JP4161616B2 - 成形体及び固体高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

成形体及び固体高分子電解質型燃料電池 Download PDF

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Description

【0001】
【従来の技術】
スルホン酸基、ハロスルホニル基等を有するパーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体は、他のエチレン性モノマーと重合させ、含フッ素ポリマーを得るために用いることができる。
【0002】
得られた含フッ素ポリマーは、必要に応じてアルカリ及び酸処理を行うことにより、−SO3 -を有することができるので、得られる成形体は、電解質膜又はイオン交換膜として固体高分子電解質型燃料電池、リチウム電池、食塩電解、化学センサー、分離膜等に利用することが検討されている。
【0003】
この含フッ素ポリマーは、電解質等として通常架橋することなく用いられてきたが、非架橋であるので、耐熱性に劣り、耐クリープ性が不充分であり、また、−SO3 -基数の含有率が高くなると、水により著しく膨潤したり可溶化したりして形態不安定となるので、成形体の設計自由度が制限される問題があった。
【0004】
この問題を解決する方法として、含フッ素ポリマーを架橋することが考えられる。含フッ素ポリマーを架橋したものとして、例えば、特開昭60−133031号公報、特開昭53−22580号公報、特開昭54−43192号公報、特開昭54−107889号公報等には、含フッ素ポリマーに含浸、化学修飾等の後処理を行う方法が開示されている。しかしながら、これらの方法は、後処理を行う点で、工程が煩雑になり得る問題がある。
【0005】
含フッ素ポリマーを架橋したものとして、架橋性官能基を有する単量体を共重合させ、この架橋性官能基を利用して架橋させたものが提案されている。
例えば、特開昭54−52690号公報には、ヨウ素含有ビニルエーテルを共重合させ、熱、放射線等により架橋させたイオン交換膜が開示されている。
【0006】
特開昭61−276828号公報及び特開2001−176524号公報には、含フッ素ジビニル化合物を共重合させ架橋したイオン交換樹脂が開示されている。しかしながら、含フッ素ポリマー中でビニル基が近接しにくく、ビニル基同士を効率的に架橋することは容易でない。また、後者の公報の技術は、固体高分子電解質型燃料電池における触媒被覆層についてのものであり、また、架橋系について詳細には触れられていない。
【0007】
特開2000−188013号公報には、架橋によりビススルホニルイミド等を形成した耐熱性高分子電解質が開示されている。この技術は、電解質には適すると思われるが、水存在下で強酸性を示し、スルホニルイミド基の生成反応が起こりにくく、架橋反応が進みにくいという問題がある。
【0008】
含フッ素ポリマーを架橋してなる電解質膜又はイオン交換膜としては、特に架橋部位の結合が強いものが望ましい。しかしながら、従来、架橋部位の耐加水分解性や耐酸化性等の耐久性が不充分であり、長期使用上問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記現状に鑑み、架橋された含フッ素重合体からなり、電解質膜に使用し得る成形体であって、架橋部位が耐加水分解性や耐酸化性等の耐久性に優れているものを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(I)
【0011】
【化3】
Figure 0004161616
【0012】
(式中、Y1は、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。Y2は、ハロゲン原子を示す。n1は、0〜5の整数を示す。n2は、1〜10の整数を示す。n2個のY2は、同一であってもよいし異なっていてもよい。Xは、ハロゲン原子、−OM1、−OM2 1/2又は−NR123を示し、M1は、水素原子又はアルカリ金属を示し、M2は、アルカリ土類金属を示し、R1、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。)で表されるパーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)、架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)、及び、エチレン性モノマー(C)を重合する工程、並びに、架橋を行う工程を経て得られる含フッ素重合体からなることを特徴とする成形体である。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の成形体は、上記一般式(I)で表されるパーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)、架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)、及び、エチレン性モノマー(C)を重合する工程(以下、「重合工程」という)、並びに、架橋を行う工程(以下、「架橋工程」という)を経て得られる含フッ素重合体からなることを特徴とする成形体である。
【0014】
上記パーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)は、上記一般式(I)におけるn1が0〜5の整数を示す。好ましくは、0又は1であり、より好ましくは、0である。上記一般式(I)におけるn2は1〜10の整数を示す。好ましくは、2である。
