JP3833567B2 - 移動ロボットの姿勢制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は移動ロボットの姿勢制御装置に関し、特に、腕部を備える2足の脚式移動ロボットあるいは車輪式の移動ロボットの姿勢制御装置において、ロボットが腕を介して対象物から反力を受けるような作業を行なっているときの姿勢安定化を図るようにした姿勢制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動ロボットの中の脚式移動ロボットの姿勢制御装置としては、本出願人が先に提案した特開平10−230485号公報に記載される技術が知られている。その技術においては、対象物から予期せぬ反力を受けると、長期的にはロボットの上体の位置をずらすように姿勢を徐々に修正することによってロボット全体の重心位置をずらし、補償のための重力モーメントを発生させて動バランス、即ち、動力学的に釣り合うバランスを維持すると共に、それまでの過渡期においては、目標床反力中心点(目標ZMPに一致している)まわりに補償のための全床反力モーメントを発生させるように足部を動かして踏み止めさせることによって、動バランスを維持するように構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記した従来技術においては、対象物から受ける予期せぬ反力が急激に変化した場合には、その瞬間では(短期的には)、足部を動かして踏み止めさせることによって動バランスを維持する、即ち、全床反力モーメントを発生させることによって姿勢安定化が図られる。
【0004】
また、本出願人は、対象物からの反力を受ける受けないに関わらず、ロボットの姿勢が傾いているときに、これを復元させるためのモーメントを全床反力モーメントとして積極的に発生させる技術も提案しているが(特開平10−277969号公報)、いずれの技術においても、全床反力モーメントには限界があり、それを越えて全床反力モーメントを発生させようとすると、足部の一部が床から浮いてしまい、その結果、ロボットは動バランスを崩し、最悪の場合には転倒する恐れがあった。
【0005】
また、本出願人は、全床反力モーメントを発生させる代わりに上体の軌道を修正することによって動バランスを維持する技術も提案しているが(特許第3269852号公報)、かかる技術にあっては足の着地位置などを修正する必要があるため、腕で対象物に対する作業を行なっているとき、上体や足が作業に適切な位置から離れてしまう場合があった。
【0006】
また、対象物になんらかの運動を与えるような作業を行なう場合にあっては、作業を所期通り遂行するためには、動バランスを維持したり、あるいは傾いた姿勢の復元を行なっても、対象物の運動に影響を与えないことが望ましい。
【0007】
従って、この発明の第1の目的は、上記した不都合を解消することにあり、移動ロボットが対象物から反力をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けても、動バランスを維持して安定な姿勢を保持するようにした移動ロボットの姿勢制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
さらには、移動ロボットが対象物から反力をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けても、接地する床から作用される床反力を操作することなく、あるいはその操作量を低減しつつ、動バランスを維持して安定な姿勢を保持するようにした移動ロボットの姿勢制御装置を提供することを第2の目的とする。
【0009】
さらには、移動ロボットが対象物から反力をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けても、対象物の運動に影響を与えることなく動バランスを維持して安定な姿勢を保持するようにした移動ロボットの姿勢制御装置を提供することを第3の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1項においては、少なくとも基体と、移動機構と、対象物に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リンクからなる移動ロボットの姿勢制御装置において、前記腕部リンクに実際に作用する対象物からの反力のうちの設定された所定方向の成分である第1の外力を検出あるいは推定する所定方向成分検出手段を備えると共に、前記所定方向成分検出手段が検出あるいは推定した第1の外力に応じ、前記所定方向に直交する方向に前記腕部リンクに第2の外力が作用するように、前記腕部リンクを駆動して前記ロボットの姿勢を安定させるように制御する如く構成した。
【0011】
移動ロボットの姿勢制御装置において、腕部リンクに実際に作用する対象物からの反力のうちの設定された所定方向の成分である第1の外力に応じ、所定方向に直交する方向に腕部リンクに第2の外力が作用するように、腕部リンクを駆動して前記ロボットの姿勢を安定させるように制御する如く構成したので、移動ロボットが対象物から反力をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けても、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することができる。
【0012】
請求項2項にあっては、少なくとも基体と、移動機構と、対象物に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リンクからなる移動ロボットの姿勢制御装置において、少なくとも前記ロボットの目標腕部リンク位置姿勢と、前記対象物から前記腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作を生成する目標動作生成手段、前記対象物反力の実際値である実対象物反力を検出あるいは推定する実対象物反力検出手段、少なくとも前記検出あるいは推定された実対象物反力に基づき、前記ロボットの姿勢が安定するように前記目標動作のうちの少なくとも前記目標腕部リンク位置姿勢または前記目標対象物反力を修正する修正する姿勢安定化制御手段、および少なくとも前記修正された目標動作に基づいて前記腕部リンクを駆動する腕部駆動装置を備える如く構成した。
【0013】
移動ロボットの姿勢制御装置において、少なくともロボットの目標腕部リンク位置姿勢と、対象物から腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作を生成し、対象物反力の実際値である実対象物反力を検出あるいは推定し、少なくとも検出あるいは推定された実対象物反力に基づき、ロボットの姿勢が安定するように目標動作のうちの少なくとも目標腕部リンク位置姿勢または目標対象物反力を修正し、修正された目標動作に基づいて腕部リンクを駆動する腕部駆動装置を備える如く構成したので、移動ロボットが対象物から反力をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けても、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することができる。さらには、対象物の運動に影響を与えることなく、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することができる。
【0014】
請求項3項にあっては、前記姿勢安定化制御手段は、少なくとも前記実対象物反力と前記目標対象物反力との差を示す対象物反力偏差に基づき、前記ロボットの姿勢が安定するように前記目標動作を修正する如く構成した。
【0015】
少なくとも実対象物反力と目標対象物反力との差を示す対象物反力偏差に基づき、ロボットの姿勢が安定するように目標動作を修正する如く構成したので、上記した効果を一層良く得ることができる。
【0016】
請求項4項にあっては、前記姿勢安定化制御手段は、前記対象物反力偏差の第1の成分によって発生する転倒力の全部あるいは一部を、前記第1の成分から得られる第2の成分によって打ち消すように、前記目標動作を修正する如く構成した。
【0017】
対象物反力偏差の第1の成分によって発生する転倒力の全部あるいは一部を、第1の成分から得られる第2の成分によって打ち消すように、目標動作を修正する如く構成したので、上記した効果を一層良く得ることができる。
【0018】
請求項5項にあっては、少なくとも基体と、移動機構と、対象物に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リンクからなる移動ロボットの姿勢制御装置において、少なくとも前記ロボットの目標腕部リンク位置姿勢と、前記対象物から前記腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作を生成する目標動作生成手段、前記ロボットの姿勢傾き偏差を検出し、前記検出した姿勢傾き偏差が零に近づくように前記目標動作のうちの少なくとも前記目標腕部リンク位置姿勢または前記目標対象物反力を修正する姿勢安定化制御手段、および少なくとも前記修正された目標動作に基づいて前記腕部リンクを駆動する腕部駆動装置を備える如く構成した。
【0019】
移動ロボットの姿勢制御装置において、少なくともロボットの目標腕部リンク位置姿勢と、対象物から腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作を生成すると共に、ロボットの姿勢傾き偏差を検出し、検出した姿勢傾き偏差が零に近づくように目標動作のうちの少なくとも目標腕部リンク位置姿勢または目標対象物反力を修正し、修正された目標動作に基づいて腕部リンクを駆動する如く構成したので、移動ロボットが対象物から反力をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けても、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することができる。さらには、対象物の運動に影響を与えることなく、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することができる。
【0020】
尚、特許請求の範囲および発明の詳細な説明欄において、『移動ロボット』は腕部リンク以外に対象物反力を受ける移動ロボットも含む意味で使用する。また、『腕部リンク』に関し、脚部リンクであっても、作業対象物に作用するものであれば、腕部リンクとみなすこととする。例えば、昆虫型の6個の脚部リンクを備えたロボットにおいて、前の2個の脚部リンクを用いて物を持ち上げる場合には、その脚部リンクは腕部リンクとみなすこととする。
【0021】
また、「位置姿勢」は「位置」および「姿勢」の両者を含んでも良く、あるいはそのいずれかであっても良い意味で使用する。換言すれば、「位置姿勢」は、必ず「位置」および「姿勢」の両者を含まなければならないものではない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照してこの発明の一つの実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装置を説明する。
【0023】
図1はこの実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装置が対象とする脚式移動ロボットの正面図、図2はその側面図である。尚、移動ロボットとしては、2個の脚部リンクと2個の腕部リンクを備えたヒューマノイド型(人間型)の脚式移動ロボットを例にとる。
【0024】
図1に示すように、脚式移動ロボット(以下「ロボット」という)1は、複数個(本)、より具体的には2個(本)の脚部リンク(あるいは脚)2を備えると共に、その上方には上体(基体)3が設けられる。上体3のさらに上方には頭部4が形成されると共に、上体3の両側には2個(本)の腕部リンク(あるいは腕)5が連結される。また、図2に示すように、上体3の背部には格納部6が設けられ、その内部には電子制御ユニット(後述)などが収容される。尚、図1および図2に示すロボット1は、内部構造を保護するためのカバーで被覆される。
【0025】
図3はロボット1をスケルトンで示す説明図である。同図を参照してその内部構造を関節を中心に説明すると、図示の如く、ロボット1は、左右それぞれの脚部リンク2および腕部リンク5に、11個の電動モータで動力化された6個の関節を備える。
【0026】
即ち、ロボット1は、腰部(股部)に、脚部リンク2を鉛直軸(Z軸あるいは鉛直軸)まわりに回転させる関節を駆動する電動モータ10R,10L(右側をR、左側をLとする。以下同じ)と、脚部リンク2をピッチ(進行)方向(Y軸まわり)に揺動させる関節を駆動する電動モータ12R,12Lと、脚部リンク2をロール(左右)方向(X軸まわり)に回転させる関節を駆動する電動モータ14R,14Lを備えると共に、膝部に脚部リンク2の下部をピッチ方向(Y軸まわり)に回転させる膝関節を駆動する電動モータ16R,16Lを備え、さらに足首に脚部リンク2の先端側をピッチ方向(Y軸まわり)に回転させる足(足首)関節を駆動する電動モータ18R,18Lとロール方向(X軸まわり)に回転させる足(足首)関節を駆動する電動モータ20R,20Lを備える。
【0027】
上記したように、図3において、関節はそれを駆動する電動モータ(あるいは電動モータに接続されてその動力を伝動するプーリなどの伝動要素)の回転軸線で示す。尚、脚部リンク2の先端には足部(足平)22R,22Lが取着される。
【0028】
このように、脚部リンク2の股関節(腰関節)には電動モータ10R(L),12R(L),14R(L)がそれらの回転軸線が直交するように配置されると共に、足関節(足首関節)には電動モータ18R(L),20R(L)がそれらの回転軸線が直交するように配置される。尚、股関節と膝関節は大腿リンク24R(L)で、膝関節と足関節は下腿リンク26R(L)で連結される。
【0029】
脚部リンク2は股関節を介して上体3に連結されるが、図3では上体3を上体リンク28として簡略的に示す。前記したように、上体3には腕部リンク5が連結される。
【0030】
腕部リンク5も、脚部リンク2と同様に構成される。即ち、ロボット1は、肩部に、腕部リンク5をピッチ方向に回転させる関節を駆動する電動モータ30R,30Lとロール方向に回転させる関節を駆動する電動モータ32R,32Lを備えると共に、その自由端側を回転させる関節を駆動する電動モータ34R,34Lと、肘部にそれ以降の部位を回転させる関節を駆動する電動モータ36R,36Lを備え、さらにその先端側にそれを回転させる手首関節を駆動する電動モータ38R,38Lを備える。尚、手首の先にはハンド(エンドエフェクタ)40R,40Lが取着される。
