JP3024028B2 - 脚式移動ロボットの歩行制御装置 - Google Patents

脚式移動ロボットの歩行制御装置

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JP3024028B2
JP3024028B2 JP4214606A JP21460692A JP3024028B2 JP 3024028 B2 JP3024028 B2 JP 3024028B2 JP 4214606 A JP4214606 A JP 4214606A JP 21460692 A JP21460692 A JP 21460692A JP 3024028 B2 JP3024028 B2 JP 3024028B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は脚式移動ロボットの歩
行制御装置に関し、より具体的には実床面の傾斜角度を
推定して目標歩容で想定する床面の傾斜角度との偏差を
求め、その偏差によって発生する床反力ズレを打ち消す
様に姿勢を修正する様にしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】脚式移動ロボット、特に2足歩行の脚式
移動ロボットとしては、特開昭62−97005号、特
開昭63−150176号公報記載のものなどが知られ
ている。また脚式移動ロボットを含むロボットの制御に
ついては、「ロボット工学ハンドブック」(日本ロボッ
ト学会編、1990年10月20日)に詳しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、脚式移動ロ
ボット、特に2足歩行の脚式移動ロボットは本来的に姿
勢が不安定となりやすい。そこで、本出願人は先に特願
平4−137,881号(平成4年4月30日出願)に
おいて、ロボットの足部に機械的なコンプライアンス機
構を設け、足部に設けたセンサで検出したモーメントを
フィードバックしてモーメントを所定の値に制御するコ
ンプライアンス制御技術を提案している。また、それと
は別に本出願人は別の特願平4−137,884号(平
成4年4月30日出願)において、ZMP(Zero Momen
t Point)を求め、求めたZMPが目標とするZMPから
ずれているときは、偏差を解消する様に足平を駆動する
コンプライアンス制御を行ない、ロボットを常にある一
定の復元力を持った倒立振子で近似して安定に歩行させ
る技術を提案している。更に、特願平4−137,88
5号(平成4年4月30日出願)において、その制御に
上体の姿勢傾き(傾斜角度)に応じたフィードバック補
正を加えて一層の姿勢の安定化を図る技術を提案してい
る。
【0004】ところで、提案した上記の技術では、動力
学的平衡条件を満足する目標歩容の作成時に想定してい
る床面(以後、『想定床面』と呼ぶ)と実際の床面の角
度などの形状が一致していて、なおかつ、他の外乱がな
い場合には、実姿勢の傾きは歩容の作成時に設定した目
標姿勢の傾きに収束する。即ち、実姿勢の傾きと目標姿
勢の傾きの差を姿勢傾き制御偏差と呼ぶこととすると、
姿勢傾き制御偏差は零に収束する。しかし、実床面の形
状が想定床面の形状と異なる場合、即ち、床面形状偏差
がある場合にはそれが外乱となり、姿勢傾き制御偏差が
発生する。例えば、実床面と想定床面とに傾斜偏差があ
る場合、姿勢の傾きフィードバック則がPD制御であれ
ば、傾斜偏差に比例した姿勢傾きの定常制御偏差が残っ
てしまう。
【0005】これを図18と図19を参照して説明する
と、図18に示す様に想定床面の傾斜が0であるのに対
し、実床面の傾斜がθfloor であって、ロボットの上体
が目標姿勢の傾きからずれたときは、検出した角度θに
比例ゲインKを乗じた量だけ矢印で示す如く足首の関節
を駆動することになる。その結果、ロボットは姿勢の安
定を回復するが、図19に示す様に、定常制御偏差θof
fsetは残る。即ち、幾何学的関係から、 足首の曲げ角度=床の角度θfloor −θoffset また、制御則により、定常時には、 足首の曲げ角度=K・θoffset であるから、 θoffset=床の角度θfloor /(K+1) となる。比例ゲインKを無限大にすれば定常制御偏差θ
offsetは0に近づくが、比例制御ゲインKは有限な値な
ので、定常制御偏差も有限な値として残ってしまう。
【0006】この様な姿勢傾きの定常制御偏差を零にす
るためには、以下が考えられる。 1.姿勢の傾きフィードバック則をPIDあるいはI−
PD制御などの積分型とする手法。 2.6軸力センサなどを用いて脚部に作用する外力を検
出し、検出値を足首変位指令にフィードバックするトル
ク制御則をPIDあるいはI−PD制御などの積分型と
する手法。 しかし、これらの手法では、積分要素を設けたことによ
り、一巡伝達関数に遅れが生じて系が不安定になりやす
い。即ち、位相遅れが生じて系が発振しやすくなる。
【0007】他方、上記提案した技術を用いずに、従来
より行われている以下の手法を用いても、姿勢傾きの定
常制御偏差を零にすることができる。 3.足首の変位制御フィードバックをカットし、足首を
直接的なトルク制御系にする手法。 4.足首を電流制御系にする手法。 これらの手法には変位制御が含まれていないので、傾
斜、段差、凹凸などの床の形状の影響を受けることはな
い。しかし、これらを用いた場合、遊脚期には制御系を
変位制御系に切り換えなければならず、切り換え時に衝
撃が発生しやすい不都合がある。
【0008】従って、この発明の目的は先に提案した技
術において上記した欠点を解消し、床面形状偏差を推定
してその偏差によって発生する床反力ズレを打ち消す様
に姿勢を修正する如く構成した脚式移動ロボットの歩行
制御装置を提供することにある。
【0009】更には、前記した床面形状偏差を推定し、
