JP3977556B2 - 車両用空気調和ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、主に自動車に用いられる車両用空気調和ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷却用熱交換器、加熱用熱交換器及び送風機を一体にした車両用空気調和ユニットを、エンジンルームの後方且つ車室内前部の車幅方向中央部に配置したものがある。このような車両用空気調和ユニットとして、特開平9−267620号公報に開示された、図14に示すようなものが知られている。
【0003】
この車両用空気調和ユニット100では、同図に示すように、送風機101から吹き出された空気を、例えば、通過する空気を冷却する冷却用熱交換器102と、通過する空気を暖める加熱用熱交換器103とをそれぞれ通過させ、再度混合することにより所定の吹き出し温度に混合調和している。ここで調和された空気は、車室104側となるユニットケース壁面に沿って上昇した後、室内吹出口105から車室104内へ吹き出される構造となっている。なお、同図中、符号106はエンジンルームを示す。
【0004】
しかし、このような車両用空気調和ユニットにおいては、調和された空気の流れが、車室104側のユニットケース壁面に沿って上昇した後、ただちに車室104内へ吹き出されるため、上昇した空気の流れは、図14中、右方向へ向けて強制的に屈曲される流れとなる。このため、車室吹出口105に至るまでの通気抵抗が増加して通気の効率の低下を招いていた。また、室内用吹出口105がベンチレータ吹出口の場合、中央部と左右両サイドとにあるため、調和された空気が吹出口のある中央部で左右へ分岐され、両サイドへ向かう流れとなる。このため、吹出風は両サイドに比べて中央部が強くなるという不釣り合いが生じる問題があった。これを解消するために、中央部へ向かう流れを制限することで、両サイドとのバランスをとる方策が講じられているが、この場合は構造が複雑になると共に、その分通気抵抗が増加して空気の流れを制限してしまうため、最大風量が低下するという問題がある。このため、最大風量の低下を補うために送風機101の吹出風量を増大させると、風量音が大きくなって静粛性が保てなくなり、品質を損ねる問題が起きる。
【0005】
また、このような構造の車両用空気調和ユニット100の車室104側を、例えばステアリング固定用メンバに予め取り付けた状態で車体に組み付けを行う場合、車両用空気調和ユニットの自重に起因して車両用空気調和ユニットのユニットケースの車室104側に歪みなどの影響が及び易い。図14に示すように、従来の車両用空気調和ユニットでは、車室104側に開閉ドア107、108などが集中するため、これらの開閉ドア107、108などにユニットケースの歪みの悪影響が及び、開閉動作に支障を来す虞れがあった。
【0006】
上記した従来の車両用空気調和ユニットの問題を解消するものとして、本出願人は、特願平11−285774号にて図15に示すような送風流路をもつ構造の車両用空気調和ユニット200を提案している。同図において、符号201はエンジンルーム、202は車室を示す。この車両用空気調和ユニット200は、エンジンルーム201の後方で、車室202の前部に位置するユニットケース203内に、送風機204と、送風機204からの空気が車室202側のユニットケース203の壁面に沿って下降した後、エンジンルーム201側のユニットケース203の壁面に沿って上昇し、室内用吹出口と連通し合う上方解放口へ向かって流れる空気調和通路205とを配設し、その空気調和通路205内に冷却用熱交換器206と加熱用熱交換器207とを配置している。同図中、符号209は、冷却用熱交換器206を通過した冷風と加熱用熱交換器207を通過した温風とが合流するエアミックスチャンバを示している。これにより、送風機204から吹き出された空気は、例えば、冷却用熱交換器206及び加熱用熱交換器207を通過することでエアミックスチャンバ209で混合調和され、ベンチレータ吹出口208などから車室内へ吹き出されるようになっている。このとき、調和された空気は、エンジンルーム201側のユニットケース203の壁面に沿って上昇した後、ベンチレータ吹出口208などへ向かう流れとなるため、吹出口までの助走路が長く確保される結果、通気抵抗の小さい連続した無理のない流れが得られる。
【0007】
また、図15に示す例では、冷却用熱交換器206がエンジンルーム201側へ傾斜した姿勢に保持され、加熱用熱交換器207がこの冷却用熱交換器206との組み合わせで略T字状にレイアウトして、空気流路の円滑化とユニット自体のコンパクト化を図っている。また、同図中符号210は冷却用熱交換器206からの冷風と温風をエアミックスチャンバ209へ風量制御するエアミックスドア、符号211は車室内の足元へ送風を行う足元送風路入口、符号212は足元送風路入口211の開閉並びにエアミックスチャンバ209と室内吹出口側とが連通する部分の開閉を行う開閉ドア、符号213は車両用空気調和ユニット200を車室202側で保持するステアリング固定用メンバを示している。このように、車両用空気調和ユニット200をユニットケース203の車室202側の壁部でステアリング固定用メンバ213に保持する構造とすることにより、空気流路を開閉する各ドアがユニット保持位置から離れた構造となり、各ドアにユニットケースの歪みの悪影響が及ばないように配慮されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した参考例では、エアミックスドア210と開閉ドア212とが近接していることと、それぞれのドアが板状のドア構造であるため、エアミックスドア210と開閉ドア212との開閉スペースが大きくなりコンパクト化の支障となる問題点がある。このように開閉スペースが大きくなると、冷風と温風とを混合するためのエアミックスチャンバ209の容積が小さくなるという問題点がある。