JP4156063B2 - 歯形付フランジを有する筒状部品の製造方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,筒状の軸部と大径のフランジ部とよりなると共にフランジ部の外周部にはスプライン等の歯形形状を設けてある歯形付フランジを有する筒状部品を,非常に合理的に製造することができる方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来技術】
例えば自動車用部品などにおいては,中空部を有する筒状の軸部と大径のフランジ部とよりなると共に,フランジ部の外周部にスプライン等の歯形形状を設けてなる筒状部品が多数用いられている。
具体的な形状としては,例えば後述する図11に示すごとく,外周部に角スプライン83の歯形形状を設けた歯形付きフランジ部82と,中空部80を有する筒状の軸部81を有する筒状部品8がある。また,図12に示すごとく,この筒状部品8の軸部81には,その内外周面にも微小なスプライン84,85を設ける場合もある。
【0003】
上記歯形付フランジを有する筒状部品8を製造する場合には,プレス板金成形により行う場合もあるが,筒状部品8の要求強度が高い場合には部分的に厚肉形状にする必要があるので,このプレス板金成形を適用するのは困難である。
そのため,高強度の筒状部品8を製造するに当たっては,鋳造又は熱間鍛造により作製した粗形材を切削加工することにより上記軸部81及び歯形付きフランジ83を形成していた。
【0004】
しかし,この切削加工を中心とした製造方法は,工程数の増加,材料歩留まりの悪化を招き,コストが高くなる。
そのため,近年においては,精密鍛造技術の進歩に伴って,上記切削加工の他に,熱間鍛造,冷間鍛造等を組み合わせた製造方法がとられるようになった。
【0005】
具体的には,図9に示すごとく,まずパイプ状の素材を熱間鍛造して粗形材7を作製する。これは,鋳造加工に代えることもできる。また,作製する粗形材7は,中空部70を有すると共に,得ようとする製品の軸部81よりも厚肉の筒状の粗軸部71と歯形形状の基礎となる粗歯形73を設けた粗フランジ部72とを有するものである。
【0006】
次いで,図10に示すごとく,粗形材7の軸部71の外周面及び内周面に切削加工を加えて所望寸法の軸部81に仕上げる。
次いで,図11に示すごとく,粗形材7の粗フランジ部72に冷間鍛造を施して角スプライン83を設ける。これにより,上記歯形付きフランジ部83を有する筒状部品8が得られる。
【0007】
また,上記のごとく筒状部材8の軸部81の内外周面に上記微小なスプライン84,85を設ける場合には,再び上記軸部81に対して冷間鍛造を施す。これにより,図12に示すごとく,歯形付きフランジ部83を有すると共にさらに軸部81の内外周面に微小スプライン84,85を設けてなる筒状部品8を得ることができる。
【0008】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の歯形付フランジを有する筒状部品8の製造方法においては,次の問題がある。
即ち,従来の製造方法においては,上記のごとく,粗形材7を作製する事前工程の後に,上記軸部81の内外径寸法を仕上げるための内外径加工と,上記フランジ部82に角スプライン(歯形形状)83を形成するための歯形加工工程とを行うことが必要である。
【0009】
これは,粗形材7には上記熱間鍛造による抜き勾配や熱変形による寸法変化,材料表面の肌荒れ等が生じるため,これらを改善することが必要であり,また,寸法精度の高い製品を得るためには,切削加工又は冷間加工が必要であるためである。
【0010】
そのため,上記のごとく,内外径加工工程と歯形加工工程とは上記筒状部品8を製造するに当たっては不可欠な工程である。しかしながら,これらの2つの工程を上記のごとく別々の工程として実施する場合には,製造工程の合理化及び低コスト化が十分とは言い難い。
一方,従来の製造方法及び製造装置においては,これ以上の工程合理化が困難であり,さらに優れた製造技術の開発が望まれていた。