それに応じてロボットの歩行を停止するなど任意に対応
できる如く構成した脚式移動ロボットの歩行制御装置を
提供することにある。
【0010】更には、先に提案した技術で問題であった
姿勢傾きの定常制御偏差を、姿勢傾き制御系の安定性を
損なうことなく実質的に零に近づける如くした脚式移動
ロボットの歩行制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ためにこの発明は例えば請求項1項に示す如く、上体と
複数本の脚部とを備えたリンク式の脚式移動ロボットの
歩行制御装置において、前記ロボットを剛体リンクでモ
デル化し、歩行を予定する床面を想定して該想定床面の
上を歩行するための目標歩容を設定する第1の手段、前
記ロボットが実際に歩行するときの姿勢傾きを検出する
第2の手段、少なくとも検出した姿勢傾きから、前記ロ
ボットに与えたコンプライアンスによる挙動または変形
がないと仮定して前記ロボットの姿勢を求め、求めた姿
勢と前記想定床面との相対的な位置関係を求める第3の
手段、求めた相対的な位置関係から、前記ロボットに与
えたコンプライアンスによって前記脚部が前記想定床面
に接地する様に姿勢を変えたときの床反力および/また
はモーメントを予め設定した特性に従って推定する第4
の手段、前記ロボットの実際の床反力および/またはモ
ーメントを求める第5の手段、推定した床反力および/
またはモーメントと実際の床反力および/またはモーメ
ントの偏差を求め、求めた偏差に基づいて前記想定床面
を補正する第6の手段、および補正した想定床面に基づ
いて前記目標歩容を修正する第7の手段を備える様に構
成した。
【0012】
【作用】想定床面と実床面との差異が実床反力から定量
的に推定できることに着目し、その概念を用いて想定床
面と実床面との形状偏差を推定して、その偏差によって
発生する床反力ズレを打ち消す様にしたので、先に提案
したコンプライアンス制御の特性を活かしつつ、一層安
定した姿勢で歩行させることができる。
【0013】
【実施例】以下、脚式移動ロボットとして2足歩行の脚
式移動ロボットを例にとって、この発明の実施例を説明
する。図1はそのロボット1を全体的に示す説明スケル
トン図であり、左右それぞれの脚部リンク2に6個の関
節を備える(理解の便宜のために各関節をそれを駆動す
る電動モータで示す)。該6個の関節は上から順に、腰
の脚部回旋用(z軸まわり)の関節10R,10L(右
側をR、左側をLとする。以下同じ)、腰のロール方向
(x軸まわり)の関節12R,12L、同ピッチ方向
(y軸まわり)の関節14R,14L、膝部のピッチ方
向の関節16R,16L、足首部のピッチ方向の関節1
8R,18L、同ロール方向の関節20R,20Lとな
っており、その下部には足平22R,22Lが取着され
ると共に、最上位には上体(筐体24)が設けられ、そ
の内部には制御ユニット26が格納される。
【0014】上記において腰関節は関節10R(L),
12R(L),14R(L)から構成され、また足関節
は、関節18R(L),20R(L)から構成される。
また、腰関節と膝関節との間は大腿リンク32R,32
Lで、膝関節と足関節との間は下腿リンク34R,34
Lで連結される。ここで、脚部リンク2は左右の足につ
いてそれぞれ6つの自由度を与えられ、歩行中にこれら
の6×2=12個の関節(軸)をそれぞれ適宜な角度に
駆動することで、足全体に所望の動きを与えることがで
き、任意に3次元空間を歩行することができる様に構成
される。先に述べた様に、上記した関節は電動モータか
らなり、更にはその出力を倍力する減速機などを備える
が、その詳細は先に本出願人が提案した更に別の出願
(特願平1−324218号、特開平3−184782
号)などに述べられており、それ自体はこの発明の要旨
とするところではないので、これ以上の説明は省略す
る。
【0015】図1に示すロボット1において、足首部に
は公知の6軸力センサ36が設けられ、足平を介してロ
ボットに伝達されるx,y,z方向の力成分Fx,F
y,Fzとその方向まわりのモーメント成分Mx,M
y,Mzとを測定し、足部の着地の有無と支持脚に加わ
る力の大きさと方向とを検出する。また足平22R
(L)の四隅には静電容量型の接地スイッチ38(図1
で図示省略)が設けられて、足平の接地の有無を検出す
る。更に、上体24には傾斜センサ40が設置され、x
−z平面内とy−z平面内のz軸に対する、即ち、重力
(鉛直)方向に対する傾斜角度と傾斜角速度を検出す
る。また各関節の電動モータには、その回転量を検出す
るロータリエンコーダが設けられる。更に、図1では省
略するが、ロボット1の適宜な位置には傾斜センサ40
の出力を補正するための原点スイッチ42と、フェール
対策用のリミットスイッチ44が設けられる。これらの
出力は前記した上体24内の制御ユニット26に送られ
る。
【0016】図2は制御ユニット26の詳細を示すブロ
ック図であり、マイクロ・コンピュータから構成され
る。そこにおいて傾斜センサ40などの出力はA/D変
換器50でデジタル値に変換され、その出力はバス52
を介してRAM54に送られる。また各電動モータに隣
接して配置されるエンコーダの出力はカウンタ56を介
してRAM54内に入力されると共に、接地スイッチ3
8などの出力は波形整形回路58を経て同様にRAM5
4内に格納される。制御ユニット内にはCPUからなる
第1、第2の演算装置60,62が設けられており、第
1の演算装置60は後で述べる様に目標関節角度を算出
してRAM54に送出する。また第2の演算装置62は
RAM54からその目標値と検出された実測値とを読み
出し、各関節の駆動に必要な制御値を算出し、D/A変
換器66とサーボアンプを介して各関節を駆動する電動
モータに出力する。
