JP3933381B2 - 放射線画像変換パネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線画像変換パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線画像は病気診断用などに多く用いられている。このX線画像を得るために被写体を通過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせてこの可視光を通常の写真をとるときと同じように銀塩を使用したフィルムに照射して現像した、いわゆる放射線写真が利用されている。しかし近年銀塩を塗布したフィルムを使用しないで蛍光体層から直接画像を取り出す方法が工夫されるようになった。
【0003】
この方法としては被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収させ、しかる後この蛍光体を例えば光または熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射し、この蛍光を検出し画像化する方法がある。
【0004】
具体的には、例えば米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法が知られている。
【0005】
上記記載の方法は輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネルを使用するもので、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後に輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号をたとえば光電変換し、電気信号を得て、この信号を感光フィルムなどの記録材料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生するものである。
【0006】
上記の放射線画像記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。
【0007】
このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0008】
従来より放射線画像変換パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例としては下記のものが一例として挙げられる。
【0009】
(1)特開昭55−12145号に記載されている(Ba1-X,M(II)+X)FX:yA、(式中、M(II)はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、そしては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2である)の組成式で表される希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0010】
(a)特開昭56−74175号に記載されている、X′、BeX″、M(III)X′′′3、式中、X′、X″、およびX′′′はそれぞれCl、BrおよびIの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属である;
(b)特開昭55−160078号に記載されているBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al23、Y23、La23、In23、SiO2、TiO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25およびThO2などの金属酸化物;
(c)特開昭56−116777号に記載されているZr、Sc;
(d)特開昭57−23673号に記載されているB;
(e)特開昭57−23675号に記載されているAs、Si;
(f)特開昭58−206678号に記載されているM・L、式中、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である;
(g)特開昭59−27980号に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−27289号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物;
特開昭59−56479号に記載されているNaX′、式中、X′はCl、BrおよびIのうちの少なくとも一種である;
(h)特開昭59−56480号に記載されているV、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;特開昭59−75200号に記載されているM(I)X′、M′(II)X″2、M(III)X′′′3、A、式中、M(I)はLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′(II)はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属を表し、M(III)はAl、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であり、X′、X″、およびX′′′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(i)特開昭60−101173号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(j)特開昭61−23679号に記載されているM(II)′X′2・M(II)′X″2、式中、M(II)′はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX″はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である;更に、特開昭61−264084号明細書に記載されているLnX″3、式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。
【0011】
(2)特開昭60−84381号に記載されているM(II)X2・aM(II)X′2:xEu2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい;