【0031】
即ち、腕部リンク5の肩関節には電動モータ30R(L),32R(L),34R(L)がそれらの回転軸線が直交するように配置される。尚、肩関節と肘関節とは上腕リンク42R(L)で、肘関節と手首関節とは下腕リンク44R(L)で連結される。
【0032】
また、頭部4は、鉛直軸まわりの首関節46と、それと直交する軸まわりに頭部4を回転させる頭部揺動機構48を介して上体3に連結される。図3に示す如く、頭部4の内部には撮像した画像を示す信号を出力する、CCDカメラからなる視覚センサ50が配置されると共に、レシーバおよびマイクロフォンからなる音声入出力装置52が配置される。
【0033】
上記の構成により、脚部リンク2は左右の足について6個の関節を備えて合計12の自由度を与えられ、6個の関節を適宜な角度で駆動(関節変位)することで、脚部リンク2に所望の動きを与えることができ、ロボット1を任意に3次元空間を歩行させることができる。また、腕部リンク5も左右の腕について5個の関節を備えて合計10の自由度を与えられ、5個の関節を適宜な角度で駆動(関節変位)することで所望の作業を行わせることができる。さらに、頭部4は2つの自由度からなる関節あるいは揺動機構を与えられ、これらを適宜な角度で駆動することにより所望の方向に頭部4を向けることができる。
【0034】
10R(L)などの電動モータのそれぞれにはロータリエンコーダ(図示せず)が設けられ、電動モータの回転軸の回転を通じて対応する関節の角度、角速度、および角加速度の少なくともいずれかを示す信号を出力する。
【0035】
足部22R(L)には公知の6軸力センサ(以下「力センサ」という)56が取着され、ロボットに作用する外力の内、接地面からロボット1に作用する床反力の3方向成分Fx,Fy,Fzとモーメントの3方向成分Mx,My,Mzを示す信号を出力する。
【0036】
また、手首関節とハンド40R(L)の間には同種の力センサ(6軸力センサ)58が取着され、ロボット1に作用する床反力以外の外力、具体的にはハンド40R(L)に対象物から作用する外力(対象物反力)の3方向成分Fx,Fy,Fzとモーメントの3方向成分Mx,My,Mzを示す信号を出力する。
【0037】
さらに、上体3には傾斜センサ60が設置され、鉛直軸に対する上体3の傾き(傾斜角度)とその角速度の少なくともいずれか、即ち、ロボット1の上体3の傾斜(姿勢)などの状態量を示す信号を出力する。
【0038】
これら力センサ56などの出力群は、ロボット1の上体3の背中側の格納部6(図2に示す)に収容されたマイクロコンピュータからなる電子制御ユニットElectric Control Unit 。以下「ECU」という)62に送られる(図示の便宜のためロボット1の右側についてのみ図示する)。
【0039】
図4はECU62の詳細を示すブロック図であり、マイクロ・コンピュータから構成される。そこにおいて傾斜センサ60などの出力はA/D変換器70でデジタル値に変換され、その出力はバス72を介してRAM74に送られる。また各アクチュエータにおいて電動モータに隣接して配置されるエンコーダの出力は、カウンタ76を介してRAM74内に入力される。
【0040】
ECU62内にはCPUからなる演算装置80が設けられており、演算装置80が生成した歩容に基づいてロボットが安定な姿勢を継続することができるように、関節角変位指令(アクチュエータ変位指令)を算出し、RAM74に送出する。尚、符号84はROMを示す。
【0041】
また、演算装置80はRAM74からその指令と検出された実測値とを読み出し、各関節の駆動に必要な制御値(操作量)を算出してD/A変換器86と各関節に設けられたアクチュエータ駆動装置(アンプ)88を介して各関節を駆動する、変位検出器(エンコーダ)付きの脚アクチュエータ90と腕アクチュエータ92の電動モータ10R(L),12R(L)などに出力する。
【0042】
図5は、この実施の形態に係る脚式移動ロボットの姿勢制御装置(主として前記した演算装置80に相当)の構成および動作を機能的に示すブロック図である。
【0043】
この装置は脚および腕の動作を統合的に制御する装置であり、後述するように操作量を算出して各アクチュエータ駆動装置88にアクチュエータ変位指令を出力し、脚アクチュエータ90と腕アクチュエータ92を動作させる。図示の如く、この装置は、目標作業パターン生成器100、脚メイン制御装置102、腕メイン制御装置104、および姿勢安定化メイン制御装置106などから構成される。
【0044】
目標作業パターン生成器100は、ある想定条件下においてロボット1の動力学的平衡条件を満足する歩容を含む、目標作業パターンを生成する。目標作業パターンは、複数の変数の時間変化パターンによって表現される。この変数は、運動を表現する変数と環境から受ける反力を表現する変数から構成される。
【0045】
ここで、運動を表現する変数は、これによって各瞬間における姿勢が一義的に決定できる変数の組である。具体的には、目標足部位置姿勢、目標上***置姿勢、目標ハンド位置姿勢から構成される。
【0046】
また、環境から受ける反力を表現する変数は、後述する目標全床反力中心点、目標全床反力および目標対象物反力から構成される。
【0047】
これら各変数は、支持脚座標系で表される。支持脚座標系は、支持脚足首(足関節を駆動する電動モータ18,20R(L)の回転軸線の交点)から足部22R(L)への垂直投影点を原点とする座標系であり、図6および図7に示すように、支持脚が接地している床に固定された座標系であり、支持脚足部の前向きをX軸の向き、左向きをY軸の向き、鉛直方向上向きをZ軸向きとする座標系である。
【0048】
以下、これら各変数を詳細に説明する。
【0049】
先ず、「対象物反力」とは、ロボット1が環境から受ける外力の内で、各足部床反力を除いた外力を意味する。具体的には、ハンド40R(L)が作業対象物(例えばドアの把手)から受ける反力を意味する。尚、その目標値を「目標対象物反力」と呼ぶ。
【0050】
目標作業パターン生成器100が出力する目標対象物反力は、後述する目標全床反力中心点まわりに作用する力とモーメントによって表現される。ちなみに、姿勢安定化にとって重要なのは、このうちのモーメント成分である。
【0051】
目標全床反力と目標全床反力中心点(位置)について説明すると、作業中において各足部が床から受けるべき目標床反力の合力を「広義の目標全床反力」と呼ぶ。広義の目標全床反力は、作用点とその点における力とモーメントで表現される。目標全床反力中心点(位置)は、目標全床反力をその点を作用点とする力とモーメントで表現したとき、X軸まわりモーメント成分とY軸まわりモーメント成分が零(0)になる床面上の点である。
【0052】
狭義の目標全床反力は、広義の目標全床反力を、目標全床反力中心点を作用点として、力とモーメントで表現した場合の力とモーメントを意味する。目標作業パターン生成器が出力する目標全床反力は、狭義の目標全床反力である。
【0053】
以降は特に説明がない限り、目標全床反力は、狭義の目標全床反力を指す。尚、平坦な床面を歩行する場合には、目標全床反力中心点は、通常、その床面上に設定される。
【0054】
歩行制御の分野において従来から公知である、M.Vukobratovicによって提唱されたZMPの概念も、次のように拡張する。即ち、ロボット1の運動によって生じる慣性力と重力と対象物反力の合力が、その点を作用点とする力とモーメントで表現されたとき、X軸まわりモーメント成分とY軸まわりモーメント成分が0になる床面上の点を「ZMP」と呼ぶ。ロボット1が目標の運動を行うときのZMPを「目標ZMP」と呼び、その位置を「目標ZMP位置」と呼ぶ。
【0055】
目標作業パターンが動力学的平衡条件を満足するということは、目標作業パターンによって生じる上記の慣性力と重力と対象物反力の合力と目標全床反力が、打ち消し合って零になることである。従って、動力学的平衡条件を満足するためには、目標全床反力中心点(位置)と目標ZMP(位置)が一致しなければならない。
【0056】
目標作業パターン生成器100では、後述する大局安定化制御が働いていない場合、動力学的平衡条件を満足する歩容を含む目標作業パターンを生成する。換言すれば、この場合、目標作業パターン生成器100が生成する目標全床反力中心点(位置)は目標ZMP(位置)に一致する。
【0057】
目標足部位置姿勢、目標上***置姿勢、目標ハンド位置姿勢は、前記した支持脚座標系で表現されたそれぞれの部位の位置と姿勢を表す。具体的には、上体3の位置およびその速度は、上体3の重心位置などの代表点およびその(変位)速度を意味する。更に、上体3あるいは足部22R(L)の姿勢は、X,Y,Z空間における向きを意味する。
【0058】
次いで、脚メイン制御装置102について説明する。脚メイン制御装置102の機能は、概説すると、脚アクチュエータ(10R(L)などの電動モータなど)を操作し、目標姿勢に追従する姿勢追従制御と、目標全床反力と補償全床反力モーメント(後述)の合力に追従する床反力制御を同時に行う装置である。尚、目標床反力と補償全床反力モーメントの合力と目標姿勢を同時に完全に満足させることは不可能であるので、適当な調整が行われ、長期的には両方を満足するように制御される。
【0059】
より詳しくは、脚メイン制御装置102は、修正目標上***置姿勢(後述)、目標足部位置姿勢、目標全床反力中心点(位置)と、その中心点に作用する目標全床反力と、補償全床反力モーメントを入力し、目標全床反力中心点(位置)に作用する実全床反力のモーメント成分が、目標全床反力モーメント(通常は零)と補償全床反力モーメントの和に一致するように、目標足部位置姿勢を修正する。修正された目標足部位置姿勢を「修正目標足部位置姿勢」と呼ぶ。
【0060】
脚メイン制御装置102は、この修正目標上***置姿勢と修正目標足部位置姿勢から決定される目標脚関節変位に実関節変位が追従するように、アクチュエータ変位指令を出力して脚アクチュエータ90を制御する。
【0061】
以上の機能を実現させるために、この実施の形態にあっては、前記した特開平10−277969号公報に記載される技術(以下「複合コンプライアンス制御」という)を適用する。この複合コンプライアンス制御を行う装置は、脚メイン制御装置の他に、足部22R(L)に設けた力センサ56、アクチュエータ駆動装置88およびアクチュエータ90を包含して構成される。
【0062】
図8に複合コンプライアンス制御装置のブロック図を示すが、その詳細な説明は上記特開平10−277969号公報に記載されているので省略する。尚、図8に示す複合コンプライアンス制御装置においては、特開平10−277969号公報に記載される複合コンプライアンス制御装置と比較すると、上体傾斜フィードバック系の姿勢安定化制御(補償全床反力モーメントの演算)が省かれている。
【0063】
その理由は、同様の処理が後述の姿勢安定化メイン制御装置で行なわれ、そこで求められた補償全床反力モーメントが入力されるためである。但し、上体傾斜偏差による床反力の変動を抑制するため、上体傾斜フィードバック系を追加しても良い。
【0064】
また、この実施の形態において複合コンプライアンス制御に、上記した特許第3269852号公報に記載される技術(以下、「大局安定化制御」という)を加えることとする。但し、大局安定化制御は上体の位置や歩幅を修正、より具体的には上記した修正目標上***置姿勢をさらに修正するので、後述の腕部リンク5の制御にあたり、ハンド40R(L)と対象物との相対位置関係が重要な場合には、修正される上体の位置や歩幅の影響を考慮する必要がある。また、大局安定化制御が働くと、目標作業パターンにおける目標ZMPは、目標全床反力中心点から故意にずらされた点に制御される。
【0065】
大局安定化制御が加えられることで修正目標上***置姿勢がさらに修正されることから、それによって最終的に得られる目標上***置姿勢を、図5に示す如く、「最終修正目標上***置姿勢」と呼ぶ。尚、大局安定化制御を加えることはこの発明において必須ではない。即ち、大局安定化制御を加えなくても良く、その場合は、修正目標上***置姿勢を最終修正目標上***置姿勢として扱えば足りる。
【0066】
尚、図5において、脚メイン制御装置102で修正された最終修正目標足部位置姿勢は、姿勢安定化メイン制御装置106に入力される。但し、姿勢安定化メイン制御装置106において、目標足部位置姿勢が修正されたことによるロボットの重心位置の変化が無視できるならば、最終修正目標足部位置姿勢を姿勢安定化メイン制御装置106に入力させる必要はない。
【0067】
次いで腕メイン制御装置104について説明する。腕メイン制御装置104の機能は、概説すると、腕アクチュエータ(30R(L)などの電動モータなど)92を操作し、目標姿勢に追従する姿勢制御と修正目標対象物反力(後述)に追従する対象物反力制御を同時に行うことである(ここでの「姿勢」は腕部リンク5の全関節の変位の組を表す)。目標姿勢と修正目標対象物反力を同時に完全に満足させることは不可能であるので、適宜な手法、例えば、従来からマニピュレータのコンプライアンス制御、いわゆる仮想コンプライアンス制御として知られるものを用いる(機械工学便覧、エンジニアリング編、C4−100頁)。
【0068】
具体的な制御系構成とアルゴリズムを以下に説明すると、腕メイン制御系は腕メイン制御装置104の他に、前記したハンド40R(L)に設けた力センサ58、アクチュエータ駆動装置88および腕アクチュエータ92を包含して構成される。
【0069】
腕メイン制御装置104は、最終目標上***置姿勢(あるいは修正目標上***置姿勢)、目標ハンド位置姿勢および修正目標対象物反力を入力し、力センサ58によって検出される実対象物反力と修正目標対象物反力の差に応じて目標ハンド位置姿勢を修正する。修正された目標ハンド位置姿勢を「最終修正目標ハンド位置姿勢」と呼ぶ。そして、最終修正目標上***置姿勢(あるいは修正目標上***置姿勢)と最終修正目標ハンド位置姿勢から決定される目標腕関節変位に実関節変位が追従するように腕アクチュエータ92を制御する。
【0070】
次いで姿勢安定化メイン制御装置106について説明する。姿勢安定化メイン制御装置106は、動バランスあるいは姿勢バランスをとるために動力学的平衡条件を考慮しながら制御を行う。そこで、先ず、装置の概要を説明する前に、動力学的平衡条件について以下に説明する。
【0071】
実際のロボット1の姿勢傾きの挙動を決定する最も大きな要因は、目標全床反力中心点(即ち、目標ZMP)まわりでの実際の力のモーメントのバランスである。
【0072】
目標全床反力中心点まわりに作用する力のモーメントを以下に列挙する。
1)慣性力モーメント
2)重力モーメント
3)全床反力モーメント
4)対象物反力モーメント