【0017】続いて、この制御装置の動作を説明する。
【0018】図3はその動作を示すブロック図であり、
図4はその動作を示すフロー・チャートである。
【0019】概括すればこの制御では、目標歩容で予定
した想定床面と実床面との形状(角度)偏差を推定し、
その偏差に応じて目標歩容を修正する様にした。即ち、
ロボットの姿勢傾きと関節変位から、ロボットにコンプ
ライアンスによる挙動または変形がないと想定して求め
られる姿勢の接地部位(通常は足平22R(L))の全
てないしは一部を含む平面(以降、『仮想平面』と呼
ぶ)を仮想し、その仮想平面と想定床面とがなす角度
(以降、『干渉角』と呼ぶ。図5にそれを示す。)を推
定し、その干渉角を制御することで床反力を制御し、目
標床反力が発生する様に目標歩容を修正する様にした。
換言すれば、接地予定部位と仮想平面との相対的な位置
関係を維持したまま、仮想平面を仮想的に傾けた位置・
姿勢に回転変換させて姿勢を修正することによって、床
反力の制御を行う様にした(その回転角が干渉角であ
る)。その意図から、今述べたロボットの姿勢傾きと関
節変位からロボットにコンプライアンスによる挙動また
は変形がないと仮定して求められる姿勢(仮想平面)と
想定床面(または実床面)との間の干渉角と、その姿勢
(仮想平面)をコンプライアンスによる挙動または変形
によって想定床面(または実床面)に接地する様に変形
させたときの床反力の関係を表すモデル(以降、『コン
プライアンスモデル』と呼ぶ)を備える。そのモデルの
構成は、具体的には次の様に簡略化されている。
【0020】1.モデルの入力には干渉角を用いる。 2.モデルの出力である床反力は、一般的にはある作用
点に働く力とモーメントによって表されるが、基準作用
点を目標歩容の目標ZMPまたはその付近に設定すれ
ば、床反力の力成分が変化してもロボットの姿勢傾きは
殆ど変化せず、しかもこの発明の主目的はロボットの姿
勢傾きを制御することにあるので、床反力の力成分は無
視しても構わない。そこで、本実施例におけるコンプラ
イアンスモデルは、基準作用点まわりの床反力のモーメ
ント成分のみ算出させる様にする。
【0021】以下、図4フロー・チャートに従って説明
すると、先ずS10においてロボットの姿勢傾き検出値
と関節変位検出値からキネマティクス演算を通じて接地
予定部位を含む仮想平面の推定傾斜を求める。即ち、ロ
ボットの姿勢傾き検出値と関節変位検出値に基づいて実
測のロボットの姿勢を求めて鉛直方向が座標軸の一つに
一致する絶対座標系における接地予定部位(足平22R
(L)の全てまたは一部)を含む仮想平面を求めてその
推定傾斜を求める。尚、この明細書で『傾き』または
『傾斜』は、『傾斜角度』の意味で使用する。
【0022】続いてS12に進んで、求めた仮想平面の
推定傾斜と後述する推定床面傾斜(初期値は想定床面の
傾斜)との差をとることにより、推定干渉角を求める。
続いてS14に進んで、求めた推定干渉角から、前記コ
ンプライアンスモデルを基に、基準作用点(例えば目標
ZMP)まわりの推定床反力モーメントを求める。
【0023】これについて図6ないし図8を参照して説
明すると、図6は本出願人が先に(特願平4−137,
881号)で提案した足首に機械的なコンプライアンス
機構100を設けたロボットの側面図である。コンプラ
イアンスによる挙動がないものとすると、支持脚接地部
位から仮想平面が図示の様に求められ、実床面との間で
干渉角が図示の様に求められる。そして、コンプライア
ンス機構100が作動するとき、図7に示す様に、コン
プライアンス機構100が干渉角だけ撓み(変形し)、
床反力モーメントが発生する。このことは、図8に示す
様に、床反力モーメントを測定すれば、干渉角を推定で
きることを意味する。この発明はこの様な知見に着目し
て成立したものであり、コンプライアンスによる挙動が
ないと仮定したとき接地するであろう部位を含む仮想平
面と床面(想定床面および実床面)との形状偏差を干渉
角なる概念で表現し、それを床反力モーメントから定量
的に推定できると考えたことから成立した。従って、実
験を通じて図8に示す特性を予め用意しておき、S14
ではその特性に従って推定干渉角から床反力モーメント
を推定する。
【0024】尚、『コンプライアンス』なる語は、ISO/
TR 8373:1988で定義される様に" ロボットまたはそれに
付随する工具の外力に対する柔軟な挙動(The flexible
behaviour of a robot or any associated tools in re
sponse to externalforces) "を意味し、その意味で
『コンプライアンス』には、前述した先に本出願人が特
願平4−137,881号で提案し、図6(図7)に示
した機構によるものと、特願平4−137,884号な
どで提案した制御によるものとが含まれる。しかし、こ
の明細書ではそれに限らず、『コンプライアンス』は図
示したロボットのリンク32,34R(L)などの変形
(撓み)によるものも含めた意味で使用する。従って、
この明細書で言う『コンプライアンス』は、通常より広
い意味で使用する。尚、第1実施例では関節変位検出値
を用いて仮想平面の推定傾斜を求めることから、ここで
の『コンプライアンス』は、図6(図7)に示した如き
機構またはリンクの変形により与えられるものを意味す
る。
【0025】続いてS16に進み、6軸力センサ36で
検出された値から、同一作用点まわりの実床反力モーメ
ントを求める。続いてS18に進み、実床反力モーメン
トと推定床反力モーメントとの差から図示の補正則によ
って、実床面と想定床面の傾斜偏差の推定値である床面
傾斜推定偏差を求め(前回値があるときは補正し)、続
いて求めた床面傾斜推定偏差を想定床面傾斜に加算して
推定床面傾斜を求める。尚、補正則はローパスフィルタ