(a)特開昭60−166379号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(b)特開昭60−221483号に記載されているKX″、MgX′′′2、M(III)X″″3、式中、M(III)はSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、X′′′およびX″″はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(c)特開昭60−228592号に記載されているB、特開昭60−228593号に記載されているSiO2、P25等の酸化物、特開昭61−120882号に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(d)特開昭61−120883号に記載されているSiO;特開昭61−120885号に記載されているSnX″2、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(e)特開昭61−235486号に記載されているCsX″、SnX′′′2、式中、X″およびX′′′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−235487号に記載されているCsX″、Ln3+、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である;
(3)特開昭55−12144号に記載されているLnOX:xA、(式中、LnはLa、Y、Gd、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素付活希土類オキシハライド蛍光体;
(4)特開昭58−69281号に記載されているM(II)OX:xCe、(式中、M(II)はPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム付活三価金属オキシハライド蛍光体;
(5)特開昭62−25189号明細書に記載されているM(I)X:xBi、(式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体;
(6)特開昭60−141783号に記載されているM(II)5(PO43X:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体;
(7)特開昭60−157099号に記載されているM(II)2BO3X:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体;
(8)特開昭60−157100号に記載されているM(II)2(PO43X:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体;
(9)特開昭60−217354号に記載されているM(II)HX:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;
(10)特開昭61−21173号に記載されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式中、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;
(11)特開昭61−21182号に記載されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体;
(12)特開昭61−40390号に記載されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;
(13)特開昭61−236888号明細書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体;
(14)特開昭61−236890号に記載されているM(II)X2・aM(I)X′:xEu2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;M(I)はLi、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活複合ハロゲン化物蛍光体;
上記の輝尽性蛍光体のうちで、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は高輝度の輝尽発光を示す。
【0012】
これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことができ繰り返し使用が可能である。つまり従来の放射線写真法では一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線画像変換方法では放射線画像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0013】
そこで、放射線画像変換パネルには得られる放射線画像の画質を劣化させることなく長期間の使用に耐える性能を付与することが望ましい。
【0014】
しかし放射線画像変換パネルの製造に用いられる輝尽性蛍光体は一般に吸湿性が大であり、通常の気候条件の室内に放置すると空気中の水分を吸収し、時間の経過とともに著しく劣化する。
【0015】
具体的には、たとえば輝尽性蛍光体を高湿度のもとに置くと、吸収した水分の増大にともなって前記蛍光体の放射線感度が低下する。また一般には輝尽性蛍光体に記録された放射線画像の潜像は、放射線照射後の時間の経過にともなって退行するため、再生される放射線画像信号の強度は放射線照射から励起光による走査までの時間が長いほど小さくなるという性質を有するが、輝尽性蛍光体が吸湿すると前記潜像退行の速さが速くなる。そのため、吸湿した輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルを用いると、放射線画像の読み取り時再生信号の再現性が低下する。
【0016】
従来、輝尽性蛍光体の吸湿による前記の劣化現象を防止するには、透湿度の低い防湿性保護層で輝尽性蛍光体層を被覆することにより該蛍光体層に到達する水分を低減させる方法がとられている。防湿性保護層としてはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム、またはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリエチレンテレフタレートフィルムや上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが使用される。
【0017】