【0015】
上記一般式(I)におけるYはハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示し、Y2はハロゲン原子を示し、n2個のY2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。上記ハロゲン原子としては特に限定されず、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子の何れであってもよいが、好ましくは、フッ素原子である。上記パーフルオロアルキル基としては、特に限定されず、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。好ましくは、Yはトリフルオロメチル基であり、Yはフッ素原子である。
【0016】
上記一般式(I)におけるXはハロゲン原子、−OM、−OM 1/2又は−NR123を示し、M1は水素原子又はアルカリ金属を示し、M2はアルカリ土類金属を示し、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子若しくはアルキル基を示す。上記ハロゲン原子は上記Y及びY2で例示したものと同じである。上記アルカリ金属としては特に限定されず、例えば、Na、K、Li、Cs等が挙げられる。上記アルカリ土類金属としては特に限定されず、例えば、Ca、Mg等が挙げられる。上記アルキル基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。好ましくは、上記Xはフッ素原子である。
【0017】
上記パーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)は、例えば、公知の方法等を用いて得られた含フッ素2−ハロスルホニルアルコキシプロピオン酸フッ化物誘導体を中和し、次いで熱分解して含フッ素ビニルエーテルを得た後、得られた含フッ素ビニルエーテルに対して塩素化を行い、次いでフッ素化を施すことにより、又は、得られた含フッ素ビニルエーテルに対してフッ素化を施すことにより、得ることができる。
【0018】
上記架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)は、架橋性官能基を有するフルオロモノマーである。本明細書において、上記「架橋性官能基」とは、架橋に寄与し得る基を意味する。上記「架橋」は、橋かけ結合を形成することであり、本明細書においては、この点で、後述の重合工程における重合とは区別される概念である。
【0019】
上記「架橋に寄与し得る基」は、後述の架橋剤を介して又は介さずに、橋かけ結合を形成する反応に直接関与し得るものであってもよいし、また、例えば、後述の−I又は−Brがラジカルを発生し、そのラジカルが橋かけ結合の形成に直接関与する場合における−I、−Br等のように、橋かけ結合を形成する反応にいわば間接的に関与し得るものであってもよい。上記架橋性官能基は、従って、「官能基」なる用語を用いているが、上記意味において架橋に寄与し得るものであれば、例えば、炭素−炭素二重結合等のように結合と称されることがあるものであってもよい。
【0020】
本明細書において、上述のように、パーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)は、一般式(I)におけるXがハロゲン原子である場合、末端のハロスルホニル基は、後述のように架橋性官能基にもなり得るものである。しかしながら、上記パーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)が有するハロスルホニル基は、特に別の記載をしない限り、架橋に寄与させないものである点で、架橋性官能基とは異なるものである。従って、上記架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)は、パーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)とは異なるものである。
【0021】
上記パーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)が有するハロスルホニル基は、例えば、後述のように一般式(I)におけるXとしてのハロゲン原子を−OM1又は−OM2 1/2に変換させ、電解質膜又はイオン交換膜における電離部分として用いる場合、架橋に寄与させないこととなる。
本明細書において、上記「フルオロモノマー」とは、炭素原子に結合しているフッ素原子を有しているエチレン性不飽和化合物を意味する。
【0022】
上記架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては特に限定されず、例えば、架橋性官能基がカルボキシル基であるもの、−I若しくは−Brであるもの、シアノ基であるもの、シアナト基であるもの、水酸基であるもの、−CF=CFであるもの又はハロスルホニル基、ハロカルボニル基、若しくは、エステルを形成しているカルボキシル基であるもの等が挙げられる。
【0023】
上記架橋性官能基がカルボキシル基である架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、例えば、塩又はエステルを形成していてもよいカルボンキシル基を有するポリフルオロアルキレン又はポリフルオロ(アルキルビニルエーテル)が挙げられ、アルキル鎖はエーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい。エステルを形成しているカルボキシル基としては、例えば、アルコキシカルボニル基等が挙げられる。このような架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式において、Mは炭素数1〜5のアルキル基、水素原子、リチウム原子、カリウム原子、ナトリウム原子又はNHであり、n3及びn4はそれぞれ独立して1〜5の整数である。