型でも良いが、定常の推定誤差を小さくするためには、
純粋積分を含むのが望ましい。実施例の場合、補正則の
伝達関数は、−K/Sとした(但し、Kは積分定数)。
【0026】続いてS20以下に進んで、ロボットの姿
勢傾き検出値と床面傾斜推定偏差の影響を打ち消しつ
つ、目標床反力が発生する様に目標歩容の姿勢を修正す
る。
【0027】即ち、先ずS20に進み、目標床反力モー
メントから逆コンプライアンスモデルによって、理想状
態での干渉角を求める。この逆コンプライアンスモデル
は図3に示す如きものであって、先のコンプライアンス
モデルと伝達関数が逆となる特性を備える。即ち、この
実施例ではロボットに先の出願で提案したコンプライア
ンス特性を与えることを前提としていることから、目標
歩容で予定する床反力を発生させるためには、コンプラ
イアンスによる挙動またはリンク変形分を予め加算して
おく必要がある。そこで、図示の如き逆コンプライアン
スモデルを設定して理想状態での干渉角を求める様にし
た。
【0028】続いてS22に進み、求めた理想状態での
干渉角に、姿勢傾きの目標値と実際値の差と、S18で
求めた床面傾斜推定偏差とを加算して干渉角指令を決定
する。これは、上体の傾き偏差と床面傾斜偏差(実床面
と想定床面の傾斜の差)の分だけ余計なモーメントが生
じることから、それをキャンセルするためである。続い
てS24に進んで目標歩容の想定床面に対する干渉角が
干渉角指令に修正された修正姿勢を求め、S26に進ん
で修正姿勢の関節変位を関節変位指令として実ロボット
の関節変位を追従させる。
【0029】尚、S18で求めた推定床面傾斜は、図4
フロー・チャートの次のループのときにS12で用いら
れて推定干渉角が求められ、その求められた値からS1
8で床面傾斜推定偏差が前回値を更新する形で修正さ
れ、その修正された床面傾斜推定偏差を用いて推定床面
傾斜が再び修正される。この様に一方が他方を前提とし
つつ修正を繰り返すことにより、床面傾斜推定偏差は零
に収束する。尚、図4フロー・チャートの最初のループ
では、推定床面傾斜の初期値は既述の如く想定床面傾斜
とすると共に、床面傾斜推定偏差の初期値は零に設定し
ておく。
【0030】この実施例は上記の如く構成したので、実
床面と想定床面の傾斜偏差を推定すると共に目標歩容を
修正することから、その偏差によって発生する床反力ズ
レを打ち消すことができる。即ち、図3において関節変
位制御のゲインが高く、実関節変位が指令にほぼ忠実に
追従するならば、図3ブロック図は図9ブロック図に近
似させることができる。図9から明らかな様に、目標床
反力モーメントから実床反力モーメントの間には介在要
素がないので、実施例で述べた構成により影響を受ける
ことがない。即ち、先に提案した技術の様に目標床反力
を操作しても、その操作量から実床反力が発生する間に
は位相遅れが生じて発振するなど系を不安定にする要素
がない。一方、補正則が積分要素を含むので、実床面と
想定床面とに傾斜偏差があっても、整定時には補正則へ
の入力値が0となる。また補正則への入力はコンプライ
アンスの出力であるから、よって、コンプライアンスの
出力は0に収束する。即ち、実床面と想定床面とに傾斜
偏差があっても実床反力モーメントの定常値は、その影
響を受けない。
【0031】尚、第1実施例においては想定床面と実床
面との角度偏差を推定した後、目標歩容を修正する例を
示したが、単に角度偏差を推定するだけで歩容を修正し
なくても良い。これは、目標歩容を修正しなくても、角
度偏差が極めて大きいことが判明したときは、例えばロ
ボットの歩行を停止するなどの制御を行うこともできる
からである。
【0032】図10はこの発明の第2実施例を示すブロ
ック図であり、図11はその動作を示すフロー・チャー
トである。図示の如く、第2実施例では、モデルに入力
する推定干渉角を、干渉角指令と床面傾斜推定偏差(初
期値零)の差として直ちに求めている点(図11フロー
・チャートのS100)が、第1実施例と相違する。
尚、第2実施例では推定干渉角を求めるのに関節角変位
検出値ではなく干渉角指令を用いることから、第2実施
例における『コンプライアンス』は、機構またはリンク
の変形によるものと制御によるものとの両者を含む。残
余の構成および効果は第1実施例と異ならない。
【0033】図12はこの発明の第3実施例を示すブロ
ック図であり、図13はその動作を示すフロー・チャー
トである。第3実施例では図示の如く、ロボットの姿勢
傾き検出値と、関節変位検出値と関節変位指令(値)の
重み付き平均(値)とから仮想平面の推定傾斜を求めて
いる点(図13フロー・チャートのS200)で第1実
施例と相違する。重みの係数は、ある関節の関節変位検
出値のそれをW(S)とすると、関節変位指令(値)の
それは(1−W(S))となるが、このときコンプライ
アンス動作への寄与度を勘案し、寄与度の大きい関節は
関節変位検出値の重みを大きくすると共に、小さい関節
は小さくすると、寄与度の小さい関節は関節変位指令値
をほとんどそのまま使用することができてキネマティク
ス演算での演算量を低減させることも可能となる。それ
以外にも、関節変位の挙動の周波数を考慮しても良い。
関節変位検出値には高周波ノイズが含まれているので、
W(S)にローパスフィルタ特性を与えると一層良い。
尚、残余の構成および効果は第1実施例と異ならない。
尚、第3実施例は図示の如く、第1実施例と第2実施例
の構成を混合しているので、ここでの『コンプライアン
ス』は、制御によるものの一部と機構あるいはリンクの
変形によるものとを含む。
【0034】図14はこの発明の第4実施例を示すブロ
ック図であり、図15はその動作を示すフロー・チャー
トである。第4実施例の特徴は図示の如く、従前の実施
例とは逆に、床反力モーメントから干渉角を求めて床面
傾斜推定偏差を求め、推定床面傾斜を得る様にしたこと
