JP3864133B2 - 含フッ素共重合体の製造方法並びに該方法で得られた成形用含フッ素共重合体 - Google Patents

含フッ素共重合体の製造方法並びに該方法で得られた成形用含フッ素共重合体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、含フッ素共重合体の製造方法並びに該方法で得られた成形用含フッ素共重合体に関する。さらに詳しくは、本発明は、光透過性および耐熱黄変性に優れた成形体を製造し得るような含フッ素共重合体の製造方法並びに該方法で得られた上記特性の成形用含フッ素共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
含フッ素共重合体は、含フッ素単量体であるフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)などの少なくとも2種類を共重合反応することにより得られ、エラストマー領域から樹脂領域のものまで存在し様々な特性を有しているが、特に含フッ素体であることにより、高温での熱安定性や極く低温での靱性および柔軟性を有し、さらには、耐薬品性に優れ、化学的に非常に安定で、非粘着性、低摩擦特性、電気的な諸特性にも優れるなど非常に優れた特性を備えている。
【0003】
含フッ素共重合体は、該共重合体の製造時に用いられる重合用モノマー成分の組成比により、含フッ素エラストマーや含フッ素樹脂となるが、エラストマー領域の含フッ素共重合体、特にフッ化ビニリデンと他のエチレン性不飽和ハロゲン化モノマー(例:ヘキサフルオロプロピレン)との共重合体は、シール材、ガスケット、およびライニング材のような高温用途に多く用いられ、係る高温用途では特に有用性が高い。
【0004】
また、樹脂領域の含フッ素共重合体、特にポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)との共重合体、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体、およびポリフッ化ビニリデンなどは、電気、機械、および化学的用途、例えば、ワイヤー、電機部品、シール、チューブ、ライニングされたパイプ、集電検知器などの用途に用いられている。このようにこれらの含フッ素単独重合体または共重合体は、半導体、自動車、建築、電気・電子、食品分野など様々な用途に用いられている。
【0005】
これらの含フッ素単独重合体または共重合体を得るための重合反応を、該重合反応を進行させる際に用いられる媒体の種類によって分類すると、乳化重合法、懸濁重合法および溶液重合法等が挙げられる。これらの各種重合法の中でも、乳化重合法および懸濁重合法では水性媒体が用いられていることから、コスト的にメリットがあり、さらに乳化重合法ではバッチ効率が高く、一般に反応時間も短いという利点をも有している。
【0006】
含フッ素単量体の乳化重合反応には、重合開始剤として水溶性の過硫酸塩類が一般に用いられているが、このような開始剤はイオン性ラジカル、例えば硫酸ラジカルイオンなどが開始点となるために、含フッ素共重合体末端にイオン性や極性の末端基を含んでしまうことになる。その場合に生じるイオン性または極性の末端基は、含フッ素共重合体の熱安定性を低下させてしまい、透明性の低下、耐熱黄変性の悪化、耐熱使用温度の低下、成形加工中の発泡、溶融粘度の変動などの悪影響を得られる含フッ素共重合体に及ぼす恐れがある。このような含フッ素共重合体を用いると、半導体装置関係においては、製品の歩留まり低下の一因になり、また、射出成形や押し出し成形などを行う場合には、溶融成形性が悪化してしまう。
【0007】
米国特許第4,743,658号明細書(特許文献1)には、特定の末端基、例えば、-COF、-CONH2、-CF2CH2OHを有する含フッ素樹脂は熱的に不安定であることが記載されている。このような末端基は、酸化、加水分解、熱分解などによりHFを発生し、また分解点となる。
含フッ素共重合体におけるこの末端基の熱的不安定性は、成形加工時や加硫成形時に熱に曝されると好ましからざる着色を生ずる原因の一つともなっている。そして、このような着色は、透明性を有する成型品や加硫成型品において商品価値を低下させてしまう。
【0008】
一方、末端の熱的安定性向上のためには共重合体に非イオン性末端基を導入すればよいこととなり、非イオン性末端基を有する共重合体は、非イオン性のラジカル開始剤、例えば、アゾビスイソブチロニトリルまたはベンゾイルペルオキシドの使用により得ることができる。しかし、ほとんどの非イオン性のラジカル開始剤は水に不溶性で、重合の場におけるラジカルの濃度を高くすることが困難となるため、重合反応が進行しにくく、その結果、重合時間が長くなり、効率的な反応が行えなくなってしまう。そのため、この非イオン性開始剤は、水性媒体を用いる乳化重合や懸濁重合などの重合方法には適さない。
【0009】
こうした成型品の着色の問題に対処する方法として、共重合体末端を安定化させるために、フッ素ガス等で含フッ素共重合体を処理する方法が特許第2921026号公報(特許文献2)、特開昭62−104822号公報(特許文献3)などに報告されている。しかし、このような方法は、フッ化ビニリデン系共重合体、フッ化ビニル系共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などの主鎖に水素原子が結合した共重合体や、主鎖にフッ素原子以外のハロゲン原子が結合したポリクロロトリフルオロエタン系共重合体やBrやIなどの架橋点を含有する共重合体に対しては、主鎖部分や架橋点をもフッ素化してしまうため、この方法を適用することは困難である。
