JP3989400B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動パワーステアリング装置に関し、特に、自動車のステアリング装置において、モータの動力をステアリング系に付与して、運転者の操舵力負担を軽減する電動パワーステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動パワーステアリング装置は、モータを動力源とする操舵力倍力装置や、マイクロコンピュータユニットおよびモータ駆動装置等からなる制御装置を備え、ステアリングハンドルに付与される操舵力、車速等を検出し、これらの検出信号に基づいて制御装置によってモータをPWM駆動することにより、補助トルクを発生させ、ハンドル操舵力の軽減を図っている。
【0003】
モータを駆動するモータ駆動回路はFET(電界効果トランジスタ)ブリッジ回路および、FETのゲートに駆動信号電圧を印加するブリッジ駆動回路(プリドライブ回路)からなり、マイクロコンピュータが出力するPWM駆動信号に基づき、モータを駆動制御している。
【0004】
FETブリッジ回路の高電位側FETのドレインは電源に、低電位側FETのソースはグランドに接続されており、高電位側FETのソースと低電位側FETのドレインを接続し、ここを出力端子としてモータが接続され、高電位側FETを昇圧回路を介して駆動することにより、滑らかな操舵フィールを得ている。このような電動パワーステアリング装置は、特許文献1等に開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特許第2864474号
【0006】
図9は、モータ駆動回路を備えた電動パワーステアリング装置のモータ制御部の回路図である。図9において、インターフェース回路123は、操舵トルク検出部106によって得られる操舵トルク信号Tと車速検出部107からの車速信号vとエンジン回転検出部124からのエンジン回転信号rのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータを備え、入力されたそれらのアナログ信号をデジタル信号に変換してマイクロコンピュータ122に入力する。
【0007】
インターフェース回路125は、モータ電流検出部118,119によって検出される駆動電流Iu,Iwをデジタル信号に変換してマイクロコンピュータ122に入力する。インターフェース回路126は、RDコンバータ127からの励磁電流をレゾルバ102に送り、レゾルバ102からの出力信号をRDコンバータ127に送る。RDコンバータ127は、レゾルバ102からの出力信号から角度信号を出力し、マイクロコンピュータ122に送る。モータ駆動回路116は、プリドライブ回路128と、6つのパワーFETを備えたインバータ回路からなる。また、プリドライブ回路128電源129の電圧を昇圧する昇圧回路130によってブリッジ駆動回路を構成している。例えば、この昇圧回路130によって、12Vの電源電圧を2倍の24Vの電圧に昇圧して高電位側のFETに駆動信号を供給している。
【0008】
マイクロコンピュータ122には、水晶発振子131とコンデンサ132,133が外付けで接続されており、マイクロコンピュータ122では、水晶発振子131の発振周波数が分周され、ブラシレスモータ101を駆動するためのPWM信号の周波数(PWM周波数)fPWMが生成される。
【0009】
RDコンバータ127にも、水晶発振子131とコンデンサ132,133が接続されており、RDコンバータ127でも、水晶発振子131の発振周波数が分周され、VRレゾルバ102の励磁信号の周波数(励磁周波数)fRESが生成される。
【0010】
上記のようなモータ制御部100では、モータ駆動回路116中のプリドライブ回路128において、高電位側FETを昇圧回路130を介して駆動することにより、滑らかな操舵フィールを得ている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車両中の他の装置が駆動されている場合や、バッテリ(電源)129が劣化している場合に、電動パワーステアリング装置のモータ101が駆動され、バッテリ129から電流が持ち出されると車両の電源電圧が急激に低下する。このような場合、電源129からの電圧が低下しているために、昇圧回路130で昇圧された電圧も低くなってしまう。そのため、プリドライブ回路128から出力されるFETのゲート駆動信号の電圧も低下するので、FETのオン抵抗が高くなり、モータを駆動する電圧が変動してしまう。それにより、モータ出力が変動し操舵フィーリングが低下する。さらに、FETのオン抵抗が高くなると通電電流によりFET自体が発熱し高温となるため、さらにオン抵抗が高くなり、滑らかな操舵フィーリングが得られなくなる。
【0012】