にある。即ち、6軸力センサとその処理演算器の次段
に、先に図3などに示した逆コンプライアンスモデルを
接続し、検出した床反力モーメントからロボットの姿勢
を求めて干渉角(第1とする)を推定する様にした。他
方、接地予定部位を含む仮想平面の推定傾斜から推定床
面傾斜を減算して従前通り推定干渉角(第2とする)を
求め、それらの推定干渉角の偏差を求めて床面傾斜推定
偏差を求める様にした。尚、より詳しくは第2の推定干
渉角については、第1の推定干渉角と同一次元で比較す
るために、図3の構成で言えばコンプライアンスモデル
の次段に逆コンプライアンスモデルを接続することにな
るが、そのとき両モデルの伝達関数の積が1となるた
め、結果として両者は相殺されることになる。
【0035】上記構成の差異により、図15フロー・チ
ャートにおいては第1実施例の図3フロー・チャートと
比較すると、S304からS308までが相違する。
尚、残余の構成は第1実施例と相違しない。また、床反
力モーメントに代えて干渉角を用いて推定床面傾斜を求
める例を第1実施例を変形した場合のみ示したが、これ
に限られるものではなく、開示は省略するが、第2実施
例または第3実施例を変形することによっても可能なこ
とは言うまでもない。
【0036】図16はこの発明の第5実施例を示すブロ
ック図である。この例では第1実施例などの構成におい
て、その外側に更なる床反力のフィードバック制御ルー
プを追加した。第5実施例の場合、この構成によって床
反力制御の制御精度を更に向上させることができる。
【0037】図17はこの発明の第6実施例を示すブロ
ック図である。この例では第1実施例などの構成を姿勢
傾き制御のマイナーループに適用し、姿勢傾きに応じて
目標床反力モーメントを操作する様にした。第6実施例
の場合、床面形状偏差に影響されにくい姿勢傾き制御を
実現することができると共に、定常偏差を解消すること
ができる。即ち、実床面の傾斜が想定床面の傾斜と相違
する場合には床反力ズレが生じ、それを上体と姿勢傾き
を目標値にフィードバック制御することで打ち消そうと
しても、先に図18と図19に関して述べた様に定常偏
差が残る。しかし、図17に示す様に構成した結果、実
床面と想定床面との間に傾斜偏差があってもそれを推定
して打ち消すことができる。このとき先にも図9に関し
て説明した様に、その補正則に積分要素を含むことから
定常偏差が表れることがないと共に、その積分要素を図
9の構成において目標床反力モーメント(入力)と実床
反力モーメント(出力)との間に介挿することなく、即
ち、積分要素も含めてその間には何ら介在するものが存
在しない様にしたので、目標床反力を修正すれば実床反
力も即座に反応することとなり、位相遅れが生じること
がなく、よって系が発振することがない。
【0038】尚、前記した第1実施例から第6実施例の
構成において、片脚支持期においては、干渉角指令と目
標歩容から関節変位指令を求める際に、支持脚足首の関
節変位指令だけを修正しても良い。そのときは、逆キネ
マティクス演算が不要となるので、演算量が大幅に減少
する。また、両脚支持期でも各足平の床反力を全て合成
した床反力を制御するときは実施例の如くになるが、各
足平の床反力を独立に制御したい場合には、各足平に対
してそれぞれの足平の干渉角を操作すれば良い。但し、
脚同士の制御干渉が発生するので、制御性はあまり良好
ではない。
【0039】また、前記構成においては、床反力モーメ
ントに関して推定値と検出値との比較を行うことで、床
形状を推定している。一般に、床反力は力とモーメント
と作用点とで、あるいはZMPとZMPに作用する力と
床法線方向のモーメントとで表される。いずれの表現で
あっても、全ての成分が姿勢制御に関わる訳ではないの
で、必要な要素だけ求めれば良い。モデルも必要なもの
だけ出力するもので良い。目標歩容の目標ZMPを基準
作用点として床反力を表現すると、力成分は姿勢傾きの
挙動に対してほとんど関与しないので、省略しても良い
であろう。モデルの出力は、モデルの床反力のZMP位
置と目標ZMPとのズレ量であっても良い。また基準作
用点はロボットのある部位、例えば足首(足関節18,
20R(L)の交点)においても良い。即ち、実施例で
の床反力モーメントの代わりに、足首モーメントを用い
れば、足首モーメントの制御が実現される。
【0040】また、前記構成において実床面と想定床面
との違いを角度としたが、それに限られるものではな
く、例えば段差でも良い。但し、前記した構成において
は、実際は段差の違いであったとしても、推定量として
は平均傾斜の違いとして推定される。予め実床面の特徴
が、傾斜の変化はないが不確定な段差があるとか、段差
なくなだらかに傾斜角が変化しているなどと把握できて
いるときは、それに応じて推定量を段差にしたり、傾斜
にしたりすれば良い。尚、前記構成の様に傾斜偏差を推
定した場合には歩容の干渉角を修正するが、段差の偏差
を推定するときは両脚の接地高さを修正すれば良い。更
には、『傾き』および『傾斜』は傾斜角度を意味するも
のとしたが、傾斜角度に代えて傾斜角速度、あるいは両
者を線形結合した値を用いても良い。
【0041】また、前記構成において、着地衝撃が発生
するときは、実床反力が激しく変化して正確に推定でき
ない恐れがあるので、補正ゲインKを小さい値にしてお
くか、あるいは0にした方が良い。遊脚期やロボットが
跳ねたときなど、垂直床反力が小さいか0の場合にも補
正ゲインを下げておくか0にした方がよい。更に、床面
傾斜推定偏差も0にするか、あるいは徐々に0に戻して
も良い。
【0042】また、片脚支持期では、足平接地面の大き
さと垂直床反力とによって床反力モーメントの発生でき
る限界が決まっており、図3以下のコンプライアンスモ
デルに示した様な非線形な特性を持つ。逆コンプライア
