JP4792881B2 - 重合性ジベンゾフラン誘導体およびそれを含む重合性液晶組成物 - Google Patents
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Description
位相差板などの光学異方性を有する成形体に、このような重合性の液晶性化合物が利用されている。
る(特許文献2参照)。また、紫外線の照射によって室温で重合する液晶化合物として、骨格構造にフルオレン環を有する液晶性化合物が知られている(特許文献3参照)。
整数であり;xは0、1または2である。
2)2COO−、−OCO(CH2)2−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;Pが、独立して上記式(P1)、(P5)、(P6)または(P7)で示される重合性の基であり;Qが、独立して−O−、−O−(CH2)r−、−(CH2)r−O−、−(CH2)r−または−O−(CH2)r−O−であり、rが1〜15の整数であり;xが1であることを特徴とする前記[1]に記載の化合物。
[6] 前記[5]に記載の式(1−1−1)で表され、該式中、R1、R2、R3およ
びR4が水素であり、rが2〜10の整数であることを特徴とする化合物。
[8] 前記[5]に記載の式(1−6−1)で表され、該式中、R1、R2、R3およ
びR4が水素であり、rが2〜10の整数であることを特徴とする化合物。
[9] 前記[1]〜[8]のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
ルまたはメチルであり;R7は、シアノ、トリフルオロメトキシ、炭素数1〜15のアル
キルまたは炭素数1〜15のアルコキシであり;W1およびW2は、独立して水素、塩素またはフッ素であり、W3は水素またはフッ素であり;Z2は、単結合、−COO−、−CH=CH−COO−または−CH2CH2−COO−であり;A2は、下記式(A−1)〜(
A−7)のいずれかで表される基であり;mは2〜8の整数である。
チルであり;W1およびW2は、独立して水素、塩素またはフッ素であり、W3は水素また
はフッ素であり;Z2は、単結合、−COO−、−CH=CH−COO−または−CH2CH2−COO−であり;Z3は、独立して単結合または−O−であり;A2は、前記[10
]に記載の式(A−1)〜(A−7)のいずれかで表される基であり;mは2〜8の整数である。
はメチルであり;R9はメチルまたはエチルであり;W1およびW2は、独立して水素、塩
素またはフッ素であり、W3は水素またはフッ素であり;Z2は、単結合、−COO−、−CH=CH−COO−または−CH2CH2−COO−であり;A2は、前記[10]に記
載の式(A−1)〜(A−7)のいずれかで表される基であり;mは2〜8の整数である。
[17] さらに溶媒を含有することを特徴とする前記[9]〜[16]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[18] 前記[9]〜[17]のいずれかに記載の重合性液晶組成物を重合させることによって得られる重合体。
[19] 前記[9]〜[17]のいずれかに記載の重合性液晶組成物を重合させることによって得られる光学異方性フィルム。
[20] 前記[19]に記載の光学異方性フィルムを含む位相差板。
[21] 前記[19]に記載の光学異方性フィルムを有する液晶表示素子。
なお、本明細書における用語の使い方は次のとおりである。「液晶(性)化合物」は、液晶相を有する化合物、および、液晶相を有しないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称である。「液晶相」はネマチック相、スメクチック相、コレステリック相などであり、多くの場合ネマチック相を意味する。「重合性」は、光、熱、触媒などの手段により単量体が重合し、重合体を与える能力を意味する。式(1)、式(M1a)などで表わされる化合物を、それぞれ「化合物(1)」、「化合物(M1a)」などのように表記することがある。
ってもよいし、異なってもよい。また、式(1)の−(A−Z)x−は、Xが2のとき、
−A−Z−A−Z−を意味するが、この場合、2つの記号Aの意味は同一であってもよいし、異なってもよい。このようなルールは、記号P、Q、Zなどの他の記号においても適用する。
本発明の化合物(1)は、上記式(1)に示すように、ジベンゾフラン骨格を有する。このようなジベンゾフラン環を有する化合物は、酸素原子が環中にあることから、屈折率異方性が大きくなるとともに、耐熱性が高くなることが期待される。
における任意の水素は、塩素またはフッ素で置き換えられてもよく、また、任意の1つまたは2つの水素は、シアノ、メチル、エチル、メトキシ、ヒドロキシ、ホルミル、アセトキシ、アセチル、トリフルオロアセチル、ジフルオロメチルまたはトリフルオロメチルで置き換えられてもよい。
Zは、独立して単結合、−(CH2)2−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH2O−
