JP3963582B2 - 自動車用空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用空気調和装置に関し、特に、エバポレータとヒータコアとを車両の前後方向に並べて立設した自動車用空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用空気調和装置は、内外気を導入するインテークユニット、この導入空気を冷却するクーラユニット、および導入空気を加熱するヒータユニットを有しており、これら3つのユニットを車両の左右方向に直列的に合体し、車室内のインストルメントパネルの内部という狭小な空間に設置されていることは周知である。しかし、この自動車用空気調和装置は、3つのユニットを直列的に連結するため、装置全体が大型化し、小型の車両に搭載すると、狭小な車室内空間をより狭小にすることから好ましくない。特に、助手席の足元にまでユニットが置かれるので狭くなる。
【0003】
これに対し、図7に示すようなケースC内にエバポレータ3やヒータコア4が車両の前後方向に並べて立設するように設けられた縦置き型と称されるものがある。図示の装置は、クーラユニット1とヒータユニット2とを一体化し、エバポレータ3とヒータコア4とをさらに近接して配置することにより一層コンパクトなものとしている。すなわち、インテークユニットをケースCの側方に配置して導入口Oから導入された空気を、エバポレータ3により冷却し、ミックスドア15によりヒータコア4を通過させる空気流とヒータコア4を迂回して流す空気流とに分けて流すようにしているが、このエバポレータ3とヒータコア4との間に設けられるミックスドア15を、1つの支点で支持されたドアを当該支点を中心として回動する構成とするとスペース的に大きくなることから、さらにエバポレータ3とヒータコア4との距離を短くし前後方向のスペースを小さくするために、これを偏平な板状ドアとし、略上下にスライドさせることにより温調制御を行なうようにしたものである。ここに、「エバポレータ」とは、周知のように冷房サイクル中の膨脹弁などで減圧された低温低圧冷媒が内部を流通し、ここに導入された空気を冷媒との熱交換により冷却するものである。また、「ヒータコア」とは、高温のエンジン冷却水が内部を流通し、ここに導入された空気を高温のエンジン冷却水との熱交換により加熱するものである。
【0004】
そして、ヒータコア4により加熱された温風とヒータコア4を迂回して流れた冷風とはミックスゾーン7でミックスされる。図中符号16は温調ドアを示しており、ベントモードで最大冷房時以外は図示位置に設定され、エアミックス性を補助するようになっている。ミックスされた空気は所定の温度となって種々の配風モードに応じて、各種吹出口F(ベント吹出口Fv、デフ吹出口Ff、フット吹出口Ffの総称)から車室内に向けて配風されたり、あるいは前記ミックスが行なわれることなく冷風や温風のまま吹出される。ここで、各吹出口Fから吹出される冷風あるいは温風の温度は、ミックスドア15の位置により制御される。
【0005】
なお、前記種々の配風モードとしては、ベントモード(乗員の上半身に冷風を吹き出すモード)、バイレベルモード(乗員の上半身に冷風を、下半身に温風を吹き出す、いわゆる頭寒足熱のモード)、デフロストモード(フロントおよびサイドの窓ガラスの曇りを晴らすモード)、フットモード(乗員の下半身に温風を吹き出すモード)あるいはデフ−フットモード(窓の曇りを晴らしつつ乗員の下半身に温風を吹き出すモード)等がある。
【0006】
このようなモードの内、ベントモードの場合は、車室内の上部に配風することから、ダクトを短くできるためにベント吹出口FvはケースCの上部に設けることが好ましく、また、フットモードの場合には、車室内の下部に配風するので、フット吹出口Ffは、ケースCの下部に設けることが好ましい。
【0007】
したがって、車室内の前部のインストルメントパネル内に設置される縦置き型自動車用空気調和装置では、ケースCの上部にベント吹出口Fvを、下部にフット吹出口Ffを設けている。そして、このような装置では、空気が通過する流路を短くすることができるので、小型で通気抵抗も低く高風量を確保することが可能となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような縦置き型の自動車用空気調和装置においては、ベント吹出口Fvは、冷風が流れる側の近傍に開設されることになり、フット吹出口Ffは、ヒータコア4により加熱された温風が流れる側の近傍に開設されることになるので、バイレベルモードなどのように上部と下部の吹出口からそれぞれ冷風や温風を吹き出す複合モードの場合には、一般に、上下の差温が大きくなる傾向がある。しかも、スライド式のミックスドアを採用してケースの前後寸法を詰める構成とした場合には、ケース内において冷風と温風とを混合する十分なスペースを確保し難く、上下の差温がさらにつき易い。
