JP4084894B2 - 自動車用空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷風と温風とをケース内の上方でミックスして各吹出口より車室内に配風するようにした自動車用空気調和装置に関し、特に、複合モード時の上下吹出し風の温度差を適正に保つことにより、快適性の向上を図ったものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用空気調和装置は、内外気を導入するインテークユニット、この導入空気を冷却するクーラユニット、および導入空気を加熱するヒータユニットを有しており、これら3つのユニットを車両の左右方向に直列的に合体し、車室内のインストルメントパネルの内部という狭小な空間に設置されていることは周知である。しかし、この自動車用空気調和装置は、3つのユニットを直列的に連結するため、装置全体が大型化し、小型の車両に搭載すると、狭小な車室内空間をより狭小にすることから好ましくない。特に、助手席の足元にまでユニットが置かれるので狭くなる。
【0003】
これに対し、図9に示すように、ケースC内にエバポレータ3やヒータコア4が車両の前後方向に並べて立設するように配置された縦置き型と称されるものがある。図示の装置は、クーラユニット1とヒータユニット2とを一体化し、エバポレータ3とヒータコア4とを近接して配置すると共に、空気の取り込みを行う図示しないインテークユニットを導入口Oを介してケースCの側面に配置してコンパクト化を図っている。ここに、「エバポレータ」とは、周知のように冷房サイクル中の膨脹弁などで減圧された低温低圧冷媒が内部を流通し、ここに導入された空気を冷媒との熱交換により冷却するものである。また、「ヒータコア」とは、高温のエンジン冷却水が内部を流通し、ここに導入された空気を高温のエンジン冷却水との熱交換により加熱するものである。
【0004】
導入口Oから導入された空気は、エバポレータ3により冷却され、ミックスドア5により上下に2分して流される。2分された空気流の内の下部の空気流は、ヒータコア4により加熱されて温風となり温風通路6を通って流れ、上部の空気流(冷風)は、このヒータコア4をバイパスする冷風通路Bを通って流れ、前記温風と上部チャンバ20においてミックスされる。ミックスされた空気は、所定の温度となって種々の配風モードに応じて各種吹出口F(ベント吹出口Fv、デフ吹出口Fd、フット吹出口Ffの総称)から車室内に向けて配風されたり、あるいは前記ミックスが行なわれることなく冷風や温風のまま吹出される。なお、各吹出口Fから吹出される冷風あるいは温風の温度は、ミックスドア5の位置により制御される。
【0005】
前記種々の配風モードには、ベントモード(乗員の上半身に冷風を吹き出すモード)、バイレベルモード(乗員の上半身に冷風を、下半身に温風を吹き出す、いわゆる頭寒足熱のモード)、デフロストモード(フロントおよびサイドの窓ガラスの曇りを晴らすモード)、フットモード(乗員の下半身に温風を吹き出すモード)あるいはデフ−フットモード(窓の曇りを晴らしつつ乗員の下半身に温風を吹き出すモード)等がある。
【0006】
このようなモードの内、ベントモード、デフロストモードの場合は、車室内の上部に冷風や温風を配風することから、ダクトを短くできるためベント吹出口Fvやデフ吹出口FdはケースCの上部に設けることが好ましく、また、フットモードの場合には、車室内の下部に温風を配風するので、図示しないフットダクトの接続口は、ケースCの下部に設けることが好ましい。したがって、車室内の前部のインストルメントパネル内に設置される縦置き型の自動車用空気調和装置では、ケースCの比較的上部にベント吹出口Fvやデフ吹出口Fdが設けられ、ケースCの比較的下部にフットダクトの接続口が設けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記縦置き型の自動車用空気調和装置においては、ベント吹出口Fvやデフ吹出口Fdは、冷風が流れる側の近傍に開設されることになる。また、フットダクトの接続口に連通するフット吹出口Ffは、ヒータコア4により加熱された温風が流れる側の近傍に開設されることが多い。このため、バイレベルモードやデフ−フットモードのようにケースCの上部および下部からそれぞれ冷風や温風を吹き出す複合モードの場合には、一般に、ケース上部および下部から吹き出される空気の温度差、すなわち上下の差温が大きくなる傾向がある。しかも、ケースの前後寸法を詰めてコンパクト化を図った構成とした場合には、ケース内において冷風と温風とを混合する十分なスペースを確保し難く、上下の差温がさらにつき易い。