【0010】
また、米国特許第3,085,083号明細書(特許文献4)では、含フッ素共重合体を水分が含まれた空気中などに保持することにより、カルボキシル基を安定なCF2H基に変える方法が提案され、特公昭46−3179号公報(特許文献5)では、含フッ素共重合体をメタノール中で加熱処理することによりメチルエステル化する方法がそれぞれ提案されているが、何れも、後処理工程が一工程増えることとなり、コスト的に見て好ましくない。
【0011】
また、特開2000−1518号公報(特許文献6)では、成形材料を硝酸と加熱して含まれる金属を溶出する方法により測定される金属溶出指数ηが10以下の範囲にある含フッ素共重合体からなる成形材料を用いることにより、着色を低減する方法が提案されているが、使用し得る原料、触媒などが金属溶出指数の極めて少ないものに限定され、コスト的に見て好ましくない。
【0012】
そこで上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本願出願人は、先に、特願2000−279056号に対応する特開2002−88105号公報(特許文献7)にて、少なくとも一種類の含フッ素単量体を含む単量体混合物を共重合反応させるに際し、単量体混合物に対し1/50倍モル量以下の2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールの存在下で、好ましくは水性媒体中で、ラジカル共重合反応させる、含フッ素共重合体の製造方法を提案した。該公報に記載の方法により得られた含フッ素共重合体を用いれば、該含フッ素共重合体を加硫成形したときの着色性が低減される。
【0013】
また、該公報には、有機・無機過酸化物、アゾ化合物などの重合開始剤、特に、パーオキシ二硫酸アンモニウム、パーオキシ二硫酸カリウムなどの水溶性過酸化物を用いてラジカル共重合反応を行うことが好ましい旨記載されている。さらに、その実施例には、2-(パーフルオロヘキシル)エタンチオール等が添加された水性媒体中に、原料モノマーであるフッ化ビニリデン(VdF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)等を圧入し、内温を80℃に昇温した後、系内に重合開始剤のパーオキシ二硫酸アンモニウムを含む水溶液を入れて重合させたことが記載されている。
【0014】
しかしながら、さらに鋭意検討を重ねたところ、重合に先立ち、2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールと、該チオール化合物にラジカルを移動することができる酸化剤(重合開始剤)とを予め水性媒体中で、好ましくは加熱下に接触させ、活性化された2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールの存在下に、含フッ素単量体を含む単量体混合物を水性媒体中でラジカル共重合反応させると、得られる含フッ素共重合体は、2-(パーフルオロアルキル)エタンチオール由来の末端基量が増大しており、加熱・加圧下に溶融成形などを行っても光透過率が高く透明性に優れ、溶融成形、加硫成形などを行っても黄色度指数(測定法:ASTM D−1925準拠)が低く(例:30以下)黄変しにくいことなどを見出して本発明を完成するに至った。
【0015】
【特許文献1】
米国特許第4,743,658号明細書
【特許文献2】
特許第2921026号公報
【特許文献3】
特開昭62−104822号公報
【特許文献4】
米国特許第3,085,083号明細書
【特許文献5】
特公昭46−3179号公報
【特許文献6】
特開2000−1518号公報
【特許文献7】
特開2002−88105号公報
【0016】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、光透過性および耐熱黄変性に優れた成形体を製造し得るような含フッ素共重合体を、より少ない工程により低コストで製造し得るような、含フッ素共重合体の製造方法並びに該方法で得られた上記特性を有する成形用含フッ素共重合体を提供することを目的としている。
【0017】
【発明の概要】
本発明に係る含フッ素共重合体の製造方法は、2-(パーフルオロアルキル)エタンチオール(アルキル基の炭素数:1〜12)と、該チオール化合物にラジカルを移動することができる酸化剤とを予め水性媒体中で接触させて、活性化された2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールの存在下に、含フッ素単量体を含む単量体混合物を、上記水性媒体中で、ラジカル共重合反応させることを特徴としている。
【0018】
本発明では、上記2−(パーフルオロアルキル)エタンチオールと、該チオール化合物にラジカルを移動することができる酸化剤との接触を、80℃以下程度の加熱下に行うことが好ましい。
本発明では、前記酸化剤が水溶性であることが好ましい。
本発明に係る成形用含フッ素共重合体は、上記の何れかに記載の含フッ素共重合体の製造方法により得られ、2−(パーフルオロアルキル)エタンチオールから誘導された式:−SC24n2n+1(n:1〜12の整数)で表されるフルオロアルキル末端部分を含フッ素共重合体1mol中に、0.3〜2.0mmolの量を有することを特徴としている。
【0019】
本発明に係る溶融成形体は、上記の製法で得られた含フッ素共重合体を溶融成形したものである。
本発明に係る加硫成形体は、上記の製法で得られた含フッ素共重合体を加硫成形したものである。