、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−COO−、−OCO−、−CONH−、
−NHCO−、−(CH2)4−、−(CH2)2COO−、−OCO(CH2)2−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−である。
であり、sは2〜5の整数である。
したように、Pが基(P−7)である場合は、−O−(CH2)r−または−(CH2)r−O−の炭素は、Pの炭素と結合してもよい。なお、Pが基(P−1)〜(P−6)および(P−8)である場合は、Pの炭素は、−O−(CH2)r−または−(CH2)r−O−の炭素に結合することはない。
本発明の化合物(1)の好ましい例としては、上記式(1−1)〜(1−9)で表される化合物が挙げられる。
本発明の重合性液晶組成物は、上記化合物(1)を少なくとも1種含有する。組成物とは、通常は複数の化合物の混合物を意味するが、1つの重合性化合物からなる場合であっても組成物ということがある。重合させるために重合触媒などを添加したり、薄膜を作成するために溶媒で希釈したりすることがあるからである。本発明の重合性液晶組成物は、
第1成分として複数の化合物(1)を含有するか、あるいは、第2成分として化合物(1)以外の重合性液晶化合物を含有した組成物であり、さらに、その他の重合性化合物や添加剤などを含有してもよい。
1−6−2)、(1−6−3)および(1−7−1)で表され、オキセタン環を有する化合物の少なくとも1つ、または、上記式(1−8−1)、(1−8−2)、(1−9−1)および(1−9−2)で表され、オキシラン環を有する化合物の少なくとも1つである。
および3では、第1成分と第2成分の一方がオキセタン環を有し、他方がオキシラン環を有することが共通点である。さらに好ましい組み合わせを表2に示す。
あり、mは2〜8の整数である。
1)ホモジニアス配向した組成物(A1−1)および(A1−2)
上記組成物(A1−1)または(A1−2)に、第1成分および第2成分の全重量に対して1〜15重量%の光ラジカル重合触媒を添加し、これをラビング処理した透明な支持基板に塗布すると、該組成物における液晶分子はホモジニアス配向を示す。前記支持基板としては、ケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムまたは親水化処理したノルボルネン樹脂フィルムを用いることができる。前記親水化処理は、コロナ処理またはプラズマ処理によって行うことができる。このようにして配向させた組成物に、チッソ雰囲気下で紫外線を照射することによって、該配向が維持された重合体を容易に得ることができる。
上記組成物(A1−1)または(A1−2)に、第1成分および第2成分の全重量に対して1〜10重量%のアミノプロピルトリエトキシシランを添加し、これをラビング処理していない上記支持基板に塗布すると、該組成物における液晶分子はホメオトロピック配向を示す。この配向は、上記1)と同様に重合させた後も維持される。
上記組成物(A2−1)に、第1成分および第2成分の全重量に対して1〜15重量%の光カチオン重合触媒を組成物に添加し、これをラビング処理した上記支持基板に塗布すると、該組成物における液晶分子はホモジニアスを示す。このようにして配向させた組成物に紫外線を照射することによって、該配向が維持された重合体を容易に得ることができる。なお、前記重合反応は空気中でも行うことができる。
上記組成物(A3−1)に、第1成分および第2成分の全重量に対して1〜15重量%の光カチオン重合触媒を組成物に添加し、これをラビング処理した上記支持基板に塗布すると、該組成物における液晶分子はハイブリッド配向を示す。このようにして配向させた組成物に紫外線を照射することによって、該配向が維持された重合体を容易に得ることができる。なお、前記重合反応は空気中でも行うことができる。
線吸収剤および微粒子などが挙げられる。単量体を重合させるための添加剤としては、たとえば、重合開始剤(たとえば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤)および増光剤などが挙げられる。
物に適している。
上記シランカップリング剤としては、たとえば、ビニルトリアルコキシシシラン、3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N(2−アミノエチル)3アミノプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3−クロロトリアルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランなどが挙げられる。また、これらの化合物において、アルコキシ基(3つ)のうちの1つをメチルに置き換えたジアルコキシメチルシランも挙げられる。好ましいシランカップリング剤は、3−アミノ
プロピルトリエトキシシランである。
rCO3、Ba(OH)2、Ca(OH)2、Ga(OH)3、Al(OH)3、Mg(OH