特に、図15に示すように、エアミックスドア210と開閉ドア212とがそれぞれ中間位置状態で開いているバイレベル(複合)モードの場合、エアミックスチャンバ209における実質的な空気混合空間が狭くなるため冷却用熱交換器206からエアミックスドア210を通過した冷風Cは開閉ドア212の上側をそのまま層流化して通過し、加熱用熱交換器207を通過した温風Hはエアミックスドア210と開閉ドア212の下面に沿って、足元送風路入口211へ層流化して導かれる。このように、冷風Cと温風Hとが適度に混ざりにくくなるため、ユニットの上部の例えばベンチレータ吹出口208などの上方の吹出口では吹出空気の温度が低過ぎ、足元吹出口では温度が高過ぎる傾向となり易い。図16は、フルクール(F/C)状態とフルホット(F/H)状態との間で推移する足元側温度とベンチレータ側温度とを示す図である。同図に示すように、何ら方策を講じない場合には、参考例の車両用温度調和ユニット200では、足元側から吹き出す空気の温度とベンチレータ側から吹き出す空気の温度との差が45〜50℃と過度になるという問題点がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題点に着目して創案されたものであり、ユニットのコンパクト化を達成しつつ、冷風と温風との混合性能の良好な車両用空気調和ユニットを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、エンジンルームの後方で、車室内の前部に配置するユニットケース内に、送風機と、該送風機から送出される空気を車室側のケース壁面に沿って下降、案内する下降通路と、該下降通路の下部に連通して前記空気を前記エンジンルーム側のケース壁面に向けて案内する下部通路と、前記下部通路に下端が連通し且つ上端が前記ユニットケース上部に形成された上方解放口に連通すると共に前記下部通路を通過した前記空気をエンジンルーム側のケース壁面に沿って上昇、案内する上昇通路とを備え、前記下部通路に、上流側から下流側へ向けて順次、冷却用熱交換器、スライドドア装置、加熱用熱交換器が配置され、前記冷却用熱交換器は前記下部通路内で略垂直方向に起立して設置され、前記スライドドア装置は前記冷却用熱交換器と重なるように設置され、前記加熱用熱交換器は前記スライドドア装置を介して前記冷却用熱交換器の上下方向の中間部に略直交するように寝かせて設置され、前記冷却用熱交換器と前記加熱用熱交換器とが前記下部通路内で横向きの略T字状をなすように配置され、前記スライドドア装置は、前記下部通路の流通方向に略直交する方向の断面全体にわたるように配置される空気通過フレームと、該空気通過フレームに沿って上下スライド移動可能なスライド板と、該スライド板を前記空気通過フレームに対して上下方向にスライドさせるスライド駆動伝達手段とを備え、前記空気通過フレームは、前記加熱用熱交換器を通過した空気の一部を前記下部通路の上側の壁面へ案内する案内板部を備え、前記スライドドア装置が、前記冷却用熱交換器を通過した空気を、前記加熱用熱交換器の上流側と下流側とに可変的に通過させ、前記下部通路内の前記加熱用熱交換器の下流側の領域内で温風と冷風とを混合、調和させることを特徴とする。
【0011】
このような構成の請求項1記載の発明では、送風機から送出された空気が下降通路を通って、車室側のケース壁面に沿って下降する。下降通路を下降した空気は、冷却用熱交換器を通過して冷却される。冷却用熱交換器を通過した空気は、スライドドア装置により、下流側に位置する加熱用熱交換器の下流側に直接送られる流路と、加熱用熱交換器の上流側に送られる流路とに分割される。このため、下部通路における加熱用熱交換器の下流側位置では、スライドドア装置のみを通過した冷風と、加熱用熱交換器を通過して加熱された温風とが混合されて空気調和される。下部通過の加熱用熱交換器の下流側で混合・調和された空気は、ユニットケースにおけるエンジンルーム側に位置する上昇通路を通って上昇して、ユニットケースの上部に形成された上方解放口に送りだされることが可能となる。また、上昇通路は、車室から離れたエンジンルーム側に位置するため、例えば上方解放口の開閉制御を行う開閉ドアなどの動作音が車室内へ伝達されるのを抑制することができる。さらに、ユニットケースを車室内側位置で例えばステアリング固定用メンバなどに支持する構造である場合に、上方解放口の開閉ドア機構などが、支持部分から離れた位置にあるため、支持部分近傍で発生し安い歪みの悪影響が開閉ドア機構などに及ぶのを抑制することができる。
【0013】
また、冷却用熱交換器と加熱用熱交換器の上下の配置の寸法を抑えることができ、ユニット全体が小型化する。また、冷却用熱交換器が下部通路内で起立して設置されているため、冷却用熱交換器を通過する空気の流路断面積を下部通路の断面積に近づけることができ、空気の流通抵抗を低減することができる。この結果、風圧の上昇を抑制することができ、送風に伴う騒音の発生を抑制する作用がある。さらに、下部通路内で起立した冷却用熱交換器に対して加熱用熱交換器が、下部通路内で冷却用熱交換器とともに略T字状となるように配置されているため、加熱用熱交換器を通過した温風と、スライドドア装置のみを通過して加熱用熱交換器の下流側に送られた冷風とを混合する領域(エアミックスチャンバ)の容積を大きくとることが可能となる。すなわち、冷却用熱交換器を通過した空気を加熱用熱交換器へ通過させるゲート動作をスライドドア装置で行っているため、スライドドアのスライド方向が冷却用熱交換器の起立する上下方向と略一致している。このため、冷風と温風とを混合するための領域である加熱用熱交換器の下流側領域をスライドドアが干渉することがなく、この領域の容積を一定且つ大きく設定することができる。
【0015】
また、空気通過フレームを下部通路の断面全体にわたって配置することで、冷却用熱交換器を通過した空気や、加熱用熱交換器を通過する空気の流路断面積を大きく設定することが可能となる。このため、空気流通抵抗を低減して、送風音などの騒音が発生するのを抑制することができる。
