JP3998770B2 - 分配装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘稠物に適用できる分配装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、粘稠物分配容器としては、チューブ状容器に内容物を収納し、チューブ状容器の側壁を押すことにより内容物を取り出すもの、ないしは剛性のあるプラスチックボトル等に注出用ポンプを取り付けた容器に内容物を収納し、注出用ポンプにより内容物を少量づつ取り出すもの等が知られているが、前者のものでは包装する容量を大きく出来ないと共に残さずに内容物を取り出すことが困難であるという欠点があり、後者のものにおいても内容物を最後まで残さず取り出すことができないという欠点があり、両者共に使い捨ての容器として使用されるものであった。また、特開平８−１８３５６１号に記載されているような、ブロー成形により合成樹脂製の剛性容器と剛性容器に剥離自在に積層された可撓性合成樹脂製の可撓性容器とからなるボトル状の容器に注出用ポンプを取り付けた構成のものが知られている。この構成の容器の場合、内容物収納部に外気を進入させることなく、また内容物を吸出して使い切ることのできる容器であるが、構造が複雑で高価になる上に、使い捨て容器であって詰め替え容器として使用できないという欠点がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、粘稠な内容物であっても残さず取り出せると共に、包装体を取り替えるだけで、剛性容器及びポンプ付き蓋体を繰り返し使用することができる詰め替え可能な分配装置を提供することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
フランジ２ａを有する可撓性容器２に内容物を充填し、前記可撓性容器２の開口部を覆うように、突き刺し密封性を有する蓋材３を前記可撓性容器２のフランジ２ａに熱接着により取り付けて密封した構成の包装体１を用いた分配装置である。この場合、包装体１の蓋材３を貫通させて吸出筒９を突き刺し内容物を取り出すことにより内容物の容量が減少すると、可撓性容器２が密封されていると共に蓋材３の吸出筒９の突き刺し部の気密性が保たれているために、可撓性容器２の内部に外気が進入することがなく内部が負圧となり、大気の圧力により可撓性容器２の底部ないしは側面が押しつぶされた状態となって可撓性容器２の容積が減少する。内容物を更に取り出してゆくにつれて、可撓性容器２が更に圧縮されて蓋材３の内面ないしは吸出筒９の周辺に密着する状態となり、内容物を残さずに取り出すことができる。また、包装体１が密封されているために内部に空気が入ることがないので内容物が酸化等により劣化を起こすことなく内容物の保護性の優れた包装体とすることができる。
【０００５】
上記の分配装置に用いられる包装体１において、前記蓋材３を未延伸ナイロン層と可撓性に優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体にて構成することにより、蓋材のゴム弾性が優れたものとなるので、ポンプの吸出筒を蓋材を突き刺して可撓性容器内に挿入した場合においても、吸出筒と蓋材間の気密性を保つことができるので、吸出筒の突き刺し部から可撓性容器の内部に空気が進入することがなく内容物を最後まで取り出すことができる。
【０００６】
上記の分配装置に用いられる包装体１において、前記蓋材３を、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、金属又は金属酸化物蒸着プラスチックフイルム、アルミニウム箔からなるガスバリアー層と未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体にて構成することにより、蓋材のガスバリア性が優れたものになると共に、突き刺し部における吸出筒と蓋材との気密性を保持することができる。
【０００７】
上記の分配装置に用いられる包装体１において、前記可撓性容器２を、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層との積層体、ないしはポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層と熱可塑性樹脂層との積層体からなり、前記ポリオレフィン樹脂層が内面となるように成形された構成とすることにより、ガスバリアー性の優れた可撓性容器とすることができると共に蓋材にて熱接着して可撓性容器を密封することができるので内容物の保護性がきわめて良好となる。
【０００８】
上記の包装体１を、フランジ４ａ及び底部に通気孔６を有する剛性容器４に収納した状態で、下方に向けて延びる吸出筒９を備えたポンプ８が中央部に取り付けられ、前記包装体１の可撓性容器２のフランジ２ａに対向して円周状に押圧部７ｂが形成されると共に周縁に係合部７ａが形成され当該係合部７ａを剛性容器４のフランジ４ａの下面に係合されることにより取り付けられると共に係合を外すことにより取り外しできる構成となっている蓋体７を、前記蓋体７の係合部７ａを前記剛性容器４のフランジ４ａの下面に係合させて取り付けることにより、前記蓋体７の押圧部７ｂにて前記包装体１の可撓性容器２のフランジ２ａを蓋材３側から真下方向にのみ付勢する力により押圧することにより可撓性容器２のフランジ２ａの真下にある前記剛性容器４のフランジ４ａ上に密接状態にて固定させると共に、前記吸出筒９の先端を前記蓋材３に突き刺して前記包装体１の内部に挿入した構成の分配装置であるので、蓋体に取り付けられたポンプを操作することにより内容物を容易に取り出して使用することができると共に、粘稠な内容物であっても残らず使い切ることができる。また、包装体の内部に空気が入ることがないので内容物が酸化等により劣化するのを防止することができる。内容物を使い切った後は、包装体を取り替えることにより詰め替え式の分配装置として利用できる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、図面を引用して本発明の実施の形態を説明する。