【0009】
このため図7に示す装置にあっては、スライド式のミックスドア15を、2枚のミックスドア15a,15bから構成し、上部冷風通路Bu、温風通路6、および下部冷風通路Blを形成して、これらの開閉制御を2枚のミックスドア15a,15bにより行う構成を採用している(特開平9−175147号公報参照)。これにより、下部冷風通路Blを介してフット吹出口Ffに流す冷風を増加させることができ、小型化を図りつつ上下の差温を小さくして所望の温度特性を得るようにしている。
【0010】
しかしながら、上記装置では、上部冷風通路Bu、温風通路6、および下部冷風通路Blを通過した空気流がそれぞれ並列に流れることとなるため、温風と冷風とが混合しにくく、温度調整のための両者のエアミックス性が必ずしも十分でないという問題があった。また、ミックスドアに2枚のスライド式のドア15a,15bを使用しなければならず、しかも、これらのドア15a,15bの大きさは、冷風ないし温風通路の構造上から、かなり異なるものとなり、これら大きさの異なる2枚のドア15a,15bを近接離反移動させなければならないため、構成が複雑で製品コストが高くなるという問題があった。
【0011】
一方、エアミックス性を重視した場合には、例えばケースC内にエバポレータ3とヒータコア4とを水平方向に略平行に並べて空気を縦に流すようにした構成とすることも考えられるが、エアミックス性を確保するためのケース内の空気の流れがどうしても複雑で流路も長く通気抵抗が大きくなりがちであり、装置のサイズも大きくなってしまう。
【0012】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、エアミックス性を確保しつつ、通気抵抗が低くて高風量を確保することができ、しかも小型で低コストな自動車用空気調和装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、ケース内を流れる冷風を、前記ケースの上部に配置されたヒータコアを通して加熱して流す温風通路と、該温風通路の下方に形成され前記冷風を前記ヒータコアを迂回して流す冷風通路と、前記ヒータコアの前面に配置され前記温風通路と冷風通路とを開度調整するミックスドアと、前記ケースの下部に開設され乗員の下半身に向けて送られる空気が通過するフット吹出口と、該フット吹出口を開閉するように回動可能に設けられるフットドアと、を有する自動車用空気調和装置において、前記フットドアが開くことにより前記冷風通路を通過した冷風を前記温風通路を通過した温風に向けるようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の自動車用空気調和装置において、前記ケース内に取り込んだ空気を冷却するエバポレータを有し、該エバポレータと前記ヒータコアとを車両の前後方向に並べて立設したことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載の自動車用空気調和装置において、前記温風通路を通過した温風をケース内の下方に導く温風ガイドを設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記フットドア(Df)の先端部を凹凸形状に形成したことを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記ヒータコア(4)の上方に冷風バイパス通路(Bs)を形成し、該冷風バイパス通路(Bs)を開閉するドア(Db)を設けたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動車用空気調和装置の断面図、図2は、同装置のフットドアの概略斜視図である。なお、図7に示す部材と共通するものには同一符号を付している。
【0021】
図1に示す本実施形態に係る縦置き型の自動車用空気調和装置は、クーラユニット1とヒータユニット2とを一体化し、車両の前後方向の寸法を短くしたケースCを有し、このケースCの上流側風路内にはエバポレータ3が設けられ、下流側風路内にはヒータコア4が設けられる。
【0022】
車幅方向(図1の紙面に垂直な方向)から導入口Oを通って導入された空気は、ケースC内で車両の前後方向に曲げられ、エバポレータ3を通って冷却されるようになっている。また、空気の取り込みを行うインテークユニットは、ケースCの側面に配置され、車両前後方向の装置の長さが短くされている。
【0023】
そして、上流側風路から流下した空気流は、エバポレータ3とヒータコア4との間に設けられたミックスドア5が図中矢印方向にスライド移動することにより、ヒータコア4を通過する温風通路6と、当該ヒータコア4を迂回する冷風通路Bmとに選択的に流されたり、あるいは所定の比率で流される。
【0024】
