〜[3]のいずれか記載の接着シート用エポキシ樹脂組成物。
[5]
有機溶剤(E)をさらに含有する、上記[1]〜[4]のいずれか記載の接着シート用エポキシ樹脂組成物。
[6]
上記[1]〜[5]のいずれか記載の接着シート用エポキシ樹脂組成物から形成された接着シート。
[7]
上記[6]記載の接着シートを加熱硬化させて得られる接着シート硬化物。
[8]
上記[6]記載の接着シートと金属片とからなる放熱部材。
本発明によれば、保存安定性に優れた接着シート、熱伝導率と電気絶縁性が高く、接着性にも優れた接着シート硬化物、及びこれらの製造に好適な接着シート用エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[接着シート用エポキシ樹脂組成物]
本実施形態の接着シート用エポキシ樹脂組成物は、
高熱伝導性絶縁フィラー(A)と、エポキシ樹脂(B)と、マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)と、シート化剤(D)と、を含有する。以下、各成分について説明する。
[高熱伝導性絶縁フィラー(A)]
高熱伝導性絶縁フィラーとしては、例えば、Al(アルミナ)、MgO、BN、AlN、Al(OH)、Mg(OH)、SiC、及び有機樹脂で被覆した金属粉末等が挙げられ、中でも、高い熱伝導率及び絶縁性を有する接着シート硬化物を作製し得る観点から、有機樹脂で被覆した金属粉末が好ましい。
高熱伝導性絶縁フィラー(A)は、メジアン径で定義される平均粒径が、0.1〜300μmであることが好ましく、0.5〜50μmであることがより好ましい。ここで、平均粒径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置により測定した値を言う。
高熱伝導性絶縁フィラーの熱伝導率としては、特に制限されないが、レーザーフラッシュ法により測定した熱伝導率が1[W/m・℃]以上であることが好ましく、10[W/m・℃]以上であることがより好ましく、100[W/m・℃]であることがさらに好ましい。
[有機樹脂で被覆した金属粉末]
[金属粉末]
上記有機樹脂で被覆した金属粉末の金属粉体として使用できる金属の種類としては、熱伝導性に優れる傾向にあるため、銅、銀、アルミニウム、銅とタングステンとの合金、銅とモリブデンとの複合材等が好ましく、製造コスト、入手容易性や熱伝導性の観点から、アルミニウムがより好ましい。
[有機樹脂]
上記金属粉末を被覆する有機樹脂としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、架橋型樹脂等が使用可能であり、中でも、機械的強度が良好となる傾向にあるため、架橋型樹脂が好ましい。
[熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素樹脂等が挙げられる。
[架橋型樹脂]
架橋型樹脂としては、特に限定されず、例えば、架橋型アクリル樹脂、架橋型ポリプロピレン、架橋型ポリエチレン等の架矯型ポリオレフィン樹脂、架橋型ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂硬化物、架橋型シリコーン樹脂、架橋型シリコーンゴム、架橋型フッ素樹脂、エポキシアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができる。中でも、機械的強度が良好となる傾向にあるため、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、架橋型アクリル樹脂が好ましく、架橋型アクリル樹脂がより好ましい。
[架橋型アクリル樹脂]
架橋型アクリル樹脂としては、例えば、特公平1−49746に記載された樹脂等が挙げられる。架橋型アクリル樹脂は、例えば、1分子中に重合性二重結合を3個以上有する単量体を必須成分として、必要に応じてラジカル重合性不飽和カルボン酸、ラジカル重合性二重結合を有する燐酸エステル単量体から選ばれる1種又は複数種のラジカル重合性化合物を反応させて得ることができる。
上記1分子中に重合性二重結合を3個以上有する単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等が挙げられ、中でも、有機樹脂がより強固に金属表面に被覆する傾向にあるため、トリメチロールプロパントリアクリレートが好ましい。
上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられ、安価に入手できる観点からは、アクリル酸が好ましい。
上記ラジカル重合性二重結合を有する燐酸モノエステル単量体としては、例えば、2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジ−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、トリ−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジ−2−アクリロイロオキシエチルホスフェート、トリ−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、2−メタクリロイロキシプロピルホスフェート、ビス(2−クロロエチル)ビニルホスホネート、ジアリルジブチルホスホノサクシネート等が挙げられ、中でも、有機樹脂がより強固に金属表面に被覆する傾向にあるため、2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、2−アクリロイロキシエチルホスフェートが好ましい。
接着シート用エポキシ樹脂組成物中の高熱伝導性絶縁フィラー(A)の配合量としては、特に制限されないが、エポキシ樹脂(B)100質量部に対して、10〜2000質量部であることが好ましく、100〜500質量部であることがより好ましい。高熱伝導性絶縁フィラーの配合量が10質量部以上であると、接着シート硬化物の熱伝導率が充分となる傾向にあり、2000質量部以下であると、樹脂組成物への混合及びシート化が容易となる傾向にある。
[エポキシ樹脂(B)]
エポキシ樹脂(B)としては、モノエポキシ化合物、多価エポキシ化合物又はそれらの混合物等が挙げられる。
モノエポキシ化合物としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、パラ−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、パラキシリルグリシジルエーテル、グリシジルアセテート、グリシジルブチレート、グリシジルヘキソエート、グリシジルベンゾエート等が挙げられる。
多価エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等;多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物や、トリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂等のグリシジル型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキサイド等が挙げられる。
エポキシ樹脂(B)としては、耐熱性と機械的強度のバランスに優れた硬化物となる傾向にあるため、上記の中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。
[マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)]
本実施の形態の接着シート用エポキシ樹脂組成物は、マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)を含む。樹脂組成物中にマイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)を含有することにより、エポキシ樹脂組成物の保存安定性や、その樹脂組成物から形成される未硬化の接着シートの保存安定性が、マイクロカプセル型潜在性硬化剤以外の硬化剤を使用した場合と比較して良好となる。その効果は、特に樹脂組成物に溶剤を使用した場合(以下、樹脂組成物と溶剤との混合溶液を「ワニス」とも称する)に顕著となる傾向がある。
マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)とは、エポキシ樹脂の硬化剤粒子の表面をエポキシ樹脂及び硬化剤粒子に対して不活性な皮膜で被覆した構造を有するエポキシ樹脂用硬化剤である。そのような硬化剤としては、例えば、特開平1−217027、特開昭60−260610、特開昭64−70523、特開平4−53818等に開示されている。
マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)は、好ましくは、コア(K)と、該コアを被覆するシェル(S)とを少なくとも有するマイクロカプセル型潜在性硬化剤であって、前記シェル(S)が、少なくともその表面に波数1630〜1680cm−1の赤外線を吸収する結合基(x)、波数1680〜1725cm−1の赤外線を吸収する結合基(y)、及び、波数1730〜1755cm−1の赤外線を吸収する結合基(z)を有し、 前記シェル(S)中の前記結合基(x)の濃度(Cx)の前記結合基(x)、(y)、(z)の合計の濃度(Cx+Cy+Cz)に対する比(Cx/(Cx+Cy+Cz))が、0.50以上0.75未満であるマイクロカプセル型潜在性硬化剤である。
[コア(K)]