また、空気通過フレームが案内板部を備えるため、加熱用熱交換器を通過した温風の一部が案内板部で下部通路の上側の壁面へ案内され、温風はこの壁面に沿って上昇通路側へ導かれる。例えば、上方解放口側へ冷風を送り、足元吹出口側へ温風を送る、所謂バイレベルモードの場合に、上方解放口へ送られる冷風の温度の下がり過ぎを抑制し、且つ足元吹出口側へ送られる温風の温度の上がり過ぎを抑制することができ、車室内の快適性を向上することができる。
【0016】
また、請求項記載の発明は、請求項1記載の車両用空気調和ユニットであって、前記スライド板は、前記下部通路を上側通路と下側通路とに分割すると共に、前記空気通過フレームに沿って昇降動作を行うことにより、前記上側通路の通路断面積と前記下側通路の通路断面積との比を変化させることを特徴とする。
【0017】
したがって、請求項記載の発明では、請求項1記載の発明の作用に加えて、スライド板の空気通過フレームに対する位置に応じて、下部通路の上側通路と下側通路との通路断面積を変化させることができ、冷風と温風のそれぞれの流量比を制御することができる。また、スライド板は空気通過フレームに対してスライド移動しても、スライドドア装置全体を通過する空気の通過断面積は一定にすることができるため、車両用空気調和ユニットの出力効率の低下を防止することができる。なお、送風の強弱は、送風機の出力を調整することで容易に行うことができるのは言うまでもない。
【0018】
さらに、請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用空気調和ユニットであって、前記空気通過フレーム及び前記スライド板は前記下部通路の下流側へ向けて膨出するように湾曲し、前記スライド板と前記冷却用熱交換器との間に風圧を緩和する空隙が形成されていることを特徴とする。
【0019】
したがって、請求項記載の発明では、請求項及び請求項に記載の発明の作用に加えて、スライドドア装置を構成する空気通過フレームとスライド板とを下流側へ向けて膨出するように湾曲させたことにより、冷却用熱交換器とスライド板との間に所定容積の空隙を確保することができ、冷却用熱交換器側から吹き付けられる冷風がスライド板に当たって圧力損失を抑制することができる。このため、冷却用熱交換器とその下流側に配置された加熱用熱交換器との間の空隙を大きくすることができ、例えばフルクールモード時に冷却用熱交換器を通過する空気の主流が冷却用熱交換器の上側の通路に偏るのを抑制でき、冷却用熱交換器の下流側の風速が速くなるのを抑制することができる。この結果、冷却用熱交換器の表面に付着した凝縮水の水飛びや騒音の発生を防止することができる。
【0020】
また、請求項記載の発明は、請求項3記載の車両用空気調和ユニットであって、前記下部通路の前記加熱用熱交換器の下流側に、前記車室内の足元吹出口に連通する足元吹出通路入口が前記下部通路に下側の壁面に形成され、前記足元吹出通路入口と前記下部通路との双方の開閉を行う開閉ドアが前記足元吹出通路入口より前記上昇通路側の位置で枢支軸にて枢支されていることを特徴とする。
【0021】
したがって、請求項記載の発明では、請求項記載の発明の作用に加えて、下部通路の下側壁面に足元吹出通路入口を連通させ、足元吹出通路入口より上昇通路側位置で開閉ドアを枢支したことにより、この開閉ドアの角度により、全面的に上昇通路側へ空気を送り出したり、足元吹出口のみに空気を送り出したり、足元吹出口に温風を送り且つ上方解放口側へ冷風を送り出したりする各種の送風モードを設定することが可能となる。
【0022】
さらに、請求項記載の発明は、請求項4記載の車両用空気調和ユニットであって、前記スライド板を前記空気通過フレームの最上位まで移動させた状態では、前記冷却用熱交換器を通過した空気は前記加熱用熱交換器の上流側のみに送り出され、前記スライド板を前記空気通過フレームの最下位まで移動させた状態では、前記冷却用熱交換器を通過した空気が前記加熱用熱交換器の上流側へ流出するのを阻止され、且つ冷却用熱交換器の空気通路の下端と前記枢支軸とを結ぶ直線より前記加熱用熱交換器が下側に位置するように設定されていることを特徴とする。
【0023】
したがって、請求項記載の発明では、請求項記載の発明の作用に加えて、スライド板を空気通過フレームの最上位に位置させることでフルホットモードに設定することができる。また、スライド板を空気通過フレームの最下位に位置させることで、フルクールモードに設定することができる。このフルクールモードにおいて、加熱用熱交換器が、冷却用熱交換器の空気通路の下端と開閉ドアの枢支軸とを結んだ直線より、下側に位置するように設定されているため、空気通過フレームの上側の開口を通過した冷風は、加熱用熱交換器の存在が流通の障害となることなく、円滑に流れることができる。このため、フルクール時の配風を良好にすることができる。
【0026】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、加熱用熱交換器の下流側位置における、スライドドア装置のみを通過した冷風と、加熱用熱交換器を通過して加熱された温風とが混合される領域を、スライドドア装置を用いることで適切な容積を確保することができ、良好に空気調和を行えるという効果がある。また、下部通路の加熱用熱交換器の下流側で混合・調和された空気は、ユニットケースにおけるエンジンルーム側に位置する上昇通路を通って上昇して、ユニットケースの上部に形成された上方解放口に送りだされることが可能となり、混合空気の通過流路距離を稼ぐことができ、例えばベンチレータ吹出口などへ送風する空気における冷風と温風の混合効果を高めることができる。また、上昇通路は、車室から離れたエンジンルーム側に位置するため、例えば上方解放口の開閉制御を行う開閉ドアなどの動作音が車室内へ伝達されるのを抑制する効果がある。さらに、請求項1記載の発明によれば、ユニットケースを車室内側位置で例えばステアリング固定用メンバなどに支持する構造である場合に、上方解放口の開閉ドア機構などが、支持部分から離れた位置にあるため、支持部分近傍で発生し安い歪みの悪影響が開閉ドア機構などに及ぶのを抑制する効果がある。
