JP3812082B2 - 画像形成材料および画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性光により可溶化又は不溶化する感光層を有する画像形成材料及びそれを用いた画像形成方法に関し、更に詳しくは、半導体レーザー等による赤外線による露光で画像形成が可能な、ポジ型又はネガ型感光性平版印刷版用等として適した画像形成材料及びそれを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、活性光の照射によって可溶化するポジ型の感光層として、酸発生剤と酸分解性化合物とを含有する感光層を有する画像形成材料が知られている。即ち、米国特許第3,779,778号明細書には、酸発生剤と酸で分解する特定の基を有する水不溶性化合物とを含有する感光性組成物が、特開昭53−133429号公報には、酸発生剤と主鎖にアセタール又はケタール基を有する化合物とを含有する感光性組成物が、また、特開昭60−37549号公報には、酸発生剤とシリルエーテル基を有する化合物とを含有する組成物が開示されている。しかしながら、これらはいずれも紫外線に感度を有し、紫外線による露光によってアルカリ可溶化して非画像部となるもので、安価でコンパクトな半導体レーザーのような赤外線による画像露光はできない。
【0003】
一方、半導体レーザーのような赤外線で画像露光が可能な技術として、米国特許第5,340,699号明細書には、酸発生剤、レゾール樹脂、ノボラック樹脂及び赤外線吸収剤を含有する感光層を有し、画像露光の後、現像処理前に加熱処理を施すことによりネガ型の画像形成材料として使用され、上記加熱処理を施さないとポジ型の画像形成材料として使用される技術が開示されている。
【0004】
しかし、半導体レーザーのような赤外線で画像露光が可能な画像形成材料およびその形成方法によって、得られる印刷版は、印刷する環境下(白色蛍光灯下他)により、耐刷力が低下するという問題点を持っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、現像後の版材を印刷にかける際、曝射されることによって起こる耐刷力の低下がなく、耐刷性、感度の良い画像形成材料および画像形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0007】
(1) 支持体上に、下記一般式(1)で表される活性光線の照射により酸を発生し得る化合物と、下記一般式(2)で表される酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有する化合物及び酸分解化合物Bから選ばれる少なくとも1種と、赤外線吸収剤及びサルチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有する感光層を有することを特徴とする画像形成材料。
【化C】
(式中、Rはアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよいフェニルビニレン基又はアリール基若しくはその置換体を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
【化D】
(式中、R0、R1及びR2は、各々水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を表し、p、q及びrは、各々1〜3の整数を表し、m及びnは、各々1〜5の整数を表す。)
【化F】
【0008】
(2) 前記1記載の画像形成材料の感光層上に波長700nm以上の可視光又は赤外線を用いて画像を描画した後、アルカリ性現像液で露光部を除去する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【0009】
(3) 支持体上に、上記一般式(1)で表される活性光線の照射により酸を発生し得る化合物と、酸の存在下で架橋し得る結合を少なくとも1つ有する化合物と、赤外線吸収剤及びサルチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有する感光層を有することを特徴とする画像形成材料。
【0010】
(4) 前記3記載の画像形成材料の感光層上に波長700nm以上の可視光又は赤外線を用いて画像を描画した後、アルカリ性現像液で未露光部を除去する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【0011】
以下、本発明について詳述する。本発明に用いられる活性光線の照射により酸を発生し得る化合物(以下「光酸発生剤」という)は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0018】
【化2】
【0019】
一般式(1)において、Rはアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよいフェニルビニレン基又はアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)若しくはその置換体を表し、Xはハロゲン原子を表す。
【0020】
一般式(1)で表されるs−トリアジン系光酸発生剤の化合物例を次に示す。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
