JP4288860B2 - 放射線画像変換パネル及びその製造方法 - Google Patents

放射線画像変換パネル及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルに関するものであり、詳しくは、接着力及び画像均一性に優れた放射線画像変換パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線画像は、病気診断用などの分野で多く用いられている。このX線画像を得る方法としては、被写体を通過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせた後、この可視光を通常の写真を撮るときと同様にして、ハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料ともいう)に照射し、次いで現像処理を施して可視銀画像を得る、いわゆる放射線写真方式が広く利用されている。
【0003】
しかしながら、近年では、ハロゲン化銀塩を有する感光材料による画像形成方法に代わり、蛍光体層から直接画像を取り出す新たな方法が提案されている。
【0004】
この方法としては被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を例えば光又は熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出し画像化する方法がある。
【0005】
具体的には、例えば、米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号公報などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法が知られている。
【0006】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネルを使用するもので、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を、例えば、光電変換して、電気信号を得て、この信号をハロゲン化銀写真感光材料などの記録材料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生するものである。
【0007】
上記の放射線画像の再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せによる放射線写真法と比較して、はるかに少ない被曝線量で、かつ情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点を有している。
【0008】
このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的には、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0009】
これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使用が可能である。つまり従来の放射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線画像変換方法では放射線画像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0010】
放射線画像変換パネルを使用した放射線画像変換方式の優劣は、該パネルの輝尽性発光輝度およびパネルの発光均一性に大きく左右され、特に、これらの特性は用いる輝尽性蛍光体の特性が大きく支配されていることが知られている。
【0011】
また、様々な条件下で用いられる放射線画像変換パネルにおいて、支持体と蛍光体層との接着性が、重要な特性の1つであり、特公平4−44959号では、支持体と蛍光体層間に架橋剤を含有する下引き層を設ける方法が開示されているが、単に下引き層を設けるだけでは、その上に塗設される蛍光体層の乾燥過程で、蛍光体層に含まれる溶剤の拡散により、下引き層が溶解したり、あるいは変形により、蛍光体層の面質が不均一となり、画像ムラを招く結果となる。
【0012】
また、蛍光体シートの製造過程において、支持体上に下引き層を形成後、一旦ロール状に積層した状態で巻き取ったり、あるいは規定のサイズのシート状とし、それらを積層して保存させる場合、積層された状態で一定期間保存されると下引き層と上部の支持体裏面とでブロッキング現象を起こし、接着してしまう故障がしばしば発生する。
【0013】
この様に、放射線画像変換パネルにおいては、支持体との接着性及びそれに伴う画像均一性が改良された放射線画像変換パネルの開発が、切望されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、接着力及び画像均一性に優れた放射線画像変換パネル及びその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0016】
1.支持体上に、高分子樹脂と架橋剤を含有する下引き層と高分子樹脂中に分散された輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体層をこの順に積層してなる放射線画像変換パネルにおいて、該輝尽性蛍光体層が含有する高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃未満で、かつ該下引き層が含有する高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃以上であり、該下引き層を形成した後、40〜150℃で2〜100時間の熱処理を施し、次いで該下引き層上に輝尽性蛍光体層を形成することを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0018】
.前記下引き層上に保護シートを積層した後、40〜150℃で2〜100時間の熱処理を施し、次いで該保護シートを剥離した後、輝尽性蛍光体層を形成することを特徴とする前記1に記載の放射線画像変換パネル。
【0019】
.前記下引き層の膜厚が5〜40μmであることを特徴とする前記1または2に記載の放射線画像変換パネル。
【0020】
.前記架橋剤が多官能イソシアネート化合物であり、かつ下引き層中の高分子樹脂に対し15〜50質量%含有していることを特徴とする前記1〜項のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネル。
【0021】
.前記輝尽性蛍光体がEu付加BaFI化合物であることを特徴とする前記1〜項のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネル。
【0022】
.前記1〜項のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネルを製造することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【0023】
