JP2015119728A - 揚げ物用油脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、調理時における加熱着色、加熱臭、及び、極性化合物生成を抑制することを可能とする揚げ物用油脂組成物の製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の揚げ物用油脂組成物の製造方法は、精製された食用油脂に、食用油脂の原油、食用油脂の中間的油脂、レシチン、リン酸、及びリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種のリン由来成分をリン含有量として0.1〜10ppm、並びに、ポリジメチルシロキサン0.1〜10ppm添加する工程を含む。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の揚げ物用油脂組成物の製造方法は、精製された食用油脂に、食用油脂の原油、食用油脂の中間的油脂、レシチン、リン酸、及びリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種のリン由来成分をリン含有量として0.1〜10ppm、並びに、ポリジメチルシロキサン0.1〜10ppm添加する工程を含む。
【選択図】なし
Description
本発明は、加熱調理時における加熱耐性に優れ、特に加熱時の極性化合物の生成、加熱着色及び加熱臭を顕著に抑制する揚げ物用油脂組成物の製造方法に関する。
フライ、天ぷら等の揚げ物を調理するための油として、大豆油、菜種油、パーム油等の揚げ物用食用油脂が単独または数種類ブレンドして使用されている。揚げ物調理では、食用油脂を約180℃又はそれ以上の高温度に加熱した後、そこに、適宜、衣をまとった食材を投入することにより行なわれる。加熱調理時には、酸素、熱、食材の水分、食材から溶出する成分等の影響によって、様々な油劣化が起きる。すなわち、油脂は、加熱によって、熱酸化、熱分解、熱重合、加水分解等の反応が複合的に進み、その結果、加熱着色、加熱臭、酸価上昇、極性化合物の生成等の現象で示される油脂劣化が生じる。
酸価は、油脂1g中に存在する遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を意味する。加熱や酵素反応等により油脂が加水分解すると、遊離脂肪酸が増加し、酸価が上昇するため、酸価は、油脂の劣化の指標となる。一方、過酸化物価は、油脂の自動酸化(常温付近の油脂が空気と接触して起こる酸化)を測定する指標である。揚げ物用油脂のように高温で加熱された油脂では、過酸化物価が低くなるので、過酸化物価は、揚げ物用油脂組成物の加熱時の劣化の指標に向かない。
揚げ物用油脂が加熱劣化すると、分解生成物、芳香族化合物、重合物、遊離脂肪酸等の物質が生成する。これらの物質は、すべて極性を持っている。EUでは、油脂のトリグリセリド以外の形状となった極性化合物量が劣化生成物全体を表す指標となると考えられている。極性化合物量は、揚げ物用油脂中のトリグリセリドを主体とする非極性化合物を定量し、その残部を極性化合物とみなして百分率で算出される。EUでは、極性化合物量は25〜27%になった時点を油脂の使用限界としている。
これらの油脂劣化は、揚げ物の品質や調理環境を悪化させるので、上記の劣化の一つでも起きた油脂の長時間使用は、避けるべきである。
揚げ物調理時の油脂の劣化を抑制する先行技術として、劣化を促進する物質として知られているリン脂質、微量金属等をできる限り除去するために、油脂の精製条件を強化する手法が取られている。しかし、現状の液体油の精製条件はかなり強化されており、これ以上の精製強化は、逆に油脂を痛める可能性がある。
特許文献1では、油脂中に微量のリン分を含有させることにより、加熱着色を抑制できる方法が示されている。しかし、この方法では、後述の比較例2に示すように、加熱臭や極性化合物を抑制できない点で、油脂の劣化を総合的に防ぐには有効でない。
