JP4393590B2 - 空気入りタイヤの設計方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、空気入りタイヤの設計方法にかかり、特に、タイヤの単一目的性能、二律背反性能等を達成するタイヤの構造、形状等の設計開発を効率的にかつ容易に設計することができる空気入りタイヤの設計方法に関する。
背景技術
従来のタイヤ設計方法は、実験及び計算機を用いた数値実験の繰り返しによる経験則から成り立っていた。このため、開発に必要な試作・試験の件数が膨大なものとなり、開発コストがアップし、開発期間もなかなか短縮できなかった。
例えば、タイヤのクラウン部形状は、タイヤの回転軸を含む断面において、数個の円弧によって設計されている。円弧の値は、数個のモールドを作成し、このモールドによるタイヤを試作・評価したデータから決定したり、数値実験を数多く行い決定したりしていたため、開発効率が良くなかった。
また、パターン設計は、自由度が大きいので、基本パターン案をタイヤにグルービングしたり実際にモールドを作成した後にタイヤを試作して実車評価し、実車で生じた問題は基本パターン案を微修正することによって解決して最終的パターンに仕上げていた。このため、パターン設計は、タイヤ形状、構造設計に比較して最も工数を要する分野となっていた。
ところで、空気入りタイヤは、雨天走行時に発生するハイドロプレーニング現象の防止や、ブレーキ及びトラクション性能を確保するために、一般的にはタイヤ周方向のリブ溝とタイヤ径方向のラグ溝が配置されており、これらリブ溝とラグ溝に囲まれた島状陸部を有する、所謂ブロック・パターンが一般的である。
このようなブロックパターンでは、タイヤの運動性能、一般的には直進性能と、コーナリング性能との両者の性能が必要である。直進性能はタイヤ周方向のグリップ力が要求され、比較的固いゴムが適している。ところが、コーナリング性能は、タイヤ幅方向のグリップ力が要求され、コーナリング時のグリップ力を高めるために、比較的柔らかいゴムが適しており、柔らかいゴムによってエネルギーロスを大きくすることが必要であり、二律背反している。
このため、最近では、乾燥、湿潤及び氷雪を含む路面状態において高速走行で安全かつ静寂なタイヤを設計するための理論的なアプローチが試みられており、タイヤのトレッドに形成する溝等は、数学的に算出した基準に従い、複数の可変ピッチ反復設計サイクルによって設計している。その設計値に基づいて、タイヤ円周上のピッチ及びピッチ配列を規定する横方向溝及び円周方向溝に分けられた陸部を有するトレッドを得ている。ここで、ピッチとは陸部の相対長さを指し、ピッチ配列とはタイヤ円周上に使われるピッチの順序をいう。なお、ピッチは、ピッチ長の比(ピッチ比)を用いることもある。
各ピッチは、様々な異なる長さであり得るが、実用目的から約9種類かそれ以下に限定され、あるピッチ配列における特定のピッチの特定長さは、タイヤの円周によって異なることになる(特開平4−232105号公報参照)。
しかしながら、上記ピッチやピッチ配列は、騒音性能の向上やハイドロプレーニング現象の防止、及び消費者の美的外観にマッチさせたデザイン的な要求等から決定されることが多くかつ、ピッチ配列内に、複数のピッチが反復して用いられる。このため、異なるピッチによる陸部の間では、剛性が不均一になる。従って、異なるピッチ間で偏磨耗が増加したり、製造時の真円度が悪化たりするという問題がある。
本発明は、上記事実を考慮して、二律背反する複数の性能を得ようとするとき、与えられた条件でタイヤのベストモードを設計することができると共に、タイヤの設計・開発を高効率化することができる空気入りタイヤの設計方法を提供することを目的である。
発明の開示
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明の空気入りタイヤの設計方法は、(a)内部構造を含むブロック単体の形状、内部構造を含むタイヤクラウン部のうちの1部のパターン形状、及び内部構造を含むタイヤ周方向に連続する陸部の形状のうち選択された1つの形状を表す形状モデルと、前記形状モデルと異なる形状を表す形状モデルからなる形状基本モデルを複数備えたタイヤ基本モデルと、前記形状基本モデルに関連するタイヤ性能評価用物理量を表す目的関数と、前記選択された1つの形状を決定する設計変数と、前記ブロック単体の形状、パターン形状及び陸部の形状、タイヤ断面形状及びタイヤ性能評価用物理量の少なくとも1つを制約する制約条件とを定めるステップ、(b)前記制約条件を考慮しながら、前記目的関数の最適値が与えられるまで設計変数の値を変化させながら演算することにより設計変数の値を求めるステップ、(c)前記ステップ(b)で求めた設計変数の値に基づいて前記タイヤ基本モデルを設計することによりタイヤを設計するステップ、を含んでいる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤの設計方法であって、前記設計変数は、前記形状基本モデルの少なくとも1つの形状モデルを基準形状モデルとし、他のブロック単体の形状またはパターン形状もしくは陸部の形状を決定するためのものであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤの設計方法であって、前記設計変数は、予め定めた前記形状モデルを基準モデルとし、ブロック単体の形状またはパターン形状もしくは陸部の形状を決定するためのものであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法であって、前記ステップ(b)では、設計変数の単位変化量に対する目的関数の変化量の割合である目的関数の感度及び設計変数の単位変化量に対する制約条件の変化量の割合である制約条件の感度に基づいて制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の変化量を予測すると共に、設計変数を予測量に相当する量変化させたときの目的関数の値及び設計変数を予測量に相当する量変化させたときの制約条件の値を演算し、予測値と演算値とに基づいて、制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の値を求めることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の空気入りタイヤの設計方法であって、前記ステップ(a)では、前記形状基本モデルを複数有するタイヤ基本モデルを複数個含んだ選択対象集団を定め、該選択対象集団の各タイヤ基本モデルについて、前記目的関数、前記設計変数、前記制約条件、及び目的関数と制約条件とから評価できる適応関数を定め、前記ステップ(b)では、適応関数に基づいて前記選択対象集団から2つのタイヤ基本モデルを選択し、所定の確率で、選択した一方のタイヤ基本モデルの設計変数の値の配列の一部を該配列の一部に対応する他方のタイヤ基本モデルの設計変数の値の配列の一部と交換することによって交叉させて新規の設計変数の値の配列の2つのタイヤ基本モデルを生成すること及び所定の確率で、少なくとも一方のタイヤ基本モデルの設計変数の一部を他の設計変数の値に変更させて新規の設計変数の値の配列のタイヤ基本モデルを生成することの少なくとも一方を行い、設計変数を変化させたタイヤ基本モデルの目的関数、制約条件及び適応関数を求めて該タイヤ基本モデル及び設計変数を変化させなかったタイヤ基本モデルを保存しかつ保存したタイヤ基本モデルが所定数になるまで繰り返し、保存した所定数のタイヤ基本モデルからなる新規集団が所定の収束条件を満たすか否かを判断し、収束条件を満たさないときには該新規集団を前記選択対象集団として該選択対象集団が所定の収束条件を満たすまで繰り返すと共に、該所定の収束条件を満たしたときに保存した所定数のタイヤ基本モデルのなかで制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の値を求めることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法であって、前記設計変数は、ブロック単体の形状、パターン形状及び陸部の形状のうち選択された1つの形状によって形成されるべきタイヤ陸部の面に連結された面の角度、前記タイヤ陸部の面までの高さ、前記タイヤ陸部の面の形状、前記タイヤ陸部の面に連結された面の形状、サイプの位置、本数、幅、深さ、傾き、形状及び長さのサイプ形状、の少なくとも1つを表す変数を含んでいることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法であって、前記形状基本モデルを複数有するタイヤ基本モデルの各々は、タイヤ周方向の長さが異なることを特徴とする。
請求項1の発明のステップ(a)では、内部構造を含むブロック単体の形状、内部構造を含むタイヤクラウン部のうちの1部のパターン形状、及び内部構造を含むタイヤ周方向に連続する陸部の形状のうち選択された1つの形状を表す異なる形状基本モデルを複数有するタイヤ基本モデルと、タイヤ性能評価用物理量を表す目的関数と、ブロック単体の形状またはパターン形状もしくは陸部の形状を決定する設計変数と、ブロック単体の形状、パターン形状及び陸部の形状のうち選択された1つの形状、タイヤ断面形状及びタイヤ性能評価用物理量の少なくとも1つを制約する制約条件とを定める。なお、上記の内部構造を含むブロック単体、タイヤクラウン部、及びタイヤ周方向に連続する陸部とは、単一のゴムのみから形成された媒体を含むものである。