【0008】
このため図9に示す装置にあっては、ヒータコア4の下流側に壁部8を形成し、この壁部8とケースCの側壁Caとの間にフット吹出口Ffと連通するフット風通路25を形成して、ヒータコア4により加熱され温風通路6を流れる温風を一旦冷風側に上昇させ、バイパス通路Bを通った冷風と上部チャンバ20内で衝突させて、エアミックス性を高めるようにしている。
【0009】
しかしながら、図10に示すバイレベルモードや図11に示すデフ−フットモードのような複合モード時にあっては、バイパス通路Bを通った冷風と温風通路6を通った温風とが衝突しても、十分ミックスされず、そのままベント吹出口Fv若しくはデフ吹出口Fdとフット吹出口Ffとから流出する傾向があり、前述した上下差温の拡大を確実に解消するものとはなっていない。
【0010】
つまり、図10に示すように、バイレベルモードの場合には、ベントドアDvが中間位置に設定されてベント吹出口Fvとフット吹出口Ffとが開放され、冷風と温風とが衝突しても十分ミックスされずに跳ね返されて2方向に分かれる傾向があるため、バイパス通路Bを通った冷風がベント吹出口Fvから、ヒータコア4により加熱された温風がフット吹出口Ffから吹出され易い。この結果、ベント吹出口Fvから吹出される冷風の温度とフット吹出口Ffから吹出される温風の温度との差温は依然として大きく、頭部は冷え、足元は熱い状態となり、快適性が損なわれる。
【0011】
このことは、デフ−フットモードの場合でも同様の傾向が見られ、図11に示すように、デフドアDdが中間位置に設定されてデフ吹出口Fdとフット吹出口Ffとが開放され、バイパス通路Bを通った冷風がデフ吹出口Fdから、ヒータコア4により加熱された温風がフット吹出口Ffから、上下差温が大きいまま吹出され易くなる。
【0012】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、温調時の上下吹出し風の温度差を適正に保つことにより、快適性の向上を図った自動車用空気調和装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、ケース内を流れる冷風を、ミックスドアを作動させることにより、選択的に上部冷風若しくは下部冷風として流すかあるいは上部冷風と下部冷風に所定の比率で分け、下部冷風をヒータコアを通して流す温風通路に導いて加熱して温風とし、上部冷風を前記ヒータコアをバイパスして流す冷風通路に導き、当該冷風通路に隣接してデフ吹出口およびベント吹出口が開設された上部チャンバをケース内上方に設け、前記上部チャンバからケースの下方に向けてフット吹出口と連通するフット風通路を設け、前記冷風通路からの冷風と前記温風通路からの温風とを前記上部チャンバ内でミックスして前記各種吹出口より車室内に配風するようにした自動車用空気調和装置において、前記温風通路は、前記ヒータコアにより加熱された温風を前記上部チャンバに向かって上昇させる壁によって形成され、前記上部チャンバは、前記ベント吹出口および前記フット吹出口に連通する第1開口部と、当該第1開口部および前記壁の間に形成される第2開口部とを含み、前記デフ吹出口および前記第1開口部は、選択的に開閉可能であり、前記冷風通路および前記温風通路の後流側の前記上部チャンバ内に、前記壁を延長するように設定されることで前記第2開口部を閉じ、当該上部チャンバ内の上方に空気を導くことができるガイド部材を作動可能に設けたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の自動車用空気調和装置において、前記ガイド部材は、回動中心となる軸と、当該軸に連設される板状の第1ドア部と、当該第1ドア部の略反対側で前記軸に連設される板状の第2ドア部と、を有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載の自動車用空気調和装置において、前記ガイド部材は、冷風を全量加熱せず前記冷風通路を経て車室内に吹き出すフルクール時には、前記冷風通路から前記ベント吹出口に向かう方向に略沿うように位置されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、上記請求項1に記載の自動車用空気調和装置において、前記ミックスドアは、板状を呈し、スライド移動可能であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る自動車用空気調和装置の断面図である。なお、図9に示す部材と共通するものには同一符号を付している。