本発明に係る成形体は、200℃、70時間後までの耐熱黄色度指数(測定法:ASTM D−1925準拠)が30以下であることが望ましい。
【0020】
本発明によれば、光透過性および耐熱黄変性に優れた成形体を製造し得るような含フッ素共重合体を、より少ない工程により低コストで製造し得るような、含フッ素共重合体の製造方法並びに該方法で得られた上記特性を有する成形用含フッ素共重合体が提供される。
【0021】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る含フッ素共重合体の製造方法並びに該方法で得られた成形用含フッ素共重合体について具体的に説明する。
<含フッ素共重合体の製造方法>
本発明に係る含フッ素共重合体の製造方法では、2-(パーフルオロアルキル)エタンチオール(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜12、さらに好ましくは4〜12)と、該チオール化合物にラジカルを移動することができる酸化剤とを予め水性媒体中で接触させて、活性化された2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールの存在下に、含フッ素単量体を含む単量体混合物を、水性媒体中で、ラジカル共重合反応させている。本発明では、上記2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールと酸化剤との接触は、好ましくは加熱下に行われる。
【0022】
換言すれば、本発明では、含フッ素単量体の(共)重合反応の前に、2-(パーフルオロアルキル)エタンチオール、および前記酸化剤を含む水性媒体である水性乳濁液または懸濁液を混合し、好ましくは予め加熱した後、系内に含フッ素含量体等のモノマーを添加し、重合反応を行うことが好ましい。
本発明では、このように含フッ素単量体の(共)重合反応に先だって、予め、2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールと酸化剤とを接触させて2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールを活性化させているので、含フッ素モノマーの(共)重合時に、重合反応速度が低下せず、また、得られた含フッ素共重合体中には2-(パーフルオロアルキル)エタンチオール由来の末端基:-SC2H4CnF2n+1(n:1〜12の整数)の量が増大しており耐熱安定性に優れ、しかも得られた含フッ素共重合体は透明性が高く、該含フッ素共重合体をさらに溶融成形、加硫成形等の成形を行っても耐熱黄変変化率が悪化することがなく、得られた溶融成形品等は、透明性に優れている。
【0023】
以下、2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールと酸化剤との接触条件及び用いられるこれら成分、含フッ素共重合体の製造条件及び用いられる成分などについてさらに詳説する。
2-( パーフルオロアルキル ) エタンチオールと酸化剤との接触>
2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールと上記酸化剤との接触温度としては、酸化剤の種類などにもよるが、水溶性過酸化物を用いた場合などは10〜150℃、好ましくは30〜100℃、特に、30〜80℃が望ましい。このような接触処理は、常圧下に上記温度で行うことも可能であるが、好ましくは脱気して行われる。
【0024】
上記温度での2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールと酸化剤との接触時間(加熱温度保持時間)としては、水性乳濁液を所望の加温温度まで昇温するに必要な時間のみでも良いが、得られる含フッ素共重合体に、2-(パーフルオロアルキル)エタンチオール由来の熱的安定化末端をより多く生成させるためには、所望の加温温度に達した後、1〜120分間、好ましくは10〜60分間同温度で保持することが望ましい。また、50℃以下の温度で加温保持する場合や、効率的に酸化物のラジカル解離反応を促進させる場合には、酸化剤とレドックス系を形成する還元剤を適宜添加し、所望の加熱温度で保持してもよい。
【0025】
2-( パーフルオロアルキル ) エタンチオール、酸化剤および水性媒体>
本発明に用いられる2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールは、一般式:CnF2n+1C2H4SHで表すことができる。式中、CnF2n+1はパーフルオロの脂肪族基であり、nは、1〜12であり、反応性やハンドリングのバランスからnが4〜12のものが好んで用いられる。
【0026】
2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールにラジカルを移動することができる酸化剤としては、有機過酸化物、無機過酸化物、アゾ化合物など従来より公知の任意のものを広く用いることができるが、特に水性媒体中での乳化重合、懸濁重合などを行う上では、水溶性過硫酸塩を用いることが好ましい。水溶性過硫酸塩のうちでは、特に、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどが望ましい。
【0027】