輝尽性蛍光体プレートの励起光の光源としては一般にビーム収束性の高いレーザー光が用いられるが、PET等の高分子フィルムからなる保護層を介してレーザー光で走査された場合、保護層フィルム内部での励起レーザー光の散乱や、保護層と光検出装置間や周辺部材での励起レーザー光の乱反射により、励起光が走査された場所から離れた場所の輝尽性蛍光体面を励起させ輝尽発光を放出させる為に鮮鋭性が低下する。また蛍光体プレートが保護層を有しない場合にも蛍光体プレート表面と光検出装置間や周辺部材での励起レーザー光の乱反射により高い鮮鋭性は得られないという問題点があった。
【0018】
特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムは、透明性、バリア性、強さの面で保護層として優れた物性を有するにも関わらず、屈折率が大であるために、保護フィルム内部に入射した励起光の一部がフィルムの上下の界面で繰り返し反射して走査された場所から離れた場所まで伝搬し、輝尽発光を放出させ鮮鋭性が低下する。
【0019】
また、保護層の上下の界面で蛍光体面と反対方向に反射された励起光も光検出装置間や周辺部材で再反射して走査された場所からさらに遠く離れた場所の輝尽性蛍光体面を励起させ輝尽発光を放出させるため、これによりさらに鮮鋭性が低下する。励起光は赤から赤外の長波長のコヒーレントな光である為に、積極的に散乱光や反射光を吸収しない限り、保護フィルム内部や読み取り装置内部の空間で吸収される量は少なく離れた場所まで伝搬し鮮鋭性を悪化する。
【0020】
また、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等フィルムを保護層として使用した場合、被写体の放射線画像以外の濃淡すなわち画像ムラや、保護層の製造工程中に起因すると思われる線状のノイズ等が出現すると言う問題点もあった。これらの画像ムラや線状ノイズに対して、特開昭59−42500や特公平1−57759には保護層のヘイズ率を高くしてこれらの画像ムラや線状ノイズを解消する手段が示されている。しかしながら保護層のヘイズ率を高くすると鮮鋭性が低下してしまうと言う欠点がある。
【0021】
鮮鋭性の悪化を防止する為には保護フィルムを薄くし、保護フィルム内部での励起光の伝搬距離を短くする方法が考えられるが、効果は小さく、逆に保護層の薄膜化による防湿性や耐傷性の低下が問題となる。鮮鋭性の向上に関しては、特公昭59−23400には放射線画像変換パネルの、支持体、下引き層、蛍光体層、中間層、保護層のいずれかを励起光を吸収する色で着色する方法、特開昭60−200200では蛍光体層と保護層間の接着剤層を着色する方法が示されているが、これらの方法により鮮鋭性を高めると上記の画像ムラや線状ノイズがより顕著になってくると言う問題点がある。
【0022】
これらの鮮鋭性の悪化や画像ムラや線状ノイズがひどい場合は、病気診断用に使用される放射線画像変換パネルにとっては致命的な欠陥となる。
【0023】
そこで、上記記載の問題点の解決が要望されていた。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は画像ムラがなく、鮮鋭性の高い、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルを提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記の項目1〜によって達成された。
【0026】
1.支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍光体シートと該輝尽性蛍光体層を被覆するように設けられた保護フィルムを有する放射線画像変換パネルにおいて、該保護フィルムが励起光吸収層を有し、該保護フィルムが少なくとも2層の樹脂フィルム層A、Bを有し、励起光吸収層が該樹脂フィルム層AとBの間に設けられており、該保護フィルムのヘイズ率が10%以上50%以下であり、且つ、保護フィルムの励起光波長における光透過率が97%〜50%であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0027】
2.保護フィルムの透湿度が50g/m 2 ・day以下であることを特徴とする前記1に記載の放射線画像変換パネル。
【0028】
3.蛍光体シートに接する側の保護フィルムの最外層が熱融着性を有する樹脂を含有していることを特徴とする前記1または2に記載の放射線画像変換パネル。
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍光体シートと前記輝尽性蛍光体層を被覆するように設けられた保護フィルムを有する放射線画像変換パネルにおいて、保護フィルムが励起光吸収層を有し、且つ、保護フィルムのヘイズ率が5%以上60%以下になるように調整することにより、励起用レーザー光に起因する鮮鋭性の悪化の問題や画像ムラや線状ノイズの問題を解決し、長期間良好な状態で使用出来る放射線画像変換パネルを提供できるようになった。
【0033】
本発明に係る保護フィルムについて説明する。
本発明に係る保護フィルムを作製するための材料としては、具体的には、ポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護フィルムとして好ましく、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。
【0034】
本発明に係る保護フィルムの励起光吸収層について説明する。
励起用レーザに起因する鮮鋭性の劣化を防止する観点から、本発明の保護フィルムには励起光吸収層が設けられる。ここで、励起光吸収層とは輝尽性蛍光体の励起光を吸収する層であり、励起光を選択的に吸収する着色剤を含有する層を塗設する事が好ましい。また、励起光吸収層は保護フィルムの一方の面に塗設されてもよいし、両面に塗設されていてもよく、また、保護フィルム自体が着色剤などにより着色されていてもよい。
【0035】
着色剤としては、放射線画像変換パネルに用いる輝尽性蛍光体の種類によって決まるが、放射線画像変換パネル用の輝尽性蛍光体としては、通常、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が用いられるため、着色剤としては通常、青色〜緑色の有機系もしくは無機系の着色剤が好ましく用いられる。
【0036】