本発明者は、上記課題に対し鋭意検討を行った結果、支持体と特定の範囲の平均ガラス転移点温度(Tg)を有する高分子樹脂を含有する輝尽性蛍光体層間に、特定の範囲の平均ガラス転移点温度(Tg)を有する高分子樹脂と架橋剤を含む下引き層を設け、下引き層を形成した後、一定の条件下で加熱処理を施すことで、下引き層の膜強度を高めることにより、その後塗設する輝尽性蛍光体層との強固な接着力及び優れた画像均一性を達成することができることを見いだし、本発明に至った次第である。更に、上記加熱処理工程において、下引き層を塗設した支持体を積層した形態で処理する際に、下引き層と積層する支持体裏面間でのブロッキングを、下引き層上に、表面に離型剤を含む保護シートを積層した試料間に挟み、加熱処理することにより防止できることを新たに見いだした。
【0024】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の放射線画像変換パネルは、主に、支持体とその表面に設けられた下引き層、蛍光体層からなり、蛍光体層は、一般に、蛍光体とこれを分散保持する高分子樹脂とから構成される。また、蛍光体層の支持体側とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜からなる保護層膜が設けられる。
【0025】
はじめに、本発明に係る下引き層について説明する。
本発明に係る下引き層では、架橋剤により架橋できる高分子樹脂と架橋剤とを含有していることが1つの特徴である。
【0026】
下引き層で用いることのできる高分子樹脂としては、平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃以上であれば特に制限はないが、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ、請求項に係る発明では、下引き層で用いる高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃以上であることが特徴の1つであり、好ましくは25〜200℃のTgを有する高分子樹脂を用いることである。
【0027】
本発明に係る下引き層で用いることのできる架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、多官能イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、請求項に係る発明では、架橋剤として多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましく、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
【0028】
本発明に係る下引き層は、例えば、以下に示す方法により支持体上に形成することができる。
【0029】
まず、上記記載の高分子樹脂と架橋剤を適当な溶剤、例えば後述の輝尽性蛍光層塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、これを充分に混合して下引き層塗布液を調製する。
【0030】
架橋剤の使用量は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%以下の比率で添加することが好ましく、特には、請求項に係る発明では、15〜50質量%であることが特徴である。
【0031】
下引き層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂及び架橋剤の種類等により異なるが、一般には3〜50μmであることが好ましく、特には、請求項に係る発明では、5〜40μmであることが好ましい態様である
【0032】
本発明で用いることのできる支持体または仮支持体としては、例えば、ガラス、ウール、コットン、紙、金属などの種々の素材から作られたものが使用することができるが、情報記録材料としての取り扱い上、可撓性のあるシート或いはロールに加工できるものが好ましい。この点から、例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスティックフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属シート、一般紙及び例えば写真用原紙、コート紙、若しくはアート紙のような印刷用原紙、バライタ紙、レジンコート紙、ベルギー特許第784,615号明細書に記載されているようなポリサッカライド等でサイジングされた紙、二酸化チタンなどの顔料を含むピグメント紙、ポリビニールアルコールでサイジングした紙等の加工紙が特に好ましい。これら支持体の膜厚は、用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、下引き層との接着力を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0033】
本発明においては、上記支持体上に下引き層を塗設した後、輝尽性蛍光体層を塗布する前に、下引き層に含有した高分子樹脂と架橋剤との反応をより完遂させるため、40〜150℃で2〜100時間の熱処理を行うことが1つの特徴である。熱処理方法としては、特に制限はなく、作製したシート状、ロール状等の下引き層塗設済み試料が完全に収納でき、かつ温度、湿度が制御できる恒温室であればいずれの方法を用いても良い。請求項1に係る発明では熱処理条件としては、40〜150℃で2〜100時間であることが特徴であるが、好ましくは55〜100℃、5〜50時間である。
【0034】
請求項に係る発明では、支持体上に下引き層を形成した後、ロール状で積層した形態、あるいはシート状で積層した形態で上記加熱処理を行う際に、各積層試料間に、保護シートを挿入し、加熱処理後に保護シートを取り除いた後、輝尽性蛍光体層を塗設することが特徴である。本発明の方法を採ることにより、加熱処理時の下引き層と支持体裏面とのブロッキングを効果的に防止することができ好ましい。本発明で用いることのできる保護シートとして、用いる材料に特に制限はなく、接着あるいは融着が防止でき、かつ保護シートと下引き層あるいは、支持体裏面との接着力が極めて弱いものであれば良く、例えば、後述の保護フィルムとして用いる各種樹脂フィルムを適宜選択して用いることができる。また、保護シートには、加熱処理後の剥離を容易とするため、離型剤が塗布されていることが好ましい。
【0035】
次いで、輝尽性蛍光体層について説明する。
本発明に係る輝尽性蛍光体層は、少なくとも輝尽性蛍光体と高分子樹脂とを含有している。
【0036】
本発明で用いることのできる輝尽性蛍光体(以下、単に蛍光体ともいう)としては、波長400〜900nmの範囲に発光波長のあるものが一般的に使用される。
【0037】
以下に、本発明の放射線画像変換パネルで用いることのできる蛍光体の例を挙げる。
【0038】
