JP3853504B2 - 農業用フィルム - Google Patents

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JP3853504B2 JP02450798A JP2450798A JP3853504B2 JP 3853504 B2 JP3853504 B2 JP 3853504B2 JP 02450798 A JP02450798 A JP 02450798A JP 2450798 A JP2450798 A JP 2450798A JP 3853504 B2 JP3853504 B2 JP 3853504B2
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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、農業用フィルムに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
農業上の促成栽培を目的としたハウス栽培、トンネル栽培およびマルチ栽培などでは、一般に被覆材として各種熱可塑性樹脂からなる農業用フィルムが多量に使用されている。このような農業用フィルムとしては、たとえばポリ塩化ビニルフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンフィルムなどがあり、中でも、ポリ塩化ビニルフィルムは、保温性、透明性、強靱性(機械的強度特性)等に優れているため最も多く使用されている。
【0003】
しかしながら、ポリ塩化ビニルフィルムは、防塵性および展張作業性が若干劣る上、焼却廃棄時に有毒ガスを発生する等の問題がある。
ここに、「保温性」とは、昼間に太陽熱を吸収して温度の上昇した大地から、夜間に放出される輻射線を吸収、反射してハウス、トンネル等の内部の温度(気温および地温)を保持する性能をいう。
【0004】
また、「防塵性」とは、ある一定期間使用後の塵埃付着等によるフィルムの透明性の低下を抑制する性能をいう。
さらに、「展張作業性」とは、フィルムのベタツキによる取扱い易さの良否を表わす。
【0005】
一方、エチレン・酢酸ビニル共重合体を主成分とするフィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムに比べ、廃棄物処理の点では優れるものの、強靱性に劣り、展張作業性および防塵性が不充分である。
【0006】
また、ポリエチレンを農業用フィルムに適用した場合、このフィルムは、上記エチレン・酢酸ビニル共重合体を主成分とするフィルムに比べ、展張作業性と防塵性が改善されているものの、未だ不充分であり、直鎖状エチレン・α- オレフィン共重合体フィルムよりも強靱性に劣るという問題がある。
【0007】
さらに、ポリオレフィン系樹脂フィルムの保温性を添加剤により改良した農業用フィルムとしては、低密度ポリエチレンまたはエチレン・酢酸ビニル共重合体に酸化硅素を添加してなる被覆用フィルムがある。
【0008】
しかしながら、このような農業用フィルムは、ポリエチレン系樹脂フィルムの保温性が改良されているものの、ポリ塩化ビニルフィルムと比べ、強靱性、透明性が不充分である。
【0009】
このようなポリエチレン系樹脂フィルムの強靱性を改善するため、近年直鎖状低密度ポリエチレンの強靱性を利用する農業用フィルムが考案されるようになってきている。たとえば特開昭58−160146号公報では、直鎖状低密度ポリエチレンを主体とする基材層と、界面活性剤を含む従来の製造法によるポリエチレン系樹脂等とからなる層とを積層した防曇性の良好な農業用多層フィルムが提案されている。この農業用多層フィルムは、強靱性が改善されているものの、保温性のより高い樹脂あるいは添加剤の利用が検討されていないため、ポリ塩化ビニルフィルムに比べ、保温性がかなり劣る。
【0010】
また特開平1−182037号公報では、農業用多層(積層)フィルムが提案されており、この農業用多層フィルムは、外層が線状エチレン・α- オレフィン共重合体を主成分とするポリエチレン系樹脂と無機化合物とで形成されており、かつ、内層がエチレン・酢酸ビニル共重合体を主成分とするポリエチレン系樹脂と無機化合物と防曇剤とで形成されている。特開平1−182037号公報に記載されている農業用多層フィルムは、良好な保温性、防塵性、展張作業性、透明性、耐候性を兼ね備え、しかも極めて優れた強靱性を有するとされている。
【0011】
しかしながら、従来の上記のような農業用多層フィルムには、防曇持続性、防塵性、強靱性等において改良の余地がある。
したがって、上述した従来の農業用フィルム(単層および多層フィルム)と比べ、透明性に優れ、かつ防曇持続性の経時的低下度が少なく、しかも防塵性、強靱性および耐候性に優れた農業用フィルムの出現が望まれている。
【0012】
【発明の概要】
本発明に係る農業用フィルムは、[I]エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合して得られ、密度が0.905〜0.935g/cm3 であり、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であるエチレン・α- オレフィン共重合体(A)100重量部、または該エチレン・α- オレフィン共重合体(A)と40重量%以下の量の高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物100重量部と、[II]グリセリンアルキルエステル、ジグリセリンアルキルエステルおよびジエタノールアルキルアミンからなる防曇剤(C)0.05〜5重量部と、[III]下式
【0013】
【発明の概要】
本発明に係る農業用フィルムは、
[I]エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合して得られ、密度が0.905〜0.935g/cm3 であり、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であるエチレン・α- オレフィン共重合体(A)100重量部、または
該エチレン・α- オレフィン共重合体(A)と40重量%以下の量の高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物100重量部と、
[II]非イオン系界面活性剤からなる防曇剤(C)0.05〜5重量部と、
[III]下式
【0014】
【化3】
Figure 0003853504
【0015】
で表わされる化合物またはそのオリゴマーからなるヒンダードアミン系化合物(D)0.005〜5重量部と
を含有するエチレン系共重合体組成物(1)で形成される層を有してなり、
該エチレン・α- オレフィン共重合体(A)、またはエチレン・α- オレフィン共重合体(A)と高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物は、
(i)GPCによって測定した分子量分布(Mw/Mn:Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)が1.5〜5.0の範囲にあり、
(ii)23℃におけるn-デカン可溶成分量分率(W(重量%))と密度(d)とが、
W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1
で示される関係を満たし、
(iii)GPC−IRによる高分子量側の分岐数の平均値をB1 、低分子量側の分岐数の平均値をB2 とするとき、
1 ≧ B2
であることを特徴としている。
【0016】
本発明に係る農業用フィルムは、単層構造であってもよいし、また2層以上の層からなる多層構造であってもよい。
本発明に係る好ましい単層構造の農業用フィルムは、
前記のエチレン・α- オレフィン共重合体(A)、防曇剤(C)、ヒンダードアミン系化合物(D)および必要に応じて高圧法低密度ポリエチレン(B)を含有するエチレン系共重合体組成物(1)で形成される層からなる単層フィルムであり、かつ、
該フィルムは、
(i)エルメンドルフ引裂強度がMD方向で90kg/cm以上であり、かつ、TD方向で90kg/cm以上であり、
(ii)厚み100μmでのダートインパクト強度が450g以上であり、
(iii)引張破断点強度がMD方向で350kg/cm2 以上であり、かつ、TD方向で350kg/cm2 以上である。
【0017】
また、本発明に係る多層構造の農業用フィルムは、
[I]エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合して得られ、
密度が0.925〜0.940g/cm3 であり、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であるエチレン・α- オレフィン共重合体(E)100重量部、または
該エチレン・α- オレフィン共重合体(E)と40重量%以下の量の高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物100重量部と、
前記式で表わされる化合物またはそのオリゴマーからなるヒンダードアミン系化合物(D)0.005〜5重量部と
を含有するエチレン系共重合体組成物(2)からなる外層、
[II]エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合して得られ、
密度が0.880〜0.920g/cm3 であり、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であるエチレン・α- オレフィン共重合体(F)100重量部、または
該エチレン・α- オレフィン共重合体(F)と40重量%以下の量の高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物100重量部と、
グリセリンアルキルエステル、ジグリセリンアルキルエステルおよびジエタノールアルキルアミンからなる防曇剤(C)0.05〜5重量部と、
前記ヒンダードアミン系化合物(D)0.005〜5重量部と
を含有するエチレン系共重合体組成物(3)からなる中間層、および
[III]エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合して得られ、
密度が0.905〜0.935g/cm3 であり、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であるエチレン・α- オレフィン共重合体(A)100重量部、または
該エチレン・α- オレフィン共重合体(A)と40重量%以下の量の高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物100重量部と、