この様子を図10〜図13を用いて説明する。図10は、バッテリ(電源)の端子電圧とバッテリの放電電流との関係を示すグラフである。横軸はバッテリの放電電流を示し、縦軸はバッテリの端子電圧を示す。また、曲線A1はバッテリが劣化していない初期状態のバッテリでの端子電圧と放電電流の関係を示し、放電電流が増加するにしたがって、端子電圧は減少することが分かる。この関係から、車両中の他の装置が駆動され、放電電流が増加すると、端子電圧は減少する。例えば、12Vの電源を用いている場合、通常は、10〜12Vの範囲で変動している。ところが、車両中の他の装置の駆動により、急激な電圧降下が起こった場合には8V程度にまで低下することがある。また、曲線A2は、バッテリが劣化したときの端子電圧と放電電流の関係を示すグラフである。劣化状態では、初期状態より、端子電圧が減少していることが分かる。これにより、バッテリが劣化したときは、初期状態より、さらに、端子電圧が放電電流の増加で減少することが分かる。
【0013】
図11は、ブリッジ回路に用いられるFETの構成図である。図11において、FETは、ソース端子S、ドレイン端子D、ゲート端子Gを備えている。そして、ソース端子−ドレイン端子間の電圧をVDS、ゲート−ソース端子間の電圧(ゲート電圧)をVGSと表す。
【0014】
図12は、FETの電流電圧特性を示す。横軸はソース−ドレイン端子電圧VDSを示し、縦軸は、ドレイン電流Iを示す。曲線B1,B2,B3,B4,B5,B6は、それぞれゲート電圧VGSが10V,9V,8V,7V,6V,5Vのときの電流電圧特性を示す。ゲート電圧VGSが減少するにしたがって電流電圧特性の勾配は減少し、すなわち、端子間抵抗(オン抵抗)が増加する。また、ゲート電圧VGSが減少するにしたがって、ドレイン電流Iは減少する。また、ゲート電圧VGSが5Vでは、ソース−ドレイン電圧VDSを増加してもモータ駆動に必要な電流80Aには達しないことが分かる。
【0015】
図12から分かるように、モータ駆動に必要な80Aの電流を得るには、ゲート電圧VGSが6V以上必要であることが分かる。また、ゲート電圧VGSが10Vの場合、VDSは0.6Vである。また、VGSが6Vの場合、VDSが1.5Vとなりモータの駆動電圧は低下し、操舵フィールが低下する。それゆえ、通常、電源電圧を昇圧回路によって昇圧し、十分高い電圧を持つゲート駆動信号によってFETを動作させている。
【0016】
図13は、FETのオン抵抗の温度依存性のグラフである。横軸は、温度であり、縦軸はオン抵抗を示す。オン抵抗は、温度の増加に従って増加することが分かる。
【0017】
図10〜図13を見て分かるように、ゲート電圧が低いとFETのオン抵抗が増加し、一定電流を流そうと制御すると、(Q=IRtより)FETに生じるジュール熱が増加し、FETの温度が上昇する。それによって、図13において示したように、オン抵抗が増加し、FETに流れる電流が減少し、モータ電流も減少する。モータ電流が減少すると、フィードバックでモータ電流を一定に保とうとするために、減少したモータ電流を目標電流に一致させようとするために、さらに、デューティ比を増加させ、それにより、さらに、ジュール熱が発生し、また、FETのオン抵抗が増加する。このような過程により、モータ出力は、一定の値を中心に、微振動が発生することになる。それにより、操舵フィールが低下してしまう。
【0018】
本発明の目的は、上記問題を解決するため、車両の電源電圧が変動しても、モータ出力が変動せず補助操舵力が変動しない、滑らかな操舵フィールを備えた電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る電動パワーステアリング装置は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0022】
の電動パワーステアリング装置(請求項に対応)は、操舵トルクに対応した補助トルクを発生するモータをPWM駆動するモータ駆動回路を備えた電動パワーステアリング装置において、モータ駆動回路は複数の能動素子によって構成されたブリッジ回路と能動素子をスイッチングするプリドライブ回路と、プリドライブ回路に供給される電圧を昇圧する昇圧回路を備え、ブリッジ回路に電圧を供給する第1の電源と、その第1の電源とは別に昇圧回路を介してプリドライブ回路に電圧を供給する第2の電源を設け、これによりブリッジ回路に供給される電圧よりも高い電圧をプリドライブ回路に供給することで特徴づけられる。
【0023】
の電動パワーステアリング装置によれば、モータ駆動回路は複数の能動素子によって構成されたブリッジ回路と能動素子のうち高電位側の能動素子を昇圧回路を介してスイッチングするプリドライブ回路と、プリドライブ回路に供給される電圧を昇圧する昇圧回路を備え、ブリッジ回路に電圧を供給する第1の電源と、その第1の電源とは別に昇圧回路を介してプリドライブ回路に電圧を供給する第2の電源を設け、これによりブリッジ回路に供給される電圧よりも高い電圧をプリドライブ回路に供給するため、車両中の他の装置が駆動されている場合や、バッテリ(電源)が劣化している場合に、電動パワーステアリング装置のモータが駆動され、バッテリから電流が持ち出された時に、車両の電源電圧が急激に低下した場合においても、ブリッジ駆動回路(昇圧回路+プリドライブ回路)には電源とは別の第2の電源より電力が供給されているため、FETのゲート駆動信号の電圧は充分に高く安定しており、FETのオン抵抗の増加はなくなり、モータ出力の変動による操舵力の変動のない、さらに滑らかな操舵フィーリングが得られるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0025】