ブロック単体の形状を表す形状基本モデルとしては、ブロック単体の外面形状を特定するためのラインを表す関数や変曲点の座標値を表す変数から構成することができる。また、内部構造を含むタイヤクラウン部のうちの1部のパターン形状を表す形状基本モデルとしては、タイヤクラウン部のうちの1つの陸部の路面接地側のパターン形状を幾何学的に解析可能な関数、例えば長方形や菱形等の多角形を定めるための関数で構成できる。また、内部構造を含むタイヤ周方向に連続する陸部の形状を表す形状基本モデルとしては、タイヤ断面形状を表すラインを表す関数や変曲点の座標値を表す変数から構成することができる。
これら各形状基本モデルには、パターン形状及び陸部の形状のうち選択された1つの形状によって形成されるべきタイヤ陸部の面に連結された面の角度、タイヤ陸部の面までの高さ、タイヤ陸部の面の形状、タイヤ陸部の面に連結された面の形状、サイプの位置、本数、幅、深さ、傾き、形状及び長さのサイプ形状、の少なくとも1つを含ませることができる。さらに、形状基本モデルは、複数の要素に分割する有限要素法と呼ばれる手法によるモデルを用いても良く解析的手法によるモデルを用いても良い。
タイヤ基本モデルは、上記形状基本モデルのうち異なる形状基本モデルを複数有している。例えば、複数の可変ピッチ反復設計サイクルによって設計するため、タイヤ円周上のピッチ及びピッチ配列を規定した陸部を有するトレッドをモデル化したものを用いることができる。この場合、複数の異なるピッチがタイヤ円周上に形成されることになる。なお、タイヤ基本モデルは、複数の要素に分割する有限要素法と呼ばれる手法によるモデルを用いても良く解析的手法によるモデルを用いても良い。
また、前記タイヤ基本モデルすなわち形状基本モデルを複数有するタイヤ基本モデルの各々は、請求項7にも記載したように、タイヤ周方向の長さが異なるものを用いることができる。タイヤには操縦安定性や静寂性を高めるため、複数の異なるピッチでタイヤ円周上に陸部が形成されたタイヤ(所謂ピッチバリエーションタイヤ)がある。このピッチバリエーションタイヤは通常周方向の長さのみが変更されることが多い。このため、周方向の長さが異なるような形状基本モデルの複数をタイヤ基本モデルとすることにより、ピッチバリエーションタイヤを想定したタイヤの設計が容易となる。
性能評価用物理量を表す目的関数としては、ブロック剛性等のタイヤの運動性能の優劣を支配する物理量を使用することができる。ブロック単体の形状またはパターン形状もしくは陸部の形状を決定する設計変数は、請求項6にも記載したように、パターンを決定するものとして、ブロック単体の形状、パターン形状及び陸部の形状のうち選択された1つの形状によって形成されるべきタイヤ陸部の面に連結された面の角度(すなわちブロック単体ならブロック溝壁角度)、前記タイヤ陸部の面までの高さ(すなわち溝が形成されるなら溝深さ)、前記タイヤ陸部の面の形状、前記タイヤ陸部の面に連結された面の形状、サイプの位置、本数、幅、深さ、傾き、形状及び長さのサイプ形状、の少なくとも1つを表す変数を用いることができる。制約条件としては、トレッド厚の制約、ブロック剛性の制約、タイヤに形成される陸部の側面の角度(例えばブロック単体ならブロック溝壁角度)の制約等がある。なお、目的関数、設計変数及び制約条件は、上記の例に限られるものではなく、タイヤ設計目的に応じて種々のものを定めることができる。
次のステップ(b)では、制約条件を考慮しながら、目的関数の最適値が与えられるまで設計変数の値を変化させながら演算することにより設計変数の値を求める。この場合には、請求項4にも記載したように、設計変数の単位変化量に対する目的関数の変化量の割合である目的関数の感度及び設計変数の単位変化量に対する制約条件の変化量の割合である制約条件の感度に基づいて制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の変化量を予測すると共に、設計変数を予測量に相当する量変化させたときの目的関数の値及び設計変数を予測量に相当する量変化させたときの制約条件の値を演算し、予測値と演算値とに基づいて制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の値を求めると効果的である。これによって、制約条件を考慮し目的関数の値が最適になるときの設計変数の値が求められる。
そしてステップ(c)では、目的関数の最適値を与える設計変数に基づいてタイヤ基本モデルを変更することによりタイヤを設計する。
従って、異なる形状基本モデルを複数有したタイヤ基本モデルについて、目的関数の最適値を与える設計変数、すなわち、ブロック単体の形状またはパターン形状もしくは陸部の形状を表す選択された形状基本モデルが定まり、例えば、タイヤ円周上のあるピッチで定まる形状が求められ、剛性均一等がなされたタイヤを設計することができる。
上記の設計変数は、請求項2にも記載したように、異なる形状基本モデルの少なくとも1つを基準形状モデルとし、他のブロック単体の形状またはパターン形状もしくは陸部の形状を決定するためのものとして設定できる。このように、設定することにより、基準形状モデルとして設定された形状基本モデルを基準として、その基準形状モデルに沿って剛性均一等がなされたタイヤを設計することができる。
また、請求項3にも記載したように、前記設計変数は、予め定めた前記形状基本モデルを基準モデルとし、ブロック単体の形状またはパターン形状もしくは陸部の形状を決定するためのものとして設定できる。このように、設定することにより、基準形状モデルとして設定された形状基本モデルを基準として、その基準形状モデルに沿って剛性均一等がなされたタイヤを設計することができる。すなわち、剛性均一等をなすために予め予想値として前記形状基本モデルを定めておき、その予想値として定められた形状基本モデルを基準として、その基準形状モデルに沿って剛性均一等がなされたタイヤを設計することができる。
請求項5では、前記ステップ(a)において、内部構造を含むブロック単体の形状、内部構造を含むタイヤクラウン部のうちの1部のパターン形状、及び内部構造を含むタイヤ周方向に連続する陸部の形状のうち選択された1つの形状を表す異なる形状基本モデルを複数有するタイヤ基本モデルを複数個含んだ選択対象集団を定め、該選択対象集団の各タイヤ基本モデルについて、前記目的関数、前記設計変数、前記制約条件、及び目的関数と制約条件とから評価できる適応関数を定める。
次に、ステップ(b)において、適応関数に基づいて前記選択対象集団から2つのタイヤ基本モデルを選択し、所定の確率で各タイヤ基本モデルの設計変数を交叉させて新規のタイヤ基本モデルを生成すること及び少なくとも一方のタイヤ基本モデルの設計変数の一部を変更させて新規のタイヤ基本モデルを生成することの少なくとも一方を行い、設計変数を変化させたタイヤ基本モデルの目的関数、制約条件及び適応関数を求めて該タイヤ基本モデル及び設計変数を変化させなかったタイヤ基本モデルを保存しかつ保存したタイヤ基本モデルが所定数になるまで繰り返し、保存した所定数のタイヤ基本モデルからなる新規集団が所定の収束条件を満たすか否かを判断し、収束条件を満たさないときには該新規集団を前記選択対象集団として該選択対象集団が所定の収束条件を満たすまで繰り返すと共に、該所定の収束条件を満たしたときに保存した所定数のタイヤ基本モデルのなかで制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の値を求める。この目的関数の最適値を与える設計変数の値に基づいて、ステップ(c)でタイヤ基本モデル等を変更することによりタイヤを設計する。
この場合、ステップ(b)において、設計変数を変化させたタイヤ基本モデルについて、設計変数の単位変化量に対する目的関数の変化量の割合である目的関数の感度及び設計変数の単位変化量に対する制約条件の変化量の割合である制約条件の感度に基づいて制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の変化量を予測すると共に、設計変数を予測量に相当する量変化させたときの目的関数の値及び設計変数を予測量に相当する量変化させたときの制約条件の値を演算し、目的関数の値及び制約条件の値から適応関数を求めて該タイヤ基本モデル及び設計変数を変化させなかったタイヤ基本モデルを保存しかつ保存したタイヤ基本モデルが所定数になるまで繰り返すことが更に効果的である。これによっても、制約条件を考慮し目的関数の値が最適になるときの設計変数の値が求められる。なお、目的関数及び制約条件から評価できる適応関数は、目的関数及び制約条件からタイヤ基本モデルに対する適応度を求める関数を使用することができる。また、目的関数、設計変数、制約条件及び適応関数は、上記の例に限られるものではなく、タイヤ設計目的に応じて種々のものを定めることができる。さらに、前記タイヤ基本モデルの設計変数の交叉には、選択した2つのタイヤモデルの設計変数についてその一部または所定部位以降の設計変数を交換する方法がある。さらにまた、タイヤ基本モデルの設計変数の一部の変更には、予め定めた確率等で定まる位置の設計変数を変更(突然変異)する方法がある。
以上説明したように本発明によれば、制約条件を考慮した目的関数の最適値を与える設計変数を求め、この設計変数から異なるブロック形状やパターン等を含んだタイヤを設計できるので、従来の試行錯誤を基本とした設計・開発と異なり、コンピューター計算を主体にしてベストモードの設計から設計されたタイヤの性能評価までがある程度可能となり、著しい効率化を達成でき、開発にかかる費用が削減され、使用用途に応じたタイヤを構成するブロック形状やパターンを設計することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態に使用されるパーソナルコンピュータの概略図である。