グリセリンアルキルエステル、ジグリセリンアルキルエステルおよびジエタノールアルキルアミンからなる防曇剤(C)0.05〜5重量部と、
前記ヒンダードアミン系化合物(D)0.005〜5重量部と
を含有するエチレン系共重合体組成物(1)からなる内層
が積層されてなる多層フィルムであり、
該外層を形成するエチレン・α- オレフィン共重合体(E)またはエチレン・α- オレフィン共重合体(E)と高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物の密度(dE またはdEB)と該内層を形成するエチレン・α- オレフィン共重合体(A)またはエチレン・α- オレフィン共重合体(A)と高圧法低密度ポリエチレン(B)の密度(dA またはdAB)とが、dE またはdEB ≧ dA またはdABを満足する関係にある。
【0018】
また、外層、中間層および内層を形成する樹脂は、
(i)GPCによって測定した分子量分布(Mw/Mn:Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)が1.5〜5.0の範囲にあり、
(ii)23℃におけるn-デカン可溶成分量分率(W(重量%))と密度(d)とが、
W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1
で示される関係を満たし、
(iii)GPC−IRによる高分子量側の分岐数の平均値をB1 、低分子量側の分岐数の平均値をB2 とするとき、
1 ≧ B2
であることが好ましい。ここに樹脂とは、エチレン・α- オレフィン共重合体、またはエチレン・α- オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの共重合体を指す。
【0019】
さらに、上記のような多層構造の農業用フィルムは、
(i)エルメンドルフ引裂強度がMD方向で90kg/cm以上であり、かつ、TD方向で90kg/cm以上であり、
(ii)厚み100μmでのダートインパクト強度が900g以上であり、
(iii)引張破断点強度がMD方向で350kg/cm2 以上であり、かつ、TD方向で350kg/cm2 以上である
ことが好ましい。
【0020】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る農業用フィルムについて具体的に説明する。
本発明に係る農業用フィルムは、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)、防曇剤(C)、ヒンダードアミン系化合物(D)および必要に応じて高圧法低密度ポリエチレン(B)を含有するエチレン系共重合体組成物(1)で形成される層を有する。本発明に係る農業用フィルムは、このような層からなる単層構造のフィルム(単層フィルム)であってもよいし、また、このような層を有する2層以上の多層構造を有するフィルム(多層フィルム)であってもよい。
【0021】
[エチレン・α- オレフィン共重合体(A)]
本発明で用いられるエチレン系共重合体組成物(1)を構成するエチレン・α- オレフィン共重合体(A)は、エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとからなる共重合体である。
【0022】
エチレンとの共重合に用いられる炭素原子数4〜12のα- オレフィンとしては、具体的には、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられる。これらの中では、炭素原子数4〜10のα- オレフィン、特に炭素原子数4〜6のα- オレフィンが好ましい。
【0023】
本発明においては、上記のようなエチレン・α- オレフィン共重合体(A)を単独で、または2種以上組合わせて用いることができる。
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン共重合体(A)は、エチレンから導かれる構成単位が50重量%以上100重量%未満、好ましくは55〜99重量%、さらに好ましくは65〜98重量%、特に好ましくは70〜96重量%の量で存在し、炭素原子数4〜12のα- オレフィンから導かれる構成単位が50重量%以下、好ましくは1〜45重量%、さらに好ましくは2〜35重量%、特に好ましくは4〜30重量%の量で存在することが望ましい。
【0024】
エチレン・α- オレフィン共重合体の組成は、通常10mmφの試料管中で約200mgの共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRスペクトルを、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz、スペクトル幅1500Hz、パルス繰返し時間4.2sec.、パルス幅6μsec.の条件下で測定して決定される。
【0025】
また、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)は、密度が0.905〜0.935g/cm3 、好ましくは0.908〜0.935g/cm3 、さらに好ましくは0.910〜0.930g/cm3 、特に好ましくは0.925〜0.930g/cm3 の範囲にある。
【0026】
なお、密度は、190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時に得られるストランドを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定する。
【0027】
また、このエチレン・α- オレフィン共重合体(A)のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238−65T,190℃、荷重2.16kg)は、0.1〜10g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分、さらに好ましくは0.5〜2g/10分の範囲にある。
【0028】
このエチレン・α- オレフィン共重合体(A)のGPCによって測定した分子量分布(Mw/Mn:Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)は、1.5〜5.0、好ましくは1.8〜3.5、さらに好ましくは2.0〜3.0の範囲にある。
【0029】
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、ミリポア社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。
分離カラムは、TSK GNH HTであり、カラムサイズは直径72mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはO-ジクロロベンゼン[和光純薬工業(株)製]および酸化防止剤としてBHT[武田薬品工業(株)製]0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106 については東ソー(株)製を用い、1000<Mw<4×106 についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
【0030】
また、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)は、23℃におけるn-デカン可溶成分量分率(W(重量%))と密度(d)とが下記に示される関係を満たしている。
【0031】
W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1
なお、エチレン・α- オレフィン共重合体のn-デカン可溶成分量(可溶成分量の少ないもの程組成分布が狭い)の測定は、エチレン・α- オレフィン共重合体約3gをn-デカン450mlに加え、145℃で溶解した後23℃まで冷却し、濾過によりn-デカン不溶部を除き、濾液よりn-デカン可溶部を回収することにより行なわれる。
【0032】
さらに、エチレン・α- オレフィン共重合体は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度〔Tm(℃)〕と密度〔d(g/cm3 )〕とが、
Tm<400×d−250
好ましくは Tm<450×d−297
さらに好ましくは Tm<500×d−344
特に好ましくは Tm<550×d−391
で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0033】
なお、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)は、試料約5mgをアルミパンに詰め10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持したのち20℃/分で室温まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より求められる。測定は、パーキンエルマー社製DSC-7 型装置を用いる。
【0034】
このように、n-デカン可溶成分量分率(W)と密度(d)との関係、そして示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度(Tm)と密度(d)との関係が上記のような関係を有するようなエチレン・α- オレフィン共重合体は組成分布が狭いと言える。
【0035】
また、本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン共重合体(A)は、GPC−IRによる高分子量側の分岐数の平均値をB1 、低分子量側の分岐数の平均値をB2 とするとき、
1 ≧ B2
である。
【0036】
ここに、GPC−IRによる高分子量側の分岐数の平均値(B1 )とは、GPCによって分子量分別された高分子溶出量の累積重量分率が15〜85%(すなわち低分子量領域15%、高分子量領域15%を除く高分子溶出成分)の範囲で各フラクション毎に測定された分岐数の測定値群を、GPC溶出曲線のピーク位置の分子量で2分割したもののうち、高分子量側の値の平均値である。一方、低分子量側の分岐数の平均値(B2 )とは、2分割したもののうち、低分子量側の平均値である。
【0037】
上記B1 およびB2 の測定条件は、次の通りである。
測定装置:パーキン・エルマー 1760X
カラム:東ソー(株)製TSKゲル GMH-HT(7.5mmI.D.×600mm)×1