本発明は、加熱調理時における加熱着色、加熱臭及び極性化合物生成を抑制することで長時間の使用に耐える揚げ物用油脂組成物を製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、揚げ物用油脂に特定量のリン由来成分及びポリジメチルシロキサンを添加することにより、揚げ物用油脂の加熱調理時の加熱着色、加熱臭及び極性化合物生成のいずれも抑制できることを発見して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、揚げ物用油脂組成物の製造方法であって、精製された揚げ物用食用油脂に、食用油脂の原油、食用油脂の中間的油脂、レシチン、リン酸及びリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種のリン由来成分をリン含有量として0.1〜10ppm、並びに、ポリジメチルシロキサンを0.1〜10ppm添加する工程を含むことを特徴とする、前記製造方法を提供する。
上記製造方法により得られる揚げ物用油脂組成物は、加熱時の極性化合物の生成、加熱着色及び加熱臭を抑制することを特徴とする。
精製された揚げ物用油脂に、特定のリン由来成分をリン含有量として0.1〜10ppm、及び、ポリジメチルシロキサンを0.1〜10ppm含有させることを特徴とする本発明の揚げ物油脂組成物の製造方法によれば、従来の揚げ物用油脂組成物と比べて、加熱調理時の油脂の加熱着色、加熱臭及び極性化合物生成のいずれも顕著に抑制可能である。よって、本発明の製造方法により得られる油脂組成物は、長期間の加熱耐性が要求される揚げ物用油脂組成物として最適である。しかも、本発明の製造方法は、上記効果を奏する揚げ物用油脂組成物を、安価かつ簡便に製造することができる。
本発明において揚げ物用食用油脂にリン由来成分及びポリジメチルシロキサンを添加すると、加熱着色、加熱臭及び極性化合物生成のすべての点において、リン由来成分及びポリジメチルシロキサンの単独使用よりも顕著に抑制される。この効果は、従来の技術から全く知られておらず、また予想できないことである。
本発明の揚げ物用油脂組成物の製造方法の実施の形態を、以下に説明する。本発明の製造方法は、精製された揚げ物用食用油脂に、食用油脂の原油、食用油脂の中間的油脂、レシチン、リン酸、及びリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種のリン由来成分をリン含有量として0.1〜10ppm、並びに、ポリジメチルシロキサンを0.1〜10ppm添加する工程を含むことを必須とする。
上記の精製された揚げ物用食用油脂は、特に限定がなく、揚げ物用食用油として用いられているものであればよい。具体例として、大豆油、菜種油、パーム系油脂、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、紅花油、ひまわり油、綿実油、米油、落花生油、パーム核油、ヤシ油等の植物油脂、牛脂、豚脂等の動物脂、並びに、これらを分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂が挙げられる。精製された揚げ物用食用油脂は、上記の油脂の一種単独でもよく、あるいは二種類以上のブレンドでもよい。好ましくは、大豆油、パーム系油脂、及び/又はひまわり油を含む油脂であり、さらに好ましくは、大豆油、及び/又はパームオレインである。特に、大豆油を含む油脂で効果が顕著である。
上記の精製された食用油脂は、その油糧原料から、圧搾抽出及び/又は溶剤抽出により原油を得て、その原油をさらに精製することにより得ることができる。圧搾抽出は、原料に高圧を加えて細胞中の油分を搾り取ることにより行うものである。圧搾抽出は、ゴマのような比較的油分の高い油糧原料に向いている。溶剤抽出は、原料となる油糧種子を圧扁もしくは圧搾抽出後の残渣に溶剤を接触させ、油分を溶剤溶液として抽出し、得られる溶液から溶剤を留去して油分を得ることにより行う。溶剤抽出は、大豆のような含油量の少ない原料に向いている。溶剤にはヘキサン等を使用する。
精製手段としては、植物油の一般的な精製工程を適用することができる。すなわち、一般に、(抽出油)原油→脱ガム油→脱酸油→脱色油→脱臭油(精製油)の順に不純物が除かれ、それぞれの間の操作である「脱ガム処理」、「脱酸処理」、「脱色処理」、「脱臭処理」の工程は、それ自体としては一般的な、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、脱臭処理等が採用される。
脱ガム処理は、油分中に含まれるリン脂質を主成分とするガム質を水和除去する工程である。脱酸処理は、アルカリ水で処理することにより、油分中に含まれる遊離脂肪酸をセッケン分として除去する工程である。脱色処理は、油分中に含まれる色素を活性白土に吸着させて除去する工程である。脱臭処理は、減圧下で水蒸気蒸留することによって油分中に含まれる有臭成分を除去する工程である。なお、オリーブ、ゴマ、紅花及びひまわりについては、圧搾抽出及び/または溶剤抽出された原油をそのまま、あるいは該原油が簡単な水洗処理を施されたものを食用に供される場合がある。