コア(K)は、下記の条件(1)〜(3)を満たす粒子を出発材料として形成されることが好ましい。
(1) アミン系硬化剤を主成分とし、
(2) 水を前記アミン系硬化剤100質量部に対し0.05〜3質量部含み、
(3) メジアン径で定義される平均粒径が0.3μmを超えて12μm以下である。
[条件(1)]
まず、条件(1)について説明する。
アミン系硬化剤としては、アミンアダクト系、変性ポリアミン系、脂肪族ポリアミン系、複素環式ポリアミン系、脂環式ポリアミン系、芳香族アミン系、ポリアミドアミン系、ケチミン系、ウレタンアミン系等の通常使用されるアミン系硬化剤が挙げられる。中でも、低分子アミン化合物(a1)とアミンアダクトからなるアミン系硬化剤が好ましい。
[低分子アミン化合物(a1)]
低分子アミン化合物(a1)としては、少なくとも1個の一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を有するが三級アミノ基を有さない化合物と、少なくとも1個の三級アミノ基と少なくとも1個の活性水素基を有する化合物等が挙げられる。
少なくとも1個の一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を有するが三級アミノ基を有さない化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、アニリン、トルイジン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の三級アミノ基を有さない第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピペリドン、ジフェニルアミン、フェニルメチルアミン、フェニルエチルアミン等の三級アミノ基を有さない第二アミン類等が挙げられる。
少なくとも1個の三級アミノ基と少なくとも1個の活性水素基を有する化合物としては、2−ジメチルアミノエタノール、1−メチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−フェノキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−β−ヒドロキシエチルモルホリン等のアミノアルコール類;2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミノフェノール類;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダ
ゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン、2−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−(o−トリル)−イミダゾリン、テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,2−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,3−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−4−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン類;ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジプロピルアミノエチルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、N−メチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、ジエチルアミノエチルピペラジン等の三級アミノアミン類;2−ジメチルアミノエタンチオール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン等のアミノメルカプタン類;N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸等のアミノカルボン酸類;N,N−ジメチルグリシンヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド等のアミノヒドラジド類等が挙げられる。
これらの低分子アミン化合物(a)の中でも、反応性が高く工業的にも入手が容易な傾向にあるため、イミダゾール類が好ましく、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾールがより好ましい。
[アミンアダクト]
アミンアダクトとしては、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、尿素化合物、イソシアネート化合物、及びエポキシ樹脂(e1)からなる群より選択される1種と、アミン化合物(a2)との反応により得られるアミノ基を有する化合物等が挙げられる。
カルボン酸化合物としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、ダイマー酸等が挙げられる。
スルホン酸化合物としては、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
尿素化合物としては、尿素、メチル尿素、ジメチル尿素、エチル尿素、t−ブチル尿素等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,4−イソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,3−ビス(2−イソシアナトプロピル−2イル)−シクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族トリイソシアネートとしては、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートメチルヘキサン等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートや上記ジイソシアネート化合物より誘導されるポリイソシアネート等が挙げられる。上記ジイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシアネート、カルボジイミド型ポリイソシアネート等が挙げられる。
エポキシ樹脂(e1)としては、モノエポキシ化合物、多価エポキシ化合物又はそれらの混合物等が挙げられる。モノエポキシ化合物、多価エポキシ化合物としては、エポキシ樹脂(B)に用いられる化合物として列挙したものを用いることができる。
エポキシ樹脂(e1)の全塩素量は、硬化性と貯蔵安定性のバランスに優れたエポキシ樹脂組成物を得る観点から、2500ppm以下であることが好ましい。エポキシ樹脂(e1)の全塩素量は、より好ましくは2000ppm以下であり、より好ましくは1500ppm以下であり、より好ましくは800ppm以下であり、より好ましくは400ppm以下であり、より好ましくは180ppm以下であり、さらに好ましくは100ppm以下であり、さらにより好ましくは80ppm以下であり、特に好ましくは50ppm以下である。
ここで、全塩素量とは、エポキシ樹脂中に含まれる有機塩素及び無機塩素の総量のことであり、エポキシ樹脂に対する質量基準の値である。
全塩素量は、以下の方法により測定することができる。
エポキシ樹脂組成物を、キシレンを用いて、エポキシ樹脂が無くなるまで洗浄と濾過を繰り返す。次にろ液を100℃以下で減圧留去し、エポキシ樹脂を得る。得られたエポキシ樹脂試料1〜10gを滴定量が3〜7mLになるよう精秤し、25mLのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mLを加えて20分間煮沸したのち、硝酸銀水溶液で滴定した滴定量から計算する。
また、エポキシ樹脂(e1)の全塩素量は、シェル形成反応のコントロールを容易にする観点から、0.01ppm以上であることが好ましい。エポキシ樹脂(e1)の全塩素量は、より好ましくは0.02ppm以上であり、より好ましくは0.05ppm以上であり、さらに好ましくは0.1ppm以上であり、さらにより好ましくは0.2ppm以上であり、特に好ましくは0.5ppm以上である。また、全塩素量が0.1ppm以上であると、シェル形成反応が硬化剤を含むコア表面で効率よく行われ、貯蔵安定性に優れたシェルが得られる傾向にある。
以上より、エポキシ樹脂(e1)の全塩素量の好ましい範囲は0.1ppm以上200ppm以下であり、より好ましい範囲は0.2ppm以上80ppm以下、さらに好ましい範囲は0.5ppm以上50ppm以下である。
また、全塩素の中でも、1、2−クロロヒドリン基に含まれる塩素は、一般に、加水分解性塩素と呼ばれる。エポキシ樹脂(e1)中の加水分解性塩素量は、好ましくは50ppm以下、より好ましくは0.01以上20ppm以下、さらに好ましくは、0.05以上10ppm以下である。加水分解性塩素量が50ppm以下であると、高い硬化性と貯蔵安定性を両立する観点から有利であり、また、硬化物が優れた電気特性を示す傾向にある。
ここで、加水分解性塩素は、以下の方法により測定することができる。
試料3gを50mLのトルエンに溶解し、これに0.1規定KOHのメタノール溶液20mLを加えて15分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定した滴定量から計算する。