CF=CFCOOM
CF=CFO(CFn3COOM
CF=CF[OCFCF(CF)]n3O(CFn4COOM
また、上記架橋性官能基がカルボキシル基である架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、下記式
【0024】
【化4】
Figure 0004161616
【0025】
(YはCOOH又はCOORであり、Rは炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基である。)で表される化合物が挙げられる。
【0026】
上記架橋性官能基が−I又は−Brである架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、ヨウ素原子又は臭素原子を有するパーフルオロアルキレン又はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が挙げられ、アルキル鎖はエーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい。このような架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式において、n7及びn8はそれぞれ独立して1〜5の整数である。
CF=CFI
CF=CFO(CFn7
CF=CF[OCFCF(CF)]n7O(CFn8
CF=CFBr
CF=CFO(CFn7Br
CF=CF[OCFCF(CF)]n7O(CFn8Br
【0027】
また、下記式
CX =CX−R CHR
CX =CX−R CHRBr
(式中、XはH、F又はCHを示し、R は1個以上のエーテル結合性の酸素原子を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキレン基若しくはパーフルオロアルキレン基、フルオロオキシアルキレン基若しくはパーフルオロオキシアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基若しくはパーフルオロポリオキシアルキレン基を示し、RはH又はCHを示す。)で表される化合物が挙げられる。
【0028】
上記架橋性官能基が−I又は−Brである架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、パーフルオロビニルエーテル化合物がその共重合性から好ましく、例えば、パーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−へキセン)、パーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)、パーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ブロモ−3−オキサ−1−へキセン)、パーフルオロ(5,3−オキサ−1−ペンテン)等が挙げられる。
【0029】
上記架橋性官能基がシアノ基である架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、シアノ基を有するパーフルオロエチレン又はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が挙げられ、アルキル鎖はエーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい。このような架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式において、n9及びn10はそれぞれ独立して1〜5の整数である。
CF=CFCN
CF=CFO(CFn9CN
CF=CF[OCFCF(CF)]n9O(CFn10CN
CF=CF[OCFCF(CF)]n9CN
CF=CFO(CFn9OCF(CF)CN
また、上記架橋性官能基がシアノ基である架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、下記式
【0030】
【化5】
Figure 0004161616
【0031】
(式中、YはCNである)で表される化合物が挙げられる。
【0032】
上記架橋性官能基がシアナト基である架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、シアナト基を有するポリフルオロアルキレン又はポリフルオロ(アルキルビニルエーテル)が挙げられ、アルキル鎖はエーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい。このような架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。但し、式中Zは水素原子又はトリフルオロメチル基である。なお、下記式において、n11及びn12はそれぞれ独立して1〜5の整数である。
CF=CFO(CFn11CZ OCN
CF2=CF[OCF2CF(CF3)] 11O(CF2 12CZ1 2OCN
【0033】