図１は本発明の包装体の実施形態を示す断面図、図２は本発明の分配装置に使用する容器の構成を示す断面図、図３は本発明の分配装置を示す断面図、図４は内容物を一部取り出した状態の分配装置の断面図であって、１は包装体、２は可撓性容器、2aは可撓性容器フランジ、３は蓋材、４は剛性容器、4aは剛性容器フランジ、５は熱接着部、６は通気孔、７は蓋体、7aは係合部、7bは押圧部、８はポンプ、９は吸出筒、10は内容物、11は空間をそれぞれ表す。
【００１０】
本発明の包装体の実施形態は、図１に示すとおり、フランジ2aを有するカップ状の可撓性容器２の内部に内容物10を充填した後に、可撓性容器２の開口を覆うように、突き刺し密封性を有する蓋材３を可撓性容器２のフランジ2aの上面に熱接着部５により接着して取り付けられて密封された構成である。本実施形態の場合、吸出筒を蓋材３に突き刺して内容物を取り出すと、吸出筒の突き刺し部と蓋材３間の気密性が保持されているので、取り出された内容物10の容積だけ可撓性容器２が潰れて縮小するので、包装体１の内部に空気が入ることがなく、充填されている内容物10が酸化等により品質が劣化するのを防止できる。なお、可撓性容器２の形状はカップ状が好ましいが、フランジを有していれば円筒状、角筒状等の筒状の容器でもよい。
【００１１】
本発明の分配装置に使用する容器は、図２に示すとおりであり、フランジ４ａを有すると共に底部に通気孔６を有するカップ状の剛性容器４と、下方に向けて延びる吸出筒９を備えたポンプ８が中央部に取り付けられ、剛性容器４のフランジ４ａに対向して円周状に形成された押圧部７ｂ及び周縁に形成された係合部７ａとを備えた蓋体７により構成されている。剛性容器４の形状は包装体１を構成するフランジ２ａを有する可撓性容器２が剛性容器４の内部に剛性容器４のフランジ４ａ上に可撓性容器２のフランジ２ａが重なる状態で密着して挿入できるように設計されている。蓋体３に取り付けられているポンプ８は粘稠な内容物でもポンプ操作により取り出せる構造とされている。蓋体７は、蓋体７の周縁に設けられた係合部７ａを剛性容器４のフランジ４ａの下面に係合させることにより取り付けられると共に係合を外すことにより取り外しできる構成となっている。
【００１２】
本発明の包装体１を使用した分配装置は、図３に示すとおりであり、剛性容器４のフランジ4a上に可撓性容器２のフランジ2aが重なるように、剛性容器４の内部に包装体１を密着させた状態で収納し、下方に向けて延びる吸出筒９を備えたポンプ８が中央部に取り付けられ、剛性容器４のフランジ4aに対向して円周状に形成された押圧部7b及び周縁に形成された係合部7aとを備えた蓋体７を、包装体１を収納した剛性容器４の上部に、可撓性容器２のフランジ2aの上面を蓋体７の押圧部7bにより押圧した状態で蓋体７の係合部7aを剛性容器４のフランジ4aの下面に係合させて取り付けると同時に、吸出筒９を包装体１の蓋材３に突き刺して包装体１の内部に挿入した構成である。分配装置が組み立られた状態で、蓋体７の押圧部7bにより剛性容器４のフランジ4a上に可撓性容器２のフランジ2aが固定されるので包装体１と剛性容器４が一体化される。
【００１３】
図３に示す分配装置のポンプ８を作動させて内容物10を取り出してゆくと、内容物10の量が減少するにつれて、可撓性容器２が蓋材３により完全に密封されており、蓋材７と吸出筒９の突き刺し部の気密性が確保されているために、可撓容器２の内部に外気が進入することがなく内部が負圧となる。一方剛性容器４の底部には通気孔６が形成されており大気と連通しているために、可撓性容器２の底部において可撓性容器２の内部と外部に圧力差が生じ、可撓性容器２の底部が押し上げられて潰された状態となり可撓性容器２の容積が減少する。内容物10を更に取り出してゆくにつれて、図４に示すように、内容物10が減少した容量だけ可撓性容器２が潰されてゆき、剛性容器４の底部と可撓性容器２の底部との間に空間11ができた状態となる。内容物10が完全に取り出された状態では、可撓性容器２が完全に押しつぶされて、蓋材３の下面及び吸出筒９の周囲に密着した状態となり、内容物を残らず最後まで吸い出して使用することができるものである。上記のように、分配装置の使用中において包装体１の内部に空気が入ることがないので内容物が酸化等により劣化を起こすことがなく内容物の品質を確実に保持することができるものである。
【００１４】
上記のようにして、内容物10を残らず取り出して使用し終わると、蓋体７の係合部7aと剛性容器４のフランジ4aの下面との係合を外して、剛性容器４と蓋体７とを分離した後に、剛性容器４から空になった包装体１を取り出して、内容物が充填された新しい包装体１と取り替え、図３に示す分配装置に組み立てることにより、再度分配装置として使用することができる。したがって、剛性容器４と蓋体７は繰り返し使用できるので、包装体１を新しいものと取り替えるだけで詰め替え用の分配装置として使用できる。また、粘稠な内容物の場合でも包装体１内に内容物を残すことなく確実に使い切ることができるものである。
【００１５】