溶離剤(eluent):MP−Jを0.05%含有のo-ジクロロベンゼン(ODCB)[和光純薬工業(株)製、extra pure grade]
カラム温度:140℃
サンプル濃度:0.1%(weight/volume)
射出容量(inj.volume):100マイクロリットル
検出器:MCT
分解能:8cm-1
このB1 とB2 が上記のような関係にあるエチレン・α- オレフィン共重合体(A)は、組成分布が狭く、しかもローポリマーが少ないので、ベトツキが少ない。したがって、上記のようなエチレン・α- オレフィン共重合体(A)を用いると、防塵性に優れた農業用フィルムを得ることができる。
【0038】
また、このエチレン・α- オレフィン共重合体(A)からなるフィルムは、光線透過率の経時的低下が非常に小さいため、このようなフィルムを農業用フィルムとして使用すると、長期に亘って展張することが可能である。
【0039】
上記のようなエチレン・α- オレフィン共重合体(A)は、シングルサイト触媒、たとえば特開平6−9724号公報、特開平6−136195号公報、特開平6−136196号公報、特開平6−207057号公報等に記載されているメタロセン触媒成分を含む、いわゆるメタロセン系オレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.905〜0.935g/cm3 となるように共重合させることによって製造することができる。
【0040】
このようなメタロセン系触媒は、通常、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個有する周期律表第IVB族の遷移金属化合物からなるメタロセン触媒成分(a)、有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)、微粒子状担体(c)、および必要に応じて有機アルミニウム化合物触媒成分(d)、イオン化イオン性化合物触媒成分(e)から形成される。
【0041】
本発明で好ましく用いられるメタロセン触媒成分(a)としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個有する周期律表第IVB族の遷移金属化合物がある。このような遷移金属化合物としては、たとえば下記の一般式[I]で示される遷移金属化合物が挙げられる。
【0042】
ML1 x ・・・ [I]
式中、xは、遷移金属原子Mの原子価である。
Mは、周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的には、ジルコニウム、チタン、ハフニウムである。中でも、ジルコニウムが好ましい。
【0043】
1 は、遷移金属原子Mに配位する配位子であり、これらのうち、少なくとも1個の配位子L1 は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子である。
上記のような遷移金属原子Mに配位するシクロペンタジエニル骨格を有する配位子L1 としては、具体的には、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基等のアルキル置換シクロペンタジエニル基、あるいはインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0044】
上記一般式[I]で表わされる化合物がシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上含む場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、イソプロピリデンジフェニルメチレン等の置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0045】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子L1 は、炭素原子数1〜12の炭化水素基;メトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリーロキシ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等のトリアルキルシリル基;SO3R (Rはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子数1〜8の炭化水素基)、ハロゲン原子または水素原子である。
【0046】
炭素原子数1〜12の炭化水素基としては、メチル基等のアルキル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0047】
SO3R で表わされる配位子としては、具体的には、P-トルエンスルホナト基、メタンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基などが挙げられる。
有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)としては、アルミノオキサンが好ましく用いられる。具体的には、式
−Al(R)O− [ただし、Rはアルキル基である]
で表わされる繰り返し単位が通常3〜50程度のメチルアルミノオキサン、エチルアルミノオキサン、メチルエチルアルミノオキサン等が用いられる。
【0048】
このようなアルミノオキサンは、従来公知の製法で調製することができる。
オレフィン重合用触媒の調製で用いられる微粒子状担体(c)は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が通常10〜300μm程度であり、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないし微粒子状の固体である。
【0049】
無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的には、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2 、B23、CaO、ZnO、BaO、SnO2等またはこれらの混合物を例示することができる。なお、上記無機酸化物には、少量のNa2CO3等の炭酸塩、Al2(SO43 等の硫酸塩、KNO3 等の硝酸塩、Li2O等の酸化物を含有していても差し支えない。
【0050】
このような担体は、その種類および製法により性状は異なるが、本発明で好ましく用いられる担体は、比表面積が50〜1000m2/g 、好ましくは100〜700m2/g であり、細孔容積が0.3〜2.5cm3/g であることが望ましい。
【0051】
この担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
また、微粒子状担体として用いられる有機化合物としては、エチレン、4-メチル-1- ペンテン等の炭素原子数2〜14のα- オレフィンを主成分として生成される(共)重合体、あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体を例示することができる。
【0052】
オレフィン重合用触媒の調製において必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物触媒成分(d)としては、具体的には、トリメチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、イソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、メチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド、ジエチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライドなどを例示することができる。
【0053】
イオン化イオン性化合物触媒成分(e)としては、たとえばUSP−5,321,106号公報に記載されたトリフェニルボロン、MgCl2、Al23、S iO2−Al23 等のルイス酸;トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のイオン性化合物;ドデカボラン、ビスn-ブチルアンモニウム(1-カルベドデカ)ボレート等のカルボラン化合物が挙げられる。
【0054】
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン共重合体(A)は、上記のようなメタロセン触媒成分(a)、有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)、微粒子状担体(c)、および必要に応じて有機アルミニウム化合物触媒成分(d)、イオン化イオン性化合物触媒成分(e)を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、気相、またはスラリー状あるいは溶液状の液相で種々の条件で、エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合させることにより得ることができる。
【0055】
スラリー重合法または溶液重合法においては、不活性炭化水素を溶媒としてもよいし、オレフィン自体を溶媒とすることもできる。
重合を実施する際には、上記のようなメタロセン系オレフィン重合用触媒は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度で、通常10-8〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは10-7〜10-4グラム原子/リットルの量で用いられることが望ましい。
【0056】
また、重合に際して、担体に担持されている有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)および有機アルミニウム化合物触媒成分(d)に加えて、さらに担持されていない有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)および/または有機アルミニウム化合物触媒成分(d)を用いてもよい。この場合、担持されていない有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)および/または有機アルミニウム化合物触媒成分(d)に由来するアルミニウム原子(Al)と、メタロセン触媒成分(a)に由来する遷移金属原子(M)との原子比[Al/M]は、5〜300、好ましくは10〜200、さらに好ましくは15〜150の範囲である。
【0057】