)2、Zr(OH)4などが挙げられる。また、炭酸カルシウムの針状結晶などの微粒子は光学異方性を有する。このような微粒子によって、重合体の光学異方性を調節できる。有機物としては、たとえば、カーボンナノチューブ、フラーレン、デンドリマー、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、ポリイミドなどが挙げられる。
化合物を主成分とする組成物に適している。
本発明の重合体は、上記組成物を重合させることによって得られ、無色透明性、光弾性(photoelasticity)、支持基板に対する密着性、硬度、耐熱性、耐候性などの特性にお
いて、複数の特性をバランスよく充足する。本発明の重合体は、耐衝撃性、加工性、電気特性、耐溶剤性などの特性にも優れた点がある。重合体のフィルムにとって重要な特性は、支持基板に対する高い密着性、充分な硬度、高い耐熱性などである。
優れた重合体を得るときは、熱重合よりも光重合触媒を用いた重合が好ましい。組成物が液晶相を示す条件下で、重合を行なわせることが容易だからである。
、(2)支持基板の種類、(3)配向処理の方法などが挙げられる。因子(1)に関しては、上記化合物(1)、重合性の液晶化合物、シランカップリング剤などの種類に依存する。因子(2)に関しては、重合体、ガラス、金属などのような支持基板の材質に依存する。因子(3)における配向処理の方法としては、たとえば、レーヨン布などで一方向にこする(ラビング)方法、酸化ケイ素を斜方蒸着させる方法、スリット状にエッチング加工する方法などが挙げられる。ラビング処理としては、支持基板を直接的にラビングしてもよく、支持基板をポリイミド、ポリビニルアルコールなどの薄膜でコーティングし、この薄膜をラビングしてもよい。なお、このようなラビング処理をしなくても、良好な配向を与える特殊な薄膜も知られている。また、側鎖型の液晶ポリマーを支持基板にコーティングしてもよい。
ニアスは、配向ベクトルが基板に平行で、かつ一方向にある状態をいう。ホメオトロピックは、配向ベクトルが基板に垂直である状態をいう。ハイブリッドは、配向ベクトルが基板から離れるにしたがって、平行から垂直に立ちあがっている状態をいう。これらの配向は、ネマチック相などを有する組成物で観察される。
本発明の重合体は、光学異方性を有する成形体として使用できる。このような成形体の用途としては、たとえば、位相差板(1/2波長板、1/4波長板等)、反射防止膜、選択反射膜、視野角補償膜などの光学フィルムである。ホモジニアス、ハイブリット、ホメオトロピックなどの配向を有する重合体は、位相差板、偏光素子、液晶配向膜、反射防止膜、選択反射膜、視野角補償膜などに利用できる。このように、本発明の重合体は、光学補償を目的として、液晶表示素子の位相差板や視野角補償膜などに用いることができる。産業上の重要な用途の例は、VAモード、IPSモード、TNモード、MVAモードなどの液晶表示素子における視野角補償である。また、本発明の重合体は、高熱伝導性エポキシ樹脂、接着剤、機械的異方性を有する合成高分子、化粧品、装飾品、非線型光学材料、情報記憶材料などにも利用できる。
本発明に用いられる化合物は、フーベン・ヴァイル(Houben Wyle, Methoden der Organischen Chemie, Georg Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wily & Sons Inc.)、オーガニック・シンセセーズ(Organic
Syntheses, John Wily & Sons, Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス
(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)など
に記載された、有機化学における合成方法を適切に組み合わせることにより合成できる。
で表される、オキセタン環を有する安息香酸誘導体の合成には、3−アルキル−3−オキセタンメタノールを出発物として利用することができる。なお、3−エチル−3−オキセタンメタノールおよび3−メチル−3−オキセタンメタノールが市販されている。文献(Macromolecules, 24, 4531−4537 (1991)、WO02/28985号)の方法に従って、
これらの化合物と、1,2−ジブロモエタン、1,4−ジブロモブタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,8−ジブロモオクタンなどのα,ω−ジブロモメチレンとを反応させることによって、炭素鎖長を延ばすことができる。
2,4−ジメトキシブロモベンゼン[a]、金属マグネシウムから調製したグリニャール試薬およびホウ酸トリメチルを反応させた後、加水分解することで2,4−ジメトキシベンゼンホウ素酸[b]が得られる。化合物[b]と2,4−ジメトキシブロモベンゼン[a]とを、パラジウム触媒の存在下でクロスカップリングすることにより、2,4,2’,4’−テトラメトキシビフェニル[c]を合成できる。化合物[c]に三臭化ホウ素などのルイス酸を反応させことで2,4,2’,4’−ヒドロキシビフェニル[d]が得られる。化合物[d]をゼオライトなどの触媒で脱水することにより3,7−ジヒドロキシベンゾフラン[e]を合成できる。