【0011】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,従来よりもさらに工程合理化,低コスト化を図ることができる,歯形付フランジを有する筒状部品の製造方法及びその装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,中空部を有する筒状の軸部と該軸部の一端に設けられた大径のフランジ部とよりなると共に該フランジ部の外周部には歯形形状を設けてなる,歯形付フランジを有する筒状部品を製造する方法において,
上記軸部よりも小径厚肉の筒状の粗軸部と上記歯形形状の基礎となる粗歯形を設けた粗フランジ部とを有する粗形材を準備し,
上記軸部の内径寸法に相当する外径を有する円柱状の軸加工パンチと該軸加工パンチの周囲に摺動可能に配設された断面リング状のフランジ加工パンチとよりなる分割パンチと,
厚み方向に沿って徐々に上記粗歯形から上記歯形形状に変化するダイス穴を設けてなる歯形ダイスと,加工中に上記粗形材を介して上記フランジ加工パンチの前進を止める上端部と上記軸部の外径寸法に相当するダイス穴を有する軸加工ダイスとを備えると共に,上記歯形ダイスを上記分割パンチ側に位置させて積層してなる積層ダイスとを用い,
上記粗形材を上記歯形ダイスに上記粗軸部から挿入してセットし,
まず,上記分割パンチ全体を前進させて上記フランジ加工パンチにより上記粗形材を上記歯形ダイスに押圧すると共に該粗形材を前進させて上記粗フランジ部を上記歯形形状に成形する歯形加工を行い,
次いで,上記歯形加工の完了によって上記フランジ加工パンチの先端面を上記フランジ部を介して上記軸加工ダイスの上記上端部に直接当接した状態とすることにより,上記フランジ加工パンチの前進を阻止し,歯形加工された上記フランジ部を上記フランジ加工パンチと上記歯形ダイスにより押圧したまま,上記分割パンチにおける上記軸加工パンチのみを更に深く前進させて上記軸加工ダイスと共に上記粗軸部の内径を押し広げると共に外形を押圧して成形するしごき加工を行うことを特徴とする歯形付フランジを有する筒状部品の製造方法にある。
【0013】
本発明において最も注目すべきことは,上記構造の分割パンチ及び積層ダイスを用いることにより上記歯形加工と上記内外径加工という2つの冷間加工を,上記分割パンチの1ストロークによって一度に行うことである。
上記歯形加工は冷間鍛造加工に相当し,また,上記内外径加工はしごき加工に相当する。
【0014】
上記粗形材としては,上記のごとく,上記粗軸部と上記粗フランジ部とを有するものを準備する。この粗形材は,例えば,鋳造加工,あるいは棒状の素材を熱間鍛造することにより得ることができる。
また,上記粗軸部は,得ようとする軸部よりも小径厚肉に設けておく。これにより,上記内外径加工時において上記粗軸部に十分なしごき加工を施すことができる。
また,上記粗フランジ部には,上記粗歯形を設けておく。この粗歯形は,例えば,得ようとする歯形形状の凸部分に予め突起部を形成しておくことにより設けることができる。
【0015】
次に,上記粗形材の成形は,上記のごとく,上記分割パンチ及び積層ダイスを用いて行う。そして,粗形材を積層ダイスにセットして上記分割パンチを1ストロークさせる。このとき,上記粗形材は,まず上記分割パンチにおけるフランジ加工パンチと,上記積層ダイスにおける歯形ダイスによって加工される。
【0016】
即ち,上記粗形材は,上記フランジ加工パンチによって歯形ダイスに押圧されると共に前進させられる。一方,歯形ダイスは,上記のごとく,徐々に粗歯形から所望の歯形形状に変化するダイス穴を有している。そのため,上記粗形材の粗フランジ部は,その前進に伴って歯形形状を形成していく。
【0017】
次いで,上記歯形形状の形成が完了した後においては,上記分割パンチのうち上記軸加工パンチのみを前進させる。これにより,該軸加工パンチは,上記積層ダイスにおける上記軸加工ダイスの領域に進入する。そして,軸加工パンチは,その前進に伴って上記粗軸部を押し広げると共にこれを上記軸加工ダイスのダイス穴に圧着させて粗軸部の内外径を所望寸法に成形する。
