JP3710543B2 - 農業用フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特定の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体からなる優れた機械的強度等の物性を有する農業用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
温室栽培用の農業用ハウス、トンネルハウス等に用いられる被覆フィルムや、地表に密着展伸して地表を被覆するために用いられるマルチフィルムなどの農業用フィルムとしては従来より、高圧重合法による低密度ポリエチレン(以下LDPEと称す)、チーグラー系触媒による重合で得られる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPEと称す)をはじめとするポリオレフィン系樹脂、および塩化ビニル樹脂からなるフィルムが広く知られている。これらのうちポリオレフィン系樹脂は透明性が良く、水蒸気透過率が高いなどのほか、塩化ビニル樹脂のようにフィルム廃棄焼却時に有毒ガスが発生しないことからも農業用フィルムとして多く使われている。
しかし、従来農業用に使用されているLDPE等のポリオレフィン系フィルムは、機械的強度が劣り未だ満足すべきものではない。すなわち、農業用フィルムにはハウス等にフィルムを張設したり、また地表にマルチフィルムを密着展伸したりする際の展張に耐えるに十分な引張強度、引き裂き強度を有することが必要である。またフィルムによるマルチングには土壌の流出防止や土のはね返り防止などの目的もあるのでこの点からも機械的強度が必要とされるにもかかわらず、今まで農業用に用いられてきたポリオレフィン系フィルムは十分な機械的強度を有しない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑み、農業用フィルムとしてのポリオレフィン系樹脂の特徴、すなわち安価であること、透明性が良いことなどを有し、さらに機械的強度が改善された農業用フィルムを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討の結果、特定のパラメーターを満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体を用いた単層フィルムあるいは他のフィルムとの積層フィルムが上記目的を達成することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明の第1は、(A)少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンまたはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを(共)重合させることにより得られる下記(イ)〜(ヘ)の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体100〜20重量%、(B)他のオレフィン系(共)重合体0〜80重量%を必須構成樹脂とする農業用フィルムである。
〈性状〉
(イ)密度0.86〜0.96g/cm3
(ロ)メルトフローレート(MFR)0.01〜100g/10min.、
(ハ)分子量分布(Mw/Mn)1.5〜5.0、
(ニ)組成分布パラメーターCb1.08〜2.00、
(ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在し、かつ該複数個存在するピークの高温側のピークが85℃〜100℃の間に存在する
(へ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する
a)d−0.008×logMFR≧0.93の場合
X<2.0
b)d−0.008×logMFR<0.93の場合
X<9.8×10 3 × (0.9300 −d+ 0.008 × logMFR) 2 2.0
【0006】
本発明の第2は、上記(A)エチレンと炭素数3〜20の・α−オレフィンとの共重合体が、下記a1〜a5の触媒形成化合物からなる触媒を用いて重合したものである上記の農業用フィルムである。
<触媒形成化合物>
a 1:一般式Me (OR 4−p−q で表される化合物
(式中Me1はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R1およびR2は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X1はハロゲン原子を示し、pおよびqは各々0≦p<4,0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である)、
a2:一般式Me (OR z−m−n で表される化合物
(式中Me は周期律表第I〜 III 族元素、R およびR は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X はハロゲン原子または水素原子(ただし、X が水素原子の場合はMe は周期律表第 III 族元素の場合に限る)を示し、zはMe の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ0≦m+n≦zである)、
a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物、および
a4:有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物、
a5:無機担体および/または粒子状ポリマー担体
本発明の第3は、上記の樹脂または樹脂組成物100重量部に防曇剤および/または帯電防止剤0.01〜10重量部を配合してなる農業用フィルムである。
本発明の第4は、上記のフィルムと他のフィルムを含む積層フィルムからなることを特徴とする農業用フィルムである。
【0007】
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明において用いられるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体は、図2に示されるような、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークが複数個の特殊な新規エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)であり、図1に示されるような、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において実質的にピークを1個有するもの(A1)とは区別される。
【0008】
上記本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとは、炭素数が3〜20、好ましくは3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0009】
上記本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体の(イ)密度は0.86〜0.96g/cm3 、好ましくは0.90〜0.94g/cm3 、さらに好ましくは0.91〜0.93g/cm3 の範囲であり、(ロ)メルトフローレート(以下MFRと称す)は0.01〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分、さらに好ましくは0.5〜40g/10分の範囲である。密度が0.86g/cm3 未満のものは柔らかすぎて耐熱性が不良となり、抗ブロッキング性が劣るものとなる。また、0.96g/cm3 を越えると硬すぎて、引き裂き強度、衝撃落下強度等が低くなる。MFRが0.01g/10分未満では加工性が不良となり、100g/10分を越えると強度が弱いものとなる。