また、アミン化合物(a2)としては、前述の低分子アミン化合物(a1)の例として挙げたアミン化合物と同じものを用いることができる。
アミンアダクトとしては、保存安定性に優れたマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤となる傾向にあるため、特に、エポキシ樹脂(e1)とアミン化合物(a2)との反応により得られるものが好ましい。
エポキシ樹脂(e1)とアミン化合物(a2)との反応により得られるアミンアダクトは、未反応のアミン化合物(a2)を低分子アミン化合物(a1)として流用できるという点でも好ましい。
エポキシ樹脂(e1)とアミン化合物(a2)との反応により得られるアミンアダクトは、例えば、エポキシ樹脂(e1)とアミン化合物(a2)を、エポキシ樹脂(e1)のエポキシ基1当量に対して、アミン化合物(a2)の活性水素基が好ましくは0.5当量〜10当量、より好ましくは0.8当量〜5当量、さらに好ましくは0.95当量〜4当量となるような範囲で、必要に応じて溶剤の存在下において、例えば、50〜250℃の温度で0.1〜10時間反応させることにより得られる。エポキシ樹脂(e1)のエポキシ基に対するアミン化合物(a2)の活性水素基の当量比が0.5以上であると、分子量分布が7以下のアミンアダクトを得るのに有利であり、当量比が10以下であると、未反応のアミン化合物(a2)を回収せずにそのまま低分子アミン化合物(a1)として利用できるので有利である。ここで、アミンアダクトの分子量が7以下であると、硬化時の流動性に優れる傾向にあるという利点がある。
エポキシ樹脂(e1)とアミン化合物(a2)によりアミンアダクトを得る反応において、必要に応じて用いられる溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類;水等が挙げられ、これらの溶剤は単独で用いても併用しても構わない。
また、条件(1)における「主成分とする」とは、含有量が50質量%以上であることを意味する。コア(K)を形成するための出発材料となる粒子には、上述したアミン系硬化剤の他に、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、メチルナジック酸等の酸無水物系硬化剤;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック等のフェノール系硬化剤;プロピレングリコール変性ポリメルカプタン、トリメチロールプロパンのチオグルコン酸エステル、ポリスルフィド樹脂等のメルカプタン系硬化剤;トリフルオロボランのエチルアミン塩等のハロゲン化ホウ素塩系硬化剤;1、8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデカ−7−エンのフェノール塩等の四級アンモニウム塩系硬化剤;3−フェニル−1,1−ジメチルウレア等の尿素系硬化剤;トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン系硬化剤等のエポキシ樹脂用硬化剤(h1)を併用することもできる。
次に、条件(2)について説明する。
コア(K)を形成するための出発材料となる粒子は、水を、主成分であるアミン系硬化剤100質量部に対して0.05〜3質量部含むことが好ましい。水の含有量は、通常の水分量の定量方法、例えば、電量滴定を利用するカールフィッシャー法や、TCD(Thermal Conductivity Detector)検出器によるガスクロマトグラフィー法、化学反応を起こし水分量に応じて発生する水素ガス量による定量法等により測定できる。
コア(K)を形成するための出発材料となる粒子が、水をアミン系硬化剤100質量部に対して0.05質量部以上含むと、その粒子表面でシェル(S)の形成が効率よく行われるとともに、形成されるシェル(S)が貯蔵安定性及び耐溶剤性に優れた膜となる傾向にある。一方、水をアミン系硬化剤100質量部に対して3質量部以下含むと、粒子同士が融着・凝集しにくくなり、安定した品質を管理するのが容易となる傾向にある。また、この現象は、シェル(S)の形成にも影響し、シェル(S)の表面に存在する特定の結合基の含有量のコントロールが容易となり、安定した品質のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤又は後述するマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(以下、マスターバッチ型硬化剤とも称する)を得ることができる。
次に、条件(3)について説明する。
コア(K)を形成するための出発材料である粒子の粒径は、メジアン径で定義される平均粒径が0.3μmを超えて12μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm〜10μm、さらに好ましくは1.5μm〜5μmである。出発材料である粒子の平均粒径が12μm以下であると、均質な硬化物が得られる傾向にあり、0.3μmを超えると、粒子間で凝集が起こりにくく、薄いシェルの形成が容易となる傾向にある。ここで、平均粒径とは、レーザー回析・光散乱法で測定されるストークス径をいう。
出発材料となる粒子は液体でも固体でもよいが、25℃で固体であることが好ましい。出発材料となる粒子が固体である場合、その形態は塊状、顆粒状、粉末状いずれでもよい。また、形状に制限はなく、球状、不定形のいずれでもよい。
[シェル(S)]
シェル(S)は、波数1630〜1680cm−1の赤外線を吸収する結合基(x)と波数1680〜1725cm−1の赤外線を吸収する結合基(y)及び波数1730〜1755cm−1の赤外線を吸収する結合基(z)を少なくとも表面に有し、かつ、結合基(x)の濃度Cxの結合基(x)、(y)、(z)の合計の濃度Cx+Cy+Czに対する比Cx/(Cx+Cy+Cz)が、0.50以上0.75未満であることが好ましい。
ここで、赤外線吸収は、赤外分光光度計を用いて測定することができるが、特に、フーリエ変換式赤外分光光度計を用いて測定することが好ましい。
結合基(x)としては、好ましくはウレア結合基である。結合基(y)としては、好ましくはビュレット基である。結合基(z)としては、好ましくはウレタン結合基である。
結合基(x)の濃度Cxの結合基(x)、(y)、(z)の合計の濃度Cx+Cy+Czに対する濃度比Cx/(Cx+Cy+Cz)が0.50未満であると、耐溶剤性に劣る傾向にあり、濃度比Cx/(Cx+Cy+Cz)が0.75以上であると、マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(C)の粒子同士が融着・凝集しやすくなり、マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤(C)又はマスターバッチ型硬化剤を安定した品質で管理するのが困難になる。
また、本実施形態におけるシェル(S)は、ウレア基、ビュレット基及びウレタン基を有し、且つ、エステル基を有さないことが好ましい。シェル(S)がエステル結合を有すると、湿度が高い状態においてエステル結合が加水分解反応を起こしてシェル(S)を損傷し、マイクロカプセル型潜在性硬化剤又はマスターバッチ型硬化剤の貯蔵安定性や耐湿性、及びこれらを含むエポキシ樹脂組成物の硬化物の物性を低下させるおそれがある。
また、本実施形態におけるシェル(S)は、イソシアネート化合物と活性水素化合物との反応生成物、及び/又は、エポキシ樹脂用硬化剤(h2)とエポキシ樹脂(e2)との反応生成物を含むことが好ましい。
イソシアネート化合物としては、前述のコア(K)に含まれるアミンアダクトの原料の例として挙げたイソシアネート化合物と同じものを用いることができる。
また、活性水素化合物としては、水や、少なくとも1個の一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を有する化合物、少なくとも1個の水酸基を有する化合物等であり、且つ、その構造にエステル基を含有しないものが好適に用いられる。これらの化合物は併用することもできる。
少なくとも1個の一級アミノ基及び/又は二級アミノ基を有する化合物としては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン等が挙げられる。
脂肪族アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアルキルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン;ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリオキシアルキレンポリアミン類等が挙げられる。
脂環式アミンとしては、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、トルイジン、べンジルアミン、ナフチルアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
少なくとも1個の水酸基を有する化合物としては、アルコール化合物、フェノール化合物等が挙げられる。