こうして得られる精製された食用油脂は、実質的にリン分を含んでいない。本発明の製造方法は、精製された食用油脂にリン由来成分を添加する。リン由来成分という用語は、本明細書において、リンを含み、油脂組成物の原料となる成分の意義で使用される。リン由来成分は、食用油脂の原油、食用油脂の中間的油脂、レシチン、リン酸、及びリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
食用油脂の原油とは、本明細書において、上記植物油脂の油糧原料を、上記の圧搾抽出法、溶剤抽出法、又はこれらの組み合わせからなる精製前の油脂を意味する。本明細書において、中間的油脂とは、食用油脂の精製工程の途中で得られる脱ガム油、脱酸油及び脱色油、並びに上記精製工程から脱ガム工程、脱酸工程等の一部の工程を省いた粗精製油を意味する。中間的油脂は、好ましくは脱ガム油等の脱酸処理工程を省いた油脂である。
上記レシチンには、大豆レシチン、ひまわりレシチン、菜種レシチン、コーンレシチン、サフラワーレシチン等の植物レシチン、卵黄レシチン等の動物レシチンが挙げられる。上記レシチンは、天然由来の未精製レシチン(クルードレシチン)、クルードレシチンから中性脂質、脂肪酸、炭水化物、タンパク質、無機塩、ステロール、色素等の不純物を常法により除去して得られる高純度に精製されたレシチン(精製レシチン)のいずれでもよい。さらに、レシチン中のフォスファチジルコリンを分画して得られる分画レシチン、レシチンをリゾ化処理することにより得られるリゾレシチン、酵素分解処理した酵素レシチンのような改質レシチンでもよい。
上記リン酸塩には、リン酸三カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸三マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸二水素カルシウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、これらの水和物等が挙げられる。
上記リン由来成分は、好ましくは圧搾油、抽出油、脱ガム油、レシチン、リン酸及びリン酸塩である。
本発明の製造方法において、リン由来成分の添加量は、リン含有量として0.1ppm〜10ppm、好ましくは0.3ppm〜8ppm、さらに好ましくは0.5ppm〜5ppmであり、最も好ましくは1ppm〜3ppmである。リン分が0.1ppmより少ないと、加熱着色抑制効果が不十分となる場合がある。逆に、10ppmより多いと、加熱着色が促進される場合がある。
本発明の製造方法は、所定量のリン分を含有することが必須であるところ、該組成物中にリン分を含有させる方法には特に制限はない。本発明の油脂組成物を工業的に得るには、精製された食用油脂(すなわち、脱臭処理までされリン分が無いもの)にリン由来成分を添加することによりリン分を調整する方法が挙げられる。
本発明の製造方法は、特定量のポリジメチルシロキサンを添加することを必須とする。例えば、ポリジメチルシロキサンの粘度は、30〜1500mPasであり、好ましくは50〜1200mPasであり、より好ましくは、75〜1000mPasである。
ポリジメチルシロキサンの添加量は、揚げ物用油脂組成物に対して、0.1〜10ppm、好ましくは0.5〜8ppm、さらに好ましくは1〜5ppmである。ポリジメチルシロキサンが0.1ppmより少ないと、加熱着色抑制効果が不十分となる、逆に、10ppmより多いと、加熱着色が促進される、場合がある。
本発明の製造方法において、リン由来成分とポリジメチルシロキサンとは、同時に添加しても、時系列的に添加してもよい。時系列的に添加する場合、リン由来成分とポリジメチルシロキサンの添加順序は問わない。
本発明は、本発明の効果を妨害しない程度であれば、抗酸化剤、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類、乳化剤、香料等の助剤を添加してもよい。
本発明の製造方法により得られる揚げ物用油脂組成物は、例えば天ぷら、コロッケ、とんかつ、唐揚げ、魚フライ、ポテトフライ、揚げ豆腐、揚げ米菓、スナック菓子、ドーナッツ、インスタントラーメン等の揚げ物食品の製造に好適に使用される。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。また、「部」は、重量部を意味する。