り、末端の重合性基が異なる化合物の合成スキームを以下に示す。合成スキーム中のYは単結合、−(CH2)2−、−CH=CH−である。
記化合物(MLC5)は、特開2005−60373号公報に記載の方法に従って合成することができる。上記化合物(MLC6)は、Macromolecules, 26, 1244-1247 (1993)
に記載の方法に従って合成することができる。上記化合物(MLC7)および(MLC8)は、特開2005−60373号公報に記載の方法に従って合成することができる。上
記化合物(MLC9)および(MLC10)は、特願2004−353822号に記載の方法に従って合成することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、物性等の測定法は以下のとおりである。
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で昇温し、液晶相が別の液晶相に転移する温度を測定した。Cは結晶、Nはネマチック相、SAはスメクチックA相、Iは等方性液体を意味する。NI点は、ネマチック相の上限温度またはネマチック相から等方性液体への転移温度である。たとえば、「C50N63I」は、50℃で結晶からネマチック相に転移し、63℃でネマチック相から等方性液体へ転移したことを示す。
JIS規格「JIS−K−5400、8.5、付着性(8.5.2、碁盤目テープ法)」の試験法に従った。すなわち、100のます目のうち、剥離しなかったます目の数によって、結果を評価した。
JIS規格「JIS−K−5400、8.4、鉛筆引掻試験」の方法に従った。結果を鉛筆の芯の硬さで表した。
100℃で500時間の条件で耐熱性試験を行い、結果はリタデーション(retardation)の変動によって評価した。具体的には、まず、ガラス基板にポリアミック酸(チッソ(株)製「PIA5310」)を塗布した後、210℃で30分間加熱して支持基板を得た。加熱によって生成したポリイミドの表面はレーヨン布でラビングした。試料の組成物を、トルエンとシクロペンタノンとの混合溶媒(重量比で2:1)で希釈して30重量%の溶液を調製した。この溶液をスピンコータで支持基板に塗布し、70℃で3分間加熱した後、生成した塗膜に超高圧水銀灯(250W/cm)を用いて紫外線を60℃で10秒間照射した。得られた重合体のリタデーションを25℃で測定した。次いで、重合体を100℃で500時間加熱した後、再度リタデーションを25℃で測定した。加熱前後の値を比較して耐熱性を評価した。リタデーションは、文献(粟屋裕著、「高分子素材の偏光顕微鏡入門」、94頁、アグネ技術センター発行、2001年)の方法に従い、セナルモン・コンペンセータ(Senarmont compensator)を用いて、波長550nmで
測定した。
上記耐熱性試験の方法にしたがって重合体フィルムのリタデーション(25℃)の値を測定し、さらに重合体フィルムの厚さ(d)も測定した。リタデーションは△n×dであるから、この関係から光学異方性の値を算出した。
重合体フィルム(液晶配向フィルム)を、ケン化処理したTACフィルム上に形成した。重合体の配向は、透過光強度の角度依存性に基づいて、目視による観察と測定装置による解析の二つの方法で決定した。
を狭持して、フィルム面に垂直方向(傾き角は0度)から光を照射した。照射の傾き角を0度から例えば50度に増大させながら透過光の変化を観察した。照射を傾ける方向は、液晶分子の長軸方向に一致させた。垂直方向からの透過光が最大であるとき、配向はホモジニアス配向であると判断した。ホモジニアス配向では、液晶分子の配向ベクトルがTACフィルムと平行であるからである。一方、垂直方向からの透過光が最小であり、傾き角を増大させるにしたがって透過光が増大するとき、配向はホメオトロピック配向であると判断した。ホメオトロピック配向では液晶分子の配向ベクトルがTACフィルムに垂直であるからである。
下記式(AK1)で表される4−[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸を、文献(Makromol. Chem., 190, 2255〜2268頁、1989年)に記載された方法で合成した。
2,4−ジメトキシブロモベンゼン25gをテトラヒドロフラン100mLに溶かした溶液を、2.9gのマグネシウムが浸る程度に500mLの容器に加え加熱した。マグネシウムが溶け出し反応していることを確認した後、残りの溶液を滴下した。滴下終了後、1時間還流してグリニャール試薬を調製した。グリニャール試薬溶液を−30℃まで冷やし、そこへホウ酸トリイソプロピル65gを滴下し、1時間撹拌した。50mLの3%塩酸を滴下して反応を終了した。ジエチルエーテルによる抽出を行い、ジエチルエーテル層を水、飽和炭酸ナトリウム水、水の順番で洗浄した。溶媒を留去して得られた残査をヘプタンで再結晶することで8.3gの2,4−ジメトキシベンゼンホウ素酸を得た。融点は125〜128℃であった。