本発明において、光酸発生剤の含有量は、その化学的性質及び本発明の画像形成材料の感光層の組成あるいは物性によって広範囲に変えることができるが、感光層の固形分の全重量に対して約0.1〜約20重量%の範囲が適当であり、好ましくは0.2〜10重量%の範囲である。
【0024】
本発明に用いられる酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有する化合物(以下「酸分解化合物」という)としては、具体的には、C−O−C結合を有する化合物、アセタール及びケタール結合を有する化合物などが挙げられる。
【0030】
本発明において、酸分解化合物として、−(CH 2 CH 2 O) n −基(nは2〜5の整数を表す)を有する化合物が感度及び現像性のバランスの点から好ましい。また、該化合物のうちエチレンオキシ基の連鎖数nが3又は4の化合物が特に好ましい。上記−(CH 2 CH 2 O) n −基を有する化合物の具体例としては、ジメトキシシクロヘキサン、ベンズアルデヒド−ジメチルアセタール及びそれらの置換誘導体等と、ジエチレングリコールとの縮合生成物が挙げられる。
【0032】
【化6】
【0033】
式中、R0、R1及びR2は、各々水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、スルホ基、カルボキシル基又はヒドロキシル基を表し、p、q及びrは、各々1〜3の整数を表し、m及びnは、各々1〜5の整数を表す。R0、R1及びR2が表すアルキル基は直鎖でも分岐でもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基等が挙げられ、スルホ基及びカルボキシル基はその塩を包含する。一般式(2)で表される化合物のうち、m及びnが1又は2である化合物が特に好ましい。一般式(2)で表される化合物は公知の方法で合成することができる。
【0034】
本発明において、酸分解化合物の含有量は、感光層を形成する組成物の全固形分に対し、5〜70重量%が好ましく、特に好ましくは10〜50重量%である。酸分解化合物は1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
本発明に用いられる赤外線吸収剤としては、波長700nm以上に吸収を持つ赤外吸収色素、カーボンブラック、磁性粉等を使用することができる。特に好ましい赤外線吸収剤は800〜1100nmに吸収ピークを有し、ピークでのモル吸光係数εが105以上である赤外吸収色素である。
【0036】
上記赤外吸収色素としては、シアニン系色素、スクアリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チオピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アントラキノン系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分子間CT色素等が挙げられる。
【0037】
また、上記赤外吸収色素として、特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。
本発明に好ましく用いられる赤外線吸収剤の代表的具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】
【化12】
【0044】
【化13】
【0045】
【化14】
【0046】
【化15】
【0047】
【化16】
【0048】
【化17】
【0049】
【化18】
【0050】
【化19】
【0051】
【化20】
【0052】
これらの色素は公知の方法によって合成することができるが、下記のような市販品を用いることもできる。
【0053】
日本化薬:IR750(アントラキノン系);IR002,IR003(アルミニウム系);IR820(ポリメチン系);IRG022,IRG033(ジインモニウム系);CY−2,CY−4,CY−9,CY−20
三井東圧:KIR103,SIR103(フタロシアニン系);KIR101,SIR114(アントラキノン系);PA1001,PA1005,PA1006,SIR128(金属錯体系)
大日本インキ化学:Fastogen blue8120
みどり化学:MIR−101,1011,1021
その他、日本感光色素、住友化学、富士写真フィルム等の各社からも市販されている。
【0054】
本発明において、赤外線吸収剤の添加量は、0.5〜5wt%の範囲が好ましい。該添加量が5wt%を越えると露光部の現像性が低下し、0.5wt%未満では露光部の耐現像性が低下する。
【0055】
本発明に用いる紫外線吸収剤としては、公知の種々のものを用いることができ、例えばサルチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等が挙げられるが、これらの具体的な若干例を以下に示す。
【0056】
p-tert-ブチルフェニルサリシレート
p-オクチルフェニルサリシレート
フェニルサリシレート
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン
2-ヒドロキシ-4-オクトキベンゾフェノン
2-ヒドロキシー4ードデシルオキシベンゾフェノン