【0019】
図1に示す本実施形態に係る縦置き型の自動車用空気調和装置は、クーラユニット1とヒータユニット2とを一体化し、車両の前後方向の寸法を短くしたケースCを有し、このケースCの上流側風路内にはエバポレータ3が設けられ、下流側風路内にはヒータコア4が設けられる。
【0020】
車幅方向(図1の紙面に垂直な方向)から導入口Oを通って導入された空気は、ケースC内で車両の前後方向に曲げられ、エバポレータ3を通って冷却されるようになっている。また、空気の取り込みを行うインテークユニットは、ケースCの側面に配置され、車両前後方向の装置の長さが短くされている。
【0021】
そして、上流側風路から流下した空気流は、エバポレータ3とヒータコア4との間に設けられたミックスドア15が図中矢印方向にスライド移動することにより、ヒータコア4を通過する温風通路6と、当該ヒータコア4をバイパスする冷風通路Bとに選択的に流されたり、あるいは所定の比率で流される。このようにミックスドア15の作動スペースを小さくすることが可能となるので、ミックスドア15の上流側と下流側に、エバポレータ3とヒータコア4とをより近接して設けることができ、ユニットの一層のコンパクト化が図られている。
【0022】
ミックスドア15は、エバポレータ3とヒータコア4との間で上流側風路からの空気流を遮断する方向に伸延されかつ所定の曲率半径で下流側に膨出するような円弧状を呈している。このようにすれば、エバポレータ3を通過して冷却された空気を、第2ドア部の円弧状の表面に沿ってスムーズに冷風通路Bないし温風通路6の方向に向くように流れ方向を変えることができる。
【0023】
ミックスドア15を作動するためのスライド駆動機構は、例えばミックスドア15の両側端近傍に形成された歯部に噛合する一対の歯車をモータ等で駆動する構成とされる。なお、スライド駆動機構は、これに限定されるものではなく、場合によってはコントローラとワイヤーケーブルを介して連結された手動操作機構としてもよい。
【0024】
ケースCには、冷風通路Bに隣接してその上方に、ベント吹出口Fvとデフ吹出口Fdとが開設された上部チャンバ20が形成されている。ヒータコア4の下流側には、壁部8が形成されており、したがって、ヒータコア4により加熱され温風通路6を流れる温風は、一旦冷風側に上昇し、冷風通路Bを通った冷風とケースCの上方に位置される上部チャンバ20において衝突して混合されるようになっている。
【0025】
壁部8とケースCの側壁Caとの間には、上部チャンバ20からケースCの下方に向けてフット吹出口Ffと連通するフット風通路25が形成されている。ここでは、ベントドアDvが、ベント吹出口Fvとフット風通路25の入口に位置するフット吹出口Ffとを開度調整するようになっている。また、ベント吹出口Fvおよびフット吹出口Ffの双方を閉鎖する場合を設定するため、デフドアDdにより、デフ吹出口Fdと、ベント吹出口Fvおよびフット吹出口Ffに連通する第1開口部26と、を開閉する構成とされている。但し、このような構成に限られず、フット吹出口Ffとこれを開度調整するフットドアとをフット風通路25の例えば下流側に別途設けて、ベントドアDvはベント吹出口Fvのみを開度調整する構成とすることも可能である。
【0026】
本実施形態では、冷風通路Bおよび温風通路6の後流側の上部チャンバ20内に、当該上部チャンバ20内の上方に空気を導くガイド部材としての複合モードドア10が作動可能に設けられる。ここでは、複合モードドア10は、壁部8と第1開口部26との間に形成される第2開口部27を開閉することができるように構成されている。したがって、バイレベルモードやデフ−フットモードのような複合モードの際に、この複合モードドア10により第2開口部27を閉じることによって、冷風通路Bや温風通路6から送られる空気を、上部チャンバ20内のさらに上方に導くことが可能となっている。
【0027】
この複合モードドア10は、回動中心となる軸13と、軸13に連設される板状の第1ドア部11と、第1ドア部11の略反対側で軸13に連設される板状の第2ドア部12と、を有するいわゆるバタフライドアである。このようにすれば、簡易かつコンパクトなドア構成とすることができる。また、冷風を全量加熱せず冷風通路Bを経て車室内に吹き出すフルクール時には、軸13を中心に回動させることにより、複合モードドア10を容易に冷風通路Bからベント吹出口Fvに向かう方向に略沿うように設定することが可能となる。