図2はピッチ及びピッチ配列によりタイヤ形状を表したイメージ図である。
図3は、本発明の第1実施の形態にかかる、タイヤ形状設計処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図4は、最適化ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図5は、設計変数を決定する角度演算ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図6は、ピッチ群内の1つのブロックの形状基本モデルを示す線図である。
図7は、壁面角度を説明するための説明図である。
図8は、図7の断面図である。
図9は、多数の壁面による設計変数を説明するための踏面形状を示す線図である。
図10は、面取りされたブロックの踏面形状を示す線図である。
図11は、曲面による壁面を有するブロックの踏面形状を示す線図である。
図12は、図11と異なる方向の曲面による壁面を有するブロックの断面形状を示す線図である。
図13は、設計変数決定の他の処理の流れを示すフローチャートである。
図14は、設計変数の他例を説明するための説明図である。
図15は、ブロックに形成されるサイプの諸形状を示す線図である。
図16は、図15のI−I断面図である。
図17はブロックの中途までに形成されるサイプの長さを示す線図である。
図18は、本発明の第2実施の形態にかかる、タイヤ形状設計処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図19は、本発明の第3実施の形態にかかる、タイヤ形状設計処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
図20は、交叉処理の流れを示すフローチャートである。
図21は、突然変異処理の流れを示すフローチャートである。
図22Aは、連続的な山型写像関数を示す線図であり、図22Bは線型的な山型写像関数を示す線図である。
図23Aは、連続的な谷型写像関数を示す線図であり、図23Bは線型的な谷型写像関数を示す線図である。
図24は、第4実施の形態にかかるブロックを示す線図である。
図25A,図25Bは、方向に対する単位面積当たりの剛性を示す線図であり、図25Aはトレッド厚を均一にする最適化前の従来の剛性、図25Bはトレッド厚を均一にした本実施の形態による最適化後の剛性を示した。
図26は底上げ量を説明するための隣り合うブロックを示す斜視図である。
図27は第5実施の形態にかかるタイヤ形状を表したイメージ図である。
図28は第5実施の形態にかかり、厚さ均一化でかつ剛性均一化の最適化が施された後の方向に対する単位面積当たりの剛性を示す線図である。
図29A〜図29Dは、第5実施の形態にかかる構成によるピッチ配列で作成したタイヤの室内ユニフォミティ結果を示し、図29AはRFVによる結果を示し、図29Bは高速RFVによる結果を示し、図29Cは高速TFVによる結果を示し、図29DはLFVによる結果を示している。
図30は、第5実施の形態にかかり、トレッド厚さの測定結果を示す線図である。
図31A,図31Bは、第5実施の形態にかかり、異なるタイヤについて、方向に対する単位面積当たりの剛性を示す線図であり、図31Aは従来の剛性について示し、図31Bはトレッド厚を均一及び剛性均一にした本実施の形態による最適化後の剛性を示した。
図32は、第6実施の形態にかかり、小ピッチから大ピッチと連続するトレッドパターンを示した線図である。
図33Aは、小ピッチ及び大ピッチのブロック形状の方向性を示す線図であり、図33Bは小ピッチ及び大ピッチのブロックに施す面取り位置を示すイメージ図であり、図33Cは面取り方法を示す線図である。
図34は、第1実施例にかかり小ピッチ、中ピッチ及び大ピッチのブロックに施すタイヤ周方向の面取り位置を説明するための説明図である。
図35A,図35Bは、第1実施例にかかり、面取りを施したブロックについてブロック剛性を示し、図35Aは従来のブロック剛性を示し、図35Bは第1実施例のブロック剛性を示している。
図36は、第2実施例にかかり小ピッチ、中ピッチ及び大ピッチのブロックに施すタイヤ幅方向の面取り位置を説明するための説明図である。
図37A,図37Bは、第2実施例にかかり、面取りを施したブロックについてブロック剛性を示し、図37Aは従来のブロック剛性を示し、図37Bは第1実施例のブロック剛性を示している。
図38は、第3実施例にかかり小ピッチのブロックに施すタイヤ幅方向の面取り位置を説明するための説明図である。
図39は、第3実施例にかかり中ピッチのブロックに施すタイヤ幅方向及びタイヤ周方向の面取り位置を説明するための説明図である。
図40は、第3実施例にかかり中ピッチのブロックに施す面取り位置を説明するための説明図である。
図41は、第3実施例にかかり大ピッチのブロックに施すタイヤ周方向の面取り位置を説明するための説明図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1には本発明の空気入りタイヤの設計方法を実施するためのパーソナルコンピュータの概略が示されている。
このパーソナルコンピュータは、データ等を入力するためのキーボード10、予め記憶されたプログラムに従って制約条件を満たしかつ目的関数を最適、例えば最大または最小にする設計変数を演算するコンピュータ本体12、及びコンピュータ本体12の演算結果等を表示するCRT14から構成されている。
〔第1実施の形態〕
先ず、第1実施の形態を説明する。本実施の形態は、走行時の騒音が少ない静寂性を向上させるため等によって定められた、複数のピッチ及びそのピッチが配列されたピッチ配列のタイヤについて、操縦安定性や耐偏磨耗性を向上させるために、ブロック剛性間差を均一化してタイヤ形状を決定するものである。
なお、複数のピッチの各々はピッチ長を有するが、計算を簡単にするため、ピッチはピッチ長の比(以下、ピッチ比という。)を整数化した値を対応させることができる。例えば、大ピッチ、中ピッチ、及び小ピッチの3種類のピッチを含むとき、各々は整数で対応される。また、ブロック剛性間差を均一にするとは、ピッチ配列上において、隣り合うピッチが同一のピッチであるピッチ群について、異なるピッチである複数のピッチ群の間で剛性の分布が一致または略一致、すなわち剛性の差が略零にするこという。
図3は、本実施の形態のプログラムの処理ルーチンを示すものである。ステップ300〜304では、タイヤのトレッドに形成されるピッチ配列を数値的・解析的に扱うことを可能にするため、数値入力がなされる。
詳細には、ステップ300では、予め求めた静寂なタイヤのピッチ配列を構成するに必要な値または経験的に求められる値が設定値として入力される。この設定値には、例えば、ピッチの総数N、最大ピッチ(ピッチ比:αmax=11.0)、最小ピッチ(ピッチ比:αmin=7.0)がある。なお、ピッチ長そのものの値を入力してもよい。
ステップ302では、ピッチの種類の数M(Mは自然数、本実施の形態では2〜9のいずれか1つとして3を用いる)を決定し、ステップ304においてピッチ配列に含まれるピッチの種類の数がM個でありピッチの総数がN個であるピッチ配列Vを入力し、このピッチ配列Vを初期値とする。
すなわち、M個のピッチYi(1≦i≦3)を1〜9までの自然数に対応させ、ピッチの総数NであることからN桁の配列を指定することによって、ピッチが配列値である自然数の各桁に対応して表現されるピッチ配列Vを生成する。このピッチ配列Vは、予め実験や計算によって求められている。
図2に示すように、ピッチ配列Vによって定まるタイヤ20は、3種類のピッチ、すなわち小ピッチY1,中ピッチY2,大ピッチY3を含んで構成されており、小ピッチY1が連続するピッチ群PT1,中ピッチY2が連続するピッチ群PT2,大ピッチY3が連続するピッチ群PT3がタイヤ20上に形成される。図2の例では、タイヤ20の基準20sから時計回りの方向で、ピッチ群PT1,PT2,PT3,PT2,PT2,PT3,PT2,PT1,PT1が連続するように、ピッチ配列Vが構成される。
なお、本実施の形態では、ピッチ群PT1,PT2,PT3の各々は、小ピッチY1,中ピッチY2,大ピッチY3の各々が連続する複数個のピッチからなるものとして説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、ピッチ群PT1,PT2,PT3の各々を単一のピッチで構成してもよい。すなわち、ピッチ群PT1,PT2,PT3の少なくとも1つの群が小ピッチY1,中ピッチY2,大ピッチY3の何れかのみからなるものでもよい。
このように、所定ピッチが連続するピッチ群が複数あって、異なるピッチ群を複数有するタイヤ20は、これらのピッチ群の間において剛性に差異が生じる。すなわち、一般的には小ピッチのブロックはタイヤ周方向の剛性は小さいがタイヤ幅方向の剛性は大きい。一方、大ピッチのブロックはタイヤ周方向の剛性は大きいがタイヤ幅方向の剛性は小さい。これにより、小ピッチのピッチ群と大ピッチのピッチ群との間では剛性差が生じるため、ステップ306において2つのピッチ群を指定して、次のステップ308で各ピッチ群間の剛性間差を均一にする最適化を行う。
すなわち、ステップ306では、ピッチ配列Vにより特定されるタイヤ20のピッチ群を2つ指定する。本実施の形態では、大ピッチのピッチ群PT3と小ピッチのピッチ群PT1を指定した場合を説明する。次のステップ308では、これらのピッチ群PT1,PT3を図4の最適化ルーチンによって最適化する。