図1〜図4を参照して本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体的構成、機械的機構の要部構成、および電子回路ユニットのレイアウトを説明する。
【0026】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。電動パワーステアリング装置10は、ステアリングホイール11に連結されるステアリング軸12等に対して補助用の操舵力(操舵トルク)を与えるように構成されている。ステアリング軸12の上端はステアリングホイール11に連結され、下端にはピニオンギヤ13が取り付けられている。ピニオンギヤ13に対して、これに噛み合うラックギヤ14aを設けたラック軸14が配置されている。ピニオンギヤ13とラックギヤ14aによってラック・ピニオン機構15が形成される。ラック軸14の両端にはタイロッド16が設けられ、各タイロッド16の外側端には前輪17が取り付けられる。上記ステアリング軸12に対し動力伝達機構18を介してブラシレスモータ19が設けられている。ブラシレスモータ19は、操舵トルクを補助する回転力(トルク)を出力し、この回転力を、動力伝達機構18を経由して、ステアリング軸12に与える。またステアリング軸12には操舵トルク検出部20が設けられている。操舵トルク検出部20は、運転者がステアリングホイール11を操作することによって生じる操舵トルクをステアリング軸12に加えたとき、ステアリング軸12に加わる当該操舵トルクを検出する。また、20dは舵角を検出する舵角センサであり、21は車両の車速を検出する車速検出部であり、22はコンピュータで構成される制御装置である。制御装置22は、操舵トルク検出部20から出力される操舵トルク信号Tと舵角センサ20dから出力される舵角信号と車速検出部21から出力される車速信号Vを取り入れ、操舵トルクに係る情報を舵角に係る情報と車速に係る情報に基づいて、ブラシレスモータ19の回転動作を制御する駆動制御信号SG1を出力する。またブラシレスモータ19には、レゾルバ等によって構成されるモータ回転角検出部23が付設されている。モータ回転角検出部23の回転角信号SG2は制御装置22にフィードバックされている。上記のラック・ピニオン機構15等は図1中で図示しないギヤボックス24に収納されている。
【0027】
上記において電動パワーステアリング装置10は、通常のステアリング系の装置構成に対し、操舵トルク検出部20、舵角センサ20d、車速検出部21、制御装置22、ブラシレスモータ19、動力伝達機構18を付加することによって構成されている。
【0028】
上記構成において、運転者がステアリングホイール11を操作して自動車の走行運転中に走行方向の操舵を行うとき、ステアリング軸12に加えられた操舵トルクに基づく回転力はラック・ピニオン機構15を介してラック軸14の軸方向の直線運動に変換され、さらにタイロッド16を介して前輪17の走行方向を変化させようとする。このときにおいて、同時に、ステアリング軸12に付設された操舵トルク検出部20は、ステアリングホイール11での運転者による操舵に応じた操舵トルクを検出して電気的な操舵トルク信号Tに変換し、この操舵トルク信号Tを制御装置22へ出力する。また、舵角センサ20dは、舵角を検出し舵角信号を制御装置22へ出力する。さらに、車速検出部21は、車両の車速を検出して車速信号Vに変換し、この車速信号Vを制御装置22へ出力する。制御装置22は、操舵トルク信号T、舵角信号および車速信号Vに基づいてブラシレスモータ19を駆動するためのモータ電流を発生する。モータ電流によって駆動されるブラシレスモータ19は、動力伝達機構18を介して補助操舵力をステアリング軸12に作用させる。以上のごとくブラシレスモータ19を駆動することにより、ステアリングホイール11に加えられる運転者による操舵力が軽減される。
【0029】
図2は、電動パワーステアリング装置10の機械的機構の要部と電気系の具体的構成を示す。ラック軸14の左端部および右端部の一部は断面で示されている。ラック軸14は、車幅方向(図2中左右方向)に配置される筒状ハウジング31の内部に軸方向へスライド可能に収容されている。ハウジング31から突出したラック軸14の両端にはボールジョイント32がネジ結合され、これらのボールジョイント32に左右のタイロッド16が連結されている。ハウジング31は、図示しない車体に取り付けるためのブラケット33を備えると共に、両端部にストッパ34を備えている。
【0030】
図2において、35はイグニションスイッチ、36は車載バッテリ(電源)、37は車両エンジンに付設された交流発電機(ACG)である。交流発電機37は車両エンジンの動作で発電を開始する。制御装置22に対してバッテリ36または交流発電機37から必要な電力が供給される。制御装置22はブラシレスモータ19に付設されている。また38はラック軸の移動時にストッパ34に当たるラックエンド、39はギヤボックスの内部を水、泥、埃等から保護するためのダストシール用ブーツである。
【0031】
図3は図2中のA−A線断面図である。図3では、ステアリング軸12の支持構造、操舵トルク検出部20、動力伝達機構18、ラック・ピニオン機構15の具体的構成と、ブラシレスモータ19および制御装置22のレイアウトとが明示される。
