JPH1158646A - 農業用多層フィルム - Google Patents

農業用多層フィルム

Info

Publication number
JPH1158646A
JPH1158646A JP9217804A JP21780497A JPH1158646A JP H1158646 A JPH1158646 A JP H1158646A JP 9217804 A JP9217804 A JP 9217804A JP 21780497 A JP21780497 A JP 21780497A JP H1158646 A JPH1158646 A JP H1158646A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ethylene
layer
weight
multilayer film
surface layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9217804A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayoshi Kurisu
栖 正 吉 栗
Tatsuya Oe
江 達 也 大
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP9217804A priority Critical patent/JPH1158646A/ja
Publication of JPH1158646A publication Critical patent/JPH1158646A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/25Greenhouse technology, e.g. cooling systems therefor

Landscapes

  • Protection Of Plants (AREA)
  • Greenhouses (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 表面層(a)と裏面層(b)、または表面層
(a)と中間層(c)と裏面層(b)とがこの順序で積層されて
なる多層フィルムであって、上記(a)層が、エチレンとα-オレフィン
とを共重合して得られ、密度が0.880〜0.940g/cm3でM
FRが0.01〜10g/10分のエチレン・α- オレフィン共重合体
(A)、または(A)と特定量の高圧法低密度ホ゜リエチレン
(B-1)またはエチレン・酢酸ヒ゛ニル共重合体(B-2)との混合
物(AB)からなり、この(B-1)のMFRが0.01〜100g/1
0分、密度が0.915〜0.935g/cm3で、(B-2)のMFRが
0.1〜500g/10分、密度が0.915〜0.980g/cm3であり、上
記(A)または(AB)は、Mw/Mn=1.5〜3.5で、23℃で
のn-テ゛カン可溶部量と密度とが特定の関係を満たし、GPC-
IRによる高分子量側及び低分子量側の分岐数の平均値
B1,B2が、B1≧B2であり、上記(b)層、または上記(b)層
および(c)層は酢酸ヒ゛ニル含有量が2.0〜35wt%のエチレン・酢酸
ヒ゛ニル共重合体(C)からなる農業用多層フィルム。 【効果】透明性の経時的低下度が少なく、防塵性、強靱
性、柔軟性があり展張作業性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、農業用多層フィルムに関
する。
【0002】
【発明の技術的背景】農業上の促成栽培を目的としたハ
ウス栽培、トンネル栽培およびマルチ栽培などでは、一
般に被覆材として各種熱可塑性樹脂からなる農業用フィ
ルムが多量に使用されている。このような農業用フィル
ムとしては、たとえばポリ塩化ビニルフィルム、ポリエ
チレンフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体フィル
ムなどがあり、中でも、ポリ塩化ビニルフィルムは、保
温性、透明性、強靱性(機械的強度特性)等に優れてい
るため最も多く使用されている。
【0003】しかしながら、ポリ塩化ビニルフィルム
は、防塵性および展張作業性が若干劣る上、焼却廃棄時
に有毒ガスを発生する等の問題がある。ここに、「保温
性」とは、昼間に太陽熱を吸収して温度の上昇した大地
から、夜間に放出される輻射線を吸収、反射してハウ
ス、トンネル等の内部の温度(気温および地温)を保持
する性能をいう。
【0004】また、「防塵性」とは、ある一定期間使用
後の塵埃付着等によるフィルムの透明性の低下を抑制す
る性能をいう。さらに、「展張作業性」とは、フィルム
のベタツキによる取扱い易さの良否を表わす。
【0005】一方、ポリエチレンフィルムは、ポリ塩化
ビニルフィルムに比べ、価格、展張作業性、防塵性およ
び廃棄処理の点で優れているものの、保温性、強靱性等
が劣るという問題がある。
【0006】また、エチレン・酢酸ビニル共重合体を主
成分とする単層フィルムを農業用フィルムに適用した場
合、このフィルムは、上記ポリエチレンフィルムに比
べ、保温性が改善されているものの、直鎖状エチレン・
α- オレフィン共重合体フィルムおよびポリ塩化ビニル
フィルムよりも強靱性に劣るという問題がある。
【0007】さらに、ポリオレフィン系樹脂フィルムの
保温性を添加剤により改良した農業用フィルムとして
は、低密度ポリエチレンまたはエチレン・酢酸ビニル共
重合体に酸化硅素を添加してなる被覆用フィルムがあ
る。
【0008】しかしながら、このような農業用フィルム
は、ポリエチレン系樹脂フィルムの保温性が改良されて
いるものの、ポリ塩化ビニルフィルムと比べ、強靱性、
透明性が不充分である。
【0009】このようなポリエチレン系樹脂フィルムの
強靱性を改善するため、近年直鎖状低密度ポリエチレン
の強靱性を利用する農業用フィルムが考案されるように
なってきている。たとえば特開昭58−160146号
公報では、直鎖状低密度ポリエチレンを主体とする基材
層と、界面活性剤を含む従来の製造法によるポリエチレ
ン系樹脂等とからなる層とを積層した防曇性の良好な農
業用多層フィルムが提案されている。この農業用多層フ
ィルムは、強靱性が改善されているものの、保温性のよ
り高い樹脂あるいは添加剤の利用が検討されていないた
め、ポリ塩化ビニルフィルムに比べ、保温性がかなり劣
る。
【0010】また、特開平1−182037号公報で
は、農業用多層(積層)フィルムが提案されており、こ
の農業用多層フィルムは、表面層が線状エチレン・α-
オレフィン共重合体を主成分とするポリエチレン系樹脂
と無機化合物とで形成されており、かつ、裏面層がエチ
レン・酢酸ビニル共重合体を主成分とするポリエチレン
系樹脂と無機化合物と防曇剤とで形成されている。特開
平1−182037号公報に記載されている農業用多層
フィルムは、良好な保温性、防塵性、展張作業性、透明
性、耐候性を兼ね備え、しかも極めて優れた強靱性を有
するとされている。
【0011】しかしながら、従来の上記のような農業用
多層フィルムには、屋外で長期使用した際の塵埃が付着
していない状態での透明性の経時的低下度、防塵性、強
靱性等において改良の余地がある。
【0012】したがって、保温性に優れるだけでなく、
上述した従来の農業用多層フィルムと比べ、さらに屋外
で長期使用した際の塵埃が付着していない状態での透明
性の経時的低下度が少なく、しかも防塵性と強靱性に優
れた農業用多層フィルムの出現が望まれている。
【0013】なお、本願出願人は、特開平8-276
542号公報(特願平7-82894号)において、エ
チレン・α-オレフィン共重合体(A)と特定の無機化合物
(B)とが特定量比で含有された外層(表面層)と、エチ
レン・酢酸ビニル共重合体(c)と上記無機化合物(B)とが
特定量比で含有された中間層と、上記エチレン・α-オ
レフィン共重合体(A)からなる内層(裏面層)とがこの
順序で積層され、上記共重合体(A)のMFR、密度、分
子量分布(Mw/Mn)、n-デカン可溶部(W(重量
%))と密度(d)との関係、GPC−IRによる高分
子量側の分岐数の平均値(B1)、低分子量側の分岐数
の平均値(B2 )との関係などが特定の範囲にある農業
用多層フィルムを提案している。しかしながら、この農
業用多層フィルムは、展張作業性に必要なフィルムの柔
軟性の点では、さらなる改善の余地があった。
【0014】
【発明の目的】本発明は、保温性に優れるだけでなく、
上述した従来の農業用多層フィルムと比べ、さらに屋外
で長期使用した際の塵埃が付着していない状態での透明
性の経時的低下度が少なく、しかも防塵性と強靱性に優
れ、かつ柔軟性があり展張作業性に優れた農業用多層フ
ィルムを提供することを目的としている。
【0015】
【発明の概要】本発明に係る農業用多層フィルムは、表
面層と裏面層、または表面層と中間層と裏面層とがこの
順序で積層されてなる多層フィルムであって、[I]上
記表面層が、エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレ
フィンとを共重合して得られ、密度が0.880〜0.
940g/cm3であり、メルトフローレートが0.0
1〜10g/10分の範囲にあるエチレン・α- オレフ
ィン共重合体(A)、または該エチレン・α-オレフィ
ン共重合体(A)と、40重量%以下の量の高圧法低密
度ポリエチレン(B-1)またはエチレン・酢酸ビニル共
重合体(B-2)との混合物(AB)からなり、該高圧法
低密度ポリエチレン(B-1)のメルトフローレートが
0.01〜100g/10分で、密度が0.915〜
0.935g/cm3であり、該エチレン・酢酸ビニル
共重合体(B-2)のメルトフローレートが0.1〜50
0g/10分で、密度が0.915〜0.980g/c
3であり、上記エチレン・α-オレフィン共重合体
(A)または上記混合物(AB)は、(i) GPCにお
いて測定した分子量分布(Mw/Mn:Mw=重量平均
分子量、Mn=数平均分子量)が1.5〜3.5の範囲
にあり、(ii)23℃におけるn-デカン可溶部(W(重
量%))と密度(d)とが、 W<80×exp(−100(d−0.88))+0.