本発明の包装体１を構成する可撓性容器２は、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層とからなる積層体、ないしはポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層と熱可塑性樹脂層とからなる積層体を使用して、ポリオレフィン樹脂層が内面となるように成形された可撓性の優れた容器である。ガスバリアー性樹脂層としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）、塩化ビニリデン系樹脂（ＰＶＤＣ）、ナイロン樹脂（ＮＹ）等が使用される。ポリオレフィン樹脂層としては、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、線状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）、エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、エチレン−プロピレン共重合体（ＥＰ）等が使用できる。熱可塑性樹脂層としては、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、線状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、エチレン−プロピレン共重合体（ＥＰ）、非晶質ポリエステル（ＰＥＴ）、ナイロン（ＮＹ）、ポリスチレン（ＰＳＴ）等が使用できる。
【００１６】
ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層とからなる可撓性容器の積層構成の具体例としては、（内面）ＰＥ／ＮＹ、（内面）ＰＥ／ＥＶＯＨ、（内面）ＥＰ／ＥＶＯＨ、（内面）変成ＰＰ／ＥＶＯＨ等であり、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層と熱可塑性樹脂層とからなる可撓性容器の積層構成の具体例としては、（内面）ＰＥ／ＥＶＯＨ／ＮＹ（外面）、（内面）ＥＰ／ＥＶＯＨ／ＮＹ（外面）、（内面）ＰＥ／ＥＶＯＨ／ＰＥ（外面）、（内面）ＥＰ／ＥＶＯＨ／ＥＰ（外面）、（内面）変成ＰＰ／ＥＶＯＨ／変成ＰＰ（外面）、（内面）ＰＥ／ＥＶＯＨ／ＰＥＴ（外面）、（内面）ＥＰ／ＥＶＯＨ／ＰＳ（外面）等である。上記積層フイルムは多層押出により製造されるものであり、各層間の接着強度を強くするために各層間に接着層を入れた多層押出フイルムとしてもよい。可撓性容器２を構成する積層体は、可撓性があり、耐ピンホール性に優れたものが好ましい。
【００１７】
本発明の包装体１を構成する蓋材３は、未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体、ないしはガスバリアー層と未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体により構成される。可撓性の優れたポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、線状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）、エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、エチレン−アクリル酸共重合体（ＥＡＡ）、エチレン−アクリル酸エチル共重合体（ＥＥＡ）、エチレン−メタクリル酸共重合体（ＥＭＡ）、アイオノマー樹脂（ＩＯ）等が使用され、ガスバリアー層としては、ポリ塩化ビニリデン系樹脂（ＰＶＤＣ）、エチレン−ビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）、金属又は金属酸化物蒸着（ＶＭ）プラスチックフイルム、アルミニウム箔（ＡＬ）等が使用される。上記の材料により蓋材３を構成することにより、ゴム状弾性が大きくなるので、蓋材に吸出筒９を突き刺した場合でも、吸出筒９を突き刺した部分の密封性を確保することができるものである。
【００１８】
未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる蓋材の積層構成の例としては、未延伸ナイロン（ＣＮ）／ＬＤＰＥ、ＣＮ／ＬＬＤＰＥ、ＣＮ／ＥＶＡ、ＣＮ／ＥＡＡ等であり、ＣＮ、ＬＤＰＥ、ＬＬＤＰＥ、ＥＶＡ、ＥＡＡ等のフイルムをドライラミネーション等により積層してもよいし、それらの樹脂を共押出しすることにより積層してもよい。フイルムをドライラミネーションして積層する方法の場合には、印刷は未延伸ナイロンフイルムの裏面に、共押出しにより製造する場合はナイロン層の表面にそれぞれ印刷する。
【００１９】
ガスバリアー層と未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる蓋材の積層構成の例としては、ガスバリアー層としてポリ塩化ビニリデン系樹脂（ＰＶＤＣ）を使用する場合は、ＰＶＤＣ／ＣＮ／ＬＤＰＥ、ＰＶＤＣ／ＣＮ／ＬＬＤＰＥ、ＰＶＤＣ／ＣＮ／ＥＶＡ、ＣＮ／ＰＶＤＣ／ＬＤＰＥ、ＣＮ／ＰＶＤＣ／ＬＬＤＰＥ、ＣＮ／ＰＶＤＣ／ＥＶＡ等であり、ポリ塩化ビニリデン系樹脂（ＰＶＤＣ）をコーテイングした未延伸ナイロン（ＣＮ）フイルムを使用してドライラミネーションにより積層するか、それらの樹脂を共押出しすることにより積層体を作製することができる。ガスバリアー層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）を使用する場合は、ＥＶＯＨ／ＣＮ／ＬＤＰＥ、ＥＶＯＨ／ＣＮ／ＬＬＤＰＥ、ＥＶＯＨ／ＣＮ／ＥＶＡ、ＣＮ／ＥＶＯＨ／ＬＤＰＥ、ＣＮ／ＥＶＯＨ／ＬＬＤＰＥ、ＣＮ／ＥＶＯＨ／ＥＶＡ等であり、それらの樹脂からなるフイルムのドライラミネーションないしは共押出しにより積層することができる。ガスバリアー層として金属又は金属酸化物蒸着（ＶＭ）プラスチックフイルムを使用する場合は、２軸延伸ナイロン（ＯＮ）／ＶＭ／ＣＮ／ＬＤＰＥ、ＯＮ／ＶＭ／ＣＮ／ＬＬＤＰＥ、ＯＮ／ＶＭ／ＣＮ／ＥＶＡ等であり、ガスバリアー層としてアルミニウム箔（ＡＬ）を使用する構成は、ＡＬ／ＣＮ／ＬＤＰＥ、ＡＬ／ＣＮ／ＬＬＤＰＥ、ＣＮ／ＡＬ／ＬＤＰＥ、ＣＮ／ＡＬ／ＬＬＤＰＥ等である。