【0073】
慣性力モーメントは、目標全床反力中心点まわりのロボットの角運動量の変化によって生じるモーメントである。この値はオイラー方程式によって求められ、具体的には目標全床反力中心点まわりのロボット1の角運動量の1階微分値の符号を反転させたものである。目標作業パターンの慣性力モーメントを「目標慣性力モーメント」と呼ぶ。実際のロボット1が作業しているときの慣性力モーメントを「実慣性力モーメント」と呼ぶ。重力モーメントは、ロボット1の重心に作用する重力が目標全床反力中心点まわりに作用するモーメントである。
【0074】
2個の足部22R(L)にそれぞれ作用する床反力の合力を「全床反力」と呼ぶ。全床反力モーメントは、全床反力が目標全床反力中心点まわりに作用するモーメントである。
【0075】
前述のように、ハンド40R(L)が対象物から受ける反力を「対象物反力」と呼ぶ。対象物反力モーメントは、対象物反力が目標全床反力中心点まわりに作用するモーメントである。
【0076】
さて、理想的な脚メイン制御装置により、ロボット1が目標作業パターンの運動パターンに忠実に追従していたと仮定する。このときには実慣性力モーメントは目標慣性力モーメントに一致し、実重力モーメントは目標重力モーメントに一致する。
【0077】
一方、動力学の法則(オイラー方程式)により、実慣性力モーメントと実重力モーメントと実全床反力モーメントと実対象物反力モーメントの和は、必ず零である。
【0078】
故に、ロボット1が忠実に目標作業パターンの運動パターン通りに動くためには、目標慣性力モーメントと目標重力モーメントと実全床反力モーメントと実対象物反力モーメントの和は、零でなければならない。これを条件1とする。
【0079】
ところが、実際には実対象物反力モーメントが目標対象物反力モーメントと一致せず、差が生じる。例えば、図9に示すように、台車(対象物)108を押す作業を行っているとき、台車108の実際のころがり摩擦力の絶対値が想定していた値よりも突然小さくなってしまった状況である。
【0080】
この状況では、実対象物反力が目標全床反力中心点のY軸まわりに作用するモーメントは、目標対象物反力が目標全床反力中心点のY軸まわりに作用するモーメントよりも正の向きに大きくなって条件1を満たさなくなり、ロボット1は前傾する。尚、モーメントの向きは、座標軸の正方向に向いてロボット1を時計まわりに回転させるモーメントを正とする。
【0081】
このような状況においても条件1を満足させるためには、先に提案した技術では次の2通りの手法が考えられた。
【0082】
手法1)上記偏差を打ち消すように、実全床反力モーメントを変える。具体的には、目標全床反力中心点まわりに負の床反力モーメントを発生するように脚メイン制御装置102に指令し、脚メイン制御装置102においてアクチュエータ変位指令を行って足部22R(L)のつまさきを下げ、実全床反力モーメントを負の向きに増加させる、即ち、脚部リンク2で踏み止めさせるような姿勢をとらせる。
【0083】
手法2)上記偏差を打ち消すように、目標作業パターンの運動パターンを修正することにより、目標慣性力モーメントと目標重力モーメントを修正する。具体的には、目標上***置および/または姿勢を修正することにより、目標慣性力モーメントと目標重力モーメントを修正する。即ち、上体3を前後方向に移動させる。
【0084】
実全床反力モーメントは、目標全床反力モーメントを変えるだけで脚メイン制御装置によってすばやく変化させることができるので、手法1は短期的な対応に向いている。但し、実全床反力モーメントを大きく変化させると、足部22R(L)の接地圧分布が偏って接地感が減少し、最悪の場合には足部22R(L)の一部が浮いてしまう。従って、長期的には、なるべく元の目標全床反力モーメントに戻すべきである。
【0085】
実全床反力モーメントを元の目標全床反力モーメントに戻すためには、重心位置をずらし(この場合は後方にずらし)、目標重力モーメントによって上記偏差を打ち消すように、手法2によって目標作業パターンの運動パターンを修正すれば良い。但し、重心位置を急激にずらすと、過大な目標慣性力モーメントが逆向きに発生するので、ゆっくりと重心位置をずらす必要がある。従って、手法2は長期的な対応に向いている。
【0086】
従来技術で述べた、本出願人が先に提案した特開平10−230485号公報記載の技術は、これら両方の手法を同時に行い、短期的には手法1を主に使うことによって速い変化に対応し、長期的には手法2を主に使うことによって実全床反力モーメントを元の目標全床反力モーメントに収束させるものであった。
【0087】
これに対し、この発明に係る姿勢制御装置においては、さらに、実対象物反力の成分の内の拘束方向成分を意図的に変化させる手法(手法3)を追加するようにした。
【0088】
以下、手法3の原理について説明する。先ず、理解の便宜のため、1個(本)の腕部リンクを備えた脚式移動ロボットが、その腕部リンクの先端に配置されたハンドを用いてある対象物に対して作業を行っている場合を考える。このとき、ハンドは対象物から拘束力を受け、拘束運動をするものとする。
【0089】
対象物がハンドによって空中に支持され、ハンド以外のものによって支持されないならば、ハンドの運動には3次元の平行移動の自由度と3次元の回転の自由度の合計6つの自由度があり、対象物からは何等拘束力を受けない。
【0090】
これに対し、対象物がハンド以外のものからも支持されるならば、場合によっては、ハンドの運動はハンド以外の支持されるものによって拘束力を受ける。具体的には、ハンドが対象物、例えば静止した剛性の高い表面に接触すると、ハンドはその面を貫いて動くことはできず、故に自然な位置の拘束が生じる、換言すれば、その面から拘束力を受けることとなる。この発明に係る姿勢制御装置は、その拘束力に着目し、ロボットの姿勢安定化を図る制御を行うようにした。
【0091】
説明を続ける前に、ここで、説明に用いる座標系、各種空間や方向を以下のように定義する。尚、以下に記載する変数は、特に、ことわりがない限り、支持脚座標系で表されるものとする。
【0092】
また、ハンドのある瞬間におけるX,YおよびZ方向への速度成分をそれぞれVx,Vy,Vzとする。同じ瞬間におけるX,YおよびZ軸まわりの回転速度成分をそれぞれωx,ωy,ωzとする。回転は、座標軸の正の方向に向いて時計まわりに回転する向きを正とする。
【0093】
この瞬間におけるハンドの速度を、ベクトル(Vx,Vy,Vz,ωx,ωy,ωz)で表わすこととし、これを「ハンド速度ベクトル」と呼ぶ。
【0094】
そして、任意の実数Vx,Vy,Vz,ωx,ωy,ωzを要素とするハンド速度ベクトル(Vx,Vy,Vz,ωx,ωy,ωz)の集合を「全運動速度空間」と呼ぶ。全運動速度空間は、いわゆるベクトル空間になっている。
【0095】
また、ある瞬間に実現不可能なハンド速度ベクトル全ての集合を、この瞬間の「拘束速度領域」と呼ぶ。ここでいう実現不可能なハンド速度ベクトルは、幾何学的な観点から判定される。つまり、この瞬間にハンドと対象物の間の干渉により、ほとんどハンドの変位を生じることなく応力が発生するハンド速度ベクトルを、実現不可能なハンド速度ベクトルと定義する。このとき、腕アクチュエータや腕の関節配置などに因る制約は考えない。
【0096】
即ち、ハンド自身は、対象物がなければ任意の速度で移動可能であることを前提とする。また、このとき、ハンドおよび対象物が十分な剛性を備えていれば、剛体とみなす。従って、あるハンド速度ベクトル(Vx1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1)が拘束速度領域の要素ならば、任意の正の実数kを乗じた(kVx1,kVy1,kVz1,kωx1,kωy1,kωz1)も拘束速度領域の要素とする。尚、便宜上、零ベクトル(0,0,0,0,0,0)も拘束速度領域の要素とする。
【0097】
ここで注意すべき点は、拘束速度領域を、拘束条件下での移動可能な速度領域と混同しないことである。また、拘束速度領域は、いわゆるベクトル空間とは限らない。例えば、床面に載置された十分に硬い対象物をハンドで把持した場合、ハンドを真下(床面の法線方向下方)に下げることはできないが、逆方向(法線方向上方)には移動することができる。
【0098】
つまり、真下方向へのハンド速度ベクトルは拘束速度領域の要素であるが、その逆方向は拘束速度領域の要素になっていない。拘束速度領域がベクトル空間であれば、拘束速度領域の任意の要素(Vx1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1)に対し、逆ベクトル(−Vx1,−Vy1,−Vz1,−ωx1,−ωy1,−ωz1)も拘束速度領域の要素でなければならないが、この場合の拘束速度領域は、この条件を満足しないので、ベクトル空間ではない。
【0099】
次に、拘束速度空間を以下のように定義する。即ち、拘束速度領域の任意のベクトル(Vx1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1)と逆ベクトル(−Vx1,−Vy1,−Vz1,−ωx1,−ωy1,−ωz1)の集合を、拘束速度空間と定義する。通常は、拘束速度空間は、全運動速度空間の部分ベクトル空間になっている。
【0100】
全運動速度空間内のベクトルの内で、拘束速度領域の任意のベクトルとの内積が零である(即ちそのベクトルと直交する)全てのベクトルの集合を「自由速度空間」と呼ぶ。
【0101】
ここで、拘束速度空間および自由速度空間内のベクトルを次のように定義する。拘束速度空間の要素である方向ベクトルを「拘束方向ベクトル」と呼び、単に拘束方向というときは、任意の拘束方向ベクトルの向きを指す。また、自由速度空間の要素である方向ベクトルを「自由方向ベクトル」と呼び、単に自由方向というときは、任意の自由方向ベクトルの向きを指す。
【0102】
以下にいくつかの対象物に対する作業に関して拘束速度空間を示す。
【0103】
作業1)対象物をハンドによって空中に持ち上げている場合
【0104】
この場合、拘束速度空間は存在しない。尚、便宜上、拘束速度空間は零ベクトルだけからなる空間とする。自由速度空間は全運動速度空間に一致する。
【0105】
作業2)前記した図9に示す如く、自在キャスタ輪が付いた台車108をハンド40Rで把持して押す場合
【0106】
この場合、拘束速度空間は、任意の実数Vz,ωx,ωyを持つハンド速度ベクトル(0,0,Vz,ωx,ωy,0)の集合である。
【0107】
作業3)図10に示す如く、ハンド40Rで把手110を把持しながら、ヒンジ112が付いたドア114を開閉する場合
【0108】
この場合、ヒンジ軸112Zまわりの回転以外の運動は拘束される。ヒンジ軸をZ軸とし、この瞬間のハンドのX座標を0、Y座標を−r(rはドア114の回転半径、より詳しくは把手110の回転半径)とすると、自由速度空間は、任意の実数Vxを持つハンドの速度ベクトル(Vx,0,0,0,0,Vx/r)の集合である。
【0109】
また、拘束速度空間は、任意の実数Vx,Vy,Vz,ωx,ωyを持つハンド速度ベクトル(Vx,Vy,Vz,ωx,ωy,−r*Vx)の集合である。
【0110】
作業4)図11に示すような環境において、円柱状の手摺り120にハンド40Rを滑らせながら階段122を昇降する場合
【0111】
この場合、手摺り120の軸方向の平行移動と、手摺り120の軸まわりの回転以外の運動は拘束される。手摺り120の軸が式x=z+c,y=−d(cおよびdは定数)で表わされるとすると、自由速度空間は、任意の実数Vxおよびωxを持つハンド速度ベクトル(Vx,0,Vx,ωx,0,ωx)である。また、拘束速度空間は、任意の実数Vx,Vy,ωx,ωyを持つハンド速度ベクトル(Vx,Vy,−Vx,ωx,ωy,−ωx)の集合である。尚、理解の便宜のため、手摺り120とX軸のなす角度を45度とする。
【0112】
作業5)図11に示す環境において、手摺り120をハンド40Rでしっかり把持して階段122を昇降する場合
【0113】
手摺り120をしっかりと把持しているときには運動の自由度はなく、全ての運動が拘束される。従って、拘束速度空間は、全運動速度空間に一致する。
【0114】
上記のような作業において、ハンドから対象物に対してハンドの拘束方向に力を作用させたとき、対象物にはハンド以外の支持するものからその力を打ち消す拘束力しか発生せず、自由方向に実質的に摩擦力などが発生しないならば、ハンドおよび対象物の運動は変化しない。
【0115】
作業3(図10)を例にとると、ハンド40Rによってドア114に上向き(Z軸上方)の力を作用させても、ヒンジ112の摩擦が実質的に零であるならば、ヒンジ112からドア114に前記上向きの力を打ち消す力だけが作用するので、ドア114の回転運動に何の影響も与えない。
【0116】
この発明に係る姿勢制御装置は、かかる性質を利用することで、対象物の運動制御に干渉せずに、ロボットの姿勢を安定化しようとするものである。即ち、対象物からハンドに作用する力の拘束方向成分を制御することにより、対象物の運動に影響を与えることなく、ロボットの動バランスを維持したり、傾いた姿勢を復元するように構成した。
【0117】
以下に、作業3を例にとり、この作用について説明する。前述した図10に示すように、ロボット1がドア114の前に立ってその開閉作業を行っているとき、ロボット1が前に倒れそうになった状況を考える。ロボット1の姿勢を復元させるための一つの方法は、ドア114を前に押すことである。これによってロボット1はドア114から反力を受け、姿勢が復元する。
【0118】
しかし、姿勢安定化制御のためにドア114を押してしまうと、ドア114は加速され、その運動は望みの開閉運動からずれてしまうので、あまり大きな復元力を発生させることはできない。特に、ロボット1の質量に較べてドアの質量が非常に小さい場合には、ほとんど復元力を発生させることができない。また、ドア114の運動が所期の予定から変更されるため、作業遂行上望ましくない。
【0119】
ロボット1の姿勢を復元させるためのもう一つの方法は、ドア114を下に押すことである。これによってロボット1はドア114から反力を受け、姿勢が復元する。さらに、拘束方向に押しているだけなので、前述のようにドアの運動は変わらない。
【0120】
この発明に係る姿勢制御装置は後者の方法を用いるものであるため、前記作業2、作業3および作業4のようにハンドの運動に何らかの拘束方向が存在することが、この発明を適用するための必要条件になる。従って、前記作業1に対しては適用することができない。
【0121】