前述の2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールは、上記酸化物1モルに対して、0.5〜100倍モル量、好ましくは1〜10倍モル量となるような割合で用いられる。この範囲より少ない量で2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールを用いると、得られる含フッ素共重合体中の熱的安定末端:-SC2H4CnF2n+1(n:1〜12の整数)の量が低下し、耐熱性が低下し、耐熱黄色変化率が増大してしまう傾向がある。また、この範囲より多い量で2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールが用いられると、含フッ素単量体混合物の共重合反応速度が著しく遅くなってしまい効率的な重合が達成できなくなるばかりではなく、分子量が低く、所望の高分子量体を得ることが困難となる傾向がある。
【0028】
なお、この2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールは、本出願人が既に特願2000−279056号明細書に対応する特開平2002−88105号公報で述べている通り、連鎖移動作用を有し、含フッ素共重合体の分子量(溶融粘度)を調整する働きがあるので、必要に応じて重合反応時にも更に添加して用いることも可能であるが、重合反応速度の低下や耐熱黄変変化率の悪化を防止するという観点からは、特別の場合をのぞき、上記のように、含フッ素単量体のラジカル共重合反応の前に前記チオール化合物を添加し、酸化剤を含む水性乳濁液または懸濁液中で予め加熱しておくことが望ましい。
【0029】
水性媒体としては、水(例:脱イオン)に、必要により、後述するパーフルオロオクタン酸アンモニウム等の乳化剤、Na2HPO4等のpH調整剤(電解性化合物緩衝剤)等を適宜量で添加したものを用いることができる。
水性媒体中の2−(パーフルオロアルキル)エタンチオール量は、特に限定されないが、共重合反応速度、分子量、耐熱黄色変化率等を考慮すると、水性媒体に対して、通常、0.004〜17.0重量%、好ましくは0.005〜0.500重量%となる量で、また、酸化剤は、水性媒体に対して、通常、0.005〜0.100重量%、好ましくは0.005〜0.050重量%となる量で用いられる。
<含フッ素単量体の共重合反応>
次いで、本発明では、通常、上記のように水性媒体中に2−(パーフルオロアルキル)エタンチオールおよび酸化剤が投入され、活性化された2−(パーフルオロアルキル)エタンチオールが存在している水性媒体中、好ましくは加熱下の水性媒体中に、下記含フッ素単量体を添加して共重合反応を行うことが好ましい。
【0030】
本発明では、この共重合反応の際には、共重合用の下記含フッ素単量体の他、必要により、後述する乳化剤などのその他の配合成分を添加してもよい。
含フッ素単量体の(共)重合反応は、一般に常圧下または約10MPa以下の加圧下、好ましくは約1〜5MPaの加圧下に、約10〜150℃、好ましくは約30〜100℃の温度で、通常、2〜24時間、好ましくは3〜10時間程度行われる。
【0031】
<含フッ素単量体>
共重合用モノマーである上記含フッ素単量体としては、例えばフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、2、2、3、3、3-ペンタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルなどが1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0032】
また、架橋性含フッ素共重合体を得るためには、共重合反応に用いられる含フッ素単量体として、BrやIのような架橋点を形成し得る部位を有する、架橋点形成性の含フッ素単量体を共重合させることができる。この架橋点形成性含フッ素単量体としては、2-ブロモ-1,1-ジフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレンおよび4-ブロモ-1,1,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン、2-ブロモ-1,1-ジフルオロエチレン、2-ブロモテトラフルオロエトキシトリフルオロエテン等が用いられる。
【0033】
これらの含フッ素単量体は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
<その他の配合成分>
上記含フッ素共重合体の製造の際に添加可能なその他の配合成分としては、乳化剤、pH調整剤、分散剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、還元剤等が挙げられる。
【0034】
詳説すれば、含フッ素モノマーの共重合反応が乳化重合によって行われる場合には、通常、乳化剤が用いられる。乳化剤としては、例えば、パーフルオロヘプタン酸アンモニウム、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフルオロノナン酸アンモニウム等が挙げられ、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
また、含フッ素モノマーの共重合反応が懸濁重合によって行われる場合には、通常、分散剤が用いられる。分散剤としては、例えば、メチルセルロース、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム等が1種または2種以上組み合わせて用いられる。
【0035】
また、重合系内のpH値を調節するためには、pH調整剤であるNaHPO4、NaH2PO4、Na2HPO4、KH2PO4、K2HPO4等の緩衝能を有する電解質物質あるいは水酸化ナトリウムを添加してもよい。