【００２０】
本発明の分配装置を構成する剛性容器４としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂を使用してインジェクション成形により製造される剛性のある容器が好適に使用できるが、ガラス製容器、金属製容器、陶器製容器及びその複合容器等を使用することもできる。ポンプは一般的に使用されている粘稠物用のものを使用するのが好ましい。また、係合部に密着性のよい合成樹脂、ゴム弾性体等を使用もしくは一体成形してもよい。
【００２１】
【発明の効果】
フランジを有する可撓性容器に内容物を充填し、前記可撓性容器の開口部を覆うように、突き刺し密封性を有する蓋材を前記可撓性容器のフランジに熱接着により取り付けて密封した構成の包装体である。この場合、包装体の蓋材を貫通させて吸出筒を突き刺し内容物を取り出すことにより内容物の容量が減少すると、可撓性容器が密封されていると共に蓋材の吸出筒の突き刺し部の気密性が保たれているために、可撓性容器の内部に外気が進入することがなく内部が負圧となり、大気の圧力により可撓性容器の底部ないしは側面が押しつぶされた状態となって可撓性容器の容積が減少する。内容物を更に取り出してゆくにつれて、可撓性容器が更に圧縮されて蓋材の内面ないしは吸出筒の周辺に密着する状態となり、内容物を残さずに取り出すことができる。また、包装体が密封されているために内部に空気が入ることがないので内容物が酸化等により劣化を起こすことなく内容物の保護性の優れた包装体とすることができる。
上記の包装体において、前記蓋材を未延伸ナイロン層と可撓性に優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体にて構成することにより、蓋材のゴム弾性が優れたものとなるので、ポンプの吸出筒を蓋材を突き刺して可撓性容器内に挿入した場合においても、吸出筒と蓋材間の気密性を保つことができるので、吸出筒の突き刺し部から可撓性容器の内部に空気が進入することがなく内容物を最後まで取り出すことができる。
上記の包装体において、前記蓋材を、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、金属又は金属酸化物蒸着プラスチックフイルム、アルミニウム箔からなるガスバリアー層と未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体にて構成することにより、蓋材のガスバリア性がより一層優れたものになると共に、突き刺し部における吸出筒と蓋材との気密性を保持することができる。
上記の包装体において、前記可撓性容器を、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層との積層体、ないしはポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層と熱可塑性樹脂層との積層体からなり、前記ポリオレフィン樹脂層が内面となるように成形された構成とすることにより、ガスバリアー性の優れた可撓性容器とすることができると共に蓋材にて熱接着して可撓性容器を密封することができるので内容物の保護性がきわめて良好となる。
上記の包装体を、フランジ及び底部に通気孔を有する剛性容器に収納した状態で、下方に向けて延びる吸出筒を備えたポンプが中央部に取り付けられ、前記包装体のフランジに対向して円周状に押圧部が形成されると共に周縁に係合部が形成された蓋体を、前記蓋体の係合部を前記剛性容器のフランジに係合させて取り付けることにより、前記蓋体の押圧部にて前記包装体のフランジを前記剛性容器のフランジ上に固定させると共に、前記吸出筒の先端を前記蓋材に突き刺して前記包装体の内部に挿入した構成の分配装置であるので、蓋体に取り付けられたポンプを操作することにより内容物を容易に取り出して使用することができると共に、粘稠な内容物であっても残らず使い切ることができる。また、包装体の内部に空気が入ることがないので内容物が酸化等により劣化するのを防止することができる。内容物を使い切った後は、包装体を取り替えることにより詰め替え式の分配装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の包装体の実施形態を示す断面図。
【図２】本発明の分配装置に使用する容器の構成を示す断面図。
【図３】本発明の分配装置を示す断面図。
【図４】内容物を一部取り出した状態の分配装置の断面図。
【符号の説明】
１ 包装体 ７ 蓋体
２ 可撓性容器 7a 係合部
2a 可撓性容器フランジ 7b 押圧部
３ 蓋材 ８ ポンプ
４ 剛性容器 ９ 吸出筒
4a 剛性容器フランジ 10 内容物
５ 熱接着部 11 空間
６ 通気孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘稠物に適用できる分配装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、粘稠物分配容器としては、チューブ状容器に内容物を収納し、チューブ状容器の側壁を押すことにより内容物を取り出すもの、ないしは剛性のあるプラスチックボトル等に注出用ポンプを取り付けた容器に内容物を収納し、注出用ポンプにより内容物を少量づつ取り出すもの等が知られているが、前者のものでは包装する容量を大きく出来ないと共に残さずに内容物を取り出すことが困難であるという欠点があり、後者のものにおいても内容物を最後まで残さず取り出すことができないという欠点があり、両者共に使い捨ての容器として使用されるものであった。また、特開平８−１８３５６１号に記載されているような、ブロー成形により合成樹脂製の剛性容器と剛性容器に剥離自在に積層された可撓性合成樹脂製の可撓性容器とからなるボトル状の容器に注出用ポンプを取り付けた構成のものが知られている。この構成の容器の場合、内容物収納部に外気を進入させることなく、また内容物を吸出して使い切ることのできる容器であるが、構造が複雑で高価になる上に、使い捨て容器であって詰め替え容器として使用できないという欠点がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、粘稠な内容物であっても残さず取り出せると共に、包装体を取り替えるだけで、剛性容器及びポンプ付き蓋体を繰り返し使用することができる詰め替え可能な分配装置を提供することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