上記架橋性官能基が水酸基である架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、水酸基を有するポリフルオロアルキレン又はポリフルオロ(アルキルビニルエーテル)が挙げられ、アルキル鎖はエーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい。このような架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式において、n13及びn14はそれぞれ独立して1〜5の整数である。
CF=CFCHOH
CF=CFO(CFn13CHOH
CF=CF[OCFCF(CF)]n13O(CFn14CHOH
【0034】
上記架橋性官能基が−CF=CFである架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、−CF=CFを2個有するパーフルオロ不飽和化合物が挙げられ、このような架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式において、n15は2〜8の整数であり、n16とn17はそれぞれ独立して1〜5の整数であり、n18は0〜6の整数であり、n19は0〜5の整数である。
CF=CFOCF=CF
CF=CFO(CFn15OCF=CF
CF2=CF[OCF2CF(CF3)]n16O(CF2)2[OCF(CF3)CF2]n17OCF=CF2
CF=CF(CFn18CF=CF
【0035】
なかでも、下記式の化合物は、反応性の異なる二重結合を有しており、パーフルオロビニロキシ基の側が重合しても、もう一方の二重結合の重合反応性はそれよりも小さいため重合時には反応せずに架橋部位として容易に含フッ素ポリマー中に導入することができる。なお、下記式において、n19は1〜8の整数であり、n20は2〜5の整数である。
CF=CFOCFCF(CF)O(CFn19CF=CF
CF=CF[OCFCF(CF)]n20O(CFCF=CF
【0036】
上記架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)としては、上記架橋性官能基がカルボキシル基又は−I若しくは−Brであるものが好ましい。
【0037】
上記エチレン性モノマー(C)としては、例えば、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロイソブテン、エチレン、1−ブテン、2−ブテン、パーフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)、パーフルオロ(3,5−ジオキサ−1,6−ヘプタジエン)、パーフルオロ(4−メトキシ−1,3−ジオキソール)等が挙げられる。
【0038】
更に、プロピレン、ヘキサフルオロプロピレン等のパーフルオロ−α−オレフィン類;(パーフルオロブチル)エチレン等の(パーフルオロアルキル)エチレン類;3−パーフルオロオクチル−1−プロペン等の(パーフルオロアルキル)プロペン類;上記パーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)とは異なるのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類等が挙げられる。アルキル基は直鎖構造でも分岐構造でもよく、またエーテル結合性の酸素原子を含有していてもよい。
【0039】
上記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類としては、下記式
CF=CF−(OCFCFYn21−O−R
(式中、Yはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、n21は0〜3の整数であり、R は炭素数1〜12の、直鎖又は分岐鎖のパーフルオロアルキル基である。)で表されるパーフルオロビニルエーテルが好ましい。
【0040】
上記式CF=CF−(OCFCFYn21−O−R で表されるパーフルオロビニルエーテルの好ましい例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。なお、下記式において、n22は1〜8の整数であり、n23は1〜8の整数であり、n24は2又は3である。
CF=CFO(CFn22CF
CF=CFOCFCF(CF3)O(CFn23CF
CF=CF〔OCFCF(CF3)〕n24O(CFCF
【0041】
本明細書において、上記エチレン性モノマー(C)は、上述のパーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)とは異なるものであり、上述の架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)とも異なるものである。
上記エチレン性モノマー(C)は、テトラフルオロエチレンであることが好ましい。
【0042】
重合工程は、上述のパーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)、架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)及びエチレン性モノマー(C)を重合することよりなるものである。これらのモノマーを重合する方法としては、通常、含フッ素オレフィン重合体の製造に用いられる乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合のいずれも好ましく採用することができる。重合はラジカルが生起する条件で行われ、紫外線、γ線、電子線等の放射線を照射する方法、通常のラジカル重合で用いられるラジカル開始剤を添加する方法が一般的である。重合温度は、通常、−20℃〜150℃程度である。