スラリー重合法における重合温度は、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲であり、溶液重合法における重合温度は、通常−50〜500℃、好ましくは0〜400℃の範囲である。また、気相重合法における重合温度は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲である。
【0058】
重合圧力は、通常常圧ないし100kg/cm2 、好ましくは2〜50kg/cm2 の加圧条件下であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式においても行なうことができる。
【0059】
本発明においては、上記エチレン・α- オレフィン共重合体(A)の調製に際し、必要に応じて(1) 多段重合、(2) 液相と気相の多段重合、または(3) 液相での予備重合を行なった後に気相での重合を行なう等の手段を採用することができる。本発明においては、上記(1) の多段重合が好ましい。
【0060】
多段重合法としては、たとえば、次のような多段重合法が挙げられる。
[1]上記一般式[I]で表わされるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物からなるメタロセン触媒成分と、
有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分と
を含むメタロセン系触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合させ、エチレン・α- オレフィン共重合体(A−1)を製造する工程と、
[2]上記共重合反応が行なわれる重合器とは異なる重合器において、
上述した一般式[I]で表わされるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物からなるメタロセン触媒成分と、
有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分と
を含むメタロセン系触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合させ、エチレン・α- オレフィン共重合体(A−2)を製造する工程と
を含むオレフィンの多段重合法が挙げられる。ただし、工程[1]における製造条件と工程[2]における製造条件とは異なる。このような製造条件としては、たとえばメタロセン触媒成分の種類および量、有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分の種類および量、あるいはエチレンとα- オレフィンとのモル比などが挙げられる。
【0061】
上記共重合工程[1]および/または[2]において用いられるメタロセン系触媒が、メタロセン触媒成分(a)および有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)に加え、有機アルミニウム化合物触媒成分(d)を含む触媒であってもよく、また、微粒子状担体(c)にメタロセン触媒成分(a)および有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)が担持された固体触媒であってもよい。また、これらのメタロセン系触媒は、微粒子状担体(c)にメタロセン触媒成分(a)および有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)が担持された固体触媒成分にオレフィンが予備重合されてなる予備重合触媒であってもよい。さらに、これらのメタロセン系触媒は、上記固体触媒(固体触媒成分)と有機アルミニウム化合物触媒成分(d)とからなる触媒、あるいは上記予備重合触媒(予備重合触媒成分)と有機アルミニウム化合物触媒成分(d)とからなる触媒であってもよい。
【0062】
この多段重合法では、直列に結合した複数の重合器を用いて、先ず上記のエチレン・α- オレフィン共重合体(A−1)を製造し、次いで、エチレン・α- オレフィン共重合体(A−1)の製造に用いた重合器とは異なる重合器にエチレン・α- オレフィン共重合体(A−1)を導入し、エチレン・α- オレフィン共重合体(A−1)の存在下にエチレン・α- オレフィン共重合体(A−2)を製造することができる。
【0063】
また、複数の重合器を並列に結合し、各重合器において、それぞれエチレン・α- オレフィン共重合体(A−1)、(A−2)を製造し、次いで、両共重合体をブレンドすることもできる。
【0064】
本発明においては、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)は、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、60〜100重量部、好ましくは65〜99重量部、さらに好ましくは70〜95重量部の割合で用いられる。
【0065】
[高圧法低密度ポリエチレン(B)]
本発明においては、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)の成形性を高めるために、高圧法低密度ポリエチレン(B)をエチレン・α- オレフィン共重合体(A)に混合して用いることができる。
【0066】
本発明で用いられるエチレン系共重合体組成物(1)を構成する高圧法低密度ポリエチレン(B)は、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)が0.1〜100g/10分、密度が0.915〜0.935g/cm3 、スウェル比が60%以下であることが好ましい。
【0067】
なお、高圧法低密度ポリエチレン(B)の密度は、上述したエチレン・α- オレフィン共重合体(A)の密度の測定方法と同じ方法で求められる。
また、スウェル比は、以下のようにして求める。
【0068】
メルトフローレート測定時に得られるストランドの先端から5mmの位置の直径をサンプルの径(mm)としてマイクロメーターで測定する。そして、下式によりスウェル比を算出する。
【0069】
スウェル比(%)=[(L1/L0)−1]×100
1 :サンプルの径(mm)
0 :オリフィスの径(=2.0955mm)
上記のような高圧法低密度ポリエチレン(B)は、従来公知の高圧法で製造することができる。
【0070】
本発明においては、高圧法低密度ポリエチレン(B)は、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0〜40重量部、好ましくは1〜35重量部、さらに好ましくは5〜30重量部の割合で用いられる。高圧法低密度ポリエチレン(B)をエチレン・α- オレフィン共重合体(A)に上記割合で混合すると、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)の成形性を高めることができ、成形されたフィルムの透明性が向上する。
【0071】
[防曇剤(C)]
本発明で用いられるエチレン系共重合体組成物(1)を構成する防曇剤(C)は、非イオン系界面活性剤からなる。
【0072】
このような防曇剤(C)としては、具体的には、
ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンジベヘネート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート等のソルビタン系界面活性剤;
グリセリンモノラウレート、グリセリンジラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート等のグリセリン系界面活性剤;
ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノパルミネート等のポリエチレングリコール系界面活性剤;
トリメチロールプロパンモノステアレート等のトリメチロールプロパン系界面活性剤;
ペンタエリスリトールモノパルミテート等のペンタエリスリトール系界面活性剤およびポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ソルビタン- ジグリセリン縮合体のモノおよびジステアレートなどが挙げられる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0073】
本発明における防曇剤(C)としては、下式(1)で表わされるグリセリンアルキルエステル、下式(2)で表わされるジグリセリンアルキルエステル、および下式(3)で表わされるジエタノールアルキルアミンからなる防曇剤が好ましい。
【0074】
【化4】
Figure 0003853504
【0075】
式(1)中、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、水素原子、または炭素原子数12〜22のアシル基である。
1 、R2 およびR3 のアシル基としては、具体的には、C1123CO−、C1327CO−、C1531CO−、C1735CO−、C1939CO−などが挙げられる。中でも、C1531CO−、C1735CO−が好ましい。
【0076】
本発明で好ましく用いられるグリセリンアルキルエステルとしては、具体的には、グリセリンパルミテート(モノ、ジおよびトリエステルを含む)、グリセリンステアレート(モノ、ジおよびトリエステルを含む)などが挙げられる。
【0077】
【化5】
Figure 0003853504
【0078】
式(2)中、R4 、R5 、R6 およびR7 は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数12〜22のアシル基である。
4 、R5 、R6 およびR7 のアシル基としては、具体的には、
1123CO−、C1327CO−、C1531CO−、C1735CO−、
1939CO−などが挙げられる。中でも、C1531CO−、C1735CO−が好ましい。
【0079】
本発明で好ましく用いられるジグリセリンアルキルエステルとしては、具体的には、ジグリセリンパルミテート(モノ、ジ、トリおよびテトラエステルを含む)、ジグリセリンステアレート(モノ、ジ、トリおよびテトラエステルを含む)などが挙げられる。
【0080】
【化6】
Figure 0003853504
【0081】
式(3) 中、R8 は、炭素原子数12〜22のアルキル基であり、具体的に は、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ラウリル基、ステアリル基などが挙げられる。中でも、オクタデシル基、ラウリル基、ステアリル基が好ましい。
【0082】
本発明で好ましく用いられるジエタノールアルキルアミンとしては、具体的には、ジエタノールステアリルアミン、ジエタノールラウリルアミンなどが挙げられる。
