JP2003240899A - 放射線画像変換パネル及びその製造方法 - Google Patents

放射線画像変換パネル及びその製造方法

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JP2003240899A
JP2003240899A JP2002039784A JP2002039784A JP2003240899A JP 2003240899 A JP2003240899 A JP 2003240899A JP 2002039784 A JP2002039784 A JP 2002039784A JP 2002039784 A JP2002039784 A JP 2002039784A JP 2003240899 A JP2003240899 A JP 2003240899A
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Kiyoshi Hagiwara
清志 萩原
Takafumi Yanagida
貴文 柳多
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、製造段階及び長期保存での
熱や吸湿による黄変を防止し、輝度安定性に優れた放射
線画像変換パネル及びその製造方法を提供することにあ
る。 【解決手段】 支持体上に輝尽性蛍光体と結合剤とを含
有する輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルに
おいて、該輝尽性蛍光体層がヨウ素を含有し、かつ表面
部から深さ180μmの領域に含有されるイソシアネー
ト基濃度が、0〜70ppmであることを特徴とする放
射線画像変換パネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線画像変換パ
ネル及びその製造方法に関し、詳しくは黄変と保存時の
輝度安定性が改良された放射線画像変換パネルに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】X線画像のような放射線画像は、病気診
断用などの分野で多く用いられている。このX線画像を
得る方法としては、被写体を通過したX線を蛍光体層
(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じ
させた後、この可視光を通常の写真を撮るときと同様に
して、ハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に感光材料
ともいう)に照射し、次いで現像処理を施して可視銀画
像を得る、いわゆる放射線写真方式が広く利用されてい
る。
【0003】しかしながら、近年では、この様な従来の
放射線写真法に代わる有効な診断手段として、特開昭5
5−12145号等に記載の輝尽性蛍光体を用いる放射
線画像記録再生方法が知られている。この方法は、輝尽
性蛍光体を含有する放射線画像変換パネル(蓄積性蛍光
体シートとも呼ばれる)を利用するもので、被写体を透
過した、又は被検体から発せられた放射線を輝尽性蛍光
体に吸収させ、可視光線、紫外線などの電磁波(励起光
と言う)で時系列的に輝尽性蛍光体を励起して、蓄積さ
れている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光という)
として放射させ、この蛍光を光電的に読みとって電気信
号を得、得られた電気信号に基づいて被写体又は被検体
の放射線画像を可視画像として再生するものである。読
取り後の変換パネルは、残存画像の消去が行われ、次の
撮影に供される。
【0004】この方法によれば、放射線写真フィルムと
増感紙とを組み合わせて用いる放射線写真法に比して、
遙かに少ない被爆線量で情報量の豊富な放射線画像が得
られる利点がある。又、放射線写真法では撮影毎にフィ
ルムを消費するのに対して、放射線画像変換パネルは繰
り返し使用されるので、資源保護や経済効率の面からも
有利である。
【0005】放射線画像変換パネルは、支持体とその表
面に設けられた輝尽性蛍光体層、又は自己支持性の輝尽
性蛍光体層のみから成り、輝尽性蛍光体層は、通常、輝
尽性蛍光体と、これを分散支持する結合剤から成るもの
と、蒸着法や焼結法によって形成される輝尽性蛍光体の
凝集体のみから構成されるものがある。又、該凝集体の
間隙に高分子物質が含浸されているものも知られてい
る。更に、輝尽性蛍光体層の支持体側とは反対側の表面
には、通常、ポリマーフィルムや無機物の蒸着膜から成
る保護膜が設けられる。
【0006】上記の輝尽性蛍光体は、放射線を照射した
後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体である
が、実用的には、波長が400〜900nmの範囲にあ
る励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝
尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0007】これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画
像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光
の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後
に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰返し使用
が可能であるが、この様な使われ方をする放射線画像変
換パネルにおいては、得られる放射線画像の画質を劣化
させることなく長期間の使用に耐える性能を付与するこ
とが望ましい。しかし、放射線画像変換パネルの製造に
用いられる輝尽性蛍光体、特に沃素を含有する輝尽性蛍
光体を用いる場合には、蛍光体から沃素が遊離して沃素
分子(I2)を形成するために、蛍光体層が徐々に黄色
に変色しやすい特性にある。この様にして、蛍光体層が
黄変した放射線画像変換パネルは、感度が著しく低下す
る問題がある。
【0008】この沃素の遊離、並びにI2の形成は、長
期保存に従って徐々に起こるが、蛍光体の吸湿や加熱に
よって促進されると考えられており、それに伴い、輝尽
性蛍光体がより一層黄変し、輝尽性蛍光体粒子の特性に
依存している輝度の低下やその他の基本性能の低下を招
く結果となる。上記の黄変現象は、上記条件の他、製造
の初期段階でも、吸湿や加熱等により生ずる問題であ
り、輝尽性蛍光体粒子の黄変を防止するための技術手段
が必要とされていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
鑑みなされたものであり、その目的は、製造段階及び長
期保存での熱や吸湿による黄変を防止し、輝度安定性に
優れた放射線画像変換パネル及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成により達成された。
【0011】1.支持体上に輝尽性蛍光体と結合剤とを
含有する輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネル
において、該輝尽性蛍光体層がヨウ素を含有し、かつ表
面部から深さ180μmの領域に含有されるイソシアネ
ート基濃度が、0〜70ppmであることを特徴とする
放射線画像変換パネル。
【0012】2.支持体上に輝尽性蛍光体と結合剤とを
含有する輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネル
において、該輝尽性蛍光体がヨウ素を含有し、該結合剤
がイソシアネート基含有率が0〜1000ppmである
高分子樹脂であることを特徴とする放射線画像変換パネ
ル。
【0013】3.前記高分子樹脂が、主鎖にウレタン結
合を有することを特徴とする前記2項記載の放射線画像
変換パネル。
【0014】4.前記輝尽性蛍光体がEu付加BaFB
X(1-X)(0≦X<1)であることを特徴とする前記
1〜3項のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネ
ル。
【0015】5.支持体上に輝尽性蛍光体と結合剤とを
含有する輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネル
の製造方法において、該輝尽性蛍光体がヨウ素を含有
し、該結合剤としてイソシアネート基含有率が0〜10
00ppmである高分子樹脂を用いて製造することを特
徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【0016】6.前記高分子樹脂が、主鎖にウレタン結
合を有することを特徴とする前記5項記載の放射線画像
変換パネルの製造方法。
【0017】7.前記輝尽性蛍光体がEu付加BaFB
X(1-X)(0≦X<1)であることを特徴とする前記
5又は6項に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
【0018】本発明者は、ヨウ素を含有する輝尽性蛍光
体(以下、単に蛍光体ともいう)を放射線画像変換パネ
ルに用いた場合に輝尽性蛍光体層(以下、単に蛍光体層
ともいう)が黄変しやすく、その結果、蛍光体から発せ
られた輝尽発光光が、蛍光体層中で吸収されてしまうた
めに輝度が著しく低下し、この蛍光体層の黄変は、放射
線画像変換パネルの製造過程や長期間に亘り高湿下で保
存した際に発生し、これは、蛍光体層塗布液中で蛍光体