青色〜緑色の有機系着色剤の例としては、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト社製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学(株)製)、スミアクリルブルーF−GSL(住友化学(株)製)、D&CブルーNo1(ナショナル・アニリン社製)、スピリットブルー(保土谷化学(株)製)、オイルブルーNo603(オリエント(株)製)、キトンブルーA(チバ・ガイギー社製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土谷化学(株)製)、レイクブルーA、F、H(協和産業(株)製)、ローダリンブルー6GX(協和産業(株)製)、ブリモシアニン6GX(稲畑産業(株)製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学(株)製)、シアニンブルーBNRS(東洋インキ(株)製)、ライオノルブルーSL(東洋インキ(株)製)が挙げられる。青色〜緑色の無機系着色剤の例としては、群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO2−ZnO−CoO−NiO系顔料が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0037】
本発明に係る保護フィルムにおいては、本発明に記載の効果、特に放射線画像変換パネルの輝度を良好に保つ観点から、励起光波長における光透過率が97%〜50%であることが好ましく、更に好ましくは、光透過率が95%〜80%である。ここで、光透過率とは、励起光吸収層を有する保護フィルムが励起光吸収層を持たない前記保護フィルムの光透過率を100%に設定したとき、その光透過率の97%〜50%となるように調整することを意味する。
【0038】
上記記載の光透過率は下記式に従って求められる。
光透過率(%)=(透過光/入射光)×100
本発明に係る保護フィルムのヘイズ率について説明する。
【0039】
本発明に記載の効果、特に鮮鋭性を向上し、画像ムラや線状ノイズを解消する観点から、保護フィルムのヘイズ率が5%以上、60%以下になるように調整することが必要であるが、好ましくは5%〜50%であり、更に好ましくは5%〜30%である。
【0040】
上記記載の保護フィルムのヘイズ率は、ASTMD−1003に規定された方法を用いて測定される。
【0041】
本発明に係る保護フィルムのヘイズ率は、使用する樹脂フィルムのヘイズ率を参照して調整することができる。また、任意のヘイズ率の樹脂フィルムは工業的に入手可能である。
【0042】
本発明においては、輝尽性蛍光体の吸湿劣化を防止する観点から、本発明に係る保護フィルムは防湿性を付与されていることが好ましく、具体的には保護フィルムの透湿度が50g/m2・day以下であることが好ましく、更に好ましくは10g/m2・day以下であり、特に好ましくは1g/m2・day以下である。
【0043】
上記記載の保護フィルムの透湿度はJIS Z 0208により規定された方法を参照して測定することが出来る。
【0044】
保護フィルムの透湿度を上記記載の範囲に調整し、保護フィルムの防湿性を向上させる観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムの使用が好ましい。
【0045】
また、本発明に係る保護フィルムは必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性を付与することが出来るが、樹脂フィルムの積層方法としては、従来公知の方法を適用することが出来る。
【0046】
本発明においては、積層された樹脂フィルム間に上記記載の励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され、安定したプレート性能を長期間維持することが出来る。
【0047】
以上から、励起光吸収層は積層された樹脂フィルム間に複数箇所に設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含有し励起光吸収層として使用することもできる。
【0048】
本発明に係る保護フィルムを用いて蛍光体プレートを封止するにあたっては従来公知の如何なる方法も適用することが出来るが、保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層が熱融着性を有する樹脂を含有することで保護フィルムが融着可能となり、蛍光体シートの周縁部における封止作業を効率化し、且つ、輝尽性蛍光体の吸湿による特性の劣化を極めて効果的に防止することができる。
【0049】
好ましくは、蛍光体シートの上下に保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で該上下の保護フィルムが融着している封止構造とすることで蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止できる。更に好ましくは、上記記載の封止に用いる個所のみ上記記載の熱融着性を有する樹脂を含有する層を前記の保護フィルムが有することである。
【0050】
また、支持体面側の保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィルムとすること(図1参照)でより確実に水分の進入を低減できる。またこの封止方法は作業的にも容易である。また、この場合、保護フィルムの輝尽性蛍光体層に接する側の最外層の熱融着性を有する樹脂層と蛍光体面は実質的に接着していないことが好ましい。
【0051】
『保護フィルムと輝尽性蛍光体層とが実質的に接着していない』とは、輝尽性蛍光体層と保護フィルムが、光学的に一体化していない状態のことを意味する。より具体的には、微視的に輝尽性蛍光体層と保護フィルムとが点接触していたとしても、光学的、力学的には殆ど輝尽性蛍光体層と保護フィルムとは不連続体として扱える状態であるということを意味する。
【0052】
上記記載の封止構造において、輝尽性蛍光体層と防湿性保護層は、微視的な点で各所で接触していると考えられるが、この接触面積が、蛍光体層面積の10%以下の場合、本発明においては実質的に接着していないと定義する。
【0053】
熱融着性フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、たとえばエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロペレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等があげられるが本発明はこれらに限定されない。
【0054】