ここに、ミックスドア5の上流側と下流側には、エバポレータ3とヒータコア4が近接して設けられる。ミックスドア5は、エバポレータ3とヒータコア4間で上流側風路からの空気流を遮断する方向に伸延されかつ所定の曲率半径で下流側に膨出するような円弧状を呈している。
【0025】
ミックスドア5を作動するためのスライド駆動機構は、ミックスドア5の両側端近傍に形成された歯部に噛合する一対の歯車をモータ等で駆動する構成とされる。なお、スライド駆動機構は、これに限定されるものではなく、場合によってはコントローラとワイヤーケーブルを介して連結された手動操作機構としてもよい。このように、2枚のスライド式ドアを近接離反移動させる従来の装置と比較して、スライド式ドアも1枚で済み、駆動機構も簡易なものとなっている。
【0026】
ケースCの上部には、ベント吹出口Fvとデフ吹出口Fdとが開設され、下部にはフット吹出口Ffが開設されており、それぞれには各吹出口Fを開閉するベントドアDv、デフドアDd、フットドアDfが図示矢印方向に回動可能に設けられている。ヒータコア4により加熱された温風とヒータコア4を迂回して流れた冷風とを混合するミックスゾーン7が形成されており、混合された空気は、種々の配風モードに応じて各種吹出口Fから車室内に向けて配風されたり、あるいは混合されずに冷風や温風のまま吹出される。
【0027】
本実施形態では、ヒータコア4をケースC内の上部に配置し、その下方に冷風通路Bmが形成されている。したがって、ミックスドア5は、温風通路6とその下方の冷風通路Bmとの開度調整を行うようになっている。
【0028】
また、ケースC内には、温風通路6を通過した温風をケース下方に導く温風ガイド8が設けられる。この温風ガイド8は、例えば図示のように、ヒータコア4の上端から略水平に僅かに伸延して下方に湾曲するように形成され、この温風ガイド8に沿った位置にフット吹出口Ffが配置されている。
【0029】
一方、フット吹出口Ffは、後方に迫り上るように傾斜して形成されているケースCの後方下部に開設されており、フットドアDfが閉じた状態において冷風通路Bmを通過した冷風をケース上方に導くようになっている。また、フットドアDfが開くことにより、冷風通路Bmを通過した冷風を温風通路6を通過した温風に対向させることが可能な構成とされている。
【0030】
図2に示すように、フットドアDfは、回動中心となる軸9aに連設される基部9bとその先端に所定の角度傾けて等間隔に連設される突起部9cとを備えており、先端部が凹凸形状に形成されている。なお、突起部9cは、図示矩形形状に限られず、例えば三角形状でもよい。
【0031】
また、ヒータコア4の上方には、冷風バイパス通路Bsが形成されており、該冷風バイパス通路Bsを開閉する冷風バイパスドアDbが設けられている。冷風バイパス通路Bsは、特にバイレベルモードにおけるベントドアDvへの冷風比率を上げる補助をなすものである。なお、冷風バイパス通路Bsは、図示のように必要最小限の流路面積を確保できれば十分であり、省略する構成とすることも可能である。
【0032】
次に、本装置の作用について説明する。
図3は、ベントモードでフルクール時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【0033】
ベントモードは、車室内を冷房するモードである。このベントモードにおいては、図3に示すように、ベントドアDvは「開」、フットドアDfは「閉」、デフドアDdは「閉」にセットされる。また、冷風バイパスドアDbが「開」とされる。このベントモードにおいて、冷風を全量加熱せず車室内に吹き出すフルクール時には、ミックスドア5は、図示のように上端位置にセットされる。
【0034】
これによって、エバポレータ3により冷却された空気流は、冷風通路Bmを通って流れた後に、ケースCの壁際に沿って障害物もなくスムーズに上昇してベント吹出口Fvに向かい、ベントダクト(図示せず)を通って車室内に向かって配風される。したがって、通気抵抗は低く、多量の冷風が車室内に導かれ冷房性能が向上する。また、エバポレータ3により冷却された空気流の一部は、冷風バイパス通路Bsを通過してベント吹出口Fvに向かう。
【0035】
また、エバポレータ3を通過した空気流は、ミックスドア5の円弧状の表面に沿ってスムーズに冷風通路Bmの方向に向くように流れ方向が変えられることになるので、これによっても通気抵抗が上昇せず、空気の流通量も低減せず、快適な冷風感がえられる。
【0036】
図4は、デフ−フットモードでフルホット時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【0037】
