JP3815590B2 - 画像読み取り装置の駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、単体スキャナ等に装備される画像読み取り装置を副走査方向に走行駆動させるマイクロステップ駆動可能なステッピングモータの制御方法に関し、より詳細には、画像読み取り時の走行に影響するオーバシュートをもたらす速度変動をスローアップ制御動作中に起こさないようにステッピングモータを制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より複写機、ファクシミリ、単体スキャナ等、に装備されている読み取り装置では、読み取り部を載荷するキャリッジを原稿の副走査方向に走行させ、原稿の読み取り走査を行う。キャリッジの走行は、停止位置から原稿の読み取り動作を行う定速走行へとスローアップし、読み取り動作後にスローダウンするように制御される。
一方、変倍した原稿画像を再生するための画像データを生成する方法として、読み取り時の副走査速度(キャリッジの走行速度)を変えることにより所望の変倍画像データを生成することが可能である。多くの変倍率で画像データを生成するためには、読み取り時の走査速度を変倍率に応じて変える必要があり、スローアップ動作を経て各変倍率に対応した異なる速度への立ち上げが行われる。
【0003】
例えば、縮小変倍画像を読み取るためにはより高速走査が必要で、高速な目標速度へスローアップを行う場合に、等倍或いは拡大倍率時の低速走査と同じリニアに立ち上げる速度変化パターンを適用し単にステッピングモータへの駆動クロック周波数を上げ(ステップを早めるような動作を行わせる)ただけでは、等倍或いは拡大倍率(低速走査)では起きにくかった振動による速度変動が高速では起きてしまい、それがオーバシュートとして読み取り動作に影響することになる。1例として、縮小40%の条件で立ち上がり時に起きる速度変動が示される図7を参照すると、図7(B)に示される制御信号の立ち下がりで読取が開始される時においても、まだ図7(A)に示されるスローアップ時に生じたオーバシュートによる速度変動が縮小変倍画像の読み取る動作において残ることがわかる。
このため、スローアップ、スローダウン中は駆動電流を多く流すようにしたり、スローアップ中に駆動電流を切り換えたり、変倍率に応じて駆動電流を切り換える、等の方法が提案されているが、広範囲の変倍率の速度に対して立ち上がり時の振動による速度変動がもたらすオーバシュートを抑えることができない。
【0004】
このような点から、変倍率に対応する走行速度で画像を読み取るために目標とする走行速度への立ち上げをオーバシュートを出来るだけ押さえるようにして素早く行うことを意図した解決方法が提案された。それは、スローアップ時の速度変化パターンを2次関数とし、それを各変倍率に対応する速度毎にテーブルとして用意するという方法である。
しかしながら、上記した2次関数速度変化パターンによる方法では、2次関数のスローアップテーブルを変倍率毎に用意する必要があるし、また、動作にあたり大きな処理負担が生じることになる。
【0005】
また、他に解決策として提案されたものは、リニア速度変化パターンにより動作する方法の範疇に入るもので、変倍率の変化に対応させたリニア速度変化パターンによりステッピングモータの駆動を制御する場合に、上記したリニア速度変化パターン法で考慮された駆動クロック周波数に加え、フル或いはハーフステップといったステップ角度(1ステップあたりの移動量)をさらに考慮に入れた方法である。
しかしながら、この方法も縮小倍率における高速の走査を行う場合に、スローアップから定速走査を通して一つのステップ角度で動作させる、即ち、オーバシュートを抑制できる細かいステップ角度で読み取り走査時の走行駆動も行うと、読み取り時には上位CPUが読み取った画像の処理とステッピングモータの細かいステップでの高速駆動制御の両方を負担することになる。つまり、オーバシュートの抑制と読み取り時の上位CPUの負担増とがトレードオフの関係になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、読み取った画像データが再生等の処理に利用される画像読み取り装置を原稿に対し副走査方向に走行駆動させるステッピングモータの制御方法において、縮小倍率時の画像データを読み取る場合のように高速に画像読み取り装置を走行駆動する際のスローアップ時に生じ得る振動及びオーバシュートを抑制し、さらに上位CPUの負担増を生じないようにステッピングモータを制御して安定した読み取り動作を行うことを可能とする画像読取装置の駆動方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、マイクロステップ駆動可能なステッピングモータによって画像読み取り装置を停止位置からスローアップし、定速で画像読み取り走査を行うように走行駆動する画像読み取り装置の駆動方法において、前記ステッピングモータはスローアップ走行時においてマイクロステップ駆動による1ステップの移動量を画像読み取りを行う定速走行時に比べて小さくするように制御されることを特徴とする画像読み取り装置の駆動方法を構成する。