【0010】
一般に、エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、それらの比(Mw/Mn)を算出することにより求めることができ、本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体の(ハ)Mw/Mnは、1.5〜5.0の範囲である。
(ハ)Mw/Mnは、好ましくは1.5〜4.5、さらに好ましくは1.8〜4.0、最も好ましくは2.0〜3.0の範囲にあることが望ましい。
上記Mw/Mnが1.5未満では成形加工性が劣り、5.0を越えるものは耐衝撃性が劣る。
【0011】
本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体の(ニ)組成分布パラメーター(Cb)の測定法は下記の通りである。
すなわち、酸化防止剤を加えたオルソジクロルベンゼン(ODCB)に試料を濃度が0.2重量%となるように135℃で加熱溶解した後、けい藻土(セライト545)を充填したカラムに移送した後、0.1℃/minの冷却速度で25℃まで冷却し、共重合体試料をセライト表面に沈着する。次に、この試料が沈着されているカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃きざみに120℃まで段階的に昇温して行く。すると各温度に対応した溶出成分を含んだ溶液が採取される。この溶液にメタノールを加え、試料を沈澱後、ろ過、乾燥し、各温度における溶出試料を得る。各試料の、重量分率および分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)を測定する。分岐度は13C−NMRで測定し求める。
【0012】
このような方法で30℃から90℃で採取した各フラクションについては次のような、分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し、検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラクションについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないのでこの補正は行わない。
【0013】
次にそれぞれのフラクションの重量分率wi を、溶出温度5℃当たりの分岐度bi の変化量(bi −bi-1 )で割って相対濃度ci を求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
【0014】
【数1】
Figure 0003710543
【0015】
ここで、cj とbj はそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0016】
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布を表現する方法は多くの提案がなされている。例えば特開昭60−88016号では、試料を溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係数R2 はかなり低く、値の精度は充分でない。また、このCw/Cnの測定法および数値処理法は、本発明のCbのそれと異なるが、あえて数値の比較を行えば、Cw/Cnの値は、Cbよりかなり大きくなる。
【0017】
本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体の(ニ)組成分布パラメーター(Cb)は2.00以下であり、典型的なメタロセン触媒によるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)においては、好ましくは1.01〜1.2、さらに好ましくは1.02〜1.18、最も好ましくは1.03〜1.17の範囲にあることが望ましい。また本発明の特殊なエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A2)においては、好ましくは1.08〜2.00、さらに好ましくは1.10〜1.80、より好ましくは1.15〜1.50の範囲にあることが望ましい。
組成分布パラメーター(Cb)が2.00より大きいとブロッキングしやすく、ヒートシール性も不良となり、低分子量あるいは高分岐度成分の樹脂表面へのにじみ出しが多くブロッキング等問題が生じる。
【0018】
本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体の(ヘ)25℃のおけるODCB可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRの関係は、dおよびMFRの値が、
d−0.008 logMFR≧0.93を満たす場合は、
Xは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、
d−0.008 logMFR<0.93の場合は、
X<9.8×103 ×(0.9300−d+0.008logMFR)2+2.0
好ましくは、
X<7.4×103 ×(0.9300−d+0.008logMFR)2+1.0
さらに好ましくは、
X<5.6×103 ×(0.9300−d+0.008logMFR)2+0.5
の関係を満足していることが必要である。
【0019】
上記25℃におけるODCB可溶分の量は、下記の方法により測定する。
試料0.5gを20mlのODCBにて135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過してろ液を採取する。このろ液の非対称伸縮振動の波数2925cm-1付近の吸収ピーク面積を求め、予め作成した検量線により試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分量が求まる。
【0020】
25℃におけるODCB可溶分は、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量成分であり、衛生性の問題や成形品内面のブロッキングの原因となる為、この含有量は少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量は、コモノマーの含有量および分子量に影響される。従ってこれらの指標である密度よびMFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体全体に含まれるα−オレフィンの偏在が少ないことを示す。
【0021】
本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体は、(ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個存在し、図1の典型的なメタロセン触媒による本発明外の重合体(A1)と明確に区別されるものである。この複数のピーク温度は85℃から100℃の間に存在する。このピークが存在することにより、フィルムの耐熱性が向上する。
【0022】