図4のステップ100では、ピッチ配列により特定されるタイヤ形状の1ブロックを基準形状とし、ステップ306で指定された2つのピッチ群PT1,PT3の各々に含まれるブロックBL1,BL3について、この基準形状を有限要素法等のようにブロック剛性を数値的・解析的に求めることができる手法によりモデル化し、内部構造を含むタイヤ形状を表すと共にメッシュ分割によって複数の要素に分割された形状基本モデルをピッチ群毎に求める。なお、基準形状は、自然平衡状態のタイヤ形状の1ブロックに限らず任意の形状でよい。ここで、モデル化とは、タイヤ形状、構造、材料、パターンを、数値的・解析的手法に基づいて作成されたコンピュータプログラムへのインプットデータ形式に数値化することをいう。
図6はピッチ群PT1の1つのブロックBL1の形状基本モデルの一例を示すもので、1ブロックは8つの点D1,D2,D3,D4,D11,D12,D13,D14で定めることができる。図中、矢印Aはタイヤ周方向を、矢印Bはタイヤ幅方向を、矢印Cはタイヤ半径方向を、示す。また、PPは1ブロックの踏面を表し、PL1,PL2,PL3,PL4は踏面形状を表すライン、D1,D2,D3,D4は踏面形状を表すラインの交点である踏面の頂点を各々示している。このモデルでは踏面PPが四角形であるため、踏面PPには壁面HP1,HP2,HP3,HP4が連結される。また、踏面PPと略平行に底面BPが形成され、壁面と底面とにより底点D11,D12,D13,D14が形成される。
上記の壁面と底面との間の間隔は所謂溝深さに対応させることもできる。また、形状基本モデルは、複数の要素に分割可能になっており、タイヤ表面の複数の法線によって複数の要素に分割してもよく、また設計目的によって3角形等の任意の形状に分割してもよい。
なお、ピッチ群PT3の1つのブロックBL3の形状基本モデルは、上記ブロックBL1と同様のため、詳細な説明を省略し、対応する符号を説明する。ブロックBL3は、ブロックBL1の8つの点D1,D2,D3,D4,D11,D12,D13,D14に対応して点D5,D6,D7,D8,D51,D62,D73,D84が定められる。また、ブロックBL1の踏面形状を表すラインPL1,PL2,PL3,PL4に対応して、ブロックBL3はラインPL5,PL6,PL7,PL8を有し、ブロックBL1の踏面の頂点D1,D2,D3,D4に対応して頂点D5,D6,D7,D8を有している。また、ブロックBL1の踏面に連結される壁面HP1,HP2,HP3,HP4に対応してブロックBL3の踏面には壁面HP5,HP6,HP7,HP8連結される。また、ブロックBL1の壁面と底面とにより形成される底点D11,D12,D13,D14に対応して底点D51,D62,D73,D84が形成される。
次のステップ102では、タイヤ性能評価用物理量を表す目的関数、タイヤ形状を制約する制約条件及びタイヤ形状を決定する、すなわち各ピッチ群の要素であるブロックのブロック形状を決定する設計変数を決定する。本実施の形態では、操縦安定性や耐偏磨耗性を向上させるために、目的関数OBJ及び制約条件Gを次のように定めている。
目的関数OBJ:ブロック剛性間差を均一にする
制約条件G :タイヤ形状を制約するトレッド厚を均一にする
なお、上記目的関数OBJとして定めたブロック剛性間差は、各ピッチ群PT1,PT3毎に、タイヤ上に設けられるブロックBL1,BL3の位置を定めて各ブロックについてタイヤ周方向の剛性からタイヤ幅方向の剛性までを周知の剛性方程式で所定角度毎に求め、各ピッチ群PT1,PT3のブロック間の剛性差の値と、差のばらつき、例えば平均値と偏差を用いて計算することができる。従って、ピッチ配列上において、隣り合うピッチが同一のピッチであるピッチ群PT1,PT3の間で、剛性の分布や剛性の差を求めることになる。この剛性を求める方向の範囲や角度差分値を予め定めることによって、ブロック剛性について方向性を有するブロックを設計することができる。
また、制約条件Gとして定めたトレッド厚は、タイヤ上に設けられるブロックBL1,BL3を有するタイヤを形成するときに、ブロックBL1,BL3が必要とする体積以外の体積、すなわち、溝の体積から求めることができる。つまり、溝の体積に応じてタイヤ半径方向のゴム等の材料の流出量が定まり、この値からトレッド厚を推定できる。
さらに、設計変数は、本実施の形態では、壁面角度を採用しており、図5の角度演算ルーチンによって設定される。この角度演算ルーチンのステップ130では、図7に示すようにタイヤ内部の所定点(例えばタイヤ中心点)に基準点Pを設定する。次のステップ132では、ブロックの壁面を傾斜させることが可能な範囲をブロック形状を変化させる範囲として指定する。ステップ134では、踏面の頂点から隣り合う1組の点を選択することによってブロックの壁面を選択する。図7の例ではピッチ群PT1のブロックBL1の点D1,D2を選択することによって壁面HP1が選択されている。次のステップ138では、選択した壁面の稜線、図7の例ではラインPL1を通過する基準点Pからの直線、すなわちタイヤ半径方向の直線を基準線として、図7及び図8に示すように、基準線と、選択した壁面HP1との成す角度θ1を演算する。
次のステップ140では、残存する踏面の頂点からの隣り合う1組の点が有るか否かを判断することで他に壁面が有るか否かを判断し、残存しステップ140で肯定判断されたときはステップ134へ戻り上記処理を繰り返す。これによって、各壁面毎に角度θ1,θ2,θ3,・・・(以下一般化してθiと表す。ただし、i=1,2,・・・壁面の最大数)が演算される。全ての壁面について角度θiが演算されると(ステップ140で否定判断)、次のステップ142において壁面角度θiを設計変数riとして設定する。
このようにして目的関数OBJ、制約条件G及び設計変数riを決定した後、図4のステップ104において、設計変数riの初期値roにおける目的関数OBJの初期値OBJo及び制約条件Gの初期値Goを演算する。
次に、図4のステップ106では、形状基本モデルを変化させるために設計変数riを各々Δriずつ変化させる。なお、この設計変数riの変化は、全設計変数riを同時に変化させてもよく、また設計変数riのうちの1つ、もしくは設計変数riのうちの複数の設計変数を同時にΔri変化させてもよい。次のステップ108では、Δri変化させた壁面の角度によって形成される各ブロックの形状、すなわち壁面の角度が変化したことによる各点D1,D2,D3,D4,D11,D12,D13,D14、及び点D5,D6,D7,D8,D51,D62,D73,D84の座標を求め、設計変数をΔri変化させた後の各ブロック形状、すなわち各々の形状修正モデルを決定する。
ステップ110では、ステップ108で求めた形状修正モデルについて設計変数をΔri変化させた後の目的関数の値OBJi、制約条件の値Giを演算し、ステップ112で以下の式に従って、設計変数の単位変化量に対する目的関数の変化量の割合である目的関数の感度dOBJ/dri及び設計変数の単位変化量に対する制約条件の変化量の割合である制約条件の感度dG/driを各設計変数毎に演算する。
Figure 0004393590
この感度によって、設計変数をΔri変化させたときに目的関数の値及び制約条件の値がどの程度変化するか予測することができる。なお、この感度は、タイヤのモデル化に用いた手法や設計変数の性質によっては、解析的に求められる場合があるので、その際にはステップ110の演算は不要になる。
次のステップ114では、目的関数の初期値OBJo、制約条件の初期値Go、設計変数の初期値ro及び感度を用いて、数理計画法により制約条件を満たしながら目的関数を最小にする、すなわちブロック剛性間差を最小にする設計変数の変化量を予測する。この設計変数の予測値を用いて、ステップ115でステップ108と同様の方法により各形状修正モデルを決定すると共に、目的関数値を演算する。ステップ116において、ステップ115で演算した目的関数値OBJとステップ104で演算した目的関数の初期値OBJoとの差と、予めインプットされたしきい値とを比較することで目的関数の値が収束したか否かを判断し、目的関数の値が収束していない場合にはステップ114で求められた設計変数値を初期値として、ステップ104からステップ116を繰り返し実行する。目的関数の値が収束したと判断されたときには、このときの設計変数の値をもって制約条件を満たしながら目的関数を最小にする設計変数の値とし、ステップ120においてこの設計変数の値を用いて各ピッチ群の各ピッチを構成する各ブロック形状を決定する。これによって、タイヤの一部を構成する2つのピッチ群の形状が定まる。
本実施の形態では、1つのブロックの壁面を4つの場合を例にしたが、多数の壁面が形成されたブロックへの適用も可能である。この多数の壁面が形成されたブロックは、その踏面が多角形状を形成した踏面形状を表す複数ラインを有していると考えることができる。例えば、図9に示すように、1ブロックの踏面PPaは4つの点D1,D2,D3,D4を基本として、点D2と点D3との間に点D21,D22,D23,D24を形成し、点D2と点D3とを結ぶラインPL2(図6)に代えて、ラインPL21,PL22,PL23,PL24,PL25が形成される。同様に、点D1と点D4との間に点D41,D42,D43,D44を形成し、ラインPL4に代えて、ラインPL41,PL42,PL43,PL44,PL45が形成される。従って、踏面PPaには各ラインから連続する壁面HP1,HP21,HP22,HP23,HP24,HP25,HP3,HP41,HP42,HP43,HP44,HP45が連結される。これらの壁面HP1〜HP45の少なくとも1つを設計変数に定めることができる。