生成共重合体の分子量を調節するためには、連鎖移動剤、分子量調節剤として機能するメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、マロン酸エチル等を用いてもよい。
【0036】
<精製>
上記製法で得られた本発明の含フッ素共重合体は、通常、水性媒体中に乳化・分散している。そこで、本発明では、この水性媒体中に乳化・分散している含フッ素共重合体を各種成形体形成用に用いる場合には、次いで精製して供することが望ましい。
【0037】
上記含フッ素共重合体を精製するには、用いられた含フッ素モノマーの重合法が乳化重合法である場合には、得られた含フッ素共重合体が含まれた乳濁液に塩化ナトリウム、塩化カルシウム、カリミョウバン等の塩類水溶液を加え含フッ素共重合体を凝析させることにより生成共重合体を分取した後、イオン交換水、有機溶媒、または、これらの混合液などで洗浄し、乾燥すればよい。
【0038】
また、含フッ素モノマーの重合法が懸濁重合法の場合には、生成した共重合体を濾過することにより共重合体を分取した後、上記と同様に、イオン交換水などで洗浄し、乾燥することにより精製される。
<含フッ素共重合体>
得られた本発明に係る含フッ素共重合体では、用いられた含フッ素単量体由来の含フッ素成分単位が、ランダムあるいは規則的に配列しており、白色粉末状であり、その分子量は、含フッ素共重合体の成形加工性や機械的諸特性等を考慮して適宜決定可能であるが、分子量の指標としての極限粘度[η](測定法:ウベローデ粘度計での35℃における落下時間から求めたもの。)が通常、0.2〜5.0dl/g、好ましくは、0.4〜3.0dl/gであることが成形加工性の点から望ましい。
【0039】
また、この含フッ素共重合体は、2-(パーフルオロアルキル)エタンチオール由来の末端部分「-SC2H4CnF2n+1(n:1〜12の整数)」を有し、この耐熱安定化末端は、19F−NMRにて観測し、そのフルオロアルキル末端「CnF2n+1基」に帰属するシグナルの面積から求めるとき、得られた含フッ素共重合体1mol中に、0.3〜2.0mmol、好ましくは、0.4〜1.0mmolの量で存在していることが耐熱安定性等の点で望ましい。
【0040】
得られた含フッ素共重合体は、光透過性および耐熱黄変性に優れており、加熱、加圧下に、押出成形、射出成形等を行い、また加硫してこれら種々の成形を行っても、着色が生じにくく、透明性に優れている。
本発明に係る含フッ素共重合体を成形してなる、加硫成形体を含めた各種成形体は、着色度の指標である黄色度指数(測定法:ASTM D−1925準拠)が30以下であることが望ましい。
【0041】
また、含フッ素共重合体から得られる成形体の光透過率は、成形品の厚み0.1mm(厚)では、波長450nmの光で70%以上、好ましくは70〜90%程度であり、
波長550nmの光で80%以上、好ましくは80〜95%程度であり、
波長700nmの光で90%以上、好ましくは90〜98%程度であることが多く、著しく光透過性に優れている。
【0042】
得られた含フッ素共重合体は、射出成形、圧縮成型、押し出し成型法などの任意の成型法によって、フィルム、シート、チューブ、ホース、オーリング、シール材などの成形体(溶融成形体)に成形される。
すなわち、本発明に係る溶融成形体は、上記の製法で得られた含フッ素共重合体を溶融成形したものである。
【0043】
また、得られた含フッ素共重合体に、架橋剤、架橋助剤などを加え、ロール混練、ニーダー混練などを行った後、加硫することによりガスケット、オーリング、オイルシール、ホースなどの成形体(加硫成形体)に成形される。
すなわち、本発明に係る加硫成形体は、上記の製法で得られた含フッ素共重合体を加硫成形したものである。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、光透過性および耐熱黄変性に優れた成形体を製造し得るような含フッ素共重合体を、より少ない工程により低コストで製造し得るような、含フッ素共重合体の製造方法並びに該方法で得られた上記特性を有する成形用含フッ素共重合体が提供される。
【0045】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例等で用いた試験方法等は、以下の通りである。
黄色度指数の測定
・含フッ素共重合体を2mmの厚さで成形した試験片および、その試験片を200℃のオーブン中に静置したものについて、一定時間後(すなわち、成形直後、オーブン中静置2時間後、同4時間後、同16時間後、同72時間後)における黄色度指数(ASTM D−1925準拠)の測定を行った。
光透過率の測定
・含フッ素共重合体フィルムの透明性は、0.1mmの厚さに成形した含フッ素共重合体フィルムを用いて、可視光吸収スペクトルの透過率を、測定装置:日本分光社製の紫外可視分光光度計(V-570)にて450nm、550nm、700nmにおいて測定することにより、評価した。
融点の測定
・セイコーインスツルメンタル社製DSC220型を用い、試料を30℃から10℃/分で350℃まで加熱後、10℃/分で30℃まで冷却し、再度350℃まで昇温する際の吸熱ピーク頂点の温度を融点として測定。
ガラス転移点の測定
・セイコーインスツルメンタル社製DSC220型を用い、試料を−50℃から10℃/分で100℃まで加熱後、10℃/分で−50℃まで冷却し、再度100℃まで昇温する際の吸熱ピーク変化の中心温度をガラス転移点として測定。
極限粘度[η]の測定