【0032】
図3において、上記ギヤボックス24を形成するハウジング24aにおいてステアリング軸12は2つの軸受け部41,42によって回転自在に支持されている。ハウジング24aの内部にはラック・ピニオン機構15と動力伝達機構18が収納され、さらに上部には操舵トルク検出部20が付設されている。ハウジング24aの上部開口はリッド43で塞がれ、リッド43はボルト44で固定されている。ステアリング軸12の下端部に設けられたピニオン13は軸受け部41,42の間に位置している。ラック軸14は、ラックガイド45で案内され、かつ圧縮されたスプリング46で付勢された当て部材47でピニオン13側へ押さえ付けられている。動力伝達機構18は、ブラシレスモータ19の出力軸に結合される伝動軸48に固定されたウォームギヤ49とステアリング軸12に固定されたウォームホイール50とによって形成される。操舵トルク検出部20は、ステアリング軸12の周りに配置される操舵トルク検出センサ20aから出力される検出信号を電気的に処理する電子回路部20bとから構成されている。操舵トルク検出センサ20aはリッド43に取り付けられている。
【0033】
図4は図3中のB−B線断面図である。図4ではブラシレスモータ19および制御装置22の内部の具体的構成が明示される。
【0034】
ブラシレスモータ19は、回転軸51に固定された永久磁石により成る回転子52と、回転子52の周囲に配置された固定子54とを備える。固定子54は固定子巻線53を備える。回転軸51は、2つの軸受け部55,56によって回転自在に支持される。回転軸51の先部はブラシレスモータ19の出力軸19aとなっている。ブラシレスモータ19の出力軸19aは、トルクリミッタ57を介して、回転動力が伝達されるように伝動軸48に結合されている。伝動軸48には前述の通りウォームギヤ49が固定され、これに噛み合うウォームホイール50が配置されている。回転軸51の後端部には、ブラシレスモータ19の回転子52の回転角(回転位置)を検出する前述のモータ回転角検出部(位置検出部)23が設けられる。モータ回転角検出部23は、回転軸51に固定された回転子23aと、この回転子23aの回転角を磁気的な作用を利用して検出する検出素子23bとから構成される。モータ回転角検出部23には例えばレゾルバが用いられる。固定子54の固定子巻線53にはモータ電流が供給される。以上のブラシレスモータ19の構成要素は、モータケース58の内部に配置される。
【0035】
図5は、ブラシレスモータの回転を制御するためのモータ制御部を示すブロック構成図である。ブラシレスモータ19には、ブラシレスモータ19の回転角を検出するためのレゾルバ23が取り付けられている。
【0036】
ブラシレスモータ19の回転角を制御するためのモータ制御部60は、位相補正部63、イナーシャ補正部64およびダンパー補正部65を備えている。
【0037】
位相補正部63は、操舵トルク検出部20からの操舵トルク信号Tを車速検出部21からの車速信号vに基づいて位相補正をして、補正操舵トルク信号T’を目標電流設定部68に出力する。イナーシャ補正部64は、操舵トルク検出部20からの操舵トルク信号Tおよび車速検出部21からの車速信号vと、回転角速度ωに対応する信号を微分処理部81dで微分することにより得られた角加速度に対応する信号からイナーシャ補正をするためのイナーシャ補正信号diを生成し、そのイナーシャ補正信号diを加算演算部69に出力する。ダンパー補正部65は、操舵トルク検出部20からの操舵トルク信号Tおよび車速検出部21からの車速信号vと回転角速度ωに対応する信号からダンパー補正をするためのダンパー補正信号ddを生成し、そのダンパー補正信号ddを減算演算部70に出力する。
【0038】
目標電流設定部68は、補正操舵トルク信号T’と車速信号vに基づいて、2相目標電流Id1,Iq1を計算し出力する。目標電流Id1,Iq1は、ブラシレスモータ19の回転子上の永久磁石が作り出す回転磁束と同期した回転座標系において、永久磁石と同一方向のd軸およびこれに直交したq軸にそれぞれ対応するもので、これらの目標電流Id1,Iq1をそれぞれ「d軸目標電流」および「q軸目標電流」という。
【0039】
目標電流Id1,Iq1には、加算演算部69において、イナーシャ補正信号diが加算され、イナーシャ補正後目標電流Id2,Iq2が出力される。イナーシャ補正後目標電流Id2,Iq2は、減算演算部70において、ダンパー補正信号ddで減算され、ダンパー補正後目標電流Id3,Iq3が出力される。このダンパー補正後目標電流Id3,Iq3をそれぞれ「d軸最終目標電流Id」,「q軸最終目標電流Iq」と呼ぶこととする。
【0040】
それらのd軸およびq軸の最終目標電流Id,Iqは偏差演算部71において、d軸およびq軸の最終目標電流Id,Iqからd軸およびq軸の検出電流Id,Iqをそれぞれ減算することにより偏差DId,DIqを計算して、PI設定部72に出力する。
【0041】