【0027】
また、冷却用熱交換器を通過する空気の流路断面積を下部通路の断面積に近づけることができ、空気の流通抵抗を低減する効果がある。この結果、風圧の上昇を抑制することができ、送風に伴う騒音の発生を抑制する効果を奏する。また、加熱用熱交換器を通過した温風と、スライドドア装置のみを通過して加熱用熱交換器の下流側に送られた冷風とを混合する領域(エアミックスチャンバ)の容積を大きくとることができ、冷風と温風との混合効率を良好にする効果がある。
【0028】
また、冷却用熱交換器と加熱用熱交換器の上下の配置の寸法を抑えることができ、ユニット全体の小型化を図ることができる。
【0029】
さらに、空気通過フレームを下部通路の断面全体にわたって配置することで、冷却用熱交換器を通過した空気や、加熱用熱交換器を通過する空気の流路断面積を大きく設定することが可能となる。このため、空気流通抵抗を低減して、送風音などの騒音が発生するのを抑制する効果がある。
また、例えば、上方解放口側へ冷風を送り、足元吹出口側へ温風を送る、所謂バイレベルモードの場合に、上方解放口へ送られる冷風の温度の下がり過ぎを抑制し、且つ足元吹出口側へ送られる温風の温度の上がり過ぎを抑制することができ、車室内の快適性を向上する効果がある。
【0030】
請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明の効果に加えて、スライド板の空気通過フレームに対する位置に応じて、下部通路の上側通路と下側通路との通路断面積を変化させることができ、冷風と温風のそれぞれの流量比を制御することができ、温度調節機能を高める効果がある。また、スライド板は空気通過フレームに対してスライド移動しても、スライドドア装置全体を通過する空気の通過断面積は一定にすることができるため、車両用空気調和ユニットの出力効率の低下を防止する効果がある。
【0031】
請求項記載の発明によれば、請求項及び請求項に記載の発明の効果に加えて、スライドドア装置を構成する空気通過フレームとスライド板とを下流側へ向けて膨出するように湾曲させたことにより、冷却用熱交換器とスライド板との間に所定容積の空隙を確保することができ、冷却用熱交換器側から吹き付けられる冷風がスライド板に当たって圧力損失を抑制する効果がある。請求項5記載の発明によれば、例えばフルクールモード時に冷却用熱交換器を通過する空気の主流が冷却用熱交換器の上側の通路に偏るのを抑制でき、冷却用熱交換器の下流側の風速が速くなるのを抑制する効果があり、冷却用熱交換器の表面に付着した凝縮水の水飛びや騒音の発生を防止する効果がある。
【0032】
請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明の効果に加えて、各種の送風モードを設定できるという効果がある。
【0033】
請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明の効果に加えて、フルクールモードにおいて、加熱用熱交換器が、スライド板の上端と開閉ドアの枢支軸とを結んだ直線より下側に位置するように設定されているため、空気通過フレームの上側の開口を通過した冷風は、加熱用熱交換器の存在が流通の障害となることなく、円滑に流れることができる。このため、フルクール時の配風を良好にする効果がある。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用空気調和ユニットの詳細を図面に示す実施形態を用いて説明する。
【0036】
図1において、符号1は車両用空気調和ユニット、符号2はユニットケースを示している。
【0037】
ユニットケース2は、締結ねじ等により左右に分離可能な形状となっている。なお、図2はユニットケース2を左右に分離した半部を示す斜視図であり、図3はユニットケース2全体の外観を示す斜視図である。ユニットケース2の内部には、主要な構成要素としての送風機(ブロワ)3と、この送風機3から送り出される空気を後述する上方開放口4、5へ向けて誘導案内する空気調和通路6と、この空気調和通路6内に配置された冷却用熱交換器(エバポレータ)7及び加熱用熱交換器(ヒートコア)8と、冷却用熱交換器7の下流側に配置され、且つ冷却用熱交換器7を通過した空気が例外なく通過するスライドドア装置9と、冷却用熱交換器7及び加熱用熱交換器8の下流側に配置された開閉ドア10と、空気調和通路6の最終部に配置された開閉ドア11とを備えている。
【0038】
送風機3は、ユニットケース2の上方に設けられた弧状のハウジング12内に配置され、図示しない駆動モータにより回転駆動されるようになっている。
【0039】
ハウジング12は、送風機3の回転により、空気をハウジング12内に取り入れる取入口13と、送風口15とが形成されている。
【0040】
空気調和通路6は、ハウジング12の送風口15と連通し、送風口15から吹き出す空気を車室14側に沿って下降案内する下降通路6Aと、下降した空気をエンジンルーム16側へ案内してUターンさせる下部通路としてのUターン通路6Bと、Uターン通路6BでUターンした空気を上方開放口4、5へ向かって案内する上昇通路6Cとからなっている。
【0041】
空気調和通路6の下降通路6Aは、ユニットケース2の車室側のケース壁面2Aと、ユニットケース2の左右の側壁17、17(図2及び図3に示す)に囲まれて形成されている。Uターン通路6Bは、ユニットケース2のケース底壁面2Bと左右の側壁17、17で囲まれて形成されている。上昇通路6Cは、ユニットケース2のエンジンルーム16側のケース壁面2Cと左右の側壁17、17及び弧状に形成されたハウジング12の背面とで囲まれて形成されている。
【0042】