1 で示される関係を満たし、(iii)GPC−IRによる
高分子量側の分岐数の平均値をB1 、低分子量側の分岐
数の平均値をB2 とするとき、 B1 ≧ B2 であり、[II]上記裏面層、または上記裏面層および中
間層は、酢酸ビニル含有量が2.0〜35重量%のエチ
レン・酢酸ビニル共重合体(C)からなることを特徴と
している。
【0016】本発明においては、上記エチレン・α- オ
レフィン共重合体(A)が、エチレンと炭素原子数4〜
12のα- オレフィンとをシングルサイト触媒の存在下
に共重合して得られたものであることが好ましく、さら
には、このシングルサイト触媒は、メタロセン系のもの
であることが望ましい。
【0017】本発明においては、上記裏面層、あるいは
上記裏面層および中間層のうちの少なくとも1層には、
さらに密度が0.940g/cm3以下のエチレン・α-
オレフィン共重合体、または該エチレン・α-オレフィ
ン共重合体と高圧法低密度ポリエチレン(B-1)とが含
有されていることが好ましい。
【0018】本発明の好ましい態様においては、上記裏
面層、あるいは裏面層および中間層のうちの少なくとも
1層に含有される上記エチレン・α-オレフィン共重合
体が、前記表面層[I]に用いたと同様のエチレン・α-
オレフィン共重合体(A)であり、かつ上記裏面層、あ
るいは裏面層および中間層には、該エチレン・α-オレ
フィン共重合体(A)と高圧法低密度ポリエチレン(B-
1)とが合計で1〜99重量部の量で、エチレン・酢酸
ビニル共重合体(C)が99〜1重量部[但し(A)+
(B-1)+(C)=100重量部とする]の量で含有さ
れていることが望ましい。
【0019】また本発明の好ましい態様においては、前
記表面層[I]が、上記エチレン・α-オレフィン共重合
体(A)と、高圧法低密度ポリエチレン(B-1)および
/またはエチレン・酢酸ビニル共重合体(B-2)とを含
有し、かつ上記エチレン・α-オレフィン共重合体
(A)が1〜99重量部の量で、それぞれ必要により配
合される上記高圧法低密度ポリエチレン(B-1)とエチ
レン・酢酸ビニル共重合体(B-2)とは合計で99〜1
重量部の量[但し、(A)+(B-1)+(B-2)=100
重量部とする]の量で含有されていることが望ましい。
【0020】本発明の好ましい態様においては、前記表
面層、裏面層および必要により設けられる中間層のうち
の少なくとも1層が、耐候安定剤(例:ヒンダードアミ
ン系)を含有していることが望ましい。
【0021】また、本発明においては、前記表面層、裏
面層および必要により設けられる中間層のうちの少なく
とも1層が、Mg、Ca、AlおよびSiの少なくとも
1つの原子を含有する無機化合物を含有していることが
望ましく、またこれらのうちの少なくとも1層が、フッ
素含有化合物を含有する無機化合物を含有していること
が望ましい。またこれらのうちの少なくとも1層が、非
イオン系界面活性剤からなる防曇剤を含有していること
が好ましい。
【0022】本発明においては、上記表面層および裏面
層の少なくとも何れか一方の層上には、さらに、シリカ
ゾルおよび/またはアルミナゾルからなるバインダーを
主成分とする防曇剤組成物からなる被覆層が積層されて
いてもよい。
【0023】本発明においては、前記表面層[I]の厚
みが3〜100μmであり、裏面層の厚みが10〜15
0μmであり、必要により設けられる中間層の厚みが1
0〜150μmであり、かつこれらの層全体の厚みが3
0〜250μmであることが好ましい。
【0024】上記のような本発明に係る農業用多層フィ
ルムは、(i)エルメンドルフ引裂強度がMD方向で9
0kg/cm以上であり、かつ、TD方向で90kg/
cm以上であり、(ii)厚み100μmでのダートイン
パクト強度が900g以上であり、(iii) 引張破断点
強度がMD方向で350kg/cm2 以上であり、か
つ、TD方向で350kg/cm2 以上であることが好
ましい。
【0025】また曇度が15%以下であることが好まし
い。このような、本発明に係る農業用多層フィルムは、
保温性に優れ、しかも従来の農業用フィルムと比較し
て、塵埃非付着条件下に屋外で長期間使用しても透明性
の経時的低下度が少なく、しかも防塵性と強靱性に優
れ、柔軟性があり展張作業性に優れている。
【0026】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る農業用多層フ
ィルムについて具体的に説明する。本発明に係る農業用
多層フィルムは、表面層(外層とも言う)と裏面層(内
層とも言う)とがこの順序で積層されてなる2層積層フ
ィルム、または表面層と中間層と裏面層とがこの順序で
積層されてなる3層積層フィルムである。
【0027】表面層 本発明に係る農業用多層フィルムを構成する表面層は、
エチレン・α- オレフィン共重合体(A)から形成され
るか、またはこのエチレン・α-オレフィン共重合体
(A)の他に高圧法低密度ポリエチレン(B-1)とエチ
レン・酢酸ビニル共重合体(B-2)のうちの少なくとも
何れか一方を含む樹脂組成物から形成されている。
【0028】[エチレン・α- オレフィン共重合体
(A)]本発明で用いられる表面層形成用のエチレン・
α- オレフィン共重合体(A)は、エチレンと炭素原子
数4〜12のα- オレフィンとからなる共重合体であ
る。
【0029】エチレンとの共重合に用いられる炭素原子
数4〜12のα- オレフィンとしては、具体的には、1-
ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテ
ン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられ
る。これらの中では、炭素原子数4〜10のα- オレフ
ィン、特に炭素原子数4〜6のα- オレフィンが好まし
い。
【0030】本発明においては、上記のような種々のα
-オレフィンを用いたエチレン・α-オレフィン共重合体
(A)を単独で、または2種以上組合わせて用いること
ができる。
【0031】本発明で用いられるエチレン・α- オレフ
ィン共重合体(A)は、エチレンから導かれる構成単位
が50重量%以上100重量%未満、好ましくは55〜
99重量%、さらに好ましくは65〜98重量%、特に
好ましくは70〜96重量%の量で存在し、炭素原子数
4〜12のα- オレフィンから導かれる構成単位が50
重量%以下、好ましくは1〜45重量%、さらに好まし
くは2〜35重量%、特に好ましくは4〜30重量%の
量で存在することが望ましい。
【0032】エチレン・α- オレフィン共重合体の組成
は、通常10mmφの試料管中で約200mgの共重合
体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させ
た試料の13C−NMRスペクトルを、測定温度120
℃、測定周波数25.05MHz、スペクトル幅150
0Hz、パルス繰返し時間4.2sec.、パルス幅6μse
c.の測定条件下で測定して決定される。
【0033】表面層形成用のエチレン・α- オレフィン
共重合体(A)は、密度が0.880〜0.940g/
cm3 、好ましくは0.926〜0.940g/cm
3 、さらに好ましくは0.926〜0.936g/cm
3 の範囲にある。
【0034】なお、密度は、190℃における2.16
kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時に得
られるストランドを120℃で1時間熱処理し、1時間
かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定する。
【0035】また、このエチレン・α- オレフィン共重
合体(A)のメルトフローレート(MFR;ASTM
D 1238−65T,190℃、荷重2.16kg)
は、0.01〜10g/10分、好ましくは0.1〜5
g/10分、さらに好ましくは0.5〜2g/10分の
範囲にある。
【0036】このエチレン・α- オレフィン共重合体
(A)のGPCにおいて測定した分子量分布(Mw/M
n:Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)が
1.5〜3.5、好ましくは2.0〜3.0の範囲にあ
る。
【0037】なお、分子量分布(Mw/Mn)は、ミリ
ポア社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測
定した。分離カラムは、TSK GNH HTであり、
カラムサイズは直径72mm、長さ600mmであり、
カラム温度は140℃とし、移動相にはO-ジクロロベン
ゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT
(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml/分
で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量
は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折
計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<10
00およびMw>4×106 については東ソー社製を用
い、1000<Mw<4×106 についてはプレッシャ
ーケミカル社製を用いた。
【0038】また、エチレン・α- オレフィン共重合体
(A)は、23℃におけるn-デカン可溶部(W(重量
%))と密度(d)とが下記に示される関係を満たして
いる。 W<80×exp(−100(d−0.88))+0.
1 なお、エチレン・α- オレフィン共重合体のn-デカン可
溶成分量(可溶成分量の少ないもの程組成分布が狭い)
の測定は、エチレン・α- オレフィン共重合体約3gを
n-デカン450mlに加え、145℃で溶解した後23
℃まで冷却し、濾過によりn-デカン不溶部を除き、濾液
よりn-デカン可溶部を回収することにより行なわれる。
【0039】さらに、エチレン・α- オレフィン共重合
体は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱
曲線の最大ピーク位置の温度〔Tm(℃)〕と密度〔d
(g/cm3 )〕とが、 Tm<400×d−250 好ましくは Tm<450×d−297 さらに好ましくは Tm<500×d−344 特に好ましくは Tm<550×d−391 で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0040】なお、示差走査型熱量計(DSC)により
測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)は、
試料約5mgをアルミパンに詰め10℃/分で200℃
まで昇温し、200℃で5分間保持したのち20℃/分
で室温まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸
熱曲線より求められる。測定は、パーキンエルマー社製
DSC-7 型装置を用いる。
【0041】このように、n-デカン可溶成分量分率
(W)と密度(d)との関係、そして示差走査型熱量計
(DSC)により測定した吸熱曲線における最大ピーク
位置の温度(Tm)と密度(d)との関係が上記のよう
な関係を有するようなエチレン・α- オレフィン共重合
体は組成分布が狭いと言える。
【0042】また、本発明で用いられるエチレン・α-
オレフィン共重合体(A)は、GPC−IRによる高分
子量側の分岐数の平均値をB1 、低分子量側の分岐数の
平均値をB2 とするとき、 B1 ≧ B2 である。
【0043】ここに、GPC−IRによる高分子量側の
分岐数の平均値(B1 )とは、GPCによって分子量分
別された高分子溶出量の累積重量分率が15〜85%
(すなわち低分子領域15%、高分子領域15%を除く
高分子溶出成分)の範囲で測定された分岐数の測定値群
を、GPC溶出曲線のピーク位置の分子量で2分割した
もののうち、高分子量側の値の平均値である。一方、低
分子量側の分岐数の平均値(B2 )とは、2分割したも
ののうち、低分子量側の平均値である。
【0044】上記B1 およびB2 の測定条件は、次の通
りである。 測定装置:PERKIN ELMER 1760X カラム:TOSOH TSKgel GMH-HT(7.5mmI.D.×600mm)
×1 溶離剤(eluent):MP−Jを0.05%含有のo-ジク
ロロベンゼン(ODCB)[和光純薬工業社製、extra