本明細書において、上記重合工程により得られた共重合体を、含フッ素ポリマーということがある。
【0043】
本発明の成形体は、含フッ素重合体からなるものであるが、この含フッ素重合体は、上記重合工程、及び、架橋工程を経て得られるものである。上記架橋工程は、用いる架橋系にもよるが、上記重合工程と同時又はほぼ同時に行い、重合反応を行わせながら架橋反応をも行うものであってもよいが、通常、上記重合工程を行った後、得られる含フッ素ポリマーに対して行う。
【0044】
上記架橋工程は、用いる架橋系によるが、高分子材料の架橋に通常用いられる方法である、加熱、放射線照射、電子線照射、光照射等が採用されるが、加熱架橋法が装置の入手しやすさや取扱いの容易さ等の点で好ましい。架橋反応を促進させるうえで、過酸化物、トリアリルイソシアヌレート、ビスフェノール、ビスフェノールAF等の架橋剤や架橋助剤を添加して加熱する方法を採用することもできる。必要に応じて、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の助剤を添加してもよい。
【0045】
架橋性官能基としてシアノ基又はシアナト基を有する上記架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)を用いて共重合された含フッ素ポリマーを用いる場合、別途に触媒を添加する必要はないが、必要に応じて、硬化触媒として、ルイス酸類、プロトン酸類、テトラフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、(C15COO)Zn等のカルボン酸の遷移金属塩類、カルボン酸のアンモニウム塩類、過酸化物、アミン類、アミジン類、イミドイルアミジン構造を有する化合物類等から選ばれる1種以上を用いてもよい。
【0046】
上記架橋工程において、上記架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)の架橋性官能基がカルボキシル基又はシアノ基であるを用いる場合、上記架橋剤としては、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基又はシアノ基と反応可能なもの、特にオキサゾール架橋系、イミダゾール架橋系、チアゾール架橋系に使用されるものが挙げられる。
オキサゾール架橋系、イミダゾール架橋系、チアゾール架橋系に使用する架橋剤としては、例えば、下記式(III)
【0047】
【化6】
Figure 0004161616
【0048】
(式中、Rは、上記と同じである。R11及びR12は、一方が−NHを示し、他方が−NH、−NH−Ph、−OH又は−SHを示す。Phは、フェニル基を示す。)で表されるビスジアミノフェニル系架橋剤、ビスアミノフェノール系架橋剤、ビスアミノチオフェノール系架橋剤、下記式(IV):
【0049】
【化7】
Figure 0004161616
【0050】
(式中、Rは上記と同じ、R13
【0051】
【化8】
Figure 0004161616
【0052】
又は
【0053】
【化9】
Figure 0004161616
【0054】
)で表されるビスアミドラゾン系架橋剤、下記式(V)又は下記式(VI):
【0055】
【化10】
Figure 0004161616
【0056】
(式中、R は炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基)
【0057】
【化11】
Figure 0004161616
【0058】
(式中、n25は1〜10の整数を示す。)で表されるビスアミドキシム系架橋剤等が挙げられる。これらのビスアミノフェノール系架橋剤、ビスアミノチオフェノール系架橋剤又はビスジアミノフェニル系架橋剤等は従来ニトリル基を架橋点とする架橋系に使用していたものであるが、含フッ素重合体が有するカルボキシル基及びアルコキシカルボニル基とも反応し、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環を形成し、架橋物を与える。
また、複数個の3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル基、3−アミノ−4−メルカプトフェニル基又は下記式(II):
【0059】
【化12】
Figure 0004161616
【0060】
(式中、R、R及びRは上記と同じである。)で表される3,4−ジアミノフェニル基を有する化合物であり、例えば、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(一般名:ビス(アミノフェノール)AF)、2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、テトラアミノベンゼン、ビス3,4−ジアミノフェニルメタン、ビス3,4−ジアミノフェニルエーテル、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
【0061】
また、上記架橋剤としては、ポリアミン化合物、ポリイソシアナート、ポリエポキシ化合物等が挙げられる。上記ポリアミン化合物としては、ヘミサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチレンジアミン等のポリアミン;ポリアミン塩とグアジニン誘導体の併用等が挙げられる。上記ポリイソシアナート化合物としては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等が挙げられる。上記ポリイソシアナート化合物は、プレポリマーや硬化温度を選択することができるブロック型であってもよい。上記架橋剤としては、また、エポキシ化合物と、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩又は塩基性化合物との併用等が挙げられる。
