JP4365260B2 - なたね香味油の製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、なたね香味油の製造法に関し、詳しくは酸化安定性に優れ、しかも色調がよく、香味豊かであると同時に有機溶剤や薬剤との接触暦(接触履歴)のない自然のままの食用なたね香味油の製造法に関するものである。
従来、なたね種子から製造される香味油はなたね赤水と称されて古くから食品に用いられてきた。その一般的な製造方法は、種子の前処理工程、採油工程、精製工程(軽度な脱酸と脱色)を経るものである(例えば、非特許文献1参照)。
前処理工程としては、通常、種子の予熱、粗砕、圧扁、熱処理の工程が含まれる。この前処理工程の目的は、種子成分中のたんぱく質を熱変性によって凝固させて脂質を集合させて採油しやすくすると同時に、種子の水分を乾燥させて採油を容易にするためである。
従って、この熱処理を効率よく達成するために種子を粗砕や圧扁によって砕いたのち熱処理を行うことが通常採られている。しかも、この熱処理によって起こるメイラード反応などによって香味が生成することから、香味油の製造に際しては通常の処理温度よりもより高い処理温度が採用されている。
しかしながら、このように粗砕された種子が高温で空気に曝されることにより油脂の酸化劣化が起こることと、リン脂質の分解酵素(リゾレシチナーゼ)が活動して油脂の精製工程で除去し難いリン脂質分解物(リゾレシチンなど)が生成し油の中に溶出するため、後の油脂の精製工程では燐酸や苛性ソーダなどの薬剤接触精製が避けられない。と同時に、この薬剤接触精製によって、目的とした香味成分が大部分蒸散除去されてしまうことになる。
従って、香味油の製造においては、これらの不要物質の生成を抑えながら、一方で香味成分の生成を促進できるような前処理工程を確立することが望まれている。
採油工程は、前処理工程を経たなたねから採油する工程であるが、これには機械的に圧搾する方法(圧搾法)、石油系の溶剤で抽出する方法(抽出法)及び両者の併用法(圧抽法)がある。
しかしながら、溶剤を用いる方法は、油から脱溶剤するに際して蒸留が必要となり、これによって香味成分が揮散・散逸してしまうため、香味油の製造には採用される例は少ない。従って、圧搾法のみの採用が好ましい。
油脂の精製工程は、油脂に溶解して含まれてくるリン脂質や採油の前処理などで劣化生成した遊離脂肪酸等の不純物の除去を目的としている。このうちリン脂質を主体とした不純物は温水の添加によって水和させて、油への溶解性をなくして沈降又は遠心力により分離除去される。また、脂肪酸はその後に苛性ソーダのようなアルカリとの接触で脂肪酸石鹸に変えて遠心分離や水洗によって除去する。
しかしながら、採油の前処理工程で種子を粗砕することにより既述のように、リゾレシチナーゼなどの酵素が活性化されてリゾレシチンが生成し、これが2価金属と結合して水和性のない状態で油に溶解してくる。この量は賦香のため熱処理を長時間行うほど多く生成してくる。従って、これを精製除去するために燐酸などの強酸を油脂に接触させて、難水和性のリン脂質分解物の金属塩から金属をキレート除去することが必至となる。
また、前処理工程での熱処理が苛酷になれば油脂のエステル分解が起こり遊離脂肪酸の油への溶出量が増大し、アルカリとの接触精製が必要となる。さらに、ここで生成する脂肪酸石鹸は通常の遠心分離や温水洗滌で完全に除去するのが難しく、残存石鹸を除去するため珪藻土を用いて吸着ろ過する工程が追加される場合があり、精製工程は複雑となり、かつ、香味成分の損失と変質は免れない。
よって、薬剤精製の必要のない粗油の採油法と香味を損失させない精製法の開発が望まれるところである。
さらに、通常の油脂の精製工程では、採油の前処理で生成した香味が精製を経るに従って削減されていくことは免れない。精製法の一環としてなたね油が本来持つ香味成分の積極的な賦与が可能であるような精製法の開発が必要である。
小野哲夫、太田静行共著、「食用油脂の製造技術」、p5〜6、ビジネスセンター社、1992年発行
本発明は、上記従来の問題点を解消し、酸化安定性に優れ、しかも色調がよく、香味豊かであると同時に有機溶剤や薬剤との接触暦(接触履歴)のない自然のままの食用なたね香味油の製造法を提供することを目的とするものである。
食品に広く用いられる香味油は、油溶性香味成分を多く含む植物や動物原料を高温で油脂中に溶出させて作るものや、油脂の採油工程で積極的に香味成分を生成させて採油したり油脂精製条件をマイルドにし製造したものなどがある。例えば、後者の例としては、胡麻油とかオリーブ油があげられ、各種食品に一般的に用いられてきた。