・N、N−ジメチルホルムアミドに0.1〜1.0g/mlの濃度で溶解した溶液のウベローデ粘度計での35℃における落下時間から求めた。
組成比および末端基の測定
19F−NMRにより行った。標準としてCFCl3を用いた。
【0046】
【実施例1】
内容量10リットルのSUS316製オートクレーブ内に、
パーフルオロオクタン酸アンモニウム 20g、
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 5g、
過硫酸アンモニウム 0.8g(3.5mmol)、
イオン交換水 5,500g、
を仕込み、十分に脱気を行った後、2−(パーフルオロヘキシル)エタンチオール5.28g(14mmol)を仕込み、80℃まで昇温し、80℃に達してから30分間その温度を保持した。
【0047】
このように30分保持した後に、
フッ化ビニリデン[VdF] 343 g
テトラフルオロエチレン[TFE] 147 g
を仕込み、オートクレーブの内圧を2.5MPa・Gとし重合反応を開始させた。重合反応の進行に伴って、オートクレーブの内圧が2.4MPa・Gまで低下した時点で、内圧が2.5MPa・Gまで回復するように、VdF/TFE=79/21mol%の組成比で均一分添した。全分添モノマー量が1,210gになったところで分添を終了し、0.3MPa・Gまでエージングを行い、重合を完結させた。
【0048】
オートクレーブから取り出した乳濁液を1wt%塩化カルシウム水溶液中に撹拌しながら滴下し、凝析した生成物をロ別し、イオン交換水で十分に撹拌洗浄し、濾過、乾燥させ白色粉末状の含フッ素共重合体を1,520g(重合率89%)得た。
該含フッ素共重合体について分析したところ、19F−NMR分析により共重合組成比はVdF/TFE=79/21mol%であり、-79ppmに-SC2H4C6F13の末端CF3基と帰属されるシグナルが観測され、そのシグナル面積から求められる-SC2H4C6F13末端は、ポリマー1molに対して0.55mmolであった。また、極限粘度[η]=2.1dl/g、融点は125℃であった。
【0049】
上記含フッ素共重合体を用いて、圧縮成型にて成形してなる厚さ0.1mmのフィルムの光透過率(日本分光社製 紫外可視分光光度計 V-570にて測定)は、450nmでは79%、550nmでは86%、700nmでは90%となった。
また、2mm(厚)の試験片について測定した黄色度指数は、成形直後:7、オーブン中静置2時間後:11、同4時間後:11、同16時間後:12、同72時間後:12となった。
【0050】
結果を併せて表2に示す。
【0051】
【実施例2】
実施例1において、60℃に達してから90分間その温度を保持した後の仕込みを、
フッ化ビニリデン[VdF] 343 g、
テトラフルオロエチレン[TFE] 147 g、
ヘキサフルオロプロピレン[HFP] 60 g、
に変更し、均一分添組成比をVdF/TFE/HFP=75/20/5mol%でオートクレーブの内圧が2.4MPa・G〜2.5MPa・Gまで回復する操作を、該組成比のモノマーを分添(添加)することにより行い、全分添モノマー量が1,310gになったところで分添を終了した以外は、同様の操作を行った。
【0052】
その結果、白色粉末状の含フッ素共重合体を1,693g(重合率91%)得た。
該含フッ素共重合体について分析したところ、19F−NMRによる共重合組成比はVdF/TFE/HFP=76/19/5mol%、-79ppmに-SC2H4C6F13の末端CF3基と帰属されるシグナルが観測され、そのシグナル面積から求められる-SC2H4C6F13末端は、ポリマー1molに対して0.52mmolであった。また、[η]=2.3dl/g、融点は98℃であった。
【0053】
上記含フッ素共重合体を用いて成形してなる厚さ0.1mmのフィルムの光透過率および2mm(厚)の試験片について測定した黄色度指数を測定した結果を表2に示す。
【0054】
【実施例3】
実施例1において、70℃に達してから30分間その温度を保持した後の仕込みを、
フッ化ビニリデン[VdF] 150 g、
テトラフルオロエチレン[TFE] 150 g、
ヘキサフルオロプロピレン[HFP] 100 g、
に変更し、均一分添組成比をVdF/TFE/HFP=52/33/15mol%でオートクレーブの内圧が1.8MPa・G〜1.9MPa・Gまで回復する操作を、該組成比のモノマーを分添(即ち所定の配合成分比率で添加)することにより行い、全分添モノマー量が1,260gになったところで分添を終了した以外は、同様の操作を行った。
【0055】
その結果、白色粉末状の含フッ素共重合体を1,527g(重合率92%)得た。
該含フッ素共重合体について分析したところ、19F-NMRによる共重合組成比はVdF/TFE/HFP=54/33/13mol%、-79ppmに-SC2H4C6F13の末端CF3基と帰属されるシグナルが観測され、そのシグナル面積から求められる-SC2H4C6F13末端は、ポリマー1molに対して0.53mmolであった。また、[η]=2.0dl/g、融点は124℃であった。
【0056】
上記含フッ素共重合体を用いて成形してなる厚さ0.1mmのフィルムの光透過率および2mm(厚)の試験片について測定した黄色度指数を測定した結果を表2に示す。
【0057】
【実施例4】
実施例1において、80℃に達してから15分間その温度を保持した後の仕込みを、
2-ブロモテトララフルオロエトキシトリフルオロエテン[FBrVE]10g、
フッ化ビニリデン[VdF] 250g、
テトラフルオロエチレン[TFE] 160g、