尚、拘束速度空間などを表す座標系は、円筒座標系や極座標系などでも良い。通常の座標系なら何を用いてもそれらの間で変換も可能であると共に、その瞬間における拘束速度空間が指す空間に相違はないためである。作業に応じて座標系を適宜設定することで、作業中、拘束速度空間を一定(普遍)にすることができる場合もある。例えば、前記作業3では、円筒座標系を用いてヒンジ112の軸を円筒座標系の軸に一致させることで、各瞬間における拘束速度空間を一定に保つことができる。
【0122】
次いで、n個(本)の腕を備えるロボットが作業を行う場合について考える。この場合、各種空間や方向の定義を、次のように拡張する。
【0123】
まず、下式のように、各ハンドに1からnまでの識別番号をつけ、それぞれを「第jハンド」(j=1,2,・・・,n)と呼んで区別する
【0124】
座標系は前記した支持脚座標系を用いることとし、第jハンドのある瞬間におけるX,YおよびZ方向への速度成分を、それぞれVxj,Vyj,Vzjとする。また、同じ瞬間におけるX,YおよびZ軸まわりの回転速度成分を、それぞれωxj,ωyj,ωzjとする。
【0125】
そして、ベクトル(Vx1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1,Vx2,Vy2,Vz2,ωx2,ωy2,ωz2,・・・,Vxn,Vyn,Vzn,ωxn,ωyn,ωzn)を「全ハンド速度ベクトル」と呼ぶ。このベクトルは、第1ハンドから第nハンドまでのハンド速度ベクトルの各要素を順に並べたものである。尚、このベクトル表現の代りに、j行目が第jハンドの速度ベクトルになっている、n行6列の行列で表わしても良い。
【0126】
以降、全ハンド速度ベクトルを改めて「ハンド速度ベクトル」と呼ぶ。また、任意の実数を要素とするハンド速度ベクトルの集合を、改めて「全運動速度空間」と呼ぶ。この全運動速度空間は、6*n次元ベクトル空間になっている。
【0127】
さらに、ある瞬間に実現不可能なハンド速度ベクトル全ての集合を、改めてこの瞬間の「拘束速度領域」と呼ぶ。ここでいう実現不可能なハンド速度ベクトルは、幾何学的な観点から判定される。つまりこの瞬間に、ハンドと対象物の間またはハンドと他のハンドの間の干渉により、ほとんどハンドの変位を生じることなく応力が発生するハンド速度ベクトルを実現不可能なハンド速度ベクトルと定義する。
【0128】
このとき、腕アクチュエータ能力や腕部リンク5の関節配置などに関する制約は考えない。つまり、ハンド自身は、対象物がなければ任意の速度で移動可能であることを前提とする。また、ハンドおよび対象物が十分な剛性を備えていれば、剛体とみなす。従って、ある速度ベクトルが拘束速度領域の要素ベクトルならば、そのベクトルの全要素をk倍(kは任意の正の実数)したベクトルも、拘束速度領域の要素ベクトルとする。尚、便宜上、零ベクトルも拘束速度領域の要素ベクトルとする。
【0129】
そして、拘束速度領域の任意のベクトルとその逆ベクトル(大きさが同じで向きが逆のベクトル)からなる集合を改めて「拘束速度空間」と定義する。通常は、拘束速度空間は、全運動速度空間の部分ベクトル空間になっている。
【0130】
また、拘束速度領域の任意のベクトルとの内積が零である(即ち、そのベクトルと直交する)全ての全運動速度空間内のベクトルの集合を、改めて「自由速度空間」と呼ぶ。
【0131】
ここで、拘束速度空間および自由速度空間内のベクトルを、以下のように定義する。拘束速度空間の要素である方向ベクトルを、改めて「拘束方向ベクトル」と呼び、単に拘束方向というときは、任意の拘束方向ベクトルの向きを指す。また、自由速度空間の要素である方向ベクトルを、改めて「自由方向ベクトル」と呼び、単に自由方向というときは、任意の自由方向ベクトルの向きを指す。
【0132】
対象物およびハンドの運動の自由度と拘束に関する定義を、上記の如く拡張する。これにより、複数個(本)の腕を備えるロボットが複数個の腕を使って作業を行う場合でも、全ハンドを拘束方向に動かしてハンドに対象物から反作用(拘束力)を受けさせることで、全ての対象物の運動に影響を与えることなく、ロボットの動バランスを維持したり、傾いた姿勢を復元することができる。
【0133】
以下に、複数個の腕による作業の例を示す。先ず、図12に示すように、対象物が、高さh、前方bに存在するZ軸まわりの回転だけができる、半径rの円形なホイール130であって、このホイール130を第1ハンドと第2ハンドの計2個のハンドで把持して回す作業を例として挙げる。
【0134】
ある瞬間の第1ハンドの座標が(b,−r,h)であり、第2ハンドの座標が(b,r,h)であるとする。この瞬間の自由速度空間は、任意の実数ωz1を持つハンド速度ベクトル(r*ωz1,0,0,0,0,ωz1,−r*ωz1,0,0,0,0,ωz1)の集合である。これは、対象物の軸まわりに2個のハンドを同じ角度だけ回転させる運動を意味する。
【0135】
この瞬間の拘束速度空間は、任意の実数Vx1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1,Vx2,Vy2,Vz2,ωx2,ωy2を持つハンド速度ベクトル(Vx1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1,Vx2,Vy2,Vz2,ωx2,ωy2,−r*Vx1−ωz1+r*Vx2)の集合である。例えば、ハンド速度ベクトル(Vx1,0,0,0,0,0,Vx1,0,0,0,0,0)は、拘束速度空間の速度ベクトルである。これは、ホイール130の軸の摩擦が零であるならば、両ハンドをX方向に同じ力で押しても、ホイール130の回転運動に影響を与えないことを意味する。
【0136】
別の例を図13を参照して説明する。同図に示すように、第1ハンドで固定物(例えば柱)140を把持しながら、第2ハンドでヒンジ142の付いたドア144を開閉する作業を例に挙げる。
【0137】
ヒンジ142の軸(142Z)方向がZ軸と平行であり、ヒンジ軸142ZのX座標がb、ヒンジ軸のY座標がr、この瞬間の第2ハンドの座標を(b,0,h)とする。第1ハンドの座標を(b,−c,h)とすると、自由速度空間は、任意の実数ωz2を持つハンド速度ベクトル(0,0,0,0,0,0,r*ωz2,0,0,0,0,ωz2)の集合である。
【0138】
また、拘束速度空間は、それに直交するベクトル集合なので、任意の実数Vx1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1,Vx2,Vy2,Vz2,ωx2,ωy2を持つ、ハンド速度ベクトル(Vx1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1,Vx2,Vy2,Vz2,ωx2,ωy2,−r*Vx2)の集合となる。
【0139】
例えば、ハンド速度ベクトル(Vx1,Vy1,Vz1,ωx1,ωy1,ωz1,0,0,0,0,0,0)は、拘束速度空間の速度ベクトルである。これは、第1ハンドで固定物140をどのように押しても、ドア144の回転運動に影響を与えないことを意味する。
【0140】
上記のように、複数のハンドから対象物に対して拘束方向に力を作用させても、対象物にはハンド以外の支持するものからその力を打ち消す拘束力しか発生せず、よって自由方向に摩擦力などを発生しないならば、ハンドおよび対象物の運動は変化しない。
【0141】
従って、上記のように定義を拡張することにより、複数のハンドによる作業においても、1個のハンドの場合と同じ原理で、対象物の運動制御に干渉せずに、ロボットの姿勢を安定にすることができる。即ち、複数のハンドによる作業においても、対象物からハンドに作用する力の拘束方向成分を制御することにより、対象物の運動に影響を与えることなく、ロボットの動バランスを維持したり、傾いた姿勢を復元することができる。
【0142】
尚、一般的に、ハンドが複数、例えばこの実施の形態のように2個になると、拘束速度空間の次元がハンドが1個の場合よりも高くなるので、この中からロボットの姿勢安定化に効果の高い部分ベクトル空間を選び出し、その要素ベクトルの方向に拘束力を発生させることにより、ハンドが1個の場合よりも高い効果を得ることができる。
【0143】
ドアの開閉作業の例でいえば、ドアの開閉制御に干渉しないようにロボットの姿勢を復元させるためには、1個の腕の場合ではドアに上下方向の力を作用させるのが最も効果的であるが、2個の腕の例では、ドアを把持していないハンドで固定物を押すようにすることで、より効果的に動バランスを維持したり、傾いた姿勢を復元することができる。
【0144】
以上の原理を前提とし、図5に示す姿勢安定化メイン制御装置106の説明に戻る。
【0145】
姿勢安定化メイン制御装置106は、前記した3つの手法、即ち、
1)実全床反力モーメントを修正する
2)目標慣性力モーメントと目標重力モーメントを修正する
3)実対象物反力の成分の内の拘束方向成分を修正する
の3つの手法を併用するため、図14に示すように構成される。
【0146】
即ち、姿勢安定化メイン制御装置106は、姿勢安定化用補償モーメント算出器200、対象物反力平衡制御装置202、対象物反力モーメント偏差分離器204、修正目標対象物反力算出器206、および各種の分配器(具体的には、対象物反力平衡制御用分配器208と補償モーメント分配器210)とから構成される。
【0147】
姿勢安定化メイン制御装置の各構成要素は全て、制御周期毎(例えば100msec毎)に演算が行われる。ECU62の性能上、同時に複数の演算処理ができない場合には、図14の矢印上流側から順に演算処理を実行すれば良い。
【0148】
以下、姿勢安定化メイン制御装置106で処理される変数およびそれらの構成要素について説明(定義)する。
【0149】
上述したように、この発明に係る姿勢制御装置は、対象物反力の拘束方向成分を制御することにより、対象物の運動に影響を与えることなく、ロボット1の動バランスを維持したり、傾いた姿勢を復元する制御装置に関する。しかしながら、対象物反力の全ての拘束方向成分が、ロボット1の動バランスを維持したり傾いた姿勢を復元する効果を持っているとは限らない。
【0150】
また、ある拘束方向の目標対象物反力が、作業目的や対象物の性質上、変更すべきではない場合もある。つまり、対象物反力の拘束方向成分の内で、ロボット1の動バランスを維持したり、傾いた姿勢を復元するために利用すべき成分を、復元する効果の度合、作業目的および対象物の性質を考慮して適宜選定すべきである。
【0151】
そこで、新たに、次の空間と方向を定義する。図24を参照して説明すると、先ず、全運動速度空間の中で、ロボット1の動バランスを維持したり、傾いた姿勢を復元するために利用すべき全ての拘束方向によって張られるベクトル空間を「操作空間」と呼ぶ。操作空間は、拘束速度空間の部分ベクトル空間となっている。また、操作空間の任意の方向ベクトルを「対象物反力操作方向」あるいは単に「操作方向」と呼ぶ。図示の如く、操作空間は、拘束速度空間から作業空間を除いた、白地の部分に相当する。
【0152】
全運動速度空間の方向ベクトルの内、任意の対象物反力操作方向との内積が零である(即ち、その方向と直交する)ものを「対象物反力非操作方向」あるいは単に「非操作方向」と呼び、全ての非操作方向が張る空間を「非操作空間」と呼ぶ。
【0153】
即ち、非操作空間は、全運動速度空間の部分ベクトル空間となっており、自由速度空間は、非操作空間の部分ベクトル空間となっている。また、操作空間の任意のベクトルと非操作空間の任意のベクトルは直交する。
【0154】
尚、操作方向は、コンプライアンス制御のコンプライアンス定数などと同じく、制御パラメータの一種と考えられる。この値は、一般には一定ではなく、作業が進行するにつれて変化する性質のものである。この値をどのように決定すべきかも重要なことであるが、この発明に係る姿勢制御装置の本質ではないので、この実施の形態では説明の便宜上、操作方向はあらかじめ作業目的、作業パターンおよび対象物の性質に基づいて決定されているものとする(操作方向などは作業中に決定しても良い)。
【0155】
以上を前提として姿勢安定化メイン制御装置106の上記した構成要素について詳説する。
【0156】
姿勢安定化用補償モーメント算出器200は、ロボット1の姿勢傾斜偏差、より具体的には実上体傾斜と目標上体傾斜の差である上体傾斜偏差を零に収束させるための姿勢安定化用補償モーメント(実全床反力モーメントの修正に使用するモーメント)を算出する装置であり、上記手法1)を達成するための構成である。この装置は、少なくとも、傾斜センサ60によって検出された上体傾斜角度と目標作業パターン生成器100が生成した目標上体傾斜角度の偏差に応じ、その偏差を減少するように姿勢安定化用補償モーメントを算出する。
【0157】
図15に、姿勢安定化用補償モーメント算出器200を最も単純な構成で示す。図示の例では、入出力共に1次元のスカラ量のように示されているが、実際には、X方向成分とY方向成分があり、それぞれに対し、図示の処理が行われる。但し、Z方向成分は、姿勢安定性に関係がないので無視することとする。
【0158】
以下、説明すると、先ず実上体傾斜と目標上体傾斜の差である上体傾斜偏差を求める。次に、姿勢安定化制御則部200aにおいて上体傾斜偏差の微分値を求め、最後に、式1に従って姿勢安定化用補償モーメントを算出する。
Figure 0003833567
ここで、kpとkdは制御ゲインである。尚、これ以外にも、Hインフィニティ制御などを用いても良い。
【0159】
図14に戻って説明を続けると、対象物反力平衡制御装置202は、検出はできるが予期できない対象物反力を受けたとき、その対象物反力を考慮しながら目標上***置姿勢を修正することにより、目標作業パターン生成器100で生成された目標慣性力モーメントと目標重力モーメントを修正して動バランスを維持する制御を行なう装置であり、上記手法2)を達成させるための構成である。
【0160】
また対象物反力モーメント偏差分離器204は、対象物反力を姿勢安定化に利用する拘束方向の成分とそれ以外の成分に分離する装置であり、修正目標対象物反力算出器206は対象物反力に姿勢安定化に必要な目標拘束力を加えた目標対象物反力を算出する装置である。
【0161】
これら2つの装置204,206に各種分配器(対象物反力平衡制御用分配器208と補償モーメント分配器210)を加えたものが、上記手法3)を達成するための構成である。尚、それら装置の詳細は後述する。
【0162】
先ず、対象物反力モーメント偏差分離器204を説明すると、ハンド40R(L)の力センサ58で検出される実ハンド力は、ハンド基準点に作用する力と力のモーメントを、ハンド内にローカルに設定された座標系で表現したものとする。ここで、ハンド基準点は、ハンド40R(L)の位置を表わすためのハンド内の基準点である。また、ハンド内にローカルに設定された前記座標系の原点は、ハンド基準点に設定する。
【0163】