これらの範疇の香味油として日本人に古来から好まれてきたものに、なたねを原料として製造したもので「赤水」と呼ばれるものがあり、主として揚げ油に使用されてきた。
このなたね香味油は、従来、通常の採油の前処理工程と同様に、予熱、粗砕、圧扁、熱処理(クッキング)を経てから機械的に圧搾法によって採油されたものを原料油としてきた。僅かに通常のものと異なる点は、クッキング温度を普通品製造の条件よりも高く、100〜110℃に設定して香味成分の生成を促してきたことにある。この香味成分は、メイラード反応による褐変物質やなたね特有の含硫配糖体に基づく反応生成物によると思われるが、詳細は不明である。
この高温前処理によって香味成分の生成量は増大したが、一方、粗砕後に空気に曝しながら熱処理をするため、同時に劣化生成物の生成や基質の油脂そのものの酸化劣化も促した。即ち、リン脂質にホスホリパーゼが働きリゾリン脂質が生成してカルシュウムやマグネシュームなどと金属キレートを生成して難精製となったり、油脂にはリパーゼの作用によって遊離脂肪酸のような不純物がより多く生成する。
従って、香味成分を油脂の精製過程で逸散させないようにマイルドな精製条件を選択することが出来ず、通常品の精製と類似して強酸や強アルカリとの接触は避けられなかった。
さらに、強アルカリとの反応で生成する脂肪酸の除去は水洗による定法の手段では完結しないため、珪藻土などを用いたろ過工程が採用されてきた。その結果、珪藻土臭の付着と香味そのものの低下が付随することになる。
昨今、食品添加物などによる食品アレルギーの懸念から、油脂の薬剤精製を避け、天然の成分のみに基づく香味油の要請が強い。そこで従来手法に基づくなたね香味油の欠点を補い、薬剤との接触を一切行わず、且つ、なたね天然種子のみから積極的に香味成分を油脂に移行させることを考えて研究を重ね、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、なたね種子を115〜125℃で焙煎したのち圧搾して得られる粗油を、温水乃至熱水と接触させて前記粗油中に溶解している不純物を水和凝集させて除去する工程と、得られた半精製油に120〜140℃で焙煎処理したなたね圧搾粕を1〜10重量%添加してろ過する工程とを含む香味油の製造法を提供するものである。
本発明の特徴とするところは第一に、なたね油の採油の前処理工程で、原料なたねを粗砕など種子に裂傷を与えるような操作を避け、特定の温度範囲で焙煎することによって油脂の劣化を抑えながら焙煎香と抗酸化性物質の生成を促進することにある。
そして採油に際しては、機械的な圧搾手段のみを用いて採油し、有機溶剤を用いる抽出採油法の場合のような溶剤分離に伴う揮発性香味成分の揮散・散逸を避けることにある。
第二の特徴は、粗油の精製工程において通常用いられる薬剤との接触による油脂基質及び香味成分の変質を避けるため、不純物の除去精製に際しては温水のみとの穏やかな接触によって不純物を水和させて油脂から分離を行うことにある。
第三に本発明の最大の特徴とするところは、油への賦香と抗酸化性の強化を図り、同時に油から不純物の除去を助長するために、予めなたね圧搾粕を特定の温度条件で処理して香味と抗酸化性物質を生成させたものを前記のようにして得られた半精製油に添加して、これらを油に移行させたのち、ろ過助剤として用いてろ過することにある。
本発明によれば、酸化安定性に優れ、しかも色調がよく、香味豊かであると同時に有機溶剤や薬剤との接触暦のない自然のままの食用なたね香味油の製造法が提供される。
本発明は香味油の製造法に関し、なたね種子を115〜125℃で焙煎したのち圧搾して得られる粗油を、温水乃至熱水と接触させて前記粗油中に溶解している不純物を水和凝集させて除去する工程と、得られた半精製油に120〜140℃で焙煎処理したなたね圧搾粕を1〜10重量%添加してろ過する工程とを含むものである。
本発明者らは、第一に採油の前処理工程で油脂劣化を避けるため、なたね種子の粗砕と圧扁を行わないことを考えた。
そして通常の香味油の条件である100〜110℃で15分程度のクッキング条件を行ったが、熱効率の低下のために香味成分生成が不十分であり、生成を促進するために長時間のクッキングを採用すると、高水分のために油脂の加水分解が促進された。
そこで試行錯誤を重ねた結果、従来よりもさらに高温である115〜125℃にて15分程度の熱処理で、目的の調味成分の生成が行われることが分かった。