また、図10に示すように、1ブロックの角を所定量だけ削った、所謂面取りしたブロック形状への適用も容易である。図10の例では、1ブロックの踏面PPbは4つの点D1,D2,D3,D4を基本として、点D1側と点D4側を面取りする場合の例である。面取り量は、ブロックの点D1側の角が削られて形成されるべき点D1A,D1B,及び点D4側の角が削られて形成されるべき点D3A,D3Bの座標を定めることで求めることができる。従って、予め面取り量を定めておけば、各削りとるべき位置、すなわち点を定めることができ、この面取りにより形成されるべき壁面を含めた壁面の少なくとも1つを設計変数に定めることができる。
なお、上記では、ブロックの壁面を形成するラインが直線の場合を説明したが、ラインは直線に限定されるものではなく、図11に示すように、所定関数で表された曲線であってもよい。図11の例では、1ブロックの踏面PPcは4つの点D1,D2,D3,D4を有するが、点D1と点D2とを結ぶラインPL1Cが所定の関数(例えば、多次元曲線や双曲線)で表され、点D3と点D4とを結ぶラインPL3Cも所定の関数(例えば、多次元曲線や双曲線)で表される。この場合、ラインPL1C,PL3Cをラグランジェ補間によって曲線形状を定めてもよく、曲線自体を設計変数として変化させてもよい。また、踏面PPcの各ラインから連続する壁面は曲面となるが、1つの壁面を微小領域(微小平面)に分割して考えて、ラグランジェ補間等を用いて壁面を定めればよい。また、図12に示すように踏面PPdに連続する壁面そのものの形状を曲面にしてもよい。
このように、2つのピッチ群についてブロック単体での剛性を均一化できるので、タイヤトレッド部の接地面におけるブロック形状に影響されることなく、コーナリング性能や直進性能等の要求性能に応じて、タイヤのラグ溝形状やリブ溝形状等の適正化、及びタイヤ幅方向位置での適正化を図ることができ、タイヤの耐磨耗性と運動性能を高度に両立することができる。
なお、上記設計変数には、斜角度を採用することができる。この設計変数の設定は、図5の処理に代えて図13の斜角度演算ルーチンの実行によりなされる。斜角度演算ルーチンのステップ150では、図14に示すようにタイヤの踏面の所定点(図14の例では頂点D1)に基準点Qを設定する。次のステップ152では、ブロックの踏面のラインを傾斜させることが可能な範囲をブロック形状(踏面形状)を変化させる範囲として指定する。ステップ154では、踏面の指定された頂点に隣り合う点のうちラインを傾斜させるための点を選択することによってブロックの壁面を選択する。図14の例では点D4を選択することによって壁面HP4に連続するラインPL4が選択される。なお、ブロック形状として対向するラインを平行に維持させるため、ラインPL4の選択に合わせて対応するラインPL2も選択することが好ましい。次のステップ156では、選択したラインPL4と基準線(タイヤ幅方向と平行な方向の直線)との成す角度δを演算する。この角度δが斜角度である。次のステップ158では、斜角度を変化させるための変数として、ラインPL2,PL4を規定する点D3,D4の座標点を求める。この踏面形状はタイヤ幅方向の長さL1とタイヤ周方向の長さL2が予め定められているので、この各長さを変化させることなく斜角度δを変化させなければならない。このためには、点D3,D4は、タイヤ周方向に移動させればよい。この移動量Siを設計変数riとして設定する。
また、設計変数の他の例としては、ブロックに形成させるサイプの数があり、このサイプには、図15に示すように、サイプの幅wa及び傾きγaがある。また、図16に示すように、サイプの深さwb及びブロック内の傾きγbがある。さらに、サイプはブロックを通過するのに限定されず、図17に示すように、ブロックの中途までに形成するときのサイプの長さwcがある。
上記のようにして、2つのピッチ群の最適化が終了すると、図3のステップ310において、ピッチ配列V内の全てのピッチ群について上記の処理が終了したか否かを判断し、残存するピッチ群があるときはステップ306からステップ310を繰り返し実行する。
ピッチ配列V内の全てのピッチ群について最適化が終了すると、ステップ312へ進み、各ピッチ群の各ピッチを構成するブロック形状を決定すると共に、タイヤを構成する全ピッチ群のブロック形状を定めることにより、タイヤの形状を決定する。
このように、各ピッチ群について剛性間差を均一化できるので、タイヤトレッド部に形成されるピッチ配列のピッチの大小に影響されることなく、タイヤのラグ溝形状やリブ溝形状等の適正化、及びタイヤ幅方向位置での適正化を図ることができ、タイヤの耐磨耗性と運動性能を高度に両立することができる。
〔第2実施の形態〕
次に、第2実施の形態を説明する。上記実施の形態では、2つのピッチ群の剛性間差を均一化したが、多数のピッチ群では均一化されるブロック剛性の値がばらつくことがある。このため、本実施の形態では、剛性間差を安定的に均一化する。なお、本実施の形態は上記実施の形態と略同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図18に示すように、上記実施の形態と同様にして、2つのピッチ群の最適化が終了すると、ステップ320において、ピッチ配列V内の全てのピッチ群について上記の処理が終了したか否かを判断し、残存するピッチ群があるときはステップ322において、最適化した2つのピッチ群のうち何れかのピッチ群を基準ピッチ群として設定する。次のステップ324では、残存するピッチ群のうち、何れか1つのピッチ群を最適化ピッチ群として指定し、この指定した最適化ピッチ群について次のステップ326で最適化する。このステップ326では、設計変数として基準ピッチ群の設計変数を変動させることなく、最適化ピッチ群のみを変化させて最適化する(図4)。
最適化ピッチ群の最適化が終了すると、次のステップ328において、ピッチ配列V内の全てのピッチ群について最適化が終了したか否かを判断し、残存するピッチ群があるときはステップ324からステップ328を繰り返し実行する。ピッチ配列V内の全てのピッチ群について最適化が終了すると、ステップ330へ進み、各ピッチ群の各ピッチを構成するブロック形状を決定すると共に、タイヤを構成する全ピッチ群のブロック形状を定めることにより、タイヤの形状を決定する。
このように、全てのピッチ群について剛性間差を均一化できるので、タイヤトレッド部に形成されるピッチ配列のピッチの大小に影響されることなく、またブロック剛性の値がばらつくことなく、タイヤのラグ溝形状やリブ溝形状等の適正化、及びタイヤ幅方向位置での適正化を図ることができ、タイヤの耐磨耗性と運動性能を高度に両立することができる。
なお、上記各実施の形態では、2つのピッチ群を指定して剛性間差を均一化したが、均一化されるブロック剛性の値がばらつくことがある。このため、剛性間差を安定的に均一化してもよい。例えば、任意のピッチ群をタイヤ20の基準ピッチ群として定め、基準ピッチ群に対して剛性間差を均一にするように他のピッチ群を最適化してもよい。この場合、任意のピッチ群は、予め実験的に求めた既知のデータによるピッチ群を用いることができる。また、予めブロック剛性を定めておき、そのブロック剛性において、2つのピッチ群の剛性間差を均一化してもよい。
〔第3実施の形態〕
次に、第3実施の形態を説明する。本実施の形態は遺伝的アルゴリズムによってタイヤのブロック形状を設計するものである。上記実施の形態と異なる設計変数を用いたものである。なお、本実施の形態は上記実施の形態と略同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図19は、本実施の形態のプログラムの処理ルーチンを示すものである。ステップ200では、ピッチ配列Vに含まれる複数ピッチ群の各ブロック形状を、有限要素法等のようにタイヤのブロック剛性を数値的・解析的に求めることができる手法によりN個にモデル化し、内部構造を含むタイヤ形状基本モデルを求める。なお、Nは予め使用者がインプットする。本実施の形態で用いるタイヤ形状基本モデルの1ブロック形状モデルは、第1実施の形態の図6に示したものと同一である。
次のステップ202では、タイヤ性能評価用物理量を表す目的関数、タイヤ形状を制約する制約条件及びN個のタイヤ形状モデルの各ブロック形状を決定する設計変数を決定する。本実施の形態では、操縦安定性や耐偏磨耗性を向上させるために、目的関数OBJ及び制約条件Gを次のように定めている。
目的関数OBJ:ブロック剛性間差を均一にする
制約条件G :タイヤ形状を制約するトレッド厚を均一にする
また、設計変数である壁面角度は、第1実施の形態で述べた、図5の角度演算ルーチンによって、N個のタイヤ形状モデル各々について決定される。この処理は、第1実施の形態と同一のため、説明を省略する。
角度演算ルーチンをN回繰り返すことにより、目的関数OBJ、制約条件G及びN個のタイヤ形状モデルの各々の設計変数riJ(J=1,2,・・・,N)を決定した後、図19のステップ204において、N個のタイヤ形状モデルの各々の設計変数riJの各々の目的関数OBJJ及び制約条件GJを演算する。
次のステップ206では、ステップ204で求めたN個のタイヤ形状モデルの各々の目的関数OBJJ及び制約条件GJを用いて、N個の形状モデルの各々の適応関数FJを以下の式(4)に従って演算する。本実施の形態では、例えばブロック剛性間を均一にするため、適応関数による値(適応度)は、ブロック剛性の差、またはブロック剛性の標準偏差の差が小さくなると大きくなる。
Figure 0004393590
次のステップ208では、N個のタイヤ形状モデルの中から交叉させるタイヤ形状モデルを2個選択する。選択方法としては、一般に知られている適応度比例戦略を用い、N個の形状モデルのある個体eが各々選択で選ばれる確率Peは以下の式で表わされる。
Figure 0004393590