pure grade] カラム温度:140℃ サンプル濃度:0.1%(weight/volume) 射出容量(inj.volume):100マイクロリットル detector:MCT resolution:8cm-1 このB1 とB2 が上記のような関係にあるエチレン・α
- オレフィン共重合体(A)は、組成分布が狭く、しか
もローポリマーが少ないので、ベトツキが少ない。した
がって、上記のようなエチレン・α- オレフィン共重合
体(A)を多層フィルムの表面層に用いると、防塵性に
優れた多層構造の農業用フィルムを得ることができる。
【0045】また、このエチレン・α- オレフィン共重
合体(A)からなる表面層は、光線透過率の経時的低下
が非常に小さいため、このような表面層を有する農業用
多層フィルムは、長期に亘って展張することが可能であ
る。
【0046】さらに、上記のエチレン・α- オレフィン
共重合体(A)を用いると、多層フィルムの表面層を薄
膜化することができ、多層フィルムの軽量化を図ること
ができる。
【0047】上記のようなエチレン・α- オレフィン共
重合体(A)は、後述するようなメタロセン系触媒、ブ
ルックハルト系触媒等のシングルサイト触媒の存在下に
共重合して得られる。
【0048】例えば、上記のようなエチレン・α-オレ
フィン共重合体(A)は、特開平6−9724号公報、
特開平6−136195号公報、特開平6−13619
6号公報、特開平6−207057号公報等に記載され
ているメタロセン触媒成分を含む、いわゆるメタロセン
系オレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素原
子数4〜12のα- オレフィンとを、得られる共重合体
の密度が0.940g/cm3 以下となるように共重合
させることによって製造することができる。
【0049】このようなメタロセン系触媒は、通常、シ
クロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1
個有する周期律表第IVB族の遷移金属化合物からなるメ
タロセン触媒成分(a)、有機アルミニウムオキシ化合
物触媒成分(b)、微粒子状担体(c)、および必要に
応じて有機アルミニウム化合物触媒成分(d)、イオン
化イオン性化合物触媒成分(e)から形成される。
【0050】本発明で好ましく用いられるメタロセン触
媒成分(a)としては、シクロペンタジエニル骨格を有
する配位子を少なくとも1個有する周期律表第IVB族の
遷移金属化合物がある。このような遷移金属化合物とし
ては、たとえば下記の一般式[I]で示される遷移金属
化合物が挙げられる。
【0051】ML1 x ・・・ [I] 式中、xは、遷移金属原子Mの原子価である。Mは、周
期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子であり、具体
的には、ジルコニウム、チタン、ハフニウムである。中
でも、ジルコニウムが好ましい。
【0052】L1 は、遷移金属原子Mに配位する配位子
であり、これらのうち、少なくとも1個の配位子L1
は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子である。
上記のような遷移金属原子Mに配位するシクロペンタジ
エニル骨格を有する配位子L1 としては、具体的には、
シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル
基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシク
ロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニ
ル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、メチルエ
チルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジ
エニル基等のアルキル置換シクロペンタジエニル基、あ
るいはインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル
基、フルオレニル基などが挙げられる。これらの基は、
ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されて
いてもよい。
【0053】上記一般式[I]で表わされる化合物がシ
クロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上含む場合
には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有す
る基同士は、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、
イソプロピリデンジフェニルメチレン等の置換アルキレ
ン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニ
ルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリ
レン基などを介して結合されていてもよい。
【0054】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
以外の配位子L1 は、炭素原子数1〜12の炭化水素
基;メトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のア
リーロキシ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリ
ル基等のトリアルキルシリル基;SO3R (Rはハロゲ
ンなどの置換基を有していてもよい炭素原子数1〜8の
炭化水素基)、ハロゲン原子または水素原子である。
【0055】炭素原子数1〜12の炭化水素基として
は、メチル基等のアルキル基、シクロペンチル基等のシ
クロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル
基等のアラルキル基などが挙げられる。
【0056】SO3R で表わされる配位子としては、具
体的には、P-トルエンスルホナト基、メタンスルホナト
基、トリフルオロメタンスルホナト基などが挙げられ
る。有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)とし
ては、アルミノオキサンが好ましく用いられる。具体的
には、式 −Al(R)O− [ただし、Rはアルキル基である] で表わされる繰り返し単位が通常3〜50程度のメチル
アルミノオキサン、エチルアルミノオキサン、メチルエ
チルアルミノオキサン等が用いられる。
【0057】このようなアルミノオキサンは、従来公知
の製法で調製することができる。オレフィン重合用触媒
の調製で用いられる微粒子状担体(c)は、無機あるい
は有機の化合物であって、粒径が通常10〜300μm
程度であり、好ましくは20〜200μmの顆粒状ない
し微粒子状の固体である。
【0058】無機担体としては多孔質酸化物が好まし
く、具体的には、SiO2、Al23、MgO、Zr
2、TiO2 、B23、CaO、ZnO、BaO、S
nO2等またはこれらの混合物を例示することができ
る。なお、上記無機酸化物には、少量のNa2CO3等の
炭酸塩、Al2(SO43 等の硫酸塩、KNO3 等の硝
酸塩、Li2O等の酸化物を含有していても差し支えな
い。
【0059】このような担体は、その種類および製法に
より性状は異なるが、本発明で好ましく用いられる担体
は、比表面積が50〜1000m2/g 、好ましくは1
00〜700m2/g であり、細孔容積が0.3〜2.
5cm3/g であることが望ましい。
【0060】この担体は、必要に応じて100〜100
0℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられ
る。また、微粒子状担体として用いられる有機化合物と
しては、エチレン、4-メチル-1- ペンテン等の炭素原子
数2〜14のα- オレフィンを主成分として生成される
(共)重合体、あるいはビニルシクロヘキサン、スチレ
ンを主成分として生成される(共)重合体を例示するこ
とができる。
【0061】オレフィン重合用触媒の調製において必要
に応じて用いられる有機アルミニウム化合物触媒成分
(d)としては、具体的には、トリメチルアルミニウム
等のトリアルキルアルミニウム、イソプレニルアルミニ
ウム等のアルケニルアルミニウム、ジメチルアルミニウ
ムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、メチ
ルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウ
ムセスキハライド、メチルアルミニウムジクロリド等の
アルキルアルミニウムジハライド、ジエチルアルミニウ
ムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド
などを例示することができる。
【0062】イオン化イオン性化合物触媒成分(e)と
しては、たとえばUSP−547718号公報に記載さ
れたトリフェニルボロン、MgCl2、Al23、Si
2−Al23等のルイス酸;トリフェニルカルベニウ
ムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の
イオン性化合物;ドデカボラン、ビスn-ブチルアンモニ
ウム(1-カルベドデカ)ボレート等のカルボラン化合物
が挙げられる。
【0063】本発明で用いられるエチレン・α- オレフ
ィン共重合体(A)は、上記のようなメタロセン触媒成
分(a)、有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分
(b)、微粒子状担体(c)、および必要に応じて有機
アルミニウム化合物触媒成分(d)、イオン化イオン性
化合物触媒成分(e)を含むオレフィン重合用触媒の存
在下に、気相、またはスラリー状あるいは溶液状の液相
で種々の条件で、エチレンと炭素原子数4〜12のα-
オレフィンとを共重合させることにより得ることができ
る。
【0064】スラリー重合法または溶液重合法において
は、不活性炭化水素を溶媒としてもよいし、オレフィン
自体を溶媒とすることもできる。重合を実施する際に
は、上記のようなメタロセン系オレフィン重合用触媒
は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度で、通常10-8
〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは10-7〜1
-4グラム原子/リットルの量で用いられることが望ま
しい。
【0065】また、重合に際して、担体に担持されてい
る有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)および
有機アルミニウム化合物触媒成分(c)に加えて、さら
に担持されていない有機アルミニウムオキシ化合物触媒
成分(b)および/または有機アルミニウム化合物触媒
成分(c)を用いてもよい。この場合、担持されていな
い有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)および
/または有機アルミニウム化合物触媒成分(c)に由来
するアルミニウム原子(Al)と、メタロセン触媒成分
(a)に由来する遷移金属原子(M)との原子比[Al
/M]は、5〜300、好ましくは10〜200、さら
に好ましくは15〜150の範囲である。
【0066】スラリー重合法における重合温度は、通常
−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲であ
り、溶液重合法における重合温度は、通常−50〜50
0℃、好ましくは0〜400℃の範囲である。また、気
相重合法における重合温度は、通常0〜120℃、好ま
しくは20〜100℃の範囲である。
【0067】重合圧力は、通常常圧ないし100kg/
cm2 、好ましくは2〜50kg/cm2 の加圧条件下
であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの
方式においても行なうことができる。
【0068】本発明においては、上記エチレン・α- オ
レフィン共重合体(A)の調製に際し、必要に応じて
(1) 多段重合、(2) 液相と気相の多段重合、または(3)
液相での予備重合を行なった後に気相での重合を行なう
等の手段を採用することができる。本発明においては、