【0028】
なお、複合モードドア10は、必ずしも上記のような軸のまわりに回動するドアとする必要はなく、例えば壁部8に沿ってその略延長上にスライド移動するドアとすることも可能である。このようにしても、冷風通路Bや温風通路6から送られる空気を上部チャンバ内のさらに上方に導くことができる。
【0029】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図2は、ベントモードでフルクール時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【0030】
ベントモードは、車室内を冷房するモードである。このベントモードにおいては、図2に示すように、ベント吹出口Fvは「開」、フット吹出口Ffおよびデフ吹出口Fdは「閉」にセットされる。
【0031】
ベントモードにおいて、冷風を全量加熱せず車室内に吹き出すフルクール時には、ミックスドア15は、図2に示すように、下端位置にセットされる。すなわち、フルクール時には、温風通路6は、ミックスドア15により閉鎖状態とされ、冷風通路Bが開放状態とされる。ここで、複合モードドア10は、軸13のまわりに回動させられて第1開口部27が全開とされ、冷風通路Bからベント吹出口Fvに向かう方向に略沿うように設定される。
【0032】
エバポレータ3により冷却された空気流は、冷風のまま、図中矢印方向に冷風通路Bを通り、複合モードドア10の表面に沿ってスムーズに流れた後に、ベント吹出口Fvからベントダクト(図示せず)を通って車室内に向かって配風される。したがって、通気抵抗は低く、多量の冷風が車室内に導かれて冷房性能が向上する。
【0033】
また、エバポレータ3を通過した空気流は、ミックスドア15の円弧状の表面に沿ってスムーズに冷風通路Bの方向に向くように流れ方向が変えられることになるので、これによっても通気抵抗が上昇せず、空気の流通量も低減せず、快適な冷風感がえられる。
【0034】
図3は、バイレベルモードで温調時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【0035】
このモードは、冷風をベント吹出口Fvよりベントダクトを通って車室内の乗員の上半身に向かって配風し、温風をフット吹出口Ffよりフットダクトを通って車室内の乗員の足元に向かって配風するモードである。
【0036】
このモードにおいては、ミックスドア15は、上下方向中間位置にセットされる。また、ベント吹出口Fvおよびフット吹出口Ffは「開」にセットし、デフ吹出口Fdは「閉」とする。ここで、複合モードドア10は、図示のように、軸13のまわりに回動させられて第2開口部27が僅かに開いた全閉に近い状態となるように設定される。
【0037】
エバポレータ3により冷却された空気流は、一部が図中矢印方向にミックスドア15の下部を通り、温風通路6を通ってヒータコア4により加熱されて温風となり、上昇して上部チャンバ20に向かう。また、残りの空気流は冷風のまま、図中矢印方向にミックスドア15の上部を通って流れ、上部チャンバ20に向かう。そして、温風および冷風の大部分は、複合モードドア10により、相互に衝突後一緒になって上昇し、上部チャンバ20のさらに上方に集められてから、配風されることになる。つまり、温風および冷風の混合を十分に促進させることが可能なUターン経路が形成される。これにより、温風と冷風とは十分に混合されてエアミックス性が向上し、所定の温度に調整される。
【0038】
また、このバイレベルモードにおいては、冷風の一部および温風の一部が、図示矢印のように、僅かに開いた第2開口部27から流れ込んで、それぞれベント吹出口Fvおよびフット吹出口Ffから流出するので、上下差温を適度に広げる役目を果たす。このように、複合モードドア10を開度制御することによって意識的に上下差温を調整することができる。したがって、種々のバイレベル状態を設定でき、バイレベルのきめ細かな制御が可能となる。
【0039】
図4は、デフ−フットモードで温調時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【0040】
デフ−フットモードは、図4に示すように、デフ吹出口Fdおよびフット吹出口Ffを「開」とし、ベント吹出口Fvを「閉」とした状態である。ここで、複合モードドア10は、軸13のまわりに回動させられて第2開口部27が全閉となるように設定される。このデフ−フットモードにおいて、温調時には、ミックスドア15は、上下方向中間位置にセットされる。