得られた2,4−ジメトキシベンゼンホウ素酸17.6g、2,4−ジメトキシブロモベンゼン21g、テトラキスパラジウム1.1g、炭酸ナトリウム20.5gおよび水120mLを、ジエチレングリコールジメチルエーテル500mLに加え6時間還流した。水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた残査をエタノールで再結晶して14.7gの2,4,2’,4’−テトラメトキシビフェニルを得た。融点は92.3〜93.1℃であった。
得られた2,4,2’,4’−テトラメトキシビフェニル14gを塩化メチレン300mLに溶解し、ドライアイスアセトンバスを用いて−60℃に冷却した。そこへ三臭化ホウ素60gを滴下した。次いで、ドライアイスアセトンバスをはずして、12時間撹拌した。水を加え、ジエチルエーテルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して9.3gの2,4,2’,4’−テトラヒドロキシビフェニルを得た。融点は223〜226℃であった。
得られた2,4,2’,4’−テトラヒドロキシビフェニル14gおよびゼオライト触媒(東ソー株式会社製「Zeolite HSZ−360HUA」)15gを、1,2−ジクロロベンゼン100mLに加え4時間還流した。反応溶液をろ過し、減圧して1,2−ジクロロベンゼンを留去した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して5.5gの3,7−ジヒドロキシベンゾフランを得た。融点は244℃であった。
得られた3,7−ジヒドロキシベンゾフラン1.0g、4−[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸(AK1)3.1gおよびジメチルアミノピリジン0.1gを塩化メチレン50mLに加えた溶液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩2.1gを加え、室温で12時間攪拌した。水50mLを加え、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた残査をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、0.7gの化合物(No.6)を得た。融点は115℃であり、NI点は加熱により重合するので確認できなかった。
H、d、J=8.7Hz)
下記式(AK3)で表される2−フルオロ−4−[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸を、2−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸エチルを原料として、文献(Makromol. Chem., 190, 2255〜2268頁、1989年)に記載された方法を用いて合成した。化合物(AK3)の融点は98〜99℃であった。
(第1段階)
下記式(OX2)で表される4−[6−(3−エチルオキセタン−3−イルメトキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸を、特開2005−60373号公報に記載の方法で合成した
。融点は58.5℃であった。
下記に示す、化合物(No.9)60重量%、化合物(MLC1)20重量%および化合物(MLC4)20重量%からなる組成物(MIX1)を調製した。化合物(No.9)は相分離することなく良好な相溶性を示した。また、組成物(MIX1)は室温においても直ちに結晶化することはなかった。
下記に示す、化合物(No.9)60重量%、化合物(MLC2)20重量%および化合物(MLC4)20重量%からなる組成物(MIX2)を調製した。化合物(No.9)は相分離することなく良好な相溶性を示した。また、組成物(MIX2)は室温においても直ちに結晶化することはなかった。
実施例4に記載の組成物(PLC−1)に、組成物(MIX1)100重量部に対して下記式(5)で表される化合物(チッソ株式会社製「サイラエースS−330」)10重量部を添加し、組成物(PLC−3)を得た。
下記に示す、化合物(No.26)70重量%および化合物(MLC9)30重量%からなる組成物(MIX3)を調製した。化合物(No.26)は相分離することなく良好な相溶性を示した。また、組成物(MIX3)は室温においても直ちに結晶化することはなかった。
ケン化処理したTACフィルムの表面をレーヨン布でラビング処理した支持基板に、実施例4で得られた組成物(PLC−1)を、バーコーターを用いてTACフィルムに塗布した。塗布後、70℃に設定したオーブン中で5分間熱処理することにより、溶媒を除去して液晶層を配向させた。次いで、塗膜に、超高圧水銀灯(250W)を用いて紫外線(30mW/cm2;365nm)を窒素雰囲気下、25℃で30秒間照射することによっ
て重合体フィルム(F1)を得た。