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)[FMVE] 400g、
に変更し、均一分添組成比をVdF/TFE/FMVE/FBrVE=49/20/30/1mol%でオートクレーブの内圧が2.4MPa・G〜2.5MPa・Gまで回復する操作を、該組成比のモノマーを分添(すなわち、所定の配合比率で添加)することにより行い、全分添モノマー量が1,645gになったところで分添を終了した以外は、同様の操作を行った。
【0058】
その結果、白色ゴム状の含フッ素共重合体を2,268 g(重合率92%)得た。
該含フッ素共重合体について分析したところ、19F-NMRによる共重合組成比はVdF/TFE/FMVE=49/20/30/1mol%、-79ppmに-SC2H4C6F13の末端CF3基と帰属されるシグナルが観測され、そのシグナル面積から求められる-SC2H4C6F13末端は、ポリマー1molに対して0.52mmolであった。また、[η]=1.2dl/g、ガラス転移点は-24℃であった。
【0059】
上記含フッ素共重合体を用いて成形してなる厚さ0.1mmのフィルムの光透過率および2mm(厚)の試験片について測定した黄色度指数を測定した結果を表2に示す。
【0060】
【比較例1】
内容量10リットルのSUS316製オートクレーブ内に、
パーフルオロオクタン酸アンモニウム 20g、
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 5g、
イオン交換水 5,400g、
を仕込み、十分に脱気を行った後、初期仕込みとして
2−(パーフルオロヘキシル)エタンチオール5.28g(14mmol)、
フッ化ビニリデン[VdF] 343g、
テトラフルオロエチレン[TFE] 147g、
を仕込み、その後、80℃まで昇温し、オートクレーブの内圧を2.5MPa・Gとした。その後、過硫酸アンモニウム0.8g(3.5mmol)をイオン交換水100gに溶かした水溶液をオートクレーブ内に圧入し、重合反応を開始させた。重合反応の進行に伴って、オートクレーブの内圧が2.4MPa・Gまで低下したら内圧が2.5MPa・Gまで回復する操作を、VdF/TFE =79/21mol%の組成比で均一分添することにより行った。全分添モノマー量が1,210gになったところで分添を終了し、0.3MPa・Gまでエージングを行い、重合を完結させた。オートクレーブから取り出した乳濁液を1wt%塩化カルシウム水溶液中に撹拌しながら滴下し、凝析した生成物をロ別し、イオン交換水で十分に撹拌洗浄し、濾過、乾燥させ白色粉末状の含フッ素共重合体を1,540 g(重合率91%)得た。
【0061】
該含フッ素共重合体について分析したところ、19F-NMRによる共重合組成比はVdF/TFE=79/21mol%、-79ppmに-SC2H4C6F13の末端CF3基と帰属されるシグナルが観測され、そのシグナル面積からポリマー1molに対して0.22mmolのチオール末端であった。また[η]=2.2dl/g、融点は124℃であった。
上記含フッ素共重合体を用いて成形してなる厚さ0.1mmのフィルムの光透過率および2mm(厚)の試験片について測定した黄色度指数を測定した結果を表2に示す。
【0062】
【比較例2】
比較例1において、
イオン交換水 5,500 g、
2−(パーフルオロヘキシル)エタンチオール 0 g、
に変更した以外は、同様の操作を行った。
【0063】
白色粉末状の含フッ素共重合体を1,540g(重合率91%)得た。
該含フッ素共重合体について分析したところ、19F−NMRによる共重合組成比はVdF/TFE=79/21mol%、また[η]=2.2dl/g、融点は124℃であった。
上記含フッ素共重合体を用いて成形してなる厚さ0.1mmのフィルムの光透過率および2mm(厚)の試験片について測定した黄色度指数を測定した結果を表2に示す。
【0064】
【比較例3】
比較例1において、初期仕込みとして
フッ化ビニリデン[VdF] 343 g、
テトラフルオロエチレン[TFE] 147 g、
ヘキサフルオロプロピレン[HFP] 60 g、
に変更し、重合温度を60℃とし、オートクレーブの内圧を2.5MPa・Gとした後、過硫酸アンモニウム0.8g(3.2mmol)をイオン交換水100g溶かした水溶液をオートクレーブ内に圧入し、重合反応を開始させ、重合反応の進行に伴って、オートクレーブの内圧が2.4MPa・Gまで低下したら2.5MPa・Gまで回復する操作を、組成比をVdF/TFE/HFP=75/20/5mol%で均一分添することにより行い、全分添モノマー量が1,310gになったところで分添を終了した以外は、同様の操作を行った。
【0065】
白色粉末状の含フッ素共重合体を1,690g(重合率91%)得た。
該含フッ素共重合体について分析したところ、19F−NMRによる共重合組成比はVdF/TFE/HFP=76/19/5mol%、-79ppmに-SC2H4C6F13の末端CF3基と帰属されるシグナルが観測され、そのシグナル面積から求められる-SC2H4C6F13末端は、ポリマー1molに対して0.22mmolであった。また、[η]=2.4dl/g、融点は98℃であった。
【0066】
上記含フッ素共重合体を用いて成形してなる厚さ0.1mmのフィルムの光透過率および2mm(厚)の試験片について測定した黄色度指数を測定した結果を表2に示す。
【0067】
【比較例4】
比較例1において、初期仕込みとして、
フッ化ビニリデン[VdF] 150 g、
テトラフルオロエチレン[TFE] 150 g、
ヘキサフルオロプロピレン[HFP] 100 g、