PI設定部72は偏差DId,DIqを用いた演算の実行により、d軸およびq軸の検出電流Id,Iqがd軸およびq軸の最終目標電流に追従するようにd軸およびq軸の目標電圧Vd,Vqをそれぞれ計算する。d軸およびq軸の目標電圧Vd,Vqは、非干渉化制御部73および演算部74により、d軸およびq軸の補正目標電圧Vd’,Vq’に補正されてdq−3相変換部75に出力される。
【0042】
上記において、図5では図示の便宜上1組の加算演算部69と減算演算部70と偏差演算部71とPI設定部72と演算部74が示されているが、実際上これらの回路要素の組は2つの目標電流Id1,Id2のそれぞれについて個別に設けられる。
【0043】
非干渉化制御部73は、d軸およびq軸の検出電流Id,Iqおよび回転子の回転角速度ωに基づいて、d軸およびq軸の目標電圧Vd,Vqのための非干渉化制御補正値を計算する。
【0044】
演算部74は、d軸およびq軸の目標電圧Vd,Vqから非干渉化制御補正値をそれぞれ減算することにより、d軸およびq軸の補正目標電圧Vd’,Vq’を算出して、dq−3相変換手段75に出力する。
【0045】
dq−3相変換手段75は、d軸およびq軸の補正目標電圧Vd’,Vq’を3相目標電圧Vu,Vv,Vwに変換して、3相目標電圧Vu,Vv,Vwをモータ駆動部(モータ駆動回路)76に出力する。
【0046】
モータ駆動部76は、PWM電圧発生部(プリドライブ回路)とインバータ回路を含む。モータ駆動部76は、モータ駆動部76の中の図示しないPWM電圧発生部によって3相目標電圧Vu,Vv,Vwに対応したPWM制御電圧信号(ゲート駆動信号)UU,VU,WUを生成してモータ駆動部76の中の図示しないインバータ回路に出力する。インバータ回路は、PWM制御電圧信号UU,VU,WUに対応した3相の交流駆動電流Iu,Iv,Iwを発生し、これらを3相の駆動電流路77を介してブラシレスモータ19にそれぞれ供給する。3相の交流駆動電流Iu,Iv,IwはそれぞれブラシレスモータをPWM駆動するための正弦波電流である。
【0047】
3相の駆動電流路77のうちの2つにはモータ電流検出部78,79が設けられ、各モータ電流検出部78,79は、ブラシレスモータ19に対し供給される3相の駆動電流Iu,Iv,Iwのうちの2つの駆動電流Iu,Iwを検出して3相−dq変換部80に出力する。この3相−dq変換部80では、検出駆動電流Iu,Iwに基づいて残りの駆動電流Ivも計算される。3相−dq変換部80は、これらの3相検出駆動電流Iu,Iv,Iwを2相のd軸およびq軸の検出電流Id,Iqに変換する。
【0048】
レゾルバ23からの信号は、RD(レゾルバデジタル)変換部81に連続的に供給されている。RD変換部81は、ブラシレスモータ19における回転子の固定子に対する角度(回転角)θを計算して、計算された角度θに対応する信号をdq−3相変換部75と3相−dq変換部80に供給する。また、RD変換部81は、ブラシレスモータ19における回転子の固定子に対する回転角速度ωを計算して、計算された回転角速度ωに対応する信号をダンパー補正部65と微分処理部81dと非干渉化制御部73に供給する。上記のレゾルバ23とRD変換部81によってモータ回転角検出部23Aが形成される。
【0049】
前述のモータ制御部60の回路構成は、基本的には、図9において説明したものと同様であり、図6で示すように、1チップマイコンおよび周辺回路、第の昇圧回路82、第の昇圧回路83、プリドライブ回路、FETブリッジ、電流センサ、リレー、RDコンバータ等により構成される。図6において、従来のモータ制御部で説明した要素と同一要素には同一符号を付している。各種センサおよびインバータ回路を除いて電子回路ユニット内に収められており、マイクロコンピュータ122により構成されている。そして、電子回路ユニット内の各部は、プログラム処理により各機能が実現されるようになっている。また、従来は、モータ制御部においてプリドライブ回路128に接続した1つの昇圧回路によって、電源電圧を昇圧してゲート駆動信号を送っていたが、本実施形態においては、モータ駆動回路116は複数(6つ)の能動素子(FET)95A,95B,95C,95D,95E,95Fによって構成されたブリッジ回路95と能動素子(FET)95A,95B,95C,95D,95E,95Fをスイッチングするプリドライブ回路128と電源129の電圧(電源電圧)を昇圧する第2の昇圧回路83と第2の昇圧回路83で昇圧された電圧をさらに昇圧する第の昇圧回路82を備え、プリドライブ回路128には、第2の昇圧回路83によって昇圧された電源電圧をさらに第1の昇圧回路82で昇圧された電圧が供給されるように接続されている。
【0050】
図6において、図9の従来のモータ制御部で説明した要素の符号と同一符号を付している要素については説明を省略する。
【0051】
図7は、第1の昇圧回路82の一例を示す。また、第2の昇圧回路83は、第の昇圧回路82と同様な回路を用いる。昇圧回路82,83は、スイッチング素子STとコイルLとダイオードDとコンデンサCから構成される(参考文献:パワーエレクトロニクス回路、電気学会・半導体電力変換システム調査専門委員会編、株式会社オーム社発行、平成12年11月30日第1版発行)。スイッチング素子STがオンのときに、コイルLにエネルギーを蓄積させ、スイッチング素子がオフのときに蓄積エネルギーならびに電源からのエネルギーを負荷に供給する。Lが十分大きく、Lを流れる電流は一定値であると考えると、STがオンのときLに蓄えられるエネルギーは、STがオンしている時間をtONとすれば、EONとなる。次に、STがオフになると負荷に放出されるエネルギーは、Cが十分大きく出力電圧が一定であると考え、STのオフしている時間をtOFFとすれば、(E−E)IOFFとなる。定常状態ではこの両者が等しいので、
