JP4320965B2 - 放射線画像変換パネル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線画像変換パネル及びその製造方法に関し、詳しくは輝度、鮮鋭性及び粒状性が改良された放射線画像変換パネル及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線画像は、病気診断用などの分野で多く用いられている。このX線画像を得る方法としては、被写体を通過したX線を蛍光体層(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせた後、この可視光を通常の写真を撮るときと同様にして、ハロゲン化銀写真感光材料に照射し、次いで現像処理を施して可視銀画像を得る、いわゆる放射線写真方式が広く利用されている。
【0003】
しかしながら、近年では、ハロゲン化銀塩を有する感光材料による画像形成方法に代わり、蛍光体層から直接画像を取り出す新たな方法が提案されている。
【0004】
この方法としては被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を例えば光又は熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出し画像化する方法がある。
【0005】
具体的には、例えば、米国特許第3,859,527号及び特開昭55−12144号公報などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法が知られている。
【0006】
この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換パネルを使用するもので、この放射線画像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を、例えば、光電変換して、電気信号を得て、この信号をハロゲン化銀写真感光材料などの記録材料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生するものである。
【0007】
上記の放射線画像の再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せによる放射線写真法と比較して、はるかに少ない被曝線量で、かつ情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点を有している。
【0008】
このように輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的には、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。
【0009】
これらの輝尽性蛍光体を使用した放射線画像変換パネルは、放射線画像情報を蓄積した後、励起光の走査によって蓄積エネルギーを放出するので、走査後に再度放射線画像の蓄積を行うことができ、繰り返し使用が可能である。つまり従来の放射線写真法では、一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線画像変換方法では放射線画像変換パネルを繰り返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0010】
放射線画像変換パネルを使用した放射線画像変換方式の優劣は、輝尽性発光輝度(感度ともいう)および得られる鮮鋭性、粒状性等で代表される画質に大きく左右され、特に、これらの特性は用いる輝尽性蛍光体の特性が大きく支配されていることが知られている。
【0011】
放射線画像変換パネルを用いた撮影システムにおいて、被写体を通過した放射線などを放射線画像変換パネルの蛍光体層側から入射させ、同じ蛍光体層側から可視光線、赤外線などの励起光で蛍光体を励起させようとすると、可視光線、赤外線などの励起光照射部及び読み取り部まで放射線画像変換パネルを移動させなければならず装置が大きくなる欠点があった。そのため、被写体を通過した放射線などを放射線画像変換パネルの蛍光体層側からでなく支持体側から入射させ、励起光による蛍光体の励起は今までと同様に蛍光体層側から行うことで装置をコンパクトにすることが試みられてきた。しかしながら、放射線が支持体側から入射して蛍光体層に到達するため、特性的には不利となり、特に感度、粒状性、及び鮮鋭度が低下してしまうという問題が新たに生じた。
【0012】
さらに検討を進めた結果、主に輝尽性蛍光体層に残留している溶媒量が、輝度、粒状性あるいは鮮鋭性等の安定性に影響を与えていることが判明し、特に、上記の様な支持体側から入射させる方法で用いる放射線画像変換パネルにおいては、放射線エネルギーの蓄積像である被写体の放射線画像情報が、蛍光体層の支持体側により多く形成されることとなる。この際、蛍光体層中の残留溶媒は、蛍光体形成(乾燥)の際、減率乾燥過程でより下部に多く存在することとなり、そのため、画像情報に対する影響が大きいことが判明し、この結果として、より輝度の低下や鮮鋭性、粒状性の劣化を招くことが判明し、早急な改良が要望されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、輝度(感度とも云う)、鮮鋭性、粒状性に優れた放射線画像変換パネル及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
【0015】
1.支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルにおいて、該輝尽性蛍光体層を形成する塗布液中のシクロヘキサノン含有量が、全溶剤量の〜53質量%であり、かつ塗布乾燥後の該輝尽性蛍光体層に含まれるシクロヘキサノン残留量が、10〜560mg/m であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0017】
.支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの製造方法において、該輝尽性蛍光体層を形成する塗布液中のシクロヘキサノン含有量全溶剤量の〜53質量%とし、かつ塗布乾燥後の該輝尽性蛍光体層に含まれるシクロヘキサノン残留量を10560mg/m として製造することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法。