【0083】
防曇性の初期効果と持続性を両立させるためには、上記のような異種の界面活性剤を組み合わせて使用するのが好ましい。
この多成分系防曇剤においては、グリセリンアルキルエステル、ジグリセリンアルキルエステルおよびジエタノールアルキルアミンの合計量100重量部に対して、グリセリンアルキルエステルは10〜40重量部、好ましくは20〜30重量部の割合で含まれ、ジグリセリンアルキルエステルは20〜80重量部、好ましくは30〜70重量部の割合で含まれ、ジエタノールアルキルアミンは1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の割合で含まれている。異なる防曇剤を上記範囲内の割合で組み合わせて用いると、防曇性の効果が初期および長期に亘って持続するので好ましい。
【0084】
このような多成分系防曇剤の中でも特に好ましく用いられる防曇剤は、たとえば次の通りである。
(1)グリセリンステアレートと、ジグリセリンステアレートと、ジエタノールステアリルアミンとからなる防曇剤。
(2)グリセリンパルミテートと、ジグリセリンパルミテートと、ジエタノールステアリルアミンとからなる防曇剤。
(3)グリセリンラウレートと、ジグリセリンラウレートと、ジエタノールステアリルアミンとからなる防曇剤。
(4)グリセリンベヘネートと、ジグリセリンベヘネートと、ジエタノールステアリルアミンとからなる防曇剤。
(5)上記(1)から(4)の任意の混合物。
【0085】
上記のような防曇剤(C)は、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部の割合で用いられる。
【0086】
また、防曇剤(C)のフィルム中での保持性を高め、防曇持続性をさらに向上させる目的で、変性ワックスを、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜4重量部、さらに好ましくは1〜3重量部の割合で添加することができる。このような変性ワックスとしては、具体的には、マレイン酸変性ポリエチレンワックス、アクリル酸変性ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックスなどが挙げられる。
【0087】
変性ワックスは、酸価が通常1〜60KOH mg/gであり、分子量(Mv)が通常1,000〜5,000である。
【0088】
[ヒンダードアミン系化合物(D)]
本発明で用いられるヒンダードアミン系化合物(D)は、下式で表わされる化合物またはそのオリゴマーである。
【0089】
【化7】
Figure 0003853504
【0090】
このオリゴマーの例としては、分子量が約1,500であり、軟化点(環球法)が148℃であるオリゴマーなどが挙げられる。
このようなオリゴマーは、たとえばヘキスト社よりホスタビン(Hostavin)N30という商品名で市販されている。
【0091】
上記ヒンダードアミン系化合物(D)は、いわゆるヒンダードアミン系光安定剤(HALS;Hindered Amine Light Stabilizers)として、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0.005〜5重量部、好ましくは0.005〜2重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部の割合で用いられる。ヒンダードアミン系化合物(D)を上記のような割合で用いると、耐候安定性に優れた農業用フィルムが得られる。
【0092】
[その他の成分]
上記のエチレン系共重合体組成物(1)中に、必要に応じて、従来公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、防霧剤、無機化合物、帯電防止剤、熱安定剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0093】
紫外線吸収剤としては、具体的には、
フェニルサリシレート、p-tert- ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシ-5- スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;
2-(2'- ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'- ヒドロキシ-5'-tert- ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'- ヒドロキシ- 3',5'-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'- ヒドロキシ-3'-tert- ブチル-5'-メチルフェニル)-5- クロロベンゾトリアゾール、2-(2'- ヒドロキシ-3',5'- ジ-tert-ブチルフェニル)-5- クロロベンゾトリアゾール、2-(2'- ヒドロキシ-3',5'- ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;
2-エチルヘキシル-2- シアノ-3,3'-ジフェニルアクリレート、エチル-2- シアノ-3,3'-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0094】
上記紫外線吸収剤は、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0.005〜5重量部、好ましくは0.005〜2重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部の割合で用いられる。上記ヒンダードアミン系化合物(D)とともに、紫外線吸収剤を上記のような割合で用いると、得られる農業用フィルムの耐候安定性の改良効果がより大きくなる。
【0095】
上記無機化合物は、保温剤として有効なMg、Ca、AlおよびSiの少なくとも1つの原子を含有する無機酸化物、無機水酸化物、ハイドロタルサイト類などである。
【0096】
具体的には、SiO2 、Al23、MgO、CaO等の無機酸化物;
Al(OH)3 、Mg(OH)2 、Ca(OH)2 等の無機水酸化物;
式 M2+ 1-xAlx(OH)2(An-x/n・mH2
[式中、M2+は、Mg、CaまたはZnの二価金属イオンであり、
n-はCl- 、Br- 、I- 、NO3 2- 、ClO4-、SO4 2- 、CO2 2- 、SiO3 2- 、HPO4 2- 、HBO3 2- 、PO4 2- 等のアニオンであり、
xは、0<x<0.5 の条件を満足する数値であり、
mは、0≦m≦2 の条件を満足する数値である]
で表わされる無機複合化合物、その焼成物等のハイドロタルサイト類などが挙げられる。これらの中でも、ハイドロタルサイト類が好ましく、特に上記式で表わされる無機複合化合物の焼成物が好ましい。
【0097】
上記のような無機化合物は、単独で、あるいは2種以上組合わせて用いることができる。
無機化合物の平均粒径は、10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下であることが望ましい。
【0098】
無機化合物の平均粒径が上記範囲以内であれば、透明性が良好なフィルムを得ることができる。
上記無機化合物は、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)および高圧法低密度ポリエチレン(B)100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは1〜18重量部、さらに好ましくは2〜15重量部の割合で用いられる。
【0099】
無機化合物を上記のような割合で用いると、保温性に優れたフィルムを得ることができる。
本発明に係る農業用フィルムは、上記のようなエチレン系共重合体組成物(1)からなる層を有する。
【0100】
本発明に係る農業用フィルムが上記のエチレン系共重合体組成物(1)で形成される層からなる単層フィルムである場合、この農業用フィルムは、厚みが通常30〜200μm、好ましくは40〜180μm、さらに好ましくは50〜150μmの範囲にある。
【0101】
このような単層フィルムである、本発明に係る農業用フィルムは、次のような物性、特性を有している。
(i)エルメンドルフ引裂強度(JIS Z 1702)は、MD(フィルムの押出し方向)方向で90kg/cm以上、好ましくは100kg/cm以上であり、かつ、TD(フィルムの幅方向)方向で90kg/cm以上、好ましくは100kg/cm以上である。
(ii)厚み100μmでのダートインパクト強度(JIS Z 1707)は、450g以上、好ましくは500g以上である。
(iii)引張破断点強度(JIS K 6781)は、MD方向で350kg/cm2 以上、好ましくは400kg/cm2 以上であり、かつ、TD方向で350kg/cm2 以上、好ましくは400kg/cm2 以上である。
【0102】
上記のような本発明に係る単層構造の農業用フィルムは、上述したエチレン系共重合体組成物(1)から、たとえばインフレーション法、Tダイ法によるフィルム成形によって調製することができる。
【0103】
このインフレーション法によるフィルム成形は、エチレン系共重合体組成物(1)をサーキュラーダイを介して押出し、所定の空気流によって膨張させることにより行なわれる。エチレン系共重合体組成物(1)を押出しする際の樹脂温度は、190〜250℃とすることが好適である。
【0104】
本発明に係る農業用フィルムは、上述したように、上記のようなエチレン系共重合体組成物(1)で形成される層を有する多層構造であってもよい。本発明に係る多層構造の農業用フィルムとしては、たとえば次のような外層と中間層と内層とからなる3層積層フィルムが特に好ましい。
【0105】
外 層
上記3層積層フィルムを構成する外層は、エチレン・α- オレフィン共重合体(E)、ヒンダードアミン系化合物(D)、および必要に応じて高圧法低密度ポリエチレン(B)を含有するエチレン系共重合体組成物(2)から形成されている。
【0106】
[エチレン・α- オレフィン共重合体(E)]
上記3層積層フィルムの外層を形成するエチレン・α- オレフィン共重合体(E)は、エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとからなる共重合体であり、密度が0.925〜0.940g/cm3 、好ましくは0.925〜0.935g/cm3 であること以外は、上述した農業用単層フィルムの形成に際して用いられるエチレン・α- オレフィン共重合体(A)と同じである。