ところで、ハンド位置姿勢は、ハンド内にローカルに設定された前記座標系を支持脚座標系から見たときの原点位置と座標系の向きを表す。より具体的には、前記原点位置はベクトルで、前記座標系の向きは3行3列マトリックスで表現される。あるいは、ロボット工学で良く用いられる表現である、前記原点位置と前記座標系の向きをまとめて表現する同次行列を用いても良い。
【0164】
また、ハンド40R(L)の実際の位置姿勢は、前記した腕メイン制御装置104によってアクチュエータ変位指令を介して駆動されることにより、ほぼ最終修正目標ハンド位置姿勢にあると考えられるので、ハンド内にローカルに設定された前記座標系は、最終修正目標ハンド位置姿勢を基準とした座標系であると考えても良い。
【0165】
図16は対象物反力モーメント偏差分離器204の構成を示すブロック図である。同図を参照して説明すると、対象物反力モーメント偏差分離器204は実対象物反力モーメント成分分離器204aを備え、その分離器204aは支持脚座標系から見た最終修正目標ハンド姿勢を入力し、実ハンド力を支持脚座標系の値に変換する。支持脚座標系に変換された実ハンド力も、ハンド基準点に作用する力と力のモーメントで表現される。尚、支持脚座標系に変換された実ハンド力の作用点を全床反力中心点に変換したものが、実対象物反力である。即ち、これらは表現は異なるが、同一のものを意味している。
【0166】
ハンドがn個ある場合、支持脚座標系に変換された実ハンド力は、各ハンドの実ハンド力の各成分を順番に並べた1つのベクトルで表現される。即ち、全運動速度空間でのベクトルで表現される。より具体的には、
(F1x,F1y,F1z,M1x,M1y,M1z,F2x,F2y,F2z,M2x,M2y,M2z,・・・,Mnz)
の形で表現される。但し、ここで、Fjx, Fjy, Fjzは第jハンドの基準点に作用する力のx,y,z成分、Mjx,Mjy, Mjzは第jハンドの基準点に作用する力のモーメントのx,y,z成分を表わす。
【0167】
次に、分離器204aは、支持脚座標系に変換した実ハンド力を、あらかじめ選定された操作方向に従って操作方向成分と非操作方向成分に分離する。尚、ここで注意すべき点は、各成分は、前述したように全運動速度空間のベクトルであって、現実の3次元空間のベクトルではないことである。
【0168】
具体的には、分離器204aは、次のような演算によって分離する。先ず、操作空間がm次元であったとすると、操作空間の直交基底ベクトルをA1,A2,・・・,Amとする。また、非操作空間の直交基底ベクトルをB1,B2,・・・,Beとする。ここで、mとeの和はハンドの個数の6倍である。
【0169】
次いで、支持脚座標系に変換された実ハンド力のベクトルを、Fと記述する。また、実ハンド力の操作方向成分をFa、実ハンド力の非操作方向成分をFbと記述する。これらのベクトルは全運動速度空間のベクトルである。
【0170】
実ハンド力の操作方向成分Faと実ハンド力の非操作方向成分Fbは、式2によって求められる。
Fa=(A1+A2+・・・+Am)*F
Fb=(B1+B2+・・・+Be)*F ・・・式2
【0171】
次に、分離器204aは、最終修正目標ハンド位置姿勢および実ハンド力の操作方向成分Faに基づき、実ハンド力の操作方向成分Faの全ての成分が、目標全床反力中心点まわりに作用する力の和を求める。これを「目標全床反力中心点まわりの実対象物反力操作方向成分和」と呼ぶ。この力は、3次元空間での力と力のモーメントで表現される。座標系としては支持脚座標系を用いる。また目標全床反力中心点まわりの実対象物反力操作方向成分の内のモーメント成分を「目標全床反力中心点まわりの実対象物反力モーメント操作方向成分和」と呼ぶ。
【0172】
次に、分離器204aは、最終修正目標ハンド位置姿勢および実ハンド力の非操作方向成分Fbに基づき、実ハンド力の非操作方向成分Fbの全ての成分が、目標全床反力中心点に作用する力の和を求める。これを「目標全床反力中心点まわりの実対象物反力非操作方向成分和」と呼ぶ。この力も、3次元空間での力と力のモーメントで表現される。座標系としては支持脚座標系を用いる。また目標全床反力中心点まわりの実対象物反力非操作方向成分の内のモーメント成分を「目標全床反力中心点まわりの実対象物反力モーメント非操作方向成分和」と呼ぶ。
【0173】
また、対象物反力モーメント偏差分離器204は目標ハンド位置作用点変換器204bを備え、その変換器204bも、上記のような処理(演算)を目標対象物反力に対しても行う。目標対象物反力も、実ハンド力と同様、全運動速度空間のベクトルである。具体的には先ず、目標対象物反力は目標全床反力中心点を作用点として表現されているので、変換器204bは、この作用点を一旦、目標ハンド位置(目標ハンドの基準点位置)を作用点とする力と力のモーメントに変換する。これを「目標ハンド位置を作用点とする目標対象物反力」と呼ぶ。
【0174】
さらに、対象物反力モーメント偏差分離器204は目標対象物反力モーメント成分分離器204cを備え、分離器204cは、上記と同様の処理によって操作方向成分と非操作方向成分に分離する。これらをそれぞれ「目標ハンド位置を作用点とする目標対象物反力の操作方向成分」および「目標ハンド位置を作用点とする目標対象物反力の非操作方向成分」と呼ぶ。
【0175】
次に、分離器204cは、目標ハンド位置を作用点とする目標対象物反力の操作方向成分および目標ハンド位置(目標ハンドの基準点位置)に基づき、目標対象物反力の操作方向成分の全ての成分が、目標全床反力中心点に作用する力の和を求める。これを「目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力操作方向成分和」と呼ぶ。この力は、3次元空間での力と力のモーメントで表現される。座標系としては支持脚座標系を用いる。また、目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力操作方向成分の内のモーメント成分を「目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力モーメント操作方向成分和」と呼ぶ。
【0176】
次に、分離器204cは、目標ハンド位置を作用点とする目標対象物反力の非操作方向成分および目標ハンド位置(目標ハンドの基準点位置)に基づき、目標対象物反力の非操作方向成分の全ての成分が、目標全床反力中心点に作用する力の和を求める。これを「目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力非操作方向成分和」と呼ぶ。この力も、3次元空間での力と力のモーメントで表現される。座標系としては支持脚座標系を用いる。また、目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力非操作方向成分の内のモーメント成分を「目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力モーメント非操作方向成分和」と呼ぶ。
【0177】
次いで、加算点204dにおいて、かくして得られた目標全床反力中心点まわりの実対象物反力モーメント操作方向成分和から目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力モーメント操作方向成分和を減じることにより、目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント操作方向成分和を得る。
【0178】
また、加算点204eにおいて、目標全床反力中心点まわりの実対象物反力モーメント非操作方向成分和から目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力モーメント非操作方向成分和を減じることにより、目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和を得る。
【0179】
尚、目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差の内のモーメント成分を除く成分は、ロボット1の姿勢にあまり関与しないので、この実施の形態では無視することとした。また、最終修正目標ハンド位置姿勢を用いる代り、脚部リンク2および腕部リンク5の実関節角を用いてキネマティクス演算によって算出される実ハンド位置姿勢を用いても良い。
【0180】
図14の説明に戻ると、上記のようにして得た目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント操作方向成分和は、後に述べるように補償全床反力モーメントの算出に使用される。他方、目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和は、対象物反力平衡制御用分配器208に入力される。
【0181】
この対象物反力平衡制御用分配器208を図17を参照して説明すると、分配器208は関数208a,208bを備え、対象物反力平衡制御用分配器208は、それら関数208a,208bに目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和を入力し、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和と、対象物反力平衡制御以外で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和を出力させる。
【0182】
尚、対象物反力平衡制御とは、前述の手法2)を達成するために対象物反力平衡制御装置202で行なわれる制御であり、概説すると、前記したように、上***置をずらすことによって重力モーメントを発生させ、よって対象物反力偏差モーメント和を打ち消す制御である。
【0183】
また、図17に示す例では、入出力共に1次元のスカラ量のように示されているが、実際には、X方向成分とY方向成分があり、それぞれに対して図示の処理が行われる。但し、Z方向成分は、姿勢安定性に関係がないので無視することとする。
【0184】
図示の如く、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和を出力する関数208aとしては、上下限リミッタ特性(飽和特性)を持った関数を用いると共に、対象物反力平衡制御以外で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和を出力する関数208bとしては不感帯特性を持った関数を用いる。
【0185】
このような関数特性を持たせた場合、動バランスを維持するために、目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和の絶対値がある設定値以下のとき、そのモーメントを対象物反力平衡制御によって打ち消し、そのモーメントが設定値を越えたとき、超えた分を主にハンドの拘束方向に対象物反力を発生させて打ち消すように制御系が働く。即ち、前記上下限リミッタ特性を持たすことにより、上***置のずらし量に制限を持たせ、幾何学的に無理な姿勢になるのを防止することができる。
【0186】
尚、入出力関係を決定する2つの関数208a,208bには、図示例以外の関数を用いても良い。例えば、図18に208c,208dで示すような曲線でも良い。図17および図18のいずれにしても、ロボット1の特性、対象物の特性および作業内容に応じ、関数を選定すべきである。
【0187】
また、入出力関係を決定する2つの関数の出力和は、基本的には入力に一致させるべきであるが、厳密に一致させる必要はない。特に、脚コンプライアンス制御や腕コンプライアンス制御は、目標値の絶対値が大きいと、発生する力が目標に対して小さめになりやすい傾向があるので、これを補正する意味で、入力の絶対値が大きい領域では、関数出力の和の絶対値を入力の絶対値より大きくした方が良い場合もある。また、X方向成分とY方向成分を独立して分配するのでなく、X方向成分とY方向成分の両方を入力とした2入力関数を用いて、各出力を決定しても良い。
【0188】
図14の説明に戻ると、対象物反力平衡制御用分配器208でかくして分配された、対象物反力平衡制御以外で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和は、さらに乗算点214で−1倍されて極性が反転させられ、対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対象物反力補償モーメントとして補償モーメント分配器210に入力される。また、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和は、対象物反力平衡制御装置202に入力される。
【0189】
次いで、先に概説した対象物反力平衡制御装置202について詳細に説明する。
【0190】
先ずその機能について概説すると、対象物反力平衡制御装置202は、上述したように目標上***置姿勢などを入力し、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和に動力学的に平衡するように目標上***置姿勢と目標全床反力を修正し、修正目標上***置姿勢と対象物反力平衡制御用補償全床反力モーメントを出力する。
【0191】
即ち、装置202は、長期的には、目標上***置姿勢をずらすことによって発生する重力モーメントが、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和に動力学的に平衡し、目標全床反力の修正量が零に戻る特徴を持つ。
【0192】
前述の如く、対象物反力平衡制御装置202は上記手法2)を解決するための構成であり、本出願人が既に特開平10−230485号公報で提案している技術であるが、この実施の形態においては、かかる公報に記載される対象物反力平衡制御装置の後半部の構成のみが使用されると共に、「対象物反力偏差」が入力されていた部分に、前記した「対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和」が入力されるように変更された点で異なる。
【0193】
図19は対象物反力平衡制御装置202の構成を示すブロック図であり、最終到達目標重心位置摂動量算出部202a、モデル制御則演算器202b、および摂動動力学モデル202cを備える。
【0194】
これらへの入力は、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和、目標上***置姿勢、最終修正目標ハンド位置姿勢、最終修正目標上***置姿勢、最終修正目標足部位置姿勢である。尚、この内、最終修正目標ハンド位置姿勢、最終修正目標上***置姿勢および最終修正目標足部位置姿勢は、対象物反力平衡制御において近似演算を用いる場合、即ち、摂動動力学モデル202cが近似モデルである場合には不要である。