上記(1)の多段重合が好ましい。
【0069】多段重合法としては、たとえば、次のよう
な多段重合法が挙げられる。 [1]上記一般式[I]で表わされるシクロペンタジエ
ニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IVB族の遷移
金属化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物からな
るメタロセン触媒成分と、有機アルミニウムオキシ化合
物触媒成分とを含むメタロセン系触媒の存在下に、エチ
レンと炭素原子数4〜12のα-オレフィンとを共重合
させ、エチレン・α- オレフィン共重合体(A−1)を
製造する工程と、[2]上記共重合反応が行なわれる重
合器とは異なる重合器において、上述した一般式[I]
で表わされるシクロペンタジエニル骨格を有する配位子
を含む周期律表第IVB族の遷移金属化合物から選ばれる
少なくとも1種の化合物からなるメタロセン触媒成分
と、有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分とを含むメ
タロセン系触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数4〜
12のα-オレフィンとを共重合させ、エチレン・α-
オレフィン共重合体(A−2)を製造する工程とを含む
オレフィンの多段重合法が挙げられる。ただし、工程
[1]における製造条件と工程[2]における製造条件
とは異なる。このような製造条件としては、たとえばメ
タロセン触媒成分の種類および量、有機アルミニウムオ
キシ化合物触媒成分の種類および量、あるいはエチレン
とα- オレフィンとのモル比などが挙げられる。
【0070】上記共重合工程[1]および/または
[2]において用いられるメタロセン系触媒が、メタロ
セン触媒成分(a)および有機アルミニウムオキシ化合
物触媒成分(b)に加え、有機アルミニウム化合物触媒
成分(d)を含む触媒であってもよく、また、微粒子状
担体(c)にメタロセン触媒成分(a)および有機アル
ミニウム触媒成分(b)が担持された固体触媒であって
もよい。また、これらのメタロセン系触媒は、微粒子状
担体(c)にメタロセン触媒成分(a)および有機アル
ミニウム触媒成分(b)が担持された固体触媒成分にオ
レフィンが予備重合されてなる予備重合触媒であっても
よい。さらに、これらのメタロセン系触媒は、上記固体
触媒(固体触媒成分)と有機アルミニウム化合物触媒成
分(d)とからなる触媒、あるいは上記予備重合触媒
(予備重合触媒成分)と有機アルミニウム化合物触媒成
分(d)とからなる触媒であってもよい。
【0071】この多段重合法では、直列に結合した複数
の重合器を用いて、先ず上記のエチレン・α- オレフィ
ン共重合体(A−1)を製造し、次いで、エチレン・α
- オレフィン共重合体(A−1)の製造に用いた重合器
とは異なる重合器にエチレン・α- オレフィン共重合体
(A−1)を導入し、エチレン・α- オレフィン共重合
体(A−1)の存在下にエチレン・α- オレフィン共重
合体(A−2)を製造することができる。
【0072】また、複数の重合器を並列に結合し、各重
合器において、それぞれエチレン・α- オレフィン共重
合体(A−1)、(A−2)を製造し、次いで、両共重
合体をブレンドすることもできる。
【0073】[ブルックハルト系触媒を用いたエチレン
・α-オレフィン共重合体(A)の製造]本発明におい
ては、エチレン・α-オレフィン共重合体(A)をシン
グルサイト触媒の1種である下記のブルックハルト系触
媒の存在下に製造することもできる。
【0074】ブルックハルト系触媒は、下記式[A]で表
される遷移金属化合物[A]と、ルイス酸もしくはイオン
化イオン性化合物[B-1]、有機アルミニウムオキシ化合
物[B-2]およびアルキルボロン酸誘導体[B-3]からなる群
から選ばれる少なくとも1種の化合物[B]とからなる。
【0075】
【化1】
【0076】[式[A]中、Mは後周期遷移金属、すなわ
ち8族、9族および10族から選ばれる遷移金属を示
す。X1およびX2は、それぞれ同一または相異なり、窒
素原子またはリン原子を示す。
【0077】R1およびR2は、それぞれ同一または相異
なり、水素原子または炭化水素基を示す。R3は、
【0078】
【化2】
【0079】(但し、R6、R7、R8、R9、R10
11、R12、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ同
一または相異なり、水素原子または炭化水素基を示
す。)を示す。mおよびnは、それぞれ1または2であ
って、X1およびX2の価数を満たす数である。
【0080】R4およびR5は、同一または相異なり、水
素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、−OR17、−SR
18、−N(R192または−P(R202(但し、R17
20はそれぞれ炭化水素基または有機シリル基を示す。
なお、R19同士またはR20同士は互いに連結して環を形
成していてもよい。)を示す。または、R4およびR5
連結して環を形成していてもよい。
【0081】また、R1、R2、R6、R7、R8、R9、R
10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、これ
らの2個以上が相互に連結して環を形成していてもよ
い。]本発明においては、上記遷移金属化合物[A]と、
ルイス酸もしくはイオン化イオン性化合物[B-1]、有機
アルミニウムオキシ化合物[B-2]およびアルキルボロン
酸誘導体[B-3]からなる群から選ばれる少なくとも1種
の化合物[B]とを、それぞれ別々に反応系に供給しても
よく、またこれら([A]と、[B-1]、[B-2]、[B-3]のうち
から選択される1種の化合物[B])を予め接触させた
後、反応系に供給してもよい。
【0082】上記後周期遷移金属Mとしては、Ni、P
d、Ptが挙げられる。R1、R2の炭化水素基として
は、メチル基、エチル基など炭素数1〜20程度のアル
キル基、フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基、
上記アルキル基で水素原子の一部が置換された置換アリ
ール基等が挙げられる。R6〜R16としては、前記R1
2と同様なものが挙げられる。R4〜R5としては、前
記R1、R2と同様なものの他、−OR17、−SR18、−
N(R192または−P(R202(但し、R17〜R
20が、前記R1、R2と同様なものを示す。)が挙げられ
る。
【0083】このような配位化合物[A]として、下記式
[A-1]:
【0084】
【化3】
【0085】[式[A-1]中、M、X1、X2、R1、R2
4、R5、R6、R7は、前記に同じ。]で表される配位
化合物が好ましい。
【0086】このようなブルックハルト系触媒を用いた
エチレン・α-オレフィン共重合体(A)の重合法につ
いては、本願出願人が先に提案した特願平8-7767
4号明細書(平成8年3月29日付け)、特願平8-5
5227号(平成8年3月12日付け)に準ずればよ
い。
【0087】[高圧法低密度ポリエチレンまたはエチレ
ン・酢酸ビニル共重合体(B)]多層フィルムの表面層
形成に際しては、必要に応じて(B-1)高圧法低密度ポ
リエチレンおよび/または(B-2)エチレン・酢酸ビニ
ル共重合体が用いられる。この高圧法低密度ポリエチレ
ン(B-1)は、エチレン単独重合体である。
【0088】上記のエチレン・酢酸ビニル共重合体(B-
2)における酢酸ビニル含有量は、通常2.0〜35重
量%、好ましくは3.0〜25重量%である。このよう
な(B-1)高圧法低密度ポリエチレンおよび(B-2)エチ
レン・酢酸ビニル共重合体(両者をまとめて(B)とも
表す)のうちで、(B-1)高圧法底密度ポリエチレン
は、そのメルトフローレート(MFR;ASTM D 1
238−65T,190℃、荷重2.16kg)が0.
01〜100g/10分、好ましくは0.2〜10g/
10分、さらに好ましくは0.5〜5g/10分の範囲
にあり、また、その密度が0.915〜0.935g/
cm 3 、好ましくは0.920〜0.930g/cm
3 、さらに好ましくは0.922〜0.928g/cm
3 の範囲にある。
【0089】また、(B-2)エチレン・酢酸ビニル共重
合体は、そのメルトフローレート(MFR;ASTM
D 1238−65T,190℃、荷重2.16kg)
が0.1〜500g/10分、好ましくは1〜400g
/10分の範囲にあり、また、その密度が0.915〜
0.980g/cm3 、好ましくは0.925〜0.9
75g/cm3の範囲にある。これらの密度の測定方法
は、上述したエチレン・α- オレフィン共重合体(A)
の密度の測定方法と同じである。
【0090】さらに、高圧法低密度ポリエチレンおよび
エチレン・酢酸ビニル共重合体(B)は、好ましくはス
ウェル比が60%以下、さらに好ましくは50%以下、
特に好ましくは45%以下である。
【0091】なお、このスウェル比は、以下のようにし
て求める。メルトフローレート測定時に得られるストラ
ンドの先端から5mmの位置の直径をサンプルの径(m
m)としてマイクロメーターで測定する。そして、下式
によりスウェル比を算出する。
【0092】 スウェル比(%)=[(L1/L0)−1]×100 L1 :サンプルの径(mm) L0 :オリフィスの径(=2.0955mm) 本発明においては、エチレン・α- オレフィン共重合体
(A)と、必要により用いられる高圧法低密度ポリエチ
レン(B-1)および/またはエチレン・酢酸ビニル共重
合体(B-2)とは、(A)1〜99重量部に対して
(B)すなわち(B-1)+(B-2)は、99〜1重量部、
好ましくは(A)95〜70重量部に対して(B)5〜
30重量部、さらには、(A)90〜80重量部に対し
て、(B)10〜20重量部(但し、(A)+(B)=
100重量部とする。なお、(B)=(B-1)+(B-
2))の範囲にある。
【0093】このような高圧法低密度ポリエチレンおよ
び/またはエチレン・酢酸ビニル共重合体(B)を上記
のような量で用いると、表面層(フィルム)の成形性が
より向上する。
【0094】上記のような高圧法低密度ポリエチレン
は、たとえば1,000〜2,000気圧、200〜3
00℃でラジカル重合して合成する、いわゆる高圧法で
製造することができる。
【0095】裏面層、または裏面層および中間層[II] 本発明に係る農業用多層フィルムは、上記表面層と裏面
層との2層、または表面層と中間層と裏面層との3層か
ら構成されているが、上記2層または3層構成の農業用
多層フィルムの裏面層、あるいは3層構成の農業用多層
フィルムの中間層および裏面層は、酢酸ビニル含有量が
2.0〜35重量%、好ましくは3.0〜25重量%、
さらに好ましくは5.0〜20重量%のエチレン・酢酸
ビニル共重合体(C)からなっている。
【0096】このようなエチレン・酢酸ビニル共重合体
(C)としては、前記表面層に用いたと同様のエチレン
・酢酸ビニル共重合体(B-2)を用いることが望まし
い。このエチレン・酢酸ビニル共重合体(C)により裏
面層さらには中間層を形成すると、保温性に優れた多層
フィルムを得ることができる。
【0097】本発明においては、上記2層構成の農業用
多層フィルムの裏面層(イ)、または3層構成の農業用多
層フィルムの裏面層および中間層(ロ)のうちで、少なく
とも1層には、上記エチレン・酢酸ビニル共重合体
(C)以外に、密度が0.940g/cm3以下のエチ
レン・α-オレフィン共重合体、または該エチレン・α-
オレフィン共重合体と前記高圧法低密度ポリエチレン
(B-1)との両者が含有されていてもよい。このエチレ
ン・α-オレフィン共重合体としては、前記表面層に用
いられると同様のエチレン・α-オレフィン共重合体
(A)が好ましい。
【0098】このようなエチレン・α-オレフィン共重
合体(A)と高圧法低密度ポリエチレン(B-1)とは、
この裏面層あるいは中間層に、各層共に、合計で通常0
〜99重量部、好ましくは0〜20重量部、さらに好ま
しくは1〜15重量部の量で、エチレン・酢酸ビニル共
重合体(C)は、通常100〜1重量部、好ましく10
0〜80重量部、さらに好ましくは100〜85重量部
の量で含まれていてもよい[但(A)+(B-1)+
(C)=100重量部とする]。
【0099】[その他の成分]本発明に係る農業用多層
フィルムの外層、裏面層、必要により設けられる中間層
の各層には、以下に記載するような保温剤、耐候安定
剤、防曇剤、防霧剤、帯電防止剤、熱安定剤などの添加
剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することが
できる。
【0100】保温剤(H) 保温剤としては、Mg、Ca、AlおよびSiの少なく
とも1つの原子を含有する無機酸化物、無機水酸化物、
ハイドロタルサイト類などの無機化合物が挙げられる。
【0101】具体的には、SiO2 、Al23、Mg
O、CaO等の無機酸化物;Al(OH)3 、Mg(O
H)2 、Ca(OH)2 等の無機水酸化物; 式 M2+ 1-xAlx(OH)2(An-x/n・mH2O [式中、M2+は、Mg、CaまたはZnの二価金属イオ
ンであり、An-はCl- 、Br- 、I- 、NO3 2- 、C
lO4-、SO4 2- 、CO2 2- 、SiO3 2- 、HPO
4 2- 、HBO3 2- 、PO4 2- 等のアニオンであり、x
は、0<x<0.5 の条件を満足する数値であり、m
は、0≦m≦2 の条件を満足する数値である]で表わ
される無機複合化合物、その焼成物等のハイドロタルサ
イト類などが挙げられる。これらの中でも、ハイドロタ
ルサイト類が好ましく、特に上記式で表わされる無機複
合化合物の焼成物が好ましい。
【0102】上記のような無機化合物は、単独で、ある
いは2種以上組合わせて用いることができる。無機化合
物(H)の平均粒径は、10μm以下、好ましくは5μ
m以下、さらに好ましくは3μm以下であることが望ま
しい。
【0103】無機化合物(H)の平均粒径が上記範囲以
内であれば、透明性が良好な多層フィルムを得ることが
できる。これら保温剤としての無機化合物(H)は、そ
の配合量を増加させれば、得られる農業用多層フィルム
の保温性はいっそう向上するが光透過性(透明性)は減
少するので、保温性と光透過性のバランスを考慮して下
記の範囲で無機化合物(H)を添加することが望まし
い。
【0104】すなわち、本発明においては、無機化合物
(H)は、表面層、裏面層、あるいは必要により設けら
れる中間層中に、通常1〜20重量%、好ましくは1〜
18重量%、さらに好ましくは2〜10重量%の量で含
まれることが望ましい。
【0105】無機化合物(H)が多層フィルムの表面
層、中間層あるいは裏面層中に上記のような量で含まれ
ていると、保温性に優れた多層フィルムを得ることがで
きる。耐候安定剤 耐候安定剤は、紫外線吸収剤と光安定剤とに大別される
が、光安定剤の方が薄い農業用フィルムには有効であ
り、耐候安定性の改良効果が大きい。
【0106】光安定剤としては、従来公知の光安定剤を
用いることができ、中でもヒンダードアミン系光安定剤
(HALS;Hindered Amine Light Stabilizers)が好
ましく用いられる。
【0107】ヒンダードアミン系安定剤としては、具体
的には、以下のような化合物が用いられる。 (1)ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)セ
バケート、 (2)コハク酸ジメチル-1- (2-ヒドロキシエチル)-4
- ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合
物、 (3)テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジ
ル)-1,2,3,4- ブタンテトラカルボキシレート、 (4)2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジニルベンゾエ
ート、 (5)ビス- (1,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジニ
ル)-2- (3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)
-2-n- ブチルマロネート、 (6)ビス(N-メチル-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペ
リジニル)セバケート、 (7)1,1'-(1,2- エタンジイル)ビス(3,3,5,5-テト
ラメチルピペラジノン)、 (8)(ミックスト2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジ
ル/トリデシル)-1,2,3,4- ブタンテトラカルボキシレ
ート、 (9)(ミックスト1,2,2,6,6-ペンタメチル-4- ピペリ
ジル/トリデシル)-1,2,3,4- ブタンテトラカルボキシ
レート、 (10)ミックスト{2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジ
ル/β,β,β',β'-テトラメチル-3-9-[2,4,8,10-テト
ラオキサスピロ(5,5) ウンデカン]ジエチル}-1,2,
3,4- ブタンテトラカルボキシレート、 (11)ミックスト{1,2,2,6,6-ペンタメチル-4- ピペリ
ジル/β,β,β',β'-テトラメチル-3-9-[2,4,8,10-テ
トラオキサスピロ(5,5) ウンデカン]ジエチル}-1,
2,3,4- ブタンテトラカルボキシレート、 (12)N,N'- ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミ
ン-2-4- ビス[N-ブチル-N- (1,2,2,6,6-ペンタメチル
-4- ピペリジル)アミノ]-6- クロロ-1,3,5- トリアジ
ン縮合物、 (13)N,N'- ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジ
ル)ヘキサメチレンジアミンと1,2-ジブロモエタンとの
縮合物、 (14)[N-(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル)-
2-メチル-2- (2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)
イミノ]プロピオンアミドなど。
【0108】これらのヒンダードアミン系光安定剤は、
単独で、または2種以上組合わせて用いることができ
る。このような光安定剤は、農業用多層フィルムの各層
に、通常0.005〜5重量%、好ましくは0.005
〜2重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%の量
で含まれていることが望ましい。
【0109】紫外線吸収剤としては、具体的には、フェ
ニルサリシレート、p-tert- ブチルフェニルサリシレー
ト、p-オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系
紫外線吸収剤;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒ
ドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4
- オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- ドデシ
ルオキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4- メト
キシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4,4'-ジメト
キシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシ-5- ス
ルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収
剤;2-(2'- ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2-(2'- ヒドロキシ-5'-tert- ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'- ヒドロキシ-3',5'
-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-
(2'- ヒドロキシ-3'-tert- ブチル-5'-メチルフェニ
ル)-5- クロロベンゾトリアゾール、2-(2'- ヒドロキ
シ-3',5'- ジ-tert-ブチルフェニル)-5- クロロベンゾ
トリアゾール、2-(2'- ヒドロキシ-3',5'- ジ-tert-ア
ミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾ
ール系吸収剤;2-エチルヘキシル-2- シアノ-3,3'-ジフ
ェニルアクリレート、エチル-2- シアノ-3,3'-ジフェニ
ルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤
などが挙げられる。
【0110】紫外線吸収剤は、本発明の農業用多層フィ
ルムの各層に、通常、0.005〜5重量%、好ましく
は0.005〜2重量%、さらに好ましくは0.01〜
1重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0111】防曇剤 防曇剤としては、具体的には、ソルビタンモノステアレ
ート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノパル
ミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンモノ
ベヘネート、ソルビタンジベヘネート、ソルビタンモノ
ラウレート、ソルビタンジラウレート等のソルビタン系
界面活性剤;グリセリンモノラウレート、グリセリンジ
ラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセ
リンジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グ
リセリンジステアレート、ジグリセリンモノステアレー
ト、ジグリセリンジステアレート等のグリセリン系界面
活性剤;ポリエチレングリコールモノステアレート、ポ
リエチレングリコールモノパルミネート等のポリエチレ
ングリコール系界面活性剤;トリメチロールプロパンモ
ノステアレート等のトリメチロールプロパン系界面活性
剤;ペンタエリスリトールモノパルミテート等のペンタ
エリスリトール系界面活性剤およびポリオキシエチレン
ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソル
ビタンジステアレート、ソルビタン- ジグリセリン縮合
体のモノおよびジステアレートなどが挙げられる。これ
らは、単独で、または2種以上組み合わせて用いること
ができる。
【0112】また、防曇剤の好ましい例として、下式
(I)で表わされるグリセリンアルキルエステル、下式
(II)で表わされるジグリセリンアルキルエステル、お
よび下式(III) で表わされるジエタノールアルキルア
ミンからなる防曇剤を挙げることができる。
【0113】グリセリンアルキルエステル(I):
【0114】
【化4】
【0115】R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立
に、水素原子、または炭素原子数12〜22のアシル基
である。R1 、R2 およびR3 のアシル基としては、具
体的には、C1123CO−、C1327CO−、C1531
CO−、C1735CO−、C1939CO−などが挙げら
れる。中でも、C1531CO−、C1735CO−が好ま
しい。
【0116】本発明で好ましく用いられるグリセリンア
ルキルエステルとしては、具体的には、グリセリンパル
ミテート(モノ、ジおよびトリエステルを含む)、グリ
セリンステアレート(モノ、ジおよびトリエステルを含
む)などが挙げられる。
【0117】ジグリセリンアルキルエステル(II):
【0118】
【化5】
【0119】式(II)中、R4 、R5 、R6 およびR7
は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数12〜
22のアシル基である。R4 、R5 、R6 およびR7
アシル基としては、具体的には、C1123CO−、C13
27CO−、C1531CO−、C1735CO−、C19
39CO−などが挙げられる。中でも、C1531CO−、
1735CO−が好ましい。
【0120】本発明で好ましく用いられるジグリセリン
アルキルエステルとしては、具体的には、ジグリセリン
パルミテート(モノ、ジ、トリおよびテトラエステルを
含む)、ジグリセリンステアレート(モノ、ジ、トリお