従って、本発明では、まずなたね種子を115〜125℃で焙煎したのち圧搾して粗油を得ている。焙煎時間は、10〜15分程度でよいが、これに限定されるものではない。例えば、115〜120℃で焙煎した場合には、焙煎時間は、15分程度であるが、120〜125℃で焙煎した場合には、焙煎時間は、10分程度で十分である。
さらに、この条件下では通常の植物油に含まれる抗酸化物質であるトコフェロールの他に、メイラード反応によると思われる抗酸化物質が生成して油脂の抗酸化性が著しく増加することが分かった。また、この温度範囲による焙煎ではホスホリパーゼやリパーゼ酵素の失活が容易で、難精製性のリゾリン脂質の生成も遊離脂肪酸の生成も極少量に抑えられた。
上記温度範囲をさらに超えると、上皮部が炭化劣化したり、焙煎中に微分化したものの発火の危険があり、上記温度範囲が適切であることが分かった。
本発明者らは、第二に、得られた油脂の精製において強酸や強アルカリとの接触を避け得るか検討した。
そこで前記前処理によって得られた粗油の精製方法を種々試行した。その結果、前記前処理によって得られた粗油はリゾリン脂質の生成が少ない他に、リン脂質そのものの油脂中への溶出量が少なく、脱ガム工程(リン脂質の除去)は燐酸やクエン酸などと接触することなく油中に温水を沸騰しない程度に導入することにより完結し、かつ、粗油中に混合してきた蛋白や糖質の微細物はガムに付着して容易に除去できることが分かった。
遊離脂肪酸もその生成が少ないことからアルカリとの接触も必要なく、従って、温水脱ガムのみで一切の精製が完結できることになること、よって一切の薬剤との接触の必要はなく、香味成分の散逸を防止した温水精製法を完成するに至った。
即ち、本発明では、このようにして得られる粗油を、温水乃至熱水と接触させて前記粗油中に溶解している不純物を水和凝集させて除去している。
温水乃至熱水としては、50℃以上のものであればよく、特に制限はない。また、前記粗油と温水乃至熱水との接触時間も特に制限はないが、通常、1〜3時間程度である。
本発明者らは、第三に、油脂への香味成分の積極的な賦与を考え、種々検討した。
その結果、採油工程の副産物である圧搾粕を賦香味剤として使用することに着目した。圧搾粕中には油分が7〜8%残存しており、これを加熱することにより香味物質の生成を促すことを目的に試行を重ねた結果、圧搾粕を120〜140℃に加熱したものの中に目的物が顕著に生成し、これを前記の精製油で抽出することにより賦香味が可能であることを見出した。さらに、本発明者らは、この加熱により、物質は特定できていないが抗酸化性物質が生成し、油に移行して油の安定性が増大することを見出した。しかも、この加熱処理粕は高温処理したため蛋白凝固も行われており、珪藻土のような無機吸着剤と同様にろ過助剤としても機能することが分かった。
即ち、本発明では、このようにして得られた半精製油に120〜140℃で焙煎処理したなたね圧搾粕を1〜10重量%添加してろ過することが必要である。ろ過自体は、通常のろ過に従えばよい。
ここで焙煎温度が140℃を超えると、こげ臭が生じてくるため好ましくない。
また、焙煎時間は、焙煎温度等により異なり一義的に決定することは困難であるが、一般に5〜15分間程度でよい。
油脂への添加量は、過剰であれば油脂の吸着損失が増大するため、賦香との兼ね合いで決定されるものであるが、1〜10重量%の添加、特に3〜8重量%程度の添加が好ましい。
本発明は以上の三つの条件によって完結するものであり、特に圧搾粕を高温処理したものを賦香味と賦抗酸化とろ過助剤に兼用することは、これまで全く知られておらず、全く新規な方法である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
比較例1
(1)なたね香味油の製造
以下の手法に従い、表1に示すようにしてなたね香味油を製造した。
原料は、実施例を含めて全て2002年度カナダ産なたねの低グルコシノレート及び低エルカ酸品種を用いた。
実施規模は、実施例を含めてなたね原料10kgとし、実験室規模の搾油、精製装置を用いて行った。
この比較例1では、上記原料を粗砕した後、100〜110℃で10分間加熱することにより前処理を行った。
原料の粗砕は、フレーキングロールのロールクリアランスを広げて、常温のままで行い、種子が3〜5個程度に粗砕されるころを目安として行った。
この前処理工程の加熱(クッキングと称する)は、ステンレス製の開放型ケトルを用いて、直火加熱で所定温度に達温させ、コゲないように攪拌を行いながら、所定の時間保持した。
次いで、採油工程を行った。