【0195】
尚、前述の姿勢安定化用補償モーメントは、部分的にも対象物反力平衡制御装置202には入力されない。姿勢安定化用補償モーメントは、姿勢が傾いた結果ずれた重心位置を復元させるためにロボットに外部から与えられるべきモーメントであるが、対象物反力平衡制御装置202の機能は、目標姿勢の重心をずらすことによって定常的な対象物反力偏差を打ち消すことであり、姿勢が傾いた結果ずれた重心を復元することはできないためである。
【0196】
以下詳説すると、入力された対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和は、最終到達目標重心位置摂動量算出部202aに入力される。
【0197】
この対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和を長期的に打ち消してバランスをとるための重心摂動量を「最終到達目標重心位置摂動量」と呼ぶ。最終到達目標重心位置摂動量算出部202aは、上記和から最終到達目標重心位置摂動量を算出して出力する。
【0198】
最終到達目標重心位置摂動量は、モデル制御則演算器202bに入力される。モデル制御則演算器202bについて説明すると、最終到達目標重心位置摂動量と、摂動動力学モデル202cが出力する目標重心位置摂動量との差を重心変位偏差とすると、モデル制御則演算器202bは、この重心変位偏差を零に収束させるためのモーメントである対象物反力平衡制御用補償全床反力モーメントをPD制御則によって決定して出力する。
【0199】
尚、摂動動力学モデル202cは、目標作業パターンの運動(摂動)に、ある拘束条件を与えておいた場合の、モデルのための目標全床反力モーメント摂動量と上***置姿勢摂動量との関係を表すモデルである。
【0200】
モデル制御則演算器202bの出力直後の加算点202dについて説明すると、加算点202dによって、摂動動力学モデルには、対象物反力平衡制御用補償全床反力モーメントと、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和が加算されたものが、モデルのための目標全床反力モーメント摂動量(モデル入力量)として入力され、その入力に対応するように前記摂動動力学モデルによって上***置姿勢摂動量が算出される。それが加算点202dで目標上***置姿勢に加算され、修正目標上***置姿勢が出力される。
【0201】
図14の説明に戻ると、このように、対象物反力平衡制御装置202の出力は、入力した目標上***置姿勢を修正した修正目標上***置姿勢と、対象物反力平衡制御用補償全床反力モーメントである。出力された対象物反力平衡制御用補償全床反力モーメントは、同図に示すように、続いて述べる補償モーメント分配器210に入力される。
【0202】
尚、上記で、装置202から対象物反力平衡制御用補償全床反力の内のモーメント成分のみが出力されるようにしたのは、対象物反力平衡制御用補償全床反力の内、ロボットの姿勢安定化のための特に重要な成分は、X軸まわりモーメント成分とY軸まわりモーメント成分であるためである。モーメント成分以外も考慮した制御系にした方がより良いが、顕著な効果は期待できない。
【0203】
次いで、補償モーメント分配器210について説明する。補償モーメント分配器210は、図20に示すように、対象物反力平衡制御用補償全床反力モーメント、対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対象物反力補償モーメントおよび姿勢安定化用補償モーメントを入力し、それらを目標拘束力モーメントと補償全床反力主モーメントに分配する、2つの関数を備える。
【0204】
ここで、対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対象物反力補償モーメントは、前記したように、対象物反力平衡制御以外の手段で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和を乗算点214で−1倍した値である。
【0205】
また、目標拘束力モーメントは、前記入力の内で、拘束方向の対象物反力によって目標全床反力中心点まわりに発生させるべきモーメントであり、補償全床反力主モーメントは、前記入力の内で、目標全床反力中心点まわりに全床反力によって発生させるべきモーメントである。
【0206】
以下、図20を参照して分配処理について説明する。尚、図示の例では入出力共に1次元のスカラ量のように示されているが、実際にはX方向成分とY方向成分があり、それぞれに対して処理が行われる。但し、Z方向成分は姿勢安定性に関係がないので無視することとする。
【0207】
分配器210は加算点210aを備え、加算点210aで対象物反力平衡制御用補償全床反力モーメントと、対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対象物反力補償モーメントの和を求めて2つの関数に入力する。ここで、姿勢安定化用補償モーメントをu、前記和をvと置き、前記した2つの関数の中の1つである関数g1(u,v)の値を求め、これを補償全床反力主モーメントとする。また、他方の関数g2(u,v)の値を求め、これを目標拘束力モーメントとする。但し、それぞれの関数は2入力1出力の関数である。
【0208】
この関数は、例えば以下に示す式のようにすれば良い。尚、式中のCmaxおよびCminは設定値である。
u+v>Cmaxのとき
g1(u,v)=Cmax
u+v<Cminのとき
g1(u,v)=Cmin
Cmin≦u+v≦Cmaxのとき
g1(u,v)=u+v ・・・式3
g2(u,v)=u+v−g1(u,v) ・・・式4
【0209】
図20では、式3、式4で表わされる関数を、入力uと入力vを水平面上の直交軸とし、出力値を高さで表している。
【0210】
基本的には、補償モーメント分配器の入力和(対象物反力平衡制御用補償全床反力モーメントと対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対象物反力補償モーメントと、姿勢安定化用補償モーメントの和)が、出力和(目標拘束力モーメントと補償全床反力主モーメントの和)に一致するように、2つの関数を選定すべきである。即ち、g1(u,v)+g2(u,v)=u+vが恒等的に成立するように、2つの関数を選定すべきである。
【0211】
尚、対象物反力平衡制御用補償全床反力モーメントをu、対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対象物反力補償モーメントをv、姿勢安定化用補償モーメントをwと置き、補償全床反力主モーメントと目標拘束力モーメントを、それぞれ3入力の関数g1(u,v,w)、関数g2(u,v,w)の値によって決定しても良い。
【0212】
その場合でも、基本的には、g1(u,v,w)+g2(u,v,w)=u+v+wが恒等的に成立するように関数を選定すべきである。しかしながら、複合コンプライアンス制御などの制御偏差を考慮し、出力和を大きめにしても良い。特に、姿勢安定化用補償モーメントはフィードバック量であるから、姿勢安定化用補償モーメントに影響を受けた出力成分の和が、姿勢安定化用補償モーメントと数十パーセント違っていてもあまり問題にならない。
【0213】
図14の説明に戻ると、補償モーメント分配器210から出力される、一方のモーメントである目標拘束力モーメントは、加算点215に送られ、そこで前述の目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント操作方向成分和から減算される。
【0214】
また、補償モーメント分配器210から出力される、他方のモーメントである補償全床反力主モーメントから加算点216で、前述の目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント操作方向成分和と目標拘束力モーメントの差が減算され、補償全床反力モーメントが出力される。
【0215】
但し、腕アクチュエータ92のコンプライアンス制御の能力が高く、目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント操作方向成分和がほぼ目標拘束力モーメントに一致するように制御される場合、加算点216で目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント操作方向成分和と目標拘束力モーメントの差を減じることなく、補償全床反力主モーメントをそのまま補償全床反力モーメントとしても良い。
【0216】
尚、加算点216を削除し、補償全床反力モーメントを補償全床反力主モーメントとし、その代わりに、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和から、目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント操作方向成分和と目標拘束力モーメントの差(加算点215の出力)を減じるようにしても良い。
【0217】
前記した目標拘束力モーメントは、修正目標対象物反力算出器206にも入力される。
【0218】
図21に、修正目標対象物反力算出器206の構成を示す。同図に示すように、修正目標対象物反力算出器206は、目標ハンド位置姿勢(あるいは最終修正目標ハンド位置姿勢)、目標拘束力モーメント、目標全床反力中心点位置、操作方向および目標対象物反力を入力し、それら入力に基づいて修正目標対象物反力を算出して出力する。
【0219】
以下、その処理について説明すると、算出器206は目標ハンド力修正量決定器206a、変換器206bおよび加算点206cを備える。目標ハンド力修正量決定器206aは、目標ハンド位置(あるいは最終修正目標ハンド位置)を作用点とするように表現された目標対象物反力の修正量である目標ハンド力修正量を以下のように決定する。
【0220】
即ち、決定器206aは、目標ハンド力修正量が目標ハンド位置(あるいは最終修正目標ハンド位置)に作用したときに、目標全床反力中心点に作用するモーメントの和と目標拘束力モーメントの差が零に近づくように、目標ハンド力修正量を決定する。但し、決定器206aは、目標ハンド力修正量が、操作方向の力と力のモーメントであって、非操作方向成分を含まないように決定する。尚、目標ハンド力修正量は、支持脚座標系で表現される。
【0221】
最も簡単な決定法を以下に示す。先ず、操作方向の内のある2つのベクトルを自由に選択する。各ベクトルは、操作空間の直交基底ベクトルA1,A2,・・・,Amを適当に線形結合させることによって得られる。このベクトルをそれぞれQ1,Q2とする。
【0222】
次いで目標ハンド力修正量を、aQ1+bQ2の形とする。ここで、a,bは係数である。
【0223】
目標ハンド力修正量aQ1+bQ2が目標ハンド位置(あるいは最終修正目標ハンド位置)に作用したとき、目標全床反力中心点に作用する合力のモーメントMを、力学演算により求める。
【0224】
求められたMのX成分をMx、Y成分をMyとすると、Mx,Myとa,bの関係は、次の連立1次方程式の形になる。ここで、k11,k12,k21およびk22は係数である。
Mx =ak11+bk12
My =ak21+bk22 ・・・式5
【0225】
次に、Mxが目標拘束力モーメントのX成分、Myが目標拘束力モーメントのY成分に一致するように、aおよびbを決定する。具体的には、式5の連立方程式をaおよびbに関して解き、Mxに目標拘束力モーメントのX成分の値、Myに目標拘束力モーメントのY成分の値を代入することにより、aおよびbを得る。
【0226】
次に、前記ベクトルQ1,Q2および前記a,bを用いて目標ハンド力修正量aQ1+bQ2の値を得る。得られた修正量は変換器206bに入力され、変換器206bは、目標ハンド力修正量を、作用点を目標ハンド位置(あるいは最終修正目標ハンド位置)から全床反力中心点に変更した表現に変換することにより、全床反力中心点を作用点とする目標対象物反力修正量を出力する。
【0227】
最後に、加算点206cで、全床反力中心点を作用点とする目標対象物反力に、全床反力中心点を作用点とする目標対象物反力修正量を加えることにより、全床反力中心点を作用点とする修正目標対象物反力が出力される。尚、修正目標対象物反力は、全運動速度空間でのベクトルである。
【0228】
図14の説明に戻ると、以上のようにして得た修正目標対象物反力および前記した修正目標上***置姿勢ならびに補償全床反力モーメントが、姿勢安定化メイン制御装置106の最終的な出力となる。そして、図5に示すように、修正目標対象物反力が腕メイン制御装置104に、補償全床反力モーメントが脚メイン制御装置102に、修正目標上***置姿勢がその両方に入力される。
【0229】
脚メイン制御装置102と腕メイン制御装置104の機能を再説すると、脚メイン制御装置102では、前述のように、目標全床反力中心点位置に作用する実全床反力のモーメント成分が、目標全床反力モーメント(通常は零)と補償全床反力モーメントの和に一致するように目標足部位置姿勢を修正し、さらに、修正目標上***置姿勢と修正された目標足部位置姿勢から決定される目標脚関節変位に実関節変位が追従するように、アクチュエータ変位指令を出力して脚関節アクチュエータを制御する。
【0230】
また、腕メイン制御装置104では、前述のように、ハンド40R(L)の力センサ58によって検出される実対象物反力(実ハンド力)と修正目標対象物反力の差に応じ、差が零に近づくように、PD制御などによって目標ハンド位置姿勢を修正する。さらに、修正目標上***置姿勢(あるいは最終修正目標上***置姿勢)と修正された目標ハンド位置姿勢から決定される目標腕関節変位に実関節変位が追従するように、アクチュエータ変位指令を出力して腕関節アクチュエータを制御する。
【0231】
以上のように、姿勢安定化メイン制御装置106は、目標全床反力中心点に作用する対象物反力偏差モーメントを、操作方向成分と非操作方向成分とに分離し、前記非操作方向成分によって発生する動力学的アンバランスを、その一部を対象物反力平衡制御装置によって打ち消し、残りを、目標全床反力中心点に作用すべき目標対象物反力モーメント操作方向成分を修正することにより、言い換えれば、腕の動作を修正して前記操作方向成分を変化させることにより打ち消すように構成した。
【0232】
換言すれば、先の提案技術において、対象物から受ける予期せぬ反力が急激に変化したとき、対象物反力平衡制御装置202によって行なわれていた、足部22R(L)(および脚部リンク2)を動かして踏み止めさせる(踏ん張らせる)動作を、腕部リンク5の動作によって軽減、あるいはなくすことができる。このため、全床反力モーメントが限界を越えて発生する恐れがなく、よってロボット1の動バランスを維持することができ、ロボットが傾いたり、転倒したりすることを防止できる。