アルコール化合物としては、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドテシルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、べンジルアルコール、シンナミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル等のモノアルコール類;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、水添ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類が挙げられる。また、少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物と、少なくとも1個の水酸基、カルボキシル基、一級又は二級アミノ基、メルカプト基を有する化合物との反応により得られる二級水酸基を1分子中に2個以上有する化合物も多価アルコール類として挙げられる。これらのアルコール化合物においては、第一、第二、又は第三アルコールのいずれでもよい。
フェノール化合物としては、例えば、石炭酸、クレゾール、キシレノール、カルバクロール、モチール、ナフトール等のモノフェノール類;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ピロガロール、フロログルシン等の多価フェノール類が挙げられる。
少なくとも1個の水酸基を有する化合物としては、多価アルコール類や多価フェノール類等が好ましく、多価アルコール類がより好ましい。
イソシアネート化合物と活性水素化合物の反応は、通常、−10℃〜150℃の温度範囲で、10分〜12時間の反応時間で行われる。また、必要に応じて分散媒中で行なうことができる。分散媒としては、溶媒、可塑剤、樹脂類等が挙げられる。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエチルエーテルアセテート等のエステル類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類;水等が挙げられる。可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシシル)等のフタル酸ジエステル系;アジピン酸ジ(2−エチルヘキシシル)等の脂肪族二塩基酸エステル系;リン酸トリクレジル等のリン酸トリエステル系;ポリエチレングリコールエステル等のグリコールエステル系等が挙げられる。樹脂類としては、シリコーン樹脂類、エポキシ樹脂類、フェノール樹脂類等が挙げられる。
イソシアネート化合物と活性水素化合物との反応生成物は、ウレア結合を有し、且つ、エステル結合を有さないことが好ましく、さらに、ビュレット結合とウレタン結合を有することが好ましい。
次に、エポキシ樹脂用硬化剤(h2)としては、前述のコア(K)を形成するための出発材料となる粒子に含まれるアミン系硬化剤や、これと併用可能なエポキシ樹脂用硬化剤(h1)の例として挙げたものが使用できるが、強固なシェルが形成される傾向にあるため、エポキシ樹脂用硬化剤(h2)は、コア(K)に含まれるアミン系硬化剤と同一であることが好ましい。
また、エポキシ樹脂(e2)としては、モノエポキシ化合物、多価エポキシ化合物又はそれらの混合物等が挙げられる。モノエポキシ化合物、多価エポキシ化合物としては、エポキシ樹脂(B)に用いられる化合物として列挙したものを用いることができる。
また、エポキシ樹脂(e2)は、前述のコア(K)に含まれるエポキシ樹脂(e1)、後述するマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物に含まれるエポキシ樹脂(e3)と同一であっても、異なっていてもよい。
エポキシ樹脂は、通常、分子内に塩素が結合した不純末端を有するが、このような不純末端は硬化物の電気特性に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、エポキシ樹脂(e2)の全塩素量は、2500ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1500ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。
エポキシ樹脂(e2)とエポキシ樹脂硬化剤(h2)との反応は、通常−10℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃の温度範囲で、1〜168時間、好ましくは2時間〜72時間の反応時間で行われ、分散媒中で行なうこともできる。分散媒としては、溶媒、可塑剤等が挙げられる。溶媒、可塑剤としては、前述のイソシアネート化合物と活性水素化合物の反応で使用できる溶媒、可塑剤の例として挙げたものを用いることができる。
コア(K)を被覆するようにシェル(S)を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、コア(K)を形成するための出発材料となる粒子を分散媒に分散させ、この分散媒にシェルを形成する材料を添加して出発材料粒子上に析出させる方法や、分散媒にシェルを形成する材料の原料を添加し、出発材料粒子の表面を反応の場として、そこでシェル形成材料を生成する方法等が挙げられる。後者の方法は、反応と被覆を同時に行うことができるので好ましい。分散媒としては、溶媒、可塑剤、樹脂等が挙げられる。溶媒、可塑剤、樹脂としては、前述のイソシアネート化合物と活性水素化合物の反応で使用できる溶媒、可塑剤、樹脂の例として挙げたものを用いることができる。ここで、分散媒としてエポキシ樹脂を用いると、シェル形成と同時に、マスターバッチ型エポキシ樹脂硬化剤組成物を得ることができる。
シェルの形成反応は、通常、−10℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃の温度範囲で、10分〜24時間、好ましくは2時間〜10時間の反応時間で行われる。
接着シート用エポキシ樹脂組成物中のマイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)の配合量は、特に制限されないが、エポキシ樹脂(B)100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは10〜50質量部である。マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)の配合量が100質量部以上であると、硬化物の機械的強度が低下する傾向にあり、1質量部以下であると、硬化反応が遅くなる傾向にある。
[マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物]
マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)は、エポキシ樹脂(e3)と混合されたマスターバッチの形態、即ち、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物として配合することもできる。
エポキシ樹脂(e3)としては、モノエポキシ化合物、多価エポキシ化合物又はそれらの混合物等が挙げられる。モノエポキシ化合物、多価エポキシ化合物としては、エポキシ樹脂(B)に用いられる化合物として列挙したものを用いることができる。
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を製造する方法としては、マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を、例えば、三本ロール等を用いてエポキシ樹脂(e3)中に分散させる方法や、エポキシ樹脂(e3)を分散媒としてコア(K)の被覆反応を行い、マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)を得ると同時に、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を得る方法等が挙げられる。
[シート化剤(D)]
本実施の形態の接着シート用エポキシ樹脂組成物は、シート化剤(D)を含む。シート化剤(D)の具体例としては、フェノキシ樹脂、固形エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリルゴム、ポリメチルメタクリレートパウダー、コアとして架橋ポリブチルアクリレートあるいは架橋ポリスチレンを有し、ポリメチルメタクリレートをシェルとするコアシェル型パウダー等のポリメチルメタクリレート系パウダー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のパウダー等が挙げられ、中でも、接着性と機械強度に優れた接着シート硬化物が得られる傾向にあるため、フェノキシ樹脂、アクリルゴムが好ましい。これらの樹脂類は単独又は必要に応じて2種以上を併用することもできる。
フェノキシ樹脂の具体例としては、ユニオンカーバイド社製「PKHC」、「PKHH」、東都化成株式会社製「YP−50」等が挙げられるがこれに限定されない。
アクリルゴムとしては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はアクリルニトリルのうち、少なくとも一つをモノマー成分とした重合体又は共重合体が挙げられ、中でも、グリシジルエーテル基を有するグリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを含む共重合体系アクリルゴムが好適に用いられる。これらアクリルゴムの分子量は、接着剤の凝集力を高める点から20万以上であることが好ましい。
接着シート用エポキシ樹脂組成物中のシート化剤(D)の配合量は、特に制限されないが、エポキシ樹脂(B)100質量部に対して、好ましくは1〜1000質量部、より好ましくは10〜500質量部である。シート化剤(D)の配合量が1000質量部以上であると、硬化時の粘度が高く成形性が低くなる傾向にあり、1質量部以下であると、シート状になりにくくなる傾向にある。