に変更し、重合温度を70℃とし、オートクレーブの内圧を1.9MPa・Gとした後、過硫酸アンモニウム0.8g(3.2mmol)をイオン交換水100g溶かした水溶液をオートクレーブ内に圧入し、重合反応を開始させ、重合反応の進行に伴って、オートクレーブの内圧が1.8MPa・Gまで低下したら1.9MPa・Gまで回復する操作を、組成比をVdF/TFE/HFP=52/33/15mol%で均一分添することにより行い、全分添モノマー量が1、260gになったところで分添を終了した以外は、同様の操作を行った。
【0068】
白色粉末状の含フッ素共重合体を1,531g、重合率92%)得た。
該含フッ素共重合体について分析したところ、19F-NMRによる共重合組成比はVdF/TFE/HFP=54/33/13mol%、-79ppmに-SC2H4C6F13の末端CF3基と帰属されるシグナルが観測され、そのシグナル面積から求められる−SC24613末端は、ポリマー1molに対して0.24mmolであった。また、[η]=2.2dl/g、融点は124℃であった。
【0069】
上記含フッ素共重合体を用いて成形してなる厚さ0.1mmのフィルムの光透過率および2mm(厚)の試験片について測定した黄色度指数を測定した結果を表2に示す。
【0070】
【比較例5】
比較例1において、初期仕込みとして
2-ブロモテトララフルオロエトキシトリフルオロエテン[FBrVE] 10 g
フッ化ビニリデン[VdF] 250 g
テトラフルオロエチレン[TFE] 160 g
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)[FMVE] 400 g
に変更し、重合温度を80℃とし、オートクレーブの内圧を2.5MPa・Gとした後、過硫酸アンモニウム0.8g(3.2mmol)をイオン交換水100g溶かした水溶液をオートクレーブ内に圧入し、重合反応を開始させ、重合反応の進行に伴って、オートクレーブの内圧が2.4MPa・Gまで低下したら2.5MPa・Gまで回復する操作を、組成比をVdF/TFE/FMVE/FBrVE=49/20/30/1mol%で均一分添することにより行い、オートクレーブの内圧が2.4MPa・G〜2.5MPa・Gまで回復する操作を、全分添モノマー量が1,645gになったところで分添を終了した以外は、同様の操作を行った。
【0071】
白色ゴム状の含フッ素共重合体を2,271 g、重合率92%)得た。
該含フッ素共重合体について分析したところ、19F-NMRによる共重合組成比はVdF/TFE/FMVE=49/20/30/1mol%、-79ppmに-SC2H4C6F13の末端CF3基と帰属されるシグナルが観測され、そのシグナル面積から求められる-SC2H4C6F13末端は、ポリマー1molに対して0.20mmolであった。また、[η]=1.3dl/g、ガラス転移点は-24℃であった。
【0072】
上記含フッ素共重合体を用いて成形してなる厚さ0.1mmのフィルムの光透過率および2mm(厚)の試験片について測定した黄色度指数を測定した結果を表2に示す。
【0073】
【実施例5および比較例6】
実施例4および比較例5において、表1に示す配合処方に従い、含フッ素エラストマーを8インチロールミルにより、25〜50℃の温度で5分間素練りを行い、次いで表1の成分を加えて15〜60分混練りした。混練りした含フッ素エラストマー組成物を表1に示した加硫条件により加硫を行い、加硫成形体を作成した。
【0074】
【表1】
Figure 0003864133
【0075】
上記含フッ素共重合体を用いて成形してなる厚さ0.1mmのフィルムの光透過率および2mm(厚)の試験片について測定した黄色度指数を測定した結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
Figure 0003864133

Claims (7)

  1. 2-(パーフルオロアルキル)エタンチオール(アルキル基の炭素数:1〜12)と、該チオール化合物にラジカルを移動することができる酸化剤とを予め水性媒体中で接触させて、活性化された2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールの存在下に、含フッ素単量体を含む単量体混合物を、上記水性媒体中で、ラジカル共重合反応させることを特徴とする含フッ素共重合体の製造方法。
  2. 上記2-(パーフルオロアルキル)エタンチオールと、該チオール化合物にラジカルを移動することができる酸化剤との接触を、80℃以下の加熱下に行う、請求項1に記載の含フッ素共重合体の製造方法。
  3. 前記酸化剤が水溶性である請求項1〜2の何れかに記載の含フッ素共重合体の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の含フッ素共重合体の製造方法により得られ、2−(パーフルオロアルキル)エタンチオールから誘導された、式:−SC24n2n+1(n:1〜12の整数)で表されるフルオロアルキル末端部分を含フッ素共重合体1mol中に、0.3〜2.0mmolの量を有する成形用含フッ素共重合体。
  5. 請求項4に記載の含フッ素共重合体を溶融成形してなる溶融成形体。
  6. 請求項4に記載の含フッ素共重合体を加硫成形してなる加硫成形体。
  7. 200℃、70時間後までの耐熱黄色度指数(測定法:ASTM D−1925準拠)が30以下である請求項5〜6の何れかに記載の成形体。
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