(1)特開昭55−12145号に記載されている(Ba1-X,M(II)X)FX:yA、(式中、M(II)はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、そしては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2である)の組成式で表される希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0039】
a)特開昭56−74175号に記載されている、X′、BeX″、M(III)X′′′3、式中、X′、X″、およびX′′′はそれぞれCl、BrおよびIの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属である
b)特開昭55−160078号に記載されているBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al23、Y23、La23、In23、SiO2、TiO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25およびThO2などの金属酸化物
c)特開昭56−116777号に記載されているZr、Sc
d)特開昭57−23673号に記載されているB
e)特開昭57−23675号に記載されているAs、Si
f)特開昭58−206678号に記載されているM・L、式中、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である
g)特開昭59−27980号に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−27289号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物;特開昭59−56479号に記載されているNaX′、式中、X′はCl、BrおよびIのうちの少なくとも一種である
h)特開昭59−56480号に記載されているV、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;特開昭59−75200号に記載されているM(I)X′、M′(II)X″2、M(III)X′′′3、A、式中、M(I)はLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′(II)はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属を表し、M(III)はAl、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であり、X′、X″、およびX′′′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
i)特開昭60−101173号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
j)特開昭61−23679号に記載されているM(II)′X′2・M(II)′X″2、式中、M(II)′はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX″はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である;更に、特開昭61−264084号明細書に記載されているLnX″3、式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。
【0040】
(2)特開昭60−84381号に記載されているM(II)X2・aM(II)X′2:xEu2+(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0041】
a)特開昭60−166379号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
b)特開昭60−221483号に記載されているKX″、MgX′′′2、M(III)X″″3、式中、M(III)はSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、X′′′およびX″″はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
c)特開昭60−228592号に記載されているB、特開昭60−228593号に記載されているSiO2、P25等の酸化物、特開昭61−120882号に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
d)特開昭61−120883号に記載されているSiO;特開昭61−120885号に記載されているSnX″2、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
e)特開昭61−235486号に記載されているCsX″、SnX′′′2、式中、X″およびX′′′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−235487号に記載されているCsX″、Ln3+、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である
(3)特開昭55−12144号に記載されているLnOX:xA(式中、LnはLa、Y、Gd、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素付活希土類オキシハライド蛍光体。
【0042】
(4)特開昭58−69281号に記載されているM(II)OX:xCe(式中、M(II)はPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム付活三価金属オキシハライド蛍光体。
【0043】
(5)特開昭62−25189号明細書に記載されているM(I)X:xBi(式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
【0044】
(6)特開昭60−141783号に記載されているM(II)5(PO43X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0045】
(7)特開昭60−157099号に記載されているM(II)2BO3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0046】
(8)特開昭60−157100号に記載されているM(II)2(PO43X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0047】
(9)特開昭60−217354号に記載されているM(II)HX:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体。
【0048】