[その他成分]
本実施形態の接着シート用エポキシ樹脂組成物には、必要に応じてマイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)以外の硬化剤を配合することができる。そのような硬化剤としては、前述のコア(K)を形成するための出発材料となる粒子に含まれるアミン系硬化剤やその他のエポキシ樹脂用硬化剤(h1)の例として挙げたものの他、一般にエポキシ樹脂用硬化剤として使用されるあらゆるものが挙げられる。特に、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、及びグアニジン系硬化剤よりなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤が好ましい。
酸無水物系硬化剤としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水−3−クロロフタル酸、無水−4−クロロフタル酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水ジメチルコハク酸、無水ジクロールコハク酸、メチルナジック酸、ドテシルコハク酸、無水クロレンデックク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック等が挙げられる。
ヒドラジド系硬化剤としては、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドテレフタル酸ジヒドラジド、p−オキシ安息香酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、フェニルアミノプロピオン酸ヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
グアニジン系硬化剤としては、ジシアンジアミド、メチルグアニジン、エチルグアニジン、プロピルグアニジン、ブチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トルイルグアニジン等が挙げられる。
また、本実施形態の接着シート用エポキシ樹脂組成物には、高熱伝導性絶縁フィラー(A)、エポキシ樹脂(B)、マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)、シート化剤(D)に加えて有機溶剤(E)を含むことが好ましい。有機溶剤(E)を含むことにより、表面平滑性が高い接着シートが得られる傾向があり、また、高熱伝導性絶縁フィラーの充填率を高めることができるため、熱伝導率や電磁波シールド性の高いフィルムが得られる傾向がある。
有機溶剤(E)としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエチルエーテルアセテート等のエステル類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類;水等が挙げられる。
また、接着シート用エポキシ樹脂組成物に可塑剤を配合すると、柔軟性と可撓性の高い接着シートが得られる傾向にある。可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシシル)等のフタル酸ジエステル系;アジピン酸ジ(2−エチルヘキシシル)等の脂肪族二塩基酸エステル系;リン酸トリクレジル等のリン酸トリエステル系;ポリエチレングリコールエステル等のグリコールエステル系等が挙げられる。樹脂類としては、シリコーン樹脂類、フェノール樹脂類等が挙げられる。
本実施形態の接着シート用エポキシ樹脂組成物を混合する方法としては、特に制限されないが、ノンバブリングニーダーで混合することが、マイクロカプセル型潜在性硬化剤や表面被覆した高熱伝導性絶縁フィラーの表面の損傷を防ぐ観点から好ましい。
本実施形態の接着シート用エポキシ樹脂組成物には、熱伝導性、電磁波シールド性、接着性等のその機能を低下させない範囲で、増量剤、補強材、高熱伝導性絶縁フィラー以外の充填材、顔料、有機溶剤等、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤の含有量は、接着シート用エポキシ樹脂組成物全量のうちの30質量%未満であることが好ましい。
[接着シート]
本実施形態の接着シート用エポキシ樹脂組成物から、既存の方法により、接着シートを作製することができる。例えば、高熱伝導性絶縁フィラー(A)、エポキシ樹脂(B)、マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)、シート化剤(D)、及び有機溶剤(E)をノンバブリングニーダーで混合して得られたワニスを、例えば、厚さ50μmの剥離用ポリエチレンテレフタレート基材に溶剤が乾燥後に厚さ30μmとなるように塗布する。次いで、溶剤を乾燥させることにより、常温では不活性であり、加熱することにより潜在性硬化剤の作用により接着性を発揮する接着シートを得ることができる。
本実施形態の接着シートの硬化方法は、特に制限されないが、通常、40℃以上300℃以下の温度で3秒以上1週間以内、加圧下又は不加圧下で硬化させることができる。
硬化温度としては、特に制限されないが、低い温度で硬化させるほど被着体への熱による損傷をさけることができる。また高温で反応させるほど、硬化時間を短縮することができる。このような観点から、好ましい硬化温度は50℃〜200℃、より好ましくは60℃〜180℃、さらに好ましくは70℃〜150℃、特に好ましくは80℃〜120℃である。
また、本実施の形態の接着シートと金属片から放熱部材を得ることができる。放熱部材の製造方法としては、接着シートを、例えば硬化反応が開始する温度以下の温度で金属片に熱圧着して添付することにより得ることができる。金属片としては、銅、アルミニウム等が挙げられる。
本実施の形態をさらに詳細に説明するために、以下に、実施例及び比較例を示すが、これらの実施例は本実施の形態の説明及びそれによって得られる効果等を具体的に示すものであって、本実施の形態を何ら制限するものではない。なお、以下の実施例及び比較例における諸特性は、下記の方法に従って測定した。
(1)エポキシ当量
1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量(g)であり、JIS K−7236に従って求めた。
(2)エポキシ樹脂の全塩素量
試料1gを25mLのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mLを加えて20分間煮沸したのち、硝酸銀水溶液で滴定した。
(3)マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の全塩素量
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を、キシレンを用いて、エポキシ樹脂が無くなるまで洗浄と濾過を繰り返した。次に、濾液を100℃以下で減圧留去し、エポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂試料1〜10gを滴定量が3〜7mLになるよう精秤し、25mLのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mLを加えて20分間煮沸したのち、硝酸銀水溶液で滴定した。
(4)エポキシ樹脂のジオール末端不純成分量
エポキシ樹脂のジオール末端不純成分を、以下の方法により分析して定量した。東ソー製高速液体クロマトグラフィ(AS−8021、検出器UV−8020、以下HPLC)及び、カラムとしてミリポア社製のノバパックC−18を使用した。移動相は水/アセトニトリル=70/30〜0/100にグラジェントをかけた。なお、検出波長は254nmとした。HPLC分析を行い両方の末端構造の違いによる分離条件を選定して、分離液について切り替え弁を使用して分取した。分取した分離液をフラクションごとに減圧、留去し、残渣をMSで分析した。MSスペクトルにより、基準ピークの質量数に18の差があるもの同士について、18小さいものを基本構造成分、18大きいものをジオール末端不純成分とした。HPLC分析チャート上のジオール末端不純成分ピークの強度を示す面積と、基本構造成分を示すピーク強度の面積比でエポキシ樹脂中の基本構造成分に対するジオール末端不純成分の含有量を求めた。
(5)平均粒径
粒子粉末として4mgを0.1質量%界面活性剤(三井サイテック(株)製、「エアロゾルOT−75」)のシクロヘキサン溶液32gに入れ、超音波洗浄器(本田電子(株) 「MODEL W−211」)で5分超音波照射して分散した。このときの超音波洗浄器内の水温は19±2℃に調整しておいた。得られた分散液を一部取り、粒度分布計(堀場製作所(株)製 「HORIBA LA−920」)にて粒度分布測定を行い、これに基づくメジアン径により平均粒径を求めた。
(6)シェル(S)の表面の赤外線吸収特性
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を、キシレンを用いて、エポキシ樹脂が無くなるまで洗浄と濾過を繰り返した後、キシレンが無くなるまでシクロヘキサンで洗浄と濾過を繰り返した。その後、シクロヘキサンを濾別し、50℃以下の温度でシクロヘキサンを完全に除去乾燥して、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物からマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤を分離した。