実施例5で得られた組成物(PLC−2)を用いたこと以外は実施例8と同様にして、重合体フィルム(F2)を得た。得られたフィルム(F2)の配向は、目視による観察では、ホモジニアスであり、装置による測定結果と一致した。フィルム(F2)の表面硬度は鉛筆硬度のHであった。セロテープ(登録商標)剥離試験では全く剥がれがなく、全てのますが残存した。100℃、500時間での耐熱性試験後のリタデーションに変化はなかった。このように光学異方性フィルム(F2)は支持基板から剥離しにくく、充分な硬度を有するものであった。
実施例6で得られた組成物(PLC−3)を用いたこと以外は実施例8と同様にして、重合体フィルム(F3)を得た。得られたフィルム(F3)の配向は、目視による観察ではホメオトロピックであり、装置による測定結果と一致した。フィルム(F3)の表面硬度は鉛筆硬度のHであった。セロテープ(登録商標)剥離試験では全く剥がれがなく、全てのますが残存した。100℃、500時間での耐熱性試験後のリタデーションに変化はなかった。このように光学異方性フィルム(F3)は支持基板から剥離しにくく、充分な硬度を有するものであった。
支持基板としてケン化処理したTACフィルム(ラビング処理なし)に、実施例7で得
られた組成物(PLC−4)を、バーコーターを用いて塗布した。塗布後、70℃に設定したオーブン中で5分間熱処理することにより、溶媒を除去して液晶層を配向させた。次いで、塗膜に、超高圧水銀灯(250W)を用いて紫外線(30mW/cm2;365n
m)を、空気開放下、25℃で30秒間照射することによって重合体フィルム(F4)を得た。
Claims (20)
- 下記式(1)で表される化合物。
Aは、独立して1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、
該1,4−フェニレンにおける任意の水素は、塩素またはフッ素で置き換えられてもよく、また、任意の1つまたは2つの水素は、メチルまたはトリフルオロメチルで置き換えられてもよく;
Zは、独立して−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−(CH2)2COO−、−OCO(CH2)2−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;
Pは、独立して下記式(P1)、(P2)、(P5)〜(P8)のいずれかで示される重合性の基であり;
Qは、独立して−O−、−O−(CH2)r−、−(CH2)r−O−、−(CH2)r−または−O−(CH2)r−O−であり、rは1〜15の整数であり;
xは1である。]
- 前記式(1)中、
Aが、独立して1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、
該1,4−フェニレンにおける任意の1つまたは2つの水素は、塩素またはフッ素で置き換えられてもよく;
Zが、独立して−COO−、−OCO−、−(CH2)2COO−、−OCO(CH2)2−、−CH=CH−COO−または−OCO−CH=CH−であり;
Pが、独立して上記式(P1)、(P5)、(P6)または(P7)で示される重合性の基であり;
Qが、独立して−O−、−O−(CH2)r−、−(CH2)r−O−、−(CH2)r−または−O−(CH2)r−O−であり、rが1〜15の整数であり;
xが1であること
を特徴とする請求項1に記載の化合物。 - 請求項4に記載の式(1−1−1)で表され、該式中、R1、R2、R3およびR4が水素であり、rが2〜10の整数であることを特徴とする化合物。
- 請求項4に記載の式(1−1−1)で表され、該式中、R1およびR4が水素であり、R2およびR3がフッ素であり、rが2〜10の整数であることを特徴とする化合物。
- 請求項4に記載の式(1−6−1)で表され、該式中、R1、R2、R3およびR4が水素であり、rが2〜10の整数であることを特徴とする化合物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
- 第1成分として、請求項4に記載の式(1−1−1)、式(1−1−2)および式(1−1−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含み、
第2成分として、下記式(M1a)および式(M1b)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含み、
第1成分と第2成分の合計量100重量%に対して、第1成分の含有量が20〜80重量%であり、第2成分の含有量が20〜80重量%であること
を特徴とする重合性液晶組成物。
R6は、独立して水素、フッ素、トリフルオロメチルまたはメチルであり;
R7は、シアノ、トリフルオロメトキシ、炭素数1〜15のアルキルまたは炭素数1〜15のアルコキシであり;
W1およびW2は、独立して水素、塩素またはフッ素であり、
W3は水素またはフッ素であり;
Z2は、単結合、−COO−、−CH=CH−COO−または−CH2CH2−COO−であり;
A2は、下記式(A−1)〜(A−7)のいずれかで表される基であり;
mは2〜8の整数である。]