これにより,上記粗形材は,得ようとする所望形状の筒状部品に成形される。
【0018】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明の製造方法においては,上記粗形材を,上記分割パンチと上記積層ダイスとを用いて成形加工する。これにより,上記のごとく,上記分割パンチを1ストロークするだけで,上記フランジ部の冷間鍛造と,上記軸部のしごき加工という2つの冷間加工を一度にまとめて行うことができる。
【0019】
そのため,従来であれば,2つの別工程が必要であった上記歯形加工と内外径加工とを1つの工程にまとめることができる。しかも,この統合された1工程は,上記ダイスとパンチを用いた,高能率のプレス加工とすることができる。
それ故,本発明によれば,従来よりもさらに工程合理化,低コスト化を図ることができる,歯形付フランジを有する筒状部品の製造方法を提供することができる。
【0020】
次に,請求項2の発明は,中空部を有する筒状の軸部と該軸部の一端に設けられた大径のフランジ部とよりなると共に該フランジ部の外周部には歯形形状を設けてなる歯形付フランジを有する筒状部品を,上記軸部よりも小径厚肉の筒状の粗軸部と上記歯形形状の基礎となる粗歯形を設けた粗フランジ部とを有する粗形材を冷間加工することにより製造する装置であって,
上記軸部の内径寸法に相当する外径を有する円柱状の軸加工パンチと該軸加工パンチの周囲に摺動可能に配設された断面リング状のフランジ加工パンチとよりなる分割パンチと,
厚み方向に沿って徐々に上記粗歯形から上記歯形形状に変化するダイス穴を設けてなる歯形ダイスと,加工中に上記粗形材を介して上記フランジ加工パンチの前進を止める上端部と上記軸部の外径寸法に相当するダイス穴を有する軸加工ダイスとを備えると共に,上記歯形ダイスを上記分割パンチ側に位置させて積層してなる積層ダイスと,
該積層ダイスを挿入するダイホルダーと,
上記積層ダイスの分割パンチ側で上記積層ダイスと係合して上記ダイホルダーに固定される固定リングと,
上記分割パンチを加圧,前進させる加圧装置とを有してなり,
かつ,該加圧装置は,上記フランジ加工パンチと上記歯形ダイスによる歯形加工が完了するまで上記分割パンチ全体を前進させ,上記歯形加工が完了した後は該歯形加工の完了によって上記フランジ加工パンチの先端面を上記フランジ部を介して上記軸加工ダイスの上記上端部に直接当接した状態とすることにより,上記フランジ加工パンチの前進を阻止し,歯形加工された上記フランジ部を上記フランジ加工パンチと上記歯形ダイスにより押圧したまま,上記軸加工パンチのみを前進させ上記軸部の内径を押し広げると共に外形を押圧して成形するよう構成してあることを特徴とする歯形付フランジを有する筒状部品の製造装置にある。
【0021】
本発明の製造装置において最も注目すべきことは,上記構造の分割パンチ及び積層ダイスを有すると共に,上記分割パンチの前進を上記歯形加工完了の前後において上記分割パンチ全体又は上記軸加工パンチ単独のいずれかに切り替えることができる上記加圧装置を有することである。
【0022】
上記加圧装置としては,種々の構造をとることができる。例えば,後述するごとく収縮部材を用いる方法,加圧装置の加圧機構を上記フランジ加工パンチ用と軸加工パンチ用にそれぞれ別個に設けてその作動タイミングを調整する方法等がある。
【0023】
本発明の製造装置を用いれば,上記優れた製造方法を容易かつ確実に実現することができ,歯形付フランジを有する筒状部品の製造を非常に合理化することができる。
【0024】
次に,請求項3の発明のように,上記フランジ加工パンチは,所定圧力以上の圧力において収縮する収縮部材を介して上記加圧装置に固定してあることが好ましい。ここでいう所定圧力は,例えば上記歯形加工に必要な加工圧力以上の圧力をいう。これにより,上記歯形加工の完了と共に上昇する加工圧力を利用して,上記フランジ加工パンチの前進の停止及び上記軸加工パンチのみの前進を,容易かつ確実に制御することができる。また,そのため,一つの駆動系によって上記各パンチの非同期駆動を実現することができ,2系統の駆動系を設ける必要がなく,設備費の低減を図ることができる。