ンス特性も当然非線形であり、目標床反力が大きくなる
と、出力である干渉角は急激に大きくなる。実ロボット
の干渉角があまり大きくなることは好ましくないので、
目標床反力が大きくなり過ぎても、干渉角が大きくなら
ない様に、逆コンプライアンスモデルに干渉角のリミッ
タを設けておいた方が良い。あるいは、逆コンプライア
ンスモデルの特性を線形化して、干渉角が急激に大きく
なるのを防ぐだけでも良い。
【0043】また、片脚支持期や両脚支持期など歩行の
周期によってコンプライアンス特性が変化するので、前
記した構成におけるコンプライアンスモデルも、歩行の
時期によって変化させると、床形状偏差の推定精度が高
くなる。
【0044】また、前記した構成に示したコンプライア
ンスモデルはバネ特性のみ与えており、ダンピング特性
を考慮していないが、ダンパ特性を備えたロボットに対
しては、ダンピング特性を考慮したモデルを設定しても
良い。
【0045】また、前記した構成において、床の傾斜が
推定されるので、傾斜の変化がなだらかなことが把握さ
れている場合には、次の一歩での床の傾斜を予測して次
の一歩の目標歩容そのものを、その推定傾斜床面に合わ
せた歩容にリアルタイムに変更しても良い。
【0046】また、床面傾斜偏差の推定において、補正
則によって推定偏差が収束してからは床反力が変動して
も推定偏差は変動しない筈であるが、コンプライアンス
モデルが実ロボットのコンプライアンスと異なる場合に
は、床反力が変動すると推定偏差の補正が誤動作し、推
定偏差も変動する。補正則は積分やローパスフィルタ要
素で構成されているので、この誤動作により床反力制御
に遅れが発生し、最悪の場合には発振することも考えら
れる。それを防ぐためには、実ロボットのコンプライア
ンスを同定しながらコンプライアンスモデルを同定値に
合わせる適応制御を行えば良い。適応制御では、通常、
実床反力が変動したときのコンプライアンスモデルから
出力される推定床反力の変動を観察し、その変動量が、
実ロボットの変動量に一致する様に同定される。
【0047】更に、上記において2足歩行の脚式移動ロ
ボットを例にとって説明してきたが、それに限られるも
のではなく、この発明は3足以上の脚式移動ロボットに
も妥当し、更には脚式に限らず、車輪型やクローラ型な
ど他の形態の移動ロボットに妥当するものである。
【0048】
【発明の効果】請求項1項にあっては、上体と複数本の
脚部とを備えたリンク式の脚式移動ロボットの歩行制御
装置において、前記ロボットを剛体リンクでモデル化
し、歩行を予定する床面を想定して該想定床面の上を歩
行するための目標歩容を設定する第1の手段、前記ロボ
ットが実際に歩行するときの姿勢傾きを検出する第2の
手段、少なくとも検出した姿勢傾きから、前記ロボット
に与えたコンプライアンスによる挙動または変形がない
と仮定して前記ロボットの姿勢を求め、求めた姿勢と前
記想定床面との相対的な位置関係を求める第3の手段、
求めた相対的な位置関係から、前記ロボットに与えたコ
ンプライアンスによって前記脚部が前記想定床面に接地
する様に姿勢を変えたときの床反力および/またはモー
メントを推定する第4の手段、前記ロボットの実際の床
反力および/またはモーメントを求める第5の手段、推
定した床反力および/またはモーメントと実際の床反力
および/またはモーメントとの偏差を求め、求めた偏差
に基づいて前記想定床面を補正する第6の手段、および
補正した想定床面に基づいて前記目標歩容を修正する第
7の手段を備える様に構成したので、目標歩容で想定し
た床面と実床面との間に角度などの形状の差異があると
きも、それによって発生する床反力ズレを打ち消す様に
目標歩容自体を修正することから、常に安定した姿勢で
歩行させることができる。
【0049】請求項2項にあっては、上体と複数本の脚
部とを備えたリンク式の脚式移動ロボットの歩行制御装
置において、前記ロボットを剛体リンクでモデル化し、
歩行を予定する床面を想定して該想定床面の上を歩行す
るための目標歩容を設定する第1の手段、前記ロボット
が実際に歩行するときの姿勢傾きを検出する第2の手
段、少なくとも検出した姿勢傾きから、前記ロボットに
与えたコンプライアンスによる挙動または変形がないと
仮定して前記ロボットの姿勢を求め、求めた姿勢と前記
想定床面との相対的な位置関係を求める第3の手段、求
めた相対的な位置関係から、前記ロボットに与えたコン
プライアンスによって前記脚部が前記想定床面に接地す
る様に姿勢を変えたときの床反力および/またはモーメ
ントを予め設定した特性に従って推定する第4の手段、
前記ロボットの実際の床反力および/またはモーメント
を求める第5の手段、および推定した床反力および/ま
たはモーメントと実際の床反力および/またはモーメン
トとの偏差を求め、求めた偏差に基づいて前記想定床面
を補正する第6の手段を備える如く構成したので、より
簡易な構成でありながら、想定床面と実床面との形状の
差異に応じて例えばロボットの歩行を中止させ、それに
より姿勢がそれ以上不安定になるのを回避するなどが可
能となる。
【0050】請求項3項にあっては、上体と複数本の脚
部とを備えたリンク式の脚式移動ロボットの歩行制御装
置において、前記ロボットを剛体リンクでモデル化し、
歩行を予定する床面を想定して該想定床面の上を歩行す
るための目標歩容を設定する第1の手段、前記ロボット
が実際に歩行するときの姿勢傾きを検出する第2の手
段、少なくとも検出した姿勢傾きから前記ロボットの姿
勢を求め、求めた姿勢と前記想定床面との第1の相対的
な位置関係を求める第3の手段、前記ロボットの実際の
床反力および/またはモーメントを求める第4の手段、
求めた実際の床反力および/またはモーメントから前記
ロボットの姿勢と前記想定床面との第2の相対的な位置
関係を予め設定した特性に従って求める第5の手段、前