【0018】
.被写体を透過した放射線、又は被写体から発せられた放射線を、輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの裏面側(支持体側)から入射する放射線像入力システムに用いられ、前記輝尽性蛍光体層を形成する塗布液中のシクロヘキサノン含有量が、全溶剤量の〜45質量%であり、かつ塗布乾燥後の該輝尽性蛍光体層に含まれるシクロヘキサノン残留量が、10〜470mg/m であることを特徴とする前記1に記載の放射線画像変換パネル。
【0020】
.前記輝尽性蛍光体層に含有される輝尽性蛍光体が、前記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記1または3に記載の放射線画像変換パネル。
【0021】
.前記輝尽性蛍光体層に含有される輝尽性蛍光体が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記1または3に記載の放射線画像変換パネル。
【0022】
前記放射線画像変換パネルが、被写体を透過した放射線、又は被写体から発せられた放射線を、輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの裏面側(支持体側)から入射する放射線像入力システムで用いられ、前記輝尽性蛍光体層を形成する塗布液中のシクロヘキサノン含有量全溶剤量の〜45質量%とし、かつ塗布乾燥後の該輝尽性蛍光体層に含まれるシクロヘキサノン残留量10〜470mg/m として製造することを特徴とする前記2に記載の放射線画像変換パネルの製造方法。
【0023】
以下、本発明の詳細について説明する。
請求項1、2に係る発明では、輝尽性蛍光体層(以下、単に蛍光体層とも云う)の形成で溶剤として、少なくとも1種はシクロヘキサノンであり、蛍光体層形成用塗布液に含有される溶剤として、シクロヘキサノン量が、全溶剤量の〜53質量%であることが特徴であり、また、請求項3、6に係る発明では〜45質量%であることが特徴である。また、請求項1、2に係る発明では、塗布乾燥後の蛍光体層に含まれるシクロヘキサノン残留量が、10〜560mg/mであることが特徴であり、請求項3、6に係る発明では、10〜470mg/mであることが特徴である。
【0024】
本発明の放射線画像変換パネルにおいて、蛍光体層は主として、輝尽性蛍光体、結合剤とから構成され、蛍光体層形成時の塗布液調製において、結合剤を溶解するため、溶剤が用いられている。
【0025】
本発明において、輝尽性蛍光体層用塗布液の調製に用いられる溶剤としては、シクロヘキサノンの他に、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル類、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物類、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素類およびそれらの混合物などが挙げられるが、本発明においては、溶剤の少なくとも1種がシクロヘキサノンである。
【0026】
本発明で云う残留溶媒とは、蛍光体層を支持体上、あるいは下引層を有する支持体上に塗布、乾燥して形成した後、蛍光体層に残留する溶剤量を意味し、以下に残留溶剤量測定の一例を示す。
【0027】
塗布、乾燥後の試料を、一定面積取り出し、これを5mm程度に細かく刻み専用バイアル瓶に収納し、セプタムとアルミキャップで密閉した後、例えば、ヒューレット・パッカード社製ヘッドスペースサンプラーHP7694型にセットする。次いで、ヘッドスペースサンプラーと接続したガスクロマトグラフィー(GC)は検出器として、例えば、水素炎イオン化検出器(FID)を装着したヒューレット・パッカード社製5971型等を使用することができる。
【0028】
測定条件の一例を、以下に示す。
ヘッドスペースサンプラー加熱条件:120℃、20分
GC導入温度150℃
カラム:J&W社製 DB−624
昇温:45℃、3分保持→100℃(8℃/分)
上記の測定条件を用いてガスクロマトグラムを得る。測定対象溶媒として、シクロヘキサノンを含む任意の溶剤を設定し、各々の溶媒のブタノールにて希釈された一定量をバイアル瓶に収納した後、上記と同様に測定して得られたクロマトグラムのピーク面積を用いて作製した検量線を使用して蛍光体層中の残留溶媒量を算出することができる。
【0029】
その他、総残留溶媒量を求める簡便な方法としては、蛍光体層を有する試料を115℃で1時間の加熱処理を行い、下記式で残留溶媒量を求めることもできる。
【0030】
残留溶媒量(%)=(加熱処理前質量−加熱処理後質量)/(加熱処理後質量)×100
次いで、輝尽性蛍光体について以下説明する。
【0031】
本発明に係る輝尽性蛍光体としては、波長が600〜800nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に使用される。
【0032】
以下に、本発明の放射線画像変換パネルで好ましく用いることのできる蛍光体の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
(1)特開昭55−12145号に記載されている(Ba1-X,M(II)X)FX:yA、(式中、M(II)はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、そしては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2である)の組成式で表される希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0034】
a)特開昭56−74175号に記載されている、X′、BeX″、M(III)X′″3、式中、X′、X″、およびX′″はそれぞれCl、BrおよびIの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属である