本実施の形態では、選択方法として適応度比例戦略を用いたが、この他、遺伝的アルゴリズム(北野宏明 編)に示されている様な、期待値戦略、ランク戦略、エリート保存戦略、トーナメント選択戦略、あるいはGENITORアルゴリズム等を用いてもよい。
次のステップ210では、選択された2個のタイヤ形状モデルを、使用者が予め入力した確率Tによって交叉させるか否かを決定する。ここでいう、交叉とは、後述するように、2個のタイヤ形状モデルの要素の一部を交換することをいう。否定判定で交叉させない場合は、そのままステップ216へ進む。一方、肯定判定で交叉させる場合には、ステップ214において後述するように2個のタイヤ形状モデルを交叉させる。
2個のタイヤ形状モデルの交叉は、図20に示す交叉ルーチンによって行われる。先ず、ステップ208において選択された2個のタイヤ形状モデルを形状モデルa及びタイヤ形状モデルbとすると共に、各々のタイヤ形状モデルa,bの設計変数について並びを含む設計変数ベクトルで表し、タイヤ形状モデルaの設計変数ベクトルをVra=(r1 a、r2 a、・・・、ri a、・・・、rn-1 a)、形状モデルbの設計変数ベクトルをVrb=(r1 b,r2 b、・・・ri b、・・・rn-1 b)とする。図20のステップ250では、予め定めた乱数を生成し、この乱数に応じてタイヤ形状モデルa,bの設計変数ベクトルに関する交叉場所iを決定する。
次のステップ252では、交叉すると決定されたタイヤ形状モデルa,bの設計変数ri a,ri bに対して、以下の式に従って距離dを求める。
d=|ri a−ri b
次のステップ254では、ri a、ri bの取り得る範囲の最小値BL及び最大値Buを用いて、以下の式に従って正規化距離d’を求める。
Figure 0004393590
ステップ256では、正規化距離d’の値を適度に分散させるために、図22A,図22Bに示すような山型の写像関数Z(x)(0≦x≦1,0≦Z(x)≦0.5)を用いて、以下の式に従って関数値Zabを求める。
ab=Z(d’)
このようにして、関数値Zabを求めた後、ステップ258において新しい設計変数ria、ribを次の式に従って求める。
Figure 0004393590
このようにして、ria、ribを求めた後、ステップ260で新しい設計変数の並びである設計変数ベクトルVr’a、Vr’bは以下のように求められる。
Vr’a=(r1 a、r2 a、・・・ria、ri+1 b、・・・、rn-1 b
Vr’b=(r1 b、r2 b、・・・rib、ri+1 a、・・・、rn-1 a
なお、riの取り得る範囲の最小値BL及び最大値Buは、使用者が予め入力しておく。また、写像関数Z(x)は図23A,図23Bに示すような、谷型の関数でもよい。また、上記の例では交叉場所iは1ヶ所であるが、この他に遺伝的アルゴリズム(北野 宏明 編)に示されているような、複数点交叉または一様交叉等を用いてもよい。
このような交叉によって新規な2個のタイヤ形状モデルを生成した後、図19のステップ216では、使用者が予め入力した確率Sで、突然変異させるか否かを決定する。この突然変異は、後述するように、設計変数の一部を微小に変更することをいい、最適な設計変数となりうる母集団を含む確度を高くするためである。ステップ216で、否定判定で突然変異させない場合には、ステップ226では現在の2個のタイヤ形状モデルのまま、次のステップ222へ進む。肯定判定で突然変異させる場合には、次のステップ220で以下のようにして突然変異させる。
この突然変異は、図21に示す突然変異ルーチンによって行われる。先ず、ステップ262では乱数を生成し、乱数によって突然変異の場所iを決定する。次のステップ264では、距離d’を
0≦d’≦1
の範囲で乱数により決定する。
次のステップ266では、図22A,図22Bに示すような山型の写像関数Z(x)(0≦x≦1で、0≦Z(x)≦0.5)あるいは図23A,図23Bに示すような谷型の写像関数Z(x)を用いて、以下の式に従って、関数値Zdを求める。
Zd=Z(d’)
このようにして、関数値Zdを求めた後、ステップ268において新しい設計変数ri’を以下の式に従って求める。
Figure 0004393590
このようにして、設計変数ri’を求めた後、ステップ270で求められる、新しい設計変数の並びである設計変数ベクトルVr’は以下のようになる。
Vr’=(r1、r2、・・・ri’、ri+1、・・・、rn-1
このようにして、新たに生成された2個のタイヤ形状モデルについて、目的関数の値と制約条件の値を第29図のステップ222で演算する。次のステップ224では、得られた目的関数の値と制約条件の値から前記実施の形態と同様に式(4)を用いて適応関数を演算する。
次のステップ226では、上記2個のタイヤ形状モデルを保存する。次のステップ228では、ステップ226で保存したタイヤ形状モデルの数が、N個に達したか否かを判断し、N個に達していない場合は、N個になるまでステップ208からステップ228を繰り返し実行する。一方、タイヤ形状モデルの数がN個に達した場合には、ステップ230で収束判定をし、収束していない場合には、N個のタイヤ形状モデルをステップ226で保存された形状モデルに更新し、ステップ208からステップ230を繰り返し実行する。一方、ステップ230で収束したと判断された場合には、N個のタイヤ形状モデルの中で制約条件を略満たしながら目的関数の値が最大となるタイヤ形状モデルの設計変数の値をもって制約条件を略満たしながら目的関数を最大にする設計変数の値とし、ステップ232においてこの設計変数の値を用いてタイヤの形状を決定する。
なお、ステップ230の収束判定は以下の条件のいずれかを満足したら収束とみなす。
1)世代数がM個に達した
2)一番目的関数の値が大きい線列の数が全体のq%以上になった
3)最大の目的関数の値が、続くp回の世代で更新されない。
なお、M、q、pは使用者が予め入力しておく。
このように、本実施の形態では、ピッチ群の間において剛性間差を均一化できるので、コーナリング性能やや直進性能等の要求性能に応じて、タイヤのラグ溝形状やリブ溝形状やサイプ形状等の適正化、及びタイヤ幅方向位置での適正化を図り、タイヤの耐磨耗性と運動性能を高度に両立することができる。
〔第4実施の形態〕
次に、第4実施の形態を説明する。上記実施の形態では、ピッチまたはピッチ群の剛性間差を均一化したが、本実施の形態では、溝壁角度を最適化してトレッド厚を均一化するものである。なお、本実施の形態は上記実施の形態と略同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図24に示すように、ブロックの形状は、タイヤ周方向に長さLBの長辺を有すると共に、タイヤ周方向と交差するタイヤ幅方向に長さLAの短辺を有しかつ高さDPを有している。長さLAの短辺に連続する溝壁HP1,HP3は、同一の溝壁角度εと設定され、長さLBの長辺に連続する溝壁HP2,HP4は、同一の溝壁角度φと設定される。
このブロックの溝壁角度ε、φを上記実施の形態で説明したように、最適化する。本実施の形態では、タイヤ形状のユニフォミティを均一化させるために、目的関数OBJ及び制約条件Gを次のように定めている。
目的関数OBJ:タイヤ形状を制約するトレッド厚を均一にする
制約条件G :ブロック剛性間差を均一にする
本実施の形態では、各ピッチ間または各ピッチ群間についてトレッド厚を均一化できるので、タイヤトレッド部に形成されるピッチ配列のピッチの大小に影響されることなく、タイヤのトレッド厚さの不均一を解消することができる。
上記の目的関数及び制約条件により、ブロックを最適化した結果、小ピッチについて溝壁角度ε=10度でかつ溝壁角度φ=3.5度の各角度が得られ、大ピッチについて溝壁角度ε=3度でかつ溝壁角度φ=10度の各角度が得られた。このときのトレッド厚さの差は、従来0.08mmであったのに対して0.01mmに向上された。図25A,図25Bは、方向に対する単位面積当たりの剛性を示すものであり、図25Aはトレッド厚を均一にする最適化前の従来の剛性、図25Bはトレッド厚を均一にした本実施の形態による最適化後の剛性を示した。本実施の形態では、タイヤ形状のユニフォミティは均一化されるが、図25A,図25Bから理解されるように、剛性のピッチ間差は、従来の形状に略一致または僅かに向上している。
〔第5実施の形態〕
次に、第5実施の形態を説明する。上記実施の形態では、ピッチまたはピッチ群の剛性間差を均一化したが剛性のピッチ間差の向上は僅かであった。本実施の形態では、溝壁角度を最適化してトレッド厚の均一化及びピッチまたはピッチ群の剛性間差の均一化をするものである。なお、本実施の形態は上記実施の形態と略同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
溝壁角度を最適化する場合、ピッチ配列により隣り合うブロック間の距離は定まると共に、溝深さも定まっているため、溝壁角度には変更可能な角度範囲を有する。従って、溝壁角度のみによる最適化には限界があることになる。そこで、本実施の形態では、トレッド厚の均一化及びピッチまたはピッチ群の剛性間差を均一化をするため、設計変数に底上げ量を導入した。
図26に示すように、底上げ量は、隣り合うブロックの間のトレッドからの高さDSである。また、図27に示すように、本実施の形態におけるピッチ配列Vによって定まるタイヤ20は、3種類のピッチ、すなわち小ピッチY1,中ピッチY2,大ピッチY3を含んで構成されており、小ピッチY1が8個連続するピッチ群PT1,中ピッチY2が4個連続するピッチ群PT2,大ピッチY3が5個連続するピッチ群PT3がタイヤ20上に形成される。図27の例では、タイヤ20の基準20sから時計回りの方向で、ピッチ群PT2,PT3,PT2,PT1,PT2,PT3,PT2,PT1,PT2,PT3,PT2,PT1が連続するように、ピッチ配列Vが構成される。