【0025】
また,請求項4の発明のように,上記収縮部材はガスシリンダであることが好ましい。この場合には,ガスシリンダのガス充填圧力によって上記所定の加工圧力を容易に調整することができると共に,上記加圧装置の構造を簡単にすることができる。
【0026】
また,請求項5の発明のように,上記軸加工パンチの先端には,軸芯方向に対して15〜20度傾斜した面取り部を設けてあることが好ましい。該面取り部の傾斜角度が上記特定範囲の角度を超える場合には,上記軸加工パンチによる上記粗軸部の押し広げ加工がスムーズに行えないおそれがある。
【0027】
【発明の実施の形態】
実施形態例
本発明の実施形態例にかかる歯形付フランジを有する筒状部品の製造方法及びその装置につき,図1〜図8を用いて説明する。
まず,本例においては,図7に示すごとく,中空部80を有する筒状の軸部81と該軸部81の一端に設けられた大径のフランジ部82とよりなると共に該フランジ部82の外周部には角スプラインよりなる歯形形状83を設けてなる歯形付フランジを有する筒状部品8を作製する。
なお,本例においては,図8に示すごとく,この筒状部品8には,さらに別の冷間鍛造工程において上記軸部81の内外表面に微小なスプラインを設ける。
【0028】
また,素材としては,図6に示すごとく,中空部70を有すると共に,上記軸部81よりも小径厚肉の筒状の粗軸部71と上記歯形形状83の基礎となる粗歯形73を設けた粗フランジ部72とを有する粗形材7を用いる。そして,この粗形材7を以下に示す製造装置1によって冷間加工することにより上記筒状部品8(図7)を成形する。
【0029】
本例において用いる製造装置1は,図1に示すごとく,上記軸部81の内径寸法に相当する外径を有する円柱状の軸加工パンチ12と該軸加工パンチ12の周囲に摺動可能に配設された断面リング状のフランジ加工パンチ11とよりなる分割パンチ10を有する。
【0030】
また,同図に示すごとく,上記分割パンチ10の下方には,厚み方向に沿って徐々に上記粗歯形73から所望の上記歯形形状83に変化するダイス穴510を設けてなる歯形ダイス51と上記軸部81の外径寸法に相当するダイス穴520を有する軸加工ダイス52とを,歯形ダイス51を上記分割パンチ10側に位置させて積層してなる積層ダイス5を設けてある。
【0031】
また,同図に示すごとく,上記分割パンチ10には,これを加圧,前進させる加圧装置3を接続してある。
かつ,該加圧装置3は,上記フランジ加工パンチ11と上記歯形ダイス51による歯形加工が完了するまで上記分割パンチ10全体を前進させ,上記歯形加工が完了した後は上記軸加工パンチ11のみを前進させるよう構成してある。
【0032】
以下,これを詳説する。
上記分割パンチ10は,図1に示すごとく,加圧装置3のパンチホルダー30に配設されている。加圧装置3は,図示しないプレス機に固定された上記パンチホルダー30を有しており,該パンチホルダー30を下降させるよう構成してある。
【0033】
また,上記分割パンチ10は,上記のごとく,円柱状の軸加工パンチ12と断面リング状のフランジ加工パンチ11とを摺動可能に組み合わせてなる。
上記軸加工パンチ12は,その外径を得ようとする筒状部品8の軸部81の内径に相当する径に設けてあると共に,先端部に15〜20度傾斜させた面取り部125を設けてある。また,上記フランジ加工パンチ11は,図1,図4に示すごとく,その先端外周面112を所望の歯形形状に設けてある。
【0034】
また,図1に示すごとく,上記分割パンチ10は,その軸加工パンチ12の基部129を上記パンチホルダー30に固定してこれに配設してある。
また,パンチホルダー30には,中央部に円柱状の中空部32を設けてあり,該中空部32には,円盤状のプレート42を昇降可能に配設してある。そして,上記フランジ加工パンチ11は,図1に示すごとく,連結シャフト119を介して上記プレート42に連結してある。
【0035】