から沃素がI2分子となって遊離したり、あるいは蛍光
体層中でI2分子を形成することに起因していると考え
られている。
【0019】本発明者らは、上記課題に関し鋭意解析を
進めた結果、黄変を加速している要因の1つとして、放
射線画像変換パネルに含まれるイソシアネート基が大き
く影響を与えていることを突き止めた。放射線画像変換
パネルにおいて用いられるイソシアネート基を含有する
化合物としては、例えば、支持体と蛍光体層との接着性
改良を主な目的として設けられる下引き層では、結合剤
の架橋剤として主に多官能イソシアネート化合物が用い
られ、また蛍光体層の結合剤として、蛍光体との結合力
が強く、分散性に優れ、かつ延性にも富んでいるという
観点からポリウレタン系樹脂が広く用いられているが、
このポリウレタン樹脂の合成においては、一般にポリイ
ソシアネート化合物が用いられており、最終的な放射線
画像変換パネル中には、イソシアネート基が含有される
ことになる。
【0020】本発明では、このイソシアネート基の含有
量及びその分布する領域を規定することにより、保存時
の黄変とそれに伴う輝度低下を防止したものであり、す
なわち、放射線画像変換パネルにおいて、蛍光体層表面
部から深さ180μmの領域に含有されるイソシアネー
ト基濃度を、0〜70ppmとすること、結合剤として
イソシアネート基含有率が0〜1000ppmの高分子
樹脂を用いることにより、保存時の黄変とそれに伴う輝
度低下を防止できることを見いだし、本発明に至った次
第である。
【0021】以下、本発明の詳細について説明する。請
求項1に係る発明では、支持体上に輝尽性蛍光体と結合
剤とを含有する輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換
パネルにおいて、該輝尽性蛍光体層がヨウ素を含有し、
かつ表面部から深さ180μmの領域に含有されるイソ
シアネート基濃度が、0〜70ppmであることが特徴
であり、好ましくは、イソシアネート基濃度が、0pp
mである。上記で規定する条件とすることにより、特に
輝度に対して大きく寄与する蛍光体層表面領域でのイソ
シアネート基による影響を低減することにより、高湿保
存時のヨウ素を含む蛍光体粒子への影響を低減すること
ができる。
【0022】本発明において、蛍光体層中でのイソシア
ネート基の濃度を測定する方法としては、特に制限はな
いが、例えば、支持体上の塗設した蛍光体層表面から、
ウルトラミクロトームを用いて、5〜10μmの薄層と
して順次トリミングを行い、表面から深さ177.5〜
182.5μmの領域に相当する厚さ5μm薄片を取り
出し、周知の定量法を用いてイソシアネート基の単位質
量当たりの含有量を定量し、その分布を求めることがで
きる。
【0023】本発明で規定する蛍光体層中でのイソシア
ネート基の分布を達成する方法として、蛍光体層と支持
体の間に下引層を設け、下引層に架橋剤としてイソシア
ネート基含有化合物を用いている場合には、下引層を塗
設した後、あるいは蛍光体層を塗設した後、加熱処理を
行って、残留している未反応のイソシアネート基を完全
に架橋させ、保存時の未反応イソシアネート基の蛍光体
層への拡散を防止する方法、あるいは蛍光体層の膜厚を
厚くし、特に蛍光体層表層部領域へのイソシアネート基
の影響を低減させる方法等がある。
【0024】また、蛍光体層においては、結合剤とし
て、イソシアネート基含有率が0〜1000ppmであ
る高分子樹脂を用いることが極めて有効な手段であり、
更に高分子樹脂として、主鎖にウレタン結合を有する化
合物を用いることが好ましい。本発明で規定する条件と
することでイソシアネート基による影響を低減すること
により、高湿保存時のヨウ素を含む蛍光体粒子への影響
を低減することができる。
【0025】本発明でいうイソシアネート基含有率が0
〜1000ppmである高分子樹脂とは、高分子樹脂の
合成において、例えイソシアネート基を用いたとして
も、そのポリマー分子の両末端部に、イソシアネート基
が存在しない、あるいはその比率が極めて低い高分子樹
脂を意味する。
【0026】また、主鎖にウレタン結合を有する高分子
樹脂は、一般に、ウレタン樹脂と総称され、樹脂構造中
に、イソシアネート基の活性水素化合物に対する反応性
を利用したポリイソシアネートとポリオール等の活性化
合物との重付加反応によって得られるウレタン結合や、
ウレア(尿素)結合、ビューレット・アロファネート結
合等のイソシアネート基と活性水素の反応に起因する結
合、活性水素化合物分子内に含まれるエステル結合、エ
ーテル結合、アミド結合、および、イソシアネート基同
士の反応で生成するウレトジオン、イソシアヌレート、
カルボジイミド等をも含む高分子化合物である。一般的
にポリウレタン樹脂は、分子内に存在する凝集エネルギ
ーの大きいウレタン結合やウレア結合等による分子間2
次結合のため、機械的特性、耐磨耗性、耐久性、耐薬品
性に優れた性能を持っている。また、ポリイソシアネー
ト、活性水素化合物等の使用原料の種類、組成比反応条
件等をコントロールすることで大きく性能を変化するこ
とができる。
【0027】本発明のポリウレタン樹脂の合成に用いら
れるポリイソシアネートとしては、次のようなものが挙
げられるが、これに限定されるものではない。トルエン
ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,
2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイ
ソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,
4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,
3′−ジメチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネー
ト、ジアニシジンジイソシアネート、m−キシレンジイ
ソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)
シクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレン
ジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシア
ネート、リジンジイソシアネート、ジメチルトリフェニ
ルメタンテトライソシアネート、トリフェニルメタント
リイソシアネート、トリス(イソシアナトフェニル)チ
オフォスフェート、ウレタン変成トルエンジイソシアネ
ート、アロファネート変成トルエンジイソシアネート、
ビウレット変成トルエンジイソシアネート、イソシアヌ
レート変成トルエンジイソシアネート、ウレタン変成ジ
フェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変成
ジフェニルメタンジイソシアネート、ウレトニミン変成
ジフェニルメタンジイソシアネート、アシル尿素変成ジ
フェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェ
ニルメタンジイソシアネート等。
【0028】これらのイソシアネート化合物は単品で用
いてもよく、また、あらかじめ複数の種類のポリイソシ
アネートの反応物、また、メタノールやエタノールのエ
チレンオキシド付加物とポリイソシアネートの反応物、
また、1分子中に2個以上の活性水素を有する化合物と
ポリイソシアネートとの反応によって得られる遊離イソ
シアネート基を有する化合物として用いてもよい。
【0029】ポリウレタン樹脂の具体的な合成法は、特
開平5−127306号、同6−67328号、同6−
293821号、特開平4−96919号、特開昭58
−63716号、同58−80320号、同63−30
1251号、同56−151753号、特開平2−26
9723号、同7−10950号等に詳しく記載されて
いる。また、ギュンター オーテル著「ポリウレタンハ
ンドブック」(1985)、今井嘉夫著「ポリウレタン
フォーム」(1987)、技術情報協会刊「水系塗料と
コーティング技術」(1992)などにも詳しいポリウ
レタン合成法の記載がある。
【0030】市販されているポリウレタン樹脂として
は、例えば、第一工業製薬(株)製スーパーフレックス
シリーズ107、110、126、150、160、1
90、300、361、410、460、750、82
0、スーパーフレックスEシリーズ E−2000、E
−2500、E−4500。武田薬品工業(株)製タケ
ラックWシリーズ W−6015、W−621、W−5
11、XW−75−P15、W−512A、W−63
5、W−7004、XW−97−W6、AW−605、
ACW−54HD、シラノール基を含有したタケラック
XWシリーズ、大日本インキ化学工業(株)製パンデッ
クスシリーズ、日本ポリウレタン(株)製のニッポラン
シリーズ等を挙げることができる。また、熱反応型水系
ポリウレタン樹脂としては、第一工業製薬(株)製エラ
ストロンシリーズ、武田薬品(株)製タケネートWBシ
リーズ WB−700、WB−710、WB−720、
WB−730、WB−920等を挙げることができる
が、特に請求項2で規定するイソシアネート基含有率が
0〜1000ppmである高分子樹脂という観点から
は、日本ポリウレタン工業(株)製のニッポラン230
4が特に好ましい。
【0031】次いで、本発明の放射線画像変換パネルの
各構成要素について説明する。本発明の放射線画像変換
パネルは、主に、支持体と蛍光体層とからなり、必要に
応じて支持体と蛍光体層との間に下引き層が設けられ
る。蛍光体層は、一般に、蛍光体とこれを分散保持する