冷却用熱交換器7と加熱用熱交換器8とは、空気調和通路6の下降通路6AとUターン通路6B内に配置され、冷却用熱交換器7は上流側に、その下流側に加熱用熱交換器8がそれぞれ設けられている。
【0043】
冷却用熱交換器7は、冷媒が流れる冷媒管と多数のフィン(いずれも図示省略する)とで構成されている。また、この冷却用熱交換器7は、図2に示すようにユニットケース2内に設けられた上下の支持ブラケット18、18によって支持されており、エンジンルーム16側へ向かって所定角度前傾した傾斜姿勢となっている。この冷却用熱交換器7の傾斜角度は垂直方向に対して0〜30度程度の範囲内に設定され、特に約20度の前傾姿勢が好ましい。このような角度設定により、送風口15からの空気が下降通路2Aを通って冷却用熱交換器7のフィンとフィンとの間を通過して、効率の良い流れが確保されると共に、熱交換が行われて冷却されるようになっている。
【0044】
なお、冷却用熱交換器7は、図示しない圧縮器、凝縮器、膨張弁と連通し、圧縮器から吐出された冷媒が、凝縮器、膨張弁を通り、蒸発器となる冷却用熱交換器7から再び圧縮器へ戻る冷凍サイクルを構成している。
【0045】
加熱用熱交換器8は、図1に示すように、冷却用熱交換器7の空気吹出領域の下端部と開閉ドア10の枢支軸10Aとを結ぶ直線より下側に位置し、略水平な姿勢をとるように配置され前後の支持ブラケット19、19で支持されている。さらに詳しくは、加熱用熱交換器8は、後述するスライドドア装置9がフルクールモードのときに、スライド板21の上端と開閉ドア10の枢支軸10Aとを結ぶ直線より下側にあるように配置されている。この加熱用熱交換器8の姿勢角度は、略水平方向から上流側が約10度角度の範囲で起き上がる角度が望ましい。このよう姿勢をとることで、図1に示すように冷却用熱交換器7と加熱用熱交換器8とで略横向きT字状のレイアウト構造となっており、ユニットケース2の上下方向の寸法を抑えた形状となっている。
【0046】
なお、加熱用熱交換器8は、図示しないエンジンによって加熱された加熱水が流れるようになっていて、熱交換器本体を空気が通過するときに、熱交換が行われて加熱されるようになっている。
【0047】
次に、スライドドア装置9の構成を図4及び図5を用いて説明する。スライドドア装置9は、矩形状の空気通過フレーム(以下、単にフレームという)20と、このフレーム20にスライド可能なスライド板21と、駆動シャフト22と、この駆動シャフト22を回転駆動する図示しない回転駆動手段とを備える。
【0048】
フレーム20は、図4に示すように円を弦で切断したような形状の円弧と弦とで形成されるような一対のフレーム側板部23、23を備え、これらフレーム側板部23、23が幅方向wの両側に互いに対向して配置されている。それぞれのフレーム側板部23の中央には、軸受用開口部23Aが開設されている。また、これらフレーム側板部23、23の互いに対向する面には、円弧状の縁に沿って略円弧状の一対のスライド案内溝23B、23Bがそれぞれ形成されている。一対のスライド案内溝23B、23Bは、上記したように円弧状の縁に沿って形成されフレーム側板部23の中央で分離されている。さらに、これらフレーム側板部23、23の対向する面には、軸受用開口部23Aを挟んで互いに平行をなし、且つそれぞれスライド案内溝23B、23Bに連通するスライドピン挿入溝23C、23Cが形成されている。
【0049】
これらフレーム側板部23、23間の距離寸法は、冷却用熱交換器7の空気通過領域の幅寸法と略同一に設定されている。これらフレーム側板23、23の対向する端部同士は、それぞれフレーム横枠部24、24で連結されている。また、これらフレーム側板部23、23の円弧状をなす縁部に沿って、この縁部から対向内側へ向けて所定寸法の幅で延在された案内板部25、25が形成されている。また、フレーム横枠部24、24の幅方向wの中央部同士は、案内板部25と同様に湾曲する中央案内板部26で連結されている。
【0050】
さらに、案内板部25、25及び中央案内板部26の上下方向h(図4中に矢印で示す)の中央部同士が補強用横板部27で連結されている。この結果、フレーム横枠部24、24と案内板部25、25とで囲まれて形成される曲面でなる開口面は、中央案内板部26と補強用横板部27とで十字状に区分けされて、フレーム20の上側に位置する2つの上部開口部28A、28Aと、フレーム20の下側に位置する2つの下部開口部28B、28Bが形成されている。
【0051】
スライド板21は、上記したフレーム20の湾曲した開口面の湾曲度合いと同様に湾曲した矩形状の板で形成され、フレーム20の湾曲した開口面の内側に配置される。また、スライド板21の幅方向wの両側縁の上下両端部には、幅方向wの外側に突出するスライドピン29が一体に形成されている。それぞれのスライドピン29の表面には、フレーム側板部23のスライド案内溝23Bの内壁を滑り易い材料でなる摺動筒29Aが被せられている。また、スライド板21の幅方向wの両側縁部の湾曲内側面には、側縁に沿ってラック歯30が刻設されている。このスライド板21の幅方向wの寸法は、フレーム20の一対のフレーム側板部23、23間の距離寸法と略同様に設定されている。また、スライド板21の上下方向hの寸法は、フレーム20の案内板部25の半分より僅かに長く設定されており、スライド板21がフレーム20に装着された場合に、一対の上部開口部28A、28Aと、一対の下部開口部28B、28Bとのうち、いずれか一方を全面的に閉塞又は開放し得るように設定されている。
【0052】
駆動シャフト22は、スライド板21の幅方向wの長さ寸法と略同一の長さに設定されている。この駆動シャフト22の両端には、外周にピニオンギア31が形成された回転筒体32がそれぞれ装着されている。この回転筒体32の外側には、ピニオンギア31より径寸法の短い筒軸32Aがピニオンギア31と同軸的に突設されている。この筒軸32Aは、フレーム20のフレーム側板部23の中央に開設された軸受用開口部23Aに回転自在に軸支される。また、この筒軸32Aの端面には、図示しない回転駆動手段側と連結して回転駆動力の伝達に供される連結用凹溝32Bが形成されている。図5は、フレーム20とスライド板21と駆動シャフト22とが組み付けられてスライドドア装置9が構成された状態を示す斜視図である。