よびテトラエステルを含む)などが挙げられる。
【0121】ジエタノールアルキルアミン(III):
【0122】
【化6】
【0123】R8 は、炭素原子数12〜22のアルキル
基であり、具体的には、ドデシル基、トリデシル基、テ
トラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプ
タデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシ
ル基、ラウリル基、ステアリル基などが挙げられる。中
でも、オクタデシル基、ラウリル基、ステアリル基が好
ましい。
【0124】本発明で好ましく用いられるジエタノール
アルキルアミンとしては、具体的には、ジエタノールス
テアリルアミン、ジエタノールラウリルアミンなどが挙
げられる。
【0125】この防曇剤においては、グリセリンアルキ
ルエステル、ジグリセリンアルキルエステルおよびジエ
タノールアルキルアミンの合計量100重量部に対し
て、グリセリンアルキルエステルは10〜40重量部、
好ましくは20〜30重量部の割合で含まれ、ジグリセ
リンアルキルエステルは20〜80重量部、好ましくは
30〜70重量部の割合で含まれ、ジエタノールアルキ
ルアミンは1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部
の割合で含まれている。
【0126】このような防曇剤の中でも、たとえば次の
ような防曇剤が好ましい。 (1)グリセリンステアレートと、ジグリセリンステア
レートと、ジエタノールステアリルアミンとからなる防
曇剤。 (2)グリセリンパルミテートと、ジグリセリンパルミ
テートと、ジエタノールステアリルアミンとからなる防
曇剤。 (3)グリセリンラウレートと、ジグリセリンラウレー
トと、ジエタノールステアリルアミンとからなる防曇
剤。 (4)グリセリンベヘネートと、ジグリセリンベヘネー
トと、ジエタノールステアリルアミンとからなる防曇
剤。 (5)上記(1)から(4)の任意の混合物。
【0127】さらに、上記以外の防曇剤として、シリカ
ゾルおよび/またはアルミナゾルと疎水性熱可塑性樹脂
からなるバインダーとを主成分とする無機系防曇剤組成
物を挙げることができる。このような無機系防曇剤組成
物としては、たとえば、 (1) シリカゾル[商品名 カタロイドSI−30、触媒
化成工業(株)製]4.0重量部と、バインダー成分
[商品名 カヤクリルレジンH−300、日本化薬
(株)製]3.0重量部と、架橋剤[商品名 エピクロ
ン860、シェル化学(株)製]0.1重量部と、分散
剤(水とエタノール3:1の混合液)93重量部とから
なる組成物、 (2) シリカゾル[商品名 OSCAL−1432、触媒
化成工業(株)製]4.0重量部と、バインダー成分
[商品名 ダイヤナールBR−101、三菱レイヨン
(株)製]5.0重量部と、架橋剤[商品名 エピクロ
ン860、シェル化学(株)製]0.13重量部と、架
橋剤(テトラエチレンペンタミン)0.03重量部と、
分散剤(イソプロピルアルコール)91重量部とからな
る組成物などが挙げられる。
【0128】防曇剤としては、上記例示のうちでは、多
価アルコールと炭素原子数12〜24の高級脂肪酸(ヒ
ドロキシ脂肪酸を含む)とからなる部分エステル化物を
主成分とする防曇剤が好ましく用いられる。
【0129】防曇剤は、本発明の農業用多層フィルムの
各層に、通常、0.05〜5重量%、好ましくは0.1
〜4重量%、さらに好ましくは0.5〜3重量%の量で
含まれていることが望ましい。
【0130】なお、防曇剤として、無機親水性コロイド
物質と親水性有機化合物を主成分とする無機系防曇剤組
成物が挙げられる。上記無機親水性コロイド物質として
は、具体的には、コロイダルシリカ、コロイダルアルミ
ナ、コロイド状のFe(OH)2 、コロイド状のSn
(OH)4 、コロイド状のTiO2 、コロイド状のBa
SO4 、コロイド状のリチウムシリケートなどが挙げら
れる。これらの内、コロイダルシリカ、コロイダルアル
ミナが特に好ましい。
【0131】上記親水性有機化合物としては、具体的に
は、従来公知の非イオン系、アニオン系およびカチオン
系界面活性剤、スルホン酸基含有ポリエステル樹脂、さ
らには、水酸基含有ビニル単量体成分を主成分とし、酸
基含有ビニル単量体成分を0.1〜40重量%含有する
共重合体またはその部分もしくは完全中和物などを挙げ
ることができる。
【0132】このような無機系防曇剤組成物を添加した
冷却水を、本発明に係る農業用フィルムの水冷式インフ
レーション成形法による成形に際して用いると、フィル
ム面上に無機系防曇剤層を形成することができる。この
無機系防曇剤組成物の冷却水への添加量は、無機系防曇
剤組成物の種類およびその成分の配合割合等により異な
るが、通常、無機系防曇剤層の厚みが0.1〜5μm、
好ましくは0.5〜2μmになるように選択することが
望ましい。
【0133】防霧剤 本発明では、防霧剤として、通常の界面活性剤の疎水基
のCに結合したHの代わりにその一部または全部をFで
置換した界面活性剤であって、特にパーフルオロアルキ
ル基またはパーフルオロアルケニル基を含有するフッ素
系界面活性剤が好ましく用いられる。
【0134】このようなフッ素系防霧剤としては、下記
のようなものを挙げることができる。 (a)陰イオン性フッ素系界面活性剤 (1)−COOM系 RfCOOM RfSO2N(R’)2CH2COOM (2)−OSO3M系 RfBNR’YOSO3M (3)−SO3M系 RfSO3M RfCH2O(CH2mSO3
【0135】
【化7】
【0136】(4)−OPO(OM)2系 RfBNR’YOP(=O)(NM)2 上記各式中、Rf及びR’fはアルキル基の水素原子の一
部または全部をフッ素原子で置換したフルオロアルキル
基を表し、Bは−CO−、−CO2−、−SO2−を表
し、R’は水素原子、低級アルキル基(好ましくは炭素
数6以下、さらには4以下のもの)を表し、Mは水素原
子、−NH4、アルカリ金属、アルカリ土類金属を表
す。
【0137】上記フルオロアルキル基としては、下記構
造のポリフルオロアルキル基が望ましい。 CF3−(CF2l− lは2ないし19の整数
【0138】
【化8】
【0139】HCF2−(CF2n− mは0ないし1
7の整数 また、Rf及びR’fとしては、前記フルオロアルキル基
の他、CF2=CF2、CF3−CF=CF2のオリゴメリ
ゼーションで合成される分岐を有するポリフルオロアル
キル基や、C37O−(C36O)kCO−[kは0な
いし5の整数]なども含まれる。 (b)陽イオン性フッ素系界面活性剤
【0140】
【化9】
【0141】式中、Rf、B、R’f及びYは前記と同じ
意味を有し、R''は水素原子、低級アルキル基を表し、
HXは酸を表し、Xはハロゲン、酸根を表す。 (c)両性フッ素系界面活性剤 (1)−N+(R’)2−COO-系 RfBNHYN+(R’)2(CH2mCOO- 式中、Rf、B、R’f及びYは前記と同じ意味を有す
る。 (d)非イオン性フッ素系界面活性剤 (1)−OH系 RfOH (2)−O−系
【0142】
【化10】
【0143】式中、Rf、B及びR’は前記と同じ意味
を有し、Yは−CH2−、−C24OCH2−を表し、Z
は水素原子、−C(=O)R、−C(=O)NHRを表
す。上記型またはその他の型のフッ素系界面活性剤の中
で好適なものを具体的に例示すれば次の通りである。
【0144】(i)Cn2n+1COOM式中、M=水素
原子、アルカリ金属、−NH4、n=5ないし12、好
ましくは6ないし10、たとえば、C919COONa
517COOLi(ii)Cn2n+1CONH(C2
4O)mH式中、n=5ないし12、好ましくは6ないし
10、m=1ないし30、好ましくは2ないし20、た
とえば、 C919CONH(C24O)3H (iii)
【0145】
【化11】
【0146】式中、R=水素原子、低級アルキル基、n
=6ないし12、好ましくは9、m=2ないし30、好
ましくは3ないし20、たとえば、
【0147】
【化12】
【0148】(iv)Cn2n+1CONHC36+(CH
3224COO- 式中、n=5ないし12、好ましくは6ないし10、た
とえば、 C917CONHC36+(CH3224COO- (v)Cn2n+1CONHC36+(CH32・X- 式中、X=ハロゲン酸根、n=5ないし12、好ましく
は6ないし10、たとえば、 C817CONHC36+(CH32・I- (vi)Cn2n+1(CH2mCOOM 式中、M=水素原子、アルカリ金属、−NH4、n=3
ないし12、好ましくは5ないし10、m=1ないし1
6、好ましくは2ないし10、たとえば、 C715(CH25COONa C817(CH24COOK (vii)Cn2n+1SO2N(C25)C24OPO(O
H)2 式中、n=5ないし12、好ましくは6ないし10、た
とえば、 C817SO2N(C25)C24OPO(OH)2 (viii)Cn2n+1SO2N(C25)CH2COOM 式中、M=水素原子、アルカリ金属、−NH4、n=5
ないし12、好ましくは6ないし10、たとえば、 C817SO2N(C25)CH2COOK (ix)Cn2n+1SO2N(C25)C24OSO3H 式中、n=5ないし12、好ましくは6ないし10、た
とえば、 C817SO2N(C25)C24OSO3H (x)Cn2n+1SO2N(C25)(C24O)mH 式中、n=5ないし12、好ましくは6ないし10、m
=1ないし30、好ましくは2ないし20、たとえば、 C817SO2N(C25)(C24O)14H (xi)Cn2n+1CON(C25)(C24O)mH 式中、n=5ないし12、好ましくは6ないし10、m
=1ないし30、好ましくは2ないし20、たとえば、 C817CON(C25)(C24O)14H (xii)
【0149】
【化13】
【0150】式中、n=5ないし12、好ましくは6な
いし10、m=1ないし30、好ましくは2ないし2
0、Yは−CH2−、−C24OCH2−を表し、Zは水
素原子、−C(=O)R、−C(=O)NHR、たとえ
ば、
【0151】
【化14】
【0152】が挙げられる。多層フィルム 上記のような表面層(外層)、必要により設けられる中
間層、および裏面層(内層)からなる、本発明に係る農
業用多層フィルムは、表面層の厚みが通常3〜100μ
m、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15
〜70μmの範囲にあり、必要により設けられる中間層
の厚みが10〜150μm、好ましくは20〜120μ
m、さらに好ましくは30〜100μmの範囲にあり、
裏面層の厚みが3〜100μm、好ましくは10〜80
μm、さらに好ましくは15〜70μmの範囲にあり、
かつ、これらの層全体の厚みが30〜250μm、好ま
しくは50〜180μm、さらに好ましくは70〜15
0μmの範囲にある。
【0153】本発明においては、上記表面層および裏面
層の少なくとも何れか一方の層上には、さらに、シリカ
ゾルおよび/またはアルミナゾルからなるバインダーを
主成分とする防曇剤組成物からなる被覆層が積層されて
いてもよい。このような被覆層の厚さに特に制限はない
が、例えば、0.1〜10μm程度である。
【0154】本発明に係る農業用多層フィルムは、次の
ような物性、特性を有している。 (i)エルメンドルフ引裂強度は、MD方向で90kg
/cm以上、好ましくは100kg/cm以上であり、
かつ、TD方向で90kg/cm以上、好ましくは10
0kg/cm以上である。 (ii)厚み100μmでのダートインパクト強度は、9
00g以上、好ましくは 1,000g以上である。(iii) 引張破断点強度は、
MD方向で350kg/cm2 以上、好ましくは370
kg/cm2 以上であり、かつ、TD方向で350kg
/cm2 以上、好ましくは370kg/cm2 以上であ
る。 (iv)厚み100μmでの初期の光線透過率は90%以
上、好ましくは92%以上であり、かつ、屋外暴露12
0日後の光線透過率は85%以上、好ましくは87%以
上である。
【0155】また、本発明に係る50μm厚の農業用多
層フィルムは、グロスが通常60%以上であり、ヘイズ
が通常15%以下である。なお、フィルムのグロスは、
ASTM D 523に準じて入射角度60℃で測定し
た。また、フィルムのヘイズは、ASTM D 1003
−61に従って測定した。
【0156】多層フィルムの調製 上記のような本発明に係る農業用多層フィルムは、多層
フィルムの各層で使用するポリエチレン系樹脂および上
述した添加剤等の成分をそれぞれ混合し、バンバリーミ