上記連結シャフト119は,図1に示すごとく,フランジ加工パンチ11の底部119から4本延設してあり,上記軸加工パンチ12の基部129に設けた貫通穴128を通して上記中空部32におけるプレート42に接続してある。
また,上記パンチホルダー30の上部には,図1,図3に示すごとく,収縮部材としてのガスシリンダ4を4つ設けてある。
【0036】
ガスシリンダ4は,図1に示すごとく,そのロッド41を上記プレート42に連結してあり,プレート42の上昇に伴って収縮するよう構成されている。このガスシリンダ4におけるロッド41の収縮は,後述する所定の圧力が付与された際になされるよう構成されている。
【0037】
次に,上記積層ダイス5は,図1に示すごとく,上から歯形ダイス51,軸加工ダイス52を順次積層して構成されている。そして積層ダイス5は,ダイホルダー6のダイ挿入穴60内に,ドーナツ状のスペーサ61を介して配設されている。
【0038】
また,歯形ダイス51の外周部には固定リング62を係合させると共にこれをダイホルダー6に固定してある。これにより,積層ダイス5は,ダイホルダー6に強固にセットされる。
また,ダイホルダー6内の上記スペーサ61の内孔部には,成形後の製品を取り出すためのノックアウトピン63を配設してある。このノックアウトピン63は,下方に延設した昇降シャフト64によって昇降するよう構成されている。
【0039】
次に,上記製造装置1を用いて粗形材7を成形するに当たっては,まず図1に示すごとく,粗形材7を歯形ダイス51に粗軸部71から挿入してセットする。次いで,図2(a)に示すごとく,まず加圧装置3のパンチホルダー30を下降させて分割パンチ10全体を前進させてフランジ加工パンチ11により粗形材7を歯形ダイス51に押圧すると共に該粗形材7を前進させて粗フランジ部71を歯形形状83に成形する歯形加工を行う。
【0040】
即ち,図2(a)に示すごとく,上記分割パンチ10全体の前進によって,まずフランジ加工パンチ11の先端の当接面111(図1)が上記粗形材7の粗フランジ部72(図6)上面に当接し,これを下方に押圧する。これにより,粗形材7は,その粗フランジ部71を歯形ダイス51のダイス穴510によって成形されながら下降していく。そして,粗形材7の粗フランジ部72が歯形ダイス51の下端部まで下降した時点において上記粗フランジ部72が所望の歯形形状83を有するフランジ部82に成形され,歯形加工が完了する。
【0041】
次いで,上記歯形加工の完了と同時に,図2(b)に示すごとく,フランジ加工パンチ11の前進は阻止され,その後は軸加工パンチ12のみが前進する。即ち,フランジ加工パンチ11は,上記歯形加工の完了によってその先端面111をフランジ部82を介して軸加工ダイス52の内面上端部521(図1)に直接当接した状態となる。そのため,パンチホルダー30を下降させてもフランジ加工パンチ11の前進は阻まれる。
【0042】
ここで,上記パンチホルダー30には,上記ガスシリンダ4を設けてある。このガスシリンダ4は所定圧力以上の圧力が生じると収縮するように設定してある。また本例における上記所定圧力は,上記歯形加工に必要な加工圧力に設定してある。そのため,上記歯形加工中においてはフランジ加工パンチ11はパンチホルダー30と共に前進するが,上記歯形加工完了によってフランジ加工パンチ11に付与される圧力は急上昇し,上記所定圧力を超える。これにより,その後はパンチホルダー30の前進と共にガスシリンダ4が収縮してフランジ加工パンチ11は停止したままとなり,軸加工パンチ12のみが前進する。
【0043】
次いで,図2(b)に示すごとく,軸加工パンチ12のみを更に深く前進させて上記軸加工ダイス52と共に上記粗軸部71の内径及び外形を所望寸法に成形する内外径加工を行う。
即ち,上記粗形材7の粗軸部71は,所望の軸部81よりも小径厚肉の形状に設けてある。そのため,上記軸加工パンチ12の前進によって,粗軸部71は押し広げられると共にその外周面が軸加工ダイス52に押圧され,しごき加工が行われる。
【0044】