【0052】
【数1】
ON=(E−E)IOFF (1)
【0053】
となるから、
【0054】
【数2】
=((tON+tOFF)/tOFF)E=(T/tOFF)E (2)
【0055】
が得られる。式(2)においてT/tOFFが1より大きいから、出力電圧は入力電圧よりも大きくなる。こうして、入力電圧を昇圧することができる。
【0056】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0057】
図1〜図3において、ハンドルの操舵トルクを、操舵トルク検出部20により検出し、操舵トルク検出部20の出力する操舵トルク信号が、制御装置22に出力される。制御装置22においては、操舵トルク検出部20の出力する操舵トルク信号および車速およびモータの回転等に基づき、モータのq軸目標電流およびd軸目標電流が演算される。
【0058】
一方、図5で示したようにモータ電流検出部78,79により検出された相電流信号およびモータ回転検出部(レゾルバ)23により検出された回転信号等に基づきd−q変換を用いて、モータのq軸電流およびd軸電流が演算される。
【0059】
次に、d−q変換後のモータのq軸電流およびd軸電流は、q軸目標電流およびd軸目標電流と比較され、それぞれの偏差に基づきPI制御・dq−3相変換を介してPWMデューティーが演算される。演算されたPWMデューティーに基づき、図6に示すようにFETブリッジ駆動回路84(第の昇圧回路82+プリドライブ回路128)を介してPWM信号(ゲート駆動信号)がFETのゲートに供給され、ブラシレスモータ19の巻線に正弦波電流を通電しベクトル制御を行う。
【0060】
高電位側のFETはブリッジ駆動回路84内の第1の昇圧回路82を介して駆動されている。さらに、ブリッジ駆動回路84の電源には、車両の電源129が第の昇圧回路83を介して供給されている。第2の昇圧回路83では、図7において説明したように、電源電圧が、昇圧され、例えば、2倍に昇圧されるように、回路素子が構成され、また、スイッチング素子STのスイッチングを設定してある。それにより、例えば電源電圧12Vが、24Vに昇圧され、第の昇圧回路82に入力される。また、第の昇圧回路82では、第の昇圧回路83と同様な構成により、入力電圧が2倍になるようにしてある。それにより、第の昇圧回路82からの出力電圧は、48Vになり、この48Vがプリドライブ回路128に供給されることになる。
【0061】
図12において、説明したように、ゲート電圧VGSに対するオン抵抗の変化は、ゲート電圧VGSが高くなるほど減少する。すなわち、ゲート電圧VGSが低い領域では、ゲート電圧VGSの少しの変動でも、オン抵抗は大きく増加してしまう。ところが、ゲート電圧VGSが高い領域では、ゲート電圧VGSの変動に対して、オン抵抗は、それほど変化しない。例えば、従来は、12Vの電源電圧を1つの昇圧回路により24Vに昇圧し、プリドライブ回路に供給していた。そのため、電源電圧が12Vから8Vに低下したとき、昇圧回路から出力される電圧も24Vから16Vに低下し、プリドライブ回路からのゲート駆動電圧も低下する。このとき、ゲート駆動電圧が低いために、FETのオン抵抗も24Vの時よりも高くなる。目標電流を得るために、例えば、ゲート電圧24VでFETを駆動している場合、デューティ比Aで駆動させてモータ電流が得られているとする。ところが、電源電圧の低下によりゲート電圧が16Vになってしまったときに、オン抵抗が増加するために目標電流を得るためには、デューティ比Aよりも大きいデューティ比Bで駆動するようになる。そのとき、FETに生じるジュール熱が増加し、FETの温度が上昇する。そのとき、図13において示したように、オン抵抗が増加し、FETに流れる電流が減少し、モータ電流も減少する。モータ電流が減少すると、フィードバック制御により減少したモータ電流を目標電流に一致させようとするので、さらに、デューティ比を増加させ、それにより、さらに、ジュール熱が発生し、また、FETのオン抵抗が増加する。このような過程により、モータ出力は、一定の値を中心に、微振動が発生することになる。
【0062】
一方、本実施形態でのように、ゲート電圧VGSが高い領域では、ゲート電圧VGSの変動に対して、オン抵抗は、それほど変化しない。例えば、本発明では、12Vの電源電圧を第2の昇圧回路により24Vに昇圧し、さらに、第の昇圧回路により48Vに昇圧して、プリドライブ回路に供給する。そのため、電源電圧が12Vから8Vに低下しても、第2昇圧回路から出力される電圧も48Vから32Vに低下するが、プリドライブ回路からのゲート駆動電圧は充分に高く、このとき、FETのオン抵抗は、従来のものに比べて低くなっている。目標電流を得るために、例えば、ゲート電圧48VでFETを駆動している場合、デューティ比Aで駆動させてモータ電流が得られているとする。ところが、電源電圧の低下によりゲート電圧が32Vになってしまったとしても、オン抵抗はあまり変化せず、電圧低下が起きる前と同様のデューティ比Aで駆動することができる。そのとき、FETに生じるジュール熱は増加せず、FETの温度も増加しない。これによりFETに流れる電流も変化せず、従来のような微振動の発生を抑制することができる。