本発明にかかわるTREFの測定方法は下記の通りである。試料を酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキシトルエン)を加えたODCBに試料濃度が0.05重量%となるように加え、135℃で加熱溶解する。この試料溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入し、0.1℃/分の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温しながら、試料を順次溶出させる。この際、溶剤中に溶出する試料の濃度は、メチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm-1に対する吸収を赤外検出機で測定することにより連続的に検出される。この値から、溶液中のエチレン・α−オレフィン共重合体の濃度を定量分析し、溶出温度と溶出速度の関係を求める。TREF分析によれば、極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析出来るため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0023】
本発明外の参考実施例に示す図1に示される。
前記典型的なメタロセン触媒による、エチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)はシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と必要により助触媒、有機アルミニウム化合物、担体とを含む少なくとも1種の触媒の存在下にエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより得られるものである。
【0024】
このエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体(A1)を製造する触媒であるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物のシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数1〜10の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも1種の置換基を有する置換シクロペンタジエニル基等である。該置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また係る置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
【0025】
上記の炭素数1〜10の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロアルキル基等のシクロアルキル基;フェニル基,トリル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフイル基等のアラルキル基等が例示される。これらの中でもアルキル基が好ましい。
置換シクロペンタジエニル基の好適なものとしては、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ヘキシルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−n−ブチルメチルシクロペンタジエニル基、1,3−n−プロピルメチルエチルシクロペンタジエニル基などが具体的に挙げられる。本発明の置換シクロペンタジエニル基としては、これらの中でも炭素数3以上のアルキル基が置換したシクロペンタジエニル基が好ましく、特に1,3−置換シクロペンタジエニル基が好ましい。
置換基同士すなわち炭化水素同士が互いに結合して1または2以上の環を形成する場合の置換シクロペンタジエニル基としては、インデニル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換インデニル基、ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換ナフチル基、炭素数1〜8の炭化水素基(アルキル基等)等の置換基により置換された置換フルオレニル基等が好適なものとして挙げられる。
【0026】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物の遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウムが好ましい。
該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常1〜3個を有し、また2個以上有する場合は架橋基により互いに結合していてもよい。なお、係る架橋基としては炭素数1〜4のアルキレン基、アルキルシランジイル基、シランジイル基などが挙げられる。
【0027】
周期律表第IV族の遷移金属化合物においてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜20の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基などが挙げられる。
【0028】
これらの具体例としては以下のものがある。ジアルキルメタロセンとして、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジフェニルなどがある。モノアルキルメタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムフェニルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロライドなどがある。
またモノシクロペンタジエニルチタノセンであるペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルなどが挙げられる。
【0029】
置換ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物としては、ビス(インデニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタジエニルチタニウム化合物としては、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライド、ビス(1,2−ジエチルシクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルまたはジクロライドまたは他のジハライド錯体、シリコン、アミンまたは炭素連結シクロペンタジエン錯体としてはジメチルシリルジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジクロライド、メチレンジシクロペンタジエニルチタニウムジフェニルまたはジクロライド、他のジハライド錯体が挙げられる。
【0030】
ジルコノセン化合物としては、ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、ペンタエチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、アルキル置換シクロペンタジエンとしては、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、それらのハロアルキルまたはジハライド錯体、ジアルキル、トリアルキル、テトラアルキルまたはペンタアルキルシクロペンタジエンとしてはビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、およびそれらのジハライド錯体、シリコン、炭素連結シクロペンタジエン錯体としては、ジメチルシリルジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライド、メチレンジシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルまたはジハライドなどが挙げられる。