このようにして得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤の表面の吸光度を、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)社製「FT/IR−410」)を用いて測定した。
(7)結合基(x)、(y)、(z)の濃度比測定
予め、以下の手順で検量線を作成した。
波数1630〜1680cm−1の赤外線を吸収する結合基(x)を有するモデル化合物(1)、波数1680〜1725cm−1の赤外線を吸収する結合基(y)を有するモデル化合物(2)、及び波数1730〜1755cm−1の赤外線を吸収する結合基(z)を有するモデル化合物(3)として以下のものを用いた。
標準物質としてテトラメチルこはく酸ニトリルを用いて、これとモデル化合物(1)、(2)、(3)それぞれとの混合物である検量サンプルを作成した。日本分光(株)社製FT/IR−410を使用して、検量サンプルと標準物質の吸光度を測定し、それぞれの実測値より、赤外線吸収帯の面積比と含有物の質量比の関係を直線回帰することにより検量線を作成した。
なお、モデル化合物(1)、(2)、(3)及び標準物質であるテトラメチルこはく酸ニトリルは、いずれも東京化成の試薬グレードを用いた。
次に、(6)と同様にしてマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物から分離したマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を40℃で真空乾燥してその質量を求めた。
そして、真空乾燥したマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を、メタノールを用いて、エポキシ樹脂硬化剤がなくなるまで洗浄と、ろ過を繰り返し、50℃以下の温度でメタノールを完全に除去乾燥して、シェルだけを分離した。このシェルを40℃で真空乾燥して、質量を測定し、結合基の濃度比測定用サンプルを得た。
該濃度比測定用サンプル3gに、標準物質であるテトラメチルこはく酸ニトリルを10mg加えて、メノウ乳鉢で粉砕混合後、その混合物を2mgとKBr粉末50mgとともに粉砕して錠剤成型機を用いてFT/IR測定用錠剤を作成した。本錠剤を用いて、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)社製「FT/IR−410」)により赤外線スペクトルを得た。
得られたスペクトルチャートの面積と予め作成した検量線より、結合基(x)、(y)、(z)のサンプル中の濃度を求めて、マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤1kg当たりの結合基量とその濃度比を求めた。
(8)シェル中のエステル結合の有無の判定
(7)と同様にして分離したシェルに対して、Bruker社製DSX400(磁場:400MHz)を使用し、観測測定核種13C、パルスプログラムCPSELTICS、パルス条件(繰り返し時間5秒、プロトンの90度パルス5.2マイクロ秒、コンタクト時間1ミリ秒)、マジックアングルスピニング5000Hzの条件で測定した。メタクリル酸メチルポリマーのC13核磁気共鳴スペクトルをモデル合成物として、165から175ppmに現れるエステル基のカルボニル炭素によるピーク高さと、28から38ppmに現れるメチレン鎖のピーク高さの比が、モデル化合物と比較して10分の1以下であ
る場合、エステル基のカルボニル炭素がないと判定し、これに基づいてエステル結合の有無を判定した。
(9)マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の貯蔵安定性
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を40℃で1週間保存した前後の粘度を測定し、粘度上昇倍率で評価した。保存後の粘度上昇率が10倍以上又はゲル化した場合を×、5倍以上10倍未満を△、2倍以上5倍未満を○、2倍未満を◎とした。なお、粘度は、25℃でBM型粘度計(TOKIMEC社製「VISCOMETER」)を使用して測定した。
(10)マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の耐溶剤性
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物80部をトルエン15部、メチルイソブチルケトン5部と混合したサンプルを調製し、40℃で6時間加温し、加温後のサンプルの粘度を測定した。粘度が200mPa・s以下のものを◎、200〜1000mPa・sのものを○、1000〜20000mPa・sのものを△、20000〜2000000mPa・sのものを×、2000000mPa・s以上のものを××とした。
(11)マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の耐湿性
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を30℃湿度85%の恒温恒湿状態で6時間保持した後、40℃で1週間保存した前後の粘度を測定し、粘度上昇倍率で評価した。保存後の粘度上昇率が10倍以上又はゲル化した場合を×、5倍以上10倍未満を△、2倍以上5倍未満を○、2倍未満を◎とした。なお、粘度は、25℃でBM型粘度計を使用して測定した。
(12)ワニス保存安定性
接着シート用エポキシ樹脂組成物の溶液(ワニス)を40℃で6時間加温し、加温後のサンプルの粘度が加温前の5倍未満の場合を○、5倍以上10倍未満の場合を△、5倍以上の場合を×とした。
(13)接着シート保存安定性
接着シートを40℃で1週間保存した前後の単位質量当たりの発熱量を示差走査熱量測定装置(SII社製、「DSC220」)で測定し、保存前の発熱量に対して保存後の発熱量の割合が70%以上の場合を○、50%以上70%未満の場合を△、50%未満の場合を×とした。
(14)接着シート硬化物の熱伝導性
接着シート硬化物の熱伝導性を室温にてレーザフラッシュ法により(アルバック理工社製、「TC−7000」)測定した。すなわち、測定した熱拡散率α、比熱Cp、密度σから、以下の式、K=α×Cp×σより熱伝導率を求めた。
(15)接着シート硬化物の電気絶縁性
JISK69llに従って接着シート硬化物の体積抵抗率を測定した。
体積抵抗率が1x1010Ω・cm以上の場合を○、1x1010Ω・cm未満の場合を×とした。
(16)接着シート硬化物の表面平滑性
接着シート硬化物の表面を目視で観察し、光沢のある場合を○、光沢がない場合を×、光沢はあるが凝集物が見られるものを△とした。
(17)接着シート硬化物の接着性
未硬化の接着シートを2枚の試験片(25mmx100mmx1.6mm)に接着面積が25mmx10mmとなる様に挟み、油圧成型機(東邦マシナリー社製、「TM−10」)を用いて1kg/cmの圧力で加圧しながら加熱硬化してせん断接着試験片を得た。得られた試験片を用いてJIS−K6850に従って測定した。5N/mm以上の場合を○、0.5N/mm以上5N/mm未満の場合を△、0.5N/mm未満の場合を×とした。
(18)接着シート硬化物の引っ張り強度
幅10mm、厚さ50ミクロンのフィルムを引っ張り試験機(島津製作所社製「AGS−H」)にて2mm/分の速度で測定し、強度が200gf/cm以上の時を○、50gf/cm以上200gf/cm未満の場合を△、50gf/cm未満の場合を×とした。
[有機樹脂で被覆した金属粉末の調製]
1000mLの三つ口フラスコに、アルミニウムペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製M601、金属分65.2%、平均粒径11μm)及びミネラルスピリット400gを加え、窒素ガスを導入しながら攪拌し、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、アクリル酸0.375gを添加し80℃で30分攪拌を続けた。次いでトリメチロールプロパントリメタクリレート7.5gとアゾビスイソブチロニトリル0.75gを添加し、80℃で5時間重合した。重合終了後、常温まで放冷し、このスラリーをろ過し、有機樹脂被覆アルミニウムを含むペースト(AL1)を得た。ペースト(AL1)の不揮発分(JIS−K−5910に準拠)は51.0質量%であった。アルミニウム金属分100質量部に対する被覆樹脂量は11.4質量部であった。アルミニウム金属量と被覆樹脂量の結果より、アクリル酸、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アゾビスイソブチロニトリルの99%以上がアルミニウム金属表面に付着したものと推定される。
[製造例1−1](アミン系硬化剤1の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185g/当量、全塩素量1400ppm、以下「エポキシ樹脂(e1)−1」という。)1.5当量と、2−エチル−4−メチルイミダゾール1当量(活性水素換算)を、n−ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)で、80℃で反応させた。その後、減圧下で2−エチル−4−メチルイミダゾールを、その含有量が10ppm未満になるまで溶媒と共に留去し、25℃で固体のアミンアダクトを得た。