【0053】
上記した構成のスライドドア装置9は、図1及び図2に示すように、冷却用熱交換器7を装着するための、ユニットケース2内の支持ブラケット18、18に一体的に形成されたドア支持ブラケット33、33に装着されている。なお、スライドドア装置9は、湾曲して突出する側が下流側を向き、且つ上部開口部28A、28Aが上に位置し下部開口部28B、28Bが下に位置するように配置・装着されている。このようにユニットケース2内にスライドドア装置9を装着した状態で、駆動シャフト22の端部に装着された回転筒体32の連結用凹溝32Bに図示しない回転駆動手段側の回転伝達連結部が接続されており、回転駆動手段を制御することにより、回転筒体32の回動が可能となっている。
【0054】
ところで、上方開放口4、5は、エンジンルーム16側のケース壁面2Cとこのケース壁面2Cから続く上壁面2Dに集中して配置されている。上壁面2Dに設けられた上方開放口5はベント口、エンジンルーム16側のケース壁面2Cに設けられた上方開放口4はデフロスター口となっている。各上方開放口4、5の間には、各上方開放口4、5を交互に切り換え制御する開閉ドア11が設けられている。
【0055】
また、ベント口となる上方開放口5には、図6に示すように、中央と左右両サイドの室内用吹出口34C、34L、34Rを有するベンチレータダクト34が接続されている。図1に示すように、上方開放口5から各室内用吹出口34C、34L、34Rまでの距離、特に室内用吹出口34Cまでの距離を比較的長くとれるため、中央及び左右の各室内用吹出口34C、34L、34Rへ向けてほぼ均等に空気を流すことが可能となっている。一方、デフロスター口となる上方開放口4には、フロントガラス35へ向けて空気を吹き出すデフロスターダクト36が接続されている。
【0056】
さらに、図1において符号37は足元へ空気を送る足元吹出通路入口としてのフット口、符号38がドレイン溜りを示している。フット口37は、開閉ドア10により開閉制御されるようになっている。ドレイン溜り38は、仕切板39により仕切られていて、冷却用熱交換器7を通過する空気の影響を直接受けることがない構造となっている。また、ドレイン溜り38の底部には、図示しないドレイン口が設けられている。
【0057】
このように構成された車両用空気調和ユニット1では、送風機3から吹き出された空気が、冷却用熱交換器7、加熱用熱交換器8を通過して冷却もしくは加熱されて、図1中符号40で示すエアミックスチャンバで混合されて調和される。調和された空気は、各開閉ドア10、11を開閉制御することで、車室14内へ向けて吹き出される。
【0058】
これら一連の動作において、ベンチレータ吹出しの場合、調和された空気は、エンジンルーム16側の上昇通過6Cに沿って上昇するときに、弧状(曲面状)のハウジング12の背面に沿う流れになり、室内用吹出口34C、34L、34Rへ向かう円滑な流れが得られる。しかも、室内用吹出口34Cまでの空気の助走距離が長く確保できる結果、図1に矢印aで示すように通気抵抗の小さい連続した円滑な流れを作ることができ、中央及び左右両サイドの室内用吹出口34C、34L、34Rから略均等に空気を吹き出させることができる。
【0059】
また、開閉ドア11は、エンジンルーム16側に位置するため、車室14内に伝わる開閉音は小さくなるという利点がある。しかも、図1に示すようにステアリング固定用メンバ41を利用して、車両用空気調和ユニット1を予めステアリング固定用メンバ41に組み付けることができる。この場合、ユニットケース2の車室14側がステアリング固定用メンバ41に支持されるため、支持点から開閉ドア11の取り付け部が遠く、支持点近傍のユニットケース2に歪みが発生しても開閉ドア11にその歪みの影響が伝わりにくく、開閉ドア11の円滑な動作を維持することができる。
【0060】
次に、各モード毎にスライドドア装置9及び開閉ドア10の作用・動作について説明する。
【0061】
まず、図7に示すように、車両用空気調和ユニット1がフルクールモードにある場合、スライドドア装置9ではスライド板21が完全に下がり、フレーム20に形成された下部開口部28B、28Bはスライド板21で完全に塞がれた状態にある。スライド板21を移動させるには、上記した回転駆動手段を駆動して、駆動シャフト22に回転を伝達して、ピニオンギア31を回動させることで、これに噛合するラック歯30とともにスライド板21が移動する。なお、この場合、開閉ドア10はフット口37を閉じた状態にあるとする。このとき、送風機3側から吹き出された空気(同図中太い矢印で示す)は、下降通過6Aを下降して冷却用熱交換器7を通過して冷却される。冷却用熱交換器7で冷却された空気(同図中実線矢印で示す)は、エアミックスチャンバ40を通過して上昇通過6Cに流れる。上記したように、加熱用熱交換器8は、冷却用熱交換器7の空気通路の下端と開閉ドア10の枢支軸10Aとを結ぶ直線より下側に位置するため、スライドドア装置9の上部開口部28A、28Aを通過した冷風の下端部は障害物にぶつかることなく上昇通過6C側へ円滑に流れることができる。このため、冷却用熱交換器7の下流側の冷風は、通気抵抗が低減されて騒音の発生を抑制することができる。さらに、冷却用熱交換器7を通過した冷風に対する障害物が無いため、加熱用熱交換器8側へ巻き込まれる乱流の発生を抑制することができる。この結果、加熱用熱交換器8の熱気の巻き込みを抑制でき、吹出温の上昇を抑制することができる。
【0062】
また、スライド板21を下げた状態で、開閉ドア10を半開放状態にすると、冷風を上方開放口4、5側へ上昇通過6Cを介して送風すると共に、フット口37側へも送風することができる。
【0063】