2,2′-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン
2,2′-ジヒドロキシー4、4′-ジメトキシベンゾフェノン
2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン
2-(2′-ヒドロキシ-5′-メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール
2-(2′-ヒドロキシ-5′-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
2-(2′-ヒドロキシ-3′-5′-ジ-tertーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
2-(2′-ヒドロキシ-3′-tertーブチル-5′-メチルフェニル)-5-ベンゾトリアゾール
2-(2′-ヒドロキシ-3′、5′-ジーtertーブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール
2-(2′-ヒドロキシ-3′,5′-ジー-tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール
2-(2′-ヒドロキシ-3′,5′-ビス(α,α′ジメチルベンジルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール
これらの紫外線吸収剤のうち好ましいものは、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系のものである。これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0057】
本発明に用いられる紫外線吸収剤の添加量は、使用するレーザー光源(吸収波長、強度)を考慮して選択されるが、本発明においては、1m2当たり0.01〜10gの範囲とすることが好ましく、特に好ましくは0.1〜5gの範囲である。
【0058】
本発明の感光層に含有させる酸の存在下で架橋しうる結合を少なくとも1つ有する化合物(以下「酸架橋化合物」という)としては、官能基としてアルコキシメチル基、メチロール基、アセトキシメチル基等を少なくとも2個有するアミノ化合物、例えば、ヘキサメチロールメラミン、メラミン誘導体〔ヘキサメトキシメチル化メラミン(三井サイアナミッド(株)製サイメル300シリーズ(1)等)〕、ベンゾグアナミン誘導体〔メチル/エチル混合アルキル化ベンゾグアナミン樹脂(三井サイアナミッド(株)製サイメル1100シリーズ(2))等〕、グリコールウリル誘導体〔テトラメチロールグリコールウリル(三井サイアナミッド(株)製サイメル1100シリーズ(3))等〕、また、官能基としてアルコキシメチル基、メチロール基、アセトキシメチル基等を有する少なくとも2置換の芳香族化合物、例えば、1,3,5−トリアセトキシメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラアセトキシメチルベンゼン等が挙げられ、これらはPolym.Master.Sci.Eng.,64,241(1991)に記載の手法により合成することができる。
【0059】
酸架橋化合物として、上記に加えてレゾール樹脂及びフラン樹脂も使用することができる。さらに、以下に示す単量体を含む単量体から合成されるアクリル樹脂を使用することができる。
【0060】
N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ビニルベンジルアルコール、α−メチルビニルベンジルアルコール、ビニルベンジルアセテート、α−メチルビニルベンジルアセテート、ビニルフェネチルアルコール、α−メチルビニルフェネチルアルコール、ビニルフェネチルアセテート、α−メチルビニルフェネチルアセテートのいずれかを1〜50モル%、好ましくは5〜30モル%共重合体させる態様である。
【0061】
また、本発明の感光層に含有させる固形微粒子の表面を、以上のような酸架橋化合物に含まれる架橋基で修飾した素材を使用することができる。
【0062】
本発明の酸架橋化合物の含有量は、感光層を形成する組成物の全固形分に対し、5〜60重量%が好ましく、特に好ましくは10〜30重量%である。酸架橋化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0063】
本発明の画像形成材料の感光層には結合剤を用いることができる。結合剤として例えば高分子量結合剤を用いることができる。高分子量結合剤としては、例えばノボラック樹脂やヒドロキシスチレン単位を有する重合体や後記する一般式(3)で表される構造単位を有する重合体、その他公知のアクリル樹脂等を挙げることができる。
【0064】
上記ノボラック樹脂としては、例えばフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、特開昭55−57841号公報に記載されているようなフェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共重縮合体樹脂、特開昭55−127553号公報に記載されているような、p−置換フェノールとフェノールもしくは、クレゾールとホルムアルデヒドとの共重縮合体樹脂等が挙げられる。