【0009】
請求項2は、マイクロステップ駆動可能なステッピングモータによって画像読み取り装置を停止位置からスローアップし、定速で画像読み取り走査を行うように走行駆動する画像読み取り装置の駆動方法において、前記ステッピングモータはスローアップ走行時においてマイクロステップ駆動による1ステップの移動量を画像読み取りを行う定速走行時に比べて小さくするように制御され、さらに画像読み取り走査を行う定速動作へ立ち上がる前のスローアップの最終の期間において、立ち上げてきた加速度を小さくするとともに、供給される駆動電流を小さくするように制御されることを特徴とする画像読み取り装置の駆動方法を構成する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明を添付する図面とともに示す以下の実施例に基づき説明する。
先ず、本発明を実施する読み取り装置の1例について説明する。
図1は読み取り装置の駆動系、図2は読み取り装置の概略構成を示す図である。
図1において、1は露光ランプと第1ミラー(何れも図示せず)を一体化して有し原稿を走査する第1キヤリッジ。2は第2及び第3ミラー(何れも図示せず)を一体化して第1キャリッジからの光を結像レンズ(図示せず)に導く第2キャリッジ、3はワイヤ、4は駆動軸、5は駆動軸4と一体化されたワイヤプーリ、6ー1〜4はアイドルプーリ、7はタイミングベルト、8はステッピングモータ、9,10はタイミングベルトプーリ、11は検知部、12はホームポジションセンサである。
図2において、13はコンタクトガラス、14は露光ランプ、15は第1ミラー、16は第2ミラー、17は第3ミラー、18はレンズ、19はCCD、20は画像処理制御基板である。
【0011】
図1を参照し駆動系の動作の概略を説明すると、第1キヤリッジ1と第2キヤリッジ2には2本の対称に張られたワイヤ3を介して動力が伝達される。ワイヤ3は駆動軸4に巻かれ該軸に一体化されたワイヤプーリ5によって駆動され、ワイヤプーリ5は同軸にあるタイミングベルトプーリ9とタイミングベルト7を介してステッピングモータ8の軸に一体化されたタイミングベルトプーリ10によって駆動される。
電源スイッチをONにすると、ホーミングのためにステッピングモータ8が始動し、駆動軸4を駆動しワイヤ3を介し第1キヤリッジ1と第2キヤリッジ2がフォワード側に移動する。一定距離移動すると逆転を開始し、ホームポジションセンサ12が第1キヤリッジ1の下部にある検知部11を検知すると一定パルス分移動して停止する。この位置で読み取り指令が発せられ読み取り動作を開始するまで待機する。
【0012】
図3はマイクロステップ駆動制御板のブロック図を示す。
ステッピングモータ8はマイクロステップ駆動制御板21によって駆動される。マイクロステップ駆動制御板21は上位のCPU(図示せず)に搭載した制御板からステッピングモータの駆動クロック、正逆転信号、分割数切換信号及び電流切換信号が入力されステッピングモータの各相に駆動パルス信号を出力する。読み取り走査のために所定の速度パターンに従い読み取り装置を走行させる場合に、ステッピングモータの駆動パルス信号によりスローアップ、一定速度、スローダウン、移動距離などを制御する。
【0013】
実際の制御は下記(1)〜(4)に示すように、マイクロステップ駆動制御板21に入力される4つ信号により決められる。
(1) 駆動パルス信号のパルス周期を変えることにより走行速度を変化させることができ、走行速度を速くしようとする場合には周期を短くする。この駆動パルス信号を基にマイクロステップ駆動制御板21内のFETドライバをON・OFFしてモータの各相に電流を流す。
(2) 正逆転信号によりステッピングモータ8の正転、逆転を制御する。
(3) 分割数切換え信号によりステッピングモータ8の1ステップ当たりの移動量(ステップ角度)を制御する。例えば、5相ステッピングモータでは基本ステップ(フルステツプ)は0.72゜、2分割(ハーフステップ)で0.36゜、4分割で0.18゜、8分割で0.09゜等に分割する。