【0031】
さらに他のメタロセンとしては、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウムジクロライドなどが挙げられる。
【0032】
本発明の他の周期律表第IV族の遷移金属化合物の例として、下記一般式で示されるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子とそれ以外の配位子および遷移金属原子が環を形成するものも挙げられる。
【0033】
【化1】
Figure 0003710543
【0034】
式中、Cpは前記シクロペンタジエニル骨格を有する配位子、X2 は水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、アリールシリル基、アリールオキシ基、アルコキシ基、アミド基、シリルオキシ基等を表し、YはSiR2 、CR2 、SiR2 SiR2 、CR2 CR2 、CR=CR、SiR2 CR2 、BR2 、BRからなる群から選ばれる2価の基、Zは−O−、−S−、−NR−、−PR−またはOR、SR、NR2 、PR2 からなる群から選ばれる2価中性リガンドを示す。ただし、Rは水素または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、またはY、ZまたはYとZの双方からの2個またはそれ以上のR基は縮合環系を形成するものである。Mは周期律表第IV族の遷移金属原子を表す。
【0035】
式Iで表される化合物の例としては、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)メチレンタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(フェニルホスフイド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタンジクロライドなどが挙げられる。
【0036】
前記でいう助触媒としては、前記周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうるものまたは触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衡させうるものをいう。
助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、ホウ素化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ等が挙げられる。これらの中でもアルミノキサンが最も好ましい。
【0037】
また、触媒は無機または有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2 、Al2 3 、MgO、ZrO2 、TiO2 、B2 3 、CaO、ZnO、BaO、ThO2 等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2 −Al2 3 、SiO2 −V2 5 、SiO2 −TiO2 、SiO2 −MgO、SiO2 −Cr2 5 等が挙げられる。
【0038】
有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
【0039】
本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体の製造は、少なくとも共役二重結合を持つ有機化合物および周期律表第 IV 族の遷移金属化合物を含む触媒、好ましくは以下のa1〜a5の触媒で重合したものであることが望ましい。
a1:一般式Me11 p (OR2q1 4-p-qで表される化合物(式中Me1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R1 およびR2 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X1 はハロゲン原子を示し、pおよびqはそれぞれ0≦p<4、0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である)。
a2:一般式Me23 m (OR4n2 z-m-n で表される化合物(式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素、R3 およびR4 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、X2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 は周期律表第III 族元素の場合に限る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである)。
a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物。
a4:Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物。
a5:無機担体および/又は粒子状ポリマー担体を相互に接触させて得られる触媒。
【0040】
以下さらに詳述する。
上記触媒成分a1の一般式Me1 1 p (OR2 q 1 4-p-qで表される化合物の式中、Me1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、これらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の耐候性の優れるジルコニウムが含まれることが特に好ましい。R1 およびR2 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X1 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示す。pおよびqはそれぞれ0≦p<4、0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である。
【0041】
上記触媒成分a1の一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、特にテトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウムなどのZr(OR)4 化合物が好ましく、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。
【0042】
上記触媒成分a2の一般式Me2 3 m (OR4 n 2 z-m-n で表される化合物の式中Me2 は周期律表第I〜III 族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。R3 およびR4 はそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X2 はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 はホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表第III 族元素の場合に限るものである。また、zはMe2 の価数を示し、mおよびnはそれぞれ、0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0043】