次に、図8に示すように、スライドドア装置9のスライド板21が中間位置に位置し、且つ開閉ドア10がフット口37を塞いだ状態にある場合について説明する。この場合、送風機3から送り出された空気が冷却用熱交換器7を通過して冷却され冷風(実線矢印)となる。この冷風は、スライド板21の上側と下側とをそれぞれ通過する。スライド板21の上側(上部開口部28A、28A)を通過した冷風は、そのままエアミックスチャンバ40内に吹き出される。一方、スライド板21の下側(下部開口部28B、28B)を通過した冷風は、加熱用熱交換器8を通過して温風(図8中破線矢印で示す)となり、エアミックスチャンバ40に吹き出されて、スライド板21の上側を通過した冷風と混ざり合う。なお、本実施形態では、上記したようにスライドドア装置9を設けたことにより、エアミックスチャンバ40の容積が大きく設定することができるため、冷風と温風との混合を確実に行えると共に、空気の通過抵抗を低減する作用がある。なお、この状態で開閉ドア10がフット口37を開くようにした場合、エアミックスチャンバ40内で適度に混合された空気がフット口37内に導入され、足元吹出口へ送風される。
【0064】
ここで、図9に示すように、スライドドア装置9のスライド板21が中間位置に位置し、開閉ドア10が中間位置に位置するバイレベルモードの場合について説明する。このようなバイレベルモードでは、送風機3から送くられた空気が冷却用熱交換器7を通過してスライド板21の上側と下側とをそれぞれ冷風が通過する。スライド板21の下側を通過した冷風は、加熱用熱交換器8を通過して温風となる。スライド板21の上側の上部開口部28A、28Aを通過した冷風は上昇通路6C側へ向けて層流の状態で送り出される。また、加熱用熱交換器8を通路した温風は、大部分が開閉ドア10の整流作用によりフット口37に導入される。温風の一部は、図9に示すように、フレーム20の案内板部25、中央案内板部26に沿って冷風と混合される。図10は、この状態を示す斜視説明図であり、加熱用熱交換器8からの温風が案内板部25、中央案内板部26に沿って上昇通路6C側へ案内される状態を示す。このように、本実施形態では、冷風と温風とが完全に分離されるのではなく、冷風に温風の一部が混じるような作用を有しているため、上方開放口4、5から吹き出される空気の温度と、足元吹出口から吹き出される空気との差が激しくなることを防止することができる。なお、図11は本実施形態における足元温度とベンチレータ温度との差を示す図である。この結果、足元温度とベンチレータ温度との差が過度に大きくなることを防止できる。このため、バイレベルモードにおける室内の温度の快適性を乗員に感じさせることができる。また、バイレベルモードにおける足元温度とベンチレータ温度との差はリブ25及び26により容易にチューニングが可能である。
【0065】
次に、図12に示すように、スライドドア装置9のスライド板21がフレーム20の上半分を閉じたフルホット状態について説明する。この状態では、冷却用熱交換器7を通過した空気が加熱用熱交換器8を通過して温風となり、開閉ドア10がフット口37を閉じている場合は上昇通路6C側へ温風を送り出すようになっている。また、開閉ドア10がフット口37を解放している状態(図12中二点鎖線で示す)ではフット口37内へ温風を導入するようになっている。
【0066】
また、本実施形態では、空気通過フレーム20とスライド板21とを一体化し、いわゆるカートリッジ化したことにより、車両用空気調和ユニットの製造がきわめて容易となり、作業性が向上すると共に、製造コストの低減が図れる。また、車種が異なる場合でも、スライドドア装置を共通化することが可能となり、一層作業性の向上と低コスト化が図れる。さらに、スライドドア装置にユニットケース2等とは異種のプラスチック材料を使用しても、容易に取り外すことができるので使用後の分別処理が可能となり、ユニットのリサイクルがし易くなる。しかも、スライドドア装置単独でスライド板21のスライド移動安定性を保証することができ、動作信頼性が向上する。
【0067】
また、本実施形態では、空気通過フレーム20とスライド板21とを一体化し、カートリッジ化しことにより、冷却用熱交換器と加熱用熱交換器の上下の配置の寸法を抑えることができ、ユニット全体の小型化を図ることができる。
【0068】
次に、図13に示す実施形態について説明する。本実施形態では、スライドドア装置9を支持する支持ブラケット33の形態が異なる。すなわち、上記実施形態では、冷却用熱交換器7を装着するための支持ブラケット18,18に一体的に形成されたドア支持ブラケット33,33により、スライドドア装置9を支持したが、図13に示すように、支持ブラケット18,18とは別体で、各空気通路を区画する区画壁33Aにスライドドア装置9を支持しても良い。
【0069】
さらに、上記実施形態では、カートリッジ化されたスライドドア装置9を支持ブラケット33,33に支持したが、スライドドア装置9の空気通過フレームを各通路を区画する区画壁に設け、この区画壁に設けた空気通過フレームにスライド板21を直接スライド移動可能に組み付けるように構成しても良い。
【0070】
以上、各実施形態について説明したが、本発明は構成の要旨に付随する各種の設計変更が可能である。例えば、上記した実施形態では、スライドドア装置9を構成するフレーム20及びスライド板21を下流側へ膨出するように湾曲させた形状としたが、平面上のフレームやスライド板を用いることも勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用空気調和ユニットの実施形態を示す縦断面図である。
【図2】実施形態に用いるユニットケースの半分を示す斜視図である。
【図3】実施形態の車両用空気調和ユニットの斜視図である。
【図4】実施形態に用いたスライドドア装置の分解斜視図である。
【図5】実施形態に用いたスライドドア装置の斜視図である。
【図6】実施形態の上方解放口近傍の送風経路を説明する平面説明図である。