本発明の放射線画像変換パネルに用いられる支持体としては各種高分子材料が用いられる。特に情報記録材料としての取り扱い上可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえばセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。
【0055】
また、これら支持体の層厚は用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜1000μmであり、取り扱い上の点から、さらに好ましくは80μm〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0056】
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0057】
本発明に係る輝尽性蛍光体層に用いられる結合剤(バインダー)の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができる。
【0058】
上記記載の結合剤の中で特に好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、ニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物およびポリウレタンとポリビニルブチラールとの混合物である。なお、これらの結合剤は架橋剤によって架橋されたものであってもよい。輝尽性蛍光体層は、例えば、次のような方法により下塗層上に形成することができる。
【0059】
まず輝尽性蛍光体、および結合剤を適当な溶剤に添加し、これらを充分に混合して結合剤溶液中に蛍光体粒子および該化合物の粒子が均一に分散した塗布液を調製する。
【0060】
一般に結合剤は輝尽性蛍光体1質量部に対して0.01乃至1質量部の範囲で使用される。しかしながら得られる放射線画像変換パネルの感度と鮮鋭性の点では結合剤は少ない方が好ましく、塗布の容易さとの兼合いから0.03乃至0.2質量部の範囲がより好ましい。
【0061】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製に用いられる溶剤の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0062】
尚、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0063】
上記のようにして調製された塗布液を、次に下塗層の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行なうことができる。
【0064】
次いで、形成された塗膜を徐々に加熱することにより乾燥して、下塗層上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は20μm乃至1mmとする。また、この層厚は50乃至500μmとするのが好ましい。
【0065】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、ボールミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、および超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。調製された塗布液をドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどの塗布液を用いて支持体上に塗布し、乾燥することにより輝尽性蛍光体層が形成される。
【0066】
本発明の放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層の膜厚は目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と輝尽性蛍光体との混合比等によって異なるが、10μm〜1000μmの範囲から選ばれるのが好ましく、10μm〜500μmの範囲から選ばれるのがより好ましい。
【0067】
支持体上に蛍光体層が塗設された蛍光体シートを所定の大きさに断裁する。断裁にあたっては一般のどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望ましい。
【0068】
所定の大きさに断裁された蛍光体シートを保護フィルムで封止するには既知のいかなる方法も使用できるが、例をあげると蛍光体シートを上下の保護フィルムの間に挟み周縁部をインパルスシーラーで加熱融着する方法、や2本の加熱したローラー間で加圧加熱するラミネート方式等が挙げられる。
【0069】
上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0070】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが本発明はこれらに限定されない。
【0071】
実施例1
《放射線画像変換パネル試料1の作製》
(蛍光体シートの作製)
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら83℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気中、850℃で2時間焼成してユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を分級することにより平均粒径7μmの粒子を得た。
【0072】
蛍光体層形成材料として、上記で得たユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体427g、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン社製、デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをメチルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25〜30Pa・sの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて厚さ100μmの黒色PET支持体上に塗布したのち、100℃で15分間乾燥させて、270μmの厚さの蛍光体層を有する蛍光体シートを作製した。
【0073】
(保護フィルムの作製)
上記で得られた蛍光体シートの蛍光体面側の保護フィルムとして下記構成(A)のものを使用した。
【0074】
構成(A)
VMPET12//VMPET12//PET12//シーラントフィルム