記第1、第2の相対的な位置関係の偏差を求め、求めた
偏差に基づいて前記想定床面を補正する第6の手段、お
よび補正した想定床面に基づいて前記目標歩容を修正す
る第7の手段を備える如く構成したので、請求項1項で
述べたと同様の効果を挙げることができる。
【0051】請求項4項にあっては、上体と複数本の脚
部とを備えたリンク式の脚式移動ロボットの歩行制御装
置において、前記ロボットを剛体リンクでモデル化し、
歩行を予定する床面を想定して該想定床面の上を歩行す
るための目標歩容を設定する第1の手段、前記ロボット
が実際に歩行するときの姿勢傾きを検出する第2の手
段、少なくとも検出した姿勢傾きから前記ロボットの姿
勢を求め、求めた姿勢と前記想定床面との第1の相対的
な位置関係を求める第3の手段、前記ロボットの実際の
床反力および/またはモーメントを求める第4の手段、
求めた実際の床反力および/またはモーメントから前記
ロボットの姿勢と前記想定床面との第2の相対的な位置
関係を予め設定した特性に従って求める第5の手段、お
よび前記第1、第2の相対的な位置関係の偏差を求め、
求めた偏差に基づいて前記想定床面を補正する第6の手
段を備える如く構成したので、請求項2項で述べたと同
様の効果を挙げることができる。
【0052】請求項5項にあっては、前記第3の手段
は、前記検出した姿勢傾きと、前記ロボットのリンクの
関節変位検出値とから前記ロボットの姿勢を求める様に
構成したので、想定床面と実床面との差異を的確に推定
することができて、目標歩容を適正に修正することがで
きる。
【0053】請求項6項にあっては、前記第3の手段
は、前記検出した姿勢傾きと、前記ロボットのリンクの
関節変位指令値とから前記ロボットの姿勢を求める様に
構成したので、より簡易な構成でありながら、同様の効
果を挙げることができる。
【0054】請求項7項にあっては、前記第3の手段
は、前記検出した姿勢傾きと、前記ロボットのリンクの
関節変位検出値と関節変位指令値の重み付き平均値から
前記ロボットの姿勢を求める様に構成したので、例えば
コンプライアンス動作への寄与度が低い関節の指令値を
そのまま使用することなどが可能となって、演算量を低
減させつつ、同様の効果を挙げることができる。
【0055】請求項8項にあっては、前記第6の手段
は、積分要素を含む補正則を用いて前記仮想床面を補正
する様に構成したので、定常偏差を零に近づけることが
できる。
【0056】請求項9項にあっては、前記第7の手段
は、求めた実際の姿勢傾きが目標値となる様に前記目標
歩容を修正するフィードバック制御手段を含む如く構成
したので、積分要素を含む補正則を用いて前記想定床面
を補正するときは定常偏差を零に近づけることができる
と共に、その補正則を、関節変位制御系のゲインが高け
れば、目標床反力と実床反力との間に介在させることが
ないので、位相遅れを生じて系を不安定にすることもな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明に係る脚式移動ロボットの歩行
制御装置を全体的に示す説明図である。
【図2】図1の中の制御ユニットの詳細を示すブロック
図である。
【図3】この発明の第1実施例を示すブロック図であ
る。
【図4】第1実施例の動作を示すフロー・チャートであ
る。
【図5】図3および図4に示す干渉角を示す説明図であ
る。
【図6】本出願人が先に提案した機械的なコンプライア
ンス機構の動作を干渉角と関連して示す説明図である。
【図7】図6に示す機構が干渉角だけ撓んだ状態を示す
説明図である。
【図8】図6と図7とから求められる、この発明をなす
基となった床反力モーメントと干渉角との関係を示す説
明図である。
【図9】図3ブロック図を近似した状態を示すブロック
図である。
【図10】この発明の第2実施例を示すブロック図であ
る。
【図11】第2実施例の動作を示すフロー・チャートで
ある。
【図12】この発明の第3実施例を示すブロック図であ
る。
【図13】第3実施例の動作を示すフロー・チャートで
ある。
【図14】この発明の第4実施例を示すブロック図であ
る。
【図15】この発明の第4の実施例の動作を示すフロー
・チャートである。
【図16】この発明の第5実施例を示すブロック図であ
る。
【図17】この発明の第6実施例を示すブロック図であ
る。
【図18】ロボットが傾斜床面で不安定な姿勢となった
状態を示す説明図である。
【図19】図18の状態で姿勢を回復したときの定常偏
差を示す説明図である。
【符号の説明】
1 脚式移動ロボット(2足歩行ロボ
ット) 2 脚部リンク 10R,10L 脚部回旋用の関節 12R,12L 腰部のロール方向の関節 14R,14L 腰部のピッチ方向の関節 16R,16L 膝部のピッチ方向の関節 18R,18L 足首部のピッチ方向の関節 20R,20L 足首部のロール方向の関節 22R,22L 足平 24 上体 26 制御ユニット 36 6軸力センサ 100 機械的コンプライアンス機構

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上体と複数本の脚部とを備えたリンク式
    の脚式移動ロボットの歩行制御装置において、 a.前記ロボットを剛体リンクでモデル化し、歩行を予
    定する床面を想定して該想定床面の上を歩行するための
    目標歩容を設定する第1の手段、 b.前記ロボットが実際に歩行するときの姿勢傾きを検
    出する第2の手段、 c.少なくとも検出した姿勢傾きから、前記ロボットに
    与えたコンプライアンスによる挙動または変形がないと
    仮定して前記ロボットの姿勢を求め、求めた姿勢と前記
    想定床面との相対的な位置関係を求める第3の手段、 d.求めた相対的な位置関係から、前記ロボットに与え