【図7】実施形態の車両用空気調和ユニットにおけるフルクールモードを示す要部断面図である。
【図8】実施形態の車両用空気調和ユニットにおけるベントモード若しくはデフモードを示す要部断面図である。
【図9】実施形態の車両用空気調和ユニットにおけるバイレベルモードを示す要部断面図である。
【図10】実施形態の車両用空気調和ユニットにおけるバイレベルモードを示す斜視図である。
【図11】実施形態のバイレベルモード時の各モードと吹出温度との関係を示すグラフである。
【図12】実施形態の車両用空気調和ユニットにおけるフルホットモードを示す要部断面図である。
【図13】実施形態の車両用空気調和ユニットの他の実施形態のユニットケースの半分を示す斜視図である。
【図14】従来の車両用空気調和ユニットの説明図である。
【図15】車両用空気調和ユニットの参考例を示す説明図である。
【図16】参考例におけるバイレベルモード時の各モードと吹出温度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2 ユニットケース
2A、2C ケース壁面
2B ケース底壁面
3 送風機
4、5 上方解放口
6A 下降通路
6B Uターン通路
6C 上昇通路
7 冷却用熱交換器
8 加熱用熱交換器
9 スライドドア装置
10 開閉ドア
10A 枢支軸
14 車室
16 エンジンルーム
22 駆動シャフト
25 案内板部
26 中央案内板部
32 回転筒体
37 フット口
40 エアミックスチャンバ

Claims (5)

  1. エンジンルーム(16)の後方で、車室(14)内の前部に配置するユニットケース(2)内に、送風機(3)と、該送風機(3)から送出される空気を車室(14)側のケース壁面(2A)に沿って下降、案内する下降通路(6A)と、該下降通路(6A)の下部に連通して前記空気を前記エンジンルーム(16)側のケース壁面(2C)に向けて案内する下部通路(6B)と、前記下部通路(6B)に下端が連通し且つ上端が前記ユニットケース(2)上部に形成された上方解放口(4、5)に連通すると共に前記下部通路(6B)を通過した前記空気をエンジンルーム(16)側のケース壁面(2C)に沿って上昇、案内する上昇通路(6C)とを備え、
    前記下部通路(6B)に、上流側から下流側へ向けて順次、冷却用熱交換器(7)、スライドドア装置(9)、加熱用熱交換器(8)が配置され、
    前記冷却用熱交換器(7)は前記下部通路(6B)内で略垂直方向に起立して設置され、前記スライドドア装置(9)は前記冷却用熱交換器(7)と重なるように設置され、前記加熱用熱交換器(8)は前記スライドドア装置(9)を介して前記冷却用熱交換器(7)の上下方向の中間部に略直交するように寝かせて設置され、前記冷却用熱交換器(7)と前記加熱用熱交換器(8)とが前記下部通路(6B)内で横向きの略T字状をなすように配置され、
    前記スライドドア装置(9)は、前記下部通路(6B)の流通方向に略直交する方向の断面全体にわたるように配置される空気通過フレーム(20)と、該空気通過フレーム(20)に沿って上下スライド移動可能なスライド板(21)と、該スライド板(21)を前記空気通過フレーム(20)に対して上下方向にスライドさせるスライド駆動伝達手段(22、32)とを備え、
    前記空気通過フレーム(20)は、前記加熱用熱交換器(8)を通過した空気の一部を前記下部通路(6B)の上側の壁面へ案内する案内板部(25、26)を備え、
    前記スライドドア装置(9)が、前記冷却用熱交換器(7)を通過した空気を、前記加熱用熱交換器(8)の上流側と下流側とに可変的に通過させ、前記下部通路(6B)内の前記加熱用熱交換器(8)の下流側の領域(40)内で温風と冷風とを混合、調和させることを特徴とする車両用空気調和ユニット。
  2. 請求項1記載の車両用空気調和ユニット(1)であって、
    前記スライド板(21)は、前記下部通路(6B)を上側通路と下側通路とに分割すると共に、前記空気通過フレーム(20)に沿って昇降動作を行うことにより、前記上側通路の通路断面積と前記下側通路の通路断面積との比を変化させることを特徴とする車両用空気調和ユニット。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両用空気調和ユニット(1)であって、
    前記空気通過フレーム(20)及び前記スライド板(21)は前記下部通路(6B)の下流側へ向けて膨出するように湾曲し、前記スライド板(21)と前記冷却用熱交換器(7)との間に風圧を緩和する空隙が形成されていることを特徴とする車両用空気調和ユニット。
  4. 請求項3記載の車両用空気調和ユニット(1)であって、
    前記下部通路(6B)の前記加熱用熱交換器(8)の下流側に、前記車室(14)内の足元吹出口に連通する足元吹出通路入口(37)が前記下部通路(6B)に下側の壁面(2B)に形成され、前記足元吹出通路入口(37)と前記下部通路(6B)との双方の開閉を行う開閉ドア(10)が前記足元吹出通路入口(37)より前記上昇通路(6C)側の位置で枢支軸(10A)にて枢支されていることを特徴とする車両用空気調和ユニット。
  5. 請求項4記載の車両用空気調和ユニット(1)であって、
    前記スライド板(21)を前記空気通過フレーム(20)の最上位まで移動させた状態では、前記冷却用熱交換器(7)を通過した空気は前記加熱用熱交換器(8)の上流側のみに送り出され、前記スライド板(21)を前記空気通過フレーム(20)の最下位まで移動させた状態では、前記冷却用熱交換器(7)を通過した空気が前記加熱用熱交換器(8)の上流側へ流出するのを阻止され、且つ冷却用熱交換器(7)の空気通路の下端と前記枢支軸(10A)とを結ぶ直線より前記加熱用熱交換器(8)が下側に位置するように設定されていることを特徴とする車両用空気調和ユニット。
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