b)特開昭55−160078号に記載されているBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al23、Y23、La23、In23、SiO2、TiO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25およびThO2などの金属酸化物
c)特開昭56−116777号に記載されているZr、Sc
d)特開昭57−23673号に記載されているB
e)特開昭57−23675号に記載されているAs、Si
f)特開昭58−206678号に記載されているM・L、式中、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である
g)特開昭59−27980号に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−27289号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物;特開昭59−56479号に記載されているNaX′、式中、X′はCl、BrおよびIのうちの少なくとも一種である
h)特開昭59−56480号に記載されているV、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;特開昭59−75200号に記載されているM(I)X′、M′(II)X″2、M(III)X′″3、A、式中、M(I)はLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′(II)はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属を表し、M(III)はAl、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であり、X′、X″、およびX′″はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
i)特開昭60−101173号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
j)特開昭61−23679号に記載されているM(II)′X′2・M(II)′X″2、式中、M(II)′はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX″はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である;更に、特開昭61−264084号明細書に記載されているLnX″3、式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。
【0035】
(2)特開昭60−84381号に記載されているM(II)X2・aM(II)X′2:xEu2+(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0036】
a)特開昭60−166379号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
b)特開昭60−221483号に記載されているKX″、MgX′″2、M(III)X″″3、式中、M(III)はSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、X′″およびX″″はいずれもF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
c)特開昭60−228592号に記載されているB、特開昭60−228593号に記載されているSiO2、P25等の酸化物、特開昭61−120882号に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
d)特開昭61−120883号に記載されているSiO;特開昭61−120885号に記載されているSnX″2、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである
e)特開昭61−235486号に記載されているCsX″、SnX′″2、式中、X″およびX′″はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−235487号に記載されているCsX″、Ln3+、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である。
【0037】
(3)特開昭55−12144号に記載されているLnOX:xA(式中、LnはLa、Y、Gd、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素付活希土類オキシハライド蛍光体。
【0038】
(4)特開昭58−69281号に記載されているM(II)OX:xCe(式中、M(II)はPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム付活三価金属オキシハライド蛍光体。
【0039】
(5)特開昭62−25189号明細書に記載されているM(I)X:xBi(式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体。
【0040】
(6)特開昭60−141783号に記載されているM(II)5(PO43X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0041】
(7)特開昭60−157099号に記載されているM(II)2BO3X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0042】
(8)特開昭60−157100号に記載されているM(II)2(PO43X:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0043】
(9)特開昭60−217354号に記載されているM(II)HX:xEu2+(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体。
【0044】
(10)特開昭61−21173号に記載されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式中、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物蛍光体。