上記触媒成分a2の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0044】
上記触媒成分a3の共役二重結合を持つ有機環状化合物には、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0045】
上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
【0046】
環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
L SiR4-L
ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0047】
上記成分a3の有機環状炭化水素化合物の具体例は、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−インデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシランなどが挙げられる。
【0048】
触媒成分a4のAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物とは、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより、通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムオキシ化合物が得られ、分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有する。また、変性有機アルミニウムオキシ化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0049】
有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましい。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0050】
触媒成分a5の無機物担体および/または粒子状ポリマー担体とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
具体的にはSiO2 、Al2 3 、MgO、ZrO2 、TiO2 、B2 3 、CaO、ZnO、BaO、ThO2 等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO2 −Al2 3 、SiO2 −V2 5 、SiO2 −TiO2 、SiO2 −V2 5 、SiO2 −MgO、SiO2 −Cr2 3 等が挙げられる。これらの中でもSiO2 およびAl2 3 からなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
また、有機化合物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0051】
上記無機物担体および/または粒子状ポリマー担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウムオキシ化合物などに接触処理させた後に成分a5として用いることもできる。
【0052】
上記本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体は分子量分布および組成分布が適度に狭いため、機械的強度が強く、ヒートシール性、抗ブロッキング性に優れしかも耐熱性の良い重合体である。
【0053】
本発明のエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法は、前記触媒の存在下、実質的に溶媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で製造され、実質的に酸素、水等を断った状態で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等に例示される不活性炭化水素溶媒の存在下または不存在下で製造される。重合条件は特に限定されないが、重合温度は通常15〜350℃、好ましくは20〜200℃、さらに好ましくは50〜110℃であり、重合圧力は低中圧法の場合通常常圧〜70kg/cm2 G、好ましくは常圧〜20kg/cm2 Gであり、高圧法の場合通常1500kg/cm2 G以下が望ましい。重合時間は低中圧法の場合通常3分〜10時間、好ましくは5分〜5時間程度が望ましい。高圧法の場合、通常1分〜30分、好ましくは2分〜20分程度が望ましい。また、重合は一段重合法はもちろん、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度、触媒等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段重合法など特に限定されるものではない。
【0054】
本発明で使用するポリオレフィン系樹脂(B)とは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1樹脂、ポリ−4−メチル−1−ペンテン樹脂;、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン−ジエン共重合体ゴム、エチレン・ブテン−1共重合体ゴムなどのオレフィン系ゴム等を包含し、これらの中でもポリエレチン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が、機械的強度や経済性、汎用性等の点で好ましく、とりわけポリエチレン系樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂とは、公知の技術によって重合されたプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体を含む。これらの中でもプロピレン単独重合体やプロピレン−エチレンランダム共重合体が透明性に優れて好ましいものである。
上記ポリオレフィン系樹脂の中ではエチレンの単独重合体および/またはエチレンの共重合体(エチレン(共)重合体)が透明性、柔軟性、強度のバランスがよく、好ましく用いられる。
該エチレン系(共)重合体(B)とは、まず、(A)成分とは異なるエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体、すなわち従来公知のチーグラー触媒あるいはフィリップス触媒等を用いる、高・中・低圧法およびその他の公知の方法によるエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。これは、(A)成分より一般的には分子量分布あるいは組成分布が広く、密度が0.94g/cm3 以上の高密度ポリエチレン(以下HDPEと称す)、密度が0.91〜0.94g/cm3 の線状低密度ポリエチレン(以下LLDPEと称す)、密度が0.86〜0.91g/cm3 の超低密度ポリエチレン(以下VLDPEと称す)、密度が0.86〜0.91g/cm3 のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムを包含する。
【0055】
上記HDPEとは、密度が0.94〜0.97g/cm3 、好ましくは0.95g/cm3 以上の、公知のチーグラー触媒等を用いてスラリー法、溶液法または気相法による公知のプロセスにより製造されるエチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体およびそれらの混合物であり、具体的なα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン等を挙げることができる。これらのα−オレフィンのうち特に好ましいのは炭素数3〜8のα−オレフィンである。