また,軸加工パンチ12の先端部には上記面取り部125を設けてあるので,上記しごき加工はスムーズに行われる。そして,図2(b)に示すごとく,軸加工パンチ12が軸部81を貫通して下方に突出した時点においてしごき加工が完了し,軸部81の内外径加工が完了する。これにより,図7に示す筒状部品8が得られる。
【0045】
その後,加圧装置3を上昇させることにより分割パンチ10を上昇させることにより,分割パンチ10と積層ダイス5との係合状態を解く。次いで,積層ダイス5内に残存している筒状部品8は,ノックアウトピン63を上昇させることにより取り出す。
【0046】
次いで,本例においては,図8に示すごとく,別途設けた鍛造機によって筒状部品8の軸部81の内外周面に微小なスプライン84,85を設け,製品としての筒状部品8が完成する。
【0047】
次に,本例の作用効果につき説明する。
本例においては,粗形材7を,上記分割パンチ10と上記積層ダイス5とを用いて成形加工する。これにより,上記のごとく,分割パンチ10を1ストロークするだけで,フランジ部82の冷間鍛造と,軸部81のしごき加工という2つの冷間加工を一度にまとめて行うことができる。
【0048】
そのため,従来であれば,2つの別工程が必要であった上記歯形加工と内外径加工とを1つの工程にまとめることができる。しかも,この統合された1工程は,上記分割パンチ10と積層ダイス5とを用いた,高能率のプレス加工とすることができる。
それ故,本例によれば,従来よりも大幅に工程合理化することができ,得られる歯形付フランジを有する筒状部品の低コスト化を図ることができる。
【0049】
また,本例の製造装置は,上記ガスシリンダ4よりなる収縮部材を用いることにより,一つの駆動装置によって分割パンチ10におけるフランジ加工パンチ11と軸加工パンチ12の非同期の駆動を実現することができる。これにより,駆動系を2系統有するような高価な複動プレスを用いる必要がなく,設備費の削減をも図ることができる。
【0050】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,従来よりもさらに工程合理化,低コスト化を図ることができる,歯形付フランジを有する筒状部品の製造方法及びその装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例にかかる,筒状部品の製造装置の構造を示す説明図。
【図2】実施形態例における,(a)歯形加工,(b)内外径加工,がそれぞれ完了した状態を示す説明図。
【図3】図1における,A−A線矢視断面図。
【図4】図1における,B−B線矢視断面図。
【図5】図1における,C−C線矢視断面図。
【図6】実施形態例における,粗形材の,(a)D−D線矢視断面図,(b)底面図。
【図7】実施形態例における,筒状部品の,(a)D−D線矢視断面図,(b)底面図。
【図8】実施形態例における,軸部にスプラインを設けた筒状部品の,(a)D−D線矢視断面図,(b)底面図。
【図9】従来例における,粗形材の,(a)D−D線矢視断面図,(b)底面図。
【図10】従来例における,軸部に切削加工を施した粗形材の,(a)D−D線矢視断面図,(b)底面図。
【図11】従来例における,筒状部品の,(a)D−D線矢視断面図,(b)底面図。
【図12】従来例における,軸部にスプラインを設けた筒状部品の,(a)D−D線矢視断面図,(b)底面図。
【符号の説明】
1...歯形付フランジを有する筒状部品の製造装置,
10...分割パンチ,
11...フランジ加工パンチ,
12...軸加工パンチ,
3...加圧装置,
30...パンチホルダー,
4...ガスシリンダ,
5...積層ダイス,
51...歯形ダイス,
52...軸加工ダイス,
6...ダイスホルダー,
63...ノックアウトピン,
7...粗形材,
70...中空部,
71...粗軸部,
72...粗フランジ部,
73...粗歯形,
8...筒状部材,
80...中空部,
81...軸部,
82...フランジ部,
83...歯形形状(角スプライン),
Claims (5)