なお、本実施の形態では、ピッチ群PT1,PT2,PT3の各々は、小ピッチY1,中ピッチY2,大ピッチY3の各々が連続する複数個のピッチからなるものとして説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、ピッチ群PT1,PT2,PT3の各々を単一のピッチで構成してもよい。すなわち、ピッチ群PT1,PT2,PT3の少なくとも1つの群が小ピッチY1,中ピッチY2,大ピッチY3の何れかのみからなるものでもよい。
上記所定ピッチが連続するピッチ群が複数あって、異なるピッチ群を複数有するタイヤ20について、溝壁角度及び底上げ量を最適化し、トレッド厚の均一化及びピッチまたはピッチ群の剛性間差を均一にする最適化を行う。本実施の形態では、設計変数として上記実施のものに、底上げ量をさらに加えている。
本実施の形態では、各ピッチ間または各ピッチ群間についてトレッド厚及びピッチまたはピッチ群の剛性間差を均一化できるので、タイヤトレッド部に形成されるピッチ配列のピッチの大小に影響されることなく、タイヤのトレッド厚さの不均一を解消することができると共に、ピッチまたはピッチ群の剛性間差を均一にすることができる。
上記の目的関数、制約条件及び設計変数により、ブロックを最適化した結果、小ピッチについて溝壁角度ε=10度でかつ溝壁角度φ=2度の各角度であると共に、1mmの底上げ量が得られ、大ピッチについて溝壁角度ε=3度でかつ溝壁角度φ=10度の各角度が得られた。このときのトレッド厚さの差は、0.01mmであった。図28は、方向に対する単位面積当たりの剛性を示すものであり、この図から理解されるように、タイヤ形状のユニフォミティは均一化されると共に、剛性のピッチ間差は、略一致している。
ここで、上記ブロック構成によるピッチ配列でタイヤを作成しその効果を検証した結果を以下に示す。195/65R14のタイヤで3ピッチ、3山配列で適用させてタイヤを製作し、室内ユニフォミティの測定を行った。その結果を図29に示した。図29AはRFV(速度10km/h)による結果を示し、図29Bは高速RFV(速度120km/h)による結果を示し、図29Cは高速(速度10km/h)TFVによる結果を示し、図29DはLFV(速度120km/h)による結果を示している。なお、図中、斜線バーは従来のタイヤの結果を示し、白抜きバーは本実施形態が適用されたタイヤの結果を示した。図から理解されるように、従来のタイヤに比べて本実施の形態にかかるタイヤは11%〜50%の向上が見られる。また、タイヤを実車に装填し操縦安定性を測定した結果、従来5.5であったのに対して6.5に向上したという結果を得た。
また、上記パターン付タイヤについての剛性を検証するため、20mm平押し荷重を比較した。なお、この検証は、FEM解析で行った。ブロック剛性に約2%の違いがあると、接地面に小ピッチのみ配置したモデルで350.5kgf、接地面に大ピッチのみ配置したモデルで352.1kgfとなり、1.6kgfの差が生じる。本実施の形態のように、溝壁角度及び底上げ量を最適化し、トレッド厚の均一化及びピッチまたはピッチ群の剛性間差を均一にする最適化を行った結果、小ピッチで352.0kgfと向上し、剛性差が0.1kgfに向上した。
次に、本発明者は、トレッド厚さを均一にした効果を検証した。上記と同様に本実施の形態で設計した構成のタイヤを作成し、トレッド厚さを測定した結果を図30に示した。図から理解されるように、トレッド厚さは従来品の0.12mmのバラツキに対して本発明品は測定誤差約0.02mmも含み0.05mm内のばらつきで作成されている。また、このタイヤについての剛性を検証するため、20mm平押し荷重を比較した。なお、この検証は、FEM解析で行った。トレッド厚さが0.1mm暑くなると、352.1kgfから353.4kgfとなり、1.3kgfの剛性に向上される。
次に、異なるタイヤについて製作実験した結果を示す。ここでは、RE711のタイヤで適用させて製作した結果を示す。図31A,図31Bは、方向に対する単位面積当たりの剛性を示すものであり、図31Aは従来の剛性について示し、図31Bはトレッド厚を均一及び剛性均一にした本実施の形態による最適化後の剛性を示した。図31A,図31Bから理解されるように、剛性のピッチ間差は、従来のものに比べて本実施の形態によったものが略一致している。
〔第6実施の形態〕
次に、第6実施の形態を説明する。上記実施の形態では、形状を最適化した場合を説明したが、本実施の形態では、接地特性の変化を抑制するため、構造を変更するものである。なお、本実施の形態は上記実施の形態と略同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、図27に示したピッチ配列Vによって定まるタイヤ20を採用している。なお、タイヤとしては、195/65R14で溝深さが7.0のものに適用した場合を一例として説明する。また、本実施の形態では、長方形のブロック形状うち、菱形形状のブロックについて適用する。図32は、小ピッチY1,中ピッチY2,大ピッチY3と連続する部分のトレッドパターンを示したものである。小ピッチY1のブロックBLSは、タイヤ幅方向に長さLX1でかつタイヤ周方向に長さLY1である。また、中ピッチY2のブロックBLMは、タイヤ幅方向に長さLX2でかつタイヤ周方向に長さLY2である。同様に、大ピッチY3のブロックBLLは、タイヤ幅方向に長さLX3でかつタイヤ周方向に長さLY3である。本実施の形態では、一例として、LX1=LX2=LX3で各ブロック共に同一の長さ(=24mm)に設定し、LY1=21、LY2=27、LY3=33に設定した場合を説明する。
次に、本実施の形態にかかる面取りの位置及び面取り方法について説明する。図33Aに示すように、例えば、小ピッチY1のブロックBLS、及び大ピッチY3のブロックBLLを一例とすると、ブロックは菱形であるので角は4つあり、対向する角は略同一形状となる。これらのブロックについて、図33Bに示すように、小ピッチY1のブロックBLSはタイヤ幅方向の2角を面取りし、大ピッチY3のブロックBLLはタイヤ周方向の2角を面取りする。この面取りは、図33Cに示すように、面取りする以前の角の頂点D1,D11のうち、踏面側の点D1から稜線に沿って所定の長さLZの位置を面取り開始位置として、トレッド側の点D11へ向けて切断することにより行う。このように面取りを施すことによって、ブロック剛性間差の均一化を向上できる。
なお、上記ではタイヤ周方向及びタイヤ幅方向の何れかに面取りした場合を例にしたが、これに限定されるものではなく、面取りは、各ブロック毎に、タイヤ周方向及びタイヤ幅方向の少なくとも一方に施すことができる。
また、面取りの方法は、トレッド側の点D11へ向けて切断することに限定されるものではなく、稜線に沿った所定の長さLZと同等の深さで切断したり、予め定めた所定深さまでを切断したりしてもよい。
次に、上記第6実施の形態についての実施例を説明する。
〔第1実施例〕
本実施例は、ブロックをタイヤ周方向に面取りした場合に適用したものである。図34に示すように、本実施例では、小ピッチY1のブロックBLSには面取りを施さず、中ピッチY2のブロックBLMにはタイヤ周方向の角に2mmの面取りを施し、大ピッチY3のブロックBLLにはタイヤ周方向の角に5mmの面取りを施した。
次に、本発明者は、上記面取りを施したブロックについてブロック剛性のFEM解析実験を行い図35に示す結果を得た。図35Aは、面取りを施さない通常の設計による小ピッチと大ピッチとの各々に対する単位面積当たりのブロック剛性を示し、図35Bは、面取りを施した本実施例による小ピッチと大ピッチとの各々に対する単位面積当たりのブロック剛性を示した。図から理解されるように、ブロック剛性は均一化が向上されている。
また、本発明は、上記ブロックを実際にタイヤへ適用させて検証した。室内ユニフォミティの測定では、3次成分が向上し、RFVについては10%良化し、TFVについては15%良化したという結果を得た。また、タイヤを実車に装填し操縦安定性を測定した結果、従来5.0であったのに対して5.5に向上したという結果を得た。
〔第2実施例〕
本実施例は、ブロックをタイヤ幅方向に面取りした場合に適用したものである。図36に示すように、本実施例では、大ピッチY3のブロックBLLには面取りを施さず、小ピッチY1のブロックBLSにはタイヤ幅方向の角に2mmの面取りを施し、中ピッチY2のブロックBLMにはタイヤ幅方向の角に0.8mmの面取りを施した。
次に、本発明者は、上記面取りを施したブロックについてブロック剛性のFEM解析実験を行い図37A,図37Bに示す結果を得た。図37Aは、面取りを施さない通常の設計による小ピッチと大ピッチとの各々に対する単位面積当たりのブロック剛性を示し、図37Bは、面取りを施した本実施例による小ピッチと大ピッチとの各々に対する単位面積当たりのブロック剛性を示した。図から理解されるように、ブロック剛性は均一化が向上されている。
また、本発明は、上記ブロックを実際にタイヤへ適用させて検証した。室内ユニフォミティの測定では、3次成分が向上し、RFVについては10%良化し、TFVについては10%良化したという結果を得た。また、タイヤを実車に装填し操縦安定性を測定した結果、従来5.0であったのに対して5.25に向上したという結果を得た。
〔第3実施例〕
本実施例は、実際のタイヤのブロックを面取りした場合に適用したものである。本実施例では、275/40ZR18型で片側トレッド幅140mm、ピッチ長50.91:80.01のタイヤを採用したものである。