これらの重合体のMFRは、0.01〜30g/10分、好ましくは0.02〜20g/10分の範囲で選択される。
【0056】
上記LLDPEとは、密度が0.91〜0.94g/cm3 、好ましくは0.91〜0.93g/cm3 の範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、MFRが0.05〜30g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分の範囲で選択される。
分子量分布(Mw/Mn)は特に限定はないが、3.0〜13、好ましくは3.5〜8の範囲にあるのが一般的である。
上記LLDPEのα−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12、さらに好ましくは炭素数6〜12の範囲のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
上記MFRが0.05g/10分未満では、成形性が悪化し、30g/10分を超えるものは耐衝撃性やヒートシール強度等が低下するおそれを生じる。
【0057】
また上記VLDPEとは、密度が0.86〜0.91g/cm3 、好ましくは0.88〜0.905g/cm3 の範囲のエチレン−α−オレフィン共重合体であり、MFRが0.01〜20g/10分、好ましくは0.1〜10g/10分の範囲で選択される。該VLDPEは、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)の中間の性状を示すポリエチレンであり、示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク温度(Tm )60℃以上、好ましくは、100℃以上、かつ沸騰n−ヘキサン不溶分10重量%以上の性状を有する特定のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、LLDPEが示す高結晶部分とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを合わせ持つ樹脂であって、前者の特徴である耐衝撃性、耐熱性などと、後者の特徴であるゴム状弾性、耐低温衝撃性などがバランスよく共存している。
【0058】
また上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとは、密度が0.86〜0.91g/cm3 未満のエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等が挙げられ、該エチレン・プロピレン系ゴムとしては、エチレンおよびプロピレンを主成分とするランダム共重合体(EPM)、および第3成分としてジエンモノマー(ジクロロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等)を加えたものを主成分とするランダム共重合体(EPDM)が挙げられる。
【0059】
さらに本発明におけるエチレン(共)重合体(B)としては、高圧ラジカル重合法による密度0.91〜0.94g/cm3 のエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン)、エチレン・ビニルエステル共重合体およびエチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体等が挙げられる。
【0060】
上記低密度ポリエチレン(以下LDPEと称す)は、MFRが0.05〜30g/10分、好ましくは0.1〜20g/10分の範囲で選択される。この範囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となりフィルム成形等が容易である。該LDPEの密度は0.91〜0.94g/cm3 、好ましくは0.912〜0.935g/cm3 、さらに好ましくは0.912〜0.930g/cm3 の範囲で選択される。
また、分子量分布(Mw/Mn)は3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0である。これらLDPEの製法は、公知の高圧ラジカル重合法により製造され、チューブラー法、オートクレーブ法のいずれでもよい。
【0061】
また上記エチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造され、エチレンを主成分として、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。さらにビニルエステル含有量は3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%の範囲で選択される。
これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分の範囲で選択される。
【0062】
さらに上記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸のメチル、エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
これら共重合体のMFRは、0.1〜30g/10分、好ましくは0.2〜20g/10分の範囲で選択される。
【0063】
前記(A)成分と(B)成分の配合割合は、(A)成分が100〜20重量%、(B)成分は0〜80重量%を配合するものであり、フィルム強度を重視する場合は(A)成分を50〜100重量%とすることが望ましいが、強度をある程度保有し、かつ加工性、柔軟性、風合いを考慮した場合には(B)成分を適度に、たとえば10〜70重量%配合することが望ましい。
一方、本発明の積層フィルムに用いられる他のフィルムとは、本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)、前記のエチレン系(共)重合体(B)のほか、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等からなるフィルムを指し、これらの重合体の単独成分または2種以上の成分の混合物から構成される。
【0064】
本発明の農業用フィルムは従来公知の成形方法によりフィルムに成形して得ることができる。
すなわち、単層フィルムの場合は通常のインフレーション成形法、Tダイ成形法、積層フィルムの場合は多層ダイを用いて押出機で溶融された樹脂をダイス先端で接合させ積層構造とする多層インフレーション成形法、多層Tダイ成形法等の共押出成形法等の通常の成形法が適用され特に限定されない。
また積層フィルムは予め成形されたフィルムを基材として、それに押出ラミネーション法、ドライラミネーション法、サンドラミネーション法などによって積層する方法によっても得ることができる。
フィルムの厚さは目的とする用途に応じて任意に変えられるが、特にハウス用のフィルムは厚みが100〜200μmと比較的厚く、またマルチフィルムは厚みが10〜50μmと比較的薄いものが適している。
【0065】
さらに農業フィルムの適度の滑り性、帯電防止性、防曇性を得るため防曇剤および/または帯電防止剤を樹脂成分100重量部に対して0.01〜10重量部を配合することが好ましい。