(4) 電流切換信号はステッピングモータ8の1相当たりに流れる電流を制御する。電流を制御することは基本的にはトルクを制御するもので、ここでは0.6〜2.1A間の値で制御する。
【0014】
コンタクトガラス13に原稿を載置し、スタートキーを押下するとステッピングモータ8は駆動を開始する。駆動制御は速度線図に基づいて行われる。図4は読み取り装置の走行制御に用いる代表的な速度線図を示す。
第1キヤリッジ1と第2キヤリッジ2がモータ8の駆動によりフォワード方向に走行を開始しコンタクトガラス13上に載置された原稿(図示せず)を露光ランプ14により照射し、その反射光を第1ミラー15、第2ミラー16、第3ミラー17を介してレンズ18によりCCD19に結像し、原稿を読み取る。読み取ったデータは画像処理制御基板20に転送される。
【0015】
図4に示すように、スローアップ動作を経て一定速度で走行させる期間に原稿の先端から後端までを読みとるので、この間が一番速度を安定させなければいけない。図4に太線で示されている部分は100%(等倍)時を示す。例えば、100%のフォワード方向の移動時にはマイクロステップ4分割(フルステツプの4分割)で3500ppsという駆動条件とすることができる。
原稿の読み取りが完了すると、リターン過程へと移りステッピングモータ8は逆転を開始する。できるだけ短い時間で戻すため、第1キヤリッジ1を高速で移動させ、第2キヤリッジ2はその半分の速度で高速リターンさせ、第1キヤリッジ1に設けた検知部11をホームポジションセンサ12が検知すると、一定パルス移動してステッピングモータ8は停止し、読み取りが終了する。
【0016】
図5は各種の変倍率に対応するフォワードの速度線図を示している。線図中の太線は100%(等倍)を示しこれより速い部分(図中では上部)が縮小時の速度線図であり、遅い部分(図中では下部)が拡大時の速度線図を示している。
拡大時の動作は、その拡大率に応じ速度を等倍時よりも遅くする必要があり、200%は速度が1/2になる。
200%拡大時の駆動条件としては、例えば、等倍時にマイクロステップ4分割で3500ppsという駆動条件とすると、変倍率の変化に対して画像データの密度(走行長に対する)を一定に保つためには、分割数は等倍時の4分割を2倍した8分割とする必要がある(なお、この場合に変倍率が変わっても駆動パルスの周期は一定の3500ppsとする)。また、8分割した場合、等倍時と駆動電流を同じにすると振動が大きくなってしまうので、駆動電流を少なくする。
【0017】
一方、縮小時の動作は、等倍時に比べ走行速度を速くする。速度は変倍率に応じるので、例えば50%縮小は速度が2倍になる。
50%縮小時の駆動条件としては、例えば、等倍時の分割数や駆動パルスの周期を前の条件と同じにする(変倍率が変わっても駆動パルスの周期は一定とする)と、変倍率の変化に対して画像データの密度を一定に保つためには、分割数は等倍時の4分割を1/2倍の2分割とする必要がある。
ところで、この縮小時の動作を行う場合に、分割数を4分割のまま変えないで駆動パルス周期を短くするという方法で走行速度を速めることが可能であるが、駆動パルス周期を短くしてモータ速度を上げると、原稿の読み取り開始以降に読み取った画像信号の処理とモータの駆動信号処理の両方の制御を司る上位CPUの負担が大きくなり、他の制御に影響を与える可能性がある。従って、上位CPUの負担を軽減するという理由からも、駆動パルス周波数を上げるという方法ではなく、分割数を4分割から2分割へと小さくするという方法で速度を速めるようにする。
【0018】
しかしながら、縮小時の動作を立ち上げから読み取りの終了まで通して2分割動作をさせると、スローアップ部分では2分割で加速していくことになるので振動が発生し、その振動はオーバーシュートとして読み取り時の定速動作に影響するようになる。
このオーバーシュートへの対応策を本発明ではスローアップ部分における分割数を振動が発生しない値を設定することにより行う。
図6はスローアップ部分と画像の読み取り動作を行う部分の速度線図とともにこの実施例の分割数の切換タイミング等の動作を示す線図である。
図6(A)の速度線図に示すように、縮小時の動作においては、画像の読み取り動作は上記説明の通りの2分割のステップで行うが、読取開始する以前は4分割のステップで駆動させる制御を行うことにより振動を発生させないようにする。このようにスローアップを4分割で行い、画像の読取開始前に所要の助走期間をとるようにして分割数の切換を行う。この制御動作は上位のCPUからの分割数切換信号をマイクロステップ駆動制御板21で処理しステッピングモータ8を制御することにより行われる。