キサーまたはロールミル等で溶融混合し、次いで、共押
出インフレーション法または共押出Tダイ法により、各
層用フィルムを押出し、表面層/(必要により中間層)
/裏面層となるように積層することによって、調製する
ことができる。なお、表面層/中間層/裏面層の3層構
成の農業用多層フィルムを調製する際には、表面層と裏
面層の間に中間層がサンドイッチされるように積層する
限りは、各層(フィルム)の積層順序は特に限定され
ず、例えば、これら3層用フィルムを同時に押出し積層
してもよく、また表面層用フィルムの上に中間層用フィ
ルム、裏面層用フィルムの順で順次積層してもよい。
【0157】
【発明の効果】本発明に係る農業用多層フィルムは、保
温性に優れるだけでなく、上述した従来の農業用(多
層)フィルムと比べ、屋外で長期使用した際の塵埃が付
着していない状態での透明性の経時的低下度がさらに少
なく、しかも防塵性と強靱性に優れている。また、本発
明に係る農業用多層フィルムは、ヤング率が小さく柔軟
性があるので、ゴワゴワして嵩張ることがなく展張作業
性に優れている。
【0158】本発明に係る農業用多層フィルムは、上記
のような効果を有するので、ハウス、トンネル等の農園
芸施設に展張し、有用作物の栽培に長期に亘って利用す
ることができる。
【0159】以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明は、これら実施例に限定されるものではない。な
お、実施例および比較例における農業用多層フィルムの
物性評価は、下記のようにして行なった。 (1)エルメンドルフ引裂強度 エルメンドル引裂強度(kgf/cm)は、JIS Z
1702に準拠して、多層フィルムのMD方向およびT
D方向について引裂強度試験を行なって求めた。 (2)ダートインパクト強度 ダートインパクト強度(g)は、JIS Z 1707に
準拠して(ダート先端径38mm)、衝撃試験を行なっ
て求めた。 (3)引張破断点 引張破断点強度(kg/cm2)は、JIS K 678
1に準拠し、下記の条件で、多層フィルムのMD方向お
よびTD方向について、クロスヘッド移動速度一定型引
張試験機(インストロン社製)を用いて引張試験を行な
って求めた値である。
【0160】[試験条件] 試 料 :JIS K 6781 雰囲気温度:23℃ 引張速度 :500mm/分 (4)ヤング率 ヤング率の測定は、引張破断点を求める引張試験で同時
に行うことができ、その歪応力カーブの初期の傾きから
ヤング率を求めた。 (5)曇り度(ヘイズ) フィルムの透明性の指標となるヘイズは、ASTM D
1003に準拠して測定した。
【0161】
【参考例1】エチレン・1-ヘキセン共重合体の調製 [オレフィン重合用触媒の調製]250℃で10時間乾
燥したシリカ5.0kgを80リットルのトルエンで懸
濁状にした後、0℃まで冷却した。その後、メチルアル
ミノオキサンのトルエン溶液(Al;1.33モル/リ
ットル)28.7リットルを1時間で滴下した。この
際、系内の温度を0℃に保った。引続き0℃で60分間
反応させ、次いで、1.5時間かけて95℃まで昇温
し、その温度で20時間反応させた。その後60℃まで
降温し上澄液をデカンテーション法により除去した。
【0162】このようにして得られた固体成分をトルエ
ンで2回洗浄した後、トルエン80リットルで再懸濁化
した。この系内へビス(1,3-n-ブチルメチルシクロペン
タジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液
(Zr;34.0ミリモル/リットル)7.4リットル
およびビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジル
コニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr;28.1ミ
リモル/リットル)1.0リットルを80℃で30分間
かけて滴下し、更に80℃で2時間反応させた。その
後、上澄液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することによ
り、1g当り3.6mgのジルコニウムを含有する固体
触媒を得た。 [予備重合触媒の調製]1.7モルのトリイソブチルア
ルミニウムを含有する85リットルのヘキサンに、上記
で得られた固体触媒0.85kgおよび1-ヘキセン25
5gを加え、35℃で12時間エチレンの予備重合を行
なうことにより、固体触媒1g当り10gのポリエチレ
ンが予備重合された予備重合触媒を得た。このエチレン
重合体の極限粘度[η]は1.74dl/gであった。 [重合]直列に結合した2器の連続式流動床気相重合装
置を用い、上記予備重合触媒の存在下に、エチレンと1-
ヘキセンとの共重合を行なってエチレン・1-ヘキセン共
重合体を得た。
【0163】上記のようにして得られたエチレン・1-ヘ
キセン共重合体は、1-ヘキセン含量が7.5重量%であ
り、密度が0.928g/cm3 であり、メルトフロー
レート(MFR;ASTM D 1238−65T,19
0℃、荷重2.16kg)が1.63g/10分であ
り、GPCにおいて測定した分子量分布(Mw/Mn)
が3.5であった。
【0164】また、この共重合体は、示差走査型熱量計
(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク一の温
度[Tm]が120℃であり、室温におけるn−デカン
可溶成分量分率[W]が0.25重量%であった。
【0165】この共重合体(以下、(I)と略す場合が
ある)についてGPC−IR分析で測定した上述のB1
は12.2/1000C(炭素原子1000個当たり1
2.2)であり、B2 は9.9/1000Cであった。
【0166】
【参考例2】直列に結合した2器の連続式流動床気相重
合装置を用い、上記参考例1に記載の予備重合触媒の存
在下に、エチレンと1-ヘキセンとの共重合を行なってエ
チレン・1-ヘキセン共重合体を得た。
【0167】上記のようにして得られたエチレン・1-ヘ
キセン共重合体は、1-ヘキセン含量が11重量%であ
り、密度が0.915g/cm3 であり、メルトフロー
レート(MFR;ASTM D 1238−65T,19
0℃、荷重2.16kg)が2.19g/10分であ
り、GPCにおいて測定した分子量分布(Mw/Mn)
が3.5であった。
【0168】また、この共重合体は、示差走査型熱量計
(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク一の温
度[Tm]が108℃であり、室温におけるn−デカン
可溶成分量分率[W]が0.42重量%であった。
【0169】この共重合体(以下、(II)と略す場合
がある)についてGPC−IR分析で測定した上述のB
1 は18.6/1000Cであり、B2 は14.7/1
000Cであった。
【0170】
【参考例3】直列に結合した2器の連続式流動床気相重
合装置を用い、上記参考例1に記載の予備重合触媒の存
在下に、エチレンと1-ヘキセンとの共重合を行なってエ
チレン・1-ヘキセン共重合体を得た。
【0171】上記のようにして得られたエチレン・1-ヘ
キセン共重合体は、1-ヘキセン含量が13.5重量%で
あり、密度が0.908g/cm3 であり、メルトフロ
ーレート(MFR;ASTM D 1238−65T,1
90℃、荷重2.16kg)が1.95g/10分であ
り、GPCにおいて測定した分子量分布(Mw/Mn)
が3.0であった。
【0172】また、この共重合体は、示差走査型熱量計
(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク一の温
度[Tm]が100℃であり、室温におけるn−デカン
可溶成分量分率[W]が0.54重量%であった。
【0173】この共重合体(以下、(III)と略す場
合がある)についてGPC−IR分析で測定した上述の
1 は16.7/1000Cであり、B2 は13.3/
1000Cであった。
【0174】
【実施例1〜3】第1表に示す樹脂を用いて、第2表に
示す条件で、厚み100μmの三層フィルムをインフレ
ーション成形した。
【0175】[インフレーション成形条件] 成形機:アルピネ社(製)3層機 ダイ口径 :400mmφ 成形温度 :200℃ 折幅 :1500mm 厚さ :全層100μm(表面層/中間層/裏面層
=20μm/60μm/20μm) 上記のようにして得られたフィルムの物性を第3表に示
す。
【0176】
【比較例1】実施例1において、内層(裏面層)用樹脂
として、エチレン・酢酸ビニル共重合体(V)に代え
て、エチレン・α−オレフィン共重合体(III)と高圧
法低密度ポリエチレン(IV)を併用した以外は、実施
例1と同様にして、厚み100μmの三層フィルム(表
面層/中間層/裏面層=20μm/60μm/20μ
m)をインフレーション成形した。
【0177】各層の配合組成を第2表に示す。上記のよ
うにして得られたフィルムの物性を第3表に示す。
【0178】
【比較例2】実施例1において、表面層(外層)用樹脂
として、エチレン・α−オレフィン共重合体(I)と高
圧法低密度ポリエチレン(IV)との併用に代えて、高
圧法低密度ポリエチレン(IV)のみを用いた以外は、
実施例1と同様にして、厚み100μmの三層フィルム
(表面層/中間層/裏面層=20μm/60μm/20
μm)をインフレーション成形した。
【0179】各層の配合組成を第2表に示す。上記のよ
うにして得られたフィルムの物性を第3表に示す。
【0180】
【比較例3】実施例1において、表面層(外層)用樹脂
として、エチレン・α−オレフィン共重合体(I)と高
圧法低密度ポリエチレン(IV)との併用に代えて、エ
チレン・酢酸ビニル共重合体(V)のみを用いた以外
は、実施例1と同様にして、厚み100μmの三層フィ
ルム(表面層/中間層/裏面層=20μm/60μm/
20μm)をインフレーション成形した。
【0181】各層の配合組成を第2表に示す。上記のよ
うにして得られたフィルムの物性を第3表に示す。 <注> 「防曇剤」:グリセリンステアレート25重量%と、ジ
グリセリンステアレート70重量%と、ジエタノールス
テアリルアミン5重量%との混合物。
【0182】「耐候安定剤」:商品名「キマソープ94
4」(チバガイギー社(製)、HALS系安定剤)。 「ハイドロタルサイト」:商品名「DHT−4A」、協
和化学(株)製。
【0183】「フッ素含有界面活性剤」:商品名「DS
−403」、ダイキン工業(株)製。 第3表に示すように、柔軟性の評価は、見掛けヤング率
を以て行った。柔軟性とヤング率との間には、ヤング率
が小さいほど柔軟性がよい傾向が認められ、この柔軟性
があると、農業用多層フィルムを作成した場合に、ゴワ
ゴワして嵩張ることがなく、展張作業性が良い。
【0184】
【表1】
【0185】
【表2】
【0186】
【表3】

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面層と裏面層、または表面層と中間層と
    裏面層とがこの順序で積層されてなる多層フィルムであ
    って、 [I]上記表面層が、 エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフィンとを共
    重合して得られ、密度が0.880〜0.940g/c
    3であり、メルトフローレートが0.01〜10g/
    10分の範囲にあるエチレン・α- オレフィン共重合体
    (A)、または該エチレン・α-オレフィン共重合体
    (A)と、40重量%以下の量の高圧法低密度ポリエチ
    レン(B-1)またはエチレン・酢酸ビニル共重合体(B-
    2)との混合物(AB)からなり、 該高圧法低密度ポリエチレン(B-1)のメルトフローレ
    ートが0.01〜100g/10分で、密度が0.91
    5〜0.935g/cm3であり、 該エチレン・酢酸ビニル共重合体(B-2)のメルトフロ
    ーレートが0.1〜500g/10分で、密度が0.9
    15〜0.980g/cm3であり、 上記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)または上
    記混合物(AB)は、(i) GPCにおいて測定した分
    子量分布(Mw/Mn:Mw=重量平均分子量、Mn=
    数平均分子量)が1.5〜3.5の範囲にあり、(ii)
    23℃におけるn-デカン可溶部(W(重量%))と密度
    (d)とが、 W<80×exp(−100(d−0.88))+0.