【0065】
ヒドロキシスチレン単位を有する重合体としては、例えば特公昭52−41050号公報に記載されているポリヒドロキシスチレンやヒドロキシスチレン共重合体などを挙げることをことができる。
【0066】
一般式(3)で表される構造単位を有する重合体とは、該構造単位のみの繰り返し構造を有する単独重合体、あるいは該構造単位と他のビニル系単量体の不飽和二重結合を開裂せしめた構造で示される構造単位1種以上とを組み合わせた共重合体である。
【0067】
【化21】
【0068】
一般式(3)において、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、メチル基やエチル基等のアルキル基又はカルボキシル基を表し、好ましくは水素原子である。R3は水素原子、塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子又はメチル基、エチル基等のアルキル基を表し、好ましくは水素原子又はメチル基である。R4は水素原子、メチル基やエチル基等のアルキル基、フェニル基又はナフチル基を表す。
【0069】
Y1は置換基を有するものも含むフェニレン基又はナフチレン基を表し、置換基としてはメチル基やエチル基等のアルキル基、塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子、カルボキシル基、メトキシ基やエトキシ基等のアルコキシ基、ヒドロキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基等が挙げられるが、好ましくは置換基を有しないか、あるいはメチル基で置換されているものである。
【0070】
X1は窒素原子と芳香族炭素原子とを連結する2価の有機基で、n1は0〜5の整数を表し、好ましくはn1が0のときである。
【0071】
また、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン単位を有する重合体、一般式(3)で表される構造単位を有する重合体及びアクリル樹脂を併用することもできる。
【0072】
本発明の好ましい態様として感光層がノボラック樹脂及びアクリル樹脂を含有する態様が挙げられる。該アクリル樹脂はアクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのエステル類を構成単位とする重合体であり、好ましくは前述した一般式(3)で表される単量体単位を有する重合体である。ノボラック樹脂は感光層に対して20〜80重量%の範囲で含有させることが好ましく、アクリル樹脂は感光層に対して1〜50重量%の範囲で含有させることが好ましく、5〜30重量%の範囲がより好ましい。
【0073】
本発明の好ましい態様として感光層がノボラック樹脂及びノニオン界面活性剤を含有する態様が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。ノボラック樹脂は感光層に対して20〜80重量%の範囲で含有させることが好ましく、ノニオン界面活性剤は感光層に対して0.01〜10重量%の範囲で含有させることが好ましく、0.1〜1.0重量%の範囲がより好ましい。
【0074】
更に、本発明の感光層には、感光層の感脂性を向上するために親油性の樹脂を添加することができる。
【0075】
上記親油性の樹脂としては、例えば、特開昭50−125806号公報に記載されているような、炭素数3〜15のアルキル基で置換されたフェノール類とアルデヒドの縮合物、例えばtブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂などが使用可能である。
【0076】
本発明の画像形成材料の感光層には必要に応じて、更に上記以外の色素、顔料、増感剤等を含有させることができる。
【0077】
本発明の画像形成材料は、感光層を形成する各成分を溶媒に溶解させて、適当な支持体の表面に塗布し乾燥することにより感性層を設けて製造することができる。
【0078】
上記溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶媒は、単独であるいは2種以上混合して使用する。
【0079】
塗布方法は、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布及びカーテン塗布等が可能である。塗布量は用途により異なるが、例えば、感光性平版印刷版についていえば固形分として0.5〜5.0g/m2が好ましい。
【0080】
本発明の感光層を設ける支持体としては、アルミニウム、亜鉛、鋼、銅等の金属板、並びにクロム、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄等がメッキ又は蒸着された金属板、紙、プラスチックフィルム及びガラス板、樹脂が塗布された紙、アルミニウム等の金属箔が張られた紙、親水化処理したプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0081】
本発明を感光性平版印刷版に適用するとき、支持体として砂目立て処理、陽極酸化処理及び必要に応じて封孔処理等の表面処理等が施されているアルミニウム板を用いることが好ましい。これらの処理には公知の方法を適用することができる。