    たコンプライアンスによって前記脚部が前記想定床面に
    接地する様に姿勢を変えたときの床反力および/または
    モーメントを予め設定した特性に従って推定する第4の
    手段、 e.前記ロボットの実際の床反力および/またはモーメ
    ントを求める第5の手段、 f.推定した床反力および/またはモーメントと実際の
    床反力および/またはモーメントの偏差を求め、求めた
    偏差に基づいて前記想定床面を補正する第6の手段、 および g.補正した想定床面に基づいて前記目標歩容を修正す
    る第7の手段、 を備えたことを特徴とする脚式移動ロボットの歩行制御
    装置。
  2. 【請求項2】 上体と複数本の脚部とを備えたリンク式
    の脚式移動ロボットの歩行制御装置において、 a.前記ロボットを剛体リンクでモデル化し、歩行を予
    定する床面を想定して該想定床面の上を歩行するための
    目標歩容を設定する第1の手段、 b.前記ロボットが実際に歩行するときの姿勢傾きを検
    出する第2の手段、 c.少なくとも検出した姿勢傾きから、前記ロボットに
    与えたコンプライアンスによる挙動または変形がないと
    仮定して前記ロボットの姿勢を求め、求めた姿勢と前記
    想定床面との相対的な位置関係を求める第3の手段、 d.求めた相対的な位置関係から、前記ロボットに与え
    たコンプライアンスによって前記脚部が前記想定床面に
    接地する様に姿勢を変えたときの床反力および/または
    モーメントを予め設定した特性に従って推定する第4の
    手段、 e.前記ロボットの実際の床反力および/またはモーメ
    ントを求める第5の手段、 および f.推定した床反力および/またはモーメントと実際の
    床反力および/またはモーメントとの偏差を求め、求め
    た偏差に基づいて前記想定床面を補正する第6の手段、 を備えたことを特徴とする脚式移動ロボットの歩行制御
    装置。
  3. 【請求項3】 上体と複数本の脚部とを備えたリンク式
    の脚式移動ロボットの歩行制御装置において、 a.前記ロボットを剛体リンクでモデル化し、歩行を予
    定する床面を想定して該想定床面の上を歩行するための
    目標歩容を設定する第1の手段、 b.前記ロボットが実際に歩行するときの姿勢傾きを検
    出する第2の手段、 c.少なくとも検出した姿勢傾きから前記ロボットの姿
    勢を求め、求めた姿勢と前記想定床面との第1の相対的
    な位置関係を求める第3の手段、 d.前記ロボットの実際の床反力および/またはモーメ
    ントを求める第4の手段、 e.求めた実際の床反力および/またはモーメントから
    前記ロボットの姿勢と前記想定床面との第2の相対的な
    位置関係を予め設定した特性に従って求める第5の手
    段、 f.前記第1、第2の相対的な位置関係の偏差を求め、
    求めた偏差に基づいて前記想定床面を補正する第6の手
    段、 および g.補正した相対床面に基づいて前記目標歩容を修正す
    る第7の手段、を備えたことを特徴とする脚式移動ロボ
    ットの歩行制御装置。
  4. 【請求項4】 上体と複数本の脚部とを備えたリンク式
    の脚式移動ロボットの歩行制御装置において、 a.前記ロボットを剛体リンクでモデル化し、歩行を予
    定する床面を想定して該想定床面の上を歩行するための
    目標歩容を設定する第1の手段、 b.前記ロボットが実際に歩行するときの姿勢傾きを検
    出する第2の手段、 c.少なくとも検出した姿勢傾きから前記ロボットの姿
    勢を求め、求めた姿勢と前記想定床面との第1の相対的
    な位置関係を求める第3の手段、 d.前記ロボットの実際の床反力および/またはモーメ
    ントを求める第4の手段、 e.求めた実際の床反力および/またはモーメントから
    前記ロボットの姿勢と前記想定床面との第2の相対的な
    位置関係を予め設定した特性に従って求める第5の手
    段、 および f.前記第1、第2の相対的な位置関係の偏差を求め、
    求めた偏差に基づいて前記想定床面を補正する第6の手
    段、を備えたことを特徴とする脚式移動ロボットの歩行
    制御装置。
  5. 【請求項5】 前記第3の手段は、前記検出した姿勢傾
    きと、前記ロボットのリンクの関節変位検出値とから前
    記姿勢を求めることを特徴とする請求項1項ないし4項
    のいずれかに記載の脚式移動ロボットの歩行制御装置。
  6. 【請求項6】 前記第3の手段は、前記検出した姿勢傾
    きと、前記ロボットのリンクの関節変位指令値とから前
    記姿勢を求めることを特徴とする請求項1項ないし4項
    のいずれかに記載の脚式移動ロボットの歩行制御装置。
  7. 【請求項7】 前記第3の手段は、前記検出した姿勢傾
    きと、前記ロボットのリンクの関節変位検出値と関節変
    位指令値の重み付き平均値とから前記姿勢を求めること
    を特徴とする請求項1項ないし4項のいずれかに記載の
    脚式移動ロボットの歩行制御装置。
  8. 【請求項8】 前記第6の手段は、積分要素を含む補正
    則を用いて前記想定床面を補正することを特徴とする請
    求項1項ないし7項のいずれかに記載の脚式移動ロボッ
    トの歩行制御装置。
  9. 【請求項9】 前記第7の手段は、求めた実際の姿勢傾
    きが目標値となる様に前記目標歩容を修正するフィード
    バック制御手段を含むことを特徴とする請求項1項、3
    項、5項ないし8項のいずれかに記載の脚式移動ロボッ
    トの歩行制御装置。
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