【0045】
(11)特開昭61−21182号に記載されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0046】
(12)特開昭61−40390号に記載されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体。
【0047】
(13)特開昭61−236888号明細書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体。
【0048】
(14)特開昭61−236890号に記載されているM(II)X2・aM(I)X′:xEu2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;M(I)はLi、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0049】
上記の輝尽性蛍光体のうちで、輝尽性蛍光体粒子がヨウ素を含有していることが好ましく、例えば、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示すため好ましく、特に、請求項6に係る発明では、輝尽性蛍光体が前記一般式(1)で表されるEu付加BaFBrI化合物であることが特徴であり、また、請求項7に係る発明では、輝尽性蛍光体が前記一般式(2)で表されるEu付加BaFI化合物であることが特徴である。
【0050】
以下に、本発明に係る輝尽性蛍光体について、その蛍光体の製造方法を、例を挙げて以下に詳しく説明する。
【0051】
製造方法としては、粒子形状の制御が難しい固相法ではなく、粒径の制御が容易である液相合成法により行うことが好ましい。特に、下記の2つの液相合成法により蛍光体を得ることが好ましい。
【0052】
液相合成法による蛍光体の前駆体製造については、公知の前駆体製造方法及び装置が好ましく利用できる。ここで蛍光体前駆体とは、蛍光体が600℃以上の高温を経ていない状態を示し、蛍光体前駆体は、輝尽発光性や瞬時発光性を殆ど示さない。
【0053】
以下、蛍光体前駆体の製造方法について説明する。
本発明では、以下の液相合成法により前駆体を得ることが好ましい。
【0054】
(製造方法)
1)BaI2とLnのハロゲン化物を含む化合物の合成においては、xが0でない場合には更にM2のハロゲン化物を、aが0でない場合はM1のハロゲン化物を含み、それらが溶解した後、BaI2濃度が2.0mol/L以上、好ましくは2.7mol/L以上の溶液を調製する工程;
2)上記溶液を50℃以上、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウム又はアルカリ金属の弗化物)の溶液を添加して、希土類付活アルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
3)上記無機弗化物を添加しつつ、又は添加終了後、反応液から溶媒を除去する工程;
4)上記前駆体結晶沈澱物を反応液から分離する工程;
5)分離した前駆体結晶沈澱物を焼結を避けながら焼成する工程;
とを含む製造方法である。
【0055】
上記焼成工程は、蛍光体前駆体の結晶を、石英ボート、アルミナ坩堝、石英坩堝などの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行う。焼成温度は400〜1,300℃の範囲が適当であり、500〜1,000℃の範囲が好ましい。焼成時間は、蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度及び炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
【0056】
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、又は少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、或いは微量酸素導入雰囲気が利用される。焼成方法については、特開2000−8034に記載の方法が好ましく用いられる。上記の焼成によって目的の蛍光体が得られる。
【0057】
本発明に係る粒子(結晶)は、平均粒径が1〜10μmで、かつ単分散性のものが好ましく、平均粒径が1〜7μm、平均粒径の分布(%)が20%以下のものがより好ましい。
【0058】
本発明における平均粒径とは、粒子(結晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。
【0059】
次いで、本発明の放射線画像変換パネルにおいて、上記説明した以外の構成要素について説明する。
【0060】
本発明の放射線画像変換パネルに用いられる支持体としては、各種高分子材料、ガラス、金属等が用いられる。特に、情報記録材料としての取り扱い上、可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえば、例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは該親水性微粒子の被覆層を有する金属シートを挙げることができ、特に好ましくは、輝尽発光を反射させる白色の発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
【0061】
また、これら支持体の膜厚は、用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には3〜1000μmであり、取り扱い易さの観点からは、50〜250μmであることが好ましい。
【0062】
これらの支持体の表面は、滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で、マット面としてもよい。
【0063】
さらに、これら支持体は、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的で、輝尽性蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0064】