【0062】
上述の架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)の架橋性官能基がカルボキシル基である場合、架橋は、上記一般式(II)で表される架橋剤を用いるものであることが好ましく、上記一般式(II)におけるR4及びR5が、いずれも−NHであるか、又は、一方が−NHであり、他方が−NH−Phであるものを用いることがより好ましい。
【0063】
上記架橋剤の配合量は、好ましくは含フッ素ポリマー100重量部に対して0.1〜10重量部である。
上記含フッ素ポリマーにおいて、必要に応じて、上述したものとは異なる常用の架橋剤や架橋促進剤を1種又は2種以上配合してもよい。
【0064】
上記架橋は、通常の架橋方法で行うことができる。例えば、含フッ素ポリマーの粉末と架橋剤を混合した後金型に入れ、200〜400℃に加熱し、成形と架橋を一度に行うことができる。また、含フッ素ポリマーのみを通常の方法で溶融成形させた後に、架橋剤を含浸させ、含フッ素ポリマーの融点以下の温度に加熱して架橋させることもできる。
【0065】
上記架橋工程において、上述の架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)の架橋性官能基が−I又は−Brである場合、架橋は、そのまま加熱することにより行うことができるが、パーオキサイド化合物及び多官能不飽和化合物を用いるものであってもよい。
【0066】
上記パーオキサイド化合物としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジ−t−ブチルパーオキシアルカンが挙げられる。上記パーオキサイド化合物の配合量は、含フッ素ポリマー100重量部に対し、0.001〜5重量部が好ましい。0.001重量部未満であると、架橋反応が不充分となる場合がある。5重量部を超えると、パーオキサイドの残渣が多くなり強度が低下する場合がある。上記パーオキサイド化合物の配合量は、含フッ素ポリマー100重量部に対し、より好ましい下限が0.01重量部であり、より好ましい上限が1重量部である。
【0067】
上記多官能不飽和化合物としては、加熱やパーオキサイド化合物の分解によって発生するヨウ素原子及び/又は臭素原子に起因する重合体ラジカルに対して反応活性を有するものであればよく、特に種類は限定されない。好ましい多官能不飽和化合物としては、例えば、各種のジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート〔TMTPA〕、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート〔TAIC〕、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタールアミド、トリアリルホスフェート等が挙げられる。なかでも、1分子あたりの架橋性官能基の保有数が3個以上のものが、含フッ素ポリマーの架橋しやすさの点で好ましく、上記多官能不飽和化合物としては、トリアリルイソシアヌレートがより好ましい。
多官能不飽和化合物の使用量は、上記含フッ素ポリマー100重量部に対して0.05〜10重量部程度であり、好ましい下限は0.5重量部であり、好ましい上限は5重量部である。
【0068】
上記含フッ素ポリマー、上記パーオキサイド化合物及び多官能不飽和化合物を調製して架橋させる方法としては特に限定されず、例えば、既知の一般的な方法で混合し、加熱すれば良い。
【0069】
上記架橋工程において、上述の架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)の架橋性官能基がシアノ基である場合、架橋は、そのまま加熱することにより行うことができるが、架橋剤を用いるものであってもよい。
含フッ素ポリマーをそのまま加熱すると、含フッ素ポリマー同士がトリアジン環を生成することにより、架橋させることができる。この場合、触媒として有機錫化合物を使用することもできる。また、アンモニアを用いることにより含フッ素ポリマーにアシジンやイミドイルアシジン結合をつくり、更に加熱することによりトリアジン環を生成させることもできる。また、架橋剤を用いて架橋することもでき、架橋性官能基がカルボン酸の場合と同様の架橋剤を用いることができる。
【0070】
上記架橋工程において、上述の架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)の架橋性官能基が−CF=CFである場合、架橋は、そのまま加熱する、放射線を用いる又はパーオキサイドを用いる方法であってもよく、また、架橋剤としては、例えば、下記式:
I−(CFn26−I
(式中、n26は1〜5の整数を示す。)
等で表されるジハロゲン化合物も用いてもよい。
【0071】
上記架橋工程において、上述の架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)の架橋性官能基がハロスルホニル基、ハロカルボニル基、又は、エステルを形成しているカルボキシル基である場合、架橋は、水の存在下に強酸性を呈し得る官能基となり得る官能基(以下、「強酸性官能基」という)を少なくとも1つ、好ましくは2つ以上有する化合物を架橋剤として用いることができる。この強酸性官能基としては、スルホンアミド基(NH−SO−)、アミド基(NH−CO−)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と塩を形成していてもよいスルホニル(N−トリメチルシリル)イミドナトリウム塩((CHSi−N(Na)−SO−)等及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0072】