デフ−フットモードにおいては、図4に示すように、デフドアDdおよびフットドアDfは「開」に、ベントドアDvは「閉」にセットされる。ここで、冷風バイパスドアDbは「閉」とされる。このデフ−フットモードにおいて、エバポレータ3からの冷風を全量ヒータコア4により加熱して車室内に吹き出すフルホット時には、ミックスドア5は下端位置にセットされる。
【0038】
フルホット時には、エバポレータ3により冷却された空気流は、ヒータコア4により全量加熱されて温風となる。この温風は、温風通路6を通って温風ガイド8により案内されつつスムーズにフット吹出口Ffに流入し、フットダクト(図示せず)より乗員の足元に向かって配風される。また、フットドアDfが全開とされることにより、温風通路6を通って下方に送られる温風がフットドアDfの表面で案内されてフット吹出口Ffに導かれる。
【0039】
また、フルクール時と同様に、このフルホット時においても、冷却された空気は、ミックスドア5の円弧状の表面に沿ってスムーズにヒータコア4の方向に向くように流れ方向が変えられる。
【0040】
図5は、バイレベルモードで温調時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【0041】
このモードは、冷風をベント吹出口Fvよりベントダクトを通って車室内の乗員の上半身に向かって配風し、温風をフット吹出口Ffよりフットダクトを通って車室内の乗員の足元に向かって配風するモードである。
【0042】
このモードにおいては、ミックスドア5は、上下方向中間位置にセットされ、ベントドアDvは「開」に、フットドアDfは「半開」にセットし、デフドアDdは「閉」とする。また、冷風バイパスドアDbは「開」とされる。
【0043】
エバポレータ3により冷却され、ミックスドア5の下部を通って流れた空気流は、冷風通路Bmよりミックスゾーン7に至り、ミックスドア5の上部を通って流れた空気流は、ヒータコア4により加熱され、温風通路6を通ってミックスゾーン7に至る。
【0044】
ここで、冷風通路Bmを通った冷風は、半開となったフットドアDfの表面により上方に案内されて、温風通路6を通過した温風に対向させられて衝突する。これにより、冷風と温風とが十分に混合されて両者のエアミックス性が向上し、ケース内の上下の差温が解消される。ここで、図2に示したように、フットドアDfの先端において、風速の大きい冷風がフットドアDfに沿って流れて、突起部9c,9c間の凹部を通過する空気流が形成され、これらの間を温風が通過することによって、温風と冷風とが所定量クロスして流れ、所望の温度特性となり、違和感のない快適なバイレベル状態となる。なお、図2および図5中において、破線の矢印は冷風の流れ、実線の矢印は温風の流れを示している(他の図において同じ)。
【0045】
また、このバイレベルモードにおいて、冷風バイパスドアDbが所定開度だけ開放され、冷風の一部が直接ベント吹出口Fvに導入される。これにより、上下差温を大きくした状態が得られる。つまり、冷風バイパスドアDbの開度制御によって種々のバイレベル状態を設定でき、バイレベルのきめ細かな制御が可能となる。
【0046】
図6は、デフ−フットモードで温調時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【0047】
デフ−フットモードは、図6に示すように、デフドアDdおよびフットドアDfを「開」とし、ベントドアDvを「閉」とした状態である。ここで、冷風バイパスドアDbは「閉」とされる。このデフ−フットモードにおいて、温調時には、ミックスドア5は、上下方向中間位置にセットされる。
【0048】
エバポレータ3により冷却され、ミックスドア5の下部を通って流れた空気流は、冷風通路Bmよりミックスゾーン7に至り、ミックスドア5の上部を通って流れた空気流は、ヒータコア4により加熱され、温風通路6を通ってミックスゾーン7に至る。
【0049】
ここで、冷風通路Bmを通った冷風は、全開となったフットドアDfによって通路が狭められると共に、図2に示したように、フットドアDfの先端においてフットドアDfに沿って流れて、突起部9c,9c間の凹部を通過する空気流が形成され、温風通路6を通過した温風に対向させられて衝突する。ここで、突起部9c,9c間の凹部を通過する冷風の間を温風が通過するように流れることによって、温風と冷風とがクロスして流れ、冷風と温風との混合が促進されて、両者のエアミックス性が向上し、ケース内の上下の差温が解消される。なお、必要に応じて冷風バイパスドアDbを開くことにより、上下の差温の調整を図ることも可能である。
【0050】
なお、以上説明した実施形態は、本発明を限定するために記載されたものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、ヒータコアをケース内の上部に配置し、ミックスドアによりヒータコアを通る温風通路とその下方に形成される冷風通路とを開度調整するようにしたので、温調時には、冷風通路を通った冷風と温風通路を通過した温風とを互いに対向させることができる。これにより、冷風と温風とが十分に混合されて両者のエアミックス性が向上する。