フランジ２ａを有する可撓性容器２に内容物を充填し、前記可撓性容器２の開口部を覆うように、突き刺し密封性を有する蓋材３を前記可撓性容器２のフランジ２ａに熱接着により取り付けて密封した構成の包装体１を用いた分配装置である。この場合、包装体１の蓋材３を貫通させて吸出筒９を突き刺し内容物を取り出すことにより内容物の容量が減少すると、可撓性容器２が密封されていると共に蓋材３の吸出筒９の突き刺し部の気密性が保たれているために、可撓性容器２の内部に外気が進入することがなく内部が負圧となり、大気の圧力により可撓性容器２の底部ないしは側面が押しつぶされた状態となって可撓性容器２の容積が減少する。内容物を更に取り出してゆくにつれて、可撓性容器２が更に圧縮されて蓋材３の内面ないしは吸出筒９の周辺に密着する状態となり、内容物を残さずに取り出すことができる。また、包装体１が密封されているために内部に空気が入ることがないので内容物が酸化等により劣化を起こすことなく内容物の保護性の優れた包装体とすることができる。
【０００５】
上記の分配装置に用いられる包装体１において、前記蓋材３を未延伸ナイロン層と可撓性に優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体にて構成することにより、蓋材のゴム弾性が優れたものとなるので、ポンプの吸出筒を蓋材を突き刺して可撓性容器内に挿入した場合においても、吸出筒と蓋材間の気密性を保つことができるので、吸出筒の突き刺し部から可撓性容器の内部に空気が進入することがなく内容物を最後まで取り出すことができる。
【０００６】
上記の分配装置に用いられる包装体１において、前記蓋材３を、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、金属又は金属酸化物蒸着プラスチックフイルム、アルミニウム箔からなるガスバリアー層と未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体にて構成することにより、蓋材のガスバリア性が優れたものになると共に、突き刺し部における吸出筒と蓋材との気密性を保持することができる。
【０００７】
上記の分配装置に用いられる包装体１において、前記可撓性容器２を、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層との積層体、ないしはポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層と熱可塑性樹脂層との積層体からなり、前記ポリオレフィン樹脂層が内面となるように成形された構成とすることにより、ガスバリアー性の優れた可撓性容器とすることができると共に蓋材にて熱接着して可撓性容器を密封することができるので内容物の保護性がきわめて良好となる。
【０００８】
上記の包装体１を、フランジ４ａ及び底部に通気孔６を有する剛性容器４に収納した状態で、下方に向けて延びる吸出筒９を備えたポンプ８が中央部に取り付けられ、前記包装体１の可撓性容器２のフランジ２ａに対向して円周状に押圧部７ｂが形成されると共に周縁に係合部７ａが形成され当該係合部７ａを剛性容器４のフランジ４ａの下面に係合されることにより取り付けられると共に係合を外すことにより取り外しできる構成となっている蓋体７を、前記蓋体７の係合部７ａを前記剛性容器４のフランジ４ａの下面に係合させて取り付けることにより、前記蓋体７の押圧部７ｂにて前記包装体１の可撓性容器２のフランジ２ａを蓋材３側から真下方向にのみ付勢する力により押圧することにより可撓性容器２のフランジ２ａの真下にある前記剛性容器４のフランジ４ａ上に密接状態にて固定させると共に、前記吸出筒９の先端を前記蓋材３に突き刺して前記包装体１の内部に挿入した構成の分配装置であるので、蓋体に取り付けられたポンプを操作することにより内容物を容易に取り出して使用することができると共に、粘稠な内容物であっても残らず使い切ることができる。また、包装体の内部に空気が入ることがないので内容物が酸化等により劣化するのを防止することができる。内容物を使い切った後は、包装体を取り替えることにより詰め替え式の分配装置として利用できる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、図面を引用して本発明の実施の形態を説明する。
図１は本発明の包装体の実施形態を示す断面図、図２は本発明の分配装置に使用する容器の構成を示す断面図、図３は本発明の分配装置を示す断面図、図４は内容物を一部取り出した状態の分配装置の断面図であって、１は包装体、２は可撓性容器、2aは可撓性容器フランジ、３は蓋材、４は剛性容器、4aは剛性容器フランジ、５は熱接着部、６は通気孔、７は蓋体、7aは係合部、7bは押圧部、８はポンプ、９は吸出筒、10は内容物、11は空間をそれぞれ表す。
【００１０】