- 第1成分として、請求項4に記載の式(1−1−1)、式(1−1−2)および式(1−1−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含み、
第2成分として、(i)請求項9に記載の式(M1a)で表される少なくとも1つの化合物と、(ii)請求項9に記載の式(M1b)で表される少なくとも1つの化合物とを含み、
第1成分および第2成分の合計量100重量%に対して、第1成分の含有量が20〜80重量%であり、第2成分(i)の含有量が10〜40重量%であり、第2成分(ii)の含有量が10〜40重量%であること
を特徴とする重合性液晶組成物。 - 第1成分として、請求項4に記載の式(1−6−1)、式(1−6−2)、式(1−6−3)および式(1−7−1)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含み、
第2成分として、下記式(M2a)、式(M2b)および式(M2c)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含み、
第1成分と第2成分の合計量100重量%に対して、第1成分の含有量が20〜80重量%であり、第2成分の含有量が20〜80重量%であること
を特徴とする重合性液晶組成物。
R8は、シアノ、フッ素、トリフルオロメチルまたはメチルであり;
W1およびW2は、独立して水素、塩素またはフッ素であり、
W3は水素またはフッ素であり;
Z2は、単結合、−COO−、−CH=CH−COO−または−CH2CH2−COO−であり;
Z3は、独立して単結合または−O−であり;
A2は、請求項9に記載の式(A−1)〜(A−7)のいずれかで表される基であり;
mは2〜8の整数である。] - 第1成分として、請求項4に記載の式(1−6−1)、式(1−6−2)、式(1−6−3)および式(1−7−1)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含み、
第2成分として、(i)請求項11に記載の式(M2b)で表される少なくとも1つの化合物と、(ii)請求項11に記載の式(M2c)で表される少なくとも1つの化合物とを含み、
第1成分および第2成分の合計量100重量%に対して、第1成分の含有量が20〜80重量%であり、第2成分(i)の含有量が10〜40重量%であり、第2成分(ii)の含有量が10〜40重量%であること
を特徴とする重合性液晶組成物。 - 第1成分として、請求項4に記載の式(1−8−1)、式(1−8−2)、式(1−9−1)および式(1−9−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含み、
第2成分として、下記式(M3a)および式(M3b)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含み、
第1成分と第2成分の合計量100重量%に対して、第1成分の含有量が20〜80重量%であり、第2成分の含有量が20〜80重量%であること
を特徴とする重合性液晶組成物。
R8は、シアノ、フッ素、トリフルオロメチルまたはメチルであり;
R9はメチルまたはエチルであり;
W1およびW2は、独立して水素、塩素またはフッ素であり、
W3は水素またはフッ素であり;
Z2は、単結合、−COO−、−CH=CH−COO−または−CH2CH2−COO−であり;
A2は、請求項9に記載の式(A−1)〜(A−7)のいずれかで表される基であり;
mは2〜8の整数である。] - 第1成分として、請求項4に記載の式(1−8−1)、式(1−8−2)、式(1−9−1)および式(1−9−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含み、
第2成分として、(i)請求項13に記載の式(M3a)で表される少なくとも1つの化合物と、(ii)請求項13に記載の式(M3b)で表される少なくとも1つの化合物とを含み、
第1成分および第2成分の合計量100重量%に対して、第1成分の含有量が20〜80重量%であり、第2成分(i)の含有量が10〜40重量%であり、第2成分(ii)の含有量が10〜40重量%であること
を特徴とする重合性液晶組成物。 - さらに重合開始剤を含有することを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
- さらに溶媒を含有することを特徴とする請求項8〜15のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
- 請求項8〜16のいずれかに記載の重合性液晶組成物を重合させることによって得られる重合体。
- 請求項8〜16のいずれかに記載の重合性液晶組成物を重合させることによって得られる光学異方性フィルム。
- 請求項18に記載の光学異方性フィルムを含む位相差板。
- 請求項18に記載の光学異方性フィルムを有する液晶表示素子。
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