【0107】
このようなエチレン・α- オレフィン共重合体(E)は、上述したエチレン・α- オレフィン共重合体(A)の製造方法と同様の方法で、シングルサイト触媒たとえばメタロセン系オレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.925〜0.940g/cm3 となるように共重合させることによって製造することができる。
【0108】
本発明においては、エチレン・α- オレフィン共重合体(E)は、エチレン・α- オレフィン共重合体(E)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、60〜100重量部、好ましくは65〜99重量部、さらに好ましくは70〜95重量部の割合で用いられる。
【0109】
[高圧法低密度ポリエチレン(B)]
上記3層積層フィルムの外層を形成する高圧法低密度ポリエチレン(B)は、上述した単層構造の農業用フィルム形成に際して用いられる高圧法低密度ポリエチレン(B)と同じである。
【0110】
本発明においては、高圧法低密度ポリエチレン(B)は、必要に応じて、エチレン・α- オレフィン共重合体(E)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0〜40重量部、好ましくは1〜35重量部、さらに好ましくは5〜30重量部の割合で用いられる。
【0111】
[ヒンダードアミン系化合物(D)]
上記3層積層フィルムの外層を形成するヒンダードアミン系化合物(D)は、上述した単層構造の農業用フィルム形成に際して用いられるヒンダードアミン系化合物(D)と同じである。
【0112】
このヒンダードアミン系化合物(D)は、光安定剤として、エチレン・α- オレフィン共重合体(E)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0.005〜5重量部、好ましくは0.005〜2重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部の割合で用いられる。
【0113】
[その他の成分]
上記外層形成用のエチレン系共重合体組成物(2)中に、必要に応じて、上述した防曇剤(C)、紫外線吸収剤および従来公知の酸化防止剤、防霧剤、無機化合物、帯電防止剤、熱安定剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0114】
ここで用いられる防曇剤(C)は、上述した単層構造の農業用フィルム形成に際して用いられる防曇剤(C)と同じである。防曇剤(C)は、エチレン・α- オレフィン共重合体(E)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部の割合で用いられる。
【0115】
また、ここで用いられる無機化合物は、上述した単層構造の農業用フィルム形成に際し必要に応じて用いられる無機化合物と同じである。無機化合物は、エチレン・α- オレフィン共重合体(E)および高圧法低密度ポリエチレン(B)100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは1〜18重量部、さらに好ましくは2〜15重量部の割合で用いられる。外層を形成するに際して無機化合物を上記のような割合で用いると、保温性に優れた3層積層フィルムを得ることができる。
【0116】
中間層
上記3層積層フィルムを構成する中間層は、エチレン・α- オレフィン共重合体(F)、防曇剤(C)、ヒンダードアミン系化合物(D)および必要に応じて高圧法低密度ポリエチレン(B)を含有するエチレン系共重合体組成物(3)から形成されている。
【0117】
[エチレン・α- オレフィン共重合体(F)]
上記3層積層フィルムの中間層を形成するエチレン・α- オレフィン共重合体(F)は、エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとからなる共重合体であり、密度が0.880〜0.920g/cm3 、好ましくは0.890〜0.915g/cm3 であること以外は、上述したエチレン・α- オレフィン共重合体(A)と同じである。
【0118】
このようなエチレン・α- オレフィン共重合体(F)は、上述したエチレン・α- オレフィン共重合体(A)の製造方法と同様の方法で、シングルサイト触媒たとえばメタロセン系オレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを、得られる共重合体の密度が0.880〜0.920g/cm3 となるように共重合させることによって製造することができる。
【0119】
本発明においては、エチレン・α- オレフィン共重合体(F)は、エチレン・α- オレフィン共重合体(F)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、60〜100重量部、好ましくは65〜99重量部、さらに好ましくは70〜95重量部の割合で用いられる。
【0120】
[高圧法低密度ポリエチレン(B)]
上記3層積層フィルムの中間層を形成する高圧法低密度ポリエチレン(B)は、上述した単層構造の農業用フィルム形成に際して用いられる高圧法低密度ポリエチレン(B)と同じである。
【0121】
本発明においては、高圧法低密度ポリエチレン(B)は、エチレン・α- オレフィン共重合体(F)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0〜40重量部、好ましくは1〜35重量部、さらに好ましくは5〜30重量部の割合で用いられる。
【0122】
[防曇剤(C)]
上記中間層形成用のエチレン・α- オレフィン共重合体(F)および高圧法低密度ポリエチレン(B)に添加される防曇剤(C)は、上述した単層構造の農業用フィルム形成に際して用いられる防曇剤(C)と同じである。
【0123】
防曇剤(C)は、エチレン・α- オレフィン共重合体(F)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部の割合で用いられる。
【0124】
[ヒンダードアミン系化合物(D)]
上記3層積層フィルムの中間層を形成するヒンダードアミン系化合物(D)は、上述した単層構造の農業用フィルム形成に際して用いられるヒンダードアミン系化合物(D)と同じである。
【0125】
このヒンダードアミン系化合物(D)は、光安定剤として、エチレン・α- オレフィン共重合体(F)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0.005〜5重量部、好ましくは0.005〜2重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部の割合で用いられる。
【0126】
[その他の成分]
中間層形成用のエチレン系共重合体組成物(3)中に、必要に応じて、上述した紫外線吸収剤、および従来公知の酸化防止剤、無機化合物、防霧剤、帯電防止剤、熱安定剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0127】
また中間層の形成に際して用いられる無機化合物は、上述した単層構造の農業用フィルム形成に際し必要に応じて用いられる無機化合物と同じである。無機化合物は、エチレン・α- オレフィン共重合体(F)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは1〜18重量部、さらに好ましくは2〜15重量部の割合で用いられる。中間層形成に際して無機化合物を上記のような割合で用いると、保温性に優れた3層積層フィルムを得ることができる。
【0128】
内 層
上記3層積層フィルムを構成する内層は、上述したエチレン・α- オレフィン共重合体(A)、防曇剤(C)、ヒンダードアミン系化合物(D)および必要に応じて高圧法低密度ポリエチレン(B)を含有するエチレン系共重合体組成物(1)から形成されている。この組成物(1)については上述した通りである。
本発明においては、上記外層を形成する樹脂の密度(dE またはdEB)と、内層を形成する樹脂の密度(dA またはdAB)とは、
E またはdEB ≧ dA またはdAB
を満足する関係にある。ここに樹脂とは、エチレン・α- オレフィン共重合体、またはエチレン・α- オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンとの共重合体を指す。
【0129】
したがって、上記中間層に含まれている防曇剤(C)の移行は、常に外層よりも内層に向かっての移行が優勢となるため、内層の防曇性を持続することができる。
【0130】
内層形成用のエチレン・α- オレフィン共重合体(A)の密度が0.905g/cm3 よりも小さくなり過ぎると、フィルムの内面のベトツキが大きく、パイプハウスとの滑りが悪く、展張作業性が損なわれる傾向にある。
【0131】
また、防曇剤(C)とともに上述した変性ワックスを併用することが防曇持続性の点から望ましい。
上記のような3層積層フィルムである、本発明に係る農業用フィルムは、外層の厚みが通常3〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは20〜70μmの範囲にあり、中間層の厚みが10〜150μm、好ましくは20〜120μm、さらに好ましくは30〜100μmの範囲にあり、内層の厚みが3〜100μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは20〜70μmの範囲にあり、かつ、これらの層全体の厚みが30〜200μm、好ましくは50〜180μm、さらに好ましくは70〜150μmの範囲にある。
【0132】
このような3層積層フィルムにおいては、外層[I]、中間層[II]および内層[III] の各層の厚みの比(外層[I]/中間層[II]/内層[III] )は、0.2〜4/1〜10/1、好ましくは0.5〜2/2〜6/1であることが望ましい。
【0133】
上記のような3層積層フィルムである、本発明に係る農業用フィルムは、次のような物性、特性を有している。
(i)エルメンドルフ引裂強度(JIS Z 1702)は、MD方向で90kg/cm以上、好ましくは100kg/cm以上であり、かつ、TD方向で90kg/cm以上、好ましくは100kg/cm以上である。
(ii)厚み100μmでのダートインパクト強度(JIS Z 1707)は、900g以上、好ましくは1,000g以上である。
(iii)引張破断点強度(JIS K 6781)は、MD方向で350kg/cm2 以上、好ましくは370kg/cm2 以上であり、かつ、TD方向で350kg/cm2 以上、好ましくは370kg/cm2 以上である。