(10)特開昭61−21173号に記載されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式中、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物蛍光体。
【0049】
(11)特開昭61−21182号に記載されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0050】
(12)特開昭61−40390号に記載されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体。
【0051】
(13)特開昭61−236888号明細書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体。
【0052】
(14)特開昭61−236890号に記載されているM(II)X2・aM(I)X′:xEu2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;M(I)はLi、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0053】
上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示すため好ましく、請求項に係る発明では、輝尽性蛍光体がEu付加BaFI化合物であることが好ましい態様である
【0054】
本発明に係る輝尽性蛍光体は、平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃未満の高分子樹脂に分散された形態で輝尽性蛍光体層中に含有していることが特徴である。本発明で用いることのできる高分子樹脂としては、前記下引き層で用いる高分子樹脂と同じものを挙げることができ、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができる。本発明では、平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃未満の高分子樹脂を用いることが特徴であり、好ましくはTgが−50〜20℃の高分子樹脂である。
【0055】
本発明で用いる輝尽性蛍光体層塗布液は、適当な有機溶媒中に高分子樹脂と輝尽性蛍光体粒子とを添加し、例えば、ディスパーザーやボールミル等を使用して、攪拌、混合して、高分子樹脂中に輝尽性蛍光体が均一に分散するようにして調製する。輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0056】
なお、輝尽性蛍光体塗布液には、必要に応じて、塗布液中における輝尽性蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、あるいはパネル形成後の輝尽性蛍光体層中における高分子樹脂と輝尽性蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤など種々の添加剤が混合されてもよい。
【0057】
分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチルなどのフタル酸エステル、グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタルブチルなどのグリコール酸エステル、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールと琥珀酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0058】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、通常、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、および超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。調製された塗布液は、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、押し出しコーター等の公知の塗布コーターを用いて、支持体上に塗設した後、乾燥することにより、下引き層上への輝尽性蛍光体層の形成が完了する。
【0059】
本発明の放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、高分子樹脂と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、10〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0060】
放射線画像変換パネルの製造方法としては、主には下記に示す2つの方法が挙げられる。
【0061】
第1の製造方法としては、高分子樹脂と蛍光体又は輝尽性蛍光体とからなる蛍光体塗布液を下引き層を有する支持体上に塗布し、輝尽性蛍光体層を形成する方法である。また、第2の製造方法として、高分子樹脂と輝尽性蛍光体とからなる輝尽性蛍光体塗布液を、まず仮支持体上に塗布し、輝尽性蛍光体シートを形成する。次いで、輝尽性蛍光体シートを下引き層を有する支持体上に載せ、高分子樹脂の軟化温度若しくは融点以上の温度で、支持体に接着して形成する方法である。
【0062】
輝尽性蛍光体層の支持体への形成方法としては、主に上記記載の2方法が考えられるが、下引き層を有する支持体上に均一に輝尽性蛍光体層を形成する方法であればどのような方法でもよく、例えば、吹き付けにより形成する方法でもよい。
【0063】
第1の製造方法では、輝尽性蛍光体層は、高分子樹脂溶液中に輝尽性蛍光体を均一に分散せしめた輝尽性蛍光体塗布液を下引き層を有する支持体上に塗布、乾燥することにより製造することができる。
【0064】
また、第2の製造方法では、輝尽性蛍光体層となるシートは、輝尽性蛍光体塗布液を輝尽性蛍光体シート形成用仮支持体上又は仮支持体上に設けられた保護膜上に塗布し、乾燥した後、仮支持体から剥離することで製造することができる。保護層自体を仮支持体として、そのまま最終製品に使用することもできる。第2の製造方法では、仮支持体上又は仮支持体上に設けられた保護層上に輝尽性蛍光体塗布液を塗布し乾燥した後、仮支持体から剥離して輝尽性蛍光体層となるシートとする。従って仮支持体の表面は、予め剥離剤を塗布しておき、形成された輝尽性蛍光体シートが仮支持体から剥離し易い状態にしておくことが好ましい。
【0065】
支持体と輝尽性蛍光体層の結合を強化するため、前記下引き層を設けることは本発明の特徴の1つであり、その他に、感度、画質(例えば、鮮鋭性、粒状性)を向上する目的で、二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、若しくはカーボンブラックなどの光吸収物質からなる光吸収層などが、必要に応じて設けられてよく、また、放射線画像変換パネルには、輝尽性蛍光体層の表面を物理的、化学的に保護するための保護膜を設けることが好ましく、それらの構成は目的、用途などに応じて適宜選択することができる。