採油はリング型圧搾機を用いて行い、採油がスムースに行われることを目途として行い、搾油粕の残油分は管理項目から除外した。
搾油して得られた原油(粗油)各1kgを油脂精製用原料とした。
原油(粗油)の精製工程としては、脱ガム処理を行った。
脱ガム処理は3L容のステンレスビーカーを用い、直火加熱で、スクリュウ攪拌羽根を駆動させて行った。これは原油(粗油)中に含まれてくるリン脂質や糖脂質及び粕の微粉等の固形分などを除去することを目的としており、これらを水和させて油への溶解性をなくして凝集させ、油から沈降などによって分離するものである。
表1において、「湯澄」とは、燐酸との接触攪拌工程を行わず、油温95℃で10%の沸騰水を添加し、さらにビーカーの底部にガラス管を経て蒸気を油表面から僅かに気泡が出る程度に導入しながら、油温を95℃以上にして2時間維持したのち、静置して上部の凝固物と下部の沈降物を除いた清澄油を採取したものである。約800gの脱ガム油が得られた。
脱ガム処理を経て油中に残存するリン脂質の量は、リンの測定値をもって示した。この値の30倍が実際のリン脂質の含有量となる。この値が多いと、その後の精製工程がスムースに運ばないため精製条件を過酷にする必要があり、結果として香味が減少する。リンの残存量は20ppm以下になっていることが望ましい。
なお、各工程は実験室規模で行い、油の品質評価を目的としたため歩留まりの多寡については留意しなかった。油の収量は工業的規模における収量を意味するものではない。
(2)なたね香味油の品質の測定評価
このようにして製造されたなたね香味油について、その品質を測定評価した。結果を表1に示す。
なたね香味油の品質測定は、リン、酸価、AOM(油に空気を吹き込み所定の過酸化物価に達するまでの時間。大きいほど酸化安定性がよい。)、色調(ロビボンド比色計、1インチセル)は、基準油脂分析試験法に従ったものである。フレバースコアーは社内の官能審査パネルを用いた評価で、満点を10点とした。総合判定は油の品質を重点項目として、予想収量などを含めて評価したものであり、○、△、×の3段階で評価した。
比較例2
比較例1において、脱ガム処理における「湯澄」の代わりに「燐酸」による処理を行い、かつ、脱酸処理を行うと共に、珪藻土によるろ過を行ったこと以外は、比較例1と同様にしてなたね香味油を製造し、その品質の測定評価を行った。結果を表1に示す。
脱ガム処理で「燐酸」と記したものは、油に対して濃燐酸0.1重量%を添加し、80℃で10分間攪拌して、非水和性のリゾリン脂質2価金属塩からキレート脱離させてリゾリン脂質を水和性にしたのち、5重量%の沸騰水を添加して10分間攪拌後静置し、分離してきた上澄油を採取する工程を示す。約800gの脱ガム油が得られた。
次に、脱酸処理は、脱ガム処理に用いた燐酸の残存物中和と遊離脂肪酸の中和と、これによって出来る脂肪酸石鹸による残存リン脂質の吸着除去などを目的としている。香味を保存したいため中和量の95%程度の苛性ソーダを用いて処理した。即ち、油温90℃で15%濃度の苛性ソーダの所定量を加え、10分間攪拌して反応させたのち、生成した石鹸類を静置して沈降分離させた。約700gの脱酸油が得られた。
また、珪藻土によるろ過は、油脂の脱色用に供されている市販の活性白土を0.2%添加して、60℃で10分間攪拌後にろ紙で濾別することにより行った。
比較例3
比較例1において、原料の粗砕を行わず、かつ、ろ過工程として、圧搾工程で得た圧搾粕を、開放型のステンレス製容器で、直火を用いて攪拌しながら10分間110℃の温度で焙煎し、得られた焙煎粕を油温60℃で1.0重量%添加し10分間攪拌後、ろ紙で濾別して約600〜650gの製品油を得たこと以外は、比較例1と同様にしてなたね香味油を製造し、その品質の測定評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1
比較例1において、原料の粗砕を行わず、かつ、前処理工程における100〜110℃で10分間の加熱を115〜120℃で15分間の加熱に変えると共に、ろ過工程として、圧搾工程で得た圧搾粕を、開放型のステンレス製容器で、直火を用いて攪拌しながら10分間120℃で焙煎し、得られた焙煎粕を油温60℃で3.0重量%添加し10分間攪拌後、ろ紙で濾別して約600〜650gの製品油を得たこと以外は、比較例1と同様にしてなたね香味油を製造し、その品質の測定評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