【0019】
本発明においては、さらにスローアップ時にオーバシュートにつながる振動が発生しにくい条件を与えるようにしている。これはスローアップ時に急峻な加速をしないようにすれば良く、また、それに伴ってモータへの駆動電流を制御する。
図6(B)はスローアップ時に駆動電流を制御するタイミングを示すものである。
図6(A)に示すように、画像読み取りのために一定の速度に立ち上がる前のスローアップの最終段階の所定の期間“X”においてそれまでに急峻に立ち上げてきた加速度を小さくし図示のごとき速度パターンとし、その期間では、図6(B)に示すようにステッピングモータ8への負荷を軽くするように電流をi1からi2へと下げて駆動する。従って、加速度を大きくし駆動電流を大きくした場合に発生する振動を起こすことがなくなる。
この例のようにスローアップ時はマイクロステップ駆動と電流制御を組み合わせモータの制御を行うことにより、オーバシュートにつながる振動を抑制することができる。
【0020】
【発明の効果】
(1)本発明によると、高速走査が必要な場合(例えば、縮小画像読み取り時)に、スローアップ中は分割数を大きくし1ステップの移動量を細かくしているのでスローアップ時に生じる振動の発生を抑制し、オーバシュートを抑えることができる。また、スローアップ中は大きくしていた分割数を読取開始前に小さくすることにより原稿の読み取り開始以降に読み取った画像信号の処理とモータの駆動信号処理の両方の制御を司る上位CPUの負担を軽減できる。
(2)画像読み取りを行う定速走行時よりも細かいステップでスローアップを行い、さらにスローアップの最終の期間において加速度と駆動電流を低減させることによりスローアップ時に生じ得る振動の発生を抑制し、オーバシュートをより一層有効に抑制し、画像読み取り開始前に分割数を粗いステップに切換え定速走行に立ち上げるようにしたことにより上位CPUの負担も軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する読み取り装置の駆動系の概略構成を示す図である。
【図2】本発明を適用する読み取り装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明に用いるステッピングモータのマイクロステップ駆動制御板のブロック図を示す。
【図4】読み取り装置の走行制御に用いる代表的な速度線図を示す。
【図5】各種の変倍率に対応するフォワード走行制御に用いる速度線図を示す。
【図6】スローアップ部分と画像の読み取り動作を行う部分の速度線図と分割数及び駆動電流の切換タイミングを示す線図である。
【図7】高速走査へのスローアップにおいて起きるオーバシュートをもたらす速度変動と画像読み取りタイミングの関係を示す。
【符号の説明】
1…第1キャリッジ、 2…第2キャリッジ、
3…ワイヤ、 4…駆動軸、
5…ワイヤプーリ、 6ー1〜4…アイドルプーリ、
7…タイミングベルト、 8…ステッピングモータ、
9,10…タイミングベルトプーリ、11…検知部、
12…ホームポジションセンサ、 13…コンタクトガラス、
14…露光ランプ、 15…第1ミラー、
16…第2ミラー、 17…第3ミラー、
18…レンズ、 19…CCD、
20…画像処理制御基板、 21…マイクロステップ駆動制御板。
Claims (2)
- マイクロステップ駆動可能なステッピングモータによって画像読み取り装置を停止位置からスローアップし、定速で画像読み取り走査を行うように走行駆動する画像読み取り装置の駆動方法において、前記ステッピングモータはスローアップ走行時におけるマイクロステップ駆動による1ステップの移動量を画像読み取りを行う定速走行時に比べて小さくするように制御されることを特徴とする画像読み取り装置の駆動方法。
- マイクロステップ駆動可能なステッピングモータによって画像読み取り装置を停止位置からスローアップし、定速で画像読み取り走査を行うように走行駆動する画像読み取り装置の駆動方法において、前記ステッピングモータはスローアップ走行時においてマイクロステップ駆動による1ステップの移動量を画像読み取りを行う定速走行時に比べて小さくするように制御され、さらに画像読み取り走査を行う定速動作へ立ち上がる前のスローアップの最終の期間において、立ち上げてきた加速度を小さくするとともに、供給される駆動電流を小さくするように制御されることを特徴とする画像読み取り装置の駆動方法。
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