【0066】
本発明の放射線画像変換パネルに設ける保護層としては、ASTMD−1003に記載の方法により測定したヘイズ率が、5%以上60%未満の励起光吸収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0067】
保護層で用いるフィルムのヘイズ率は、使用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に調整でき、また任意のヘイズ率を有する樹脂フィルムは工業的に容易に入手することができる。放射線画像変換パネルの保護フィルムとしては、光学的に透明度の非常に高いものが想定されている。そのような透明度の高い保護フィルム材料として、ヘイズ値が2〜3%の範囲にある各種のプラスチックフィルムが市販されている。本発明の効果を得るために好ましいヘイズ率としては5%以上60%未満であり、さらに好ましくは10%以上50%未満である。ヘイズ率が5%未満では、画像ムラや線状ノイズを解消する効果が低く、また60%以上では鮮鋭性の向上効果が損なわれ、好ましくない。
【0068】
本発明に係る保護層で用いるフィルムは、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、輝尽性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも50g/m2・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの方法を用いても良い。
【0069】
また、積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含有して、励起光吸収層としても良い。
【0070】
保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するように設けられた構造(以下、封止または封止構造ともいう)であることがより好ましい。蛍光体プレートを封止するにあたっては、公知のいずれの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。さらには、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。また、さらには、支持体面側の防湿性保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、またこの封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0071】
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していても接着していなくてもかまわない。ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。また、上記の熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0072】
支持体上に輝尽性蛍光体層が塗設された蛍光体シートは、所定の大きさに断裁される。断裁にあたっては、一般のどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望ましい。
【0073】
【実施例】
以下、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0074】
《放射線画像変換パネルの作製》
(輝尽性蛍光体の調製)
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.15mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。次いで、弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に、沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気下で、850℃で2時間焼成してユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を分級して平均粒径4μmの蛍光体を調製した。
【0075】
(蛍光体層塗布液の調製)
上記調製したユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体427gと、Tgが30℃のポリエステル樹脂(高分子樹脂Bと称す)15.8gとをメチルエチルケトン:トルエンの1:1混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散して、粘度25〜30mPa・sの蛍光体層塗布液1を調製した。
【0076】
次いで、上記高分子樹脂Bに代えて、高分子樹脂C(ポリエステル樹脂 Tg:0℃)、高分子樹脂A(ポリエステル樹脂 Tg:50℃)、高分子樹脂D(ポリエステル樹脂 Tg:−20℃)を用いた以外は同様にして、蛍光体層塗布液2〜4を調製した。
【0077】
(下引き層塗布液の調製)
前記高分子樹脂Aを100質量部と架橋剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン社製)3質量部とを混合し、この混合物にメチルエチルケトン:トルエンの1:1混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散して、粘度500mPa・sの下引き層塗布液1を調製した。
【0078】
次いで、表1に記載のように、高分子樹脂の種類及び架橋剤の添加比率を変更した以外は同様にして、下引き層塗布液2〜6を調製した。なお、表1中に記載の高分子樹脂Eは、Tgが5℃のポリウレタン樹脂である。
【0079】
(蛍光体シート1の作製)
〈下引き層の塗布〉
厚さ250μmのカーボン錬り込みをした黒色ポリエチレンテレフタレート支持体上に、上記調製した下引き層塗布液1を、乾燥膜厚が30μmとなるようナイフコーターを用いて塗布した後、乾燥して下引き層塗設済試料1を作製した。
【0080】
〈加熱処理〉
上記作製した下引き層塗設済試料1を、60℃で10時間加熱処理を行った。
【0081】
〈蛍光体層の塗布〉
上記加熱処理済み試料1の下引き層上に、前記調製した蛍光体層塗布液1を乾燥膜厚が250μmになるように塗布を行い、蛍光体シート1を作製した。
【0082】
(蛍光体シート2〜23の作製)
次いで、上記蛍光体シート1の作製において、下引き層塗布液の種類、加熱処理条件(温度、時間)、下引き層膜厚及び蛍光体層塗布液の種類を表1に記載の様に変更した以外は同様にして、本発明に係る蛍光体シート2〜17及び比較例の蛍光体シート18〜23を作製した。
【0083】