本発明において、下引層あるいは輝尽性蛍光体層で用いることのできる結合剤としては、特に制限はないが、例えば、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質、あるいは、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。これらのなかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースを使用することが好ましい。また、これらの結合剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの結合剤は、架橋剤により架橋されたものであっても良く、架橋剤としてはイソシアネート及びその誘導体が好ましい。
【0065】
本発明に係る輝尽性蛍光体の塗布液の調製及び形成は、以下の様にして行うことができる。
【0066】
輝尽性蛍光体層塗布液には、沃素含有輝尽性蛍光体、結合剤及び適当な溶剤の他、塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤としては、例えば、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。また、輝尽性蛍光体層塗布液中に、輝尽性蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、例えば、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。
【0067】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。
【0068】
上記のようにして調製された塗布液を、支持体上、あるいは支持体が下引層を有している場合には、下引層表面上に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0069】
上記方法により形成された塗膜を加熱、乾燥して、下塗層上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は20〜1000μmであり、より好ましくは50〜500μmであり、特に好ましくは150〜300μmである。
【0070】
支持体上に輝尽性蛍光体層が塗設された蛍光体シートは、所定の大きさに断裁される。断裁にあたっては、一般のどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望ましい。
【0071】
本発明の放射線画像変換パネルには、輝尽性蛍光体層の表面を物理的、化学的に保護するための保護膜(保護フィルムともいう)を設けることが好ましく、それらの構成は目的、用途などに応じて適宜選択することができる。
【0072】
本発明の放射線画像変換パネルに設ける保護層としては、ASTMD−1003に記載の方法により測定したヘイズ率が、5%以上60%未満の励起光吸収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0073】
本発明において、保護層で用いるフィルムは、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、輝尽性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも50g/m2・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの方法を用いても良い。
【0074】
また、積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含有して、励起光吸収層としても良い。
【0075】
保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するように設けられた構造(以下、封止または封止構造ともいう)であることがより好ましい。蛍光体プレートを封止するにあたっては、公知のいずれの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。さらには、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。また、さらには、支持体面側の防湿性保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、またこの封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0076】
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していないことが好ましい。ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。また、上記の熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0077】
【実施例】
以下、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0078】
《放射線画像変換パネルの作製》
〔下引層の形成〕
以下に記載の下引層塗布液を、ドクターブレードを用いて、厚さ188μmの発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 188E60L)に塗布し、100℃で5分間乾燥させて、乾燥膜厚30μmの下引層を塗設した。
【0079】
(下引層塗布液)
ポリエステル樹脂溶解品(東洋紡社製 バイロン55SS、固形分35%)288.2gに、β−銅フタロシアニン分散品0.34g(固形分35%、顔料分30%)及び硬化剤としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製 コロネートHX)11.22gを混ぜ、プロペラミキサーで分散して下引層塗布液を調製した。
【0080】
〔蛍光体層の形成〕
(蛍光体粒子の調製)
ユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するために、BaI2水溶液(4.0mol/L)2500mlとEuI3水溶液(0.2mol/L)125mlを反応器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら70℃で保温した。次いで、弗化アンモニウム水溶液(8mol/L)250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈澱物を生成させた。注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈澱物の熟成を行なった。次に、沈澱物をろ別後、エタノールにより洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.1質量%添加し、ミキサーで充分撹拌して結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気下で、850℃で2時間焼成した後、分級して平均粒子径が4.0μmのユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子を調製した。
【0081】
(蛍光体層塗布液の調製)
上記調製したユーロピウム付活弗化ヨウ化バリウム蛍光体粒子300gと、ポリエステル樹脂(東洋紡社製 バイロン530、固形分30%、溶剤:メチルエチルケトン/トルエン=5/5)52.63gとを、メチルエチルケトン0.13g、トルエン0.13g及びシクロヘキサノン41.84gの混合溶剤に添加、プロペラミキサーによって分散して蛍光体層塗布液を調製した。なお、蛍光体塗布液中におけるシクロヘキサンの溶剤比率は、53質量%である。
【0082】
(蛍光体層1の形成、蛍光体シートの作製)
上記調製した蛍光体層塗布液を、ドクターブレードを用いて、上記形成した下引層上に、膜厚が180μmとなるように塗布したのち、100℃で15分間乾燥させて蛍光体層1を形成して、蛍光体シート1を作製した。
【0083】
なお、上記蛍光体層1の残留溶剤量を、後述の方法で測定した結果、シクロヘキサノンの残留量は560mg/m2であった。
【0084】
〔防湿性保護フィルムの作製〕
上記作製した蛍光体シート1の蛍光体層塗設面側の保護フィルムとして下記構成(A)のものを使用した。
【0085】
構成(A)
NY15///VMPET12///VMPET12///PET12///CPP20
NY:ナイロン
PET:ポリエチレンテレフタレート
CPP:キャステングポリプロピレン
VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタライジング社製)
各樹脂フィルムの後ろに記載の数字は、樹脂層の膜厚(μm)を示す。
【0086】
上記「///」は、ドライラミネーション接着層で、接着剤層の厚みが3.0μmであることを意味する。使用したドライラミネーション用の接着剤は、2液反応型のウレタン系接着剤を用いた。
【0087】
また、蛍光体シートの支持体裏面側の保護フィルムは、CPP30μm/アルミフィルム9μm/ポリエチレンテレフタレート188μmの構成のドライラミネートフィルムとした。また、この場合の接着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接着剤を使用した。
【0088】
〔放射線画像変換パネル1の作製〕
前記作製した蛍光体シート1を、各々一辺が20cmの正方形に断裁した後、上記作製した防湿性保護フィルムを用いて、減圧下で周縁部をインパルスシーラーを用いて融着、封止して、放射線画像変換パネル1を作製した。尚、融着部から蛍光体シート周縁部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使用したインパルスシーラーのヒーターは3mm幅のものを使用した。
【0089】
〔放射線画像変換パネル2〜10の作製〕
上記放射線画像変換パネル1の作製において、蛍光体形成時の溶剤比率及び乾燥条件を適宜調整して、蛍光体層塗布液中のシクロヘキサノン溶剤比率及び残留溶剤量が、表1に記載の様になる様に変更した以外は同様にして、放射線画像変換パネル2〜10を作製した。
【0090】
【表1】
Figure 0004320965
【0091】
《放射線画像変換パネルの評価》
以上のようにして作製した各放射線画像変換パネル(以下、単にパネルとも云う)または蛍光体シートを用いて、以下に示す方法に従って、残留溶剤量の測定、輝度、鮮鋭度及び粒状性の評価を行った。
【0092】
(残留溶剤量の測定)
塗布乾燥後の各蛍光体シートを、面積として46.3cm2を切り出し、これを5mm程度に細かく刻み専用バイアル瓶に収納し、セプタムとアルミキャップで密閉した後、ヒューレット・パッカード社製ヘッドスペースサンプラーHP7694型にセットした。ヘッドスペースサンプラーと接続したガスクロマトグラフィー(GC)は、検出器として水素炎イオン化検出器(FID)を装着したヒューレット・パッカード社製5971型を使用した。測定条件は以下の通りである。
【0093】
ヘッドスペースサンプラー加熱条件:120℃、20分
GC導入温度150℃
カラム:J&W社製 DB−624
昇温:45℃、3分保持→100℃(8℃/分)
上記の測定条件を用いてガスクロマトグラムを得た。測定対象溶媒は、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンとし、各々の溶媒のブタノールにて希釈された一定量をバイアル瓶に収納した後、上記と同様に測定して得られたクロマトグラムのピーク面積を用いて作製した検量線を使用して各蛍光体シートのシクロヘキサノンの残留溶媒量及び組成(質量)比率を算出した。
【0094】
(輝度の評価)
各放射線画像変換パネルの輝度の測定を、以下に示す方法に従って行った。
【0095】
輝度の測定は、管電圧80kVpのX線を、パネル1〜3、7及び8については蛍光体層塗設面側から、またパネル4〜6、9及び10については支持体の裏面側から照射した後、各パネルをHe−Neレーザー光(633nm)で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器(分光感度S−5の光電子像倍管)で受光して、その強度を測定して、蛍光体全面の平均強度を求め、これを輝度と定義し、放射線画像変換パネル1の輝度を100とした相対値で表示した。
【0096】
(鮮鋭度の評価)