【0052】
また、フルクール時やフルホット時においても、ケース内に障害物がなくケース壁部に沿ってスムーズな空気流とすることができ、通気抵抗も低くなって高風量を確保することができる。
【0053】
しかも、2枚のスライド式ドアを近接離反移動させる従来の装置と比較して、スライド式ドアも1枚で済み、駆動機構も簡易で小型で低コストな装置とすることができる。また、上記の効果に加え、フットドアが開くことにより冷風通路を通過した冷風を温風通路を通過した温風に向けるようにしたので、より効果的に冷風と温風とを互いに対向させることができる。
【0054】
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果に加え、クーラユニットとヒータユニットとを一体化したコンパクトな装置とすることができる。
【0055】
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項2に記載の発明の効果に加え、温風ガイドにより温風通路を通過した温風をよりスムーズにケース下方に導くことができ、通気抵抗をより低く抑えることができる。
【0056】
請求項4に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果に加え、フットドアに沿って流れて突起部間の凹部を通過する冷風の間を温風が通過するように流れることによって、温風と冷風とがクロスして流れ、冷風と温風の混合が促進されて、両者のエアミックス性が向上する。
【0057】
請求項5に記載の発明によれば、上記請求項2に記載の発明の効果に加え、冷風の一部を直接導入することにより上下差温を大きくすることができ、種々のバイレベル状態を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る自動車用空気調和装置の断面図である。
【図2】 同装置のフットドアの概略斜視図である。
【図3】 ベントモードでフルクール時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【図4】 デフ−フットモードでフルホット時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【図5】 バイレベルモードで温調時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【図6】 デフ−フットモードで温調時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【図7】 従来の自動車用空気調和装置の断面図である。
【符号の説明】
3…エバポレータ、
4…ヒータコア、
5…ミックスドア、
6…温風通路、
7…ミックスゾーン、
8…温風ガイド、
Bm…冷風通路、
Bs…冷風バイパス通路、
C…ケース、
Dv…ベントドア、
Dd…デフドア、
Df…フットドア、
Db…冷風バイパスドア、
Fv…ベント吹出口、
Fd…デフ吹出口、
Ff…フット吹出口。
Claims (5)
- ケース(C)内を流れる冷風を、前記ケース(C)の上部に配置されたヒータコア(4)を通して加熱して流す温風通路(6)と、該温風通路(6)の下方に形成され前記冷風を前記ヒータコア(4)を迂回して流す冷風通路(Bm)と、前記ヒータコア(4)の前面に配置され前記温風通路(6)と冷風通路(Bm)とを開度調整するミックスドア(5)と、前記ケース(C)の下部に開設され乗員の下半身に向けて送られる空気が通過するフット吹出口(Ff)と、該フット吹出口(Ff)を開閉するように回動可能に設けられるフットドア(Df)と、を有する自動車用空気調和装置において、
前記フットドア(Df)が開くことにより前記冷風通路(Bm)を通過した冷風を前記温風通路(6)を通過した温風に向けるようにしたことを特徴とする自動車用空気調和装置。 - 前記ケース(C)内に取り込んだ空気を冷却するエバポレータ(3)を有し、該エバポレータ(3)と前記ヒータコア(4)とを車両の前後方向に並べて立設したことを特徴とする請求項1記載の自動車用空気調和装置。
- 前記温風通路(6)を通過した温風をケース(C)内の下方に導く温風ガイド(8)を設けたことを特徴とする請求項2記載の自動車用空気調和装置。
- 前記フットドア(Df)の先端部を凹凸形状に形成したことを特徴とする請求項1記載の自動車用空気調和装置。
- 前記ヒータコア(4)の上方に冷風バイパス通路(Bs)を形成し、該冷風バイパス通路(Bs)を開閉するドア(Db)を設けたことを特徴とする請求項2記載の自動車用空気調和装置。
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