このような強酸性官能基を有する架橋剤としては、例えば、下記化合物
FSO−(CFn27−SO
NHSO−(CFn27−SONH
NaNHSO−(CFn27−SONHNa
Me3Si−N(Na)SO2−(CF2 27−SO2N(Na)−SiMe3
(式中、n27は1〜5の整数)等が挙げられる。
【0073】
架橋により形成される上記強酸性官能基は、N−H結合に寄与する電子が、電気陰性度の大きなFに引っ張られて炭素骨格側に移動し、架橋点に結合しているHがプロトンとして放出されやすくなるので、得られる本発明の成形体を電解質膜又はイオン交換膜として用いる場合、好適である。
【0074】
なお、架橋性官能基としてのハロカルボニル基は、架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)として、例えば、パーフルオロ(4−オキサ−5ヘキセノイルクロライド)等を用いることにより導入することができる。
【0075】
上記架橋工程において、架橋密度は、大きいほど、耐熱性に優れた成形体を得ることができるが、過大になると、例えば、電解質膜又はイオン交換膜として用いる場合、含水及び水分子の移動を妨げ、かえってプロトン導電性を低下させる傾向があるので、要求される耐熱性、導電性等に応じて、最適な値を選択すればよい。
【0076】
上述の重合工程及び架橋工程を経ることにより、含フッ素重合体を得ることができる。上記含フッ素重合体は、上述の重合工程及び架橋工程に加えて、例えば、上述の一般式(I)におけるXがハロゲン原子である場合、用途に応じ、この末端の−SO2X(Xはハロゲン原子である。)を−OM1又は−OM2 1/2(M1及びM2は上述のとおりである。)に変換させる工程(以下、「酸型化工程」という)を経たものであってもよい。スルホン酸基又はスルホン酸基の塩を有する含フッ素重合体は、水の存在下で電離し得るので、電解質膜又はイオン交換膜として好適に用いることができる。
【0077】
スルホン酸基又はスルホン酸基の塩を有する含フッ素重合体は、通常、−SOFを有する単量体を用いて合成する。例えば、NaOHやKOH等のアルカリ金属の水酸化物等を水、又はメタノール、エタノール等のアルコール類やジメチルスルホキシド等の極性溶媒と水との混合溶媒に溶解した溶液中で、−SOFは加水分解された後、塩酸や硫酸等の水溶液により酸型化される。例えば、KOH水溶液により加水分解される場合は−SOFが−SOKに変換され、その後カリウムイオンがプロトンに置換されることで−SOHとなり目的のイオン交換樹脂が得られる。
【0078】
上記酸型化工程は、含フッ素ポリマーを架橋する前に行っても架橋した後に行ってもよい。上記酸型化工程は通常0℃〜120℃の範囲の温度で行われる。上記酸型化工程において樹脂が液に濡れにくい場合は、あらかじめ樹脂をメタノールやエタノール、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒で濡らしておくとよい。
【0079】
上記含フッ素重合体は、上述の重合工程及び架橋工程をこの順序で経ることにより得られるものが好ましく、所望により上述の酸型化工程を行う場合、上記架橋工程の後に行うことが好ましい。
【0080】
本発明の成形体は、上記含フッ素重合体からなるものである。上記成形体は、所望により、更に、成形品に通常配合される添加剤類、例えば、加工助剤、着色剤等を配合してなるものであってもよい。これらの添加剤類は、例えば、着色剤等、その種類により、重合工程により得られた含フッ素ポリマーに配合して含フッ素重合体を得てもよいし、重合工程及び架橋工程を経た含フッ素重合体に配合してもよい。
【0081】
本発明の成形体は、上記含フッ素重合体を用いて所望の形状にし、上記架橋工程により非可塑化して、得ることができる。上記所望の形状にする方法としては、例えば、従来公知の方法等を用いることができる。
【0082】
本発明の成形体は、上記含フッ素重合体が架橋工程を経たものであるので、通常、三次元網目構造を有する高分子量体であり、架橋していない含フッ素ポリマーに比べ、機械的強度に優れ、水の存在下に使用する場合であっても、水により膨潤して形態不安定や破損を招く問題と、耐クリープ性に劣る問題を低減することができる。
【0083】
本発明の成形体は、また、従来のアミド結合、エステル結合等の加水分解しやすい結合を形成することによる一般的架橋系による場合とは異なり、上述の架橋系によるものであることから、架橋部位の耐加水分解性や耐酸化性等の耐久性に優れるので、例えば、水の存在下又は酸化雰囲気下であっても、長期使用耐性に優れたものである。
【0084】
上記耐加水分解性や耐酸化性等の耐久性により優れた架橋部位を有することができる点から、本発明における架橋工程としては、上述の架橋性官能基がカルボキシル基又はシアノ基であり、上記一般式(II)で表される架橋剤を用いる架橋系、架橋性官能基が−I又は−Brであり、パーオキサイド化合物及び多官能不飽和化合物を用いる架橋系が好ましく、前者の架橋系がより好ましい。
【0085】