鮮鋭度については、各放射線画像変換パネルに鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線をパネル1〜3、7及び8については蛍光体層塗設面側から、またパネル4〜6、9及び10については支持体の裏面側から照射した後、パネルをHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を、上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、これをアナログ/デジタル変換して磁気テープに記録し、磁気テープをコンピューターで分析して磁気テープに記録されているX線像の2サイクル/mmにおける変調伝達関数(MTF)を調べ、これを鮮鋭性と定義した。このMTF値は、高い値ほど鮮鋭性が良いことを表す。
【0097】
(粒状性の評価)
放射線画像変換パネルに管電圧80kVpのX線を、パネル1〜3、7及び8については蛍光体層塗設面側から、またパネル4〜6、9及び10については支持体の裏面側から照射した後、パネルをHe−Neレーザー光で操作して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換した後、これを通常の写真フィルムに記録し、得られた画像の粒状性を、以下に記載の基準に則り、基準試料との対比で、目視による4段階評価を行った。
【0098】
なお、評価に際して用いた基準試料は、増感紙(コニカ社製:SRO−250)とX線写真フィルム(コニカ社製:SR−G)を使用して通常のX線撮影で形成した画像を用いた。
【0099】
◎:上記基準試料と同等の粒状性である
○:上記基準試料の粒状性に比較し、やや劣る粒状性である
△:上記基準試料の粒状性に比較し、粗い粒状性である
×:上記基準試料の粒状性に比較し、著しく粗い粒状性である
以上により得られた結果を、前記表1に示す。
【0100】
表1より明らかなように、輝尽性蛍光体層形成用塗布液に含まれるシクロヘキサノンの比率が5〜53質量%であるか、あるいは塗布乾燥後の輝尽性蛍光体層に含まれるシクロヘキサノン残留量が10〜600mg/m2である本発明の放射線画像変換パネル1〜6は、比較品に対し、輝度が高く、鮮鋭性及び粒状に優れていることが判る。特に、X線照射を支持体裏面から行うシステムにおいて、比較品に対し、より顕著な効果が発揮されていることが判る。
【0101】
【発明の効果】
本発明により、特に、X線照射を支持体裏面から行うシステムにおいて、輝度、鮮鋭性、粒状性に優れた放射線画像変換パネル及びその製造方法を提供することができた。

Claims (6)

  1. 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルにおいて、該輝尽性蛍光体層を形成する塗布液中のシクロヘキサノン含有量が、全溶剤量の〜53質量%であり、かつ塗布乾燥後の該輝尽性蛍光体層に含まれるシクロヘキサノン残留量が、10〜560mg/m であることを特徴とする放射線画像変換パネル。
    ることを特徴とする放射線画像変換パネル。
  2. 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの製造方法において、該輝尽性蛍光体層を形成する塗布液中のシクロヘキサノン含有量を全溶剤量の6〜53質量%とし、かつ塗布乾燥後の該輝尽性蛍光体層に含まれるシクロヘキサノン残留量を10〜560mg/m として製造することを特徴とする放射線画像変換パネルの製造方法
  3. 被写体を透過した放射線、又は被写体から発せられた放射線を、輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの裏面側(支持体側)から入射する放射線像入力システムに用いられ、前記輝尽性蛍光体層を形成する塗布液中のシクロヘキサノン含有量が、全溶剤量の6〜45質量%であり、かつ塗布乾燥後の該輝尽性蛍光体層に含まれるシクロヘキサノン残留量が、10〜470mg/m であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネル
  4. 前記輝尽性蛍光体層に含有される輝尽性蛍光体が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または3に記載の放射線画像変換パネル
    一般式(1)
    Ba (1−x) 2(x) FBr (y) (1−y) :aM ,bLn,cO
    〔式中、M はLi、Na、K、Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属、M はBe、Mg、Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Tm、Dy、Ho、Nd、Er及びYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表し、x、y、a、b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3、0<y≦0.3、0≦a≦0.05、0<b≦0.2、0≦c≦0.1である。〕
  5. 前記輝尽性蛍光体層に含有される輝尽性蛍光体が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または3に記載の放射線画像変換パネル
    一般式(2)
    Ba (1−x) 2(x) FI:aM ,bLn,cO
    〔式中、M 、M 、Ln、x、a、b及びcは、前記一般式(1)のそれらと同義である。〕
  6. 前記放射線画像変換パネルが、被写体を透過した放射線、又は被写体から発せられた放射線を、輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの裏面側(支持体側)から入射する放射線像入力システムで用いられ、前記輝尽性蛍光体層を形成する塗布液中のシクロヘキサノン含有量を全溶剤量の6〜45質量%とし、かつ塗布乾燥後の該輝尽性蛍光体層に含まれるシクロヘキサノン残留量を10〜470mg/m として製造することを特徴とする請求項2に記載の放射線画像変換パネルの製造方法
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