【0063】
このように、車両中の他の装置が駆動されている場合や、バッテリが劣化しているときに、電動パワーステアリング装置のモータが駆動され、バッテリから電流が持ち出されたときに、車両の電源電圧が急激に低下した場合においても、プリドライブ回路に供給する電源は、車両の電源に対して昇圧されているため、FETのゲート駆動信号の電圧は充分に高く、FETのオン抵抗の増加はなくなり、モータ出力の変動による操舵力の変動のない、滑らかな操舵フィーリングが得られるようになる。
【0064】
次に、本発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置について説明する。第2の実施形態においては、第2の電源を設けた以外は、同様であるので、モータ制御部の回路図によって説明する。
【0065】
図8は、本発明の第2の実施形態におけるモータ駆動回路を備えるモータ制御部の回路図である。基本的には、図6において説明したものと同様であり、図8で示すように、1チップマイコンおよび周辺回路、プリドライブ回路、FETブリッジ、電流センサ、リレー、RDコンバータ等により構成される。図8において、従来のモータ制御部で説明した要素と同一要素には同一符号を付している。各種センサおよびインバータ回路を除いて電子回路ユニット内に収められており、マイクロコンピュータ122により構成されている。そして、電子回路ユニット内の各部は、プログラム処理により各機能が実現されるようになっている。また、従来は、モータ制御部において、ブリッジ回路に供給する電源を用いて、1つの昇圧回路を介してプリドライブ回路に電力を供給していたが、本実施形態においては、ブリッジ回路に電圧を供給する第1の電源129と、その第1の電源129とは別にプリドライブ回路に電圧を供給する第2の電源90を設けている。第2の電源は、例えば24V電源にしている。また、第2の電源90と昇圧回路130との間にはリレー97が設けられている。
【0066】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0067】
第1の電源129は、ブリッジ回路に電力を供給している。例えば、12V電源が用いられる。また、第2の電源90からの電圧は、昇圧回路130で、図7において説明したように昇圧される。例えば、電源電圧として24Vのものを用い、その電圧が2倍に昇圧されるように、回路素子が構成され、また、スイッチング素子のスイッチングを設定している。それにより、第2の電源電圧24Vが、48Vに昇圧され、この48Vがプリドライブ回路128に供給されることになる。
【0068】
図12において、説明したように、ゲート電圧に対するオン抵抗の変化は、ゲート電圧が高くなるほど減少する。すなわち、ゲート電圧が低い領域では、ゲート電圧の少しの変動でも、オン抵抗は大きく増加してしまう。ところが、ゲート電圧が高い領域では、ゲート電圧の変動に対して、オン抵抗は、それほど変化しない。例えば、従来は、12Vの電源電圧を1つの昇圧回路により24Vに昇圧し、プリドライブ回路に供給していた。そのため、電源電圧が12Vから8Vに低下したとき、昇圧回路から出力される電圧も24Vから16Vに低下し、プリドライブ回路からのゲート駆動電圧も低下する。このとき、ゲート駆動電圧が低いために、FETのオン抵抗も24Vの時よりも高くなる。目標電流を得るために、例えば、ゲート電圧24VでFETを駆動している場合、デューティ比Aで駆動させてモータ電流が得られているとする。ところが、電源電圧の低下によりゲート電圧が16Vになってしまったときに、オン抵抗が増加するために目標電流を得るためには、デューティ比Aよりも大きいデューティ比Bで駆動するようになる。そのとき、FETに生じるジュール熱が増加し、FETの温度が上昇する。そのとき、図13において示したように、オン抵抗が増加し、FETに流れる電流が減少し、モータ電流も減少する。モータ電流が減少すると、フィードバック制御により、減少したモータ電流を目標電流に一致させようとするので、さらに、デューティ比を増加させ、それにより、さらに、ジュール熱が発生し、また、FETのオン抵抗が増加する。このような過程により、モータ電流は、一定の値を中心に、微振動が発生することになる。
【0069】
一方、本実施形態でのように、プリドライブ回路専用の第2の電源90を設けているので、車両の他の装置が駆動されても第2の電源の電圧は変化しない。例えば、本発明では、24Vの電源電圧を昇圧回路により48Vに昇圧し、プリドライブ回路に供給する。そのため、第1の電源電圧が12Vから8Vに低下しても、第2の電源電圧は変動しないため、プリドライブ回路に供給させる電圧は常に安定であり、ゲート駆動信号の変動も起こらない。これにより、FETに流れる電流も変化せず、従来のような微振動の発生を抑制することができる。
【0070】