【0041】
エバポレータ3により冷却された空気流は、バイレベルモードのときと同様に、一部が温風通路6を通ってヒータコア4により加熱されて温風となり、上昇して上部チャンバ20に向かい、また、残りの空気流は冷風のまま、ミックスドア15の上部を通って流れ、上部チャンバ20に向かう。そして、温風および冷風はすべて、複合モードドア10により、相互に衝突後一緒になって上昇し、上部チャンバ20のさらに上方に集められてから、配風されることになる。つまり、この場合も、温風および冷風の混合を十分に促進させることが可能なUターン経路が形成される。これにより、温風と冷風とは十分に混合されてエアミックス性が向上し、所定の温度に調整される。
【0042】
図5は、デフロストモードでフルホット時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【0043】
デフロストモードにおいては、本実施形態では図5に示すように、デフ吹出口Fdは「開」に、ベント吹出口Fvおよびフット吹出口Ffに連通する第1開口部26は「閉」にセットされる。ここで、複合モードドア10は、軸13のまわりに回動させられて第2開口部27が全閉となるように設定される。このデフロストモードにおいて、エバポレータ3からの冷風を全量ヒータコア4により加熱して車室内に吹き出すフルホット時には、ミックスドア15は上端位置にセットされる。
【0044】
フルホット時には、エバポレータ3により冷却された空気流は、ヒータコア4により全量加熱されて温風となる。この温風は、温風通路6を通り、複合モードドア10に沿ってスムーズに上昇し、デフ吹出口Fdから吹き出される。
【0045】
また、フルクール時と同様に、このフルホット時においても、冷却された空気は、ミックスドア15の円弧状の表面に沿ってスムーズにヒータコア4の方向に向くように流れ方向が変えられる。
【0046】
図6は、バイレベルモードにおける吹出空気温度を示す図、図7は、デフ−フットモードにおける吹出空気温度を示す図である。図中の破線は図9に示す従来の装置の場合の上下差温が過大な状態を示している。これに対し、図中の実線で示す本実施形態の場合は、バイレベルモードでは従来の約半分の上下差温に、デフ−フットモードでは上下差温が殆んどない状態にすることができ、理想に近い所望の上下差温状態が形成されることがわかる。
【0047】
図8は、本発明の他の実施形態に係る自動車用空気調和装置の断面図である。なお、図1または図9に示した部材と共通する部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
この実施形態は、インテークユニット、クーラユニット、およびヒータユニットを車両の左右方向に直列的に合体させた自動車用空気調和装置である点で、上述した実施形態と相違している。但し、図8では、ヒータユニット2のみ図示し、インテークユニットおよびクーラユニットは図示省略してある。このように、本発明は、前述した実施形態の縦置き型の自動車用空気調和装置に限定されるものではなく、図8に示すようなものにも適用することが可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0049】
なお、以上説明した実施形態は、本発明を限定するために記載されたものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、温風および冷風は、ガイド部材により、相互に衝突後一緒になって上昇し、上部チャンバのさらに上方に集められてから、配風されることになる。このため、温風および冷風の混合を十分に促進させることが可能なUターン経路が形成され、温風と冷風とは十分に混合されてエアミックス性が向上する。
【0051】
これにより、温度調整時における上下吹出し風の温度差を適正に保つことが可能となって、車室内の快適性が向上する。
【0052】
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果に加え、ガイド部材を簡易かつコンパクトな構成とすることができる。
【0053】
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項2に記載の発明の効果に加え、フルクール時には、冷風通路を通った冷風は、ガイド部材の表面に沿ってスムーズに流れた後に、ベント吹出口から車室内に向かって配風される。したがって、通気抵抗は低く、多量の冷風が車室内に導かれて冷房性能が向上する。