【0233】
また、操作方向成分が変化するように腕の動作を修正することから、ロボット1の動バランスを維持したり、傾いた姿勢を復元しても、対象物の運動に影響を与えることがない。
【0234】
最後に、上記した制御系の安定性について説明する。
【0235】
目標全床反力中心点に作用すべき目標対象物反力モーメント操作方向成分の修正量である目標拘束力モーメントと、目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメントの操作方向成分和と非操作方向成分和の関係は、前記した図14に示すようになる。
【0236】
理解の便宜のため、姿勢安定化メイン制御装置106において対象物反力モーメント偏差分離器204が分離する、目標全床反力中心点に作用する対象物反力偏差モーメントの操作方向成分和と非操作方向成分和の内、非操作方向成分和によって発生する動力学的アンバランスを全て目標全床反力中心点に作用すべき目標対象物反力モーメント操作方向成分を修正することによって打ち消すように構成したと仮定する。即ち、対象物反力平衡制御を働かせない場合を想定する。
【0237】
その場合、腕制御系(図5に示す腕メイン制御装置104やアクチュエータ92、アクチュエータ駆動装置88などからなる制御系)と姿勢安定化メイン制御装置106からなる制御系は、対象物反力に注目すると、図22のように簡略化することができる。尚、図22における外乱モーメントは、対象物に想定していた性質と異なる性質を持っていたため、対象物が予期せぬ挙動を示したことによって発生する対象物反力、即ち、想定外の対象物反力である。例えば、対象物に発生する摩擦が、想定していたものと異なっていたことによって発生する。外乱モーメントの中の操作方向成分を「外乱モーメント操作方向成分」、非操作方向成分を「外乱モーメント非操作方向成分」と呼ぶ。
【0238】
図22で加算点220で入力される外乱モーメント非操作方向成分が変化すると、これを打ち消すように目標拘束力モーメントが決定され、加算点222で加算されることで、目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力モーメント操作方向成分和が修正され、操作方向腕コンプライアンス制御部で目標ハンド位置姿勢が修正量だけ修正され、さらに腕部リンク5のアクチュエータ変位指令が修正され、ロボット1の腕部リンク5が駆動されて動バランスが保持される。また、外乱モーメント操作方向成分が変化しても、腕のコンプライアンス制御への目標値は変化しない。
【0239】
他方、姿勢安定化メイン制御装置106が、前記非操作方向成分和によって発生する動力学的アンバランスを、目標全床反力中心点に作用すべき目標対象物反力モーメント非操作方向成分和を修正することによって打ち消すように構成したと仮定すると、腕制御系と姿勢安定化メイン制御装置106からなる制御系は、対象物反力に注目すると、図23のように簡略化することができる。
【0240】
この場合、姿勢安定化メイン制御装置を含むフィードバックループは正帰還となり、発散する。
【0241】
即ち、目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和から姿勢安定化メイン制御装置によって目標拘束力モーメントが算出され、それが加算点226で入力(目標全床反力中心点まわりの目標対象物反力モーメント非操作方向成分和)に加算されて目標全床反力中心点まわりの修正目標対象物反力モーメント非操作方向成分和が算出され、それが加算点228で目標全床反力中心点まわりの実対象物反力モーメント非操作方向成分和から減算され、目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和が算出されるまでのフィードバックループは、正帰還となり、発散する。
【0242】
即ち、図23に示す構成においては、ひとたび外乱モーメント非操作方向成分が発生すると、これを打ち消そうと目標全床反力中心点まわりの修正目標対象物反力モーメント非操作方向成分和が限りなく増加あるいは減少して発散することとなる。
【0243】
それに対し、この実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装置にあっては、図14などに示す如く、目標全床反力中心点まわりの対象物反力モーメントを操作方向成分和と非操作方向成分和に分離し、かつ、図22に示す如く、正帰還にならないようにフィードバックループを構成することにより、このような発散を防ぐようにした。即ち、非操作方向側でフィードバックされた値が操作方向側に加算されるように構成することで、そのような発散を防ぐようにした。
【0244】
図25は、この発明の第2の実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装置である。
【0245】
第1の実施の形態と相違する点に焦点をおいて説明すると、第2の実施の形態においては、対象物反力平衡制御用分配器208の出力の中、対象物反力平衡制御で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和を零(同図に破線で示す)とすると共に、分配器208の出力を全てそれ以外の手段で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和とした。
【0246】
尚、残余の構成および効果は第1の実施の形態のそれと異ならない。第2の実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装置は上記の如く構成したので、第1の実施の形態に係る装置と同様の効果を得ることができる。
【0247】
図26は、この発明の第3の実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装置である。
【0248】
第1の実施の形態と相違する点に焦点をおいて説明すると、第3の実施の形態においては、2足の脚式移動ロボット1に代え、図示のような車輪式の移動ロボットについて姿勢制御を行うようにした。
【0249】
以下、説明すると、図示の車輪式の移動ロボット300は、円筒形の基体(上体)302と、それに上下(Z軸方向)にストロークするアクティブサスペンション(図示せず)を介して取りつけられる4個の車輪(図で2個のみ示す)304を備える。基体302の上部にはマウント306が回転自在に取りつけられると共に、その上に1個の屈曲自在なアーム(腕部リンク)310が取りつけられる。
【0250】
即ち、アーム310は、マウント306に取りつけられる第1リンク310aと、第1リンク310aに関節(図示せず)を介して取りつけられる第2リンク310bと、第2リンク310bの自由端側に関節(図示せず)を介して取りつけられるハンド310cからなる。関節は、それぞれ電動モータなどのアクチュエータを内蔵する。
【0251】
基体302の内部には、マイクロコンピュータからなる電子制御ユニット(ECU)312が格納される。基体302の重心位置の付近には傾斜センサ(図示せず)が配置され、Z軸に対する基体302の傾きとその角速度に応じた出力を生じる。車輪304のそれぞれには加重センサ(図示せず)が配置され、接地面から4個の車輪304にそれぞれ作用する床反力(加重)F1,F2,..を検出する。
【0252】
ここで、マウント306のZ軸まわりの回転角度をθ1、第1リンク310aのZ軸に対する角度をθ2、第1リンク310aに対する第2リンク310bの相対角度をθ3、第2リンク310bに対するハンド310cの相対角度をθ4とすると、移動ロボット300の目標動作は、θ1からθ4の動作パターンとZMPで表すことができる。
【0253】
また、図示の移動ロボット300の姿勢制御において、第1リンク310aのZ軸に対する角度θ2を制御するものとすると、θ2が第1の実施の形態の脚式移動ロボット1の目標上***置に、θ1,θ3,θ4の組が目標上体姿勢に相当する。また、θ4がハンド310cの位置姿勢に相当する。アクティブサスペンションを制御する電子制御ユニット(ECU)312の動作が第1の実施の形態の図8に示す構成の中の複合コンプライアンス動作決定部の動作に相当し、加重FをF1からF4に分配して制御する。
【0254】
従って、第3の実施の形態において車輪式の移動ロボット300について上記のような制御を行うとき、第1の実施の形態で述べた脚式移動ロボット1の姿勢制御と同様の効果を得ることができる。
【0255】
以上のように、第1から第3の実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装置にあっては、少なくとも基体(上体3)と、移動機構(脚部リンク2あるいは車輪304)と、対象物に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リンク5(あるいはアーム310)からなる移動ロボット1,300の姿勢制御装置において、前記腕部リンクに実際に作用する対象物からの反力のうちの設定された所定方向の成分である第1の外力を検出あるいは推定する所定方向成分検出手段(検出については力センサ58,荷重センサ、ECU62,312、推定についてはオブザーバ)を備えると共に、前記所定方向成分検出手段が検出あるいは推定した第1の外力(目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和)に応じ、前記所定方向に直交する方向に前記腕部リンクに第2の外力(対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対象物反力補償モーメント)が作用するように、換言すれば、前記目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和に基づいて得られる対象物反力平衡制御以外の手段で平衡をとるべき対象物反力偏差モーメント和の極性を反転して得られる、即ち、それに直交する対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対象物反力補償モーメント和の極性を反転して得られる、即ち、それに直交する対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対象物反力補償モーメントが作用するように、前記腕部リンクを駆動して、換言すれば目標値を修正することを必要とせず、前記ロボットの姿勢を安定させるように制御する如く構成した。
【0256】
また、少なくとも基体(上体3)と、移動機構(脚部リンク2あるいは車輪304)と、対象物に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リンク5(あるいはアーム310)からなる移動ロボット1,300の姿勢制御装置において、少なくとも前記ロボットの目標腕部リンク位置姿勢(目標ハンド位置姿勢)と、前記対象物から前記腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作(目標対象物反力あるいは目標位置姿勢)を生成する目標動作生成手段(目標作業パターン生成器100)、前記対象物反力の実際値である実対象物反力(実ハンド力)を検出あるいは(オブザーバを介して)推定する実対象物反力検出手段(検出については力センサ58,荷重センサ、ECU62,312、推定についてはオブザーバ)、少なくとも前記検出あるいは推定された実対象物反力に基づき、前記ロボットの姿勢が安定するように前記目標動作のうちの少なくとも前記目標腕部リンク位置姿勢または前記目標対象物反力を修正する姿勢安定化制御手段(姿勢安定化メイン制御装置106)、および少なくとも前記修正された目標動作に基づいて前記腕部リンクを駆動する腕部駆動装置(アクチュエータ90,92)を備える如く構成した。
【0257】
また、前記姿勢安定化制御手段は、少なくとも前記実対象物反力と前記目標対象物反力との差を示す対象物反力偏差(目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和)に基づき、前記ロボットの姿勢が安定するように前記目標動作を修正する如く構成した。
【0258】
また、前記姿勢安定化制御手段は、前記対象物反力偏差の第1の成分(目標全床反力中心点まわりの対象物反力偏差モーメント非操作方向成分和)によって発生する転倒力の全部あるいは一部を、前記第1の成分から得られる第2の成分(対象物反力平衡制御以外の手段に要求される対象物反力補償モーメント)によって打ち消すように、前記目標動作を修正する如く構成した。
【0259】
また、少なくとも基体(上体3)と、移動機構(脚部リンク2あるいは車輪304)と、対象物に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リンク5(あるいはアーム310)からなる移動ロボット1,300の姿勢制御装置において、少なくとも前記ロボットの目標腕部リンク位置姿勢(目標ハンド位置姿勢)と、前記対象物から前記腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作(目標対象物反力あるいは目標位置姿勢)を生成する目標動作生成手段(目標作業パターン生成器100)、前記ロボットの姿勢傾き偏差(上体傾斜角度)を検出し、前記検出した姿勢傾き偏差、より具体的には検出値に基づいて算出される姿勢安定化用補償モーメント)が零に近づくように前記目標動作のうちの少なくとも前記目標腕部リンク位置姿勢または前記目標対象物反力を修正する姿勢安定化制御手段(姿勢安定化メイン制御装置106)、および少なくとも前記修正された目標動作に基づいて前記腕部リンクを駆動する腕部駆動装置(アクチュエータ90,92)を備える如く構成した。
【0260】
尚、上記において、目標全床反力中心点まわりの実対象物反力非操作方向成分和は、実対象物反力の全ての成分が、目標全床反力中心点まわりに作用する力の和から、目標全床反力中心点まわりの実対象物反力操作方向成分和を減じることによって求めても良い。なぜなら、目標全床反力中心点まわりの実対象物反力操作方向成分和と目標全床反力中心点まわりの実対象物反力非操作方向成分和の和は、実対象物反力の全ての成分が、目標全床反力中心点まわりに作用する力の和に等しいからである。
【0261】
逆に、目標全床反力中心点まわりの実対象物反力操作方向成分和は、実対象物反力の全ての成分が、目標全床反力中心点まわりに作用する力の和から、目標全床反力中心点まわりの実対象物反力非操作方向成分和を減じることによって求めても良い。
【0262】