【0134】
上記のような3層構造を有する、本発明に係る農業用フィルムは、各層で使用するポリエチレン系樹脂および上述した添加剤等の成分をそれぞれ混合し、バンバリーミキサーまたはロールミル、押出機等で溶融混合し、次いで、共押出インフレーション法または共押出Tダイ法により、外層、中間層および内層を積層することによって調製することができる。
【0135】
なお、2層または4層以上の層からなる、本発明に係る農業用フィルムは、これらの調製法に準じて、調製することができる。
【0136】
【発明の効果】
本発明によれば、上述した従来の農業用フィルム(単層および多層フィルム)と比べ、透明性および防曇持続性に優れ、しかも防塵性、強靱性および耐候性に優れた農業用フィルムを提供することができる。本発明に係る農業フィルムは、曇り度が改良され透明性に優れているので、従来の農業用フィルムよりも一段と明るいハウス内環境を提供することができる。
【0137】
また本発明に係る農業用フィルムは、軽量で、かつ使用しているポリマー中の低分子量成分が少ないため、ベトツキが少なく、展張作業性に優れるとともに、高温時のフィルム同士の融着が少ないという利点を有する。
【0138】
特に、上述した3層積層フィルムからなる農業用フィルムは、外層を形成している樹脂が内層を形成している樹脂よりも高密度であるので、防曇持続性が優れている。
【0139】
本発明に係る農業用フィルムは、上記のような効果を有するので、ハウス、トンネル等の農園芸施設に展張し、有用作物の栽培に長期に亘って利用することができる。
【0140】
以下、本発明を実験例により説明するが、本発明は、これら実験例に限定されるものではない。
なお、実験例における農業用フィルムの評価は、下記のようにして行なった。
(1)透明性
透明性の指標として、曇り度をJIS K 6714に準拠して測定した。
【0141】
(2)防曇性
5℃に設定した恒温室内において、図1に示した寸法(mm)の木枠1(側面は板で、上面・下面は開放されている)の傾斜角15゜になっている上面にヒートシールで繋いだフィルムサンプルを張り、フィルム下の木枠1内に30℃の恒温水槽上に設置して所定時間後にフィルム内面に付着している水滴の状態を観察し、フィルムの防曇性として評価した。
<5段階評価>
○ : 流滴状態で、水滴が認められない。
○〜△: 流滴状態で、流れ筋が残っている。
△ : 流れ筋と水滴が混在している。
△〜×: 流れ筋と水滴が混在し、水滴が多い。
× : 細かい水滴がフィルムのほぼ全面に付着している。
(3)エルメンドルフ引裂強度:JIS Z 1702に準拠した方法で縦方向および横方向の強度を測定した。
(4)ダートインパクト強度
ダートインパクト強度は、JIS Z 1707に準拠して(ダート先端径38mm)、衝撃試験を行なって求めた。
【0142】
(5)引張破断点強度
引張破断点強度は、JIS K 6781に準拠し、下記の条件で、多層フィルムのMD方向およびTD方向について、クロスヘッド移動速度一定型引張試験機(インストロン社製)を用いて引張試験を行なって求めた値である。
[試験条件]
試 料 :JIS K 6781
雰囲気温度:23℃
引張速度 :500mm/分
【0143】
【参考例1】
エチレン・ 1- ヘキセン共重合体の調製
[オレフィン重合用触媒の調製]
250℃で10時間乾燥したシリカ5.0kgを80リットルのトルエンで懸濁状にした後、0℃まで冷却した。その後、メチルアルミノオキサンのトルエン溶液(Al;1.33モル/リットル)28.7リットルを1時間で滴下した。この際、系内の温度を0℃に保った。引続き0℃で60分間反応させ、次いで、1.5時間かけて95℃まで昇温し、その温度で20時間反応させた。その後60℃まで降温し上澄液をデカンテーション法により除去した。
【0144】
このようにして得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン80リットルで再懸濁化した。この系内へビス(1,3-n-ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr;34.0ミリモル/リットル)7.4リットルおよびビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr;28.1ミリモル/リットル)1.0リットルを80℃で30分間かけて滴下し、更に80℃で2時間反応させた。その後、上澄液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、1g当り3.6mgのジルコニウムを含有する固体触媒を得た。
【0145】
[予備重合触媒の調製]
1.7モルのトリイソブチルアルミニウムを含有する85リットルのヘキサンに、上記で得られた固体触媒0.85kgおよび1-ヘキセン255gを加え、35℃で12時間エチレンの予備重合を行なうことにより、固体触媒1g当り10gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒を得た。このエチレン重合体の極限粘度[η]は1.74dl/gであった。
【0146】
[重合]
直列に結合した2器の連続式流動床気相重合装置を用い、上記予備重合触媒の存在下に、エチレンと1-ヘキセンとの共重合を行なってエチレン・1-ヘキセン共重合体を得た。
【0147】
上記のようにして得られたエチレン・1-ヘキセン共重合体は、1-ヘキセン含量が7.5重量%であり、密度が0.928g/cm3 であり、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238−65T,190℃、荷重2.16kg)が1.63g/10分であり、GPCによって測定した分子量分布(Mw/Mn)が3.5であった。
【0148】
また、この共重合体は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク一の温度[Tm]が120℃であり、室温におけるn−デカン可溶成分量分率[W]が0.25重量%であった。
【0149】
この共重合体についてGPC−IR分析で測定した上述のB1 は12.2/1000C(炭素原子1000個当たり12.2)であり、B2 は9.9/1000Cであった。
【0150】
【参考例2】
直列に結合した2器の連続式流動床気相重合装置を用い、上記参考例1に記載の予備重合触媒の存在下に、エチレンと1-ヘキセンとの共重合を行なってエチレン・1-ヘキセン共重合体を得た。
【0151】
上記のようにして得られたエチレン・1-ヘキセン共重合体は、1-ヘキセン含量が11重量%であり、密度が0.915g/cm3 であり、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238−65T,190℃、荷重2.16kg)が2.19g/10分であり、GPCによって測定した分子量分布(Mw/Mn)が3.5であった。
【0152】
また、この共重合体は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク一の温度[Tm]が108℃であり、室温におけるn−デカン可溶成分量分率[W]が0.42重量%であった。
【0153】
この共重合体についてGPC−IR分析で測定した上述のB1 は18.6/1000Cであり、B2 は14.7/1000Cであった。
【0154】
【参考例3】
参考例1と同様の方法で第1表に示すようなエチレン・1-ヘキセン共重合体を得た。
【0155】
【表1】
Figure 0003853504
【0156】
実施例1、2】第1表に示す樹脂を用いて、第2表に示す条件で、厚み100μmの三層フィルムを下記の条件でインフレーション成形した。
[インフレーション成形条件]
成形機 : アルピネ社製3層機
ダイ口径 : 400mm
成形温度 : 200℃
折幅 : 1500mm
厚さ : 全層100μm
(外層/中間層/内層=20μm/60μm/20μm)
上記のようにして得られたフィルムの物性を第3表に示す。
【0157】
参考例4
実施例1において、ヒンダードアミン系化合物として用いたヘキスト社製のホスタビン(Hostavin)N30(商品名)の代わりに、チバガイギー社製のキマソーブ(Chimassorb)944(商品名;ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ}-1,3,5- トリアジン-2,4- ジイル{4-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン];ヒンダードアミン化合物)を用いた以外は、実験例1と同様にして、厚み100μmの三層フィルム(外層/中間層/内層=20μm/60μm/20μm)をインフレーション成形した。上記のようにして得られたフィルムの物性を第3表に示す。
【0158】
参考例5
実施例2において、ヒンダードアミン系化合物として用いたヘキスト社製のホスタビン(Hostavin)N30(商品名)の代わりに、チバガイギー社製のキマソーブ(Chimassorb)944(商品名;ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ}-1,3,5- トリアジン-2,4- ジイル{4-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン];ヒンダードアミン化合物)を用いた以外は、実験例2と同様にして、厚み100μmの三層フィルム(外層/中間層/内層=20μm/60μm/20μm)をインフレーション成形した。上記のようにして得られたフィルムの物性を第3表に示す。
【0159】
実施例3
実施例1において、添加剤の種類及びその配合量並びに各層の厚みを第2表に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にして、厚み150μmの三層フィルムを得た。得られた三層フィルムの物性を第3表に示す。
【0160】
【表2】
Figure 0003853504
【0161】
【表3】
Figure 0003853504

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る実験例における多層フィルムの防曇性試験で用いた木枠の概略斜視図である。
【符号の説明】
1 ・・・・・ 木枠

Claims (13)

  1. [I]エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合して得られ、密度が0.905〜0.935g/cm3 であり、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であるエチレン・α- オレフィン共重合体(A)100重量部、または