【0082】
砂目立て処理の方法としては、例えば機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。機械的方法としては、例えばボール研磨法、ブラシ研磨法、液体ホーニングによる研磨法、バフ研磨法等が挙げられる。アルミニウム材の組成等に応じて上述の各種方法を単独あるいは組合わせて用いることができる。
【0083】
電解によりエッチングするには、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機の酸を単独ないし2種以上混合した浴を用いて行われる。砂目立て処理の後、必要に応じてアルカリあるいは酸の水溶液によってデスマット処理を行い中和して水洗する。
【0084】
陽極酸化処理は、電解液として、硫酸、クロム酸、シュウ酸、リン酸、マロン酸等を1種又は2種以上含む溶液を用い、アルミニウム板を陽極として電解して行われる。形成された陽極酸化被膜量は1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2であり、特に好ましくは25〜40mg/dm2である。陽極酸化被膜量は、例えばアルミニウム板をリン酸クロム酸浴液(リン酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1lの水に溶解して作製)に浸漬し、酸化被膜を溶解し、板の被膜溶解前後の重量変化測定から求められる。
【0085】
封孔処理は、沸騰水処理、水蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理等が具体例として挙げられる。この他にアルミニウム板支持体に対して、水溶性高分子化合物や、フッ化ジルコン酸等の金属塩の水溶液による下引き処理を施すこともできる。
【0086】
本発明の画像形成材料には波長700nm以上の光源を用い画像露光を行う。光源としては、半導体レーザー、He−Neレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられる。出力は50mW以上が適当であり、好ましくは100mW以上である。
【0087】
本発明の画像形成材料の現像に用いられる現像液としては、水系アルカリ現像液が好適である。水系アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の水溶液が挙げられる。アルカリ金属塩の濃度は0.05〜20重量%の範囲で用いるのが好適であり、より好ましくは、0.1〜10重量%である。
【0088】
本発明の画像形成方法において、現像液には、必要に応じアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤やアルコール等の有機溶剤を加えることができる。
【0089】
有機溶剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、n−プロピルアルコール等が有用である。
【0090】
【実施例】
次に、本発明を実施例で更に具体的に説明する。なお、以下の実施例及び比較例において「部」は「重量部」を意味する。
【0091】
実施例1
支持体の作成
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を5%苛性ソーダ水溶液中で60℃で1分間脱脂処理を行った後、0.5モル1lの塩酸水溶液中で温度;25℃、電流密度;60A/dm2、処理時間;30秒の条件で電解エッチング処理を行った。次いで、5%苛性ソーダ水溶液中で60℃、10秒間のデスマット処理を施した後、20%硫酸溶液中で温度;20℃、電流密度;3A/dm2、処理時間;1分間の条件で陽極酸化処理を行った、更に又、30℃の熱水で20秒間、熱水封孔処理を行い、平版印刷版材料用支持体であるアルミニウム板を作製した。
【0092】
酸分解化合物の合成
酸分解化合物Aの合成
1,1−ジメトキシシクロヘキサン(0.5モル)、フェニルセロソルブ(1.0モル)及びp−トルエンスルホン酸80mgを攪拌しながら100℃で1時間反応させ、その後150℃まで徐々に温度を上げ、更に150℃で4時間反応させた。反応により生成するメタノールはこの間に留去した。冷却後、テトラヒドロフラン500ml及び無水炭酸カリウム2.5gを加えて攪拌し濾過した。濾液から溶媒を減圧留去し、更に150℃、高真空下で低沸点成分を留去し、粘調な油状の下記酸分解化合物Aを得た。
【0093】
【化22】
【0094】
酸分解化合物Bの合成
1,1−ジメトキシシクロヘキサン1.0モル、ジエチレングリコール1.0モル及びp−トルエンスルホン酸80mgを攪拌しながら100℃で1時間反応させ、その後150℃まで徐々に温度を上げ、更に150℃で4時間反応させた。反応により生成するメタノールはこの間に留去した。冷却後、テトラヒドロフラン500ml及び無水炭酸カリウム2.5gを加えて攪拌し濾過した。濾液から溶媒を減圧留去し、更に150℃、高真空下で低沸点成分を留去し、粘調な油状の下記酸分解化合物Bを得た。
【0095】
【化23】
【0096】
前記アルミニウム板の支持体上に下記組成の感光層塗布液を乾燥後の膜厚が2g/m2になるように回転塗布機を用いて塗布し90℃で2分間乾燥して画像形成材料を得た。
【0097】
感光層塗布液の組成