さらには、目標全床反力中心点まわりの対象物反力操作方向成分和と、目標全床反力中心点まわりの対象物反力非操作方向成分和に関しても同様の方法で求めても良い。
【0263】
また、姿勢安定化メイン制御装置106において、目標対象物反力を修正する代わりに目標ハンド位置姿勢を変更しても良い。より詳細に説明すると、腕メイン制御装置104は、通常、対象物反力とハンド位置姿勢を目標値に一致させるように制御することはできないので、対象物反力の制御とハンド位置姿勢の制御にトレードオフが働き、目標ハンド位置姿勢を変更するだけでも実対象物反力が変化する。
【0264】
従って、このときの目標ハンド位置姿勢の変更量と実対象物反力の変化の比(即ち腕メイン制御系のコンプライアンス定数)が分かっていれば、上述の実施の形態で求められた目標対象物反力の修正量に、その比を乗じることにより、目標ハンド位置姿勢の修正量を求めることができるためである。
【0265】
また、脚式移動ロボットとして2個の脚部リンクと2個の腕部リンクを備えたヒューマノイドロボットを例にとって説明したが、2個以外の個数の脚部リンクを備えた脚式移動ロボットロボットでも良く、腕部リンクの個数も1個あるいは3個以上でも良い。
【0266】
また、脚部リンクであっても、床以外の対象物に作用するものであれば、腕部リンクとみなして良い。例えば、昆虫型の6個の脚部リンクを備えたロボットにおいて、頭部側の前の2個の脚部リンクを用いて物を持ち上げる場合、その脚部リンクを腕部リンクとみなすことができる。
【0267】
また、ロボットの動力学的アンバランスをX軸方向とY軸方向に対する傾きとして説明したが、遊脚の振りなどに起因するZ軸まわりのスピンに対しても同様に適用することができる。
【0268】
また、上体リンクの曲げやひねりのためのアクチュエータを設けなかったが、それを追加するとき、上体アクチュエータ制御装置も必要となる。但し、上体リンクの曲げやひねりは、腕または脚の付け根側に関節を追加したことと等価であるので、概念上、腕または脚のアクチュエータとみなすことができる。即ち、上体アクチュエータ制御装置は、腕または脚の制御装置の一部として含まれると考えることができる。
【0269】
また、腕部リンクの制御に、仮想コンプライアンス制御装置以外の別の手段、例えば、電動アクチュエータを電流指令型のアンプによって制御する手段を用いて関節トルクを制御し、その結果、間接的に対象物反力を制御するようにしても良い。その制御にはハンドに力センサを配置する必要はないが、対象物反力制御装置用にやはり力センサを設けるのが望ましい。
【0270】
また、ハンド40R(L)の力センサ58の代わりに、関節トルクから実対象物反力を推定する推定器を腕メイン制御装置に備えても良い。この推定器は、従来技術である外乱オブザーバーを用いれば良い。
【0271】
また、目標対象物反力を零に設定しても良い場合もある。例えば、前記した作業4では手摺りとハンドの間の摩擦がほぼ零であれば、目標対象物反力を零に設定するのが良い。また、作業2で台車の自在キャスタ輪の摩擦が不明ならば、目標対象物反力を零に設定すれば良い。尚、目標対象物反力が常に零である場合では、対象物反力偏差は実対象物反力と一致するので、上記において対象物反力偏差代えて実対象物反力を用いても良い。
【0272】
また、床が平面でない場合でも、本出願人が特平5−31840号公報で提案した仮想平面を想定する技術を用い、目標全床反力中心点や目標ZMPを仮想平面上に求めることで、適用が可能となる。
【0273】
また、上記において、ブロック図は演算処理順序を変えるなど、種々の変形が可能である。
【0274】
【発明の効果】
請求項1項にあっては、移動ロボットの姿勢制御装置において、腕部リンクに実際に作用する対象物からの反力のうちの設定された所定方向の成分である第1の外力に応じ想定外の外力が作用するとき、想定外の外力の、ある所定方向の成分である第1の外力に応じ、所定方向に直交する方向に腕部リンクに第2の外力が作用するように、腕部リンクを駆動して前記ロボットの姿勢を安定させるように制御する如く構成したので、移動ロボットが対象物から反力をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けても、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することができる。
【0275】
請求項2項にあっては、移動ロボットの姿勢制御装置において、少なくともロボットの目標腕部リンク位置姿勢と、対象物から腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作を生成し、対象物反力の実際値である実対象物反力を検出あるいは推定し、少なくとも検出あるいは推定された実対象物反力に基づき、ロボットの姿勢が安定するように目標動作のうちの少なくとも前記目標腕部リンク位置姿勢または前記目標対象物反力を修正し、修正された目標動作に基づいて腕部リンクを駆動する腕部駆動装置を備える如く構成したので、移動ロボットが対象物から反力をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けても、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することができる。さらには、対象物の運動に影響を与えることなく、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することができる。
【0276】
請求項3項にあっては、少なくとも実対象物反力と目標対象物反力との差を示す対象物反力偏差に基づき、ロボットの姿勢が安定するように目標動作を修正する如く構成したので、上記した効果を一層良く得ることができる。
【0277】
請求項4項にあっては、対象物反力偏差の第1の成分によって発生する転倒力の全部あるいは一部を、第1の成分から得られる第2の成分によって打ち消すように、目標動作を修正する如く構成したので、上記した効果を一層良く得ることができる。
【0278】
請求項5項にあっては、移動ロボットの姿勢制御装置において、少なくともロボットの目標腕部リンク位置姿勢と、対象物から腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作を生成すると共に、ロボットの姿勢傾き偏差を検出し、検出した姿勢傾き偏差が零に近づくように目標動作のうちの少なくとも前記目標腕部リンク位置姿勢または前記目標対象物反力を修正し、修正された目標動作に基づいて腕部リンクを駆動する如く構成したので、移動ロボットが対象物から反力をうけるような作業を行っているとき、姿勢が不安定になったり、あるいは対象物から予期せぬ反力を受けても、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することができる。さらには、対象物の運動に影響を与えることなく、動バランスを維持して安定な姿勢を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一つの実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装置が対象とする脚式移動ロボットの正面図である。
【図2】図1に示すロボットの側面図である。
【図3】図1に示すロボットをスケルトンで示す説明図である。
【図4】図3に示す電子制御ユニット(ECU)などの構成を詳細に示すブロック図である。
【図5】この発明の一つの実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示す装置の目標作業パターン生成器が生成する歩容における支持脚座標系を示す説明図である。
【図7】図6と同様に、図5に示す装置の目標作業パターン生成器が生成する歩容における支持脚座標系を示す説明図である。
【図8】図5に示す装置の内、脚メイン制御装置に適用される複合コンプライアンス制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図5に示す装置が前提とする原理の説明図である。
【図10】図9と同様に、図5に示す装置が前提とする原理の説明図である。
【図11】図9と同様に、図5に示す装置が前提とする原理の説明図である。
【図12】図9と同様に、図5に示す装置が前提とする原理の説明図である。
【図13】図9と同様に、図5に示す装置が前提とする原理の説明図である。
【図14】図5に示す装置の内、姿勢安定化メイン制御装置の構成を示すブロック図である。
【図15】図14に示す姿勢安定化メイン制御装置の内、姿勢安定化用モーメント算出器の構成を示すブロック図である。
【図16】図14に示す姿勢安定化メイン制御装置の内、対象物反力偏差モーメント分離器の構成を示すブロック図である。
【図17】図14に示す姿勢安定化メイン制御装置の内、対象物反力平衡制御用分配器の構成を示すブロック図である。
【図18】図14に示す姿勢安定化メイン制御装置の内、対象物反力平衡制御用分配器の構成を示す、図17と同様なブロック図である。
【図19】図14に示す姿勢安定化メイン制御装置の内、対象物反力平衡制御装置の構成を示すブロック図である。
【図20】図14に示す姿勢安定化メイン制御装置の内、補償モーメント分配器の構成を示すブロック図である。
【図21】図14に示す姿勢安定化メイン制御装置の内、修正目標対象物反力算出器の構成を示すブロック図である。
【図22】図5に示す装置の作用および効果を説明するために、制御系を対象物反力に注目して変形しつつ簡略化して示すブロック図である。
【図23】同様に図5に示す装置の作用および効果を説明するために、制御系を対象物反力に注目して変形しつつ簡略化して示すブロック図である。
【図24】図14に示す姿勢安定化メイン制御装置の動作を説明する説明図である。
【図25】この発明の第2の実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装置の構成を示す、図14と類似する、姿勢安定化メイン制御装置の構成を示すブロック図である。
【図26】この発明の第3の実施の形態に係る移動ロボットの姿勢制御装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ロボット(脚式移動ロボット)
2 脚部リンク
3 基体(上体)
5 腕部リンク
10,12,14R,L 股関節駆動用電動モータ
16R,L 膝関節駆動用電動モータ
18,20R,L 足関節駆動用電動モータ
22R,L 足部(足平)
30,32,34R,L 肩関節駆動用電動モータ
36R,L 肘関節駆動用電動モータ
38R,L 手首関節
40R,L ハンド
62 電子制御ユニット(ECU)
56 力センサ(6軸力センサ)
58 力センサ(6軸力センサ)
60 傾斜センサ
88 アクチュエータ駆動装置
90 脚アクチュエータ
92 腕アクチュエータ
100 目標作業パターン生成器
102 脚メイン制御装置
104 腕メイン制御装置
106 姿勢安定化メイン制御装置
108 台車(作業対象物(対象物))
200 姿勢安定化用補償モーメント算出器
202 対象物反力平衡制御装置
204 対象物反力モーメント偏差分離器
206 修正目標対象物反力算出器
208 対象物反力平衡制御用分配器(分配器)
210 補償モーメント分配器(分配器)
214 乗算点
215 加算点
216 加算点
300 ロボット(車輪式の移動ロボット)
302 基体(上体)
304 車輪
310 アーム(腕部リンク)
312 電子制御ユニット(ECU)

Claims (5)

  1. 少なくとも基体と、移動機構と、対象物に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リンクからなる移動ロボットの姿勢制御装置において、前記腕部リンクに実際に作用する対象物からの反力のうちの設定された所定方向の成分である第1の外力を検出あるいは推定する所定方向成分検出手段を備えると共に、前記所定方向成分検出手段が検出あるいは推定した第1の外力に応じ、前記所定方向に直交する方向に前記腕部リンクに第2の外力が作用するように、前記腕部リンクを駆動して前記ロボットの姿勢を安定させるように制御することを特徴とする移動ロボットの姿勢制御装置。
  2. 少なくとも基体と、移動機構と、対象物に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リンクからなる移動ロボットの姿勢制御装置において、
    a.少なくとも前記ロボットの目標腕部リンク位置姿勢と、前記対象物から前記腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作を生成する目標動作生成手段、
    b.前記対象物反力の実際値である実対象物反力を検出あるいは推定する実対象物反力検出手段、
    c.少なくとも前記検出あるいは推定された実対象物反力に基づき、前記ロボットの姿勢が安定するように前記目標動作のうちの少なくとも前記目標腕部リンク位置姿勢または前記目標対象物反力を修正する姿勢安定化制御手段、
    および
    d.少なくとも前記修正された目標動作に基づいて前記腕部リンクを駆動する腕部駆動装置、
    を備えたことを特徴とする移動ロボットの姿勢制御装置。
  3. 前記姿勢安定化制御手段は、少なくとも前記実対象物反力と前記目標対象物反力との差を示す対象物反力偏差に基づき、前記ロボットの姿勢が安定するように前記目標動作を修正することを特徴とする請求項2項記載の移動ロボットの姿勢制御装置。
  4. 前記姿勢安定化制御手段は、前記対象物反力偏差の第1の成分によって発生する転倒力の全部あるいは一部を、前記第1の成分から得られる第2の成分によって打ち消すように、前記目標動作を修正することを特徴とする請求項3項記載の移動ロボットの姿勢制御装置。
  5. 少なくとも基体と、移動機構と、対象物に力を作用することができる、少なくとも1個の腕部リンクからなる移動ロボットの姿勢制御装置において、
    a.少なくとも前記ロボットの目標腕部リンク位置姿勢と、前記対象物から前記腕部リンクに作用する対象物反力の目標値である目標対象物反力からなる目標動作を生成する目標動作生成手段、
    b.前記ロボットの姿勢傾き偏差を検出し、前記検出した姿勢傾き偏差が零に近づくように前記目標動作のうちの少なくとも前記目標腕部リンク位置姿勢または前記目標対象物反力を修正する姿勢安定化制御手段、
    および
    c.少なくとも前記修正された目標動作に基づいて前記腕部リンクを駆動する腕部駆動装置、
    を備えたことを特徴とする移動ロボットの姿勢制御装置。
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