〔実施例1及び2〕
1.揚げ物用油脂組成物の調製
実施例及び比較例に使用する精製食用油脂、リン由来成分、及びポリジメチルシロキサンとして、以下の物を用意した。
1.揚げ物用油脂組成物の調製
実施例及び比較例に使用する精製食用油脂、リン由来成分、及びポリジメチルシロキサンとして、以下の物を用意した。
(精製食用油脂)
精製大豆油:大豆白絞油(株式会社J−オイルミルズ社製、リン分検出されず)
精製パームオレイン:精製パームオレイン(ヨウ素価:67、株式会社J−オイルミルズ社製、リン分検出されず)
精製ひまわり油:ひまわり油(株式会社J−オイルミルズ社製、リン分検出されず)
精製大豆油:大豆白絞油(株式会社J−オイルミルズ社製、リン分検出されず)
精製パームオレイン:精製パームオレイン(ヨウ素価:67、株式会社J−オイルミルズ社製、リン分検出されず)
精製ひまわり油:ひまわり油(株式会社J−オイルミルズ社製、リン分検出されず)
(リン由来成分)
菜種由来脱ガム油(株式会社J−オイルミルズ社製、リン分:94ppm)
レシチン:レシチンAY(株式会社J−オイルミルズ社製、リン分:20,000ppm)
菜種由来脱ガム油(株式会社J−オイルミルズ社製、リン分:94ppm)
レシチン:レシチンAY(株式会社J−オイルミルズ社製、リン分:20,000ppm)
(ポリジメチルシロキサン)
高粘度ポリジメチルシロキサン(粘度:861mPas、信越化学工業株式会社製)
低粘度ポリジメチルシロキサン(粘度:95mPas、信越化学工業株式会社製)
高粘度ポリジメチルシロキサン(粘度:861mPas、信越化学工業株式会社製)
低粘度ポリジメチルシロキサン(粘度:95mPas、信越化学工業株式会社製)
上記成分を表1に示す配合で混合し、揚げ物用油脂組成物を調製した。組成物中のリン分を高周波プラズマ発光分光法により、ICP発光分光分析装置(製品名iCAP6000、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を用いて分析した。
2.加熱試験
磁性皿に上記油脂組成物600gを張り込み、220℃で5時間加熱した。加熱後の油脂組成物の色調、加熱臭、及び極性化合物を以下の方法で測定した。
磁性皿に上記油脂組成物600gを張り込み、220℃で5時間加熱した。加熱後の油脂組成物の色調、加熱臭、及び極性化合物を以下の方法で測定した。
(加熱着色)
ロビボンド比色計(製品名 PFX990、THE TINTOMETER.LTD社製)により、1インチセルを用いて、色調10R+Y値を算出した。結果を表1に示す。
ロビボンド比色計(製品名 PFX990、THE TINTOMETER.LTD社製)により、1インチセルを用いて、色調10R+Y値を算出した。結果を表1に示す。
(加熱臭評価)
上記加熱後の油脂の油面から15cmの高さの臭いを以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
×:非常に強い
△:強い
〇:普通
上記加熱後の油脂の油面から15cmの高さの臭いを以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
×:非常に強い
△:強い
〇:普通
(極性化合物)
基準油脂分析試験法2.5.5−2013に基づき、加熱後の油脂中に、極性化合物測定装置(製品名デジタル食用油テスターtesto270、株式会社テストー製)を挿入することにより、極性化合物含有量(%)を測定した。結果を表1に示す。
基準油脂分析試験法2.5.5−2013に基づき、加熱後の油脂中に、極性化合物測定装置(製品名デジタル食用油テスターtesto270、株式会社テストー製)を挿入することにより、極性化合物含有量(%)を測定した。結果を表1に示す。
表1から以下のことがわかる。比較例1において、精製大豆油(比較例1)を加熱すると、加熱着色、加熱臭及び極性化合物の増大が著しい。比較例2において、リン由来成分として菜種脱ガム油を単独に食用油脂に添加すると、加熱着色が少し改善されるが、加熱臭及び極性化合物生成は改善されない。比較例3及び4において、ポリジメチルシロキサンを単独に食用油脂に添加すると、加熱着色及び極性化合物生成が抑制されるものの、加熱臭は改善されない。一方、実施例1及び2のように、リン由来成分及びポリジメチルシロキサンの両方を食用油脂に添加すると、加熱着色、加熱臭及び極性化合物生成のいずれも改善される。しかも、加熱着色及び極性化合物生成の改善度は、ポリジメチルシロキサン単独よりも優れる。以上のことから、本発明の揚げ物用油脂組成物の製造方法によれば、加熱着色、加熱臭及び極性化合物生成において、総合的に優れる加熱耐性を油脂組成物に付与することが可能となることが判明した。