上記方法により得られたアミンアダクト99.1質量部を溶融し、これに0.9質量部の2−エチル−4−メチルイミダゾールを均一に混合し、アミン系硬化剤1を得た。
[製造例1−2](アミン系硬化剤2の製造)
エポキシ樹脂(e1)−1 1当量、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量470g/当量、全塩素量1300ppm、以下「エポキシ樹脂(e1)−2」という。)1当量と、トリエチレンテトラミン2当量を、2−プロパノールとトルエンの1/2混合溶媒中(樹脂分50%)で、80℃で反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去した。
上記方法により得られたアミン系硬化剤2は、25℃で固体で、アミンアダクトを主成分とし、トリエチレンテトラミンを0.3質量%含有していた。
[製造例1−3](アミン系硬化剤3の製造)
エポキシ樹脂(e1)−2 0.5当量、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215g/当量、全塩素量1500ppm)1当量と、N―メチルピペラジン1.8当量を、2−プロパノール/トルエン/プロピレングリコールモノメチルエーテルを1/1/1混合溶媒中(樹脂分50%)で、80℃で反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去した。
上記方法により得られたアミン系硬化剤3は、25℃で固体で、アミンアダクトを主成分とし、N―メチルピペラジンを0.8質量%含有していた。
[製造例1−4](アミン系硬化剤4の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(e1)−1 1.5当量と、2−メチルイミダゾール1.2当量を、n−ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)で、80℃で反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去した。
上記方法により得られたアミン系硬化剤4は、25℃で固体で、アミンアダクトを主成分とし、2―メチルイミダゾールを0.4質量%含有していた。
[製造例1−5](アミン系硬化剤5の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(e1)−1 1当量と、2−メチルイミダゾール0.7当量を、n−ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)で、80℃で反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去した。
上記方法により得られたアミン系硬化剤5は、25℃で固体で、アミンアダクトを主成分とし、2―メチルイミダゾールを0.5質量%含有していた。
[製造例2−1][マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の調製1]
アミン系硬化剤1を旋回式粉砕機を用いて粉砕して、25℃で固体の平均粒径2.5μmの粒子c−1(コア)を得た。粒子c−1中の含有水分量は、粒子c−1 100質量部に対して、0.6質量部であった。
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量175g/当量、ジオール末端不純成分/基本構造成分=0.08)、全塩素量1400ppm、以下「エポキシ樹脂(e3)−1」という。)200質量部に、前記粒子c−1 100質量部、水1.5質量部、トリレンジイソシアネート(TDI)7質量部を加え、40℃で攪拌しながら3時間反応を続けた。その後、50℃で8時間反応させ、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物1を得た。
上記方法により得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物1を、キシレンを用いてマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤を分離し、FT−IR測定によりその表面を分析したところ、1630〜1680cm−1と波数1680〜1725cm−1、1730〜1755cm−1に吸収を有することが確認された。
また、モデル化合物(1)、(2)、(3)の分析チャート、及び標準物質とモデル化合物より作成した検量線を用いて、シェル中の結合基(x)、(y)、(z)の含有量及び濃度比を測定し、結果を表−1に示した。
また、分離したシェルのC13核磁気共鳴スペクトル測定を行い、シェルに含まれる樹脂がエステル結合を有しないことを確認した。
[製造例2−2][マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の調製2]
アミン系硬化剤2を(旋回式粉砕機)を用いて粉砕して、平均粒径2.0μmの粒子c−2を得た。粒子c−2中の含有水分量は粒子c−2 100質量部に対して、1.2質量部であった。
製造例2−1で用いたのと同じエポキシ樹脂(e3)−1 200質量部に、前記粒子c−2 100質量部、水1.5質量部、ポリメチレンフェニレンポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製MR−200)5質量部を加え、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の調製1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物2を得た。
上記方法により得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤2は、その表面が波数1630〜1680cm−1と波数1680〜1725cm−1、1730〜1755cm−1に吸収を有し、シェルにエステル結合を有しないことが確認された。また、シェルの結合基(x)、(y)、(z)の含有量と、その濃度比は表−1に示すとおりであった。
[製造例2−3][マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の調製3]
アミン系硬化剤3を(旋回式粉砕機)を用いて粉砕して、平均粒径1.9μmの粒子c−3を得た。この粒子c−3中の含有水分量は粒子c−3 100質量部に対して、0.7質量部であった。
製造例2−1で用いたのと同じエポキシ樹脂(e3)−1 200質量部に、粒子c−3 100質量部、水1.0質量部、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)5質量部加え、40℃で攪拌しながら3時間反応を続けた。その後、環状ホウ酸エステル化合物(L)を0.5質量部加え、さらに50℃で8時間反応させ、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤3を得た。
上記方法により得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤3は、その表面が波数1630〜1680cm−1と波数1680〜1725cm−1、1730〜1755cm−1に吸収を有し、シェルにエステル結合を有しないことが確認された。また、シェルの結合基(x)、(y)、(z)の含有量と、その濃度比は表−1に示すとおりであった。
[製造例2−4][マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の調製4]
アミン系硬化剤4を旋回式粉砕機を用いて粉砕して、平均粒径3.5μmの粒子c−4を得た。このc−4中の含有水分量は粒子c−4 100質量部に対して、1.0質量部であった。
製造例2−1で用いたのと同じエポキシ樹脂(e3)−1 200質量部に、粒子c−4 100質量部、水0.5質量部、ポリメチレンフェニレンポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製MR−200)7質量部加え、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の調製1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物4を得た。
上記方法により得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤4は、その表面が波数1630〜1680cm−1と波数1680〜1725cm−1、1730〜1755cm−1に吸収を有し、シェルにエステル結合を有しないことが確認された。また、シェルの結合基(x)、(y)、(z)の含有量と、その濃度比は表−1に示すとおりであった。
[製造例2−5][マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の調製5]
アミン系硬化剤5を旋回式粉砕機を用いて粉砕して、平均粒径15.5μmの粒子c−5を得た。この粒子c−5中の含有水分量はc−5 100質量部に対して、4.1質量部であった。
製造例2−1で用いたのと同じエポキシ樹脂(e3)−1 200質量部に、粒子c−5 100質量部、水0.5質量部、トリレンジイソシアネート(TDI)3質量部を加え、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の調製1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物5を得た。