なお、蛍光体シート14は、加熱処理時に単一シートではなく60cm×60cmの下引き層塗布済み試料を10枚積層し、離型剤を塗布した厚さ15μmのポリエチレンテレフタレートのシートをそれぞれの試料間挿入し、それらをラミネーターで貼り合わせた後に加熱処理を行った。また、蛍光体シート23は、上記蛍光体シート14において、15μmのポリエチレンテレフタレートのシートを用いずに、直接試料同士を積層して加熱処理を行った。なお、蛍光体シート23は、加熱処理後に各試料を隔離した際、ブロッキングが多発し、それ以降の試料作製を行うことができなかった。
【0084】
【表1】
Figure 0004288860
【0085】
《防湿性保護フィルムの作製》
上記作製した蛍光体シート1〜22の蛍光体層塗設面側の保護フィルムとして下記構成(A)のものを使用した。
【0086】
構成(A)
VMPET12//VMPET12//PET12//シーラントフィルム
PET:ポリエチレンテレフタレート
シーラントフィルム:熱融着性フィルムでCPP(キャステングポリプロピレン)またはLLDPE(低密度線状ポリエチレン)を使用
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)
各樹脂フィルムの後ろに記載の数字は、フィルムの膜厚(μm)を示す。
【0087】
上記「//」はドライラミネーション接着層で、接着剤層の厚みが2.5μmであることを意味する。使用したドライラミネーション用の接着剤は、2液反応型のウレタン系接着剤を用いた。この時、使用した接着剤溶液に、あらかじめメチルエチルケトンに分散溶解させた有機系青色着色剤(ザボンファーストブルー3G、ヘキスト社製)を添加しておくことで、接着剤層の全てを励起光吸収層とした。またこのときの添加量を調節することで励起光吸収層の光透過率を調節した。
【0088】
蛍光体シートの支持体裏面側の保護フィルムは、シーラントフィルム/アルミ箔フィルム9μm/ポリエチレンテレフタレート(PET)188μmの構成のドライラミネートフィルムとした。また、この場合の接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
【0089】
《放射線画像変換パネルの作製》
前記作製した蛍光体シート1〜22を、各々一辺が45cmの正方形に断裁した後、上記作製した防湿性保護フィルムを用いて、減圧下で周縁部をインパルスシーラを用いて融着、封止して、放射線画像変換パネル1〜22を作製した。図1に本発明の放射線画像変換パネルの断面図の一例を示す。尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは8mm幅のものを使用した。
【0090】
《放射線画像変換パネルの評価》
以上のようにして作製した各蛍光体シ−ト及び各放射線画像変換パネルを用いて、以下に示す方法に従って、接着力及び画像均一性の評価を行った。
【0091】
(接着力の評価)
上記作製した各蛍光体シートを写真用クロスカッター(コニカ社製)を用いて、蛍光体層塗設面を上にして、1mm角の試料に断裁し、計100個の評価サンプルを作製した。次いで各サンプルの支持体と塗設層との剥がれの発生の有無を目視で観察し、以下に示す基準に則り接着力の評価を行った。
【0092】
◎:膜剥がれが発生していることが確認されたサンプルが、5個未満である
○:膜剥がれが発生していることが確認されたサンプルが、5個以上20個未満である
△:膜剥がれが発生していることが確認されたサンプルが、20個以上50個未満である
×:膜剥がれが発生していることが確認されたサンプルが、50個以上である
(画像均一性の評価)
放射線画像変換パネルに、管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を上記記載の受光器で受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生し、出力装置より2倍に拡大してプリントアウトし、得られたプリント画像を、目視にて以下に示す基準に則り画像均一性の評価を行った。
【0093】
◎:画像ムラが全く認められない
○:画像ムラが僅かに認められるが、殆ど気にならない程度である
△:画像ムラが確認されるが、実用上許容できるレベル
×:全面に亘り、画像ムラの発生が認められ、実用上問題が発生するレベル
以上により得られた接着力、画像均一性の評価結果を、同じく表1に示す。
【0094】
表1より明らかなように、本発明に係る構成からなる蛍光体シートを用いた本発明の放射線画像変換パネルは、比較例に対して、蛍光体シートの接着力が強く、かつ得られた画像の均一性に優れていることが判る。
【0095】
【発明の効果】
本発明により、接着力及び画像均一性に優れた放射線画像変換パネル及びその製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線画像変換パネルの断面図である。
【符号の説明】
11 蛍光体
12 支持体
13 積層保護フィルム
14 アルミラミネートフィルム

Claims (6)

  1. 支持体上に、高分子樹脂と架橋剤を含有する下引き層と高分子樹脂中に分散された輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体層をこの順に積層してなる放射線画像変換パネルにおいて、該輝尽性蛍光体層が含有する高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃未満で、かつ該下引き層が含有する高分子樹脂の平均ガラス転移点温度(Tg)が25℃以上であり、該下引き層を形成した後、40〜150℃で2〜100時間の熱処理を施し、次いで該下引き層上に輝尽性蛍光体層を形成することを特徴とする放射線画像変換パネル。
  2. 前記下引き層上に保護シートを積層した後、40〜150℃で2〜100時間の熱処理を施し、次いで該保護シートを剥離した後、輝尽性蛍光体層を形成することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネル
  3. 前記下引き層の膜厚が5〜40μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線画像変換パネル
  4. 前記架橋剤が多官能イソシアネート化合物であり、かつ下引き層中の高分子樹脂に対し15〜50質量%含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネル
  5. 前記輝尽性蛍光体がEu付加BaFI化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネル
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネルを製造することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法
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