    該エチレン・α- オレフィン共重合体(A)40重量%以下の量の高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物100重量部と、
    [II]グリセリンアルキルエステル、ジグリセリンアルキルエステルおよびジエタノールアルキルアミンからなる防曇剤(C)0.05〜5重量部と、
    [III]下式
    Figure 0003853504
    で表わされる化合物またはそのオリゴマーからなるヒンダードアミン系化合物(D)0.005〜5重量部と
    を含有するエチレン系共重合体組成物(1)で形成される層を有してなり、
    該エチレン・α- オレフィン共重合体(A)、またはエチレン・α- オレフィン共重合体(A)と高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物は、
    (i)GPCによって測定した分子量分布(Mw/Mn:Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)が1.5〜5.0の範囲にあり、
    (ii)23℃におけるn-デカン可溶成分量分率(W(重量%))と密度(d)とが、W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1で示される関係を満たし、
    (iii)GPC−IRによる高分子量側の分岐数の平均値をB1 、低分子量側の分岐数の平均値をB2 とするとき、B1 ≧ B2であることを特徴とする農業用フィルム。
  2. 前記のエチレン・α- オレフィン共重合体(A)、防曇剤(C)、ヒンダードアミン系化合物(D)および必要に応じて高圧法低密度ポリエチレン(B)を含有するエチレン系共重合体組成物(1)で形成される層からなる単層フィルムであり、かつ、
    該フィルムは、
    (i)エルメンドルフ引裂強度がMD方向で90kg/cm以上であり、かつ、TD方向で90kg/cm以上であり、
    (ii)厚み100μmでのダートインパクト強度が450g以上であり、
    (iii)引張破断点強度がMD方向で350kg/cm2 以上であり、かつ、TD方向で350kg/cm2 以上であることを特徴とする請求項1に記載の農業用フィルム。
  3. 前記エチレン・α- オレフィン共重合体(A)が、メタロセン系触媒を用いて調製されたエチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の農業用フィルム。
  4. 前記エチレン系共重合体組成物(1)中に、Mg、Ca、AlおよびSiの少なくとも1つの原子を含有する無機化合物が、エチレン・α- オレフィン共重合体(A)100重量部および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して1〜20重量部含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の農業用フィルム。
  5. 厚みが30〜200μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の農業用フィルム。
  6. [I]エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合して得られ、密度が0.925〜0.940g/cm3 であり、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であるエチレン・α- オレフィン共重合体(E)100重量部、または
    該エチレン・α- オレフィン共重合体(E)と40重量%以下の量の高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物100重量部と、
    下式
    Figure 0003853504
    で表わされる化合物またはそのオリゴマーからなるヒンダードアミン系化合物(D)0.005〜5重量部と
    を含有するエチレン系共重合体組成物(2)からなる外層、
    [II]エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合して得られ、密度が0.880〜0.920g/cm3 であり、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であるエチレン・α- オレフィン共重合体(F)100重量部、または
    該エチレン・α- オレフィン共重合体(F)と40重量%以下の量の高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物100重量部と、
    グリセリンアルキルエステル、ジグリセリンアルキルエステルおよびジエタノールアルキルアミンからなる防曇剤(C)0.05〜5重量部と、
    前記ヒンダードアミン系化合物(D)0.005〜5重量部と
    を含有するエチレン系共重合体組成物(3)からなる中間層、および
    [III]エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共重合して得られ、密度が0.905〜0.935g/cm3 であり、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であるエチレン・α- オレフィン共重合体(A)100重量部、または
    該エチレン・α- オレフィン共重合体(A)と40重量%以下の量の高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物100重量部と、
    グリセリンアルキルエステル、ジグリセリンアルキルエステルおよびジエタノールアルキルアミンからなる防曇剤(C)0.05〜5重量部と、
    前記ヒンダードアミン系化合物(D)0.005〜5重量部とを含有するエチレン系共重合体組成物(1)からなる内層
    が積層されてなる多層フィルムであり、
    該外層を形成するエチレン・α- オレフィン共重合体(E)またはエチレン・α- オレフィン共重合体(E)と高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物の密度(dE またはdEB)と該内層を形成するエチレン・α- オレフィン共重合体(E)またはエチレン・α- オレフィン共重合体(A)と高圧法低密度ポリエチレン(B)の密度(dA またはdAB)とが、dE またはdEB ≧ dA またはdABを満足する関係にあることを特徴とする農業用フィルム。
  7. 前記の外層を形成するエチレン・α- オレフィン共重合体(E)またはエチレン・α- オレフィン共重合体(E)と高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物、および中間層を形成するエチレン・α- オレフィン共重合体(F)またはエチレン・α- オレフィン共
    重合体(F)と高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物は、
    (i)GPCによって測定した分子量分布(Mw/Mn:Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)が1.5〜5.0の範囲にあり、
    (ii)23℃におけるn-デカン可溶成分量分率(W(重量%))と密度(d)とが、
    W<80×exp(−100(d−0.88))+0.1で示される関係を満たし、
    (iii)GPC−IRによる高分子量側の分岐数の平均値をB1 、低分子量側の分岐数の平均値をB2 とするとき、
    1 ≧ B2
    であることを特徴とする請求項6に記載の農業用フィルム。
  8. 前記エチレン・α- オレフィン共重合体(E)および(F)が、メタロセン系触媒を用いて調製されたエチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項6または7に記載の農業用フィルム。
  9. 前記エチレン系共重合体組成物(2)中に、前記防曇剤(C)がエチレン・α- オレフィン共重合体(E)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、0.05〜5重量部含まれていることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の農業用フィルム。
  10. 前記エチレン系共重合体組成物(2)中に、Mg、Ca、AlおよびSiの少なくとも1つの原子を含有する無機化合物が、エチレン・α- オレフィン共重合体(E)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、1〜20重量部含まれていることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の農業用フィルム。
  11. 前記エチレン系共重合体組成物(3)中に、Mg、Ca、AlおよびSiの少なくとも1つの原子を含有する無機化合物が、エチレン・α- オレフィン共重合体(F)および高圧法低密度ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、1〜20重量部含まれていることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の農業用フィルム。
  12. 前記外層[I]、中間層[II]および内層[III] の各層の厚みの比(外層[I]/中間層[II]/内層[III] )が0.2〜4/1〜10/1であり、かつ、これらの層全体の厚みが30〜200μmであることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の農業用フィルム。
  13. (i)エルメンドルフ引裂強度がMD方向で90kg/cm以上であり、かつ、TD方向で90kg/cm以上であり、
    (ii)厚み100μmでのダートインパクト強度が900g以上であり、
    (iii)引張破断点強度がMD方向で350kg/cm2 以上であり、かつ、TD方向で350kg/cm2 以上であることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載の農業用フィルム。
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