PET:ポリエチレンテレフタレート
シーラントフィルム:熱融着性フィルムでCPP(キャステングポリプロピレン)またはLLDPE(低密度線状ポリエチレン)を使用
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)
各樹脂フィルムの後ろの数字はフィルムの膜厚(μm)を示す。
【0075】
上記“//”はドライラミネーション接着層で、接着剤層の厚みが2.5μmであることを意味する。使用したドライラミ用の接着剤は2液反応型のウレタン系接着剤である。
【0076】
この時、使用した接着剤溶液に、あらかじめメチルエチルケトンに分散溶解させた有機系青色着色剤(ザボンファーストブルー3G、ヘキスト社製)を添加しておくことで、接着剤層の全てを励起光吸収層とした。またこのときの添加量を調節することで励起光吸収層の光線透過率を調節した。
【0077】
ここで言う励起光吸収層の光線透過率とは、He−Neレーザー光(633nm)の光波長における光透過率を励起光吸収層を有しない同等の保護フィルムの光透過率と比較した場合の値とした。
【0078】
蛍光体シートの支持体面側の保護フィルムは、シーラントフィルム/アルミ箔フィルム9μm/ポリエチレンテレフタレート(PET)188μmの構成のドライラミネートフィルムとした。またこの場合の接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
【0079】
(蛍光体シートの封止)
塗布サンプルを20cm×20cmの正方形に断裁し、上記の各種のヘイズと励起光吸収層を有する保護フィルムを使用し、減圧下で周縁部をインパルスシーラを用いて融着することで封止した。図1に本発明の放射線画像変換パネルの断面図を示す。尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは8mm幅のものを使用した。
【0080】
上記から放射線画像変換パネル試料1を得た。また、シーラントフィルムの品種を変更によりヘイズ率を調節し、表1に示すようにヘイズ率を調整した以外は同様にして放射線画像変換パネル2〜12を作製した。
【0081】
得られた放射線画像変換パネル試料1〜12について下記に記載の評価を行った。
【0082】
《放射線画像変換パネルの評価》
(鮮鋭性の評価)
鮮鋭度については、放射線画像変換パネルに鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線を照射した後パネルHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、これをアナログ/デジタル変換してハードディスクに記録し、記録をコンピューターで分析してハードディスクに記録されているX線像の変調伝達関数(MTF)を調べた。空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値(%)を測定した。MTF値が高いほど良好な鮮鋭性が得られるので好ましい。また、放射線画像変換パネルとして実用するためには鮮鋭性は65%を越えることが必要である。
【0083】
(画像ムラ、線状ノイズの評価)
放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生し出力装置より2倍に拡大してプリントアウトし、得られたプリント画像を目視により観察して画像ムラや線状ノイズの出現を評価した。画像ムラ及び線状ノイズそれぞれについて下記のように0〜5までの6段階のランク評価を行った。
【0084】
0:画像ムラや線状ノイズがない
1:面内の1〜2個所に淡い画像ムラや線状ノイズがある
2:面内の3〜4個所に淡い画像ムラや線状ノイズがある
3:面内の3〜4個所に画像ムラや線状ノイズが見られ、その中の1〜2個所は濃い画像ムラや線状ノイズがある
4:面内の5個所以上に画像ムラや線状ノイズがある
5:面内の5個所以上に濃い画像ムラや線状ノイズがある
(輝度の評価)
感度の測定は放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を照射した後、パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(光電子像倍管)で受光してその強度を測定することで行った。輝度は保護層のヘイズ率40%の場合の放射線画像変換パネル全面の平均値であり、励起光吸収層なしの保護フィルムで封止した場合の輝度を1とした場合の相対輝度である。
【0085】
得られた結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
Figure 0003933381
【0087】
表1から、比較と比べて本発明の試料は良好な鮮鋭性を示し、画像ムラ、線状ノイズが少なく、且つ、実用的に十分な輝度を示すことが判る。
【0088】
【発明の効果】
本発明により、画像ムラがなく、鮮鋭性の高い、輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換パネルを提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線画像変換パネルの断面図である。
【符号の説明】
11 蛍光体
12 支持体
13 積層保護フィルム
14 アルミラミネートフィルム

Claims (3)

  1. 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する蛍光体シートと該輝尽性蛍光体層を被覆するように設けられた保護フィルムを有する放射線画像変換パネルにおいて、該保護フィルムが励起光吸収層を有し、該保護フィルムが少なくとも2層の樹脂フィルム層A、Bを有し、励起光吸収層が該樹脂フィルム層AとBの間に設けられており、該保護フィルムのヘイズ率が10%以上50%以下であり、且つ、保護フィルムの励起光波長における光透過率が97%〜50%であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
  2. 保護フィルムの透湿度が50g/m 2 ・day以下であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネル。
  3. 蛍光体シートに接する側の保護フィルムの最外層が熱融着性を有する樹脂を含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線画像変換パネル。
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