本発明の包装体の実施形態は、図１に示すとおり、フランジ2aを有するカップ状の可撓性容器２の内部に内容物10を充填した後に、可撓性容器２の開口を覆うように、突き刺し密封性を有する蓋材３を可撓性容器２のフランジ2aの上面に熱接着部５により接着して取り付けられて密封された構成である。本実施形態の場合、吸出筒を蓋材３に突き刺して内容物を取り出すと、吸出筒の突き刺し部と蓋材３間の気密性が保持されているので、取り出された内容物10の容積だけ可撓性容器２が潰れて縮小するので、包装体１の内部に空気が入ることがなく、充填されている内容物10が酸化等により品質が劣化するのを防止できる。なお、可撓性容器２の形状はカップ状が好ましいが、フランジを有していれば円筒状、角筒状等の筒状の容器でもよい。
【００１１】
本発明の分配装置に使用する容器は、図２に示すとおりであり、フランジ４ａを有すると共に底部に通気孔６を有するカップ状の剛性容器４と、下方に向けて延びる吸出筒９を備えたポンプ８が中央部に取り付けられ、剛性容器４のフランジ４ａに対向して円周状に形成された押圧部７ｂ及び周縁に形成された係合部７ａとを備えた蓋体７により構成されている。剛性容器４の形状は包装体１を構成するフランジ２ａを有する可撓性容器２が剛性容器４の内部に剛性容器４のフランジ４ａ上に可撓性容器２のフランジ２ａが重なる状態で密着して挿入できるように設計されている。蓋体３に取り付けられているポンプ８は粘稠な内容物でもポンプ操作により取り出せる構造とされている。蓋体７は、蓋体７の周縁に設けられた係合部７ａを剛性容器４のフランジ４ａの下面に係合させることにより取り付けられると共に係合を外すことにより取り外しできる構成となっている。
【００１２】
本発明の包装体１を使用した分配装置は、図３に示すとおりであり、剛性容器４のフランジ4a上に可撓性容器２のフランジ2aが重なるように、剛性容器４の内部に包装体１を密着させた状態で収納し、下方に向けて延びる吸出筒９を備えたポンプ８が中央部に取り付けられ、剛性容器４のフランジ4aに対向して円周状に形成された押圧部7b及び周縁に形成された係合部7aとを備えた蓋体７を、包装体１を収納した剛性容器４の上部に、可撓性容器２のフランジ2aの上面を蓋体７の押圧部7bにより押圧した状態で蓋体７の係合部7aを剛性容器４のフランジ4aの下面に係合させて取り付けると同時に、吸出筒９を包装体１の蓋材３に突き刺して包装体１の内部に挿入した構成である。分配装置が組み立られた状態で、蓋体７の押圧部7bにより剛性容器４のフランジ4a上に可撓性容器２のフランジ2aが固定されるので包装体１と剛性容器４が一体化される。
【００１３】
図３に示す分配装置のポンプ８を作動させて内容物10を取り出してゆくと、内容物10の量が減少するにつれて、可撓性容器２が蓋材３により完全に密封されており、蓋材７と吸出筒９の突き刺し部の気密性が確保されているために、可撓容器２の内部に外気が進入することがなく内部が負圧となる。一方剛性容器４の底部には通気孔６が形成されており大気と連通しているために、可撓性容器２の底部において可撓性容器２の内部と外部に圧力差が生じ、可撓性容器２の底部が押し上げられて潰された状態となり可撓性容器２の容積が減少する。内容物10を更に取り出してゆくにつれて、図４に示すように、内容物10が減少した容量だけ可撓性容器２が潰されてゆき、剛性容器４の底部と可撓性容器２の底部との間に空間11ができた状態となる。内容物10が完全に取り出された状態では、可撓性容器２が完全に押しつぶされて、蓋材３の下面及び吸出筒９の周囲に密着した状態となり、内容物を残らず最後まで吸い出して使用することができるものである。上記のように、分配装置の使用中において包装体１の内部に空気が入ることがないので内容物が酸化等により劣化を起こすことがなく内容物の品質を確実に保持することができるものである。
【００１４】
上記のようにして、内容物10を残らず取り出して使用し終わると、蓋体７の係合部7aと剛性容器４のフランジ4aの下面との係合を外して、剛性容器４と蓋体７とを分離した後に、剛性容器４から空になった包装体１を取り出して、内容物が充填された新しい包装体１と取り替え、図３に示す分配装置に組み立てることにより、再度分配装置として使用することができる。したがって、剛性容器４と蓋体７は繰り返し使用できるので、包装体１を新しいものと取り替えるだけで詰め替え用の分配装置として使用できる。また、粘稠な内容物の場合でも包装体１内に内容物を残すことなく確実に使い切ることができるものである。
【００１５】
本発明の包装体１を構成する可撓性容器２は、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層とからなる積層体、ないしはポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層と熱可塑性樹脂層とからなる積層体を使用して、ポリオレフィン樹脂層が内面となるように成形された可撓性の優れた容器である。ガスバリアー性樹脂層としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）、塩化ビニリデン系樹脂（ＰＶＤＣ）、ナイロン樹脂（ＮＹ）等が使用される。ポリオレフィン樹脂層としては、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、線状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）、エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、エチレン−プロピレン共重合体（ＥＰ）等が使用できる。熱可塑性樹脂層としては、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、線状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、エチレン−プロピレン共重合体（ＥＰ）、非晶質ポリエステル（ＰＥＴ）、ナイロン（ＮＹ）、ポリスチレン（ＰＳＴ）等が使用できる。
【００１６】
ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層とからなる可撓性容器の積層構成の具体例としては、（内面）ＰＥ／ＮＹ、（内面）ＰＥ／ＥＶＯＨ、（内面）ＥＰ／ＥＶＯＨ、（内面）変成ＰＰ／ＥＶＯＨ等であり、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層と熱可塑性樹脂層とからなる可撓性容器の積層構成の具体例としては、（内面）ＰＥ／ＥＶＯＨ／ＮＹ（外面）、（内面）ＥＰ／ＥＶＯＨ／ＮＹ（外面）、（内面）ＰＥ／ＥＶＯＨ／ＰＥ（外面）、（内面）ＥＰ／ＥＶＯＨ／ＥＰ（外面）、（内面）変成ＰＰ／ＥＶＯＨ／変成ＰＰ（外面）、（内面）ＰＥ／ＥＶＯＨ／ＰＥＴ（外面）、（内面）ＥＰ／ＥＶＯＨ／ＰＳ（外面）等である。上記積層フイルムは多層押出により製造されるものであり、各層間の接着強度を強くするために各層間に接着層を入れた多層押出フイルムとしてもよい。可撓性容器２を構成する積層体は、可撓性があり、耐ピンホール性に優れたものが好ましい。
【００１７】
本発明の包装体１を構成する蓋材３は、未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体、ないしはガスバリアー層と未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体により構成される。可撓性の優れたポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、線状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）、エチレン−酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、エチレン−アクリル酸共重合体（ＥＡＡ）、エチレン−アクリル酸エチル共重合体（ＥＥＡ）、エチレン−メタクリル酸共重合体（ＥＭＡ）、アイオノマー樹脂（ＩＯ）等が使用され、ガスバリアー層としては、ポリ塩化ビニリデン系樹脂（ＰＶＤＣ）、エチレン−ビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）、金属又は金属酸化物蒸着（ＶＭ）プラスチックフイルム、アルミニウム箔（ＡＬ）等が使用される。上記の材料により蓋材３を構成することにより、ゴム状弾性が大きくなるので、蓋材に吸出筒９を突き刺した場合でも、吸出筒９を突き刺した部分の密封性を確保することができるものである。
【００１８】
未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる蓋材の積層構成の例としては、未延伸ナイロン（ＣＮ）／ＬＤＰＥ、ＣＮ／ＬＬＤＰＥ、ＣＮ／ＥＶＡ、ＣＮ／ＥＡＡ等であり、ＣＮ、ＬＤＰＥ、ＬＬＤＰＥ、ＥＶＡ、ＥＡＡ等のフイルムをドライラミネーション等により積層してもよいし、それらの樹脂を共押出しすることにより積層してもよい。フイルムをドライラミネーションして積層する方法の場合には、印刷は未延伸ナイロンフイルムの裏面に、共押出しにより製造する場合はナイロン層の表面にそれぞれ印刷する。
【００１９】
ガスバリアー層と未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる蓋材の積層構成の例としては、ガスバリアー層としてポリ塩化ビニリデン系樹脂（ＰＶＤＣ）を使用する場合は、ＰＶＤＣ／ＣＮ／ＬＤＰＥ、ＰＶＤＣ／ＣＮ／ＬＬＤＰＥ、ＰＶＤＣ／ＣＮ／ＥＶＡ、ＣＮ／ＰＶＤＣ／ＬＤＰＥ、ＣＮ／ＰＶＤＣ／ＬＬＤＰＥ、ＣＮ／ＰＶＤＣ／ＥＶＡ等であり、ポリ塩化ビニリデン系樹脂（ＰＶＤＣ）をコーテイングした未延伸ナイロン（ＣＮ）フイルムを使用してドライラミネーションにより積層するか、それらの樹脂を共押出しすることにより積層体を作製することができる。ガスバリアー層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）を使用する場合は、ＥＶＯＨ／ＣＮ／ＬＤＰＥ、ＥＶＯＨ／ＣＮ／ＬＬＤＰＥ、ＥＶＯＨ／ＣＮ／ＥＶＡ、ＣＮ／ＥＶＯＨ／ＬＤＰＥ、ＣＮ／ＥＶＯＨ／ＬＬＤＰＥ、ＣＮ／ＥＶＯＨ／ＥＶＡ等であり、それらの樹脂からなるフイルムのドライラミネーションないしは共押出しにより積層することができる。ガスバリアー層として金属又は金属酸化物蒸着（ＶＭ）プラスチックフイルムを使用する場合は、２軸延伸ナイロン（ＯＮ）／ＶＭ／ＣＮ／ＬＤＰＥ、ＯＮ／ＶＭ／ＣＮ／ＬＬＤＰＥ、ＯＮ／ＶＭ／ＣＮ／ＥＶＡ等であり、ガスバリアー層としてアルミニウム箔（ＡＬ）を使用する構成は、ＡＬ／ＣＮ／ＬＤＰＥ、ＡＬ／ＣＮ／ＬＬＤＰＥ、ＣＮ／ＡＬ／ＬＤＰＥ、ＣＮ／ＡＬ／ＬＬＤＰＥ等である。
【００２０】
本発明の分配装置を構成する剛性容器４としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂を使用してインジェクション成形により製造される剛性のある容器が好適に使用できるが、ガラス製容器、金属製容器、陶器製容器及びその複合容器等を使用することもできる。ポンプは一般的に使用されている粘稠物用のものを使用するのが好ましい。また、係合部に密着性のよい合成樹脂、ゴム弾性体等を使用もしくは一体成形してもよい。
【００２１】
【発明の効果】
フランジを有する可撓性容器に内容物を充填し、前記可撓性容器の開口部を覆うように、突き刺し密封性を有する蓋材を前記可撓性容器のフランジに熱接着により取り付けて密封した構成の包装体である。この場合、包装体の蓋材を貫通させて吸出筒を突き刺し内容物を取り出すことにより内容物の容量が減少すると、可撓性容器が密封されていると共に蓋材の吸出筒の突き刺し部の気密性が保たれているために、可撓性容器の内部に外気が進入することがなく内部が負圧となり、大気の圧力により可撓性容器の底部ないしは側面が押しつぶされた状態となって可撓性容器の容積が減少する。内容物を更に取り出してゆくにつれて、可撓性容器が更に圧縮されて蓋材の内面ないしは吸出筒の周辺に密着する状態となり、内容物を残さずに取り出すことができる。また、包装体が密封されているために内部に空気が入ることがないので内容物が酸化等により劣化を起こすことなく内容物の保護性の優れた包装体とすることができる。