具体的には、ソルビタン脂肪酸エステルとして、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノステアレート等;グリセリン脂肪酸エステルとして、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノベヘネート等;ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレート、テトラグリセリンモノオレート、テトラグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノオレート、デカグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレート等の他、多価アルコールの脂肪酸エステルおよびこれらのエチレンオキサイド付加物、高級脂肪酸アミドおよびこれらのエチレンオキサイド付加物、高級脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらの添加剤は単独あるいは混合組成物として使用されるが、添加量としては通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5.0重量%である。添加量が0.01重量%未満ではフィルムの改質効果が十分ではなく、10重量%を越える場合にはフィルム表面への浮き出し量が多く、フィルムがべたつき、その結果、作業性が著しく低下するなどの問題が起こるため好ましくない。
本発明の農業用フィルムは従来のポリオレフィン系樹脂からなる農業用フィルムと比較して、引張強度、引き裂き強度および衝撃強度において優れているので、容易にハウスに張着したり、マルチング用として地表に展着したりできる。また土砂があたるなどしてフィルムが裂けるということもない。
【0066】
本発明で用いる樹脂および/または樹脂組成物には必要に応じて、酸化防止剤、紫外線など特定波長の光線を吸収する光線吸収剤、カーボンブラック、TiO2 などの顔料、抗ブロッキング剤、老化防止剤、補強剤、充填剤、耐熱性付与剤、可塑剤などの各種添加剤を適宜配合することが可能である。
【0067】
本発明の積層構造からなる農業用フィルムは、前記の樹脂または樹脂組成物からなるフィルムと他のフィルムとからなる少なくとも2層の積層体から構成される。該他のフィルムとしては、限定されないが、農業用フィルムとしての、透明性、機械的強度、経済性等の観点から特にポリオレフィン系樹脂、すなわち前記の他のポリオレフィン系(共)重合体(B)が好ましく使用され、とりわけ密度0.94g/cm3 以下の線状低密度ポリエチレン、高圧ラジカル法エチレン(共)重合体が好ましい。
具体的な積層体の例としては、MLL/LL、MLL/VL、MLL/EVA、MLL/EEA、MLL/LL+LD、MLL/VL+LD、MLL+LD/EVA、MLL+LL/LL、LL/MLL/LL、LL+LD/MLL/LL+LD、EVA/MLL/EVA、LL+LD/MLL+LD/LL+LD、EVA/LL/MLL+LD、LL/HD+VL/MLL、LL/HD/MLL、MLL/EVA/MLL、MLL+LD/EVA/MLL+LD、MLL+LD/EVA/LL、MLL+LL/EVA/MLL+LL、MLL+LL/EVA/LD等が挙げられる。
(ただし、MLL:本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体、LL:従来の線状低密度ポリエチレン、VL:超低密度ポリエチレン、HD:高密度ポリエチレン、LD:高圧ラジカル法低密度ポリエチレン、EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体、EEA:エチレン−アクリル酸エチル共重合体を表わし、LL+LDは混合物を表わす。)
これら積層体の製造は、特に限定されるものではなく、多層インフレーション法、多層Tダイ法等通例の方法で製造される。
【0068】
【発明の実施の態様】
以下に実施例および比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、実施例1、3及び6は本発明外の参考実施例である。
【0069】
【実施例】
実施例おおび比較例における試験法は以下のとおりである。
[密度]JIS K6760準拠。
[MFR]JIS K6760準拠。
[ヘイズ]ASTM D1003準拠。
[引き裂き強度]ASTM D1922準拠。
[ダート衝撃強さ]JIS Z1702準拠。
【0070】
Figure 0003710543
Figure 0003710543
【0071】
(A1)成分については次の方法で重合した。
攪拌機を付したステンレス製オートクレーブを窒素置換し精製トルエンを入れ、次いで1−ブテン、あるいは1−ヘキセンを添加し、更にビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド(Zrとして0.02mmol)、メチルアルモキサン[MAO](MAO/Zr=500[モル比])の混合溶液を加えた後、80℃に昇温した。次に、エチレンを張り込み重合を開始した。エチレンを連続的に重合しつつ、全圧を維持し1時間重合を行った。なお、各実施例に必要な量は、これらの重合を繰り返して製造した。
【0072】
(A2)成分については次の方法で重合した。
(固体触媒の調製)
窒素下で電磁誘導攪拌機付き触媒調製器(No. 1)に精製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジルコニウム(Zr(OPr)2 Cl2 )28gおよびメチルシクロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持しながらトリデシルアルミニウムを45gを滴下し、滴下終了後、反応系を50℃に保持して16時間攪拌した。この溶液をA液とする。次に窒素下で別の攪拌器付き触媒調製器(No. 2)に精製トルエンを加え、前記A溶液と、ついでメチルアルミノキサン6.4molのトルエン溶液を添加し反応させた。これをB液とする。
次に窒素下で攪拌器付き調製器(No. 1)に精製トルエンを加え、ついであらかじめ400℃で所定時間焼成処理したシリカ(富士デビソン社製、グレード#952、表面積300m2 /g)1400gを加えた後、前記B溶液の全量を添加し、室温で攪拌した。ついで窒素ブローにて溶媒を除去して流動性の良い固体触媒粉末を得た。これを触媒Cとする。
【0073】
(試料の重合)
連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cm2 Gでエチレンと1−ブテンあるいは1−ヘキセンの共重合を行った。前記触媒Cを連続的に供給して重合を行ない、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連続的に供給しながら重合を行った。
【0074】
〔実施例1〕
樹脂A11に酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバガイギー(株)製)0.05重量部、イルガフォスP−EPQ(チバガイギー(株)製)0.05重量部、防曇剤としてリケマールAF−82(理研ビタミン(株)製)1重量部、抗ブロッキング剤としてシリカ(セライトスーパーフロス、ジョンマンビル(株)製)0.3重量部を添加し、押出機で混練しペレット化した後、下記条件でインフレーションフィルム成形により厚さ30μmのフィルムを成形し、ヘイズ、引張破断強度、引張伸び、エルメンドルフ引き裂き強度、ダート衝撃強さを測定した。結果を表1に示した。
<インフレーションフィルム成形条件>
成形温度:160〜180℃
ブローアップ比:2.5
フィルム厚み:30μm
【0075】
【表1】
Figure 0003710543
【0076】
〔実施例2〜4〕
表1に示した樹脂組成物とし、実施例1と同様にフィルム成形を行いフィルム物性評価を行った。結果を併せて表1に示した。