比較例1において、原料の粗砕を行わず、かつ、前処理工程における100〜110℃で10分間の加熱を115〜120℃で15分間の加熱に変えると共に、ろ過工程として、圧搾工程で得た圧搾粕を、開放型のステンレス製容器で、直火を用いて攪拌しながら10分間130℃で焙煎し、得られた焙煎粕を油温60℃で5.0重量%添加し10分間攪拌後、ろ紙で濾別して約600〜650gの製品油を得たこと以外は、比較例1と同様にしてなたね香味油を製造し、その品質の測定評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
比較例1において、原料の粗砕を行わず、かつ、前処理工程における100〜110℃で10分間の加熱を120〜125℃で10分間の加熱に変えると共に、ろ過工程として、圧搾工程で得た圧搾粕を、開放型のステンレス製容器で、直火を用いて攪拌しながら10分間140℃で焙煎し、得られた焙煎粕を油温60℃で5.0重量%添加し10分間攪拌後、ろ紙で濾別して約600〜650gの製品油を得たこと以外は、比較例1と同様にしてなたね香味油を製造し、その品質の測定評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
比較例1において、原料の粗砕を行わず、かつ、前処理工程における100〜110℃で10分間の加熱を120〜125℃で10分間の加熱に変えると共に、ろ過工程として、圧搾工程で得た圧搾粕を、開放型のステンレス製容器で、直火を用いて攪拌しながら10分間140℃で焙煎し、得られた焙煎粕を油温60℃で10.0重量%添加し10分間攪拌後、ろ紙で濾別して約600〜650gの製品油を得たこと以外は、比較例1と同様にしてなたね香味油を製造し、その品質の測定評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4
比較例1において、原料の粗砕を行わず、かつ、前処理工程における100〜110℃で10分間の加熱を125〜130℃で10分間の加熱に変えると共に、ろ過工程として、圧搾工程で得た圧搾粕を、開放型のステンレス製容器で、直火を用いて攪拌しながら10分間150℃で焙煎し、得られた焙煎粕を油温60℃で5.0重量%添加し10分間攪拌後、ろ紙で濾別して約600〜650gの製品油を得たこと以外は、比較例1と同様にしてなたね香味油を製造し、その品質の測定評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004365260
表1の結果から、以下のことが分かる。
まず、比較例1は、文献に示されている古典的な手法によるものである。残存リン脂質が多く、フレバーは中間の値を示すが加熱により発煙が多く、劣化も速いことが分かる。
次に、比較例2は、これを改善するため脱ガム工程で燐酸処理を行い、かつ、軽度の苛性ソーダ処理による脱酸を行い、さらに残存する石鹸を少量の珪藻土によって吸着ろ過させたものである。即ち、従来法と称すべきものである。油の加熱劣化は改善されるが、珪藻土臭が付着して、さらに改善が要請されるものであることが分かる。
また、比較例3は、前処理の粗砕を避けて酵素の活動を制限する目的のものである。精製は古典的手法で行ったが、脱ガム油の残存リンが比較例1に比較して低下したものの、なお風味の改善が要請されるものであることが分かる。
これに対して、実施例1〜3は、前処理条件が適切で、かつ、ろ過に用いる焙煎粕の処理条件と添加量が適切であることを示している。精製は湯澄のみで完結し脱酸を必要としない。良好な焙煎香が賦与されていることが分かる。
なお、実施例4は、ろ過に使用する粕の焙煎条件と添加量が上限を示すもので、これを超える条件では油の吸着ロスが過大となることが分かる。
一方、比較例4は、前処理及び粕の焙煎条件が過剰であることを示唆している。こげ臭が賦与されて好ましくないことが分かる。
本発明の方法により製造される香味油は、揚げ油やドレッシングなどの一般的な油脂食品に広く利用できる他、食品への香味賦与を目的とした練り込み油などとして幅広く油脂含有加工食品に利用できるものである。

Claims (1)

  1. なたね種子を115〜125℃で焙煎したのち圧搾して得られる粗油を、温水乃至熱水と接触させて前記粗油中に溶解している不純物を水和凝集させて除去する工程と、得られた半精製油に120〜140℃で焙煎処理したなたね圧搾粕を1〜10重量%添加してろ過する工程とを含む香味油の製造法。
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