- 中空部を有する筒状の軸部と該軸部の一端に設けられた大径のフランジ部とよりなると共に該フランジ部の外周部には歯形形状を設けてなる,歯形付フランジを有する筒状部品を製造する方法において,
上記軸部よりも小径厚肉の筒状の粗軸部と上記歯形形状の基礎となる粗歯形を設けた粗フランジ部とを有する粗形材を準備し,
上記軸部の内径寸法に相当する外径を有する円柱状の軸加工パンチと該軸加工パンチの周囲に摺動可能に配設された断面リング状のフランジ加工パンチとよりなる分割パンチと,
厚み方向に沿って徐々に上記粗歯形から上記歯形形状に変化するダイス穴を設けてなる歯形ダイスと,加工中に上記粗形材を介して上記フランジ加工パンチの前進を止める上端部と上記軸部の外径寸法に相当するダイス穴を有する軸加工ダイスとを備えると共に,上記歯形ダイスを上記分割パンチ側に位置させて積層してなる積層ダイスとを用い,
上記粗形材を上記歯形ダイスに上記粗軸部から挿入してセットし,
まず,上記分割パンチ全体を前進させて上記フランジ加工パンチにより上記粗形材を上記歯形ダイスに押圧すると共に該粗形材を前進させて上記粗フランジ部を上記歯形形状に成形する歯形加工を行い,
次いで,上記歯形加工の完了によって上記フランジ加工パンチの先端面を上記フランジ部を介して上記軸加工ダイスの上記上端部に直接当接した状態とすることにより,上記フランジ加工パンチの前進を阻止し,歯形加工された上記フランジ部を上記フランジ加工パンチと上記歯形ダイスにより押圧したまま,上記分割パンチにおける上記軸加工パンチのみを更に深く前進させて上記軸加工ダイスと共に上記粗軸部の内径を押し広げると共に外形を押圧して成形するしごき加工を行うことを特徴とする歯形付フランジを有する筒状部品の製造方法。 - 中空部を有する筒状の軸部と該軸部の一端に設けられた大径のフランジ部とよりなると共に該フランジ部の外周部には歯形形状を設けてなる歯形付フランジを有する筒状部品を,上記軸部よりも小径厚肉の筒状の粗軸部と上記歯形形状の基礎となる粗歯形を設けた粗フランジ部とを有する粗形材を冷間加工することにより製造する装置であって,
上記軸部の内径寸法に相当する外径を有する円柱状の軸加工パンチと該軸加工パンチの周囲に摺動可能に配設された断面リング状のフランジ加工パンチとよりなる分割パンチと,
厚み方向に沿って徐々に上記粗歯形から上記歯形形状に変化するダイス穴を設けてなる歯形ダイスと,加工中に上記粗形材を介して上記フランジ加工パンチの前進を止める上端部と上記軸部の外径寸法に相当するダイス穴を有する軸加工ダイスとを備えると共に,上記歯形ダイスを上記分割パンチ側に位置させて積層してなる積層ダイスと,
該積層ダイスを挿入するダイホルダーと,
上記積層ダイスの分割パンチ側で上記積層ダイスと係合して上記ダイホルダーに固定される固定リングと,
上記分割パンチを加圧,前進させる加圧装置とを有してなり,
かつ,該加圧装置は,上記フランジ加工パンチと上記歯形ダイスによる歯形加工が完了するまで上記分割パンチ全体を前進させ,上記歯形加工が完了した後は該歯形加工の完了によって上記フランジ加工パンチの先端面を上記フランジ部を介して上記軸加工ダイスの上記上端部に直接当接した状態とすることにより,上記フランジ加工パンチの前進を阻止し,歯形加工された上記フランジ部を上記フランジ加工パンチと上記歯形ダイスにより押圧したまま,上記軸加工パンチのみを前進させ上記軸部の内径を押し広げると共に外形を押圧して成形するよう構成してあることを特徴とする歯形付フランジを有する筒状部品の製造装置。 - 請求項2において,上記フランジ加工パンチは,所定圧力以上の圧力において収縮する収縮部材を介して上記加圧装置に固定してあることを特徴とする歯形付フランジを有する筒状部品の製造装置。
- 請求項3において,上記収縮部材はガスシリンダであることを特徴とする歯形付フランジを有する筒状部品の製造装置。
- 請求項2〜4のいずれか1項において,上記軸加工パンチの先端には,軸芯方向に対して15〜20度傾斜した面取り部を設けてあることを特徴とする歯形付フランジを有する筒状部品の製造装置。
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