ノボラック(フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールとホルムアルデヒドの共縮合物;Mw=5,000、フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比=5/57/38) 70部
酸分解化合物A 20部
光酸発生剤 例示化合物(1) 3部
赤外線吸収剤 例示化合物IR25 2部
紫外線吸収剤 フェニルサリシレート 5部
プロピレングルコールモノメチルエーテル 1000部
この画像形成材料を、半導体レーザー(波長830nm、出力500mW)で感光層表面に画像露光を行った。さらに、ポジPS版用現像液SDR−1(コニカ(株)製)を水で容積比6倍に希釈した30℃の現像液に12秒間浸漬し、非画像部(露光部)を除去した後、水洗し平版印刷版を製造した。得られた平版印刷版を用い、印刷を行い、耐刷力の評価を行った。感度とあわせ表1に示す。
【0098】
実施例2
実施例1の感光層処方を以下に変えた以外は、同様に印刷まで行い、結果を表1に示す。
【0099】
感光層塗布液の組成
実施例1で用いたノボラック 70部
酸分解化合物B 20部
光酸発生剤 例示化合物(1) 3部
赤外線吸収剤 例示化合物IR25 2部
紫外線吸収剤 2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン 5部
プロピレングルコールモノメチルエーテル 1000部
実施例3
実施例2の感光層塗布液の組成の紫外線吸収剤を2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールに変更した以外は実施例2と同様に画像形成材料を作製し、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
【0100】
実施例4
実施例1の感光層処方を以下に変えた以外は、同様にして画像形成材料を作製し、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。但し、露光後、現像前に140℃、30秒の熱処理を行い、現像では未露光部を除去した。
【0101】
感光層塗布液の組成
実施例1で用いたノボラック 60.7部
レゾール樹脂(昭和高分子社製 ショノールCKP918) 35.75部
光酸発生剤 例示化合物(1) 3部
赤外線吸収剤 例示化合物IR25 2部
紫外線吸収剤 2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール 1部
プロピレングルコールモノメチルエーテル 1000部
実施例5
実施例4の感光層塗布液の組成のレゾール樹脂をヘキサメチロールメラミンに変更した以外は実施例4と同様に画像形成材料を作製し、実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
【0102】
比較例1〜5
実施例1〜5の感光層塗布液の組成の紫外線吸収剤を除いた以外は実施例1〜5と同様に画像形成材料を作製し、それぞれ比較例1〜5とした。実施例1と同様の評価を行い、結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
表1から、本発明の試料は感度が良好で、曝射されることによって起こる耐刷力の低下のない画像形成材料であることがわかる。
【0105】
【発明の効果】
本発明によれば、赤外線による露光で画像形成が可能なポジ型及びネガ型の画像形成材料及び画像形成方法が得られた。
【0106】
また、本発明によれば、現像後の版材を印刷にかける際、曝射されることによって起こる耐刷力の低下がなく、耐刷性、感度の良い画像形成材料および画像形成方法を提供することができた。
Claims (4)
- 支持体上に、下記一般式(1)で表される活性光線の照射により酸を発生し得る化合物と、下記一般式(2)で表される酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有する化合物及び酸分解化合物Bから選ばれる少なくとも1種と、赤外線吸収剤及びサルチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有する感光層を有することを特徴とする画像形成材料。
- 請求項1記載の画像形成材料の感光層上に波長700nm以上の可視光又は赤外線を用いて画像を描画した後、アルカリ性現像液で露光部を除去する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
- 支持体上に、上記一般式(1)で表される活性光線の照射により酸を発生し得る化合物と、酸の存在下で架橋し得る結合を少なくとも1つ有する化合物と、赤外線吸収剤及びサルチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有する感光層を有することを特徴とする画像形成材料。
- 請求項3記載の画像形成材料の感光層上に波長700nm以上の可視光又は赤外線を用いて画像を描画した後、アルカリ性現像液で未露光部を除去する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
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