〔実施例3〜5〕
実施例2において、リン由来成分(菜種脱ガム油)の添加量及び種類を表2に示すように変えた以外は、実施例1と同様の手順で油脂組成物を調製し、加熱試験を行なった。結果を表2に示す。
実施例2において、リン由来成分(菜種脱ガム油)の添加量及び種類を表2に示すように変えた以外は、実施例1と同様の手順で油脂組成物を調製し、加熱試験を行なった。結果を表2に示す。
表2から以下のことがわかる。実施例3及び4に示すように、リン由来成分をリン含有量として0.5〜4ppm添加することで、加熱着色、加熱臭及び極性化合物生成のいずれも改善される。また、実施例3〜5で示すように、リン由来成分として脱ガム油又はレシチンいずれでも、効果が得られることがわかった。
〔実施例6及び7〕
比較例1又は実施例2において、精製食用油脂を表3に示すものに変えた以外は、実施例2と同様の手順で油脂組成物を調製し、加熱試験を行なった。結果を表3に示す。
比較例1又は実施例2において、精製食用油脂を表3に示すものに変えた以外は、実施例2と同様の手順で油脂組成物を調製し、加熱試験を行なった。結果を表3に示す。
表3から以下のことがわかる。実施例6及び7で示すように、精製食用油脂は、大豆油だけでなく、パームオレイン及びひまわり油であっても、加熱着色、加熱臭及び極性化合物生成のいずれも改善される。
〔実施例8〕
比較例1で使用した大豆油に対して、大豆脱ガム油(リン由来成分)をリン含有量として2ppm、粘度95mPasのポリジメチルシロキサンを3ppm、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ、sigma−aldrich社製)を200ppm、ビタミンAを800ppm、及びビタミンDを100ppmを配合した油脂組成物Aを調製した。
比較例1で使用した大豆油に対して、大豆脱ガム油(リン由来成分)をリン含有量として2ppm、粘度95mPasのポリジメチルシロキサンを3ppm、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ、sigma−aldrich社製)を200ppm、ビタミンAを800ppm、及びビタミンDを100ppmを配合した油脂組成物Aを調製した。
油脂組成物Aを用いて、二種類の冷凍食品:
コロッケ(製品名「Newポテトコロッケ」、味の素冷凍社製)、及び
鶏唐揚げ(製品名「若鶏の唐揚げ」、味の素冷凍社製)
を、180℃で加熱調理した。得られたコロッケ及び鶏唐揚げは、異風味等がなく、おいしく食することができた。
コロッケ(製品名「Newポテトコロッケ」、味の素冷凍社製)、及び
鶏唐揚げ(製品名「若鶏の唐揚げ」、味の素冷凍社製)
を、180℃で加熱調理した。得られたコロッケ及び鶏唐揚げは、異風味等がなく、おいしく食することができた。
Claims (4)
- 揚げ物用油脂組成物の製造方法であって、精製された揚げ物用食用油脂に、食用油脂の原油、食用油脂の中間的油脂、レシチン、リン酸、及びリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種のリン由来成分をリン含有量として0.1〜10ppm、並びに、ポリジメチルシロキサンを0.1〜10ppm添加する工程を含むことを特徴とする、前記製造方法。
- 前記揚げ物用油脂組成物は、加熱時の極性化合物の生成を抑制することを特徴とする、請求項1に記載の揚げ物用油脂組成物の製造方法。
- 前記揚げ物用油脂組成物は、加熱着色を抑制することを特徴とする、請求項1に記載の揚げ物用油脂組成物の製造方法。
- 前記揚げ物用油脂組成物は、加熱臭を抑制することを特徴とする、請求項1に記載の揚げ物用油脂組成物の製造方法。
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A521 | Written amendment |
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