〔実施例5〕
樹脂A22に酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバガイギー(株)製)0.05重量部、イルガフォスP−EPQ(チバガイギー(株)製)0.05重量部を添加し、押出機で混練しペレット化した。
また樹脂(B2)防曇剤としてリケマールAF−82(理研ビタミン(株)製)1重量部を添加し、押出機で混練しペレット化した。
下記の成形条件で中間層を上記の添加剤を添加した(A22)成分、内層を上記の添加剤を添加した(B2)成分、外層を(B2)成分とし、下記条件で3層インフレーションフィルム成形により厚み構成を外層10μm/中間層10μm/内層10μmの積層フィルムを成形した。
<多層インフレーションフィルム成形条件>
多層インフレーション成形装置
外層、中間層、内層各40mmφ押出機、
成形温度:160〜180℃
ブローアップ比:2.5
フィルム厚み:30μm
〔実施例6〕
表1に示した樹脂組成とし、実施例5と同様にフィルム成形を行いフィルム物性評価を行った。結果を併せて表1に示した。
【0077】
以上実施例1〜6のフィルムは、いずれもヘイズ、フィルム強度に優れ、農業用フィルムに適したものである。
〔比較例1〕
樹脂に(B1)を使用し、その他は実施例1と同様にフィルム評価を行った。結果を表2に示した。引き裂き強度、ダート衝撃強さで劣るものとなった。
【0078】
【表2】
Figure 0003710543
【0079】
〔比較例2〕
樹脂に(B1)を使用し、その他は実施例1と同様にフィルム評価を行った。結果を表2に示した。引張破断強度、伸び、ダート衝撃強さで劣るものとなった。
〔比較例3〕
樹脂に(A21)と(B1)を使用し、その他は実施例1と同様にフィルム評価を行った。結果を表2に示した。(A21)の量が少ないため引き裂き強度、ダート衝撃強さで劣るものとなった。
〔比較例4〕
樹脂に(A11)と(B2)を使用し、その他は実施例1と同様にフィルム評価を行った。結果を表2に示した。(A11)の量が少ないため引張破断強度、伸び、ダート衝撃強さで劣るものとなった。
〔比較例5〕
樹脂に(B1)と(B3)を使用し、その他は実施例5と同様にフィルム評価を行った。結果を表2に示した。(A)成分を使用していないため、引張破断強度で劣るものとなった。
〔比較例6〕
樹脂に(B1)と(B2)を使用し、その他は実施例5と同様にフィルム評価を行った。結果を表2に示した。(A)成分を使用していないため、引張破断強度、ダート衝撃強さで劣るものとなった。
【0080】
【発明の効果】
本発明の農業用フィルムは、特定の要件を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることにより、フィルム強度、透明性に優れ、ハウス等の張設や地表にマルチフィルムを密着展伸したりする際の展張に耐えるに充分な引張強度、引裂強度を有するものである。また、塩化ビニル樹脂のようにフィルム焼却時に有毒ガスが発生せず、農業用ハウス、トンネルハウス、マルチフィルム等に好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明外の参考実施例のエチレン−α−オレフィン共重合体(A1)の連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線ピーク(単一ピーク)
【図2】 本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体(A2)の連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線ピーク(複数ピーク)

Claims (6)

  1. (A)少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下にエチレンまたはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを(共)重合させることにより得られる下記(イ)〜(ヘ)の要件を満足するエチレン単独重合体またはエチレン・α−オレフィン共重合体100〜20重量%、(B)他のオレフィン系(共)重合体0〜80重量%を必須構成樹脂とする農業用フィルム。
    〈性状〉
    (イ)密度0.86〜0.96g/cm3
    (ロ)メルトフローレート(MFR)0.01〜100g/10min.、
    (ハ)分子量分布(Mw/Mn)1.5〜5.0、
    (ニ)組成分布パラメーターCb1.08〜2.00、
    (ホ)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在し、かつ該複数個存在するピークの高温側のピークが85℃〜100℃の間に存在する
    (へ)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する
    a)d−0.008×logMFR≧0.93の場合
    X<2.0
    b)d−0.008×logMFR<0.93の場合
    X<9.8×10 3 × (0.9300 −d+ 0.008 × logMFR) 2 2.0
  2. 上記(A)エチレンと炭素数3〜20の・α−オレフィンとの共重合体が、下記a1〜a5の触媒形成化合物からなる触媒を用いて重合したものである請求項1に記載の農業用フィルム。
    <触媒形成化合物>
    a 1:一般式Me (OR 4−p−q で表される化合物
    (式中Me1はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R1およびR2は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X1はハロゲン原子を示し、pおよびqは各々0≦p<4,0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である)、
    a2:一般式Me (OR z−m−n で表される化合物
    (式中Me は周期律表第I〜 III 族元素、R およびR は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X はハロゲン原子または水素原子(ただし、X が水素原子の場合はMe は周期律表第 III 族元素の場合に限る)を示し、zはMe の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ0≦m+n≦zである)、
    a3:共役二重結合を持つ有機環状化合物、および
    a4:有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物、
    a5:無機担体および/または粒子状ポリマー担体
  3. 請求項1に記載の必須構成樹脂100重量部に防曇剤および/または帯電防止剤0.01〜10重量部を配合してなる請求項1または2に記載の農業用フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムと他のフィルムを含む積層フィルムからなることを特徴とする農業用フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の農業フィルムからなるハウス用フィルム。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の農業フィルムからなるマルチ用フィルム
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