高分子樹脂とから構成される。また、蛍光体層の支持体
側とは反対側の表面には通常、ポリマーフィルムや無機
物の蒸着膜からなる保護層膜が設けられる。
【0032】本発明で用いることのできる支持体または
仮支持体としては、例えば、ガラス、ウール、コット
ン、紙、金属などの種々の素材から作られたものが使用
することができるが、情報記録材料としての取り扱い
上、可撓性のあるシート或いはロールに加工できるもの
が好ましい。この点から、例えば、セルロースアセテー
トフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレ
フタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミド
フィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネート
フィルム等のプラスティックフィルム、アルミニウム
箔、アルミニウム合金箔などの金属シート、一般紙及び
例えば写真用原紙、コート紙、若しくはアート紙のよう
な印刷用原紙、バライタ紙、レジンコート紙、ベルギー
特許第784,615号明細書に記載されているような
ポリサッカライド等でサイジングされた紙、二酸化チタ
ンなどの顔料を含むピグメント紙、ポリビニールアルコ
ールでサイジングした紙等の加工紙が特に好ましい。こ
れら支持体の膜厚は、用いる支持体の材質等によって異
なるが、一般的には80〜1000μmであり、取り扱
い上の点から、さらに好ましくは80〜500μmであ
る。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、後
述の下引き層との接着力を向上させる目的でマット面と
してもよい。
【0033】次いで、下引き層について説明する。本発
明に係る下引き層は、主に、架橋剤により架橋できる高
分子樹脂と架橋剤とを含有している。
【0034】下引き層で用いることのできる高分子樹脂
としては、特に制限はないが、例えば、ポリウレタン、
ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエ
ン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリ
ビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロー
ス等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴ
ム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、
メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリ
ル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なか
でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合
体、ポリビニールブチラール、ニトロセルロース等を挙
げることができ、下引き層で用いる高分子樹脂の平均ガ
ラス転移点温度(Tg)が25℃以上であることが好ま
しく、更に好ましくは25〜200℃のTgを有する高
分子樹脂を用いることである。
【0035】本発明に係る下引き層で用いることのでき
る架橋剤としては、特に制限はなく、例えば、多官能イ
ソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導
体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができる
が、本発明では、架橋剤として多官能イソシアネート化
合物を用いることが好ましく、例えば、日本ポリウレタ
ン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げ
られる。
【0036】本発明に係る下引き層は、例えば、以下に
示す方法により支持体上に形成することができる。
【0037】まず、上記記載の高分子樹脂と架橋剤を適
当な溶剤、例えば後述の輝尽性蛍光層塗布液の調製で用
いる溶剤に添加し、これを充分に混合して下引き層塗布
液を調製する。
【0038】架橋剤の使用量は、目的とする放射線画像
変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる
材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類等によ
り異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度
の維持を考慮すれば、高分子樹脂に対して、50質量%
以下の比率で添加することが好ましく、特に好ましくは
15〜50質量%である。
【0039】下引き層の膜厚は、目的とする放射線画像
変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる
材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂及び架橋剤の
種類等により異なるが、一般には3〜50μmであるこ
とが好ましく、特に好ましくは5〜40μmであること
が特徴である。また、上記下引き層は、必要に応じて着
色されていても良い。
【0040】本発明においては、支持体上に上記下引き
層を塗設した後、輝尽性蛍光体層を塗布する前に、下引
き層に含有した高分子樹脂と架橋剤との反応をより完遂
させるため、40〜150℃で2〜100時間の熱処理
を行うことが好ましい。蛍光体層塗設前に、この熱処理
を施すことは、本発明で規定する蛍光体層中でのイソシ
アネート基の分布状態を実現するための好ましい手段の
1つである。
【0041】熱処理方法としては、特に制限はなく、作
製したシート状、ロール状等の下引き層塗設済み試料が
完全に収納でき、かつ温度、湿度が制御できる恒温室で
あればいずれの方法を用いても良い。請求項1に係る発
明では熱処理条件としては、40〜150℃で2〜10
0時間であることが特徴であるが、好ましくは55〜1
00℃、5〜50時間である。
【0042】次いで、輝尽性蛍光体層について説明す
る。本発明に係る輝尽性蛍光体層は、少なくとも輝尽性
蛍光体と高分子樹脂とを含有している。
【0043】本発明で用いることのできる輝尽性蛍光体
としては、波長400〜900nmの範囲に発光波長の
あるものが一般的に使用される。
【0044】以下に、本発明の放射線画像変換パネルで
用いることのできる蛍光体の例を挙げる。
【0045】(1)特開昭55−12145号に記載さ
れている(Ba1-X,M(II)X)FX:yA、(式中、
M(II)はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの
少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少な
くとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、P
r、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも
一つ、そしては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.
2である)の組成式で表される希土類元素賦活アルカリ
土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体に
は以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0046】a)特開昭56−74175号に記載され
ている、X′、BeX″、M(III)X′′′3、式中、
X′、X″、およびX′′′はそれぞれCl、Brおよ
びIの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属で
ある b)特開昭55−160078号に記載されているBe
O、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al2
3、Y23、La23、In23、SiO2、Ti
2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25
およびThO2などの金属酸化物 c)特開昭56−116777号に記載されているZ
r、Sc d)特開昭57−23673号に記載されているB e)特開昭57−23675号に記載されているAs、
Si f)特開昭58−206678号に記載されているM・
L、式中、MはLi、Na、K、Rb、およびCsから
なる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であ
り、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、S
m、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、L
u、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ば
れる少なくとも一種の三価金属である g)特開昭59−27980号に記載されているテトラ
フルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−2728
9号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフ
ルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の
一価もしくは二価金属の塩の焼成物;特開昭59−56
479号に記載されているNaX′、式中、X′はC
l、BrおよびIのうちの少なくとも一種である h)特開昭59−56480号に記載されているV、C
r、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;特開
昭59−75200号に記載されているM(I)X′、
M′(II)X″2、M(III)X′′′3、A、式中、M
(I)はLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群
より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、
M′(II)はBeおよびMgからなる群より選ばれる少
なくとも一種の二価金属を表し、M(III)はAl、G
a、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくと
も一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であり、
X′、X″、およびX′′′はそれぞれF、Cl、Br
およびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲンである i)特開昭60−101173号に記載されているM
(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる
群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、
X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる
少なくとも一種のハロゲンである j)特開昭61−23679号に記載されているM(I
I)′X′2・M(II)′X″2、式中、M(II)′はB
a、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも
一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX″はそれ
ぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である;
更に、特開昭61−264084号明細書に記載されて
いるLnX″3、式中、LnはSc、Y、La、Ce、
Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少な
くとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、Br
およびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロ
ゲンである。
【0047】(2)特開昭60−84381号に記載さ
れているM(II)X2・aM(II)X′2:xEu2+(式
中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選
ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;Xお
よびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる
少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であ
り;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦
0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦
活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍
光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0048】a)特開昭60−166379号に記載さ
れているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびC
sからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金
属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群よ
り選ばれる少なくとも一種のハロゲンである b)特開昭60−221483号に記載されているK
X″、MgX′′′2、M(III)X″″3、式中、M(I
II)はSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より
選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、
X′′′およびX″″はいずれもF、Cl、Brおよび
Iからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンで
ある c)特開昭60−228592号に記載されているB、
特開昭60−228593号に記載されているSi
2、P25等の酸化物、特開昭61−120882号
に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″は
F、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲンである d)特開昭61−120883号に記載されているSi
O;特開昭61−120885号に記載されているSn
X″2、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる
群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである e)特開昭61−235486号に記載されているCs
X″、SnX′′′2、式中、X″およびX′′′はそ
れぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる
少なくとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−
235487号に記載されているCsX″、Ln3+、式
中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ば
れる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、
Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれ
る少なくとも一種の希土類元素である (3)特開昭55−12144号に記載されているLn
OX:xA(式中、LnはLa、Y、Gd、およびLu
のうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのう
ち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくと
も一つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表さ
れる希土類元素賦活希土類オキシハライド蛍光体。
【0049】(4)特開昭58−69281号に記載さ
れているM(II)OX:xCe(式中、M(II)はP
r、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少
なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およ
びIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1
である)の組成式で表されるセリウム賦活三価金属オキ
シハライド蛍光体。
【0050】(5)特開昭62−25189号明細書に
記載されているM(I)X:xBi(式中、M(I)は
RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種
のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからな
る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そ
してxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式
で表されるビスマス賦活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光
体。
【0051】(6)特開昭60−141783号に記載
されているM(II)5(PO43X:xEu2+(式中、
M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれ
る少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、
Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも
一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数
値である)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活ア
ルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0052】(7)特開昭60−157099号に記載
されているM(II)2BO3X:xEu2+(式中、M(I
I)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少
なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、B
rおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値であ
る)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ
土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0053】(8)特開昭60−157100号に記載
されているM(II)2(PO43X:xEu2+(式中、
M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれ
る少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはC
l、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種
のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値で
ある)の組成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカ
リ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0054】(9)特開昭60−217354号に記載
されているM(II)HX:xEu2+(式中、M(II)は
Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくと
も一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Brおよ
びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン
であり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組
成式で表される二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属
水素化ハロゲン化物蛍光体。
【0055】(10)特開昭61−21173号に記載
されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式
中、LnおよびLn′はそれぞれY、La、Gdおよび
Luからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元
素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、Brおよ
びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン
であって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a
≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の
範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム賦活希
土類複合ハロゲン化物蛍光体。
【0056】(11)特開昭61−21182号に記載
されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+
(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群よ
り選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M
(I)はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群よ
り選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;Xお
よびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より
選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは
0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦
0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウ
ム賦活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0057】(12)特開昭61−40390号に記載
されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、
LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれ
る少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、
BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種の
ハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範
囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値であ
る)の組成式で表されるセリウム賦活希土類ハロ燐酸塩
蛍光体。
【0058】(13)特開昭61−236888号明細
書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+
(式中、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであ
り;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、
xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表
される二価ユーロピウム賦活ハロゲン化セシウム・ルビ
ジウム蛍光体。
【0059】(14)特開昭61−236890号に記
載されているM(II)X2・aM(I)X′:xE
2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからな
る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属で
あり;M(I)はLi、RbおよびCsからなる群より
選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;Xおよ
びX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選
ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは
0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x
≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価
ユーロピウム賦活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0060】上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含
有する二価ユーロピウム賦活アルカリ土類金属弗化ハロ
ゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム
賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を
含有する希土類元素賦活希土類オキシハロゲン化物系蛍
光体、およびヨウ素を含有するビスマス賦活アルカリ金
属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示すた
め好ましく、請求項4に係る発明においては、輝尽性蛍
光体がEu付加BaFBrX(1-X)(0≦X<1)であ
ることが好ましい。
【0061】本発明に係る輝尽性蛍光体は、高分子樹脂
に分散された形態で輝尽性蛍光体層中に含有しているこ
とが好ましい。本発明で用いることのできる高分子樹脂
としては、本発明で規定する条件、すなわち、蛍光体層
表面部から深さ180μmの領域に含有されるイソシア
ネート基濃度が0〜70ppmであること、イソシアネ
ート基含有率が0〜1000ppmである高分子樹脂と
なる条件が満足できれる範囲であれば、前述の末端にイ
ソシアネート基の付加数が低いウレタン樹脂の他に、公
知の高分子樹脂を併せて用いることができ、例えば、ポ
リエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、
塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−
アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニ
ルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース
等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム
系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メ
ラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル
系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかで
もポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニール
ブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ
る。
【0062】本発明で用いる輝尽性蛍光体層塗布液は、
適当な有機溶媒中に高分子樹脂と輝尽性蛍光体粒子とを
添加し、例えば、ディスパーザーやボールミル等を使用
して、攪拌、混合して、高分子樹脂中に輝尽性蛍光体が
均一に分散するようにして調製する。輝尽性蛍光体層塗
布液の調製に用いられる溶剤としては、例えば、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール
などの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレン
クロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケト
ン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキ
サノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコー
ルとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノ
エチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステ
ルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることがで
きる。
【0063】なお、輝尽性蛍光体塗布液には、必要に応
じて、塗布液中における輝尽性蛍光体の分散性を向上さ
せるための分散剤、あるいはパネル形成後の輝尽性蛍光
体層中における高分子樹脂と輝尽性蛍光体との間の結合
力を向上させるための可塑剤など種々の添加剤が混合さ
れてもよい。
【0064】分散剤の例としては、フタル酸、ステアリ
ン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げること
ができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニ
ル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エス
テル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチルな
どのフタル酸エステル、グリコール酸エチルフタリルエ
チル、グリコール酸ブチルフタルブチルなどのグリコー
ル酸エステル、トリエチレングリコールとアジピン酸と
のポリエステル、ジエチレングリコールと琥珀酸とのポ
リエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩
基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0065】輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、通常、
ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミ
ル、高速インペラー分散機、Kadyミル、および超音
波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。調製され
た塗布液は、例えば、ドクターブレード、ロールコータ
ー、ナイフコーター、押し出しコーター等の公知の塗布
コーターを用いて、支持体上に塗設した後、乾燥するこ
とにより、下引き層上への輝尽性蛍光体層の形成が完了
する。
【0066】本発明の放射線画像変換パネルの輝尽性蛍
光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特
性、輝尽性蛍光体の種類、高分子樹脂と輝尽性蛍光体と
の混合比等によって異なるが、10〜1000μmの範
囲から選ばれるのが好ましく、10〜500μmの範囲
から選ばれるのがより好ましい。
【0067】支持体上に輝尽性蛍光体層が塗設された蛍
光体シートは、所定の大きさに断裁される。断裁にあた
っては、一般のどのような方法でも可能であるが、作業
性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望まし
い。
【0068】本発明の放射線画像変換パネルには、輝尽
性蛍光体層の表面を物理的、化学的に保護するための保
護膜(保護フィルムともいう)を設けることが好まし
く、それらの構成は目的、用途などに応じて適宜選択す
ることができる。
【0069】本発明の放射線画像変換パネルに設ける保
護層としては、ASTMD−1003に記載の方法によ
り測定したヘイズ率が、5%以上60%未満の励起光吸
収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレー
トフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースア
セテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレ
フタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィル
ム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で
保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレン
テレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレート
フィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着し
た蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0070】保護層で用いるフィルムのヘイズ率は、使
用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に
調整でき、また任意のヘイズ率を有する樹脂フィルムは
工業的に容易に入手することができる。放射線画像変換
パネルの保護フィルムとしては、光学的に透明度の非常
に高いものが想定されている。そのような透明度の高い
保護フィルム材料として、ヘイズ値が2〜3%の範囲に
ある各種のプラスチックフィルムが市販されている。本
発明の効果を得るために好ましいヘイズ率としては5%
以上60%未満であり、さらに好ましくは10%以上5
0%未満である。ヘイズ率が5%未満では、画像ムラや
線状ノイズを解消する効果が低く、また60%以上では
鮮鋭性の向上効果が損なわれ、好ましくない。
【0071】本発明において、保護層で用いるフィルム
は、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹
脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを
複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、
輝尽性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少な
くとも50g/m2・day以下であることが好まし
い。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はな
く、公知のいずれの方法を用いても良い。
【0072】また、積層された樹脂フィルム間に励起光
吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な
衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能
が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数
箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含
有して、励起光吸収層としても良い。
【0073】保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層
を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するよ
うに設けられた構造(以下、封止または封止構造ともい
う)であることがより好ましい。蛍光体プレートを封止
するにあたっては、公知のいずれの方法でもよいが、防
湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹
脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防
湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止
作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。
さらには、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを
配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側に
ある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシ
ーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光
体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。
また、さらには、支持体面側の防湿性保護フィルムが1
層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿
フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減で
き、またこの封止方法は作業的にも容易であり好まし
い。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法におい
ては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シート
の防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿
気を排除する意味でより好ましい。
【0074】防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側
の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着
していても、接着していなくてもよい。ここでいう接着
していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護
フィルムとが点接触していても、光学的、力学的には殆
ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱え
る状態のことである。また、上記の熱融着性を有する樹
脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラー
で融着可能な樹脂フィルムのことで、例えば、エチレン
酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(P
P)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げ
ることができるが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
【0075】
【実施例】以下、実施例を挙げて具体的に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0076】実施例1 《放射線画像変換パネルの作製》 (輝尽性蛍光体の調製)ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バ
リウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI
2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3
溶液(0.15mol/L)27mlを反応器に入れ
た。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保
温した。次いで、弗化アンモニウム水溶液(8mol/
L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて
注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌
を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に、沈澱物
をろ別後、エタノールにより洗浄した後、真空乾燥させ
てユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。
焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による
粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超
微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌
して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着さ
せた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用い
て水素ガス雰囲気下で、850℃で2時間焼成してユー
ロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次
に上記蛍光体粒子を分級して平均粒径4μmの蛍光体を
調製した。
【0077】(蛍光体層塗布液1の調製)上記調製した
ユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体480g
と、Tgが30℃のポリエステル樹脂20.0gとをメ
チルエチルケトン:トルエンの1:1混合溶媒に添加
し、プロペラミキサーによって分散して、粘度25〜3
0mPa・sの蛍光体層塗布液1を調製した。
【0078】(下引き層塗布液の調製)前記ポリエステ
ル樹脂を100質量部と架橋剤として多官能イソシアネ
ート化合物であるコロネートHX(日本ポリウレタン社
製)10質量部とを混合し、この混合物にメチルエチル
ケトン:トルエンの1:1混合溶媒に添加し、プロペラ
ミキサーによって分散して、粘度500mPa・sの下
引き層塗布液を調製した。
【0079】(蛍光体シート1A、1B、1Cの作製) 〈下引き層の塗布〉厚さ250μmのカーボン錬り込み
をした黒色ポリエチレンテレフタレート支持体上に、上
記調製した下引き層塗布液を、乾燥膜厚が15μmとな
るようナイフコーターを用いて塗布した後、乾燥して下
引き層塗設済試料を作製した。
【0080】〈下引き層塗設済試料の熱処理〉上記作製
した下引き層塗設済試料の一部に、下記の熱処理1又は
熱処理2を施した。
【0081】熱処理1:60℃で、3時間の熱処理を行
った。 熱処理2:60℃で、10時間の熱処理を行った。
【0082】〈蛍光体層の塗布〉上記各熱処理済み試料
及び未処理試料の下引き層上に、前記調製した蛍光体層
塗布液1を乾燥膜厚が180μmになるように塗布を行
い、蛍光体シート1A(熱処理無)、1B(熱処理
1)、1C(熱処理2)を作製した。
【0083】(蛍光体シート2A〜5A、2B〜5B、
2C〜5Cの作製)次いで、上記蛍光体シート1A、1
B、1Cの作製において、蛍光体層塗布液1の乾燥膜厚
を表1に記載の値となる様にポリエステル樹脂の添加量
を変更した以外は同様にして、蛍光体シート2A〜5
A、2B〜5B、2C〜5Cを作製した。各試料とも、
単位面積当たりの蛍光体粒子量は一定となるようにし
た。
【0084】(各蛍光体シートの強制劣化処理)上記作
製した蛍光体シートを2部ずつ用意し、一部はそのまま
で基準試料とし、残りの一部は30℃、80%RHの雰
囲気下で10時間の処理を行い、これを強制劣化処理試
料とした。
【0085】《防湿性保護フィルムの作製》上記作製し
た各蛍光体シートの蛍光体層塗設面側の保護フィルムと
して下記構成(A)のものを使用した。
【0086】構成(A) VMPET12//VMPET12//PET12//
シーラントフィルムPET:ポリエチレンテレフタレー
ト シーラントフィルム:熱融着性フィルムでCPP(キャ
ステングポリプロピレン)またはLLDPE(低密度線
状ポリエチレン)を使用 VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタラ
イジング社製) 各樹脂フィルムの後ろに記載の数字は、フィルムの膜厚
(μm)を示す。
【0087】上記「//」はドライラミネーション接着
層で、接着剤層の厚みが2.5μmであることを意味す
る。使用したドライラミネーション用の接着剤は、2液
反応型のウレタン系接着剤を用いた。この時、使用した
接着剤溶液に、あらかじめメチルエチルケトンに分散溶
解させた有機系青色着色剤(ザボンファーストブルー3
G、ヘキスト社製)を添加しておくことで、接着剤層の
全てを励起光吸収層とした。またこのときの添加量を調
節することで励起光吸収層の光透過率を調節した。
【0088】蛍光体シートの支持体裏面側の保護フィル
ムは、シーラントフィルム/アルミ箔フィルム9μm/
ポリエチレンテレフタレート(PET)188μmの構
成のドライラミネートフィルムとした。また、この場合
の接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン
系接着剤を使用した。
【0089】《放射線画像変換パネルの作製》前記作製
した各蛍光体シートを、各々一辺が45cmの正方形に
断裁した後、上記作製した防湿性保護フィルムを用い
て、減圧下で周縁部をインパルスシーラを用いて融着、
封止して、放射線画像変換パネルを作製した。尚、融着