図38に示すように、本実施例では、小ピッチY1のブロックBLSにはタイヤ幅方向の角に2mmの面取りMsを施した。すなわち、図33Bの左側に示したように、小ピッチY1の各ブロックにタイヤ幅方向の2角に面取りを施した。また、図39に示すように、中ピッチY2のブロックBLMにはタイヤ幅方向の角に1mmの面取りMm2を施しかつタイヤ周方向に2mmの面取りMm1を施した。すなわち、図40に示すように、中ピッチY2の各ブロックにタイヤ幅方向の2角と、タイヤ周方向の2角との各々に面取りを施した。さらに、大ピッチY3のブロックBLLにはタイヤ周方向の角に4mmの面取りを施した。すなわち、図33Bの右側に示したように、大ピッチY3の各ブロックにタイヤ周方向の2角に面取りMLを施した。
本発明者は、上記面取りを施した実際のタイヤについて、タイヤを実車に装填し操縦安定性を測定した結果、従来5.5であったのに対して6.5に向上したという結果を得た。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の実施例には特許請求の範囲に記載した要件以外に、次のような各種の技術事項の実施態様を有するものである。
8. 請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の各ステップを含む空気入りタイヤの設計方法で設計された形状によってタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法
9. 前記タイヤ基本モデルは、内部構造を含むタイヤクラウン部のうちの1部のパターン形状、及び内部構造を含むタイヤ周方向に連続する陸部の形状として小ピッチの形状モデルと、大ピッチの形状モデルと、を含み、タイヤ基本モデルの周方向及び幅方向の少なくとも一方に角を有する場合に、小ピッチの形状の幅方向の角を面取りすると共に、大ピッチの形状の周方向の角を面取りしたことを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤの設計方法。
10. 大ピッチの幅方向の角は、小ピッチの幅方向の角より小さいこと、及び小ピッチの周方向の角は、大ピッチの周方向の角より小さいことの少なくとも一方であることを特徴とする項9に記載の空気入りタイヤ。
11. 前記大ピッチと、小ピッチとの間に中ピッチを設けたことを特徴とする項9または10に記載の空気入りタイヤ。
これは、タイヤ1回転中のブロックの大きさが変化することに伴う接地特性の変化を抑制し、操縦安定性とユニフォミティー(所謂均一化)を向上させることを目的とする。
これによって、ブロックの大きさの違いによるタイヤ回転中の接地特性のレベルを略一致させることができる。具体的には、ブロック剛性を同一レベルにし、ブロックの変形、力の発生が各ピッチとも同一になる方向に近づけることができる。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明にかかる空気入りタイヤの設計方法は、例えば複数のピッチからなるピッチ配列のタイヤ設計に用いて好適であり、特に、形状ばらつきが起因すると想定される剛性やユニフォミティを均一化させて設計に用いるのに適している。

Claims (11)

  1. 次の各ステップを含む空気入りタイヤの設計方法。
    (a)内部構造を含むブロック単体の形状、内部構造を含むタイヤクラウン部のうちの1部のパターン形状、及び内部構造を含むタイヤ周方向に連続する陸部の形状のうち選択された1つの形状を表す形状モデル及び前記形状モデルと異なる形状を表す形状モデルからなる形状基本モデルを複数備えたタイヤ基本モデルと、
    前記形状基本モデルに関連するタイヤ性能評価用物理量を表す目的関数と、
    前記選択された1つの形状を決定する設計変数と、
    前記ブロック単体の形状、パターン形状及び陸部の形状、タイヤ断面形状及びタイヤ性能評価用物理量の少なくとも1つを制約する制約条件と
    を定めるステップ。
    (b)前記制約条件を考慮しながら、前記目的関数の最適値が与えられるまで設計変数の値を変化させながら演算することにより設計変数の値を求めるステップ。
    (c)前記ステップ(b)で求めた設計変数の値に基づいて前記タイヤ基本モデルを設計することによりタイヤを設計するステップ。
  2. 前記設計変数は、前記形状基本モデルの少なくとも1つの形状モデルを基準形状モデルとし、他のブロック単体の形状またはパターン形状もしくは陸部の形状を決定するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  3. 前記設計変数は、予め定めた前記形状モデルを基準モデルとし、ブロック単体の形状またはパターン形状もしくは陸部の形状を決定するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  4. 前記ステップ(b)では、設計変数の単位変化量に対する目的関数の変化量の割合である目的関数の感度及び設計変数の単位変化量に対する制約条件の変化量の割合である制約条件の感度に基づいて制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の変化量を予測すると共に、設計変数を予測量に相当する量変化させたときの目的関数の値及び設計変数を予測量に相当する量変化させたときの制約条件の値を演算し、予測値と演算値とに基づいて、制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の値を求める請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  5. 前記ステップ(a)では、前記形状基本モデルを複数有するタイヤ基本モデルを複数個含んだ選択対象集団を定め、該選択対象集団の各タイヤ基本モデルについて、前記目的関数、前記設計変数、前記制約条件、及び目的関数と制約条件とから評価できる適応関数を定め、
    前記ステップ(b)では、適応関数に基づいて前記選択対象集団から2つのタイヤ基本モデルを選択し、所定の確率で、選択した一方のタイヤ基本モデルの設計変数の値の配列の一部を該配列の一部に対応する他方のタイヤ基本モデルの設計変数の値の配列の一部と交換することによって交叉させて新規の設計変数の値の配列の2つのタイヤ基本モデルを生成すること及び所定の確率で、少なくとも一方のタイヤ基本モデルの設計変数の一部を他の設計変数の値に変更させて新規の設計変数の値の配列のタイヤ基本モデルを生成することの少なくとも一方を行い、設計変数を変化させたタイヤ基本モデルの目的関数、制約条件及び適応関数を求めて該タイヤ基本モデル及び設計変数を変化させなかったタイヤ基本モデルを保存しかつ保存したタイヤ基本モデルが所定数になるまで繰り返し、保存した所定数のタイヤ基本モデルからなる新規集団が所定の収束条件を満たすか否かを判断し、収束条件を満たさないときには該新規集団を前記選択対象集団として該選択対象集団が所定の収束条件を満たすまで繰り返すと共に、該所定の収束条件を満たしたときに保存した所定数のタイヤ基本モデルのなかで制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の値を求める請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  6. 前記設計変数は、ブロック単体の形状、パターン形状及び陸部の形状のうち選択された1つの形状によって形成されるべきタイヤ陸部の面に連結された面の角度、前記タイヤ陸部の面までの高さ、前記タイヤ陸部の面の形状、前記タイヤ陸部の面に連結された面の形状、サイプの位置、本数、幅、深さ、傾き、形状及び長さのサイプ形状、の少なくとも1つを表す変数を含む請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  7. 前記形状基本モデルを複数有するタイヤ基本モデルの各々は、タイヤ周方向の長さが異なることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の各ステップを含む空気入りタイヤの設計方法で設計された形状によってタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法
  9. 前記タイヤ基本モデルは、内部構造を含むタイヤクラウン部のうちの1部のパターン形状、及び内部構造を含むタイヤ周方向に連続する陸部の形状として小ピッチの形状モデルと、大ピッチの形状モデルと、を含み、タイヤ基本モデルの周方向及び幅方向の少なくとも一方に角を有する場合に、小ピッチの形状の幅方向の角を面取りすると共に、大ピッチの形状の周方向の角を面取りしたことを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  10. 前記大ピッチの形状の幅方向の角は、前記小ピッチの形状の幅方向の角より小さいこと、及び小ピッチの形状の周方向の角は、大ピッチの形状の周方向の角より小さいことの少なくとも一方であることを特徴とする請求項9に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  11. 前記タイヤ基本モデルは、前記大ピッチと、小ピッチとの間に中ピッチを設けたことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の空気入りタイヤの設計方法。
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