上記方法により得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤5は、その表面が波数1630〜1680cm−1と波数1680〜1725cm−1、1730〜1755cm−1に吸収を有し、シェルにエステル結合を有しないことが確認された。また、シェルの結合基(x)、(y)、(z)の含有量と、その濃度比は表−1に示すとおりであった。
[製造例2−6][マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の調製6]
アミン系硬化剤5を旋回式粉砕機を用いて粉砕して、平均粒径3.1μmの粒子を得た。この粒子c−6を乾燥させ、含有水分量をc−6 100質量部に対して、2.5質量部に調整したものをc−7とした。
製造例2−1で用いたのと同じエポキシ樹脂(e3)−1 200質量部に、エポキシ樹脂用硬化剤粒子c−7 100質量部、活性水素化合物としてポリエステル型ポリオールである三井武田ケミカル製のDiol−400を1.0質量部、4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)7質量部を加え、40℃で攪拌しながら3時間反応を続けた。その後、環状ホウ酸エステル化合物(L)を0.2質量部加え、さらに50℃で8時間反応させ、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤6を得た。
上記方法により得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤6は、その表面が波数1630〜1680cm−1と波数1680〜1725cm−1、1730〜1755cm−1に吸収を有し、シェルにエステル結合を有することが確認された。また、シェルの結合基(x)、(y)、(z)の含有量と、その濃度比は表−1に示すとおりであった。
[製造例2−7][マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の調製7]
アミン系硬化剤5を旋回式粉砕機を用いて粉砕して、平均粒径15.5μmの粒子c−8を得た。この粒子c−8中の含有水分量はc−8 100質量部に対して、3.2質量部であった。
製造例2−1で用いたのと同じエポキシ樹脂(e3)−1 200質量部に、粒子c−8 100質量部、水8質量部、トリレンジイソシアネート(TDI)20質量部を加え、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の調製1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物7を得た。
上記方法により得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤7は、その表面が波数1630〜1680cm−1と波数1680〜1725cm−1、1730〜1755cm−1に吸収を有し、シェルにエステル結合を有しないことが確認された。また、シェルの結合基(x)、(y)、(z)の含有量と、その濃度比は表−1に示すとおりであった。
[実施例1〜7]
有機樹脂被覆アルミニウムを含むペースト(AL1)、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製「PKHH」)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製AER250)、酢酸エチル、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を表−2に示す割合で配合して得られた一液性エポキシ樹脂組成物をポリエステルフィルム上に塗布し、70℃で酢酸エチルを乾燥除去し、未硬化の接着シートを得た。得られた未硬化の接着シートの特性を表−2に示した。
また、得られた未硬化の接着シートを180℃1時間加熱硬化して接着シート硬化物を得た。得られた接着シート硬化物の特性を表−2に示した。
[実施例8]
樹脂被覆アルミニウムを含むペースト(AL1)、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製「PKHH」)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製AER250)、酢酸エチルを表−2に示す割合で混合後、酢酸エチルを留去して得られた樹脂組成物にマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を配合して得られた一液性エポキシ樹脂組成物をアプリケーターでポリエステルフィルム上に塗布して未硬化の接着シートを得た。得られた未硬化の接着シートの特性を表−2に示した。
また、得られた未硬化の接着シートを180℃1時間加熱硬化して接着シート硬化物を得た。得られた接着シート硬化物の特性を表−2に示した。
[実施例9及び10]
接着シートの硬化条件を120℃で1時間とした以外は、それぞれ実施例5及び実施例7と同様にして接着シート硬化物を得た。得られた接着シート硬化物の特性を表−3に示した。
[比較例1〜4]
表−2に示す割合で実施例1−8と同様にして一液性エポキシ樹脂組成物を得た。次に実施例1−8と同様にして乾燥除去し未硬化の接着シートを得、実施例と同様にして接着シート硬化物を得た。それらの特性を表−2に示した。
[比較例5]
非マイクロカプセル型潜在性硬化剤としてAITI(2,4−ジアミノ―6―(2−メチル―1―イミダゾリルエチル)−1、3、5−トリアジン・イソシアヌル酸付加物)を使用した以外は実施例9及び10と同様にして一液性エポキシ樹脂組成物を得た。更に実施例9及び10と同様にして接着シート硬化物を得た。得られた接着シート硬化物の特性を表−3に示した。
[応用実施例1、応用比較例]
LEDを搭載した片面プリント配線板の裏面に、実施例1と比較例4で作製した未硬化の接着シートを用いて放熱アルミフィンを接着しLEDを点灯させた。30分後のLED周囲のプリント配線板の表面温度を測定したところ、実施例1のシートを使用したものは比較例4のシートを使用したものと比較して20℃低温であった。
[応用実施例2]
実施例1で作製した接着シート硬化物をアドバンテスト社製TR4131電磁遮蔽試験装置を用いてアースをとりながら100MHzで電磁波のシールド性のテストをしたところ、30dBの減衰率を示し、電磁波シールド性を確認した。
表2及び3の結果から明らかなように、本実施の形態の接着シート用エポキシ樹脂組成物を用いて形成された接着シートは保存安定性に優れており、また、これを加熱硬化させた接着シート硬化物は、熱伝導率と電気絶縁性が高く、接着性にも優れていた。
本発明によれば、保存安定性に優れた接着シート、熱伝導率と電気絶縁性が高く、接着性にも優れた接着シート硬化物、及びこれらの製造に好適な接着シート用エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
本発明の接着シートを用いることにより、放熱性に優れた放熱部材及び電磁波シールド材を提供することができる。

Claims (8)

  1. 高熱伝導性絶縁フィラー(A)と、
    エポキシ樹脂(B)と、
    マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)と、
    シート化剤(D)と、
    を含有する接着シート用エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記高熱伝導性絶縁フィラー(A)は有機樹脂で被覆した金属粉末である、請求項1記載の接着シート用エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記金属粉末の金属種がアルミニウムである、請求項2記載の接着シート用エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記マイクロカプセル型潜在性硬化剤(C)は、コア(K)と、前記コア(K)を被覆するシェル(S)とを少なくとも有するマイクロカプセル型潜在性硬化剤であり、
    前記シェル(S)は、少なくともその表面に波数1630〜1680cm−1の赤外線を吸収する結合基(x)、波数1680〜1725cm−1の赤外線を吸収する結合基(y)、及び波数1730〜1755cm−1の赤外線を吸収する結合基(z)を有し、
    前記シェル(S)中の前記結合基(x)の濃度(Cx)の前記結合基(x)、(y)及び(z)の合計の濃度(Cx+Cy+Cz)に対する比(Cx/(Cx+Cy+Cz))が0.50以上0.75未満である、請求項1〜3のいずれか1項記載の接着シート用エポキシ樹脂組成物。
  5. 有機溶剤(E)をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の接着シート用エポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の接着シート用エポキシ樹脂組成物から形成された接着シート。
  7. 請求項6記載の接着シートを加熱硬化させて得られる接着シート硬化物。
  8. 請求項6記載の接着シートと金属片とからなる放熱部材。
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