本発明の成形体としては、パーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)として一般式(I)におけるY1がトリフルオロメチル基、Y2がフッ素原子、n1が0又は1、n2が2であるものを用い、架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)として架橋性官能基がカルボキシル基又はシアノ基であるものを用い、エチレン性モノマー(C)としてテトラフルオロエチレンを用い、架橋工程において一般式(II)で表される架橋剤を用いたものが好ましく、用途に応じて更に上述の酸型化工程を経たものであってもよい。
【0086】
本発明の成形体の用途としては特に限定されず、例えば、電解質膜、イオン交換膜等が挙げられ、上述のように耐加水分解性や耐酸化性等の耐久性に優れている点から、例えば、電解質膜、イオン交換膜等として好適に使用することができる。本発明の成形体は、電解質膜又はイオン交換膜として、例えば、電解質用膜、リチウム電池用膜、食塩電解用膜、水電解用膜、ハロゲン化水素酸電解用膜、酸素濃縮器用膜、湿度センサー用膜、ガスセンサー用膜等に用いることができ、使用条件が通常過酷な固体高分子電解質型燃料電池においても長期間好適に用いることができる。
【0087】
上記成形体を有することを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池もまた、本発明の一つである。
【0088】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
内容積500mlのステンレス製オートクレーブに、溶媒としてH(CFClを25.5g、CF=CFOCFCFSOFを174g、CF=CFOCFCFCF−O−CFCFCOOHを17.7g仕込んだ。窒素で充分に置換した後、テトラフルオロエチレンを30℃で0.392MPaになるまで仕込み、開始剤として(H(CFCOO)を0.28g導入し、重合を開始した。重合開始にともない圧力が低下するため、30℃で圧力が0.392MPaになるようにテトラフルオロエチレンを追加で仕込みながら重合を行った。1.2時間重合を行った後、容器を開放し、内容物をクロロホルム中に入れ、析出したポリマーを回収した。
【0089】
得られたポリマーについて、19F−NMR及びIRを用いて組成を求めたところ、TFE:CF=CFOCFCFSOF:CF=CFOCFCFCF−O−CFCFCOOH=86:13:1であった。
【0090】
得られたポリマー10gと、架橋剤として下記式
【0091】
【化13】
Figure 0004161616
【0092】
で表される2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンを0.2g混合し、あらかじめ270℃に加熱しておいた金型に混合した粉体のうち1gを入れ、270℃で30分間加熱した後、冷却して取りだし、架橋された膜を得た。
【0093】
得られた膜を25質量%水酸化ナトリウム水溶液に入れ、90℃で12時間処理した。水洗いした後、1N塩酸水溶液に2時間浸した後、水洗し、架橋された含スルホン酸膜を得た。
得られた膜を100℃の熱水中168時間処理し、処理する前と処理した後で弾性率を測定したところ、ほとんど差はなかった。
【発明の効果】
本発明の成形体は、上述の構成よりなるので、含フッ素重合体の架橋部位が耐加水分解性や耐酸化性等の耐久性に優れ、電解質膜に使用し得るものである。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0004161616
    (式中、Yは、ハロゲン原子又はパーフルオロアルキル基を示す。Yは、ハロゲン原子を示す。n1は、0〜5の整数を示す。n2は、1〜10の整数を示す。n2個のYは、同一であってもよいし異なっていてもよい。Xは、ハロゲン原子、−OM、−OM 1/2又は−NRを示し、Mは、水素原子又はアルカリ金属を示し、Mは、アルカリ土類金属を示し、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。)で表されるパーフルオロビニルエーテルスルホン酸誘導体(A)、架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)、及び、エチレン性モノマー(C)を重合する工程、並びに、架橋を行う工程を経て得られる含フッ素重合体からなる成形体であって
    前記架橋性官能基含有フルオロモノマー(B)は、架橋性官能基がカルボキシル基又はシアノ基であり、架橋は、下記一般式(II)
    Figure 0004161616
    (式中、R 及びR は、一方が−NH を示し、他方が−NH 、−NH−Ph、−OH又は−SHを示す。Phは、フェニル基を示す。R は、−SO −、−O−、−CO−、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキレン基又は単結合手を示す。)で表される架橋剤を用いるものである成形体。
  2. 及びRは、いずれも−NHであるか、又は、一方が−NHであり、他方が−NH−Phである請求項記載の成形体。
  3. エチレン性モノマー(C)は、テトラフルオロエチレンである請求項1又は2記載の成形体。
  4. は、トリフルオロメチル基であり、Yは、フッ素原子であり、n1は、0又は1であり、n2は、2である請求項1、2又は3記載の成形体。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の成形体を有することを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池。
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