【0054】
請求項4に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果に加え、ミックスドアの作動スペースが小さくなってユニットをよりコンパクト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る自動車用空気調和装置の断面図である。
【図2】 ベントモードでフルクール時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【図3】 バイレベルモードで温調時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【図4】 デフ−フットモードで温調時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【図5】 デフロストモードでフルホット時の各ドア位置および空気の流れを説明するための断面図である。
【図6】 バイレベルモードにおける吹出空気温度を示す図である。
【図7】 デフ−フットモードにおける吹出空気温度を示す図である。
【図8】 本発明の他の実施形態に係る自動車用空気調和装置の断面図である。
【図9】 従来の自動車用空気調和装置を示す断面図である。
【図10】 従来の装置のバイレベルモードにおける空気の流れを説明するための要部断面図である。
【図11】 従来の装置のデフ−フットモードにおける空気の流れを説明するための要部断面図である。
【符号の説明】
3…エバポレータ、
4…ヒータコア、
6…温風通路、
8…壁部、
10…複合モードドア(ガイド部材)、
11…第1ドア部、
12…第2ドア部、
13…軸、
15…ミックスドア、
20…上部チャンバ、
25…フット風通路、
B…冷風通路、
C…ケース、
Fv…ベント吹出口、
Fd…デフ吹出口、
Ff…フット吹出口。
Claims (4)
- ケース(C)内を流れる冷風を、ミックスドア(15)を作動させることにより、選択的に上部冷風若しくは下部冷風として流すかあるいは上部冷風と下部冷風に所定の比率で分け、下部冷風をヒータコア(4)を通して流す温風通路(6)に導いて加熱して温風とし、上部冷風を前記ヒータコア(4)をバイパスして流す冷風通路(B)に導き、当該冷風通路(B)に隣接してデフ吹出口(Fd)およびベント吹出口(Fv)が開設された上部チャンバ(20)をケース(C)内上方に設け、前記上部チャンバ(20)からケース(C)の下方に向けてフット吹出口(Ff)と連通するフット風通路(25)を設け、前記冷風通路(B)からの冷風と前記温風通路(6)からの温風とを前記上部チャンバ(20)内でミックスして前記各種吹出口(F)より車室内に配風するようにした自動車用空気調和装置において、
前記温風通路(6)は、前記ヒータコア(4)により加熱された温風を前記上部チャンバ(20)に向かって上昇させる壁(8)によって形成され、
前記上部チャンバ(20)は、前記ベント吹出口(Fv)および前記フット吹出口(Ff)に連通する第1開口部(26)と、当該第1開口部(26)および前記壁(8)の間に形成される第2開口部(28)とを含み、
前記デフ吹出口(Fd)および前記第1開口部(26)は、選択的に開閉可能であり、
前記冷風通路(B)および前記温風通路(6)の後流側の前記上部チャンバ(20)内に、前記壁(8)を延長するように設定されることで前記第2開口部(28)を閉じ、当該上部チャンバ(20)内の上方に空気を導くことができるガイド部材(10)を作動可能に設けたことを特徴とする自動車用空気調和装置。 - 前記ガイド部材(10)は、回動中心となる軸(13)と、当該軸(13)に連設される板状の第1ドア部(11)と、当該第1ドア部(11)の略反対側で前記軸(13)に連設される板状の第2ドア部(12)と、を有することを特徴とする請求項1記載の自動車用空気調和装置。
- 前記ガイド部材(10)は、冷風を全量加熱せず前記冷風通路(B)を経て車室内に吹き出すフルクール時には、前記冷風通路(B)から前記ベント吹出口(Fv)に向かう方向に略沿うように設定されることを特徴とする請求項2記載の自動車用空気調和装置。
- 前記ミックスドア(15)は、板状を呈し、スライド移動可能であることを特徴とする請求項1記載の自動車用空気調和装置。
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