上記の包装体において、前記蓋材を未延伸ナイロン層と可撓性に優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体にて構成することにより、蓋材のゴム弾性が優れたものとなるので、ポンプの吸出筒を蓋材を突き刺して可撓性容器内に挿入した場合においても、吸出筒と蓋材間の気密性を保つことができるので、吸出筒の突き刺し部から可撓性容器の内部に空気が進入することがなく内容物を最後まで取り出すことができる。
上記の包装体において、前記蓋材を、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、金属又は金属酸化物蒸着プラスチックフイルム、アルミニウム箔からなるガスバリアー層と未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体にて構成することにより、蓋材のガスバリア性がより一層優れたものになると共に、突き刺し部における吸出筒と蓋材との気密性を保持することができる。
上記の包装体において、前記可撓性容器を、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層との積層体、ないしはポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層と熱可塑性樹脂層との積層体からなり、前記ポリオレフィン樹脂層が内面となるように成形された構成とすることにより、ガスバリアー性の優れた可撓性容器とすることができると共に蓋材にて熱接着して可撓性容器を密封することができるので内容物の保護性がきわめて良好となる。
上記の包装体を、フランジ及び底部に通気孔を有する剛性容器に収納した状態で、下方に向けて延びる吸出筒を備えたポンプが中央部に取り付けられ、前記包装体のフランジに対向して円周状に押圧部が形成されると共に周縁に係合部が形成された蓋体を、前記蓋体の係合部を前記剛性容器のフランジに係合させて取り付けることにより、前記蓋体の押圧部にて前記包装体のフランジを前記剛性容器のフランジ上に固定させると共に、前記吸出筒の先端を前記蓋材に突き刺して前記包装体の内部に挿入した構成の分配装置であるので、蓋体に取り付けられたポンプを操作することにより内容物を容易に取り出して使用することができると共に、粘稠な内容物であっても残らず使い切ることができる。また、包装体の内部に空気が入ることがないので内容物が酸化等により劣化するのを防止することができる。内容物を使い切った後は、包装体を取り替えることにより詰め替え式の分配装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の包装体の実施形態を示す断面図。
【図２】本発明の分配装置に使用する容器の構成を示す断面図。
【図３】本発明の分配装置を示す断面図。
【図４】内容物を一部取り出した状態の分配装置の断面図。
【符号の説明】
１ 包装体 ７ 蓋体
２ 可撓性容器 7a 係合部
2a 可撓性容器フランジ 7b 押圧部
３ 蓋材 ８ ポンプ
４ 剛性容器 ９ 吸出筒
4a 剛性容器フランジ 10 内容物
５ 熱接着部 11 空間
６ 通気孔
Claims (4)
- フランジ２ａを有する可撓性容器２に内容物を充填し、前記可撓性容器２の開口部を覆うように、突き刺し密封性を有する蓋材３を前記可撓性容器２のフランジ２ａに熱接着により取り付けて密封した包装体１を、フランジ４ａ及び底部に通気孔６を有する剛性容器４に収納した状態で、下方に向けて延びる吸出筒９を備えたポンプ８が中央部に取り付けられ、前記包装体１の可撓性容器２のフランジ２ａに対向して円周状に押圧部７ｂが形成されると共に周縁に係合部７ａが形成され当該係合部７ａを剛性容器４のフランジ４ａの下面に係合されることにより取り付けられると共に係合を外すことにより取り外しできる構成となっている蓋体７を、前記蓋体７の係合部７ａを前記剛性容器４のフランジ４ａの下面に係合させて取り付けることにより、前記蓋体７の押圧部７ｂにて前記包装体１の可撓性容器２のフランジ２ａを蓋材３側から真下方向にのみ付勢する力により押圧することにより可撓性容器２のフランジ２ａの真下にある前記剛性容器４のフランジ４ａ上に密接状態にて固定させると共に、前記吸出筒９の先端を前記蓋材３に突き刺して前記包装体の内部に挿入した構成からなることを特徴とする分配装置。
- 前記蓋材３が、ガスバリアー層と未延伸ナイロン層と可撓性の優れたポリオレフィン樹脂層とからなる積層体で構成され、前記ガスバリアー層が、金属又は金属酸化物蒸着プラスチックフイルム、アルミニウム箔であることを特徴とする請求項１記載の分配装置。
- 前記可撓性容器２が、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層としてのナイロン樹脂層との積層体からなり、前記ポリオレフィン樹脂層が内面となるように成形された構成からなることを特徴とする請求項１または２に記載の分配装置。
- 前記可撓性容器２が、ポリオレフィン樹脂層とガスバリアー性樹脂層としてのナイロン樹脂層と熱可塑性樹脂層としての非晶質ポリエステル層、ナイロン層またはポリスチレン層いずれかとの積層体からなり、前記ポリオレフィン樹脂層が内面となるように成形された構成からなることを特徴とする請求項１〜３いずれかに記載の分配装置。
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