このように、車両中の他の装置が駆動されている場合や、バッテリが劣化しているときに、電動パワーステアリング装置のモータが駆動され、バッテリから電流が持ち出されたときに、車両の電源電圧が急激に低下した場合においても、ブリッジ駆動回路に供給する電源は、プリドライブ回路専用の電源であるため、FETのゲート駆動信号の電圧は充分に高く、一定であるため、FETのオン抵抗の増加はなくなり、モータ出力の変動による操舵力の変動のない、滑らかな操舵フィーリングが得られるようになる。
【0071】
なお、本実施形態においては、電動パワーステアリング装置の操舵補助力を付与するモータとして、ブラシレスモータを正弦波駆動するものについて述べたが、本発明の範囲は上記に限定される訳ではなく、例えば、他の駆動方式のブラシレスモータや、ブラシ付きモータについてもおよぶことは言うまでもない。
【0072】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、次の効果を奏する。
【0073】
操舵トルクに対応した補助トルクを発生するモータをPWM駆動するモータ駆動回路を備え、モータ駆動回路は複数の能動素子によって構成されたブリッジ回路と能動素子のうち高電位側の能動素子を第1の昇圧回路を介してスイッチングするプリドライブ回路と、を備えた電動パワーステアリング装置において、電源電圧を昇圧する第2の昇圧回路を備え、プリドライブ回路には、第2の昇圧回路で昇圧された電圧が供給されるため、車両中の他の装置が駆動されている場合や、バッテリが劣化している場合に、電動パワーステアリング装置のモータが駆動され、バッテリから電流が持ち出された時に、車両の電源電圧が急激に低下した場合においても、ブリッジ駆動回路に供給する電源は、車両の電源に対して昇圧されているため、FETのゲート駆動信号の電圧は充分に高く、FETのオン抵抗の増加はなくなり、モータ出力の変動による操舵力の変動のない、滑らかな操舵フィーリングが得られるようになる。
【0074】
モータ駆動回路は複数の能動素子によって構成されたブリッジ回路と能動素子をスイッチングするプリドライブ回路を備え、ブリッジ回路に電圧を供給する第1の電源と、その第1の電源とは別にプリドライブ回路に電圧を供給する第2の電源を設けたため、車両中の他の装置が駆動されている場合や、バッテリが劣化している場合に、電動パワーステアリング装置のモータが駆動され、バッテリから電流が持ち出された時に、車両の電源電圧が急激に低下した場合においても、ブリッジ駆動回路には電源とは別の第2の電源より電力が供給されているため、FETのゲート駆動信号の電圧は充分に高く安定しており、FETのオン抵抗の増加はなくなり、モータ出力の変動による操舵力の変動のない、さらに滑らかな操舵フィーリングが得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。
【図2】電動パワーステアリング装置の機械的機構の要部と電気系の具体的構成を示す図である。
【図3】図2中のA−A線断面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】モータ制御部を示すブロック構成図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置のモータ制御部を示す回路図である。
【図7】第1の昇圧回路の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置のモータ制御部を示す回路図である。
【図9】従来の電動パワーステアリング装置のモータ制御部を示す回路図である。
【図10】バッテリ(電源)の端子電圧のバッテリの放電電流との関係を示すグラフである。
【図11】ブリッジ回路に用いられるFETの構成図である。
【図12】FETの電流電圧特性を示すグラフである。
【図13】FETのオン抵抗の温度依存性のグラフである。
【符号の説明】
10 電動パワーステアリング装置
11 ステアリングホイール
12 ステアリング軸
13 ピニオンギヤ
14 ラック軸
15 ラック・ピニオン機構
16 タイロッド
17 前輪
18 動力伝達機構
19 ブラシレスモータ
20 操舵トルク検出部
21 車速検出部
22 制御装置
82 第1の昇圧回路
83 第2の昇圧回路
90 第2の電源
128 プリドライブ回路
129 電源

Claims (1)

  1. 操舵トルクに対応した補助トルクを発生するモータをPWM駆動するモータ駆動回路を備えた電動パワーステアリング装置において、
    前記モータ駆動回路は複数の能動素子によって構成されたブリッジ回路と
    前記能動素子をスイッチングするプリドライブ回路と、
    前記プリドライブ回路に供給される電圧を昇圧する昇圧回路を備え、
    前記ブリッジ回路に電圧を供給する第1の電源と、その第1の電源とは別に前記昇圧回路を介して前記プリドライブ回路に電圧を供給する第2の電源を設け、これにより前記ブリッジ回路に供給される電圧よりも高い電圧を前記プリドライブ回路に供給することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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