    1 で示される関係を満たし、(iii)GPC−IRによる
    高分子量側の分岐数の平均値をB1 、低分子量側の分岐
    数の平均値をB2 とするとき、 B1 ≧ B2 であり、 [II]上記裏面層、または上記裏面層および中間層は、 酢酸ビニル含有量が2.0〜35重量%のエチレン・酢
    酸ビニル共重合体(C)からなることを特徴とする農業
    用多層フィルム。
  2. 【請求項2】上記エチレン・α- オレフィン共重合体
    (A)が、エチレンと炭素原子数4〜12のα- オレフ
    ィンとをシングルサイト触媒の存在下に共重合して得ら
    れたものであることを特徴とする請求項1に記載の農業
    用多層フィルム。
  3. 【請求項3】上記シングルサイト触媒が、メタロセン系
    触媒であることを特徴とする請求項2に記載の農業用多
    層フィルム。
  4. 【請求項4】上記裏面層、あるいは上記裏面層および中
    間層のうちの少なくとも1層には、さらに密度が0.9
    40g/cm3以下のエチレン・α-オレフィン共重合
    体、 または該エチレン・α-オレフィン共重合体と高圧法低
    密度ポリエチレン(B-1)とが含有されていることを特
    徴とする請求項1〜3の何れかに記載の農業用多層フィ
    ルム。
  5. 【請求項5】上記裏面層、あるいは裏面層および中間層
    のうちの少なくとも1層に含有される上記エチレン・α
    -オレフィン共重合体が、前記表面層[I]に用いたと同
    様のエチレン・α-オレフィン共重合体(A)であり、
    かつ上記裏面層、あるいは裏面層および中間層には、 該エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と高圧法低
    密度ポリエチレン(B-1)とが合計で1〜99重量部の
    量で、 エチレン・酢酸ビニル共重合体(C)が99〜1重量部
    [但し(A)+(B-1)+(C)=100重量部とす
    る]の量で含有されていることを特徴とする請求項4に
    記載の農業用多層フィルム。
  6. 【請求項6】前記表面層[I]が、 上記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と、 高圧法低密度ポリエチレン(B-1)および/またはエチ
    レン・酢酸ビニル共重合体(B-2)とを含有し、かつ上
    記エチレン・α-オレフィン共重合体(A)が1〜99
    重量部の量で、 それぞれ必要により配合される上記高圧法低密度ポリエ
    チレン(B-1)とエチレン・酢酸ビニル共重合体(B-2)
    とは合計で99〜1重量部の量[但し、(A)+(B-
    1)+(B-2)=100重量部とする]の量で含有されて
    いることを特徴とする請求項1〜5に記載の農業用多層
    フィルム。
  7. 【請求項7】前記表面層、裏面層および必要により設け
    られる中間層のうちの少なくとも1層が、耐候安定剤を
    含有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    に記載の農業用多層フィルム。
  8. 【請求項8】前記表面層、裏面層および必要により設け
    られる中間層のうちの少なくとも1層が、Mg、Ca、
    AlおよびSiの少なくとも1つの原子を含有する無機
    化合物を含有していることを特徴とする請求項1〜7の
    何れかに記載の農業用多層フィルム。
  9. 【請求項9】表面層、裏面層および必要により設けられ
    る中間層のうちの少なくとも1層が、フッ素含有化合物
    を含有していることを特徴とする請求項1〜8の何れか
    に記載の農業用多層フィルム。
  10. 【請求項10】表面層、裏面層および必要により設けら
    れる中間層のうちの少なくとも1層が、非イオン系界面
    活性剤からなる防曇剤を含有していることを特徴とする
    請求項1〜9の何れかに記載の農業用多層フィルム。
  11. 【請求項11】上記農業用多層フィルムの表面および裏
    面の少なくとも何れか一方の面上には、さらに、 シリカゾルおよび/またはアルミナゾルからなるバイン
    ダーを主成分とする防曇剤組成物からなる被覆層が積層
    されていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに
    記載の農業用多層フィルム。
  12. 【請求項12】前記表面層[I]の厚みが3〜100μ
    mであり、裏面層の厚みが10〜150μmであり、必
    要により設けられる中間層の厚みが10〜150μmで
    あり、かつこれらの層全体の厚みが30〜250μmで
    あることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の
    農業用多層フィルム。
JP9217804A 1997-08-12 1997-08-12 農業用多層フィルム Pending JPH1158646A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9217804A JPH1158646A (ja) 1997-08-12 1997-08-12 農業用多層フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9217804A JPH1158646A (ja) 1997-08-12 1997-08-12 農業用多層フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1158646A true JPH1158646A (ja) 1999-03-02

Family

ID=16710006

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9217804A Pending JPH1158646A (ja) 1997-08-12 1997-08-12 農業用多層フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1158646A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11310648A (ja) * 1998-04-28 1999-11-09 Mitsui Chem Inc 農業用フィルム
JP2000324957A (ja) * 1999-05-21 2000-11-28 Mitsubishi Chem Mkv Co 農業用積層フィルム
JP2000354426A (ja) * 1999-06-16 2000-12-26 C I Kasei Co Ltd 5層構造の防曇性オレフィン系農業用フイルム
JP2011025668A (ja) * 2009-07-03 2011-02-10 Nitto Denko Corp 積層フィルムおよび粘着テープ
KR101467682B1 (ko) * 2013-05-13 2014-12-01 삼성토탈 주식회사 폴리에틸렌계 수지 조성물
JP2018170976A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 住化積水フィルム株式会社 農業用フィルム
JP2020137491A (ja) * 2019-03-01 2020-09-03 タキロンシーアイ株式会社 防滴性、防曇持続性、及び防霧性を改善した農業ハウス用被覆材並びにその製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11310648A (ja) * 1998-04-28 1999-11-09 Mitsui Chem Inc 農業用フィルム
JP2000324957A (ja) * 1999-05-21 2000-11-28 Mitsubishi Chem Mkv Co 農業用積層フィルム
JP2000354426A (ja) * 1999-06-16 2000-12-26 C I Kasei Co Ltd 5層構造の防曇性オレフィン系農業用フイルム
JP2011025668A (ja) * 2009-07-03 2011-02-10 Nitto Denko Corp 積層フィルムおよび粘着テープ
KR101467682B1 (ko) * 2013-05-13 2014-12-01 삼성토탈 주식회사 폴리에틸렌계 수지 조성물
JP2018170976A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 住化積水フィルム株式会社 農業用フィルム
JP2020137491A (ja) * 2019-03-01 2020-09-03 タキロンシーアイ株式会社 防滴性、防曇持続性、及び防霧性を改善した農業ハウス用被覆材並びにその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6368721B1 (en) Laminated film
JPH09183816A (ja) エチレン・α−オレフィン共重合体およびこの共重合体から得られるフィルム
JP3795196B2 (ja) 農業用フィルムおよびその製造方法
JP3982904B2 (ja) 農業用フィルム
JPH1158646A (ja) 農業用多層フィルム
JP2001320986A (ja) 防曇性フィルム
JP3342626B2 (ja) 農業用多層フィルム
KR100351556B1 (ko) 농업용단층및다층필름
JP3365683B2 (ja) エチレン系共重合体組成物
JP4146920B2 (ja) 農業用フィルム
JP3872140B2 (ja) 帯電防止性に優れた包装材
JP3784164B2 (ja) 農業用フィルム
JP3342627B2 (ja) 農業用フィルム
JP3872141B2 (ja) バリヤー性包装材
JP4027996B2 (ja) 農業用多層フィルム
JP4902042B2 (ja) 積層体の製造方法
JPH10329289A (ja) 農業用フィルム
JP2001320977A (ja) 防曇性フィルム
JPH11168991A (ja) 農業用ポリオレフィンフィルムおよび積層体
JP3387992B2 (ja) エチレン系共重合体組成物
JP3773581B2 (ja) バッグインボックス用内袋
JP3710543B2 (ja) 農業用フィルム
JPH10272741A (ja) 農業用多層フィルム
JPH10329287A (ja) 農業用フィルム
JP3989749B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物、マスターバッチ、積層体及びそれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040527

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051221

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060220

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060315

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090209