部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるよ
うに融着した。融着に使用したインパルスシーラのヒー
ターは8mm幅のものを使用した。
【0090】《放射線画像変換パネルの評価》以上のよ
うにして作製した各蛍光体シート及び各放射線画像変換
パネルを用いて、以下に示す方法に従って、イソシアネ
ート基の分布測定、変色性及び輝度安定性の評価を行っ
た。
【0091】(イソシアネート基の分布測定)各蛍光体
シートについて、蛍光体層表面から深さ180μmの領
域でのイソシアネート基含有量を、下記に記載の方法で
測定を行った。
【0092】各熱処理済み及び未処理の蛍光体シートの
蛍光体層表面から、ウルトラミクロトームを用いて、5
〜10μmの薄層として順次トリミングを行い、表面か
ら深さ177.5〜182.5μmの領域に相当する厚
さ5μm薄片を取り出し、イソシアネート基の単位質量
当たりの含有量を定量した。
【0093】(変色性の評価)上記作製した蛍光体シー
トの標準試料と強制劣化試料について、その蛍光体層表
面を目視観察して、下記に記載の基準に則り変色性の評
価を行った。
【0094】 ◎:標準試料、強制劣化試料共に、黄変はほとんど認め
られない ○:標準試料では変色は認められないが、強制劣化試料
で僅かに黄変が認められる △:標準試料では変色は認められないが、強制劣化試料
でやや黄変が認められる ×:標準試料で僅かの黄変が認められ、強制劣化試料で
は強い黄変が認められる 本発明では、△以上であれば実用上問題はないと判断し
た。
【0095】(輝度安定性の評価)蛍光体シートとして
基準試料及び強制劣化試料を用いた各放射線画像変換パ
ネル(単に、パネルともいう)について、以下に示す方
法で輝度測定を行った。
【0096】輝度の測定は、強制劣化処理有無の各放射
線画像変換パネルについて、管電圧80kVpのX線を
照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633n
m)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発
光を受光器(分光輝度S−5の光電子像倍管)で受光し
て、その強度を測定して、これを輝度と定義し、基準試
料を用いたパネルに対する強制劣化処理試料を用いたパ
ネルの輝度劣化率を算出し、下記の基準に則りランク付
けを行った。
【0097】5:輝度劣化率が2%未満 4:輝度劣化率が2〜5%未満 3:輝度劣化率が5〜10%未満 2:輝度劣化率が10〜20%未満 1:輝度劣化率が20%以上 上記ランクにおいて、3以上であれば、実用上許容範囲
にあると判定した。
【0098】以上により得られた結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】表1より明らかなように、本発明で規定す
る蛍光体層表面部から深さ180μmの領域に含有され
るイソシアネート基濃度が0〜70ppmである本発明
の試料は、比較例に対して、製造時及び高温高湿条件下
で保存した後の蛍光体表面の黄変が無く、かつ輝度安定
性に優れていることが分かる。特に、支持体上に下引き
層を塗設した後、熱処理を施すことによりその効果はよ
り一層発揮されていることが分かる。
【0101】実施例2 《放射線画像変換パネルの作製》 (蛍光体層塗布液2の調製)実施例1で調製したユーロ
ピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体480gと、両末
端部にイソシアネート基が全く付加されていないポリウ
レタン樹脂A(日本ポリウレタン工業(株)製 ニッポ
ラン2304)を固形分として20.0gとをメチルエ
チルケトン:トルエンの1:1混合溶媒に添加し、プロ
ペラミキサーによって分散して、粘度25〜30mPa
・sの蛍光体層塗布液2を調製した。
【0102】(蛍光体層塗布液3の調製)実施例1で調
製したユーロピウム賦活弗化ヨウ化バリウム蛍光体48
0gと、上記ポリウレタン樹脂A(日本ポリウレタン工
業(株)製 ニッポラン2304)を固形分として1
0.59gと両末端部にイソシアネート基を有している
ポリウレタン樹脂B(日本ポリウレタン工業(株)製
ニッポラン5115)を固形分として9.41gとをメ
チルエチルケトン:トルエンの1:1混合溶媒に添加
し、プロペラミキサーによって分散して、粘度25〜3
0mPa・sの蛍光体層塗布液3を調製した。なお、蛍
光体層塗布液3で用いた高分子樹脂の総イソシアネート
基量は、800ppmである。
【0103】(蛍光体層塗布液4、5の調製)上記蛍光
体層塗布液3の調製において、高分子樹脂であるポリウ
レタン樹脂Aとポリウレタン樹脂Bの総使用量が20g
となる様にし、各々の樹脂の混合比率を適宜調整して、
高分子樹脂の総イソシアネート基量が、それぞれ120
0ppmと1500ppmの蛍光体層塗布液4、5を調
製した。
【0104】(蛍光体シート6〜9の作製) 〈蛍光体層の塗布〉厚さ250μmのカーボン錬り込み
をした黒色ポリエチレンテレフタレート支持体上に、前
記調製した蛍光体層塗布液2〜5を乾燥膜厚が200μ
mになるように塗布を行い、蛍光体シート6〜9を作製
した。
【0105】(各蛍光体シートの強制劣化処理)上記作
製した蛍光体シートを2部ずつ用意し、一部はそのまま
で基準試料とし、残りの一部は30℃、80%RHの雰
囲気下で10時間の処理を行い、これを強制劣化処理試
料とした。
【0106】《放射線画像変換パネルの作製》上記作製
した蛍光体シート6〜9を用いた以外は、実施例1に記
載の方法と同様にして、各放射線画像変換パネルを作製
した。
【0107】《放射線画像変換パネルの評価》以上のよ
うにして作製した各蛍光体シート及び各放射線画像変換
パネルを用いて、実施例1に記載の方法に従って、変色
性及び輝度安定性の評価を行い、得られた結果を表2に
示す。
【0108】
【表2】
【0109】表2より明らかなように、本発明で規定す
る総イソシアネート基含有率が0〜1000ppmの範
囲にある高分子樹脂で作製した試料6、7は、比較例に
対して、製造時及び高温高湿条件下で保存した後の蛍光
体表面の黄変が無く、かつ輝度安定性に優れていること
が分かる。
【0110】
【発明の効果】本発明により、製造段階及び長期保存で
の熱や吸湿による黄変を防止し、輝度安定性に優れた放
射線画像変換パネル及びその製造方法を提供するができ
た。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に輝尽性蛍光体と結合剤とを含
    有する輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルに
    おいて、該輝尽性蛍光体層がヨウ素を含有し、かつ表面
    部から深さ180μmの領域に含有されるイソシアネー
    ト基濃度が、0〜70ppmであることを特徴とする放
    射線画像変換パネル。
  2. 【請求項2】 支持体上に輝尽性蛍光体と結合剤とを含
    有する輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルに
    おいて、該輝尽性蛍光体がヨウ素を含有し、該結合剤が
    イソシアネート基含有率が0〜1000ppmである高
    分子樹脂であることを特徴とする放射線画像変換パネ
    ル。
  3. 【請求項3】 前記高分子樹脂が、主鎖にウレタン結合
    を有することを特徴とする請求項2記載の放射線画像変
    換パネル。
  4. 【請求項4】 前記輝尽性蛍光体がEu付加BaFBr
    X(1-X)(0≦X<1)であることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネル。
  5. 【請求項5】 支持体上に輝尽性蛍光体と結合剤とを含
    有する輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの
    製造方法において、該輝尽性蛍光体がヨウ素を含有し、
    該結合剤としてイソシアネート基含有率が0〜1000
    ppmである高分子樹脂を用いて製造することを特徴と
    する放射線画像変換パネルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記高分子樹脂が、主鎖にウレタン結合
    を有することを特徴とする請求項5記載の放射線画像変
    換パネルの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記輝尽性蛍光体がEu付加BaFBr
    X(1-X)(0≦X<1)であることを特徴とする請求項
    5又は6に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022024860A1 (ja) * 2020-07-31 2022-02-03 東レ株式会社 シンチレータパネル、それを用いた放射線検出器、ラインカメラおよび放射線検査装置ならびにそれを用いたインライン検査方法および検査方法

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WO2022024860A1 (ja) * 2020-07-31 2022-02-03 東レ株式会社 シンチレータパネル、それを用いた放射線検出器、ラインカメラおよび放射線検査装置ならびにそれを用いたインライン検査方法および検査方法

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